※この作品はR-18です。

幻影の魔族   作:オーク初心者

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(プレイしなくなってしまって、月日は流れ、設定だけ追っていましたが、RPGのママンはとうとう淫魔の女王になっておりますね)

(まぁ、元々独自設定の二次創作ですので、そういう目線でお楽しみください)

(というか二年ぶりの更新ですね、すいません生きてました)


悪だくみの時間のようです

 心地良い気怠さとお腹の中の鈍い痛みを感じながら、凜花は目を覚ました。正しくは、痛みを飲み込むような下腹部の疼きに身体が反応したからというべきだろうか。

 

「ふが、ふょはひょう(凜花、おはよう)……じゅる、じゅぱ……」

 

「あら、おはよう紫藤さん。ふぅ、随分と軽くなったわ。さ、リィズ。反対側のおっぱいもしっかり吸ってちょうだいね?」

 

 そして、凜花の瞳に飛び込んでくる光景は酷く奇妙で淫らなモノ。メイド服が板についている親友の凜子がリヴァイスのペニスを咥え込んで、熱心な口内奉仕に励んでいると思えば、そのリヴァイスは頭部ごと抱き寄せられた姿勢のまま、不知火の胸に吸い付いている……というか、半ば顔が埋まってしまっている。

 

 初夜の翌朝に関わらず、痛みや違和感よりも疼きが上回っているのは、性的に興奮しているリヴァイスから淫魔の力が滲み出ているからだと、凜花は靄がかかりそうになる頭を軽く振りながら、当たりをつけていた。昨晩で完全に覚えてしまった、あの甘くて身体に痺れが回るような香りだ。間違いはないだろう。

 

「えっと、これはどういう……」

 

「あら、昨晩は貴女がリィズを一人占めしたわけでしょう? 私や凜子ちゃんはお預けをされたようなものだもの。だから、朝から相手をしてもらっているのよ」

 

「あ、えっと、そ、その、昨日はごめんなさい……あう、うう……」

 

 反射的にお詫びの言葉を口にしたものの、昨晩の睦み事が脳裏に浮かんでしまって、頬が熱くなるのを自覚し、凜花は思わず両手で顔を覆い隠してしまう。あれだけ嫌憎の色を剥き出しにしながら、自分に噛み付いてきた昨日の彼女の様子は最早、身も形もない。

 そんな豹変ぶりに思わず、小さな笑みをこぼした不知火だったが、リヴァイスが自分の腕をしきりにタップしているのに気づく。強く抱き寄せていた腕の力を幾分弱めながら、凜花への返事を軽く済ませつつ、リヴァイスへと小さな不満を乗せた甘えた声色を発していた。

 

「ええ、お詫びの気持ちはこれからの貴女の働きで示してちょうだい。……で、リィズ? まだ重たいのだから、もっと吸って欲しいわ」

 

「息が出来ないぐらいに強く抱き寄せておいて、良く言うよ不知火。おっぱいで溺れ死にとか、別の意味で淫魔界で語り継がれることになってしまう」

 

 苦笑いしながら、奉仕を続ける凜子の髪をそっと撫でつつ、リヴァイスは大人しく(?)不知火の母乳を吸い出す作業に戻っていく。吸血の代替手段でかつ、常時母乳が出る体質の不知火にとっても、乳腺炎を防ぐために大切な行為と聞かされて、凜花は困惑の渦中に落ちていく。

 

 なにこれ。淫靡なはずなのに何だかとってもシュールなんだけど。私、何を見せられてるんだろう。

 

 凜花の心の呟きは誰にも伝わることなく、朝の空気に溶けていくしか無かったのだった。

 

 


 

 

「水城不知火さん。私の思い込みで、貴女の大切な方を侮辱するような失礼な発言の数々、大変申し訳ありませんでした」

 

「リィズが貴女を許し、自分の女にする以上は……私もその意思に従うだけよ。ただ、私が強い怒りを覚えたことは忘れないでちょうだい。年甲斐も無いと思うかもしれないけど、それだけリィズのことは本気なのよ」

 

 そんな妙な朝の光景が過ぎ去った後。昨晩と今朝の交わりの痕を洗い流すための浴室で、改めて凜花は深く頭を下げるお詫びの姿勢を示し、不知火が釘を刺しながらも謝罪を受け入れ、二人の遺恨はひとまず収束する流れとなった。リヴァイスが自分への侮辱はわりと頓着せず、自分の大切な人への無礼に怒る傾向が強く、不知火と凜花のやり取りは、リヴァイスの周りは不快に思っているという意思表示をする意味合いが込められている。

 

「凜花の物言いには私も相当カチンときていたからな。不知火さんが言いたいことは言ってくれたから、私からあえて言う必要は無かったが。あと、ナディア殿やメイア殿が聞いていたら、凜花とこうして話すことすら叶わなくなっていたからな……」

 

「ええ、本当に浅はかだったわ、私。凜子ちゃん、ごめんなさい。リヴァイスさんに寄り添って生きていきたいって気持ち、今の私はちゃんと分かるから」

 

「では、改めてヨロシクだな。凜花、頼りにしてるぞ」

 

 ともあれ、同じ男性に惹かれて囲い込むと決めた者同士、打ち解けるのも早い。寵愛を一人占めすれば、受け止めきれずに自分が潰れてしまう相手である以上、女性同士の緊密な連携は欠かせないものだという理解も早い。当のリヴァイスは相手側が満足しているならそれでいいという性質だが、女性側にも女としての矜持がある。惚れた、あるいは惚れ抜いた男を心身とも満足させることは、自分達の存在意義の肯定にも繋がっていた。

 

「不知火と凜花のわだかまりが解けたのはいいことだと思うけど、入浴中に話す必要はあった?」

 

「高坂さんともう一度顔を合わす前に、リィズの女となる紫藤さんにだけ耳に入れておいてほしいこともあるもの。それに、リィズの精の匂いを身体につけたまま、歩き回るわけにもいかないでしょ? こういう場所のほうが、少し対策するだけで音が外に漏れないから」

 

「昨晩は凜花に一人占めされてしまいましたし、早朝に乱入すると不知火さんと決めておりましたから」

 

 つまりはそういうことだった。昨晩は痛みを誤認させたものの、下腹部の鈍痛が残る凜花は見学に回ったものの、朝からしっかり寵愛を得た不知火や凜子にしても、残り香を匂わせたままというわけにもいかない。しっかりリヴァイスに身体を洗ってもらいつつ、女性三名は朝から妙な色艶を漂わせながらの入浴を済ませていく。

 

「へえ、凜子ちゃんはスキンケアのやつってあれ使ってるんだ。わりとシンプルなタイプなのね」

 

「ふふふ、実はご主人様に愛された効果のお陰だな。繰り返しご寵愛をいただくことで、肌にしても日々、内側から整えていただけるから、化粧水や乳液にしても多くの効用を求めなくていい。朝にせよ夜にせよ、手入れの時間も短くなってイイコト尽くしだぞ」

 

「美容液いらずよ、私も。淫魔の力って発情させるだけじゃなくて、吸い上げる獲物の精気をより美味に変えるのは知っていたけれど。こうして肌艶が毎日安定して調子が良いって、リィズのおかげね、ほんと」

 

「すごい……不知火さんの肌、以前の私よりみずみずしいし、ハリもツヤもいいです……」

 

「そういう貴女も、ほら」

 

「あれ? 嘘っ、私の肌、こんなに調子いいわけ……えっ、これがそういうことなんですか……!」

 

 虜囚の身であった凜花も、話題で出てきた凜子や基礎化粧品の話から、自分の身も変化にも気づく。囚われの身でケアが出来ていなかったはずなのに、肌の状態が一気に上向いていると。

 身体の内側から淫魔への良質な雌贄となるために、変化を促されているのだ。本来なら、そこに理性を溶かし尽くす常時発情状態に追い込まれているはずだが、リヴァイスが望まない以上、その効果は発動していない。

 

「私や凜子ちゃんは魔術で刻印を刻んでもらっているから、その分効果も高まっているわね。刻印の位置も自分で選ばせてくれるけれど……ね?」

 

「下腹部以外の選択肢などありませんから。ご主人様の夜伽を務めるメイドとしては当然のことです」

 

「別に腕や太ももの内側とか見えにくい場所でもいいのにさ。まあ、普段は自分の意思で見えなくするようには出来るし、あと、その、なんだ……月のモノが来ても痛みが和らぐと聞くとなあ……」

 

 淫魔の魔力はつまるところ身体と心を性交に常に適した状態にする力だ。下腹部への刻印──いわゆる『淫紋』はその効果を強める役割を果たすのだが、子宮の近くに淫紋を刻むことで、女性の例の周期が来た際にも性交に没頭するのには邪魔となりやすい痛みを自然と緩和してくれるという副効用があることに、不知火や凜子が気が付き、ナディアやメイアも飛びついたという話である。

 

「あ、凜花。一時的に刻んでもいいかな。痛みがずいぶんマシになると思うんだ」

 

「是非。というか、どうぞお願いしますっ」

 

「普段は見えないようにしているからね。対魔粒子が活性化すると反応してほんのり発光して見えるようになっちゃう点は注意だね」

 

 彼自体は意識しているわけではないが、理知的で情の深い淫魔の女になるというのは、女としては良いこと尽くしなのでは? え? 対魔忍に戻るメリットほぼ皆無じゃないこれ。入浴中に聞いた不知火さんの話だと、領地経営代行の収入に出稼ぎの傭兵稼業で生活基盤も問題なし。

 屋敷も広いからまだまだメイドは必要だと凜子ちゃんも話してたし……うーん、高坂先生には悪いけど、このまま警備員を兼ねたメイドとして囲ってもらうのが一番よね?

 

 え? あっすごいっ、もう痛みを感じなくなってる。というか、ほんのり温かい……もしかして、冷えの問題とかも気にしなくて良くなるやつじゃない。紳士な淫魔のグレイさん最高だわ……。

 

 そんな思考を回す凜花に対して、凜子は彼女を逃す気などさらさらないとばかりに、形から体制を整えようと動き始める。

 

「凜花の着替えだが、任務用スーツは別として、とりあえず私の予備のメイド服を用意するとしようか。……よろしいでしょうか、ご主人様」

 

「風遁で乾かしてあるけど……まあ、あの衣装のまま朝食というのもね」

 

「微調整はすぐに済ませてしまうわ、凜子ちゃんと紫藤さんの肩幅とかそこまで差は無いでしょうし。生地も持ち合わせてあるから」

 

 入浴後、バスローブを仮に羽織った凜花にメイド服を当てて、寸法の誤差を測り直したと思えば、淀みない動きで縫い直していく不知火の手捌きに、思わず見惚れたり拍手したりしてしまう若手三人の姿が見られたりしたが、それはそれとして。

 

「すごい……本格的なメイドさんだわ、私……。それになんだろう、身体に合っていてとても動きやすい……」

 

「私達の仕事着であり、ご主人様に仕える身であることを衣服から示す意味合いもある。これから毎日着るのだから違和感も消えるさ。肩回りの動きも引っかかることも一切なくて、動きやすさも重視されている。パンツタイプのペチコートもセットだから、突如戦闘になっても安心だぞ。凜花の場合は、格闘主体だから必須ともいえるな。今、私達が履いているストラップパンプスのヒールの高さも控えめだし、同じくローヒールタイプで、編み上げのショートブーツも用意されている」

 

 不知火の嗜好もあり、凜子や凜花が着用しているヴィクトリアン風メイド服は日によって少しでも気分を変えられるようにと、帽子タイプのモブキャップ、ヘッドドレスタイプのホワイトプリム、ジャボタイ等の小物も複数の色違いで用意されていたりする。肩口から足元近くまでを覆うロングエプロンについても、フリルが多めのもの、作業などの実用を重視したものなど、デザイン違いで何種か選べるようになっていた。

 

 加えて、フリルが多めのエプロンかつ、メイド服等の成分に対魔忍スーツにも使われている素材を混ぜ合わせているという、戦闘服としても使い回せる代物に仕上がっている。仕事着というには行き過ぎの感があるものとして仕上がった凜子達のメイド服であるが、シャボタイに合わせて使うブローチやブレスレットの宝石に、空遁の術の転用で、彼女達の得物がすぐに呼び出せるような細工まであるのだが、そこまでは今の凛花が知る由はない。

 

「『私達』ってナチュナルに私までメイド扱いなのね、凜子ちゃん? まぁ、それはそれで悪くないけど。仕え甲斐のあるご主人様ですし?」

 

「うむ。今はブーツは持ってきていないから、屋敷に戻ってから試し履きするといい。普段使いで黒系統のブーツがあればそれでもいいかもしれないが」

 

「あるといえばあるけど丈が長いから、メイド服には合わないかもね。こっそり取りに帰るというのも難しいだろうし、凜子ちゃんおすすめのブーツを試させてもらうとするわ」

 

「足形を取っておいて、ゾクトさん経由でオーダーメイドしてもらってもいいと思うわ。数足作ってもらうとしましょう」

 

 女性が三名集まりファッションについて盛り上がってしまえば、リヴァイスが入る余地はない。内容を聞いておいて、入り用になりそうな素材等を控えて、発注の用意をしておくぐらいのものである。その辺りはナディアやメイアとの付き合いも長く、十分に心得ていた。 

 

「タイツにまで任務用スーツと同じ素材が使われているって……なんというか、ものすごく贅沢な気が。加工も難しいと聞きますし……あれ? 不知火さん、さっき縫い直してましたよね?」

 

「まぁ、100%スーツと同じ素材というわけでもないから。ただ、裁断用ハサミや針や糸も特別製ね、一応。市販品だと生地に負けちゃうもの」

 

 凜花の困惑も無理はない。が、それは凜花に向けて苦笑いしているリヴァイスが既に通り過ぎた過去であり、不知火や凜子はオシャレと安全の両立には不可欠だと平然としている。

 

「あと、この衣服だが。ご主人様の防御魔術だったか、そういうものも組み込まれていてな、戦闘服としても実は優秀だったりするぞ」

 

 凝り性のリヴァイスを普段は止める役割の不知火が、好きな裁縫関連で自分からはっちゃけるとどうなるかという結果が、二人の服装に存分に反映されている。つまりはそういうことだった。

 

「屋敷に戻ったら、凜花ちゃん専用のメイド服もすぐに仕立てますからね。凜子ちゃんの専用服でもこれだけ似合っているんだもの。ふふふ、腕が鳴るわ~♪」

 

 


 

 

「ん~、キングダムでこうやって和の朝食を楽しめるなんて。なんだか不思議よね」

 

「調味料一式を持ち込んでるとは、流石に思わなかったよ。グレイさん、すごい和食嗜好なんだな」

 

「朝は味噌汁を飲みたいんだよ。まぁ、不知火と暮らし始めてから、完全に習慣になってる」

 

「お母さんもずっと『朝は和食!』だよね。家は完全な洋館なのに、違和感を感じた時期もあったもん」

 

 リヴァイス、不知火、メイド二名四人で手分けをすれば、持ち込んだ食材をもとに朝食の準備を進めるのも手際良く進むというものである。凛花も修練を積んだ凜子ほどではないにせよ、作業を分担して進める程度は問題ないぐらいの嗜みがあった。

 そして、そのまま朝食の時間と洒落込むこととなったのだが、寝ている間に、生徒が魔族の男になる誓いを立てていたことを知った『花の対魔忍』こと静流は絶望をさらに煮詰めたような顔をしながら、それでも朝食をしっかりと味わっていた。

 また、不知火やゆきかぜの自宅の話も出てきたため、リヴァイス達が墓参りに行く際に泊まる等といった話にまで展開して、彼女の表情は殊更暗くなる一方である。不知火お手製の作務衣姿のリヴァイスと不知火に、うきうきとした表情でメイド服に身を包んでいる凜子や凜花を見れば、ため息の数はひたすらに増えるばかりであった。

 

「そちらの希望通り、通信は送りましたよ、確かに。『行方不明となっていたゆきかぜちゃん、凜子ちゃんと、独断先行した達郎くんを発見。潜伏先近郊の協力者にて保護されていたが、身体や精神異常を生じており、協力依頼の上、一ヶ月を目安として治療を継続中。最低でも週に一度は通信にて報告を行う』……電波状況悪い振りして、強引に押し切りましたからね?」

 

「助かります。こちらからも伝手を使ってフォローしましたので。貴方の力で、良質なアロマオイルを作れそうな植物の種も頂けましたし、しっかりお礼はさせてもらいますよ」

 

「貴方と伝手が出来たのが唯一の成果と思います。お互いに益のある関係にしたいですね。というか、お願いします、してくださいね……紫藤さんまで帰るつもりが無いなんて、本当に勘弁してください……」

 

 ゆきかぜや凜子の治療が絡んでいる、リヴァイス宅への滞在延長は彼の力を警戒しつつも、朝からずっと瞳から光を失っている静流の判断(?)により難なくまとまった。定例通信については週に一度で押し切ったお陰で、リヴァイス達の本拠地から半日もあればヨミハラやキングダムとの往復は可能であり対応も可能だ。なお緊急性があれば九郎隊とゼキナの伝手も活用し、数時間の遅れは出るものの、本拠にいても連絡は取れる手はずは整えている。

 なお、九郎隊で通信対応したのは先日、温泉街で会った副隊長格だったため、話自体はスムーズに進み、リヴァイスへの貸し一回で手打ちにするというお話になったのは余談であろう。

 

「今回のことも考えると出来るだけ早く、魔界にいても直接人間界と連絡が取れる常設の通信手段を用意しないとなぁ……」

 

 眷属同士の念話による通信ならばゲート越えも可能だが、そのために不知火と離れ離れなど真っ平である。ナディアやメイアの治める土地の代官業務を考えると、本拠を人間界と行き来するゲートの近くへ移すわけにも行かなかった。むしろ、代官業務をフォローする秘書としても不知火は既に欠かせない状態であり……。

 

「ナディアやメイアは君臨すれど統治せず、だし。俺がいなくても回るように制度を整えるにしても、馴染ませるには段階的にやらないと駄目だし、そう考えると百年単位で考える必要はあるしなあ……」

 

 目の前で思考の脱線をされても困ってしまう静流であるが、どう聞いても呟いている内容が洒落にならない内容に聞こえてくる。領地持ちである支配階級で、著名な魔族達の代官を務める若手の実力者。むしろ友好な関係性を維持する以外の選択肢が無いと感じるのだが、自分の所属する組織の『魔族・即・攻撃!(ただし、倒せるとは言っていない)』を地で行く脳筋思考に眩暈がしてくる。

 

「あっ、申し訳ありません。どうも考え出すと話が逸れてしまっていけませんね。お互いに思い悩むことは尽きないようで、あはは……」

 

「いえ、ひとえに組織運営といっても、私の場合は幹部の立場というわけではありませんし」

 

 個人的に好感触なのが、過剰に性衝動を誘発させる豊満すぎる乳房とお尻が静流自身の悩みの種なのだが、その身体にまとわりつき舐め尽くすような性的視線をあまり感じないことだ。自分の胸付近へ目が向く時が全く無いわけでもないし、視線を極力口元のあたりに固定しようとしている様子が見られて、こちらの性的魅力は認識しつつ、不快感を感じさせないように務めている様子が微笑ましく感じたのだ。加えて──。

 

 ぎゅぅっ。

 

「いづっ」

 

 彼が自分と話す時にはたいてい『あの』水城先生が彼の傍にいて、彼の視線がこちらの胸のあたりへと向く度に、お仕置きとばかりにお尻を力いっぱい摘み上げるものだから、かつての恩師の嫉妬深い一面であるとか、女として自分を脅威に感じているという、ちょっとした優越感を感じて、何とも悪くはない時間であったのだ。

 

 それからほどなく、最近頻繁に利用している感のあるワイバーンで彼らの本拠へと移動する行程を経て、本当に畑を耕している様子を見たり、あのナディアやメイアがリヴァイスと仲睦まじくしている場面にも遭遇し、少なくとも個人的にでも友好的関係を堅持しようと、静流は心に誓っていた。

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