※この作品はR-18です。

この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を   作:らいじゅう

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早くっ、温泉編、をっ、書き、カキ、カキカキカキカキカキカキカキカキカキ・・・。


かゆうま。


温泉ですか?どこにそんなお金があるんですか。働きなさい、馬車馬のように。

「にゃー」

 

洗濯物を干していると、そんな鳴き声が聞こえてきた。

手にしたシーツを下げ辺りを見渡すと、黒い塊が足元でモソモソ動いていた。

 

「ん、どしたー?ちょむすけー」

 

シーツを洗濯籠に置いて、足に擦りついてきたちょむすけの顎をかいてやる。ちょむすけは目を細め気持ち良さそうに喉をゴロゴロ鳴らす。

 

「ご飯はさっき食べたろー?お夕飯まで我慢しろ」

「にゃー・・・にゃにゃー」

「・・・はぁ、まったく」

 

円らなお目めに見つめられ、呆気なく絆された俺はポケットから猫用のオヤツを取り出した。ちょむすけはオヤツを見ると目をキラキラさせ、ちょこんと座って尻尾をふりふりする。

口元にオヤツを近づけると、ちょむすけはそれをパクっと咥えてさっさと何処かに行ってしまった。

まったくもって現金な猫である。

 

去っていくちょむすけの後ろ姿を眺めながら、随分となついたものだなぁと、何となしに思った。めぐみんがモジモジしながら連れてきた当初は、警戒心が凄く強くて少しも触らせてもくれなかったのだ。今でこそ自分から寄ってきて餌をねだってくるけど、何回引っかかれたか・・・・。

 

「さぁて、残りもさっさとやっちゃおうっと」

 

ちょむすけが茂みに入ったのを確認してから、俺は洗濯物を再開した。午後は新調した装備をとりに武器屋にいったり、夕飯の買い出ししたり、お風呂も準備しないといけない。やることは幾らでもあるのだ。

 

「はぁーーーー、たまにはゆっくりエッチしたい」

 

一日中ズッコンバッコンしたい。

何も気にせず、朝から晩までしたいなぁー。

無理だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、温泉?」

 

慌ただしく過ごしたその日の夜。

ちょむすけにご飯をあげてると、カズマと水色がニッコニコしながらそんな事を言ってきた。

 

「めぐみんが教えてくれたんだけどな、水と温泉の都とか呼ばれるアルカンレティアっていう有名な温泉街があるらしいんだよ。最近何かと忙しかったろ?たまにはゆっくり温泉でも浸かって、のんびりしないか?」

「カナデ最近色々お疲れみたいだし、丁度良いと思うの。ねぇ、行きましょう?温泉みんなで行きましょう?温泉入って、美味しい物食べて、美味しいお酒飲んで、たまには贅沢してぱーっと楽しみましょう?ね、ね!」

 

温泉かぁ・・・・温泉は嫌いではないけど、時期的にちょっとなぁ。

 

「今やっとライターの製造ラインが動き出した所だろ?順調みたいだけど、何かあった時お前が対応に走らないといけないんだし・・・もう少し落ち着いてからにしないか?それに本格的に事業拡大するならお金は幾らあっても足りないんだし、無駄遣いはなぁ。━━━━で、水色。お前はこの間豪遊してたろ。貰った分け前全部突っ込んどいて、よくそんな事言えたな。働け」

 

思った事をそのまま伝えると二人がシュンとする。まるで怒られた犬みたいだ。

ションボリする二人を眺めてると、めぐみん達もやってきた。その手にはチケットらしき物が握られていて、この件がもう現在進行形で動いている事を察する。俺の視線に気づいためぐみんは笑みを浮かべた。

 

「カナデならそういうと思い、既に駅馬車と旅館の手続きは終わらせておきました。因みに行くのは明日からです。今からキャンセルすると、少なくないキャンセル料を請求されますよ?それこそ無駄ではないですか?大人しく旅行するが吉です!」

「今回の旅費は我が家から出したから、お金の事は気にするな。カズマの怪我の療養も兼ねてるが、何より普段から苦労を掛けてるカナデに疲れを癒して欲しくてな。どうだろうか?」

 

ずずいっと攻めてくる二人。

続いて一度撃墜した二人も復活し、カルテットに攻められてしまえば、特別不都合もない現状無下に断る事も出来ず━━━

 

「・・・はぁ、分かった分かった。温泉いくか」

 

━━━と折れる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

温泉行きが決定した翌日。

新調した真新しい装備を着用した俺は旅行カバンを肩に背負い、トンチンカン達を引き連れて駅馬車の停留所となっている街の広場へ向かった。

 

きゃっきゃとはしゃぐ仲間達を引率しながら、ギルドに寄って遠出する事を伝えたり、足りない雑貨など買い出して歩く事少し、駅馬車の並ぶ街の広場へ辿り着く。

やることがあるとか何とか言っていたカズマとは現地集合なのだが・・・軽く見渡した感じだとまだ来てないようだ。

 

預かっていた全員分のチケットを受付に渡すと、立派な造りの一台の馬車へ案内された。

御者に手伝って貰い荷物を荷台に詰め込み、カズマの到着をのんびり待っていると、何やら大きな荷物を背負ったカズマがやってきた。

 

「ウィズじゃないか?どうしたんだ?」

 

ダクネスの言葉にカズマは渋い顔で話し始める。

用事があると言ったカズマはライターの卸売り先の一つである貧乏店主さんことウィズの所へ、製造ライン稼働のお知らせと販売に関するあれこれを話にいったのだと。

 

そこでまぁ、あれこれあって、少し前からウィズの所で働き始めた噂の店員から、金遣いの荒いウィズが仕事の邪魔になるからと押し付けられたらしい。店主が追い出されるとは、これいかに。新手の詐欺ではないかとカズマに聞いたが、ウィズとその店員は友人であり、貧乏なアホ店主を騙して店をどうこうする人ではないらしい。本当に、純粋に、ただ邪魔なのだと言われたとか。

普通に可哀想な人だな、貧乏店主さん。まっ、あんな商売のやり方してれば、ボロクソ言われても仕方ないけど。

 

まだ会った事ないけど、その店員とは仲良くやれる気がする。

 

 

 

それから間もなくカズマのドレインタッチでダクネスの体力を分けて貰いウィズは目を覚ました。

ボロクソ言われた所をかいつまんで状況を説明すれば、元々温泉好きだったらしいウィズは普通に喜んだ。なんか聞き捨てならない悪魔の名前に感謝した気がするけど、楽しそうにしてるウィズに突っ込むのは野暮なので止めておく。今度会ったら滅ぼしてやろう。あの悪魔。

 

それで漸く馬車に乗り込み、さぁ出発となった所で問題が起きた。俺達が、という訳ではない。駅馬車側に、だ。

 

「これを?」

「はい。ご予約して頂いた特別馬車のお客様に、本当に申し訳ないんですが・・・・この子も乗せて貰えませんかねぇ」

 

そう言って駅馬車の責任者と御者に見せられたのは、鳥籠に入った翼の生えた小さな赤いトカゲ。レッドドラゴンと呼ばれるモンスターの赤ちゃんだ。ちょこんと座ったままのその子は、くりっとした目でこちらを上目遣いで見てくる。指を籠の隙間に差し入れると甘噛みしてくる。なんだこいつ、可愛い。

 

「実はですね、元々別の馬車の一席をこの子にご予約する筈だったんですが、こちらの手違いで手配し忘れてしまいまして・・・・それで他の馬車の方にも声は掛けたのですが、やはりどこも満員で預けられる所が、もうこちらしか・・・・」

「ふぅん?」

「もっ、勿論、ご迷惑をお掛けする事になりますので、お値段など勉強させて頂きますし、何か問題があればこちらで対処致します。どうかお考え頂けませんか・・・?」

 

指でドラゴンを可愛いがりながら、馬車の広さを見てみた。用意して貰った大きめの馬車は、元より八人乗りなので余裕はある。スペース的な問題はないだろう。

ただ、ドラゴンって言うのがどれだけ手間の掛かる生き物なのかが分からないのが難点だ。問題があれば対処するというが乗っている馬車が違う以上、多少なりとも俺達が見ている必要があるだろう。癖の強い生き物だと絶対に気疲れする。

 

「ズルよぉぉぉぉ!!絶対にズルよ!!三回連続で勝つなんておかしいわよ!!絶対ズルしてるわよ!!カズマさん、もう一回よ!私は再戦を要求するわ!!」

「やかましぃ!!何回やらせれば気がすむんだ、この我が儘女神が!!席なんてどこも変わらないつーのに・・・・あと一回だな?」

 

相談しようとカズマ達に視線をやれば、まだ席順決めるじゃんけんしてた。こいつら、何処まで子供なんだ。ちゃっちゃと適当に座れよ。本当に。

 

「はぁ、まったく・・・・すみません。取り敢えずうちのリーダーが来るまで待って貰えませんか?俺の一存では答えられないので」

「いえいえ、待たせて頂きます。こちらこそご無理を言って申し訳ありません、奥様。旦那様と従者の方々には私めからもう一度ご説明差し上げますので」

「良いですよ。それくらいは俺から伝え━━━━奥様?」

 

不思議な単語に引っ掛かりを覚えて呟くと、相対した二人がニッコリ笑みを浮かべた。

 

「えぇ、奥様」

 

周囲を見て誰もいない事を確認。

二人の視線が俺に向いてることも確認。

自分を指差して「奥様?」と聞けば、「えぇ、奥様」と二人が続く。

 

「これ程お美しく聡明な奥様がいらっしゃるなら、旦那様が快適な旅をと、こちらの馬車をご予約した理由が分かるというものですな」

「こちら滅多に出さない特別便でして。普段はお貴族様にご利用頂いているのですが、今回は旦那様がどうしてもと、そうおっしゃるものですから。いやぁ、奥様は愛されておらっしゃる」

 

おおぅ、明らかなよいしょ。ここまで露骨だと逆に清々しいまであるな。

しかし、ちょっと心外でもあるな。古今東西何処にでもある、こんな安っい手に俺が乗ると思われてるのは・・・・・ん?お似合い?誰が?俺が?そ、そうかな?美人ってのは、ちょっとよく分からないけど・・・まぁ、可愛いとは言われる事は、まぁ・・・え、そうなんだよ。カズマがな。普段ヘタレなんだけど、こう、さ、なんかさ、欲しい時にな?言ってくれるんだよ。そんなんされたらさぁ、キュンってするじゃんね?分かる?分からないよなぁ・・・・そうっ!そうだよ!カズマはそういう所がカッコいいんだよ!言うべき時にというか、やるべき時にこうっ、な!そうだよな、やっぱり分かる人には分かるかぁー。分かっちゃうかぁー、えへへ、そうなんだよ。うん。そう、あの顔もな、良いんだよ。愛嬌っていうのかな?本人は自分の顔に自信ないみたいだけど、俺は━━━━━えっ、トカゲ?良いよ、どうせスペース余ってるし。俺から言っとくし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・カナデ。なんだ、それ」

「トカゲの赤ちゃん」

「いや、そういう意味じゃなくてな・・・」

「トカゲの赤ちゃんだ」

「おう、そうか。分かった」

 

追及するカズマを振り切った俺は、膝の上に乗せた籠を抱えながら『俺もまだまだだな』と窓の外を眺めた。

窓枠から見えたそれは旅日和の良い天気だった。

 

「━━━━カナデ。ちょむすけがカナデと仲良くしたいそうです。交換しましょう」

「にゃ!?」

 

結局、猫連れてきたのか。めぐみん。

あー、交換な。うん、はい。預り物だから大切にな。

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