この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を 作:らいじゅう
この静けさ・・・エロの前触れっ!!(高田純次)
同居したら四六時中ズッコンバッコン出来る。
そう思ってた時期が俺にもありました。
屋敷に引っ越してから数日。
洗濯物を干しながら俺は引っ越してから今日までを振り返っていた。
「のーえっちだったなぁ・・・」
のーえっちだった。
ただ、ただ、のーえっちだったのだ。
初日こそ朝までズッコンバッコンしたが、それっきり機会に恵まれず今日の今日まで致す事が出来ていなかった。━━━と言うのも、この数日凄くなついてきためぐみんが寝る前になると部屋にやってくるのだ。
寂しそうな目を見ていると邪険に扱う事も出来ず、ついつい甘やかしたくなって一緒に寝てしまう。服の袖を握ったまま小さくなって眠るめぐみんは可愛いし、頼られる事も悪い気はしないので、それ自体別に嫌ではないのだが、サトウカズマと致す機会が削がれてしまうのは何とも言えなかった。
それならば、めぐみんが爆裂魔法を撃ちにいってる昼間とも思ったのだが。そもそもサトウカズマは爆裂デートに大体引っ張られていってしまう。仮にダクネスに任せても、昼間は昼間で水色が家に篭っている為それの隙もないのだ。
水色は妙に勘が良いし、何より間が死ぬほど悪いので、どう頑張ってヤろうとしても何かと邪魔されてしまうし。
洗濯物のシワを伸ばしながら、どうした物かと俺は考えた。
「・・・・はぁ。エッチしたい」
この際、オナニーでも可・・・・・いや、思いっきりぶちこまれたいなぁ。
洗濯物も済ませお昼ご飯を作っているとサトウカズマが台所にやってきた。
随分と眠そうな様子に徹夜したのであろう事を察する。
「おはよ、今日は大分遅かったな」
「ふぁぁあ・・・おはよう。色々な・・・後少しなんだけど・・・・ちょっと機構がな」
「機構?ああ、昨日何か工作してるって言ってたな。お疲れ。手伝う事あるか?」
「今の所はない」
サトウカズマはそう言うと俺の肩に顎を置いて、寄り掛かるように手元を覗き込んできた。
「こら、危ないだろ」
「何作ってんだ?」
「野菜多目のカルボナーラ」
「野菜・・・・あの跳び跳ねてるやつ?」
「そうだぞ、跳び跳ねてたやつ。なんだよ、嫌な顔しても駄目だからな。気持ちは分からなくはないけど、お前は野菜食べなさすぎだ。ちゃんと食え」
相変わらずサトウカズマは野菜が苦手なのか、分かりやすいくらい嫌な顔を浮かべたまま「うわぁ」と呟いた。
「踊り食いしろってんじゃないんだぞ。ちゃんと火も通してシメたし・・・・それでも駄目か?」
「・・・・いや、分かった、食べる」
「それで良いんだよ」
頭を撫でてやりたい所だがあいにく手は塞がってる。
なのでその代わりに仏頂面な横顔へ頬を擦り寄せてやる。スリスリすると、少し汗臭いサトウカズマの匂いが鼻を擽った。
「・・・・んー」
応えるようにサトウカズマが擦りついてきた。
そして徐にサトウカズマの手が胸に触れる。
ちょっと横へと視線を向ければ、熱っぽい瞳が俺を覗いていた。
「カナデ━━━━」
「サトウカズマ━━━━」
「なになにーー?凄い良い匂いじゃないの。アクア様に内緒で何作ってるの?」
「「・・・・」」
どちらともなく離れた。
ジュゥゥというパスタの炒められる音だけが響く。
ひょっこり顔を出した水色は俺達二人に首を傾げた後トコトコやってきて、そのままフライパンを覗いて感嘆の声をあげた。
「わぁ、もしかしてこれ、カルボナーラじゃないの!?カナデ凄いわ!こんなのも作れるのね!」
「ん、ああ、うん。まぁ」
「ねぇ、これもう出来てるの?ううん、出来てるわよね。こんなに美味しそうだもの。私お皿出してくるわっー!」
そういってガチャガチャ準備を始めた水色。
俺達はその様子を横目に見ながら軽いキスを交わした。
取り敢えずこれで我慢しておこうと思う。
爆裂魔法をぶっぱなしにいっためぐみんとダクネスは放ってお昼を食べた後、サトウカズマは工作の材料を買いに出掛けるといって屋敷を出ていった。俺も行こうか迷ったが、いい加減庭の手入れもしたかったので水色とお留守番。
植木の手入れを一人チャキチャキしていると、「ただいま帰りましたー」というめぐみんの声が聞こえてきた。
「おかえりー・・・って、おお?どしたん?」
出迎えようと顔を覗かせたら、荷物を抱えためぐみんとダクネスがいたのだ。
「ただいまです、カナデ。これはですね、ダクネスが貰ったのです」
「ダクネスが?」
「はい。ね、ダクネス」
めぐみんに見つめられたダクネスは頷く。
「ギルドに立ち寄った帰り丁度家の者と会ってな。うちの実家から送られてきた引っ越し祝い、カニと酒だ。パーティーメンバーの皆と食べてくれと」
「『日頃、うちの娘が迷惑をかけているだろうからそのお詫びと、そんな娘と付き合ってくれてる事への感謝の印に』だそうです」
「こ、こら、めぐみん!余計な事を言うな!父様も余計な事を伝言につけて・・・・まったく」
プリプリと怒るダクネスから一つ箱を受け取る。
ちょっと蓋を開けてみると大きなカニが入っていた。
どの足も太く立派で重さもズッシリしてる。
「良いのか?これ高いだろ」
「遠慮せずに食べてくれ。今更返せる物でもないし、それに、私ごとになってしまうのだが・・・父様の気持ちを無下には出来ないしな」
「あいよ、分かった。じゃせめて美味しく頂きますか」
俺の言葉にめぐみんがパァァと笑顔になる。
「今夜はカニパーティーですね!」
「うん?そうなー、結構量あるし色々やってみるか」
「茹でるだけではないのですか?」
「新鮮そうだから色々出来るぞ。流石に生は怖いから無しとして・・・・脚とかハサミとかは網焼きにしたり、しゃぶしゃぶにして、タレとかで食べるのも旨いし━━━━」
めぐみんとダクネスの喉が鳴った。
「━━━━カニ味噌はほぐした身と混ぜて味付けすれば酒の肴になるだろうし、足の付け根の身なんてどうせ残るんだろうから取っておいて後で雑炊にするのも良いよな。ああ、殻を煮込んでスープとか作っても良いな。あっ、雑炊といえば鍋も良いな。ああ、でも流石に足りないかぁ━━━」
「ただでさえ高級な霜降り赤カニ。その名前だけでヨダレが出そうだと言うのに・・・・カナデは悪魔ですね。果てしなくお腹が減って来ましたよ」
「本当だな。それにしてもよくまぁポンポン思い付く物だ」
それから水色も加えて少し早かったが夕飯の準備を始めた。カニの調理は俺に任せて貰い、めぐみんとダクネスには食器の用意を任せ、水色には風呂の用意とリビングの掃除をお願いした。水色が何故自分は料理と全然関係ない事なの?!と文句を言ってきたが、掃除の手腕についてめちゃくちゃ褒めて、夕飯にお酒を沢山飲ませると言ったら喜んでブラシ持って飛び出していった。ちょろい。
カニの調理に入って分かった事なのだが、貰ったカニの内約半分はまさかの活カニ様。シメられてるカニ達も長持ちするように魔法が掛かっていたようで、殻を割って身を出せば新鮮のプリップリ。海産物と聞いていたので、そのままちょっと味見したらめちゃくちゃ旨かった。
刺身も用意しようと心に決める。
そうして準備をする事二時間程。
いつも皆で囲むテーブルには、出来上がった沢山のカニ料理が並んでいた。
皆でお風呂をさっさと済ませた後、サトウカズマの帰りをめぐみんとソワソワしながら玄関で待っていると、「ただいまー」という声と一緒に少し疲れた様子のサトウカズマが帰ってきた。
「「おかえりー」」
「おう!?なんだよ、二人で!?」
妙にビクついたサトウカズマはこちらの様子を窺ってきた。まるで何か悪い事でもしてきたかのようだ。
「遅かったですね?何処かで悪さでもしてきたのですか?」
めぐみんも同じ事を思ったらしい。
しかしまぁ、ズバッといくなこの子は。
それに対してサトウカズマは視線を明後日の方へと向けて「別に」と呟いた。またしても自ら白状するかような仕草を見せるサトウカズマに、思わず笑ってしまう。
サトウカズマのジト目に気づき、頑張って押さえ込んだ。
「・・・・・お前なぁ」
「はーーー、ごめんごめん。まぁ、何でも良いけどさ、犯罪とかじゃないよな?」
「んな訳あるか・・・・まぁ、色々あるんだよ」
「カズマの事ですから、大方また誰かのパンツをスティールしたとかでしょう。ふっ」
「おい、こら。めぐみんにとっての俺は何なんだ」
「私のパンツにも興味を示す、本物の変態ですが?」
「あれは謝っただろ!!」
二人のじゃれ合いを眺めていると、食堂から水色のお腹減ったコールが響いてきた。そろそろお腹と背中がくっつくそうだ。それじゃ仕方ないかとサトウカズマをからかうのを止め、三人で食堂へと向かった。
案内されるがまま席についたサトウカズマは目の前に並ぶカニに目を丸くした。こんな贅沢する余裕などあるわけがない事を誰よりも知っているからだろう。
何故かサトウカズマから本日二度目のジト目を貰った俺は、これがダクネスの実家からの引っ越し祝いの品である事を伝えた。かなり半信半疑ではあったが、ダクネスが騎士の誇りに誓って本当だと告げれば、サトウカズマに肩を掴まれ「カナデ、本当の事を教えてくれ」と何故か疑いが増した様だった。
泣くな、ダクネス━━━━あ、ダメだ。こいつ喜んでやがる。
そんなこんなもあってカニづくしな夕飯が始まった。
カニ料理は概ね好評で茹でた物も焼いた物も、皆美味しそうに食べてくれた。一応大丈夫そうなので用意したカニ刺はめぐみんとダクネスから眉を潜められたが、サトウカズマと水色には三星判定を貰えた。その様子を見て二人も挑戦したが━━━━ちょっと口に合わなかったようでしゃぶしゃぶ鍋につっこまれてしまった。惜しい。
「ねぇねぇ!皆見なさい!私が美味しいお酒の飲み方を教えてあげるわ!」
夢中でカニを食べるサトウカズマを眺めていると、突然水色がカニの甲羅と酒瓶を手に騒ぎ出した。何をするのかと思って見ていると、逆さまにした甲羅を網焼きする時に使ったミニコンロの上へ置く。熱せられる甲羅から水気が飛んだ頃、貰い物のお酒を注ぎ入れた。
甲羅が少し焦げた辺りで水色はそれを手にして、湯気のたつそれを口に含む。
「ほぅ・・・・」
おっさん臭さはあったものの、凄く美味しそうに飲む水色の姿に全員が喉を鳴らした。
直ぐにダクネスが真似をして同じようにおっさん臭い声をあげたが、サトウカズマは何かを悩んでるようで中々動かなかった。━━━━俺はというと、めぐみんからお酒を取り上げるのが忙しくてそれどころではなかった。
はい、ぼっしゅーとします。
「ケチな事をしないで下さい、カナデ!今日くらいは良いじゃないですか!私も飲んでみたいのです!ダクネスからも言って下さい!」
「若いうちから飲むと頭パーになるというしな。めぐみんはまだ止めておいた方が良いだろう」
「そん・・・・な・・・・・・ん?」
パーになる。
その言葉に俺とめぐみん、ダクネスは息を合わせたようにご機嫌で酒を飲む水色を見てしまった。
「・・・・?何かしら」
いや他意はないんだ。
つい。
大人しくなっためぐみんは芸を披露し始めた水色に任せ、俺は妙に大人しいサトウカズマの所へと向かった。
「やらないのか?やりたそうにしてたろ?」
めぐみんから奪取した酒瓶を見せるとサトウカズマは迷いを見せた。何を迷ってるのかは知らないが。
「?いらないなら別に良いけど・・・・」
「ま、いや、違う、違っ、いや、違わないんだけど、違うというか、なんつーか、こういう付き合いは必要な時があって、冒険者なら仕方ないというか・・・情報って生きる上で必要だし、人付き合いも出来るだけした方が良いから、だから悪くないというか、いや、悪いんだけども・・・」
「?よく分からないけど、迷うくらいなら飲んじゃえよ。この後予定がある訳でもないだろ。こんな良いカニ滅多に食べれないんだからな」
サトウカズマの所にあった甲羅を取りコンロの上へと置く。すると直ぐ、甲羅の焦げた芳ばしい香りが漂ってきた。もうすぐお酒の入れ頃だろう。
「カナデ・・・」
「ん?」
ちょうどお酒をいれようとした所で声が掛かった。
振り向けば意を決したような男の顔をするサトウカズマがいた。
「俺は、いらないです」
「分かった。・・・なんでちょっと泣いてんだよ」
結局その後、サトウカズマは涙を流しながらお腹と胸が一杯だと部屋に帰ってしまった。
何があったかは知らないけど、そういう時は誰にでもあるので放って置こうと思う。
俺は飲むけど。
「━━━━ほぅっ、これは中々・・・」