※この作品はR-18です。

この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を   作:らいじゅう

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これにて裁判編終わりー( *・ω・)ノ
終わらせてやったぞ、こらぁー!!
エロやるぞ、のらぁー!!


小便は済ませた?神様にお祈りは?ああ、待て、ごめんって。誰がタライ持ってきてー。

「━━━よ、カズマ」

「おう、カナデ」

 

準備という準備を済ませた、運命の決戦の日。

被告人に誂えられた部屋で俺達は最後の打ち合わせの為、その顔を合わせた。緊張しているのかカズマは死にそうな顔をしていた。言い出しっぺ、おい。

 

「信じてるぞ、カナデ。アクア、めぐみん、ダクネス」

 

目が泳ぎまくるカズマに、めぐみんが小さく溜息を溢した。

 

「声はしっかりしていますが、そのすがるような目は止めて欲しい所なのですが。私達カズマの号令でこうしているのですよ?」

「緊張するのは分かる。だが、ここは私達を信用してくれ。カズマはパーティーリーダーとしてどっしりと構えていれば良いのだ。任せろ」

「さっさと勝って帰って宴会よ!カナデに我慢させられた分、一杯飲むわよー!おーー!」

 

「おい、最後のやつ」

 

水色の気の抜けた発言にカズマのテンションが少し戻った。流石女神。人の心を救う為に、空気ブレイクなんてお茶の子さいさいな。はいはい、ワチャワチャしない。ワチャワチャしなーーーい。カズマ!水色!待てだ!!ステイ!

 

緊張が解れた所で前日の打ち合わせ内容を再確認し、軽いエールを掛け皆で部屋を後に━━━━━する筈だったのだが、カズマに呼び止められた。

皆に裁判の準備を任せて先へ行かせ、カズマの元に向かう。何やら妙にモジモジしてる。

 

「どした?」

「・・・・いや、な。その・・・」

 

歯切れがいやに悪い。

まぁ、表情や仕草を見てれば、何となくその理由は分かるけど。まったく、この男は。

 

モジモジするヘタレの顔を掴み、そのまま唇を重ねた。

舌を絡ませ合う、がっつりのディープキス。

暫くぶりのそれを出来るだけ長く、熱を込めて。

 

部屋についてた見張りが咳払いした所で口を離せば、唾液の糸が唇から唇の間に垂れる。

顔を離せば必然、上気したカズマと目が合う。

良い目をしてる、なんて程格好はつかないけど、さっきより少しはマシになったように見える。

 

「━━━少しは勇気出たか?」

「お、お、おぅ。勇気というか、別の、何かが」

「うんうん、そんくらい余裕があれば大丈夫だな。こんな下らない事さっさと終わらせて、一杯エッチしような。期待してるからさ」

「・・・・・オウ。オレ、ガンバル」

 

ロボットみたいな話し方をするカズマを置いて、俺は気持ちを新たに部屋を出た。

あっ、勿論、見張りの人に口止めするのも忘れず。

 

さぁ、戦場に辿り着いた。

後は真っ向から、叩き潰すのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして、多くの冒険者と冒険者ギルド職員━━━━それと水色が何故か連れてきたデストロイヤーですら滅ぼせない熱狂的な某教徒達に見守られ、カズマに掛けられた国家転覆罪を巡る裁判が幕を開かれた━━━━

 

被告人、カズマ。

弁護人、カナデWithトンチンカン。

 

検察官、セナさん。

告発人、領主アルダープ。

 

裁判官、書記官。

知らないオッサン×2。

 

━━━以上の九人による、国家転覆罪を裁くには妙にこじんまりとした、その裁判が。

 

熱狂的な某教徒達の祈りの言葉をBGMにカズマへの人定質問が終ると、セナさんが資料を手に立ち上がる。

読み連ねられるのは今事件の起訴状の内容。つらつらと読み上げられるそれは、如何にもカズマが犯罪者のように語られている。イラッとしたけど、そこは我慢。弁護人が逮捕されては意味がない。

 

何より、何処か不服そうなセナさんに当たるのは間違っている気がするし。

 

裁判官のオッサンからお口チャックしててもええよとカズマが言われれば、次は俺達の番。

資料を片手に一歩前へと踏み出すのは、見掛けは一番ちゃんとしてるダクネス。読み上げさせるそれは、勿論カズマに掛けられた罪状への否定の言葉。

カズマの無罪を求める声に続き、性癖以外は有能そうに見えるダクネスの言葉には貴族令嬢もかくもやという品性が見え隠れし、良く通るその声は裁判官の目を開かせるだけの迫力があった━━━まぁ、きっと、おっぱいの力と美人の力もあった事だろうけど。

 

こうしてお互いの主張が示めされた。

出された意見が食い違う以上、後に始まるのはどちらかが倒れるまで終わらない暴力なき殴り合い。

いよいよ戦いのゴングが鳴り響く。

 

検察側から早速召喚されたのは見覚えのある証人達。

話には聞いていたけど、やっぱりきたか。

カブラギキョウスケの取り巻きーズ。

 

これでセナさんの攻め方は理解する。

証拠が不十分の中どうするかと思えば、やっぱり人間性から攻めてきたか、と。

 

「あれはっ、あれは間違いなく厭らしい手つきでした!!あいつは公衆の面前でっ!!」

 

悲鳴のような声をあげる女性二人に空気の温度が下がる。下らない内容だが、裁判官の視線も鋭くなり悪い心証を与えたのは間違いない。

続く証人にはカズマが酔った勢いでパンツスティールをかまされたという冒険者達。似たような事を証言され、温度は更に下がった。ここにクリスがいたら尚下がった事だろう。仕事に縛り付けておいて良かった。

たっぷりカズマの人間性やら何やらをボコボコにしたセナさんは、続いて貧乏店主さんや当時現場にいた冒険者を召喚。今事件の肝である、コロナタイトの転送指示を出した事実を証言させる。

 

「━━━以上の事から被告人であるサトウカズマ氏の、人間性や倫理観の欠如は明らかであります。加えて任意での事情聴取にて魔王軍幹部討伐による報酬を巡り、領主であるアルダープ氏に遺恨がある事が判明しております。物的証拠こそありませんが、状況証拠からサトウカズマ氏が今回のような凶行に走った可能性は非常に高いと言わざる得ないでしょう」

 

結局証拠は状況証拠のみ。その状況証拠も内容はメチャメチャだ。コロナタイトを転送したランダムテレポートについても一切触れていない。あれが意図して転送場所の選択が出来る証明が出来ない以上、ただの言い掛かりでしかないのに。

 

けれど空気は完全に悪い方向に流れてしまっている。

裁判官は勿論、傍聴席も何ともいえない空気が漂う。

流石にその若さで検察官になるだけあって、セナさんは普通に優秀らしい。だから余計に可哀想に思う。上司からなんて言われてここに立っているのだろうか。

 

「皆ーー!敬虔なアクシズ教徒の皆ーー!アクシズ教のアークプリーストの私が命じるわーもう一度最初から教義の復唱よ!不当な逮捕に抗議よー!」

「「「はい、同士」」」」

「アクシズ教徒教義ー第いち━━━」

 

━━━後、さっきから聞こえてくるワケわからない教義も印象を悪くしてる気がする。・・・いや、これはこれで意味はありそうだけど。だって裁判官が完全に引いてる。ゴキブリや雑草よりしぶといと噂のアクシズ教徒が、こうも応援するカズマ。関わりたくないが為に、罪が軽くなりそうな気がする。

 

ダクネスに一つ合図を送っていると、高圧的な声が耳に響いてきた。

 

「━━弁護人のカナデさん。仰有りたい事があれば声に出して下さって構いませんよ。どうぞ」

 

急にセナさんからそう声を掛けられた。

不思議に思って顔を見れば、キリッとした真面目な顔とは裏腹に呆れすら混じる瞳が目につく。

茶番を終わらせろと、そう言ってる気がする。

 

なので、お言葉に甘えさせて貰って行動を開始しよう。

 

「めぐみん、やるぞ」

「了解です、カナデ」

 

書類をテーブルに広げ、俺はめぐみんと立ち上がる。

 

「裁判官、検察のあげた証拠や証言について、弁護側は不同意であると言わざるを得ません。弁護側は検察側証人への取り調べを要求します」

 

俺の声に裁判官は頷き話を促した。

呼び出されたのはカブラギキョウスケの取り巻きーズ。

取り巻きーズはこちらを睨みつけてくる。

 

「先の証言について、私も現場にいましたので、厭らしい手つきについては事実であったと証言致します」

 

「そ、そうよ!私達は何も間違った事は言ってないわ!」

「スティールする気だったのよ!公衆の面前で!」

 

認めた事で元気に反論する取り巻きーズ。

キャンキャンと煩いそいつらを、ちょっと目を細めて見つめてやれば口を告ぐんだ。

 

「━━━ですが、事が起こる前。サトウカズマ氏がそうせざる得なかった状況であった事も証言致します」

 

目を見開く二人を無視して続ける。

 

「サトウカズマ氏はそちらの証言者のお二人方のお仲間であるカブラギキョウスケ━━━」

「カナデ、ミツルギキョウヤです。誰ですか、カブラギって」

「━━━ミツルギキョウヤ氏と決闘を行いました。ただの決闘でありません。お互いに話し合い決められた権利を賭けての決闘です。勝負はサトウカズマ氏が勝利し、一つだけ言うことを聞くという権利の元、魔剣グラムを正式に譲り受けました。━━━ですが、そちらのお二人方は勝負の結果を不服とし、あろう事かサトウカズマ氏の所有物となった魔剣グラムを奪おうと窃盗及び暴力行為に及んだのです。サトウカズマ氏はあくまで己の所得物を守ろうとした結果の行動、至極全うな理由からの正当防衛であり、一方的に貶められる言われはありません」

 

「「なっ!!?」」

 

その言葉に二人が喚いたが、法廷に控える騎士に押さえて貰い話を続ける。それが如何に正当な行為であったか、裁判官に同情を誘うように。

ついでにその件についての証言者の入廷を裁判官に申し出て、水色に説得させたあいつを舞台に引っ張りあげる。

 

「しょ、証人要請を受けました、ミツルギキョウヤです・・・・」

 

「えっ!?」

「キョウヤ!?」

 

申し訳なさそうに登場した勇者の姿に、その件に関する勝利の鐘の音が響いた気がした。・・・・おら、証言しろよ。初心者マークついた冒険者に賭け勝負挑んだ、恥知らずの敗北者。水色が見てるぞ━━━━いや、水色にはダクネスと共に別の仕事任せて向かわせたから、実際にはもう見てないんだけども。勇姿だけは伝えてやるからさ。うん。

 

ミツルギによる証言により、厭らしい手つきに関しては情状酌量の余地ありという雰囲気にまで持ち込めた。王都にてそれなりに評価されてるミツルギの言葉はよく響いたようだ。それを皮切りに他の自称被害者追及を始める。実はこの被害者達、向こうの完全なヤラセである。何せ本当の被害者はOHANASHIAIにて、こっちできっちり押さえている。フリーの被害者がいるわけない。

被害を受けたという自称被害者に日時や状況を尋ねれば簡単に綻びが生まれる。証言について虚偽があった場合こっちに訴える準備がある事を伝えれば、その声を小さくしていった。

 

・・・・パンツスティールされた本物の被害者達には、後でカズマに土下座させよう。うん。

 

検察側の証人を根こそぎぶった切り、いよいよ今事件の確信について反論を始める。先程の貧乏店主さん達を法廷に呼び戻し、コロナタイトを巡るやり取りについて再証言をお願いする。

 

「えっと、カナデさん同じ事で良いんですか?」

「構いませんよ。お願いします。きちんとサトウカズマ氏がコロナタイトを手にした所から、貴女にカズマが言った言葉を覚えてる限りご説明下さい」

 

促され貧乏店主さんは当然その話をした。

魔術をかじっていれば気づく矛盾点。

ランダムテレポートという不確定要素が高過ぎる転送による攻撃が、如何に非現実的な事なのか。

 

それを口にした貧乏店主にめぐみんからツッコミを入れさせる。魔術理論と確率論を合わせためぐみんの批判の言葉に裁判官が小さく呻く。もういい加減、この裁判がどれだけ無茶なのか理解しているだろう。

いや、無茶自体初めから承知の事かも知れないが。

 

「━━━━よって、カズマに意図して転送する術はありませんでした。国家転覆罪は不適切と言わざるを得ません。責任者として命令した以上、無実とは言い難いですが、その責任はカズマを責任者として任命した冒険者ギルドにもあります。弁護側はカズマ個人に掛けられた国家転覆罪の撤回と、この件について責任の所在について再調査を求めます」

 

言い切っためぐみんに合わせ、しまっていた書類を机の上に引っ張り出す。

そして裁判を警護している騎士に頼んで、裁判官へとそれを届けた。

 

「これは・・・・」

「王都冒険者ギルド及び、他街の冒険者ギルドより預かった、再調査依頼の署名です」

「成る程・・・これは根回しの良い事だ」

 

厳格そうな裁判官が僅かに頬をひきつらせた。

これで容易におかしな判決は出せない。

この裁判の行く末を見ているのが、ここにいる連中だけでない事が嫌でも分かった筈だ。

 

順調、そう言わざる得ない状況。

元より普通にやれば勝てる裁判だったから、それはなんらおかしいとは思えない。当たり前の結果。

ここまでは。

 

 

 

「くだらんっ!」

 

 

 

荒々しい声に視線を向ければ、領主のアルダープが顔をしかめながらこちらを睨みつけていた。

裁判官とセナさんに緊張が走るのが見える。

 

「さっきからベラベラベラベラと。証言、証拠、それが何になる。ワシの屋敷は確かにそいつの命令で吹き飛んだ。それが事実だ!━━━━━それをいつまでも煩わしい!裁判官、さっさと死刑を言い渡せ!ワシが誰だか、分かっておるな!?ええ!?」

 

その言葉に道理はない、最早ただの癇癪だ。

けれどそれだけの力がある。

検察も裁判官も無視して、誰かを陥れる力が。

 

 

 

『貴様に一つ未来を教えてやろう。最悪とも呼べる未来。そしてそれを回避する方法もな━━━━とまぁ言っても、貴様は信じぬであろう?故に我への報酬は後払いで構わん。まずは聞け━━━━━』

 

 

 

王都冒険者ギルドの威光も効かず、検察や裁判官も止められぬ以上、あの男の提案を受け入れるしかないようだ。最後の最後で他人任せとは・・・はぁ。

 

めぐみんへと視線を送れば小さく頷いた。

すぐそこに待機しているらしい。

ダクネス達が上手くやったようだ。

 

 

「裁判とは検察、被告、弁護、裁判官によって行われる事。多くの議論を重ねて審議し、真実を導き出す場所である。━━幾ら告発者という立場があるとはいえ、開廷中大声をあげる事も、その立場にない者が判決を口にする事も、許されていないと思うのだがね。アルダープ殿」

 

 

威厳に満ちたゆっくりと紡がれる低い声。

アルダープが目を見開いてそこを見た。

 

『お前の側で喧しい女がいるであろう。アークプリーストだ。奴をある男の元へと向かわせよ。変態ドM娘が共におれば、何なく顔を合わせる事が可能だ』

 

カツカツと硬質な足音が響く。

 

『貴様がタイミングさえ間違えなければ、それで貴様らは未来を掴めるであろう。もう一度、奴に機会を与えよ。貴様が見限った、その男にな』

 

足音は俺の隣で止まった。

横を見れば金髪の髪を後ろに流した、背がピンと伸びた壮年の男の姿がある。

 

「ダスティ・・・ネス、何故、貴様がっ」

 

震えるような声に壮年の男は鋭い視線をアルダープへと送る。アルダープの肩が大きく跳ねあがる。

 

「仮にも上位貴族であるダスティネス家当主である私に、随分な口の利きようだね。君はいつの間に私より偉くなったのかな?アルダープ殿」

「っは、はっ、はい申し訳・・・・」

「謝罪は不要。後日、君には少しばかり聞きたい事が出来てしまった。無理にでも時間を作って貰うよ。王家の懐刀としての要請だ、拒否は許さない。残念に思うよ、君は国と民を思う同士だと信じていたのだがね━━━━さて裁判官殿、そろそろこの茶番もお開きとしよう。もう十分審議しただろう?おっと、私が口を出すべき事ではなかったね。申し訳ない」

 

そうダスティネスさんがウィンクすると、裁判官は唾を飲み込んだ後咳払いした。

 

「えっ、えー、け、検察側!弁護側!以上質問はありませんか!?」

 

焦りの滲んだ声に頷いた俺達を見て、裁判官は形式的にカズマへと視線を向けた。もう答えは決まっているだろうに。

 

「被告人、言い残した事は」

「・・・ありません。言いたい事は、俺を最後まで信じてくれた・・・皆が・・・言ってくれましたので。甘んじて、これからの判決を受け入れます」

「そうですか、ならばよろしい」

 

カンカンとハンマーが鳴らされる。

 

「少し手順を飛ばしましたが、これ以上の審議の必要性を私は感じる事が出来ません。よって、判決を言い渡します」

 

 

 

 

 

 

「被告、サトウカズマは無罪。事件の責任については検察に再調査を申し付けます━━━━以上閉廷」

 

 

 

 

高らかに告げられた言葉に歓声があがった。

喜びの声や驚愕の声、まだ聞こえる怪しい教義。

どれもが祝福するモノ。

 

こちらに振り返って笑顔を見せるカズマに手を振りながら、俺の頭の中はあの胡散臭い男の声が甦っていた。

 

『もし我の助言通り事が上手くいったなら、今度は貴様が誠意を見せよ。貴様が文明人だと言うのであれば、何も難しい事ではないだろう?━━━━━━これは取引だ小娘。忘れるな』

 

そんな男の声が。

 

 

 

いや、まぁ、条件ギチギチに縛ったから、大した事させられないと思うけども。悪魔に良心問われるとは思わなかったもんな。

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