IS(インフィニット・ストラトス) 楽しく過ごしたい転生者 作:ナハト・リコリス
GT、そしてバイオネットとの戦いから5年という年月が経った。
GGGメンバーがこの世界に来た後、織斑千冬はあの時の戦闘時の音声データが原因で、最高峰の地位であった《ブリュンヒルデ》の称号が剥奪され、同時に彼女が持っていた資産等は全て没収。ISが世界にその性能を見せ付けた白騎士事件は再捜査する事態に発展してしまった。
その結果日本政府は、いや、国連は白騎士事件で発生していた重軽傷者や死亡者等の発生していた全てを公表する事態に発展した。
何故今頃になって国連が発表したのかというと、実はあの白騎士事件の裏で、ISが世界に発表された際に、篠ノ之束博士が最初から考えていた『宇宙進出』ではなく、『兵器』として利用しようと一部の政府高官達が策略をめぐらしたらしい。
そしてISの持っている高い性能を世間に知らしめ、今度は自分達が持つべき力として使おうと画策していた矢先に『女性しか起動できない』という欠点が明らかになったせいで思惑から外れたらしい。
まぁその反動なのか、GTの事件が原因で今日まで『ISが使える=女は偉い』と思っていたIS至上主義を掲げる女尊男卑思考の女性達は、織斑千冬がGTと協力する《テロリスト》認定された時点で、世間から冷たい視線と冷遇の日々を送る羽目になってしまった。
何しろこの事件の反動で大半が『男』と言うだけで、自分の子供や孫と言える存在を殺したり、男を道具のようにしていた面々だったので、政財界や警察等の組織、更には学校等の教育施設等の関係者は物凄いぐらい世間からのバッシングを受ける羽目になったのだ。
そして俺達はIS学園を前線基地にし、GTとの決戦になってしまった。
何しろ最強とされていた織斑千冬に対抗するには俺達の所持している支援機ISとの共同運用型の俺達の専用機だけ。
他のISでは太刀打ち出来ないと判断され、GTとの戦いも考えると立地面等を考えみればIS学園を前線基地にするしかなかったのだ。
ちなみに、織斑千冬・織斑春樹・篠ノ之箒・神城夕菜の4名は、危険なテロ組織とも言えるGTに関与したと言う事で、政府から『抹殺許可』が発行され、GTのメンバーも同様に殺す事を国連公認の事案にされてしまったのだ。
その後、俺達は何度かの戦いを経てGTの本拠地を知り、そして本拠地で首魁であるドライアスと、その仲間であるカミーラ以外の全ての敵を倒す事ができたが、この時にはドライアスは春樹の身体を、カミーラは箒の身体を奪っていた。
まぁこの二人に関してだが、春樹は俺達との戦いではほぼ負け続けており、箒は超獣のような駒がいなければさほど強敵では無く、楽に倒せるようになっていたのだ。
織斑千冬と神城の二人はこの二人がドライアスとカミーラの新たな身体になった際の隙をついて倒した。
そしてバイオネットから来ていたエルデは、IS学園にいる面々を超獣を使って人質にするという卑怯な手段で俺達をボロボロにしていたのだが、突如現れたドライアスによって粛清されて倒された。
「今思い出しても、最後の最後まで、あいつ等は反省の色も何もなかったよなぁ。春樹は【俺は最強なんだ!!】ってウザイし、清掃道具は自己中な上に独占欲を振り回しただけ出し、こっちの世界の織斑千冬に関しては周りの事を何にも考えないクズだったな。燐の世界の千冬さんに比べるだけの価値も無かったな。まぁ神城とかはあいつに目を付けられただけの被害者だけど、哀れだったな」
今思い返しても神城以外の3人に関しては更生の余地とかは一切無かったなぁと思うしかない。まぁ反省も何もできない上に、自分が持った能力で色々と滅茶苦茶にしたのだから、仕方ないと諦めるしかない。
序にだが、春樹に協力していた子達に関しては抹殺許可を申請された際に全員逮捕され、一部は未成年者だったが全員【名も無き島】へ更迭されたと聞いている。
そしてドライアスのいる本拠地に行った際には、俺・雪子・真夜の3人の機体を除いて、ドライアスの指定した日に他の面々の機体は最終決戦に挑める状態ではなかったが、俺達3人だけで最終決戦に向かった。
完全体になったドライアス、俺達3人は燐達がいるGGGの世界に再び転移してしまった
オレは燐達GGGとの連携も視野に入れつつ、GGGを解散させようと画策するバイオネットの協力者を調べ上げる為、GGGとは別組織として表向きは敵対する事になった。燐をはじめとした機動IS部隊を欺きながら地球防衛議会にいるバイオネットの内通者を炙り出すためとはいえ、オレを信じ抜く燐の目と言葉はかなり応えた。
その度に目的を話しそうにもなったが、ぐっと堪え遂に暴き出す事に成功した時に『敵を欺くには、まずは味方から』と後で思い切り燐達には謝っておいた。
「あの時は色々とヤバかったなぁ~。事情を知っている長官とかも苦渋の決断だったけど、燐達や一夏達から『裏切り者』みたいな扱いされたのは仕方ないけど、バイオネットの協力者の炙り出す為には仕方なかったんだよなぁ。まぁそれにしても、ドライアスが俺達に協力してくれたってのは驚いたけど、あいつの言った事も一理あるから、腹がたちにくいんだよな」
そしてバイオネットの総帥たる釈迦堂牙儖をドライアス自身が持っていた『悪の美学』という理念もあってか、GGGと共闘して倒し、その後何とか元の世界に帰って来る事が出来のだ。
まぁ元の世界に帰って来れたからと言って、俺達の使用したISの危険性は理解していたが、他の世界との行き来が出来ない状態なのは変わらなかったので、全員のISに対して色々と処置をして、封印する事になった。
そして世界は緩やかであるが、女尊男卑から男女平等の時代になって来ており、同時にGGGから貰っていたテラフォーミング技術を解禁するという状況になるまで、後数十年という感じになってきていた。
全ての事後処理を終え、オレは雪子達全員と結婚した。そして今では全員との子供を設け可能な限り子育てにも協力し、家族サービス、不動研究所の運営をこなしながら多忙ともいえる毎日を過ごしてた。
子供達を寝かしつけつつ、これまでの戦いを思い出していた時、GGGの世界の束が、霧也の攻撃で冥界に行った際の鎧を着て夢枕で現れ、向こうでまた新たな事件が起きたらしく、向こうの世界に行かなければならなくなった。
少しの間離れる事を雪子達に告げ、仕事の引継ぎができる人間に事情を説明し、GGG世界から展開されたゲートを使って転移した。
帰って来たら確実に3・4日は徹夜だろうと覚悟しながら・・・
でも事件と言う言葉で片付けられなかった。導かれ来たのはGGG本部ではなくギリシア。女神アテナを護るため十二人の黄金聖闘士が護る十二宮を擁する聖域《サンクチュアリ》、邪神との戦い《聖戦》の真っ最中だったのだから柔らかくも暖かな神氣に満ちた十二宮を抜け女神アテナの間に来て驚いた。
「た、束?それにユーノか?」
女神アテナが篠ノ之束で、教皇と黄金聖闘士を兼任するユーノだったのには驚いた。で、事情を聞いてみたらこの聖戦で動かなければならない人間…黄金聖闘士が、いるらしい。
今、北欧アスガルドに現れた邪神ロキを討つ為に燐達を含めた黄金聖闘士三人が出払ってる今、他の場所の守りが疎かになってると言われた。
だがその中で、唯一動かない黄金聖闘士、乙女座の黄金聖闘士【犬神霧也】に会う為に女神アテナである束と教皇ユーノに頼まれ【冥界】まで来させられたのだ…それも意外な相手と
「あ、あんたは?」
「…不動統夜くん。不祥の私の後継者を連れ戻すために力を貸してくれないだろうか?…手をとりたまえ」
黄金の神を揺らす僧衣姿の青年の手をとった瞬間、辺りが血生臭い岩肌だらけの大地、血の大河、暗い空…冥界についたらしい
「気を抜かぬように…霧也が居るのは冥界の奥《血の大瀑布》だ……」
霧也に会うまでの道中で死んだピスケスのアリシア、カプリコーンのシグナム、タウラスのヴィータ、ジェミニのユウタという黄金聖闘士との話を聞いた。
流石に黄金聖闘士の一部がリリカルなのはのキャラだったのは驚いたが、同時に戦った相手も同じ作品のキャラだったのにも驚いた。そして、死んでいった黄金聖闘士達の戦いの内容と、その最期は壮絶すぎた…
「で、あの馬鹿は俺を理由に聖戦に参加していないと…」
「あぁ。バイオネットとの戦いの際、君に対して私の技天舞宝輪をかけてしまったのが原因だ。乙女座の黄金聖闘士の資格が無いと言って聖衣まで返還したのだ…」
俺は霧也に会うまでの道を、一緒に来ている人物の近くにいないと生者である俺が【生きたまま死ぬ】みたいな事になるので、俺は離れないようにしながら一緒に歩いて行った。
「すまないな。君にも君の人生があるのだが、この世界の異変が君の世界にまで行く可能性もあるのでね…」
「俺はそうなって欲しくないからいくし、序に言ってだが、霧也をどうしようと俺の勝手にさせてもらうぞ」
俺がそう言うと、梃子でも動かない霧也の姿を知っているのか、簡単に納得してくれた。
そして俺は血が轟々と流れ落ちる大瀑布の前で結跏趺坐を組む霧也の前にやって来た。久々に姿を見たが相変わらず神様みたいな感じなのは変わらない…
「よう、久しぶりだな、霧也」
「……何のようですか?私は『知るか、お前の理由なんぞ。さっさとここからでて俺を手伝え』はっ?」
流石の霧也も唖然としていたが、そんなものは俺には関係ない。
「お前のおかげで帰ったら3・4日は徹夜が確定なんだ。と言う訳で、お前も手伝え」
「な、何を言って『お前の言い分なんぞ知るか』……な!?」
「どうせ仕事放棄するなら、俺の仕事を手伝え。お前には最初から【仲間】や【大切な者】なんていなかったんだろうからな」
「…そ…そんなことは!」
俺がそう言うと、霧也は怒ったが、俺からすれば関係ない。
「何で怒る必要がある?ここに来るまでに色々と教えてもらった。お前からすれば仇であった牙儖が消えた今、この世界の人間がどうなろうと関係ないんだろ?別の次元で住んでる俺と同じだ」
「……違う、私は…私がしてしまったことを」
「だから?お前が動かないのは勝手だが、その理由で【俺】を使うな。俺としてはお前に感謝してるが、それとこれとは別だ」
流石に俺が死ぬようなあわせた相手でもある【自分】に感謝しているという事に驚いていた。だが感謝している面もあるのは間違いなかった
「何驚いてる?俺も一歩間違えば牙儖やあの春樹みたいになっていた可能性があるんだ。まぁやっている事の大きさの規模は違うだろうが、似たような存在に成り果てる可能性はあったんだ。だが、お前のおかげで少しはマシになったと思うぞ?」
「……ですが…聖闘士としてあるまじき事を」
「別にお前がどう思おうが関係ないが、人間なんて【思い】と【出会い】で色々と変われる。良いようにも、悪いようにも。だがな、結局は【自分が未来を選ぶんだ】。どんな未来を選ぶかは、自分次第なんだぜ?だから俺は、今俺が選んだ未来を後悔する気は無い。例え違う世界でも、俺達が紡いだ絆は変わらないと思うからな」
俺はそう言って霧也の前から離れる事にした。どうせぶん殴ってもこの馬鹿は変わらないだろうが、まぁ別に良いだろうけど、おまけぐらいは良いだろうと思った。
「ま、そこに一生座ってんなら別に構わないが、この世界の刀奈や簪が狙われても知らんぞ?」
帰る間際にそんな事を言ったので、霧也どころか一緒にいた少し離れていた場所にいた青年も驚いていた。
「今起きてる事件の相手によっちゃ、牙儖と同じような考えを持っていたり、それ以上の事を考えてる奴もいると思ったんだよ?そうなれば、あの二人を燐達がカバーできるほど守ってくれるわけじゃないだろ?慰み者程度で済めばいいんじゃないか、多分?序に言っておくが、俺はお前らみたいな人外級存在相手には役に立たんから、俺に文句は言うなよ」
「………刀奈、簪が…」
閉じた瞼が微かに歪み、霧也のくちから小さく声が漏れた…血の大瀑布の前に残して歩き出した言いたい事は言った。
「君も辛辣な事を告げるのだな…」
「あんたほどじゃないし、こういう風な嫌われ役をする存在がいないとあいつは前に進みそうに無いだろうしな。それにしても、霧也の師なんだろう?あいつをなんとかできたんじゃないんですか?」
「当事者でない私がいくら諭そうとも耳を貸すことはなかろう……我が弟子は繊細でな…さあ地上の女神神殿へキミを戻そう」
「ま、まてよあなたは……」
「わたしは既に死んでいるのだ。生者であるキミを案内するまでが役目だ…オーム」
数珠を振るう彼の姿が消えていく…意識を手放して気がつけば女神アテナ神殿に立っていた…
あとで聞いた話だが冥界に案内してくれたのは霧也の師、先代乙女座の黄金聖闘士。バルゴのアスミタだったと聞かされおどろいた。
しばらくして燐達がアスガルドから帰って来て少しばかり話をしたんだが、とんでもないお土産と共に帰って来たせいで、十二宮を巻き込んだラグナロクが起きかけた…ったく燐、邪神ロキ(女)を連れて帰るから
「おい、燐。お前その内にとんでもない事になるぞ?」
「えっ?やっぱりロキを連れて来たのはダメだったかな?」
「(こいつは・・・まぁいいか。どうせ悪けりゃ3人が結託して死ぬほど搾り取られるだけだろし)」
そして少しばかり日を空け女神アテナ、教皇、邪神ロキ、燐をはじめとした生き残った黄金聖闘士に見送られれて元の世界に帰らせてもらった。ちなみに、燐に関しての事で3人にはそれなりに言ったから、何とかするだろう。
それから数カ月が過ぎた時、霧也が金色の鎧のような物を纏って俺の夢枕に立っていた
─……不動統夜…─
─…………!─
俺は殴られた…まあ仕方ないと割り切り霧也を見た。だがしかし、よく見ると黄金聖衣にひび割れが走り、血が滴り落ちている。
何がとあったと聞こうとするが口が、言葉が出なかった。そして、霧也はゆっくりと目の前に血にまみれた数珠をかざした
─…不動統夜。あの言葉が無ければ刀奈と簪を守り、女神アテナと共に戦えなかった……迷惑かも知れませんがコレを受け取ってください……ありがとう─
声は出ないまま、数珠を受け取ると柔らかな笑みを浮かべ光となってきえた…跳ね起きたオレは手に違和感を感じ見る。
磨き抜かれた神秘の数珠がジャラリと音を立て握られていた
………それから数日後、俺は胸騒ぎを感じGGG世界へ行こうと思ったが、流石に1人では色々と無理があるので、封印したISの使用制限を解除し、雪子達に協力を依頼してGGG世界のサンクチュアリに転移した。無論、霧也からの数珠を持って・・・
そして、到着したサンクチュアリで見たのは燐、凍也、霧也…3人の黄金聖闘士の真新しい墓だった。
大邪神との壮絶な戦いの末に勝利と引き換えに死を迎えた、と生き残ったユーノと疾風から聞かされた…
理由を知った俺は、こんな事をしてまで来た理由をユーノ達に話した。流石の俺も【可能性】の一つとして考えていたが、まさか当たっているとは思わなかった。
俺はユーノに頼んで、黄金聖闘士達の墓の前で束達を呼んでの宴会を開かせてもらった。宴会と言っても、簡単に酒とつまみがある程度のこじんまりとしたもので、参加者も少数のものだ。
「燐、凍也、霧也、そして先に無くなった聖闘士の皆さん、何時かは俺達もそこに行くが、その時は皆であんた達が護った世界を話してやるよ。だけど、今の俺の世界の話をさせてくれ」
そう言って俺は自分の世界の話をした。束達もただ俺の話を聞くだけにしてくれた…ただ束、ロキ、シャル、鈴、ラウラ、簪、刀奈は亡くなった三人の子供を身籠もってて、半ば砕け散るも辛うじてオブジェ形態をとる獅子座、水瓶座、乙女座の聖衣の前から離れようとしない姿に胸が痛くなった
「リッくん……」
「燐……もう大丈夫だよ…」
「我と子を残し先逝くとは……」
「デジエ…凍也さん、私、生きますわ…この子と一緒に」
「……き~くん…」
「キリくん………酷いよ…」
命を燃やし戦い勝利したとしても…残された人間は…でもアイツらは自分の命と引き換えに世界を、いや愛する人を守るために戦った…数珠を通して聖衣宿る燐、凍也、霧也の魂、いや残留思念が頭に響く
─セシリア…幸せに─
─いつまでも健やかに……刀奈、簪─
─…アテナいや束、シャル、ロキ………光ある世界で…─
燐、霧也、凍也の熱く優しい愛の言葉に涙を流してしまった。しばらくサンクチュアリに滞在し、今度はGGG側の協力で俺は元の世界に帰った。無論、もう2度と俺達が世界を渡って行き来する事は無いと誓って・・・
これで今作品は終わりです。
今まで皆様ありがとうございました。