IS(インフィニット・ストラトス) 楽しく過ごしたい転生者 作:ナハト・リコリス
それとこんなラウラの救済ですが、よろしいでしょうか?
私はラウラのISが変形して出来た『何か』を見て、ある可能性を思い出した。
だがしかしそれはIS条約により現在どの国家・組織・企業においても研究・開発・使用全てが禁止されているヴァルキリー・トレース・システム、通称『VTシステム』だと思った。
ラウラのいるドイツは一年間ドイツ軍でISの教官として織斑千冬を呼んでいる。
そしてその間にだがモンド・グロッソでの戦闘データ、ドイツでの教官時代でのデータも使い、多分一定の状況下で条件で発動するようになっていたのだろう。
そして発動するための条件は、ラウラ自身が強く力を望んだときなのかも知れないと思った。
だからこそ私はラウラを、彼女が見てきた織斑千冬の持つ『強さ』という面から開放しようと思った。
それが、織斑千冬の妹であった『織斑一夏』としてと、今後『風見雪子』として生きていく為に必要だと思ったからだ。
確かに私も、第一回モンド・グロッソで見た姉の雄姿をTVごしだったがこの目で見ている。
だがしかし、その雄姿は同時に私にとっては地獄を見せさせる物だった。
その後にあったのは『織斑千冬の妹なのに』、そう周りに言われ続けた『織斑一夏』としての私の日々は地獄だった。
テストの点数や成績、たった一つのミスをした瞬間、私は罵倒され続けた。
兄である春樹はそれすらない上に、今では感じるあの不快感で他人の心を操り、私だけ罵倒され、
貶され、そして虐められ続けた。
あの当時の私には身体も精神(こころ)も休める場所など何一つ無い、生きているだけでも大変な日々だった。
それでも私はどんな事があっても、私も『家族の一人』だと思い続け、頑張ってきた。
だけど、第二回モンド・グロッソの決勝戦で私は誘拐され、そして姉に見捨てられた。
見捨てられたと知った時、私の中にあったのは憎しみでも怒りでもなく、何も無い『虚無』だった。
私には『家族』という世間で当たり前の存在すら無いと言う、悲惨な答えなのに、私は何も感じれなかった。
誘拐されていた私は犯人達の手で殺されていたか、一生何処かで誰かの慰み者として生きていくというものだっただろう。
あの時、私と一緒に捕まっていた統夜がいなければ私はそうなっていただろう。
だが私はそれだけではすまなかった。最初は私は統夜と仲は好くなかった。
だってそうだろう。偶然助けられたとはいえ、私はあの時どうなってもいいと思っていた。
助け出された後、私は食事をしても味を感じられず、口を開く事もできなくなっており、ただ一日一日をまるでロボットのようにして生きていた。
そんな私を統夜や統夜の周りの人達の暖かい心のおかげで『人』に戻り、私は大切な『家族』を手に入れた。同時に私は統夜のことを好きになっていた。
そして私は織斑一夏と言う名前を捨て『風見雪子』として生きていく事を決意したのだ。
だからこそ、彼女の中にある『強さ』という名の鎖から解き放ちたいと思った。
力は、強さとは、攻撃力ではない。それはただの暴力でしかないのだから。
幸いにもラウラが変化した織斑千冬もどきは武器を持っているか、こちらから攻撃をしてこなければ動かないように自動プログラミングされているのか、アリーナの中央から微動だにしないので、私はシャルロットを連れて一旦後方に下がり、ISを解除した。
ついでだが、神代さんと私達のいるのは反対方向なのうえに、彼女はもう戦闘はできないので大丈夫だろうと思っている。
シャルロットは私がISを解除した事に驚き、私に声をかけて来た。
「ちょっと、何ISを解除してるのさ!?」
「大丈夫よ。こっちが武器を持っているか、向こうに攻撃をしなければ向こうも攻撃はしてこないわ」
そう私が言った瞬間、アリーナに放送が流れ、トーナメントは全試合中止なうえに、教師部隊が
鎮圧の為に来ることになった。
同時にアリーナの特殊防御シールドまで展開され、アリーナ内部の事が外から見えなくなっていた。
だがしかし、私には関係なかった。
「シャルル、悪いんだけどラファールの残っているエネルギーを私にくれない?」
「ちょ、ちょっと、確かにエネルギーを渡すことは出来るけど、何で雪子がそんな事するのさ?
そんな事しなくても、先生達がくればすむ話じゃないか」
シャルロットが言う事は本来なら正論だ。けれど、それを私は認めることは出来ないのだ。
「ごめん。でも今のラウラとISに関しては『これから先、私が私であるために片をつけたいの』。無理かな?」
私がそう言ったため、シャルロットも少し考えるそぶりを見せた。
少し考えてからシャルロットは頷いてくれた。
「わかったよ。けど、負けたら僕がどうするか、分かってるよね?」
「えぇ、絶対に負けないわ。だって、私のほうが先なんだから」
そう言って私はシャルロットからの宣戦布告を受け入れた。
彼女も統夜の優しさで救われたのだから、私と同じ思いを抱く事になっても可笑しくはないからだ。
そして私はシャルロットからエネルギーを貰おうとしたら・・・
「てめぇ~!!」
その声をしたほうを見てみると、白式を纏った織斑が何故かアリーナ内にいて、織斑千冬もどきと戦っていた。
だがしかし、相手は世界大会二連覇をした織斑千冬のデータを利用した偽者と、ISの使用時間等も何倍も少ない織斑では相手になっておらず、雪片弐型から零落白夜を発動して戦っていたが、相手になっていなかった。
私達はそれを冷めた目で見ていた。
「馬鹿でしょ、あいつ」
「だね。どうみても相手になってないよ、あれ」
「ほっときましょ。どうせこの事態になった時に入って来たんでしょうけど、どこから侵入したか知らないけど、アリーナに不法侵入したうえにバリア破壊。おまけにボロ負けしてる時点で少しは反省部屋行きよ」
「そうだね。それじゃあ残っているエネルギー全部渡すけど、大丈夫なの?」
「大丈夫よ。この装備で一回限りなんだけど、織斑の白式が持ってる《零落白夜》と同じ能力を持った武器があるから。本来ならラウラにシャルルが大ダメージを与えた後の〆に使おうと思っていたの。ついでにシャルルからエネルギーを貰うのも確実性を増すためよ」
「あ、そうなんだ。それなら大丈夫だね。雪子の腕ならあそこのよりもマシだろうし」
そう言ってシャルロットは一度織斑に視線を向けた後、シャルロットのISが光になって消え、私はシャルロットから渡されたエネルギーで増えたエネルギーゲージを見た後、5歩ほど前に歩いてISを展開した。
「もう、これで終わりにしましょう。ラウラ・ボーデヴィッヒ」
私はそう言って一回限りの武器をコールした。
この武器は現在は蒼天の最強武器として試作されている品で、統夜のファイバードの《フレイムアップ》のデータを元に作り出されている物なのだ。
実際は紅で使用する内臓武器である剣なのだが、蒼天とは共通で使用できるようになっているのだ。
ただし、蒼天で使用するには武器の関係上一回限りしか使えないので、今回のトーナメントでラウラと当たった場合、最後の〆に使おうと最初から決めていたのだ。
そして織斑の白式がエネルギー切れになり、ISが強制的に解除された瞬間、織斑千冬もどきは私のほうを向いた。
私はその剣『超重剣』を握り締め、一気に敵に真正面から加速して向かって行った。
春樹 Sid
「(どうなってんだよ、これは!!)」
俺は憤りを感じていた。
俺の知っている限り、本来ならセシリアも鈴も、そしてシャルロットも俺の物になるはずだった。
だがしかしそうならず、そのうえこのトーナメントでも一回戦はラウラのペアではなく、雪子・シャルロットのペアだった。
俺はセシリアも鈴もラウラとの戦いで戦えないのは知っていたので、二人のお見舞いに行った振りをして女子がなだれこんだ時に理由をした後にシャルロットとペアを組むはずだったのを、雪子に邪魔をされた。
そのため俺は箒と組むしかなかった。
神城でもよかったのだが、訓練等で最近一緒にいない人物を使用するのは危険だと思ったのだが、結果は一回戦敗退と言う最悪な物だった。
そのうえこの二人には俺の能力が効かないのか、ほぼ無視した状況で押し切られ、結果ダメージすら与えられないで負けた。
だがしかし、こうなればラウラだけは手に入れたいと思っていた俺は試合終了後白式のエネルギーを回復させ、そしてアリーナの入り口近くで待機し、ラウラのVTシステムが発動したと同時にアリーナのシールドを零落白夜で破り、アリーナ内に入って織斑千冬の姿を真似たことに関して怒っている風にしながら戦ったのだ。
だがしかし、ラウラのISが変化しただけの偽者に手も足も出せず、俺はISを強制的解除させられた。
そして偽者が向きを変えたので、その視線をおってみて見ると、さっきまで使用していた装備を纏い、手には綺麗な形をした剣を構えた雪子の姿だった。
そしてシャルロットの方を探して見てみると、ISを纏っていなかったため、俺は何故だか分からなかった。
そして俺は雪子のほうに視線を向けると、雪子と偽者の勝負は一瞬でついた。
偽者が千冬姉がするのと同じ鋭く早い袈裟懸けを振るったのだが、雪子はその攻撃を横一閃で刀ごと弾いた。
そしてすぐさま頭上に剣を持っていき、上段から剣を真っ直ぐ振り下ろした。
一閃二断(いっせんにだん)の構え。
俺が千冬姉と箒から学び教えてもらった剣術の構えを、雪子はやってのけたのだ。
そしてジジ・・・と紫電を放った黒い千冬姉の姿をしたISは真っ二つに割れ、そこからラウラが現れ、雪子は自愛じみた顔で、出て来たラウラを大事そうに抱きかかえていた。
俺はその姿を見て、あの不動という男同様に、この『風見雪子』という女を『殺してやりたい』と憎悪が湧いた。
だがしかし、ただでは殺すつもりは無い。
俺の能力が効かないのであるなら、どんな手を使ってでも捕獲し、そして彼女を徹底的にいたぶり、身体を、精神を壊し、そして二度と光の当たる世界に出さないようにしてやろうと思った。
俺から今の段階で『俺の物』になる女達を奪った二人には、徹底的に壊してやると、心に誓った。
そのためには俺はもっと力をつけなければいけない。
そう、千冬姉のように圧倒的な強さを持ち、そのカリスマで人々をひれ伏せ、そして目にした全てが自ら全てを捧げるほどの圧倒的強さとカリスマを持って、この世界に君臨してやると、心に決めながら。
春樹 Sid
私は久々に一閃二断の構えでラウラを救出した。
神谷活心流でもどうように学ぶのだが、殺人剣ではなく活人剣を主体としている為、使わないようにと言われている。
だがしかし、私はラウラを助ける為に使った。
確かに織斑千冬のデータを使った偽者は強いと言える。
だがしかし、織斑との戦いを見て思ったのは、意思も何も持たないただの振りでしかない以上、私の敵ではなかった。
私は超重剣に零落白夜と同じエネルギー消滅能力を付加させ、そして偽者の鋭く早い袈裟懸けを横一閃で弾き、素早く振り上げ上段から相手を真っ二つに切り裂いた。
そして真っ二つに切り裂いた黒いISからは、気を失う一瞬であろう間なのかもしれないが、ラウラと目が合った。正確には眼帯がしてあった左の『金色』の瞳と。
そこには捨てられた子犬のような、『織斑の家族』に見捨てられていた時期の私と同じ目をしていた。
それほどまで弱っているラウラを見た時、『あぁ、この子も私と同じなんだ』と感じてしまった。
私は笑みを浮かべてラウラを大切に抱きしめてあげた。
この子(ラウラ)は多分昔の私と同じように、『誰からも愛されなかった』のだろう。
だから、私が統夜に救われたように、今度はこの子を私が救ってあげたいと思った。
帰る場所も無く、一人孤独にさ迷っている悲しいこの子(ラウラ)を救ってあげようと思った。
そう思うと、私の中に会ったこの子に対しての憎しみは消えていた。
??? sid
「(・・・・・・暖かい)」
もう、大丈夫なの?
「(・・・私はお前の敵ではないのか?)」
そうだったわね。でも、もう違うわ。
「(・・・何故だ?)」
だって貴方も、昔の私と同じだったから。
「(・・・・・・同じ?)」
そう、昔家族と思っていた人に見捨てられた私と同じ。貴方はその暖かさを知らなかっただけよ。
「(・・・・・・この暖かさが、そうなのか?)」
ええ。私も大切な人達から教えてもらったのよ。本当の強さとこの暖かさも、一緒に。
「(本当の強さ?それは一体何なのだ?私がして来た事は無意味だったのか?)」
それは違うわ。貴方はあなた。私は私。強さなんて色々あるんだから、一概には言えないわ。
「(だったら、どうして私は・・・)」
負けたのか?でしょ。それはこれから貴方が知っていけばいいわ。
「(どういう意味だ?知っていけばいいとは?)」
貴方は今まで一人ぼっちだっただけ。けど、これからは貴方は一人じゃないわ。
私や私の周りの人たちと一緒に知っていけばいいわ。そうすればきっと分かるわ。
「(・・・私は、気付けるのか?その意味に)」
大丈夫よ。人は一人では生きていけないわ。だから私も一緒に探してあげるわ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。
私は敵であった者のそんな優しい声を聞きながら、私を包んでいるこの暖かさに身を任せた。
太陽のような、そして自愛を含んでいる感じがする優しい暖かさの中にその身を委ねていった。
私が目を覚ましたとき、目の前に教官がいて、身体を動かせない私に教官は全身に無理な負荷がかかったことでの筋肉疲労と打撲により、しばらく動けないだろうと言われた。
そして調査の結果私のISにはIS条約で禁止されている『VTシステム』が巧妙に隠されて搭載されており、そして発動条件が『操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、そして操縦者の意思、いや、願望』をトリガーにしていたと言われた。
私はその事実に何も言えなかった。
私は自分から搭載されている『VTシステム』を発動する事を望んだからだ。
私は何も言えなかったが、教官が励ましてくれたおかげで目が覚めた。
同時に弟の春樹がVTシステムが発動した私に挑んだらしいのだが簡単に敗退し、今はアリーナへの不法侵入と、侵入時のバリア破壊で自室での謹慎になったらしい。
そして、私を救ってくれた存在が誰なのか、教官は教えてくれた。
同時に私は教官から言われた事を胸に秘め、そしてこれからどうするか決めたため、動けるようになったら信頼できる副官に今後どうすればいいのか、聞くことにした。
ラウラ Sid
その後学年対抗トーナメントは私達がやっていた二回戦を全てやり終えてから中止になり、そして他の女の子が優勝商品並に思っていた男子との交際は泡となって消えた。
ちなみに織斑に関してはあの後突入して来た教師陣に不審視され、私達が事情を話したため明日まで自室での謹慎が命じられ、教師陣の手によって秘密裏に自室まで連行されていた。
私としては自業自得と思いながらその日は終わった。
そして統夜が明日からIS学園に帰って来ること、授業にも参加すると連絡があったので、みんなに知らせておいた。
そして学年対抗トーナメントが終わった次の日、統夜が久々に教室に帰って来て、何時もと変わらない授業が始まると思ったら、山田先生から転校生が来たと言われた。
その転校生は女の子として制服を変更して転入して来たシャルロットだった。
「シャルロット・フォンティーヌです。皆さん、改めてよろしくお願いします」
流石にこれには皆が驚いたが、これで事態は終わりだと思った。
他のみんなも昨日は男子への大浴場が開放された事で色々と飛び交ったのだが、シャルロットがみんなの思っていた事案は無いと、みんなを止めた。
そんな喧騒が終わったとき、私の前にラウラがやって来た。
「どうかしたの、ラウラ?」
ラウラは顔を赤くし、ちょっともじもじとしていたので可愛いなぁと思ったのだが、次の言葉に驚愕した。
「あ、あのお姉さま!?」
「はい?」
「わ、わ、私をお姉さまの妹にして下さい!!」
『『『『えええ~~~!!!』』』』
流石の私もこれには事態の把握に付いていけなかった。
そしてラウラが言うには『日本ではこれが当たり前なのでは?』と言ったので、言ったのが誰なのか文句を言いたかった。
流石にこれには驚いたものの、今日から私には可愛い?妹分が出来てしまいました。
ちなみに、授業が終わった後に統夜から何があったのかと言われる始末で、勝手に部屋に入ってくるラウラにどうしようかと思ってしまう日々になってしまうのは、ご愛嬌なのかな?
元々考えていたラウラの救済ですが、どうでしょうか?
次回から第三巻の内容に移行しますが、仕事休みが終わりに近づいているので、更新は遅くなります。