この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を 作:らいじゅう
拝啓、父さん。
冬将軍の到来により寒さも本番になってきました今日この頃、如何お過ごしでしょうか。相変わらず寒いのは苦手だと、南半球の何処かに逃げていますでしょうか?オーストラリア辺りでしょうか?カンガルーと殴り合うのは程ほどにしてください。あとご機嫌とりにお土産買って帰っても、借金取りしかいないので気をつけて下さい。一円も返済出来ていないので、ひゃくぱー捕まります。またインド洋でマグロ漁かベーリング海へ蟹漁行きですよ。
さて、色々あってぽっくりいった俺ですが、今はアクセルの街という所で冒険者という仕事をして、なんやかんや元気に楽しく過ごしています。念願の女の子にもなって、今はサトウカズマという男友達と楽しいセックスライフを送る日々です。エッチって、本当良いものですね。ズッコンバッコンはとても素敵です。子宮口をグリグリされるのがたまりません。中出し最高です・・・と、少し話が脱線しましたので戻します。
こちらに来てから色々ありましたが最近は冒険者仲間であるパーティーメンバーと大きなお屋敷で同居しています。水色という頭のネジが幾つか外れたお酒好きな宴会芸マスターの女の子、何処か頭のおかしいけれど子犬系で可愛いめぐみんという女の子、ドMノーコンメス豚むっつり騎士━━━それとさっき言ってたサトウカズマもその一人だったりします。
同居という事もあって色々とありましたが、それも皆で協力して解決し毎日楽しく過ごしていた・・・のですが、少しだけ見逃せない問題が起きてしまいました。せったく住み着いたお屋敷を壊そうとするゴジ●的な何かが来てしまったのです。
ですから俺達は━━━━━。
「っうだらぁ!!!」
ゴジ●的なそれと元気に絶賛戦争中です。
停止したデストロイヤーに乗り込んだドMを追いかけて少し。俺は自前のモーニングスター先生を立ちはだかるゴーレムの顔面に叩きつけていた。
砕け散る顔面に浮かぶ光の瞳。
輝きが消える気配はない。
だから再び振りかぶり、思い切り振り下ろす。
バキャッと石が飛び散り頭が粉砕。
今度こそゴーレムの体から力が抜けていく。
「カナデさんっ!」
声に振り返ると死角となっていた通路からゴーレムが腕を振り上げてやってきていた。
身を屈め振り回された攻撃をかわし、がら空きになった脇腹へトゲトゲしい鋼鉄の塊を叩き込む。鈍い音と共にゴーレム装甲が歪み、ゴーレムは目の光を揺らしながら僅かによろめく。
その隙を逃すまいと大剣を構えた男が滑り込んできて、ゴーレムを頭から幹竹割りに一刀両断する。
見事な一振りに少しだけ感心した。やったのがそいつじゃなければ見惚れたかもしれない。
「大丈夫だったかい?」
そう言ってギザっぽい笑顔で振り返ったのは、いつかの気持ち悪い奴。名前は忘れた。ミタラシとか、そんなんだった気がする。
「ま、大丈夫。ありがとミタラシ」
「いや、気にしないでくれ。同じ冒険者、いざという時は助け合わねば・・・・ミタラシ?━━━はっ!またかっ!」
ミタラシが見つめる先に視線を向ければワラワラと現れるゴーレムが見える。俺は一緒にゴーレム討伐に残ってくれた冒険者達へ号令をかけ再び迎撃を開始。手当たり次第に力一杯ぶっ叩いていく。
「しかし、このゴーレムの数は辟易するね。先に進んでいった皆が心配だ!女神様━━━━いや、アクア様達も無事だと良いが!」
ミタラシがゴーレムを撫で斬りにしながら声を描けてきた。まだまだ余裕があるらしい。
「大丈夫だっ、ろぉ!!この集まり方なら、こっちに大半引き付けられてるだろうしっ!!それにあっちにはサトウカズマがいる━━━━あっ!!先生ぇ!?」
ゴーレムの頭を叩き飛ばした瞬間、モーニングスター先生の柄が崩御されてしまった。気持ちが良いくらいにポッキリだ。
まさかの状況にびっくり、せめて向かってくるもう一体分くらいは生きてて欲しかった。
「カナデさん、これをっ!!」
ガンっ、という音が聞こえる。
声に顔を向ければゴーレムが持っていた大きめのメイスが飛んで来ていた。体勢を考えれば蹴り飛ばしたのだろう。人が蹴り飛ばせるサイズじゃないだろう、とか心の中でツッコミつつそれを掴み━━━気合いと根性で振りかぶる。
「━━━━どぉぉぉっ、せぇい!!!」
轟音が鳴り、衝撃が手に走り、粉砕したゴーレムの欠片が飛び散る。頭を潰されたゴーレムはよろめきながら後ろへと倒れていった。立ち上がってくる様子はない。
メイスの感触を確かめていると、ミタラシが親指を立てて見せてきた。
「ナイス、カナデさん」
「さんきゅ、ミタラシ」
「・・・ミタラシ?」と首を捻るミタラシは放置し、俺はまだ動いているゴーレムへと向かった。先にいったサトウカズマの道が少しでも開けるように。
少し前、ダクネスを追い掛けて中に侵入すると、ゴーレムの群れにリンチされる恍惚の表情を浮かべたダクネスに遭遇し━━━あ、いや、沢山のゴーレムと遭遇した。
その数は数えきれないほど多く、また中々に頑強揃い。それでも全員で戦えばなんなく倒せる相手だったが、生憎と全員が戦うスペースはなく、その上のデストロイヤーの自爆を阻止する為の時間も限られていた為に断念。結局、戦闘班をデストロイヤーの動力源を壊す突入班と、敵を引き付ける囮を兼ねた迎撃班の二つに分け行動を開始する事になった。
サトウカズマは水色と突入班に。
俺はダクネスと共に迎撃班に。
サトウカズマは俺が迎撃班として残る事を最後まで納得いって無さそうだったけど、そこは適材適所という事で納得して貰った。一緒についていった所で魔道具の事なんて分からないから手伝える事はないし、俺がいなくてもフォローしてくれそうなメンツが揃っていたし━━━━何より、あの
そうしてなぶられるダクネスをささっと助け、俺は戦い始めたのだ。
戦い始めて暫く、ゴーレムの数が数える程度になった頃。鼓膜を揺らし続けていた警報が止まった。突然の事に何人かゴーレムに不意を打たれていたが、しっかり者の俺はそんなドジしない。目の前の奴を殴り倒してから様子を窺ったので全然大丈夫だ。
「危なかったね、カナデさん」
助けられてなどいない。
経験値を譲ってやっただけだ。
そんな事よりサトウカズマ達は大丈夫だろうか。
警報が止まった以上動力源の暴走は止まったのだろうが・・・。
「・・・・そこまで無視されると、流石に僕も傷つくんだけど」
「うるさいなぁ、何だよ」
喧しいので見てやれば、ミタラシが苦笑いを浮かべ頬をかいていた。
「戦闘中、中々息合っていたし、その、悪くない感じだったような気がしてたんだけど・・・・大分嫌われちゃってるみたいだね。僕」
嫌いというか、なんというか・・・・。
「嫌というより、生理的に受け付けないというか」
「ああ、うん、聞かなければ良かったかな」
ミタラシは酷く落ち込んだような顔になった。
それでも油断はしてないのか、背後からきたゴーレムを一太刀で切り伏せる。戦闘中ソードマスターがどうとか言ってたけど、腕は確かなようだ。不意討ちとはいえ、サトウカズマよくこいつに勝てたな。
「━━━ふぅ、あとは大丈夫かな。・・・あー、僕の話を聞くのも嫌だとは思うんだけど、少し聞いて欲しい事があるんだ。あの時、そう、サトウカズマと勝負した時の事さ」
「今更・・・?勝負についてだったら、もう終わってる事だろ?」
「あ、違う!怒らないで聞いてくれ!・・・・勝負は僕の敗けだ、それは間違いない。油断していたとはいえ、ソードマスターでありながら駆け出しの冒険者に負けるなんて言い訳も出来ないよ。そうじゃなくて・・・・その、あの時の言葉を撤回したくてね」
撤回という言葉に首を傾げるとミタラシが頭を下げた。
「すまなかった。君達のことをよく知りもしないで、貶めるような事を言ってしまって━━━━本当にすまなかった」
その言葉にはただただ誠実さが滲んでいた。
顔をあげたミタラシの目もまた馬鹿みたいに真っ直ぐで、駆け引きとか苦手なんだろうなぁとか、女の子関係で知らず知らずのうちにやらかしてる系なんだろうなぁとか思ってしまう。
「女神様━━━━いや、君達がアクアと呼んでいる彼女は僕の大切な恩人なんだ。あまり詳しくは言えないんだけど・・・本当に大切な人なんだ。だからあの時、檻に閉じ込められてる姿を見て、ついカッとなってしまって・・・・あ、いや、すまない。言い訳したい訳じゃなかったんだけど」
「いいよ、もう別に。そもそも俺は怒ってないし。いうならサトウカズマに直接言ってくれ」
「ああ、サトウカズマにもいずれ。・・・というか、怒ってないのか。じゃぁ、その、本当に?」
「おう、生理的に受け付けないだけだ」
うめき声をあげながらミタラシは胸の辺りを擦った。
凄い苦しそう、なんか効いたようだ。
「ぼ、僕、その・・・・アクア様にも毛嫌いされてるみたいなんだけど・・・・何でかなぁ?」
「その理由に気づいてない所とか、もう既にアウトだと思うんだが」
「・・・・自分で考えてみるよ」
項垂れるミタラシを眺めているとその声が聞こえた。振り返ればちょっと枯れたサトウカズマの姿が見えた。
手を振れば弱々しくだけど手を振り返してくる。
おや?なんか手がちょっと赤いような気がする。
何をしたんだか?
「・・・・サトウカズマが羨ましいよ」
「ん?なんか言った?」
「いや、こっちの話さ。それより僕なんて放って行った方が良いと思うよ」
「んん?まぁ、言われなくてもそうするけどさ。じゃ、またな」
「ああ、また」
それからサトウカズマと合流し、分かれていた間に起きた出来事を教えあった。何故だかしきりにミタラシの事を聞いてきたが、あれはなんだったのか?もし変な勘違いして嫉妬してるのだとしたら心外としか言えない。俺にも相手を選ぶ権利がある筈だ、と。そう言いたい。
途中いなくなっていたダクネスとも再会し一件落着━━━となれば良かったんだけど、そうは問屋が卸さずデストロイヤーまさかのリベンジ暴走。すっかり勝ちムードに浸っていた冒険者達の間でパニックが起きた。
「『エクスプロージョン』ッ!!」
まぁそんな一波乱も、サトウカズマのスキル・ドレインタッチによって水色から大量の魔力を貰ったうちの頭のおかしい破壊系魔法女子が、笑顔と共に木っ端微塵にしてくれたんだけど。
ん?デストロイヤーの更なるリベンジ?
無かったよ。ほんこれで、終わり。
報奨金幾らになるんだろうか。
借金返し切れたら良いなぁ。