貞操逆転ファンタジー世界のお気楽冒険譚 作:GFish
パカラッパカラッどころかドガガッドガガッな足音を立てる式神を走らせ続けると、そろそろ日が登りそうな時間になってきた。特に魔法に詳しい人に見せるようなものでもないし、そろそろ降りて徒歩で王都へと向かう。
陽の光を背に浴びながら西へ西へ。少し道を外れて、小高い丘に登って見下ろすと眼下に広がるのは陽の光を浴びて輝く水の都、王都アクアユウェルが見えた。海に面して城壁に囲まれ、港には沢山の船が見える。前に来た時は馬車に乗っててこんな光景は見れなかったので、感動もひとしおだ。
「ふおおおおお……いい景色……これが旅をする醍醐味って奴だよね……」
記憶には残るけど、物理的にも残しておきたくなってマジックカメラを式神にもたせてハイチーズ! 旅の思い出と来たらやっぱり写真を撮るのはお約束だよね。
【ああ、それあなたが元の世界の機械を魔法とかも使って再現したやつよね。いいなあ。私も撮ってみたい】
「(あ、じゃあ試しに撮ってみます? こっちに立ってください)」
【私は写るのかしら? あっ、ひょっとしたらあなたの魔力が籠もった道具だし、写るのかも?】
そう言うと、ふわふわ降臨してきて色々と神々しいポーズをとる女神様を撮影していく。
【こんな感じかしら?】
「(そうそう、ナイスですよ!)」
宗教画によく有るポーズを色々と試してもらい、ちょっと憂いを帯びた表情をしてもらったり、逆に明るい笑顔をしてもらったり。最後には二人で記念撮影もしてみたり。
【現像が楽しみね♪】
「(はい、そうですね!)」
……この時はテンション上がっていたけど、ボクも女神様もよく考えれば分かるはずだったんだ……。無理と思いつつ万が一写っていたら神様が直接写った写真や、神様とのツーショットとかどれくらいヤバイものだったかなんて……。
城門に近づく前に、マントを羽織りフードを被る。男女比が3:7の世界だし、男の一人旅なんて尚更珍しい。あんまりナンパされても困るし、この程度の自衛はしておくに越したことはない。
城門に並んでいる列を見渡すと、人間だけでなく、エルフやらリザードウーマンやらドワーフやら、亜人種に分類される人たちもよく見かける。いわゆるモンスター娘と言う奴だ。普通に首都に入れて共存できている辺り、何ともおおらかな世界だなと実感できる。
周囲を観察しつつ、のんびり自分の番を待って衛兵さんに身分証を見せる。公爵家の紋章入った身分証に驚いていてちょっと長めに手続きがかかったけど、問題なく街の中へ。
「流石は水の都……異国情緒が凄いや……」
メインストリートに入ると、広い通りで馬車が行き交い、綺羅びやかな看板を掲げた立派な商店が並んでいる。大通りだけあって高級な店が並んでいるのだろう。行き交う人も裕福そうな人たちが多い。こういう法則は、ウチの領でも同じだったし、大体どこも似たり寄ったりなのだろう。
【それで、まずはどうするのかしら?】
「(とりあえず冒険者ギルドに行って登録しようかと。宿もそこで案内してもらえるでしょうし)」
【お約束って奴かしら? 場所は分かる?案内いる?】
「(入り口の衛兵さんに小銭渡して教えてもらったんで大丈夫です)」
【ちゃっかりしてるのね】
くすっと笑われる気配を感じつつ、人の流れに紛れながら冒険者ギルドへ。商業地区の中心に有り、近づいただけで中の喧騒が聞こえてくる。目立たないようにササッと入ると、中は主に女性でごった返していた。当然の様に、亜人種の人も多い。朝の時間帯だし、あちこちに有る掲示板の前に集まって、どれが良いかと依頼を選んでいるようだ。
とりあえず、人が少ない内にカウンターへ行くと、そこでは受付嬢……いや、受付坊の人が笑顔で迎えてくれた。
「はい、何かご依頼でしょうか?」
やってきたのが少年だからか、依頼人と思われた様だ。周りを見ると、男の冒険者はあまり居ないし当然だろう。
「いえ……初めてなんですが冒険者登録をしたいんですけど」
そう言うと、ちょっとびっくりした顔をして何かリストを取り出した受付坊さん。リストと顔を幾らか見比べた後、また笑顔でこちらに向く。
「あ、失礼しました。冒険者登録ですね、ではこちらをどうぞ」
紙を受け取ってから、色々と冒険者としての情報を書いていく。性別名前に年齢から、得意武器や使える魔法まで多岐に渡る。
「そう言えば、ボクの顔とリストを見比べていましたけど何かありました?」
「ああ、失礼ながら身なりも肌も髪も凄く整っていたので……ひょっとしたら何処かの貴族様がか富豪の息子さんが家出をしたのではないのかと思いまして。時々、家から飛び出して登録しに来る家出息子さんが居るのですよ。……後から回状が回ってきたりしませんよね?」
書きながらちょっと気になったことを聞くと、受付坊さんは苦笑しながら教えてくれた。男女逆転した世界でも、そんなお転婆娘的なポジションの人は変わらず居るらしい。
「大丈夫です、両親の許可はちゃんと得ていますから」
無駄に胸を張って書類を書き上げる。ボクを男だと気がついた人たちの表情を緩ませつつ、冒険者カードを受け取って宿の場所を聞いてから掲示板の前へ。依頼の種類毎に板が分けられているので、とりあえず始めは採取系へ。初めはお手軽に薬草採取でもと思ったら、意外に買取価格が高い。少なくともウチの領地のギルドの値段よりは上だ。何故かと思ったけど、すぐに思い至った。
「ああそうか、人も多いから遠くに行かないと中々無いんだ……」
王都だけあって人口が多くて、薬草の需要も多いから近場のは大体取られているのだろう。依頼書の周りを見ると、「ルーキーは無理せず徒党を組むこと!」なんて注意書きまで貼ってある。
となると、薬草採取は中々にめんどくさそうだし、こっちの海藻採取系にする。少し沖に行った所に生えている海藻の採取は、人魚やリザードウーマンみたいな水に適応している種族向けだが、人が採取していけないなんて決まりもないし、割も良い。お金はかなり大量に持ってきたけど、まだ使わない。折角だから転生者お約束の冒険者ライフはじっくり堪能してみたいのだ。
採取系は、依頼書は直接取らないで規定量を取ってくる方式のようだ。需要は幾らでも有るのだろう。量と種類をメモったら、手頃な縄や背負いかごを選び、買い食いをしつつまた外へ。流石に海沿いだけあって、海の幸は美味しい。自然の素材は大体品種改良やら調味料やらの影響は少ないから、元現代日本人でも、味に満足しやすい。
冒険者はよく出入りをするので、用意されてる冒険者用の列に並んでササッと外に。ギルドカードを見せれば殆どフリーパスで出入りができる様だ。
「(やっぱりこの手のギルドカードって超ハイテクだよなあ)」
この手の異世界でお約束だけど、やはり凄い便利な代物だ。
海岸沿いの街道をテクテクと歩いて、王都から離れた海岸へ到着と。ここなら、港に行き来する船とぶつかる事も無いだろう。服を脱いで、短パンと胸のサラシだけになって、いざ海へ。
【美少年の海男姿はやっぱりそそるわねぇ】
「(その顔、信者の人達の前でしちゃダメですよ。1000年の信仰も冷めますよ)」
【大丈夫よ、ちゃんと信者たちの前では神々しいから】
じゅるり、ぐへへへへなんて声が出そうな女神様にツッコミを入れつつ、水中へ。美しい水の中は、やっぱり綺麗で色とりどりの生き物や植物が生息している。元の世界の生き物と似てる奴だって当然居るけど、図鑑でも見たことがない魚何かも多くて、見てるだけでも飽きない。
「急々如律令、魚鬼招来……っと」
ただ景色を堪能するのも良いけど、仕事もあるので薬効の有る海藻は式神にも探させる。ある程度海藻を纏めたら縛って、泡に包んで海上に漂わせてまた集めて。やはり水中の採取作業をする人は殆ど居ないのか、海藻は豊富に有る。こういうのは根こそぎ取ると次の年に消えてなくなるから、一つの群生地につき、ある程度は残しておいてっと。
「うん、こんな感じかな? 次来る時は食べられる魚を市場で調べてから来よう。そこら中で泳いでるのに取らないのは勿体無い」
陸に上がって、背負いかご一杯に海藻を乗っけて括り付ける。確かに金銭効率は良さそうだけど……
【海の香が凄そうね、それ】
「(ええ、それにめっちゃ重いです)」
実際に仕事をしてみて、高額な理由が更にわかる。そりゃ高くしないと人が集まらない訳だ。よっこいしょと背負ってえっちらおっちらまた王都までの短い道のりを歩いて戻る。背負ってる物が珍しいのでびっくりされたけど、特に止められることもなくまた王都に入り、商業ギルドに持っていって納入する。質が良くて、数十キロ分を持ってきたので、ルーキーとしてはかなりの額で捌くことが出来た。
「さてと、とりあえず今日の稼ぎは手に入ったし……」
銀貨をジャラジャラと財布に入れて懐に。今日の稼ぎは手に入ったし、とりあえず宿を見つけてから王都探索でもしよう。
冒険者ギルド紹介の宿屋を幾らか見て回り、ちょっと良さそうな宿に入る。
「いらっしゃいませ。お泊りでしょうか?」
「あ、はい。一人ですけど部屋は空いてますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
にっこり笑顔で迎えてくれるのは、かわいいかわいい……ウェイターさん。当然だけど男女逆転してるからこういうサービス職は大体男がやってることが多い。冒険者の方々に軽くセクハラされる役も当然彼らである。見た目的に全然美味しくないんだけど、仕方がない……。むしろ自分もされる方だし。
「先にお風呂に入りたいんですけど、使えますか? あ、沸かすのは自分で出来ます」
「承知しました。沸かすのはお任せな分、料金は幾らか引いておきますね」
銀貨で先払いし、海の香りを落とすためにとりあえず先にお風呂へ。備え付けてある炎の魔石に魔力を流し込み、焼け石にして、風呂桶の籠の方に放り込む。この世界の魔石式の風呂は二重構造になっていて、熱した魔石を入れる金属篭が、水に沈められている。熱々の魔石を水に放り込んでお湯にするのだ。所変われば仕組みも変わると、最初に見た時は関心したものだ。
「はふぅ~……極楽極楽」
熱い風呂で海の残り香を流すと、凄いさっぱりする。やはり元日本人としては、風呂は欠かせない。
【あなた達って本当にお風呂好きよね】
「(とってもジメジメして蒸し蒸しした国でしたからね……って、あっ、ダメですよ覗いちゃ♪)」
また女神様の視線を感じつつも、股間と胸を隠す仕草をしてちょっとしたサービス。女神様がサムズアップするのを幻視しちゃったぞ。
【それで、これからどうやってエッチなイベントを見つけるつもり?】
「(……どうしましょう)」
ちょっと街を歩くだけでも、女性の視線は色々と感じちゃう。ちょっと誘うだけでも幾らでもえっちな事はできそうだけど、それじゃ面白くない。
【いっそ私が神託出してみる?】
「(迷ったらお願いします)」
王都に入って1日目。まだ日すら暮れていないし、出来ることもやれることも幾らでも有る。せっかくだし、何でも楽しまなきゃ! そう思うと、女神様とああでもないこうでもないと、色々と話し込みながら長風呂をするのだった。
遅くなって申し訳ございませんでした……。
しかもエロい小説なのに世界観説明に終止しちゃいました。エロ同人RPGならここからが本番といったところですが、さてどんなエロイベントを起こそうか……。
山賊退治で敗北して調教されるとか、お金が足りなくて売春とかも王道ですよね!