※この作品はR-18です。

幻影の魔族   作:オーク初心者

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一週間以内に投稿したかったけど、間に合いませんでしたぁ……。

※2019/3/23 しばらく雲隠れしておりましたが、少しずつ書き進めております。気長にお待ち頂ければ幸いです。


砕かれる自尊心

「突っ撥ねても良かったのに、お人好しよね貴方。魔族なのにお人好しっていうのも変だけど」

 

「真剣に乞われて、しかも男として初めての相手となれば嬉しいに決まってるさ。初めては自分で惹かれた相手に捧げろと容赦なく突き返すほど、聖人になれるわけもない。そもそも、聖人もとい聖魔って概念があるのかは知らないけどさ」

 

「魔族好しって言葉も無いんだから、まあ気にしなくていいんじゃない? 言葉遊びみたいなものだし」

 

 少しは酒でも入れないとやってられないと、リヴァイスはホテル内の売店で手に入れた安価なワインを、ジンジャエールやコーラ等と合わせて、飲みやすいカクテルに変えつつ、チーズをつまんでいた。なお、毒や異物の混入確認についても水遁の術は有効であり、それを聞いた凜花も隣でワインベースのカクテルを楽しんでいる。

 

「ふふ、それにしても、本当は悪い男なんだ♪ 女の子を酔わせて抱くつもりなの?」

 

「そう言いながら、俺よりピッチが早いのってどうなんだよ。いくら口当たりがいいからってさ」

 

 凜花は上機嫌でリヴァイスを揶揄って笑みすら浮かべている。多少の女のわがままは可愛げとして受け止めるのがリヴァイスの性格だと分かってくれば、これくらいの毒っ気で気分を害することはないと確信すら覚えていた。

 

「だって、家じゃこんなこと出来ないしね。かといって、任務中に堂々とお酒を口にする機会があるわけでもないし」

 

 凜花の『私の初めてを奪いなさい』発言後、まず、ゆきかぜと達郎が即座に戦略的撤退を選び、さっさと自分達に宛がわれた客室で二人の時間に戻っていった。ゆきかぜは無駄にいい笑顔でサムズアップを決めて、達郎は不知火から渡された強壮剤ドリンクを手に戦いへ赴く男の顔をしており、凜子がキュンとする一幕があったりもした。

 次に隣室で休むという不知火が凜子を引っ張っていった。なお、明日以降の動きも屋敷にいるナディア達と調整しておくし、その関連で当面、起きてもいるので何かあればすぐにテレパシーで呼べばいいと言い残して。

 

「で、凜子ちゃんに何をどうやったら、如何わしい店のコスプレなんかじゃなくて、あんな本格的なハウスメイドさんになれるわけ?」

 

「凜子は不知火やナディア、メイアとの差別化を図りた……」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい! いえ、その話はもちろん聞きたいんだけど、その前にさっきも不知火さんから名前が出たけど、ナディアやメイアって名前、もしかしてもしかするわけ……?」

 

 凜花は慌ててリヴァイスの声に割って入る。リヴァイスの口から出た名前は聞き逃すわけにはいかない名前だったからだ。魔族の中でも上位に位置づけられる脅威として必ず覚えさせられる名前だ。

 

「ああ、それぞれ魔界の踊り子、血の女王と呼ばれているね、二人は」

 

「対魔忍の間でも超有名な魔族の二人じゃないっ。その二人も自分の女だって言うわけ!? それこそ、ノマドのエドウィン・ブラックと並ぶほどの……って、どうしたの? 険しい顔しちゃって」

 

「ん? ああ、何でもないよ。些細なことさ、あのブラックに比べればどうだろうって思って」

 

 そんなことを考えた顔つきではないのは一目で分かる。魔族ならばノマドの創始者たる不死の王エドウィン・ブラックを知らないことは無いだろうが、明らかに何らかの強い感情を抱いているのが見て取れるのだから。

 

「ふーん、確かにブラックは有名すぎるものね。私たちの中でも最大の脅威であり、かつ最凶の敵と位置づけられているわ」

 

 凜花は自分が認めた相手において、一定の敬意をしっかり持っている。だから、彼の煩悶を今は指摘せずに流すと決めた。変わらぬ調子で話の先を求める風を装う。

 

 飲み出す前に最後の確認とばかりに軽い手合わせを要望し、短い時間ながらリヴァイスと相対した凜花は、飛び紫煙を含めた自分の体術を初見で捌いてみせる技術や機敏な動きと共に、彼が本気を出していないことも思い知らされたのだ。魔族の恵まれた身体能力や魔力で圧倒する力押しの闘い方ではなく、確かな戦闘技法を身につけた、こちらの攻撃をいなしつつの的確な一撃──もちろん、寸止めではあったわけだけども、凜花が自身を納得させるには十分なものだった。

 

 凜子との関係性を断つつもりが無い以上、彼と顔を合わす機会はこれからも巡ってくるわけで、今晩限りの関係性となるのか、あるいは別の付き合い方になるのかは見通せなくても、いずれ知る機会があると凜花は判断を下していた。

 

「それで、それほどの有名な魔族まで自分の女にしてる貴方に対して、凜子ちゃんは自分だけの強みが欲しくてああなっちゃったわけだ」

 

「ナディアは別としても、メイアは元々領地持ちだからな。従者の立ち振る舞いには元々詳しいから、その辺りは丁寧に助言したみたい。俺と一緒に住むようになって、屋敷のことを統括できる従者を育てたい狙いもあったって言ってたな。そこに肉付けするような形で、不知火が家事全般や所作を徹底的に教え込んでいって……」

 

「凜子ちゃん、こうと決めたらとことんだから……熱心に取り組んで余所見しないから、身に着けるのも早いのよね」

 

「家のことは別に俺と不知火でやれるって言ってるんだけどね、メイアにすると家令や従者がいるのが『当たり前』だからって。まー、長年支配階級やってきてるからなんだろうけど。畑とか弄ってる時は絶対に近づいてこないしな」

 

 自前の作物を育てていると無心になれるし、育つのを見るのも楽しい。あとは食べても美味しいと屈託なく笑うリヴァイス。

 日本の文化に触れる中で米が大好きになったものの、魔界の土壌や水だと上手く育てられなくて、室内栽培に忍法を組み合わせて、屋外と似た生育環境が作れないか試しているであるとか。不知火の作る魚の煮付けが絶品で、真似してやろうと何度も自分で作るものの納得行く出来にならなくて、結局、得意とする洋食に逃げてしまうであったりと、そんな日常の生活を楽しそうに話す彼に、凜花も警戒しているのがどんどん馬鹿らしく思えてくる。

 

「ふふ、ほんと変な魔族なのね、貴方。本気で自家菜園やってるとか、闘争を主をする魔族の枠からどれだけ外れてるわけ?」

 

 凜花は座る位置を移動させて、リヴァイスに密着するように隣に腰掛ける。自分の柔らかな身体を意識させて、この後の主導権を少しでも自分に手繰り寄せるために。けれど、ふわりと彼の身体から漂う香りがどことなく甘く、身体の芯に熱が灯るような感覚に囚われそうになり──。

 

「悪い、酒を入れたことで臭いが強くなってたか」

 

 不意にその感覚が遠ざかる。まだ靄のかかる思考で彼の魔族としての魅了能力が漏れ出たと考えられたものの、その感覚にこのまま浸ってしまいたいと凜花は思い切って彼の胸へと顔を預けた。こちらを変に操ろうとはしないという彼への信用も、彼女の内に芽生えていたから。

 

「あっ……♪」

 

 戻ってくる。お腹の奥底に、女の芯の部分に、熱く、強く何かを求める感覚が。これが媚薬を飲まされたのに近しい身体の反応だと、凜花は気づきつつ、受け入れると決めていた。

 

「ふふっ……淫魔の力なんでしょ? 凜子ちゃんに聞いたわ、だから抑えようとしてる、貴方。でもね、私は今から貴方に抱かれるって決めてるのよ? だったら、私を興奮させたところで責任取ってくれればいいじゃない?」

 

 意識が吹き飛ぶほどのものではなく、どこか感覚に浸っていたいと思うぐらいの柔らかな刺激。疼き始めた身体に考えが少しずつまとまらなくなっていく過程を、凜花は体感し始めている。

 

「さっきも言ったけれど……素敵な夜を、ちょうだい?」

 

 それが合図となり、リヴァイスは凜花を抱え上げ、ベッドへと運んでいく。そっと凜花の身体を横たえた後、まずは手の指先や足の甲から、彼の唇が、手が自分の熱を伝えるように触れ始めた。

 

 キスの雨。指先を唇に含み、啄む。軽く手を重ねながら、優しくさするような動き。どこか擽ったいくらいの愛撫なのに、身体の熱は高まり、緊張していたはずの力が抜けていく。自分の口からこぼれ出る甘ったるい声に、自分がこんな声を出せるのだという小さな驚きを経て、その驚きごと熱に飲み込まれていくのだ。

 

「上手よ……貴方、力なんて使わなくても、私のもすごく身体が熱くなっていってる……あ、んっ……♪」

 

 対魔忍スーツの下から、押し上げるように硬さを増して存在を主張する乳首が擦れる。触れて欲しいと思うのに、彼の手はその周りを──凜子に負けず劣らずの大きな膨らみを宥めるように手を動かす。

 

「あっ、く、ぅ……」

 

 焦らされている。気持ち良さよりもじれったさが、もっと強い刺激を求める身体の悲鳴が凜花の感覚を焼いていく。

 

「んぐっ! んーっ! ん、あむっ、じゅる、んーっ、あむっ、はぁ……」

 

 衝動に従って、凜花は動く。身体を起こし自分からリヴァイスの唇に自分のそれを重ねて無理やり舌を捻じ込み、彼の手を胸の突端へと導く。歯が軽くぶつかったことも意に止めずに、凜花の積極的行動に応えたリヴァイスの舌の動きは、絡ませ方を凜花に教えるようなゆったりとした動きで、導かれた手も指で挟みこむこともなく、指の腹でそっと刺激を加えるだけ。それでも、望んだ刺激を自分から掴み取った凜花はその悦びに頭が短い時間ながら真っ白になる感覚を覚えていく。

 

「っ……! あ、い、いまの……?」

 

「うん、軽く達したんだよ、紫藤さんは。淫魔の力に最初から頼るのもどうかと思って切ったつもりだったんだけど、抑えきれてなかったのかな」

 

 俺のミスだという言い方をするリヴァイスだが、力の影響が及んでいるかぐらい感じ取れない凜花でもない。自分の意思で絶頂を得ようと動いた結果なのだ。自分が思った以上に興奮が高まっていることで、優しい刺激で登りつめてしまったのが予想外であっただけのこと。

 身体をリヴァイスに預けて、息を整える。その間、彼の手の動きは止まり、凜花をそっと抱き止める姿勢で支えるのみ。

 

 これは卑怯だ、そんな風に思う。男に女としてこうも大切に扱われていれば、身体ばかりか心も開いてしまうではないか。

 

「変なだけじゃなくて、狡い男なんだ。女の誑し込み方をよく知ってるのね?」

 

 息が落ち着いてきた凜花は、今度は啄むように触れるだけのキスを繰り返していく。自分から触れることで、今夜は唇も含めて自由にしていいのだと。彼の首に腕を回し、一緒にベッドのスプリングへと身体を投げ出して、抱き寄せたまま耳元で囁いてみせた。

 

「朝までは、凜花って呼べばいいわ。それ以降は、貴方の頑張り次第。ただ、私はそう安くはないわよ?」

 

 一度頷いたリヴァイスの手つきは優しさ一辺倒ではなくなり、凜花の胸を、秘部を、髪を、唇を、臀部を……反応を探りながら、動きを徐々に強弱を入り交えたものへと変わっていく。

 強がって余裕ぶってみたものの、彼に反撃するには凜花は男性への責め手も知らず、ズボンの中で大きさを増した彼の生殖器を撫でるのが精一杯。声を上げて、欲に蕩けていくのは凜花ばかりであった。

 

「一度大きく達したほうが、繋がる時もいらない力が抜けて楽になるから……俺に任せきるのは癪かもしれないけどさ」

 

 軽い絶頂の波に幾度か飲み込まれた凜花は、ふとひんやりとした空気を感じて、意識せぬ間にスーツの胸部がずらされ、豊かな膨らみと硬く張った突端が外気に晒されていると気づく。

 衣服の上からではなく直接肌を刺激されて、刺激を欲して焦れていた箇所に触れられて、また意識が白に染まる。スーツの上から大きなシミの形となりハッキリと確認出来るほどに、既に秘部からはとめどなく愛液が溢れ出て止まらない。

 リヴァイスの問い掛けにあえて答えないのが、凜花に出来るせめてもの抵抗だ。身体は彼の手だれに陥落していることに目を瞑りながら、簡単に屈していると認めるわけにはいかず、言の葉で敗北を安易に口にしてなるものかと、明らかに悦楽を感じている艶が多分に混じった嬌声を上げ続けながら、凜花は無謀な闘いを続けていた。

 

「触れるよ?」

 

 彼の手がとうとうズボン下の下腹部へと潜り込み、陰核を撫でて軽く摘んだのが、彼女の限界となった。

 

「おほぉぉぉぉぉぉぉお!?」

 

 激しく身を震わせ、全身を海老反りの姿勢で硬直させながら、白目を剥きながらの絶頂。身体が待ち侘びていた箇所への刺激は、大量の失禁と共に味わうこととなった。

 

「あ、あぁぁ、嘘、嘘よお、やぁ、止まっ、止まらない……」

 

 こぼれる声に嗚咽が重なる。オーガズム直後の放尿による原始的な気持ち良さに蕩けてしまっている自分と、止めたくても力が入らず成すがままに垂れ流すしかない惨めな自分。誰にも見られたくない情け無い姿を、初めて身体を重ねる男の前に晒している。

 

「いいんだよ、凜花。俺が刺激したんだから、凜花は悪くない。さあ、まずはシャワーを浴びよう。少しはスッキリするだろうから」

 

 自分にも掛かったことを気にするでもなく、リヴァイスは凜花を抱き上げて、備え付けのシャワー室へと向かう。凜花は大人しく彼の胸に顔を埋めて、表情を見せようとしない。両手が塞がっていても、そこは魔族の彼。水遁と風遁の合わせ技で寝台のクリーニングも進めてしまっていた。

 

「なんで、怒らないのよ。粋がってた癖にこんな体たらくなのに」

 

「ここが戦場なら、冷静さを奪うためにわざと煽ったりはする。ただ、今の凜花と俺は一緒に一夜を楽しもうとしている同志ってとこだろ。相手が落ち込んでいるのに、自分だけ楽しむって言うのなら一人でマスを掻いてろってな」

 

 急に粗雑な言い方になったリヴァイスに小さな驚きと共に思わず顔を上げる凜花だが、当の彼はどこかバツが悪そうにするのみ。シャワー室へ入ると凜花をユニットバスの縁に腰掛けさせて、風遁で乾かせばいいとリヴァイスは服の上からノズルから出た温かい湯を掛けていく。

 

「素はこっちなんだよ。立場柄取り繕った物言いはナディアやメイアに叩き込まれたから。そのナディアやメイアは今でこそ俺の女だけど、あの二人に引き取られた当時は俺も小さくてさ、それこそおねしょの始末とかまでしてもらってたんだぜ。向こうはずっと覚えてるわけでさ、恥ずかしさって意味じゃ俺も相当だろ?」

 

「あはは、なるほどね。どこか鼻に付く部分があったってそういうところだったわけ。ふふ、そっちのほうが『らしい』感じがするわよ」

 

 ここまで来れば、凜花も開き直るしかない。自分から濡れて脱ぎにくくなっていた対魔忍の装束を強引に剝がし、裸体をリヴァイスの前で披露する。

 

「ほら、貴方もさっさと脱ぐ。……なに? 私の身体が綺麗だから見てしまうのは仕方ないけれど、呆けてないでこのスーツを約束通り乾かしておいてちょうだいね?」

 

 実際、凜花の出る所は出て引き締まるところは引き締まっているメリハリのついた裸身に見惚れていたリヴァイスだったが、彼女の言葉に覚悟を決めるとどうにも自分以上に男前な行動を取る女性にどうにも縁があると思いつつ、彼も自分の纏っていた服を脱ぎ捨てていく。なお、脱いでる姿を見ている凜花の目の輝きが明らかに増していることに、濡れた服を脱ぐことに意識を向けていたため気づくことはなかった。

 

「!……!?」

 

 すごっ、私以上に鍛えてるっ。あぁ、あのお腹の割れ方とか、素敵よね? 元々の種族としての身体の頑強さに依存することなく、しっかり鍛え抜いているのね……。それに背中や肩に残る古傷の痕も、なんだろ、すごくサマになってない? 凜子ちゃん、なんで教えておいてくれなかったの! って、ええええ、あれが男の人、違う、男魔族のソレ!? 教材で見たオークほどの大きさじゃないだけで、形の凶悪さは同じじゃない! あれが今から私の中に、入る……の? 耳元でさっきみたいに甘い言葉を囁きながら、きっとゆっくりと押し広げられて……。

 

 ──凜花の心の揺れ動き方が、凜子の親友たるだけあるとまでは、リヴァイスが見通せるわけもなかったのである。




内心乙女系かもしれない凜花とのまぐわいは次話に続くのじゃ。
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