この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を 作:らいじゅう
情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さぁっ!
そしてェなによりもォ-----エロさが足りない!!
(誇りを持って、エロなし回)
「きちゃったなぁ・・・いや、仕方ないけど」
「きてしまいましたね。それにしても、何とも立派なお屋敷です。爆裂心が擽られます」
「やっぱり家のよりおっきぃお屋敷ねぇ~。ねぇカズマさん。女神たる私を住まわせるなら、本当はこれくらいじゃなきゃ駄目なのよ?感謝して、今のまま生活に甘んじている私の優しさに感謝して」
「黙れ、穀潰しの駄目神がっ。犬小屋に住まわせないだけ、ありがたいと思え」
「犬小屋ですって!?この無礼者ぉ!!そろそろ罰の一つも与えるわよ!!」
こっそりセックス生活も板についてきた今日この頃。
カズマの朝立ちんこを二三回ヌキヌキした後、なに食わぬ顔で家事をパパっと済ませた俺は、仲間達と一緒にとある屋敷へとやってきていた。
アクセルの街においてもっとも入りがたい場所、そう大貴族ダスティネス家のお屋敷である。
ワチャワチャ喧嘩を始めたカズマ達を横目に、門の前で屋敷を眺めていると━━━玄関から胸元の開いた派手なドレスを着た女性と使用人らしき人達がやってきた。
「皆ここだ!待っていたぞ!」
嬉しそうに小走りする女性・・・ダクネスの胸が揺れる。胸元が開いてるせいでその様子は嫌みな程よく目につき、案の定俺の隣からは歯軋りが聞こえてきた。
「めぐみん、ステイ」
「・・・・大丈夫です。我はこんな事で仲間に魔法を撃ち込むほど、性格ねじくれていません。仮に撃ったとしても手加減します」
おう、そうか。
手加減するなら良いや。
ふと、喧嘩してる二人が静かになったので視線をそちらに向けると━━━案の定、カズマが鼻の下を伸ばしている。水色はといえば能天気にドレスを見て感嘆の声をあげていた。
カズマのその下心満載な顔は割りといつもの事で、別に怒っていないし気にもならなかったけど・・・ダクネスに着いてきてる使用人達の目もあったので、悪い印象を与えぬ為に止めさせる事にした。
極々一般的で、極々女性的で、極々目立たない。
そうそれは優しさと思いやりから生まれた、人をこっそり嗜めるに最適な方法━━━━━━思いっきりカズマの足を踵で踏んでやる。
「ッッ!?」
足を踏まれカズマがこちらを見てきた。
じっと目を見てやれば額に汗を浮かべ、顔を青くさせ震え始める。
「リーダーなんだから、きりっとしてろ」
「う、うっす・・・!」
「・・・誰がリーダーなんでしょうか」
そうしてカズマに気合いを入れ直した後、俺達はダクネスもとい『ダスティネス・フォード・ララティーナ』さんの案内で大きく立派なその屋敷へと足を踏み入れた。
一連の事件、その顛末を知るために。
ことの発端は前日、ダクネスが「皆に聞いて欲しい事がある!」と食卓で大声をあげた事から始まる。真剣な顔をしていたので何を言うのかと待ったが・・・・皆はそうは思わなかったらしい。
例えば「なんだよ、今更、性癖については知ってるぞ。属性追加か?」とか、「腹筋が若干割れてるくらい大丈夫よ!素敵な腹筋だったわ!私が保証するもの!」とか、「鎧の臭いなら気にしなくて大丈夫ですよ。まだまだ許容範囲です」とか茶化したのだ。
ダクネスは静かに泣いた。
取り敢えずアホ連中を説教してから、改めて話を聞けばカズマの身におきた裁判関連の話に加え、ダクネス自身に告白する事があるという。
「・・・実はな、私の本名はダスティネス・フォード・ララティーナというのだ。そう、もう分かっているかも知れないが・・・・ダスティネス家は私の実家なんだ」
ウソっくさい悪魔のアドバイスを聞いた時から、いやそれよりずっと前から、ダクネスの正体について薄々勘づいていたので「ふぅん」と軽く流したんだが・・・それはそれで泣かれた。
いやでも考えてもみて欲しい。寧ろ分からいでか、という話なのだ。
幾ら人道的な事で有名な貴族であったとしても、いきなり現れた一般人の話を聞く訳がない。まず間違いなく門前払いされる。仮に話を聞いて貰えたとしても、突然裁判へ参加してくれなんてアホな事いって頷く筈もなければ足を運ぶ訳もない。立場があるのだ。
だから、裁判の場にダスティネスの現当主が現れた時点で、ダクネスの正体は俺の中で確定的だった。
そもそもドMな所を抜けば、ダクネスの行動は品が有り過ぎていたし、身なりも常に清潔過ぎていたし、装備もかなり価値のあるものだったしで・・・わりと早い段階でダクネスの事は貴族か、それなりに良いところの商家の娘ではないかと思っていたのだ。加えて、ウェイトレスしてる時とか、ダスティネス家の一人娘の噂はよく聞いていたので、もう、本当に、今更としか言えないじゃん?な?
皆でダクネスを慰めまた改めて話を聞けば、どうやら領主との一件が片付いたらしい。
それでダクネスのお父さんが当事者だったサトウカズマパーティー全員に、お詫びと事の顛末の説明を"直接"したい━━━との事だった。
貴族と関わると碌な事にならない。
ウェイトレスの時散々聞いた教えに従い最初は断るつもりだったのだが、魔王軍幹部討伐の報酬の件や借金の件、加えてどこで聞いたのかカズマの発明品の販売にいい話があると言われ・・・・俺達は話し合いの末、ダスティネス家当主の元へと行く事を決め、今日という日を迎えたのである。
「お待ちしておりました。サトウカズマ様とそのパーティーメンバー御一行様。本日は御足労頂きありがとう御座います」
ダクネスに連れられて屋敷へ入ると、背筋がしゃんと伸びた紳士然とした老執事を筆頭に、ずらりと並ぶ使用人達に頭を下げられた。練習でもしたような一子乱れぬ綺麗な礼に、根っからの小心者カズマが息を飲む。めぐみんは流石の胆力で少し驚き、水色はどこか満足げにうんうんと頷いてる。水色は緊張するのかと思ったので、少し意外だな・・・・なんて思ったけど、よく考えたら敬われて当然な女神だったな。こいつ。
「爺、あまり堅苦しいのはよせ。皆が萎縮してしまう。それよりお父様は?」
「お部屋でお待ちしております。それより、ララティーナお嬢様。ご友人がいらっしゃって嬉しいのはお察ししますが、淑女たるもの何時如何なる時も━━━━」
「わっ、分かってる!私だって、ちゃんとする時はする。今は・・・皆といるのだし、その、良いだろ」
チラッとこっちを見るダクネスの頬は赤く染まってて、何処か気恥ずかしそう。普段が普段だから、俺達の前でお嬢様になるのがちょっとあれなのかも知れない。
するとそんなダクネスの姿を見て、うちの問題児連中が悪い顔をした。
「なんだよ、ララティーナお嬢様。遠慮しないでいつも通りお嬢様していいぞ。俺達は気にしないから」
「そうです。私達の事は気にせず、ダクネスはいつも通りにお嬢様して大丈夫ですよ。どんなダクネスでも、ダクネスはダクネスですし」
「やっぱり素敵ね、ララティーナって名前!今度から私もララティーナって呼ぶわね!ララティーナ!」
「ララティーナって呼ぶな!!」
元気にカズマ達に怒るダクネスを見て、執事さんも使用人の人達もほんわかした視線を送ってる。無礼なっ!って怒られそうならカズマ達をひっぱたくつもりだったけど、その心配はいらなさそう。この調子だと、当主も大丈夫そうだな。こういうものは上に立つ人の気質が出るもんだし。
執事さんとララティーナお嬢様に案内され、高級感溢れる廊下を歩いて少し。ダクネスの父親がいると言われた部屋の前へとついた。
執事の人が入り口に控えていた使用人に確認をとった後、執事の人に促されて扉の先へと入ると、裁判の時に会った金の髪を綺麗に後ろへ流したナイスミドルがそこにいた。ナイスミドルはさっと俺達の姿を確認すると、腰掛けていた椅子から立ち上がる。
「やぁ、裁判の時以来だね。サトウカズマくん、めぐみんくん━━━━━それと、カナデくんだったかな?」
がっつり名前を覚えてるアピールしたナイスミドルは、それはそれは柔和な笑みを浮かべた。
俺はその笑みを見ながら、お腹真っ黒じゃなければ良いなと、今は見えないお星さまに祈った。
身構えて挑んだ話し合いだったけど、結論から言えばまったくの杞憂で終わる。ダクネスの父親は確かに貴族ではあったけど、かなりの庶民派で多少の無礼な言葉使いも笑って流せる器量を持った人だったのだ。もし短気な貴族だったら水色がぽっくりいっていただろう。
まず最初に領主が関わった事でこちらが迷惑を被った件について謝罪があった。貴族としての立場があるから直接的な謝罪ではなかったけど、大貴族の当主が一般人に行うものでは当然なくて、ダクネスは目を剥いてびっくりしてた。カズマとめぐみんも察していたみたい・・・水色だけは首を傾げてたけど。
続いて門の修繕費として徴収された魔王軍幹部討伐の報酬についての話になった。領主が門の修繕費を冒険者ギルドに押し付けたのはやはり越権行為だったらしく、俺達に掛かった借金は帳消し、報酬も全額支払われる事になった。━━とはいえ、流石に今すぐという訳にもいかないようで、それなりに時間が掛かるらしい。
ただこの件について、返納金と報酬金は辞退しておいた。改めて考えるとその件に関してこちらの非が大きかった事もあるし、何より裁判所に足を運んで貰い領主を抑えてくれた恩もある。
しかし、ダクネスの父親はそれを良しとしなかった。
聞けばダクネスの父親は水色に呪いを祓って貰った大恩があるらしく、これ以上借りを作りっぱなしではいられないとの事。・・・本当何してん、水色。おまっ、そういう事は、ちゃんと教えろや。馬鹿。━━━おやつ要求するな。ぶっ飛ばすぞ。
話し合いの結果、カズマの発明品開発にダスティネス家から援助が入ることに決まった。商品の出来についてダクネスからある程度聞いていたようで、カズマ式ライターの特許申請の話を始め、製造ラインや販売ルートの話も進み━━━━気づけば春にはダスティネス家の領地内と限定的ではあるけど販売開始される事とあいなった。利益配分、権利関係はかなりこちらに有利になっており、ダスティネス家の本気の善意に震えた。恐怖で。
まぁ、利益配分に関しては後で変更出来るようにしておいたので、利益次第ではパーセントゲージを変えて恨みを買わないように調整するつもりだけど。
最後に、領主であったアルダープの諸々の罪が明らかになった事と、容疑者となったアルダープが行方不明になった事を伝えられた。王家から権限を委託されたダスティネス家は罪状を調査中してる間、アルダープを本人が所有していた別宅へ軟禁していたらしい。━━━ところがある夜、アルダープは監視の目を掻い潜って突然姿を消してしまったのだと。慌てて別宅を調査した結果、幾つか隠されていた地下室を発見。その中で宝物庫として使われていた様子の部屋には荷物を運んだ形跡が残っており、金銭的に価値のある物をもって逃走したとみられてると。
現在逃走したアルダープには国から賞金が掛けられているらしいが行方は依然と分かっておらず、報復に動く可能性もあるので気をつけて欲しいとの事。今度会うような事があれば、賞金も掛かってることだししこたま殴ってやろうと思う。
「━━━━と、まぁ、そんな所かな。ごめんね、難しい話ばかり。さてと、私としてはララティーナと友人である君達と、もう少しばかり話をしたい所なのだが、少しやらなければならない仕事が残してしまっててね━━━━それは夕食の席にとっておこうかな?」
一通り話が終わると、ご当主様はダクネスに目配せした。ダクネスはその視線の意味が分かったのか、目を輝かせ立ち上がる。
「よし皆っ、夕食の支度が終わるまで時間がある。折角だ、屋敷を案内しよう!」
鼻息荒く言い放ったダクネスにカズマは心底面倒臭そうな顔をするが、めぐみんと水色は目を輝かせ「探検ですね!」「探検ね!」と乗り気で立ち上がり、先導するダクネスに続いて早々に部屋の外へと駆け出していった。
その姿に嫌な予感を感じてカズマを見れば、俺と同じ考えにいたったのかカズマは重い溜息を吐き出す。
カズマは「先にいく」と一言俺に言うと、用意された紅茶を飲み干し、穏やかに笑うご当主様へ一礼すると慌ただしく追い掛けていった。
ガランとした部屋の中で、俺はご当主様へ静かに頭を下げた。
「・・・・申し訳ございません。うちのアホ達が」
「いやいや、先導したのは他でもないうちの娘であるし、何より冒険者ならあれくらい元気でなければ務まらんよ。魔王軍幹部と渡り合う豪傑であれば、まだまだ可愛いものさ。何かと面倒を掛けると思うが、これからも娘の事を宜しく頼むよ。カナデくん」
「善処します」
穏やかに笑い合えたのもそこまで。
それから直ぐ、カズマの怒鳴り声が響いてきて、俺も慌てて部屋を出る羽目になった。
誰が何をしたんだ!!水色ぉ(決めつけ)!!