ときめきメモリアル2短編集 ~永遠に響く鐘の物語~ 作:未来星
「はぁ……」
何で…こんな事になったんだろうか?
昨日は普通の休日だったのに。
何で……?
「あら、少年じゃな~い。どうしたの?
今日は……華澄とは一緒じゃないのねぇ?」
丁度街中をぶらついている時、俺は前から来た綺麗なお姉さんに声をかけられた。
「あの……誰ですか?」
声には聞き覚えがあったが、俺の知り合いにこんなに綺麗なお姉さんはいないはずだ。
……華澄さんを除いて。
「あら、な~にもう忘れちゃったの?
あたしよ、あ・た・し。九段下舞佳さんよん」
「九段下……舞佳さん!?どうしちゃったんですか!?そんな格好して……」
綺麗なお姉さん……もとい、舞佳さんは顔にかけた(多分伊達であろう)眼鏡を直し、俺に向かっていつもの元気な声で、
「もっちろんバイトよん」
と言った。
……なんとなく予想はついたが。
「そうだ少年!今、丁度暇だからさぁ、ちょっとそこによっていかない?」
舞佳さんがはじめて俺を誘ってくれたようだ。
もちろん俺は、OKを出した。
舞佳さんに連れられて、俺は其処からすぐ近くの喫茶店に入った。
店内は意外と落ち着いている感じで、その周りにいる客も落ち着いた雰囲気でコーヒー等を飲んでいた。
「どう?結構いいトコでしょ?あたしのお勧めよん」
「お勧めですか……なんか以外だなぁ」
「むぅ、何が以外なのよぉ」
と、舞佳さんは明らかに不満な声と眼差しを俺に向けてきた。
俺はその事に対して苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
俺は何とか話題を変えるべく、窓の外に視線を向けた。
視線の先には、幸せそうな顔して通り過ぎていくカップル。
そんな恋人達の表情を見ていると、なんだか妙に腹立たしくなってきた…逆恨みだが。
「こら少年。あたしという魅力的なお姉さんがいるんだから、他の女なんかに目を向・け・な・い・の」
横を向いていた顔を無理矢理に正面に向けられ、俺の首は悲鳴を上げた。
グキッ
「あっ……」
……これって、俺、泣いてもいいよね?
「あっちゃ~……
…あ、あははっ、ゴメンね、少年……」
「いえ、大丈夫です……」
「でも驚きましたよ。舞佳さんがこんな格好してるなんて……」
「…う~ん、どうだろうねぇ?」
舞佳さんは自分の着ている服を見直した。
ちなみに今着ている物は、スーツだ。
いつものラフな舞佳さんから考えると、随分と真面目な感じがした。
だからといって、似合っていないとか、そういうわけではない。
むしろ似合っている。
普段は縛っている髪も解き、今までとはまた違った雰囲気を醸し出している。
「……綺麗だ」
「ん?綺麗?」
やばい!声に出してしまった!
「そっかそっか。少年もついにこのあたしに惚れたって訳ね……」
俺の言葉を聞いて、舞佳さんは少し意地悪な表情をして俺をからかってきた。
「べ、別にそういう訳じゃ……」
「な~に?このあたしが綺麗じゃないって言うの?」
今度は少し俺を睨みつけるような視線を俺に向ける。
だが、その視線は恐怖心を掻き立てる物ではなく、どちらかと言えば、そう、可愛いと思ってしまう。
「そ、そう言う訳じゃなくって……」
「……ぷっ」
「な、何吹きだしてんですか!」
「いやぁごめんごめん。でも…なんかからかい甲斐があると思って……」
必死に吹き出しそうなのを我慢しつつ、舞佳さんは言葉を繋いだ。
何か…弄ばれてる?
「さてと……それじゃあ本題に入りましょうか?」
「本題?」
本題と言う言葉に、俺は首を傾げるしかなかった。
一体何が本題なのだろうか?
俺にはまったくと言っていいほど、本題が思いつかなかった。
しかし……舞佳さんの言う本題とは、俺の予想を遥かに上回るものだった。
「少年……突然で悪いんだけど、あたしとSEXして?」
…。
……。
………。
「はっ?」
「だ~か~ら~、あたしとSEXして?」
「なっ、何をこんな昼間っから言ってるんですか!
大体、何で俺なんですか!?舞佳さんみたいに魅力的な女性なら、もっと他にいるでしょう?」
別に怒っているわけではない。
ただ、気が動転してしまっただけだ。
「ま、まあまあ少年。落ち着いて……」
舞佳さんの声に俺はやっと我に帰った。
気が付けば、周りの客が俺に興味の視線を向けていた。
「ちょっと…場所を移動しましょうか……」
俺は素早く会計を済ませると、舞佳さんの手を引いてその場を後にした。
「何でそこまでして俺をからかうんですか?」
人気の無い公園に着くと、俺は早口で舞佳さんを問い質した。
舞佳さんは気怠そうに髪を掻くと、俺から視線を逸らした。
「だってねぇ……?少年があたしの目にはすっごく寂しそうに見えたわけよ。そこで、あたしが一肌脱いであげようと思ってねぇ」
「別に……いいですよ」
俺は舞佳さんのことを見て、否定の意志を表した。
「う~ん、私ってそんなに魅力ないかしら?」
「魅力はあります!ただ……」
「ただ……?」
舞佳さんは、今まで聞いたことの無いような優しい声で俺に問い掛けてきた。
「慰めとか同情とかで、そんなこと言われても……俺は嬉しくない!」
「少年……」
もし舞佳さんが俺に、本当に同情なんかでそんな事言ったんだったら、俺はもう……舞佳さんには会わないようにしよう。
でも、そう思うと、なんとなく胸が締め付けられるような、それでいて、素足で雪の上を歩くような、そんな痛みが湧いてきた。
「あ~、その、なんだい?
別に、そんな気で初めてを他人に上げるほど、あたしはいい人じゃないんだけど……」
俺は「初めて」という言葉に顔を上げ、舞佳さんの顔を見た。
舞佳さんは照れくさそうに頬を掻きながら、俺に笑いかけてくれた。
「それにさ、あたしは少年の事嫌いじゃないし?
…まあ、少年にならくれてやってもいいかな~と思ったわけよ。うん」
「舞佳さん……」
舞佳さんはかけていた眼鏡を外し、握り締めていた拳を包み込んでくれた。
包み込んでくれた掌は、優しい暖かさが宿っていた。
これじゃ…断るわけにはいかないな……。
「どう?ここまで暴露させたんだから、もちろんするわよね?」
「……はい!もちろん!」
「これがラブホの中ねぇ……話には聞いていたけど、本当にこんな風になってるんだぁ……」
「あの…舞佳さん?」
「あ、ごめんごめん。あたしも初めてなわけだからさ、なんとなく興味が湧いちゃって……」
バイトを早退という形で終わらせた舞佳さんは、待っていた俺を連れて、明らかにラブホテルだと判るところに入っていった。
部屋に入った舞佳さんは、物珍しそうにそこら変にあるものを手に取ったり、見つめたりしている。
俺は……。
「あらら、こんなに元気にしちゃって……
別に急がなくてもいいじゃな~い。宿泊にしたんだからさ?」
「宿泊!?聞いてないですよ!?」
「まーまーいいじゃない。
こういう記念すべき日なんだから、次の日ぐらいはゆっくりしなさいって」
こういうアバウトな人だということは前々から分かってはいたが、まさかここまでとは……。
「じゃ、シャワー先に使っていいわよ。
あっ、別に心配しなくても大丈夫!あたしは財布から札抜き取って逃げたりはしないからさ!」
…まあ、色々いい加減な人だけど、その辺はきちんとしてるからね。この人。
俺は舞佳さんの言葉を信じ、先にシャワーを浴びた。
「何で舞佳さんは俺を誘ってくれたんだろうなぁ……?
しかも初めてをくれるって言ってるし……」
俺は嬉しい疑問を抱きつつ、髪を洗っていた。
考え事をしながら髪を洗っていたせいか、運悪く泡が目に入ってしまった。
「いてっ!あ~、運わりぃなぁ…
…あれ?シャワーのヘッドはどこだ……?」
「はい少年」
「あ、ありがとう御座います」
俺は手渡されたシャワーを使って髪の毛についている泡を落とした。
「……」
「ん?どうした?少年」
まだ痛む目を開き、目の前にいるはずのない舞佳さんの身体を凝視した。
「幻……?」
「やだな~、幻じゃなくて、本物だって。ほら」
舞佳さんの幻は俺の手を取ると、バスタオルで隠されたその豊満な胸に押し付けた。
柔らかい感触が手のひらに広がる。
それと、丁度掌の中心に、少し違う感触があった。
「ほ、本物…?」
「そ、本物…て、ありゃりゃ。少年は元気だねぇ……?」
舞佳さんは視線を俺の顔から移し、下の…そう、丁度腰の辺りを見た。
そこにはつまり、舞佳さんの身体を見たのと、胸に触れた事によって興奮し、硬くなった俺のモノがある。
しかも、全てを曝け出している。
「ま、舞佳さん!」
舞佳さんは俺のモノを徐に握り締めると、そこに顔を埋め、舌でぺろぺろと舐め始めた。
「ちょっ…汚いですよ…舞佳さん…!」
「身体洗ったでしょう?別に汚くないわ……」
そう言うと舞佳さんは、片手で握りながら、先端をゆっくりと咥えた。
激しい快感が、俺を襲った。
それと同時に、俺のモノは舞佳さんの口内でさらに大きくなり、はやくも限界を感じさせた。
「んっ…ふちゅ…うんん……」
舞佳さんの柔らかい唇が、俺のモノを全て包み込んだ。
まるで別の生き物のように絡みつく舌は、時折優しく、それでいて時折激しく俺を求めた。
「む…ふぅん…あむ…んく……」
時折かかる鼻息が、俺のモノを刺激する。
何となくくすぐったいが、でもそれが心地良くもあった。
少しずつ、舞佳さんの、俺を刺激する口の動きが速くなっていく。
「うあ…ま、舞佳さん…出る…っ!」
俺は容赦なく打ち寄せる快感の波に負け、ついに精液を舞佳さんの口内に射精した。
びゅっびゅっと、精液が舞佳さんの口内で暴れ、犯していく。
舞佳さんは上気した顔で全ての精液を口内で受け止めると、ごくっとそれを飲み込んだ。
「ふぅ…あんまり美味しくはないわねぇ」
「舞佳さん……」
「……ねぇ、早く続きをしましょうか。
ほら、ちゃっちゃと出た出た!」
俺は舞佳さんに押されるようにしながら、風呂場を後にした。
「少年…あたしの初めてを貰ってね……?」
「…舞佳さん。
こういう時は、名前で呼んでくださいよ」
俺は苦笑しながら、横たわる舞佳さんにそう言った。
舞佳さんはいつものように明るい笑顔になり、
「確かにそうね~
いいわ、今だけは名前で呼んであげるわよん。達也」
「舞佳さん……」
俺は舞佳さんの身体に重なるように横になり、唇を重ねる。
何の抵抗もなしに互いの舌を絡ませた。
深く、甘く、そして刺激的な口付け。
互いの唾液を味わい、舌を絡め、そうして口内を犯し合う口付け。
さっき一回絶頂に達したにも拘らず、俺のモノは硬く、いきり立っていた。
「んんっ…あん…むぅん……」
いつもの調子の舞佳さんでは想像できないような色気を、今の彼女は醸し出していた。
俺は形の良いその胸に触れると、ゆっくりと……そして優しく揉み始めた。
舞佳さんにも気持ち良くなって欲しいから。
初めてなんだから、それなりに不安もあるはずだろう。
せめてそれの……全てとは言わない。
その20%だけでも取り除けたら……
そう思ったから、俺は今、こうしているんだ。
「ぷはっ…あん……本当に初めてなの……?妙に上手いじゃないの……」
「それは…舞佳さんにも気持ち良くなって欲しいからだよ」
「なかなか…恰好良いこと言うじゃないの……ふああっ!」
片手で胸を揉みながら、もう片手で白く綺麗な太股を静かに撫で回す。
そうしてあげると、舞佳さんはくすぐったそうに身を捩った。
その仕草が、ドキッとするほど可愛らしかった。
「な、何じっと見てるのよ……恥ずかしいじゃない…っ!ぅあ……」
舞佳さんは今までにないほど顔を真っ赤に染めて、恥ずかしそうに目を背けた。
俺はたまらなくなって再び唇を奪うと、今度は一方的に舌を絡めた。
「んっ!んん~!ん…んん……」
暫くすると、舞佳さんは大人しくなり、俺にされるがままになった。
そんな彼女の姿をみて、俺は大事な部分にそっと手をそえた。
ピクッと反応したが、舞佳さんは俺の背中に手を回し、眼を閉じた。
そんな彼女に、良くは分からないが、普通の人には抱かない感情を抱いた。
この感情を……なんで言うんだっけか?
「あっ……はあ!」
ちゅく…という音を立てて、俺の指は温かい膣内に吸い込まれていった……。
「舞佳さん…どう?」
「いいわ…すご…ああんっ!達也ぁ!」
さらに激しく舞佳さんは喘ぎ、抱きついてきた。
いつの間にか離れていた彼女の唇から、熱く、甘い吐息が零れ始めた。
俺は、喜びを感じていた。
舞佳さんが感じてくれている。
誰でもない、俺の手で感じさせているんだ。
「あっ…うん……
ふあっ…くっああっ!」
長い髪を振り乱し、舞佳さんは虚ろな目で俺の姿を求めている。
くちゅくちゅと指で膣内を掻き混ぜながら、余った手で胸を揉み解すようにする。
指の隙間から舞佳さんの胸がはみ出し、柔らかく変形する。
指先で桜色の先端を摘んだ。
「んっ…はぁぁ…達也…もう……っ!」
一際強く抱きつくと、舞佳さんはびくびくと身体を震わせた。
「舞佳さん…気持ち良かった……?」
「はぁ…はぁ……」
返事は無かった。
ただ、満足そうに微笑むと、そっと唇を重ねてきた……
「ほら少年…じゃなかった。
達也…入れて……?」
「わかった……いくよ」
俺は完全に固くなったモノを割れ目にあてがい、少しづつ侵入させていった。
ぬるっとした感覚が走った。
俺のモノは舞佳さんの中に侵入していった。
「あっ……けっこー痛いわね…くっ!」
シーツをぎゅっと握り締め、初めての痛みに耐える舞佳。
俺はやっと分かった。
「はあっ……うあぁ!」
俺はきっと…いや、絶対に。
舞佳さんのことが好きだ。
「あっ…あっあっ…達也ぁ!」
配達のお姉さんと、配達を頼む少年として出会った俺たち。
「だめっ…すごいぃ…おかしくなりそう…っ!」
こんなことをしながらも、未だにその関係を続けている。
「はぁ…んっ!
…あ、駄目……」
最近、何をしてても気が入らないのは……
「達也!んっ……んん~っ!」
彼女の姿を常に探していたからだ。
どんな時も……
「ぷあっ…はぁ…
…頭がボーっとしてきたぁ…ああんっ!」
どんな時でも輝いていた彼女に、恋をしていたからだ。
「舞佳さん…!舞佳さん!」
「達也ぁ!あ…あああっ!」
今の俺はもう、胸を張って言える。
『俺は、九段下舞佳、その人のことを愛している』と……。
同じベッドに横になっている俺たち。
ふいに舞佳さんが、俺に抱きついてきた。
「どうだった少年?
お姉さんの身体は気持ちよかった?」
「普通はそんな事聞かないと思うんですけど……」
「いいじゃな~い!あたしと少年の、切っても切れない仲なんだから!」
いつもの舞佳さんの笑顔を見て、俺の胸は高鳴った。
でも、その事に戸惑いを覚える事はもう無かった。
「う~ん、今日もいい天気だなぁ!少年もそう思うでしょう?」
「……確かに」
「そんなにテンション下げちゃってどうしたのよん?」
「平日なのにこんなとこでこんな事しているからテンションが下がってるんです!
はぁ……明日学校に行ったら華澄さんとか光に何言われる事か……」
華澄さんの名前が出ると、舞佳さんはばつの悪そうな笑顔を浮かべた。
「あ~……そっかぁ……
担任は華澄だったけか……それは盲点だったなぁ……」
平日の街中を、俺たちは寄り添い合いながら歩きはじめた。
…これからの二人の道程を表すかのように……。