カルデアの主人 作:けっかくん
あの男の呪縛から逃れられない。
サーヴァント達で集まって何か反撃の策を講じようとすると、私たちはいつのまにか変態じみたオナニーをしてしまう。あの男の支配から逃れる何らかの方法がないかと考えると、どうやらその思考が変態オナニーをすることに入れ替えられるらしい。
一度、数人で会って対策を講じようとした時、私は尻に酒の瓶を突っ込んでオナニーをした。「シュワシュワ~、シュワシュワシュワシュワ~♪」なんて歌いながら四つん這いになって、瓶が入ったケツを高く掲げてリズム良く左右に振っていた。思いっきり酔っぱらって、前後不覚の状態のまま何度も絶頂した。当時の記憶は全く無いが、録画を観させられたので知っている。画面にはフリフリと揺れる私の尻とプルプル揺れるおっぱいが、まぬけな歌声と共に後ろ側からのローアングルで映っていた。
それ以来、私は口から酒をのむことを禁じられた。アルコールは全て尻から摂取するのが私のルールになった。飲酒量は前と同じくらいを維持するようにとも言い渡されているので、私は毎晩まんぐり返しの姿勢を取り、尻に瓶を挿して中の液体が全て私の腸に落ちるまで待つ。
『その間、陰毛を一本ずつ引き抜いていってください。ああ、引き抜く時に一々何か擬音とかリアクションとかとるように』
自分の部屋で一人、変態の真似事をしていると、みじめで死にたくなってくる。カァーっと自分の身体が熱くなっていくのを感じながら、私は昨日、とうとう股の毛最後の一本を「ピョイーン!」と叫びつつ引き抜いた。
いや、一人の時はまだましなんだ。これが定期的に開催される「宴会」になると周りの眼がある。私は常にまんぐり返しの姿勢で尻に瓶をぶっ挿して、「ああ、この痛み快感♡」とか「やめて! 私あなたのまん毛のマンゲリーナよ!? どうしてこんなひどいことするの! ああ抜かないで、あああ~れ~(裏声)」とか言って陰毛を抜きながら席についている。当然、誰にも話しかけられない。時折常識変換されたサーヴァントに「あ、荊軻さんのお酒切れてますね」って空になった瓶と新しい瓶を交換されるだけ。私はアルコールの飲みすぎで意識が切れるまで馬鹿なことを言いながら延々と陰毛を抜き続ける。抜いた毛は大切に保管しろと言われているので、私はそれを一本一本ミニサイズのジップロックに入れる。
あの時一緒に対策を講じようと集まった他のサーヴァント達も、私と同じような目に遭っている。
変態オナニー……、あの場の全員が全員、例外なく生き恥を晒した。ナイチンゲールは服を脱ぎ捨てて、包帯で股間を摩擦していた。包帯を持つ手だけじゃなく、腰も激しく振って、ばるんばるんと乳が揺れていた。「ああ気持ちいい! なんて気持ちいいんでしょう!」と、清々しい笑顔で叫びながらのオナニーだった。
両儀式(アサシン)は姿見の鏡にへばりつき、自分が脱いだパンツを手に取って鼻に押し付けハスハスと嗅ぎ、鏡の中の自分を熱っぽい視線で見つめながら徐々に着物をはだけさせて股間を弄っていた。「可愛い……可愛い……♡」と呟きながら、愛液をだくだく漏らし、鏡の自分と何度も何度もキスをして、「イク……? いっしょにイこう? ねえいっしょに……♡」と言って、幸せそうに果てていた。
ニトクリスは自前の杖に股間を擦りつけ、「豚もおだてりゃ木に登る!」と言ってポールダンスのようにずりりとあがると、「猿も木から落ちる!」と言ってさがる。ときたま「犬も歩けば棒に当たる!」と言ってペチンペチンと股間を杖に叩きつける。その動作を壊れた玩具のように延々と繰り返していた。
自分もおかしくなっていたのにどうして他の者の痴態もわかるのかって、「宴会」の余興として大スクリーンでそれらの映像全部が上映されたからさ……。されたっつうか、その企画を考えたのは私たちなんだけど――断じて私たちの意志じゃない。ひと通りオナニーを終えた私たちは、気色ばんで「今の映像を皆にも見せよう!」って話し合った。皆が集まる宴会で余興として上映しようという計画を建てた。自作の映画を身内に公開するような調子で、私たちは映像の編集や機材の準備をした。当日が楽しみでしょうがなかった。
正気に戻ったのは当日、宴会場に入った瞬間。私たちはそこで初めて自分達が処刑台の前に立たされていることを知らされた。自分が握りしめているブルーレイディスク――「皆のオナニー」とマジックでタイトルが書かれたディスクを砕き割ってやろうとしたが、腕は思い通りに動いてくれない。私たちはそのまま、これでもかというくらい綿密にやったリハーサル通り、上映の準備を始める。
ナイチンゲールは顔を真っ赤にして、ほぼ無言だった。私がディスクをプレイヤーに挿入した時、「神よ……」と、一言だけ呟いた。対照的に式は顔面蒼白だった。やつれた表情で「コクトー、コクトー」と、わけのわからない言葉をぶつぶつ言いながらスクリーンを降ろしていた。ニトクリスは怒りの表情を見せてブルブル震えていたが、ノートPCの画面で映像の最終確認をしている時、とうとう涙を決壊させた。ボロボロと大粒の滴をこぼしながら、それでも彼女の視線は画面から全く逸れなかった。
私も皆と同じようなものだった。何かこの状況を切り抜ける方法はないかと考えて続けていたが、今思えば、ただの現実逃避だった。もうすぐ地獄が始まる。その地獄を止める手段は、どこにもなかった。
「みなさーん! お食事中すみませんが、ちょっとこちらにご注目くださーい!」
やめてくれ。見るな。注目なんかしなくていい。
自分でマイクを握っておいて、私は心からそう願った。当然そんな願い届かない。アルトリアもジャガーマンも、その場にいた全員が全員手を止めて私の方を向いた。
私は隣のナイチンゲールにマイクを渡す。
「これから宴会の余興として、私たちの秘蔵映像を皆さまに御見せします!」
かつてない笑顔で彼女は言った。
マイクが式に渡る。
「とっても恥ずかしい映像だ。これを観られたら二度とまともな顔で皆に会えない」
この辺りで皆がざわめき出す。どうも私たちの様子が変だということに気づき出したらしい。誰か何とかしてくれと必死に念じるが、会場の全員が全員、とうの昔にあの男の隷下だ。奇跡は何も起きなかった。
「では、映像を再生します! 最初は私のものから!」
と、ニトクリスが再生ボタンを押した。いかにも「素人が頑張って編集しました」って感じのオープニングが『みんなのオナニー』というテロップと共に流れ、次いでニトクリスの姿がスクリーンに登場する。
『豚もおだてりゃ木に登る!』と、映像のニトクリスが言いながら秘部を杖に摺りあてる。それと同時に再生ボタンを押したニトクリスが「ひゃんっ!?」と声をあげて股を閉じた。まさか、感覚がリンクしているのか――その予想は『猿も木から落ちる!』という映像の声からワンテンポ遅れて聞こえる「あひっ!?」という、ニトクリスの呆けた喘ぎ声で確信に変わった。
「なにこれ、変です、はぁ、はぁ、駄目――」
『犬も歩けば棒に当たる!』
「ああぁっ♡」
ニトクリスは完全に出来上がっていた。股座を両手でおさえ、その場で前のめりに倒れ込む。彼女も心配だったが、それ以上に、いずれやって来る「自分の番」に私や式、そしてナイチンゲールは怯えていた。
「ああ、イク、イキます、ああ、あああああ――♡」
ニトクリスの前あてから漏れ出した液体が、床にじんわり広がっていく。彼女は幸せそうな顔をしていた。
休まる暇なく次の映像が流れる。ナイチンゲールのものだ。全裸で元気よく包帯で股を擦る彼女の姿がスクリーンにあらわれて間もなく、ナイチンゲールは自分の股を押さえて飛び跳ねる。
『気持ちいい! ああ、なんて気持ちいいんでしょう! これは素晴らしい――!』
「ああっ、ああ、待って、駄目駄目駄目――!」
着地に失敗し、横に倒れる。それでもびくびくと身体を反らし、映像の彼女が果てるのと同じタイミングで、「――――っ!?♡」
ナイチンゲールは動かなくなった。
「け、荊軻――」
映像が切り替わる前、式が衰弱した眼でこちらを見ながら話しかけてきた。
「わ、忘れてくれ。これからオレはオレじゃなくなる。『織』でもない、あいつでもない。誰か他の奴だ。だ、だから――」
『可愛いよお……♡』
「くぅ……っ」と声をあげながら式はその場に崩れ落ちる。顔が真っ赤だった。ぜえぜえと荒い息を吐いている。『可愛い、可愛い……』と映像の式が呟く度に、彼女はビクンビクンと反応する。「オレじゃない……オレじゃないんだ……」『可愛い、可愛い可愛い可愛い! なんて可愛いの……♡』「っ!? ぃい、ああああ、あん、くそぉ、殺す、殺してやる、ころすぅ――♡」
絶頂の瞬間、眼にハートが見えた。
彼女は小便をしたらしく、床に大きな水たまりをつくってダウンした。そしてやってくる私の番。こうなったらもうどうにでもなれと、半ばヤケクソの覚悟を決めた時――
「おおっ!?」
尻に異物感。
思わず背後を手で払うが、そこには何もない。ただただ尻に冷たい何かが挿っている感覚だけが私の脳に来る。
そして、何故かそれが信じられないくらいの快感なのだ。
『シュワシュワ~』
「ああ、やめろ……! やめてくれ!」
何かが流れ込んでくる。腸内に何かが――私は仰向けに寝転がり、背中を床につけて尻の異物感を出そうと身体を捻る。残念ながらそんなことでは消えてくれない。『シュワシュワ~シュワシュワ~』という自分の声が宴会場に流れる中、私は力の限りふんばる。
「あっ、んにぃいいいい――♡」
『シュワシュワ~シュワシュワシュワシュワ~♪』
絶頂。
この世の全ての幸福を一度に味わったような快楽と共に、私はうんこを漏らしながら気を失った。
その後、私の『飲酒』と同じように他の者にもいくつかのオプションを設定された。
ナイチンゲールは衣服を剥奪され、一日に纏える布を「包帯2メートル」と決められた。マイクロビキニのように包帯で乳首と秘部を隠す今の彼女は、以前の彼女では考えられないレベルの不衛生で不格好だった。
式は「自分の姿を見ると限界を超えて発情する」ようになった。おまけに発情する瞬間までその設定を思い出せないようにされている。浴場に行くと、自分の身体に興奮してオナニーする式の姿がよくみられる。
ニトクリスは「特定の諺を聞くと壊れた機械のように股を杖に擦りつける」ようになった。常識を奪われた幼年のサーヴァントたちの玩具として遊ばれている。
私はさっきの通りだ。ただ、陰毛を全て抜き終えてしまったので、また新しいオプションが追加されるのだろう。
今、私はあの男がいつもいる管制室へ続く廊下を歩いている。「全てのまん毛を抜き終えました。新しい命令をください」と言いに行くのだ。匕首の持参は許されたが、奴の暗殺は逆立ちしても不可能だろう……。
殺生院どうすっかなあ。