※この作品はR-18です。

幻影の魔族   作:オーク初心者

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自然回復教ですが、何とかスキルの書が取れたので初投稿です。

……ちかれたよ、不知火ママーン!(レッツダイブ)
なおスキルの書はイベゆきかぜSLv1に与えられる予定。


即堕ちくっコロの見本とは

「あ、んんっ、やだ、これ美味しい! お母さんの味つけそっくり!」

 

「俺の和食の先生は不知火だからね、優秀な先生だもの。あと、味つけも俺好みだったから、そのまま覚えるようにしたんだ」

 

「ふふ、教え甲斐のある生徒さんだもの。今度は二人で作りましょうか。ゆきかぜにどちらが作ったのか当ててもらうのもいいかもね?」

 

 調子が戻ってきたゆきかぜがどこか艶混じりの感嘆したような声を上げれば、リヴァイスが不知火を持ち上げ、不知火も軽口で返す余裕を取り戻している。

 

「くっ、これはっ! しかし負けるわけには、でも美味しいと認めるしか……くぅ、これは女として危機感を覚えてしまうな……」

 

「私は諦めたクチね。そのかわり、私が経済面を担えば問題ないと割り切ることにしたわ」

 

「お味噌汁慣れると毎日飲みたくなる……巡業出るのやめようかなあ。里芋の煮っころがし美味しい……」

 

 一方、真剣に唸る凜子に白旗を既に上げているメイア。そして、少しはズレた感覚のナディアである。ちなみに、魔界の娯楽が一つなくなるかなくならないかの瀬戸際にあることに気づく者は不幸なことにこの場にはいなかった。

 なお、料理の基礎はナディアがリヴァイスに教えた内容であり、巡業の多さからキッチンに立つ回数が減っているだけで、元々彼女は出来る側の女性である。

 

「ふーっ、食べた食べたぁ! ご馳走さまぁ!」

 

「ご馳走さまです。いや、ついつい食べ過ぎてしまったか」

 

 元々運動量の多いゆきかぜに、厳しい自己鍛錬が常の凜子である。大皿料理も順調に消化していき、しっかり食べるリヴァイスと合わせてお残しもなくテーブルの上の料理は片付いていた。

 

「おまけに食後のお茶が緑茶か焙じ茶って、ほんとにグレイさんって魔族なの……?」

 

「ほら、尻尾や角も出るよ。普段は引っ込めてるけど」

 

「自宅でのリィズは作務衣や甚平を着てることも多いのよ?」

 

「髪色が黒だったら日本人と言われても普通に信じてしまうかもしれない……」

 

「日本かぶれなのは否定できないかな。温泉とか大好きだし。えっと、これでどうかな?」

 

「幻影陣の何という無駄使い! でも、これはハーフっぽい感じかも」

 

「髪色だけ変えるとか器用なのだな、グレイ殿は」

 

 はてさて落ち着いてくれば、母親と再会させてくれた恩人の関係がどうにもキナ臭い。母のこの五年間もかいつまんで聞いたが、自分も経験した凌辱生活を数年間も受けて、さらに父の死を知らされ、絶望と共に半ば魔の手先へと堕ちかけていた。そのギリギリで救い出した、母にとっての恩人がリヴァイスである。

 

 食事の途中だってそうだ。声も掛け合っていないのに目を合わせるだけで、醤油や小皿などをすっと差し出したり、それもどちらかが一方じゃなくて、両方ともそれが出来ている。そのお礼の伝え方にしたって短い言葉や目配せになっていて、受ける方も笑みを浮かべるような感じのために、普段からこの二人はこんなやり取りをしているのが分かってしまう。さらに、軽口を叩き合ったりもしているのに相手を落とすような発言は一つもなく、互いを尊重しているのが傍から見て伝わってくるのだ。

 

 あの母の目は、父に向けていた目と一緒だ。いや、その目に強く熱が上乗せされているのが正しい──ゆきかぜだからこそ、実の娘だからこそ悟ってしまう。母は、あの若き魔族に強く惹かれている。そして、相手も恐らくは同じような感情を持っているのだと。

 

 ゆきかぜからすれば複雑なものだ。父を失った母は確かに新たな男を見つけてもおかしくないし、あの凄惨な凌辱の日々が数年間も続いていたことを思えば、そこから掬い上げ、日常生活を送れるまでに支えとなったリヴァイスに敬愛を抱くこともあり得るだろう。だけど、納得が行くかは別の話で。

 

 今だって髪色を変えるために写し取られた幻影陣を彼が使用しても、母が顔色一つ変えないし、どこか表情の奥で喜んでいる節すら感じられるのだ。ゆきかぜは理屈じゃない苛立ちや危機感を覚えて、それがどうにも押さえられなくなりつつあった。

 

「あ、ぐっ、はぁ……はぁ……」

 

 結果、強い感情に引き摺られるようにあの発情が帰ってくる。

 

 全てを色欲で塗り潰す、男のペニスが、ザーメンが欲しい、それしか考えられなくなる、身体と脳に刻み込まれた奴隷娼婦としてのゆきかぜに引き戻されていく。

 

 不知火と同様、脳幹に取り付けられた、性的調教に否定的な感情を抱けば頭を抱えて暴れてしまうほどの激痛が走るチップの影響で、ゆきかぜの思考はいかに男の性器に貫かれるために、自分を正当化するか、歪んだものに捻じ曲げられていた。

 リヴァイスはメイアの血流スキャンの結果、ゆきかぜや凜子の脳幹付近に血液の流れが澱む腫瘍らしき反応があると調理中に報告を受けており、腫瘍の正体に検討をつけている。だが、無効化するにも摘出するにも、この場から救出し当面の安全を確保してからだと、自分に言い聞かせていたのだが……。

 

「ゆきかぜ?」

 

「これは……!」

 

「どうやら衝動が戻ってきてしまったようね、これは」

 

 母の心配そうな声も、凜子の声が一気に厳しさを増したのも、メイアの指摘も内なる衝動にかき消されて、何を言っているのか分からない。ただそれでも、リヴァイスへの八つ当たりに似た怒りは消えたわけではなく、脳が沸き立ったゆきかぜは浅はかな選択肢を選んでしまう。

 

「しょ、しょ……」

 

「醤油?」

 

「ちっがーうっ! ボケて欲しいわけじゃないわよ! 勝負よ、私をこれから抱きなさい!」

 

 突然荒れ出して突拍子も無いことを言い出すゆきかぜに、皆が制止をするがそんなもので彼女が止まるわけも無く、一気にリヴァイスへと詰め寄っていく。

 

「なぜ、水城さんを抱くことが勝負になるのさ」

 

「私の身体に溺れたらアンタの負け! 私がアンタに屈服したらアンタの勝ち! 負けたらお母さんを返してもらうわ! もしアンタが勝ったら、私はアンタの女なり眷属なり好きなように扱えばいい! ここから脱出する手助けをしてくれることには感謝するけど、お母さんのことは別よっ!!!」

 

 勝負に勝とうが負けようが男のチンポに犯してもらえることに変わりは無い。そんな昏い悦びにゆきかぜは舌なめずりすらしてみせるのだった。理屈が半ば破綻している、そんな不合理にも気づけない。それが彼女の洗脳が進んでしまっている証明にもなってしまっている。

 

「ゆきかぜ!」

 

「どうしたの凜子先輩、私は今の本分を思い出しただけだよ。私達は奴隷娼婦なんだもの。魔族の男一人、満足させるなんてワケないでしょ?」

 

 ぐにゅん、きゅっ。なぜ、自分の味方であるはずの凜子が裏切るような発言をするのか。許せない、そんな感情から、ゆきかぜは言うが早いか凜子のおっぱいをおもむろにつかみ、さらにツンと尖っている乳首をつまみ捻り上げる。

 

「ひゃっ、ぁぁぁぁあんんんんっ!」

 

「ほら、こんなに凜子先輩ももう敏感になってる。食欲が満たされたら、次は性欲だよね?」

 

 突如齎された軽いアクメにゆきかぜの匂い立つような淫臭に当てられ、凜子は腰が砕けてその場に座り込んでしまう。

 

「どうせ弱ったお母さんに優しくして、強く否定できない状態なのをいいことに付け込んだんでしょう? でも私はそうはいかない。骨抜きにしてあげるんだからっ! 凜子先輩、一緒にこの男を吸い尽くしてやりましょう?」

 

「ゆきかぜっ!」

 

「大丈夫だよお母さん。私達はまた一緒に暮らせる。あとは任せておいてよ、あははっ!」

 

 性格が入れ替わり豹変したかの態度を見せるゆきかぜに、悲痛な声を上げてしまう不知火に、急激に呼び戻された衝動を強く自身を抱き締めることで堪える凜子。その前に表情を無に変えたリヴァイスが立つ。

 

「俺を憎むのは勝手だ。君にはその権利もある。が、大切な人を穢すようなことはするなよ。自分が惨めになるだけだ」

 

 次の瞬間、ゆきかぜは荒縄でぐるぐる巻きになった格好でボールギャグをかまされたあげく、床に投げ出されている自分を認識する羽目になった。

 

「ん、むぐぅ!?」

 

 こんな早さでこちらを拘束など出来るはずが無く、幻影陣の効果だと察するものの、今の自分は海老のように床で跳ねることしかできない。ならば、いっそ──。

 

「一つ言っておくけど、雷遁の術とかで縄を焼き切ろうとすると、身体全体に電流が流れて発動を阻害するからね。大人しくすることだ」

 

「ふぐぅぅぅぅぅ!?」

 

 容易な選択肢は自らの醜態を晒す結果となる。全身発情状態となっているゆきかぜにとって、程よい電流の刺激は全身をくまなく愛撫されるのに等しい。

 チョロ、チョロ……。躾けられた身体は望んでもいないのに、失禁アクメをしっかり決めてしまうのだった。

 

「不知火。まずは秋山さんが先だ。いいね」

 

「……はい、リヴァイス様」

 

 娘が全身を細かく震わせて無残な姿を晒している。幻影の影響下にあるだけで、ゆきかぜは実際には拘束などされていないが、ぐるぐる巻きになったあげく、口枷をされていると認識していると分かるには容易なことだった。自分とてそういう忌々しい思いの経験者だ。経験があるからこそ、ゆきかぜもリヴァイスの拘束を想起させる幻影にあれだけ見事にハマってしまっている。

 そして自分も新たな主の命には逆らえない。いや、逆らう気が起こらないのだ。返事すら自然に畏まったものへと変わる。彼に命令されること自体が、不知火の甘い疼きすら呼び起こす。さらに言うならば、自分の主は理不尽な命を下す男ではないという強い信頼もある。

 

『不知火はそのまま、娘さんのフォローをしてやってくれ。それと……俺は今から不知火の娘とその大切な友人を抱く。こうなってしまえば、子宮に精を浴びないと収まらないはずだ。恨んでくれてもいいよ、すまない、不知火』

 

 指示の直後に伝わる念話の声は苦渋の色が滲み出ていた。ああ、リィズはやはり自分を捧げるに値する愛しい主、愛する男だと不知火は再認識する。覚悟をしていても、娘の変貌ぶりに動揺を隠せない自分を叱ることなく、こうして気遣ってくれる主がどこにいるものか。まして、眷属として繋がりが出来たからこそ、彼の言葉と心情に嘘偽りが無いことが念話から伝わってきて、不知火は自分の迷いを振り払らんと左右に首を振る。

 自分を救出するためという理由はあれど、この纏の任務に志願した時点で娘たちなりの覚悟を決めていたはずだ。親として辛い目に遭っている姿を見せつけられるのは予想できていたことではないか。

 

 しっかりしなさい、不知火! いつまでリィズの重荷になるつもりなの!

 

 自らを心の内で強く叱咤激励しながら、不知火は力強く想いを込めて、返事を返す。眷属でありながら殆ど眷属扱いをせず、パートナーとして接してくれる親愛なる主へ。

 

『恨むなどあり得ないわ、リィズ。ゆきかぜも含めて、軽率な判断であれ彼女達が選んだ任務よ。リィズ、貴方が気に病み過ぎる必要は無いし、それに』

 

 ──貴方ならば、セックスは本来、憂いなく心と身体も気持ち良くなれる、素敵なひと時なのだと感じさせてあげられるでしょう?

 

 愛する男を後押ししてみせた不知火は信じている。私の主は自分にとって最高の男であり、かつ、まだまだ発展途上でこれからも自分をさらに魅了し、また多くの女性を虜にして止まないだろうと。

 狭量な女になるつもりはなく、また変な男に捕まるぐらいならという母としての計算もある。どうにも直情型のまま育ってしまった娘に、武人として全てに正々堂々を貫くあまりに搦め手に脆すぎる娘に等しい存在。達郎が理想通りに育っていれば娘を任せられる可能性はあったが、いま娘がこうして娼婦に身を落としているということは、今の達郎の現状を示してもいた。

 

『ただ、貴方の正妻の座はナディアさんであろうとメイアさんであろうと、譲るつもりは一切ありませんからね』

 

『うん、これからも俺を夢中にさせてね、不知火』

 

 こんな嬉しい言葉をかけてくれるのだ、女冥利に尽きるではないか。気を入れ直した不知火は簀巻き状態と思い込まされているゆきかぜを助け起こし、それでも幻影は解くことなく、彼女の粗相の始末を優しく行うのだった。

 

「お母さん、どうしてよ……!」

 

「いい加減になさい、ゆきかぜ。人であろうと魔であろうと、貴女を助けようと手を伸ばした相手に、貴女は唾を吐きかけるような行動をしたの。私がリィズの女であるのかどうか、それとは全く違う話よ」

 

 それは対魔忍、不知火としての顔だった。今まで憧れ続けている母であり先達としての彼女。

 

「ゆきかぜが今のような矛盾だらけの行動に出るのも、感覚的に理解は出来るのよ。身体の内を走り回る、狂おしいほどの性衝動に身をただ焼かれるのではなく、うまく乗りこなし手綱を取れなければ、本当に奴隷娼婦に身を堕とすだけ。一度覚悟を決めたのなら、自分を容易く見失ってはならない。……私も未だに難しく向き合い続けているけれど、一つはっきりしているのは、自分が自分であるための何かをしっかり持って、そのことを決して忘れないこと──」

 

「お母さんにとって、それは何なの?」

 

 身を焼く衝動は消えない。それでも実の母に教えを請えるまたとない機会をゆきかぜは必死につかもうと足掻く。

 

「あなたよ、ゆきかぜ。リィズに救い出されるあの時まで、壊れかけてもまだ私が私でいられたのは、あなたの存在があったからよ」

 

 そして、ゆきかぜは母の腕の中でまた、歓喜の涙を流す。一方、凜子にも救いの手は差し伸べられつつあった。

 

「水城さんはしばらく不知火に任せておけばいいが……秋山さんはそろそろ限界だろう。怒っても恨んでもいい、ただ、それでも俺は君を抱くよ」

 

「あ、ああ、すまない、もう、もう耐えられそうに、ない」

 

 思考すらままならないほど、既に全身が性感帯のように過敏になっている凜子をリヴァイスは静かに丁寧に抱き上げる。その所作の丁寧さに凜子は思わず熱い吐息を吐いた。

 

「あ、ふぅ、ふぅ……ふふっ、こんな風に扱われるなど、初めてかも、しれん。グレイ殿、貴方は本当に紳士なのだな」

 

「内側には獣を買っているけどね。さて、抱く間は呼び方を変えるから、そのつもりで」

 

「あ、ぁぁ、本当だあ、もうケモノの目つきだあ……♪ その獣欲を普段は内に鎮めているのだな♪」

 

 それなのに手つきは優しく、ベッドへの横たえ方も自分への配慮が感じられて、まるで自分が今から男娼を相手取るような錯覚に駆られる。

 

「さて、凜子。今だけはお前の望むように抱いてやれる。どんな風に抱かれたい?」

 

「私の、望み?」

 

「俺が考える本物のセックスってさ、やり方はいろいろあっても、互いにものすごく気持ち良くて幸せな気持ちで心も身体も蕩けて、その後にゆっくりと熱の余韻が覚めた後に疲労感の中にも活力が湧いてくる、そういうものだと信じている。実際にそういう経験もありがたいことにさせてもらってきた」

 

「分からない、今は考えがもうまとまらない、んだ……ただ、つらくて」

 

「分かった、ではまず俺のやり方で始めてみよう。ただ、もしやり方が受け付けないと思えば『劇の終わり』と伝えてくれ。それが制止のキーワードだよ」

 

 本来はSMプレイなどに互いに役に入り込んでしまって、本気で止めて欲しい時の意思を伝えられないのを防ぐため、取り決めをするのだとリヴァイスは口にする。

 彼が隣に身を横たえながら、膝までほどの長い髪を丁寧に手で梳く仕草を繰り返すだけで、全身が性感帯に近い凜子は軽いオルガズムの波に包まれていた。

 

「分かったぁ、あぁ、髪優しく撫でられるだけで、私もうアクメ頂いてしまってるぅ♪」

 

 奴隷娼婦として徹底的に仕込まれた躾が、勝手に凜子の口から既に絶頂の波に襲われていることを告げる。続けて口づけの雨が、髪に、額に、頰に、首に、肩に、背中に、腕に、足に降り注いでいく。

 

「ひゃあ、ぁああ、宝物みたいに扱ってもらってるぅ、キスの雨でメスイキ止まらないのぉぉ……! しょ、しょれにい、指と指を絡め合って、手を繋いでるぅ、これぇ、これぇ!」

 

「今だけは凜子は俺の恋人だ。嫌なら振り払えばいいからな?」

 

 恋人繋ぎで一方の手を重ね合い、もう一方の手や指で触れるか触れないかぐらいの柔らかな刺激を胸や臀部、下腹部以外に与えられながら、耳元で囁く熱のこもった声。

 

「ううん、ぃまは、今だけはあなたがわたしの恋人だぁ♪ こんなぁ、こんな優しい触れ方が、あなたの愛し方なんだぁ♪」

 

 軽めとはいえ波が引かないオーガズムの連続にも少し慣れが出て、たどたどしいながらも思いを口にする凜子は、自分からリヴァイスの唇を奪い、激しく舌を差し入れていく。

 

 もっと、もっと私の身体と心に、あなたの愛し方を教えてくれ──。

 

 調教や肉体改造、性衝動や性的刺激を全肯定するように意識変革の洗脳により、無意識に男性を欲するように書き換えられた凜子ではあるが、生理的な嫌悪感が打ち消されたわけではなかった。自分を商品や娼婦の器としてしか見ず、凜子という個に対しては上書きして自分たちの都合のいい人格を植え付けようとしかしていない。自分を消し去ろうということに躍起な連中への嫌悪や憎悪が全て悦楽への衝動で塗り潰され、彼らにとって都合のいい娼婦として完成するには、この生活をまだ当分続ける必要があっただろう。

 

 弱っている心に染み入る蟲毒のようなものだと、凜子とて感じている。それでも、今は目の前の男の優しさにすがり、溺れたかった。

 

「はむぅ、じゅる、ぶちゅ、じゅ、あむ……んんっ、べろ、んぅーっ」

 

 リヴァイスは決して、超絶的な技巧を持っているわけではない。ただ、結果として、高級娼婦として完成していた不知火に日々鍛えられることにより、女性の弱点やして欲しいことを探るための感受性に対して、徹底的に磨き上げられている。そして、超絶的なものではないだけで、彼は女性を愛する技術としても高いレベルを得るに至っていた。

 まして、毎日不知火と身体を重ねる日々は今も続いている。その度に、不知火はリヴァイスをさらにいい男として磨き上げるべく夜の教導を行っているのだ。

 

「はぁ、はぁ……私のキスの味はお気に召しただろうか?」

 

「うん、凜子の熱を感じられて、とても心地良い。だから、もう一度……」

 

 空いた腕をリヴァイスの首に回して、もう一方の手は指を絡め合ったまま、自分から再度凜子はキスを求めていく。口内のポイントを押さえられてしまったからか、不定期にベッドに伸ばしたままの両足をピンと硬直させ、指を丸めながら、オーガズムの波に勢い良く飲まれているものの、喜んで受け入れている自分がいる。

 鼻だけでは必要な空気を取り込め切れずに、時折、唇を離して荒い息を吐いても、熱のこもった瞳が自分を真っ直ぐに見てくれている。娼婦としてではなく、凜子そのものを求めている。そう思えてしまえば女の最奥が蠢き、一刻も早い挿入を待ち望むようにすとんっ、と降りてきてしまう。

 

「凜子?」

 

 彼とて燃え滾るような欲望の熱が内側で唸りを上げているだろうに、掛けられる声は気遣いに満ちていて。

 

「大丈夫、大丈夫だから、でもぉ、切ない、切ないんだぁ……」

 

 自分から下腹部へ直結するファスナーを下ろして、女陰ごと指で押し開く。こぷりと、粘り気の強い分泌液が溢れ出た。

 

「どうしたらいい、凜子? 教えて、俺に」

 

「口づけしながら、口づけしながら貫いてくれ……あなたの熱を中でも感じたいし、キスもまだ足りないんだ……」

 

 望みがあふれ出るように言葉として紡がれる。リヴァイスは微笑みながら頷いて、分かったと応えるのだった。

 

「愛するよ、凜子。お前だけを今は、見てる」

 

 唇が重なり、そして、ズボンから取り出された剛直が少しずつ凜子の中へと埋め込まれていく。

 

「ふ、ふぐぅぅぅうううっ!?」

 

 愛されている。刹那のひと時であろうと、目の前の男が全力で自分を愛そうとしてくれている。まだ先端を受け入れただけなのに、全身は激しく痙攣し、頭は白い稲光が瞬き続けて、もうマトモな思考すら出来ない。思わず、唇を離すものの、息継ぎすらままならない。

 

「凜子、息を整えて。ゆっくりと吸って、そう、またゆっくりと吐いて……身体が過敏になり過ぎているんだ。だから、自分の身体を少し落ち着けてあげよう。求めるものはもう君の内側で脈打っているだろう? 焦らなくていいんだ。大丈夫、俺はどこにも行かないから」

 

 癒しの魔力が温かさとなって、凜子の身体を包み込んでいく。その力を借りて何とか脱力を果たし息を整えるその間に、少しずつ進んでくる脈打つ男の熱を感じ取り、肉壁は懸命にメスの本気汁を吹き掛け、締め付けと絡みつきを休むことなく行って、逃してなるものかと必死に蠢いていた。

 

「はぁ、ぁぁぁぁあ……。ああ分かる、あなたが、私の中で逞しく力強く脈打っているのが……。私の身体で気持ち良くなってくれているのだな……」

 

 これだけ熱を持ち、硬くそそり立っているのならば、早く精を吐き出さんとばかりに我慢できずに腰を振ったところで、自分もその激しさに溺れる形で彼を受け止めるというのに。

 最初の宣言通りに凜子本位のセックスを貫く姿勢に、心が自然と解きほぐされていくのを彼女は自覚する。

 

「もうすぐ奥まで届く。そこでもう一度落ち着こうな」

 

 心が男に向かって開けば、身体もより深く男を受け入れ、感じ入る気持ち良さを大きなものにしいく。繋がってるだけなのに、粗相をしてしまったかのように凜子は粘度の高まった本気汁を吐き出し続けていた。

 ……こつん。そして、リヴァイスの亀頭が子宮の入口にたどり着いた時、凜子の意識は彼方へと押し流される。

 

「おほぅぅぅうううううううぅぅぅうぅっっ!!!」

 

 白目を向き、全身を痙攣させて、ただただ激しいオーガズムに狂い叫びながら、必死にリヴァイスと重ねた手に縋るしかない。波が引くどころか、高波が次から次へと襲い掛かり、彼の腰にしがみつかせた両足の踏ん張りが無ければそのまま失神したと確信できるほどに。

 

「しゅ、しゅごいぃぃぃ……軽く子作り部屋をノックされただけなのにぃぃ、ぶっ飛び白目アクメ頂いちゃいましたぁ……」

 

「うん、凜子の中、とても強い締め付けなのに、すごく滑りも良いし、俺のモノ全体が熱心にちゅうちゅう吸い付かれてるんだ。気を抜くとすぐに出てしまいそうだよ」

 

「きに、きにしにゃいで、びゃしていい、のに……」

 

「蹂躙するようなセックスをするために凜子を抱いたわけじゃないから。それにこうして繋がってるだけでものすごく気持ちいいんだよ?」

 

 労わるように額への触れるだけのソフトキス。続けて、頰に、唇に。両手を繋げているから、手で撫でる代わりにキスで示されている。自分が大切な一人の女として扱われていることに、心が震えて反応を示し、苛烈な調教や娼婦としての生活にひび割れ、壊れかけていた自分が少しずつ傷を塞ぎ、秋山凜子という自意識がゆっくりと力を取り戻そうとしている。

 

「あなたは……グレイは、悪い男だ。弱った女をこんなに優しく抱いてしまえば、あなたに寄りかかってしまうに決まっているではないか。私を穢してきた調教師や薄汚い欲望を赤裸々にしている客どもと違って、キスも愛撫も上手とくれば、こんな甘い毒に抗えるわけないだろう……?」

 

「そうだね、実際に俺はこうして凜子を抱いて、俺自身もいい思いをしてるわけだし。決していい人、いや、魔族では無いだろうさ」

 

「だが、その程よい俗っぽさが今の私には救いになる。大丈夫、随分と落ち着いてきた。少し体勢を変えたいが、いいか?」

 

 さて、感度が最高潮に高まった状態で、心が開いたところに最奥を一押しされたことで、深いオーガズムを得た凜子は発情も衝動も随分と落ち着きを取り戻したものの、子宮全体にじれったいほどの疼きが広がっているのも自覚できており、最終的には吐精を思い切り子宮か直腸、いや、いっそ両方で浴びない限り、本当の意味で平静に戻れないことは分かっていた。

 視界の隅で見える、あれだけ怒りと娼婦としての仄暗い衝動に飲まれていた可愛い後輩は、共に調教を受けていた時に知っていたはずの自分が乱れる姿とのあまりの違いに、唖然とすらしてしまっていた。何があの連中のやり方と違うのか──分かりやすいほどに、瞳が雄弁に語っているではないか。

 

「ああ、ありがとう。うん、繋がったままでいいから、今度はあなたが仰向けに横になってくれ」

 

 凜子は心の内で口には出すことなく独白する、ゆきかぜに向かって。

 

 ゆきかぜ、私達は確かに苛烈で忌々しいあの肉体改造や調教、洗脳じみた意識の変革によって、男性の性欲を受け止めることに嫌悪感を感じることはなくなり、むしろ悦びを感じ望んで受け入れるように作り変えられてしまった。それでもまだ、悦楽の熱に浮かされていても、私達の身体や心に対して身勝手に乱暴に振舞う連中に落胆なり怒りを覚えていないか?

 

 ……私はそうだ。娼婦の身に堕ちたのは確かに自分の選択が招いたことだが、奴らの自慰のための、熱を持った道具(オナニードール)ではないのだと。

 

 どうせ身体や心に植え付けられた娼婦としての思考が、プログラムのように懸命に媚びて、勝手に昂ぶり、顧客の望むようにザーメンを浴びて絶頂してアクメ顔を晒す。あげく、お礼まで口にするんだ。自分の意思関係なくだぞ? 心の奥底で軽蔑されていることも分からずに、自分のお粗末なモノで心身ともにイキまくったと勘違いして帰っていくんだ。身体への刺激に対する条件反射と変わらないというのにな。私も奴らも惨めなものじゃないか。

 だから、身に着けされられてしまった奴隷娼婦としての性技であれ、自分の意思で熱を入れて尽くしたいという相手ぐらいは選んでやる。……ちっぽけな抵抗だろうが、私はそう思っていたんだ。

 

「次は私が動こう。私がグレイ、あなたを気持ち良くさせてあげたいんだ。所詮は仕込まれた、自分では拙いかもと思う性奉仕ではあるが、精一杯務める。どうか、楽しんでくれ」

 

 自分のウリであると教え込まれたヒップを見せ付けるように、凜子はリヴァイスに背中を向ける姿勢を取る。そして、水遁の術で自分の前に水鏡を作るように願うのだった。




なぜか流れ的に凜子からになってしもうた。

しかも、次回に続くという。
かー、つれーわー、勝手に凜子が動いてつれーわー(棒読み

ゆきかぜは放置プレイ。ふふふ、興奮してしまいまし(ry
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