目を覚ましてから最初の仕事は私が撃ち抜いた人達の身元調査であった。
既に死体はアルカディアが外のゴミ捨て場に放り込んでおり、残った身分証や付けていた武具を手にとって確認する。
「しかし、何でこんな調べものをするんですか?」
「最初に会った時に言ったでしょ。ここに人が来るのは久しぶりだって」
確かにそんな事を言ってた気がする。
その後の展開が怒濤過ぎて忘れかけていたが。
「ここ何百年は貴女以外の人間は来なかったってのに、ここにきていきなり4人よ?何か理由があるのか知りたいじゃない」
「なるほど……あ、ポケットに依頼書入ってました」
血で汚れているが、確かにそれはエクソシストが共通で使っている紙だった。
「ちょっと貸して」
「はい、どうぞ」
自身が読む前にご主人様に言われたので、そのまま渡す。
この人達も私と同じく手違いでやってきたのだろうか。
というか今更だか同じ人間撃ち殺してるのか私。
……半吸血鬼だからセーフ?
アルカディアに会った日に人間の私は死んだのです。
セーフ、セーフ。多分。
そんな事を考えているとアルカディアから手招きが。
「何が書いてありました?」
「この人達、貴女の捜索で来たらしいわよ」
「……何で?」
学園の生徒の生死に無頓着の精神からは想像出来ない内容だった。
ホント何で?
「なんか貴女の射撃能力の研究したい一派がいたらしくてね。廃人になっていててもいいから連れ帰ってくれって話みたい」
「私の?」
射撃能力は確かに人より優れてる自負はあるけど……そこまでする?
(魔弾ねぇ……思ったよりとんでもない子拾っちゃったかも)
考え込んでるとアルカディアがブツブツと呟いていたので訊いてみた。
「どうかしましたか?」
「いや、ちょっとね」
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午後に恒例の死合を行った。
最近練習している拘束糸を防御に使いながら片腕で弾を撃つ。
今日はえっちな事はしないと言われているので、犯される事に耐える為の体力を一切残す必要がないので全力で殺しに掛かる。
日常では仲良くしているが、それとこれとは話が別だ。
「くっそ!あともう少しなのに……!」
当たる寸前にサッと動かれて違う場所へと着弾してしまう。
ひきがねを引いた瞬間に狙っていた位置には正確に飛んでいる。
要するに私の先読みが甘いのだ。
「銃弾が思い通りに動けばいいのに!」
そう思いながら、片手でラッチ押してシリンダーを出す。
親指と人差し指で拘束糸を操り弾を装填する。
左手は隙あらば仕掛けてこようとするアルカディアの牽制に手一杯な為使えない。
M19を構えて柱の影から飛び出して仕掛ける。
ほんの僅かな差で届かない。
最後の一発を撃つ瞬間、私は無意識に叫んでいた。
「くっそぉ!
「……おっと!」
銃弾が外れるコースから一転、私の望んだアルカディアの方へと進行方向を変えたのである。
「へぇ♪少し水を向けただけでここまで進歩するとはねぇ」
「そこっ……あれ、身体が!?」
気づけば近付かれ、身体を拘束させられていた。
私の敗けだ。
「成る程、その才能。欲しがる人が多い訳ね」
「えーっと、あの、話の流れが」
動けないままに当惑する私にアルカディアが深紅の眼を爛々と光らせながら覗き込んできた。
「実際10年くらいしたら解放してあげようかと思っていたけど、残念、もう決めたわ。貴女を一生離さない」
「あ、の、何が何だか」
「貴女は永遠に私だけのものよ。他の誰にも渡したりなんかしないわ」
「あのー……」
「シオン、貴女名前は?」
急に名前を訊いてきた。
「え、シオンですけど」
「そうじゃなくてファミリーネームよ」
「私孤児なんでその、名前とかは……」
それを聞くと何故かアルカディアは嬉しそうに微笑んだ。
「ならこれから私と同じブラドの姓を名乗りなさい。それと私の事はご主人様じゃなくてアルって呼ぶ事」
「ご主人様?何を」
「
「ええっと……アル、急にどうしたんですか?」
確かに名字を貰えるのは嬉しいけど、そんな簡単に決めていいものなのだろうか。
「私の性癖から婿を取るなんてまず想像もしてなかったけど、シオンならいいわ。今夜は初夜ね!」
「初夜どころかとっくに処女はご主人様が奪ってるんですがそれは……」
「心機一転、それはそれ、これはこれよ」
「意味が分からない……」
ホントに急にどうしたの。
「それと、今日はえっちな事はしない日では」
「私がルールよ」
「………………はい」
こうして孤児だった私に名字が与えられ、天涯孤独だった私に家族が出来たのである。
その夜の責めは甘く、精神をとろかす様なものであり、いつものに慣れきっていた私には全然耐性が無く、体力も残っていなかった為ろくに耐えれずイかされ続けたのであった。
この数ヶ月後の状態から一話に繋がります。