この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を 作:らいじゅう
二次会を抜け出してきた俺達はいつもの宿に来ていた。
家で出来るなら一番安上がりだけど、先に帰っためぐみんの事もあるし、仮にめぐみんがぐっすり寝ていても、いつ水色達が帰ってくるかもわからない以上、よそでするしかないから仕方ない。最近ちょっと不注意な時があったけど、それは、まぁ、ね。うん。
そうしていつものように受付を済ませ借りた部屋に入ると、直ぐサトウカズマが後ろから抱き着いてきた。
以前その流れで無理やりされた事があるので少し体が強張ってしまったが、今夜のサトウカズマのそれは力強いけど優しくて、何処か安心するような抱擁だった。
俺は抱き締めてくるサトウカズマに体重を預けながら、伝わってくる体温とその鼓動に意識を向けた。
静かな時間が過ぎていく。
「サトウカズマ、お風呂どうしよっか」
いつまでもそうしていたかったけど、時間は限られてる。だから惜しい気はしたけど先を促した。
するとサトウカズマは腕の力を緩め離れた。
「・・・・悪い、ちょっと先に汗流してくる」
「そう?分かった。待ってる」
一緒に入る気だったので意外だ。
まぁ、一人で入りたい時もあるだろうから無理強いはしないけども。
ベッドに腰掛け待っていると、そう時間も掛からずサトウカズマがお風呂場から戻ってきた。さっぱりした顔してる。ちょっとほろ酔いだったそれも、今では綺麗さっぱり覚めてるようだ。
気分が盛り下がったりしてないか心配だったけど、股下を見て安心した。全開でないもののちゃんとしてる。
入れ替わるように風呂場に入り汗を流す。
せっかく入るのだからとよく洗っておく。
どうせなら石鹸の匂いを漂わせていこうと思ったからだ。
男はふとした時に香る、そういう匂いが好きらしいし。女性に性的な興奮を殆んど覚えなかった俺としてはイマイチピンとこない話だけど、前の親友がそう力説してた。童貞のいう事だから、何処まで信憑性があるのか謎だけど・・・いや、サトウカズマも似たようなものか。とっくに童貞やめてるのに、変なやつだ。
「・・・・嗅がれるのか」
なんか臭いを嗅がれる自分の姿を想像したら、今更ながら恥ずかしくなってきた。今までもエッチの時そういう仕草をする事はあったけど、改めてされるのとではやっぱり違うものがある。
「もうちょっと、洗っとこ・・・」
念入りに洗った後、タオルを巻いて風呂場から出るとサトウカズマがベッドに腰掛けていた。
隣へと座ればサトウカズマの顔がこっちに向く。
その目に宿った物に気づいた俺は目を瞑る。
「っん━━━━」
サトウカズマの唇が、俺の唇に押し付けられた。
しっとりした柔らかい感触と、ほんのりとした温かさが伝わる。
ふと、唇が離れた。
思わず目を開くと、熱の籠った目と視線が交差する。
サトウカズマは何も言わずと俺の体を引き寄せ、またキスをした。舌を潜り込ませるような激しいキスじゃない。さっきのような優しいキス。
サトウカズマとのキスは嫌いじゃない。
伝わってくる感触も温かさも。
肌に触れる吐息も、荒い息づかいも。
好きだと言っても良い行為だ。
でも、今は何とも言えない違和感を感じていた。
今押し付けられてる唇に。
交わした眼差しに。
肩に触れた掌に。
キスされたまま、ゆっくりベッドに押し倒された。
唇を離したサトウカズマは首筋に顔を埋め、覆い被さるように抱き締めてくる。
サトウカズマの体は酷く火照っていて、触れ合った肌がいつもより熱く感じる。脈うつ鼓動の音も。
何となく甘えられてる気がして、頭を撫でてやる。
「・・・お前は俺のお母さんか」
「ぷふっ、悪いちょっとな」
ちょっと笑ってしまうと抱き締める力が強くなった。
怒ったのかと思ったけど、そんな感じではない。
そのまま撫でてると肌に触れているサトウカズマの唇が動いた。
「デストロイヤーと戦う前、言いかけた言葉があるんだが・・・・お前覚えてるか?」
「なんだよいきなり。まぁ、うん?そんな事あったかもな」
「あったんだよ・・・・」
そう言うと、サトウカズマの顔が上がった。
さっき見た目と視線が交差する。
「カナデ、お前の事が好きだ。俺とちゃんと付き合ってくれ」
「へぇ・・・・」
好きなのかぁ・・・・へぇ。
ふぅん、成る程なぁ。
へぇ。
それで付き合ってくれと、成る程なぁ。
「ぇぇぇぇ?」
なんつったこいつ?ん?
んんんん??
んーーーーーーーーー?
俺の理解が追い付いてない。
それは分かった。
分かったが、それから分からない。
取り敢えず頭を疑った方が良いのか、それとも耳を疑った方が良いのか。まずはそこからだと思う。
「サトウカズマ」
「あ、ああ」
俺は自分の頭を指差した。
「取り敢えず、俺の頭を叩け」
「分かった・・・・いや、何で!?」
「まずはそこからだと思うんだ」
「俺が告白すると何が起きるの!?いや、何が起きてんの!?どうなっちゃうの!?」
どうなる?それは俺が聞きたい。
何がどうなってそうなるのか。
「いや、だって、なぁ、意味が分からないと言うか。成る程、ここは夢の国では?」
「生憎ここは千葉じゃないぞ。で、意味は分かるだろ・・・難しい言葉言ってないぞ」
「言葉の意味は分かる。けど、そうなるとますます分からないんだが・・・・・その、自分で言うのも何だけど、俺元男で、しかもお前の事襲った犯罪者予備軍ぞ?」
「・・・・そういう自覚はあったのか」
「それは、まぁ、流石に」
告発されたら一発だという自覚はある。
幸いサトウカズマが性欲に流されてくれたから大丈夫だけど、相手によってはそくお縄物だ。まぁ、そういうのも含めて人選し、サトウカズマを狙ったんだが。
「はっ!ストックホルム現象・・・・!」
「その確信したみたいな顔止めろ。違うからな」
「他はちょっと思いつかない。俺精神科医ではないから・・・・」
「病名を引っ張りだそうとするなぁ!精神疾患とかないからぁ!!人が頑張って告白すればこれかぁ!!この野郎!!」
真上にあるサトウカズマの顔を見てると、嘘をついてるようには見えない。ハーブキメてるような、虚ろな目でもない。そうなってくると俺の頭が・・・・はっ。
「あぁ、好きってあれか、家族としてとか?」
「お前は家族とこんな事すんのか?」
少なくとも父親とした事はない。
親戚付き合いも碌に無かったから、近親者とは縁すら一切ないな。
「いや、ないな。した事ない・・・・」
「異性として、好きなんだよ。流石に愛してるとか、そういうのはまだ言えないけど・・・・ちゃんと、こう、色々考えて出した答えなんだよ。信じてくれよ」
サトウカズマの目はわりと正直だ。
嘘をついてると直ぐ分かる。
そんなに長い付き合いじゃないけど、もうどんな時でも、それを見破れる自信はある。
なのに、その目は少しも揺れて無かった。
照れは浮かんでても、真っ直ぐで。
ちゃんと、こっちを見るのだ。
そんな筈がないのに。
『ごめん、奏ちゃん』
そんな事ある訳がないのに。
『ごめん、奏太』
だってそれは、おかしい事なのだから。
◇◇◇
「━━━━ごめん」
酷く弱々しい声が聞こえた。
情事の時によく聞く艶めかしい声でも、普段の明るく楽しげな声でもない。
カナデから聞こえたのは掠れた弱い声だった。
「俺、お前と、そういうのは考えられない」
フラレた、と。
こいつと出会う前の俺なら、きっとそう思っただろう。
「あのさ、このままの感じじゃ、駄目か?」
辿々しく語られる言葉の、その震えに気づかないで。
ほんの少しだけ見せた、嬉しそうな顔に気づかないで。
「別に責任とか取って欲しいとか、そういうのはないんだ。それは俺が自分で何とかするから。良いだろ?だって、今もそれで上手くいってるし。WinWinじゃん。だからなっ━━━━━━ん、あっ、ん」
塞ぐように唇を重ねた。
少しだけ動揺していたけれど、カナデはただそれを受け入れてくれた。そして差し込んだ舌に、ちゃんと応えてくれる。
何度か舌を絡め合った後、唇を離すとカナデの目に俺が映っていた。
「カナデ、好きだ」
「それは・・・聞いた」
「お前とちゃんと付き合いたい」
そう伝えるとカナデは顔を曇らせて黙った。
どうしてかは分からない。
でも、何となく本当に嫌な訳じゃない気がした。
「カナデ、好きだ」
だからキスを落とした。
唇に、頬に、首筋に、胸元に。
唇が肌に触れる度、手で押さえたカナデの体は小さく震える。
耳には小さいけれど、可愛い喘ぎ声も聞こえてくる。
そのまま胸を覆っていたタオルを取り払えば、大きく膨らんだ二つの乳房が露になった。カナデの呼吸に合わせて二つの乳房は僅かに揺れる。
キスしようと顔を近づければ石鹸の良い匂いがした。
風呂場にいる時間が長かったから一回くらいオナニーでもしてたのかと思ったけど、念入りに洗っていただけらしい。カナデのなら別にそのままでも良かったのだが、それは言わないで置こうと思う。怒られる気がする。
乳輪には触れないよう、キスしていく。何度も。
本音で言えば立ち上がったピンクのそれにむしゃぶりつきたい所だが、ここは我慢してじっくり攻めていく。
別にいきなりでも怒りはしないが、M気質のあるカナデは焦らした後だと凄く良い反応をするのだ。
抵抗する様子がなさそうなので体を押さえていた手でそのままカナデの肩を撫でる。柔らかくてスベスベした肌には、じんわり汗が滲んでいた。
顔を少し覗けば、カナデの頬は赤く染まっていた。
肌の感触を味わいながら肩から鎖骨へ指を滑らせ、乳房を避けて脇をなぞり、細く引き締まった腰に触れる。
触れた腰から臀部に掛けてゆっくり撫で下ろせば、びくりと大きく跳ねあがった。
「っひゃ」
小さい悲鳴が聞こえる。
けれど、そこに本気の拒絶は感じない。
「カナデ、触るぞ」
「っ━━━ん」
カナデの秘部に指を押し当てる。
温かくぬるりとした感触に誘われるように、指を愛液にまみれたそこへ潜り込ませた。
ズブリ、と。
抵抗もなく指が沈んでいく。
まるで飲み込むように。
俺は指を肉壁に押し付けながら外へと引き抜いた。
カナデの閉じられた口から甘い声が漏れる。
頬は更に赤く、目は潤む。
それを繰り返す度、カナデの口から止めどなく甘い声が漏れていく。告白してから強張っていた体から、段々と力が抜けていくのが分かる。
カナデの声が押さえきれなくなった頃。
立ち上がったピンクのそれを口に含み一気に吸い、カナデの中には潜り込ませた指で弱い所を強くなぞる。
「ふぁ、ああぁん!!」
瞬間、カナデは嬌声をあげながら大きく腰を浮かせた。
股の割れ目から熱い物が滴っていく。
ビクビクと小刻みに震えるカナデの体を持ちあげ、蕩けた顔のカナデと唇を重ねる。少しだけあいた唇に舌を潜らせ、舌と舌を絡ませる。カナデの口から溢れる唾液も溢れる吐息も、どうしようもなく甘い。
「っず、ま」
小さな声にハッとし唇を離した。
夢中で貪っていた事を反省したが、直ぐに意識は別の事に捕らわれた。
カナデの熱の籠った目がこっちを見ていたから。
「したい、かず、まと、したい」
濡れた唇から声が漏れていく。
「かずまと、したい」
カナデの手が俺の頬に触れる。
触れたそれは思っていたより冷たい。
でも嫌じゃ無かった。
「俺もしたい、カナデと」
そう答えると見つめた先、カナデの目からまたボロボロと滴が零れていく。頬に伸ばされたその手を握ってやれば、カナデの艶やかかな唇がゆっくり開いた。
「・・・おれも、すきでいい?」
それは弱くて。
「おれ、こんなだけど」
不安に満ちていて。
「へんだけど」
酷く痛々しくて。
「・・・・かずまのこと、ちゃんと、すきでいい?」
でも、懸命な言葉だった。
気がついたら抱き締めていた。
柔らかくて抱き心地の良いその体を。
カナデの泣きじゃくる声が鼓膜を揺らす。
頬を伝い落ちる熱いそれが肌に触れる。
聞きたい事がある。
きっと沢山。
でも、それは後だ。
「カナデに、好きでいて欲しい」
返事は聞かず、また唇を重ねた。
今度は離してやらない。
その顔から曇りが消えるまでは。