この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を 作:らいじゅう
これも、エロが足りてねぇからだろうな。
はぁ、エロしてぇ。
「う、うぅぅん・・・・ん?」
小鳥の囀ずりに重たい瞼を開けると、目の前に寝息を立てるサトウカズマの顔があった。気持ち良さそうに寝る姿に胸がポカポカする。
そのままずっとそうしていたかったけど、これは明らかにおかしい状態だ。サトウカズマと寝るなんてエッチした時くらい。それで状況の確認をする為に顔をあげて辺りを見渡したら、サトウカズマの部屋で一緒に眠っている事が分かった━━━━やっぱり全裸で。
体に巻き付くサトウカズマの腕。絡み付く足。
そこから伝わる体温がくすぐったくて、心地よくて、でもなんか恥ずかしくてドキドキが強くなっていく。
とてもじゃないけど、心臓が持ちそうにない。
だから離して貰いたくて、起こす事にした。
「サトウ━━━━」
「んんっ」
「━━━ふぁ」
サトウカズマの腕がぎゅっと体を抱き締めてきた。
起きているのかと思ったけど、穏やかな寝息にその様子はなさそう。子供のような寝顔を見ていると、もうこれ以上何もする気になれなくて、そのまま力を抜いてサトウカズマに体を預けた。
「もぅ・・・・」
よく分からないけど、お腹に残る暖かかさがエッチした事を教えてくれる。昨日まであったムラムラっとしていた感じが残ってなくて、何処と無く気分がすっきりしてるから多分間違いないと思う。
そっとあそこに指を沈めれば、温かい感触に触れる。それは熱くてドロッと粘っこくてヌルヌルしてた。
指を引き抜いて見てみれば、白いネバネバした物が指に絡まってる。
「っん、ん」
舐めて見れば苦味が口の中に広がった。
良く知ってるサトウカズマの味だ。
「あったかい・・・・また、いっぱいしてくれたんだぁ。すごい、まだこんなに」
覚えてないのがちょっと残念。
お酒を飲み始めた頃の記憶はあるんだけど、果たしてその後何があったのか。気持ちよかったのはぼんやり覚えてるけど・・・・。
「あかちゃん、できちゃうよなぁ、これは」
薬は飲んでるとはいえ、これだけ出されて大丈夫なものなのだろうか。娼婦のおねーちゃんから聞いた話だと、用法を守って飲んでる限り子供は出来ないって話だけど・・・・これだけ出されるとそれも意味が無いんじゃないかなっと思ってしまう。
そっとお腹に触れた。
そこは温かくて、ちょっと水っぽい。
でも何となくだけど、まだ何もいない気がする。
でもいつか、きっと出来る。
こんなに沢山されているのだから。
きっと。
その時、サトウカズマはどんな顔をするだろうか。
嫌がるだろうか、驚くだろうか。
以前責任を持たなくていいなんて言ったけど・・・認知くらいはして欲しいかな。
それで━━━━
「出来たら、喜んで欲しいなぁ・・・」
━━━━まぁ、元男との子供なんて喜ぶとは思えないけど。流石にそれはサトウカズマに甘え過ぎだもんな。
その時はちゃんと━━━━。
コンコン。
そんな音がドアから響いてきた。
「カズマ、おはようございます。ちょっと聞きたい事があるのですが━━━」
その声に心臓が飛び跳ねた。
不味いっ、そんな思いが頭の中を駆け巡る。
何が不味いって?何もかもだ。裸でいる事もそうだし、サトウカズマと一緒に寝てる事もそうだし、体に染み付いてる精液の臭いもそうだ。
流石に子供のめぐみんに、こんな姿は見せられない。
再びノック音が響き「カズマー」と可愛い声が聞こえてくる。扉を開けようとしてるのかガチャガチャとドアノブを回す音も聞こえたが、鍵が掛かっているのか開く気配はない。
「カズマーまだ寝てるのですかー?起きてください。聞きたい事があるのです」
繰り返されるノック音と声に、サトウカズマは眉間にしわを寄せながらうっすら目を開けた。
「・・・朝からなんだよ、めぐみ・・・・・ん」
不機嫌そうにめぐみんに言葉を返したサトウカズマだったが、直ぐ隣に俺の姿がある事に気づき、寝惚けていた目を見開いた。
「おはよ」
めぐみんに聞こえないよう小さく声をかけると、一気に顔を青ざめさせる。状況を把握したらしい。
「あ、起きましたか。カズマに聞きたい事があるのです」
「あっ、はぁ!?え!?聞きたいっ、ほぉ!!?どうした!!めぐみんっ!!」
「わっ!!?何ですかいきなり!叫ばないで下さい!心臓に悪いです!!」
多分サトウカズマの方が心臓に悪い状況だろう。
ちょっと前に起きてて状況を把握してる俺でも、冷静とは言い難い程ドキドキが止まらないのだから。
サトウカズマを落ち着かせる為にそっと口元に指を押し当ててやる。そうすると直ぐに落ち着きをみせた後、強く頷いてきた。任せろ、らしい。
「━━━━あ、あぁ。めぐみん君、どうしたのかね?話したまえ」
「いきなり対応変わり過ぎです、何処の紳士ですか。いえ、まぁ、それはどうでも良いのですが・・・・カナデが何処に行ったのか知りませんか?昨日ダクネスと遅くまで飲んでた筈なのですが、部屋に帰ってきてないみたいなのです」
ここにいるからな。
ついでに言うと恐らくここでセックスしてたからな。
サトウカズマは何とも言えない顔で「ソウカ」と呟いた。
「そうなのです。ダクネスの部屋にも行きましたが『ナニモシラナイ、ヨ』とカズマみたいに片言で話すばかりで・・・・」
ダクネスと飲んでいた・・・・?
その言葉に頭痛がした。
何か大切な事を忘れてる気がする。
いや、忘れていた気がする。
パンドラの箱を前にしたような気分な俺を放って、サトウカズマはサトウカズマで「頭痛が痛い」とか訳の分からない言葉を呟いていた。
「カズマ?聞いていますか?」
「き、聞いてる!聞いてる!えっとだな!カナデは、そう、出掛け━━━━」
「出掛けてはいないみたいです。門が閉めっぱなしでした。ついでにいうと、裏口も中から鍵が掛かってました」
カズマの額に脂汗が滲む。
「庭の掃除でも━━━」
「物置小屋も見に行きましたが、ホウキや植木ハサミは置きっぱなしでした。ついでに、軽く庭を散策しましたが人影もありませんでした」
カズマの呼吸が乱れる。
「ほ━━━━」
「他の部屋も一通り見ました。何処にもいませんでした。念の為に屋根裏部屋も覗いてみましたが、床には埃が被っていて人が歩いた痕跡もありません。地下室も同様です━━━探してない部屋はもうここだけです。カズマ」
カズマの体に触れているから分かる。
心臓が面白いっくらいにバクバクしてる。
ふとカズマから目を離しもう一度部屋を確認すると、部屋の隅に畳まれた服を見つけた。
俺のパジャマだ。
「カズマ、もう一度聞きます。カナデが何処にいるか、知りませんか?」
確信を持った台詞と共にジャラっという金属音が聞こえる。それが何か察した俺はベッドから転がり落ち、そのまま音もなく着地、流れるように服へダッシュする。
カチャリ、カチャリ。
鍵を合わせる音が聞こえる。
サトウカズマがガタガタ震える。
俺はささっと着替え窓を開ける。
サトウカズマの部屋は三階、地面まで一気に降りるには流石に高い。
真下を見れば下階の部屋に備え付けられた、石で縁取られた頑丈そうな窓が見えた。
「おいっ、カナデ!?」
「直ぐ助けにくる、頑張れ」
窓から飛び降り、下の部屋の窓に手を掛ける。
開いてれば良かったのだが、残念な事に窓には鍵が掛かってる。仕方がないので予定通りそのまま地面に着地。
上から「マジか、カナデ」とサトウカズマの声が聞こえる。
入り口に走り出すとほぼ同時、勢いよく扉を開ける音と「カズマ!!御用です!!」というめぐみんの怒号が響いてきた。ついでにカズマの野太い悲鳴も。
「━━━って、あわわわっ!?か、カズマ!!なんて格好しているんですか!!本当に変態にジョブチェンジしたのですか!?」
「うるせぇぇぇ!!色々あるんだよ、ジロジロみるなぁ!!スケベぇ!」
・・・・・・頑張れぇ!
それから五分程。
入り口から屋敷に戻った俺は、さも悲鳴を聞きつけやってきましたという体でサトウカズマの部屋を訪れていた。水色とダクネスのおまけつきで。
「カズマ、いいえ、クズマさん。同じ一つ屋根の下に住む身として、いくら慈悲に満ち溢れた私でもそんな趣味は看過出来ないわ。麗しき女神である私に劣情を催して、一人寂しく裸で慰めているなら━━━それはそれで断罪するけど━━━まだしも『冬の寒さを全身で感じたかったんだ』なんて理由で真っ裸になる変態はいやよ、無理よ。えんがっちょよ、えんがっちょー!」
「まぁまぁ、カズマも出来心だったんだ。寒さを感じたくなる気持ちも私も分かる。あれはあれで良いものだ。・・・それにカズマは自分の部屋で裸になっただけだろう?その後、裸でめぐみんを取り押さえてたのは褒められた事ではないが、あんな状況なら混乱もするし間違えもする。それにまだ初犯だ。長い目で見ていこう」
「変態を長い目で見てどうするつもりなの!?ダクネスみたいな子が増えたら困るんですけど!?」
「それはどういう意味だっ!?」
よく分からない会話をする二人の前で、サトウカズマがタオル一丁で正座してる。なんか、とてもシュールな絵だ。
サトウカズマが変な言い訳してめぐみんを取り押さえるから、凄い混沌としてしまった。『俺は冬を感じたかったんだあああ!!』は流石に無理がある。大人しくして待っててくれれば良かったのに・・・。
俺はというと、怯えた様子で抱き着いてくるめぐみんの背中をポンポンしてる。余程びっくりしたのだろう。可哀想に。よしよし、びっくりしたねー。いきなりあんなブーメランちんちん間近で見たらびっくりするよねー。
ポンポンしながらサトウカズマ達を傍観してると、何を思ったのかめぐみんがすんすんと臭いを嗅ぎだした。さっきのサトウカズマのような、嫌な汗が俺にも滲む。
「カナデ、なんか臭いです。何ですか、この臭い・・・ん?嗅いだことがあるような?カズマの━━━」
「サトウカズマの洗濯物触ったからか?あいつの洗濯物たまに凄い臭いするからなぁ」
これは嘘だけど、丸っきり嘘でもない。
一番最初サトウカズマを襲った時、あの時はまだパンツ超精液臭かったもん。むおぉおって、したもん。むおぉおって。
「━━━・・・・そーいう事にしておきます」
そう言ってめぐみんは、グリグリと頭を押し付けてきた。その何処となく犬っぽい仕草に、昔近所で飼っていた妙に人懐っこい犬を思い出してしまう。誰にでも尻尾をふる馬鹿ワンコだったけど・・・そんな馬鹿ワンコを撫でるのは日課で、好きな事だった。
ワンコを思い出しながらめぐみんの頭を撫でてみたら、そんなに嫌そうじゃなかった。寧ろもっと撫でろと言わんばかりに頭をグリグリされてしまう。
なので一杯撫で回してあげた。髪の毛がグシャグシャになるまで。
サトウカズマがなんやかんや許された頃、バカデカい警報音が鳴った。すわ、やっぱりゴジ●がいるのか!?と思ったけどそうじゃないようで━━━━
『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報、機動要塞デストロイヤーが、現在この街へ接近中です!冒険者の皆様は、装備を整えて冒険者ギルドへ!そして、街の住人の皆様は、直ちに避難してくださーいっ!!』
━━━━そんな悲鳴のような声が響いていた。