この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を 作:らいじゅう
忙しかったんや( ;∀;)カンニンヤデ
お尻に違和感を感じる今日この頃。
朝から元気に出掛けていったカズマ達を見送った俺は、一人朝風呂を堪能していた。広い湯船に一人きり。今の家だとなんやかんやお湯の節約で皆で入るし、宿行くとカズマと二人で入っちゃうしで、のんびり入れないからたまには良いもんだ。
いや、カズマとワチャワチャしながら入るのは好きは好きだけどね?それとこれとは別というか・・・・・。
「はあーーーーー・・・・」
朝から露天風呂は良い。本当に良い。
この青空を見ながらの、この解放感がたまらないよなぁ。耳に響く温泉が湯船に流れ込む音、少しずつ活気ついてく街の喧騒、小鳥の囀ずる声。うん、いいね。
それにしても、カズマ達大丈夫だろうか。
任せろとは言ってくれたけども。
昨日俺とカズマが温泉で第2ラウンドに突入仕掛けた時、水色が号泣しながら帰ってきた。俺達が慌てて温泉を出て来てロビーで騒ぐ水色達に事情を聞きにいけば、何でも水色達が入りにいったアクシズ教団の秘湯が汚染されてて、水色は良かれと思って温泉を浄化したらしんだけど・・・温泉の効能も何もかも浄化して真水に変えてしまって、秘湯を管理してたアクシズ教団の人にメチャクチャ怒られた上に立ち入り禁止を言い渡されたのだとか。
『だって!あんなのに入ってたら、病気になっちゃう!私は悪くないのに!皆の為に浄化してあげたのに!!なんで怒られなきゃいけないの!あんまりよぉぉ!』
『そうですね、アクア様。アクア様は悪くありません。悪くありませんから、分かりましたから・・・お願いですから私を抱き締めるのを少し止めて貰えませんか。涙が、アクア様の涙が、その、凄いピリピリして、あの聞いてますか?アクア様?あのーーー』
慰めるのは貧乏店主に任せてその日は寝た。
カズマが続きをやりたそうにこっちを見てたけど仕方ない。そこはしっかり諦めて貰う。そういう雰囲気でなくなってしまったし、何より皆が帰ってきてしまったのだ。流石にバレてしまう。まぁ、そろそろ皆には話しても良いと思うんだけど、どうもタイミングがなぁ・・・。
水色の泣き声響く夜も明けて翌日。
前日の秘湯の件が引っ掛かってるようで、水色はアルカンレティアの温泉調査を言い出した。本当になんらかの理由で汚染があるなら確かに放っておけない事ではあるけど、水色曰くアクシズ教団を恐れた魔王軍の工作らしいとの事でイマイチ胡散臭い。まぁ、温泉の異常については街をぶらついてる時にも聞いたし、何かはあるのかも知れないけどな。
それでも話し合いの結果、調査だけはしようという事に決まった。それには勿論俺も参加するつもりだったけど、カズマから休むように言われてしまった。昨日の碌に用意もなくお尻にぶちこんだ事を反省してるらしく、今日はゆっくり休むようにとの事。分かってるならぶちこむんじゃぁないよ、と皆の前で言う訳にも行かなかったので脛を軽く蹴ってやるだけで済ませてやったが。
「・・・・・はぁ、大丈夫かな。あいつら」
心配だ。果てしなく心配だ。
一旦任せると決めた以上、今から手伝いに行くのはカズマを信用してないって言ってるようなもんだし、だからいく訳にも行かないけど・・・・本当に、果てしなく、限りなく心配だ。行けば良かった。
いまいち落ち着かない気持ちで湯船で空を見上げてると、ガララと音を立てながら脱衣場のドアが開いた。女性のお客さんなんて数える程度しか入ってない宿。泊まってるお客の顔は何となく覚えてる。だから興味もあってそっちを覗くと、赤い髪が特徴的な胸の大きい女性がいた。確か他の階のお客さんだったか。
「混浴より少し手狭だけど、良いわね━━━あっ」
俺の視線に気づくと、その女性は軽く会釈してきたので俺も軽く頭を下げておく。そのままさっさと掛け湯を済ませた女性は湯船に身を浸した。静かな露天風呂にチャポチャポと音が響く。
「「・・・・・・」」
少しだけ気まずい。
別に何か話さないといけない訳じゃないけど、二人きりだから静寂が妙に堪える。
「━━━今日は、彼氏さんと一緒じゃないのね?」
不意に掛けられた言葉に思わず噴き出す。
その女性は何か面白い物を見つけた見たような目で、うっすら口元を弧に歪めた。
「ふふふ、驚かせてごめんなさいね。でも昨日、混浴場貸し切っていたのあなた達でしょ?こっちまで声が聞こえてきたわよ。若いって素敵ね」
「あ、いえ、そのご迷惑をお掛けしまして・・・」
「ちゃんとお金を払って貸し切っているんだもの、あれくらい良いんじゃないの。気にしない気にしない。若い二人が入ったらどうなるのかなんて宿の主人も分かってるんだから、これも宿のサービスの一環でしょ」
女性の話を聞くと途端に恥ずかしくなってきた。
だってそれって完全に丸聞こえだったよって事だ。
いや、冷静に考えると露天風呂なんだから声が外に響くのは当たり前なんだけど、でも魔法とかある世界でなんの・・・いや、あるわけない。あるわけないじゃん。だってめぐみんと入った時にカズマが耳を澄ませてたじゃんか。あれって、混浴の声とか聞こえてるよって事で、あわわわわわ。
道理でっ、道理でっ!!やたら男性客から妙な目でみられると思った!! あれは、そういう事か!!カズマぁぁぁぁぁぁぁ!!あの野郎っ、詰めが甘いんだよ!いや、気をつけなかった俺も悪いけど!?けどね!?というか、貸し切ったのって混浴だけか!!てっきり、一晩だけでも、全部かと思って・・・うわぁぁぁぁぁ!ああぁぁぁぁぁ!━━━━いや、まぁ、興奮もするけども!ちょっとね、あるけどもね!?背徳的な、うん。あるけど・・・・やっぱり恥ずかしいわ!馬鹿ぁ!
身悶えていると笑い声が聞こえてきた。
そこへと視線をやれば女性が楽しそうに笑ってる。
「あ、あのー、この事はどうか内密に・・・」
「分かってるわよ。秘密ね。一緒にきた子達にはまだ話せてないんでしょ?見てれば分かるもの。ふふ、付き合ってどれくらい経つの?」
「・・・・どれくらい、ううん、どれくらいだろ。どこからカウントしたら良いのか・・・何というか、体の関係から始まったので」
「あらあら、そうなの?お酒の勢いとか?」
「えぇ、まぁ、お酒の勢いで・・・・その寝込みをちょっと」
「えっ、まさか襲われたの?」
「あ、いえ、俺が襲いました。辛抱堪らなくて」
「へぇーそうなの、貴女がねぇ・・・・貴女が襲ったの!?」
女性が物凄く驚いた顔をした。
昨日の流れを聞いてるなら、そう思うのも無理ない気がする。確かに最近受け身気味だったし。
「ちょっと性への欲求が凄くて。その頃は、どうしてもチンコをマンコに入れたかったと言うか、子宮ガンガンつかれたかったと言うか、ズボスボされたかったと言うか、中出しされながらイキたかったというか・・・・それで、毎日オナってるくらいでして・・・まぁ、若気の至り的なあれですよ」
「若気の至りとは少し違うと思うけど・・・・」
今思い出すと随分と無理矢理だった気がする。
もし訴えられたらどうするつもりだったのか、あの時の自分は。幾ら証拠を手に入れた上であったとしても、もう完全レイプだったもんな。犯罪だよ犯罪。よく嫌われなかったな、俺。
「それからは、まぁ、ずるずると。セフレって言うんですかね?隙を見つけてデートして、エッチして、エッチして、エッチしました。気持ち良かったぁ」
「セフレ・・・昔勇者がそんな文化を伝えたって聞いたけど、本当にそういう関係ってあるのね。都市伝説の類いだと思ってたわよ。抵抗なかったの?見てる感じ、なさそうだけど」
「それは寧ろカズマの方が・・・・ああ、えっと、彼氏の方が、気にしてたみたいで。その、えへへ、ちょっと前に、プロポーズみたいな事言われて、赤ちゃんの事もちゃんと考えてくれてるみたいで、ふふふ、えへへへ」
俺の話を聞くと女性は感心したように「へぇ」と呟く。
「いい子なのね、あの子。お姉さん、ちょっとあの子の事見誤ってたわ」
「良いやつなんです。本当に・・・俺みたいなの、好きだって言ってくれて・・・・・・・本当に」
体は本当の女の子だけど、俺の心はビルから落ちたあの頃からそんなに変わってない。男として生きてきて身に付けた言動は今もそのままで、俺は他人から見たらあまりにも変なやつだろう。いずれは直さなくちゃとは思うけど・・・俺はまだまだ中途半端な存在で、でもそれをカズマは受け止めてくれて、好きだって言ってくれた。
「悪い関係じゃないなら良かったわ。でも、みたいなのって、自分の卑下するような言い方は相手にとっても失礼よ?もっと自信持ちなさいね」
「それは・・・はい。そうなんですけどね。どうしても、まだ・・・ははは」
「そう。自分で分かってるなら、これ以上余計なことは言わないでおくわ。人のあれこれに首を突っ込むほど、愚かではないつもりだしね」
お互いの顔に苦笑いが浮かんだ。
それからその女性と宿の料理の話やら、観光の名称やらお土産やら当たり障りのない話をした。温泉の話になるとやたら饒舌に色々教えてきたけど。あそこの温泉はどうとか、こっちの温泉はどうとか。湯治としてはこっちのが良いらしいが、そうでないなら王都の近くにも温泉があるらしく、そこも中々オススメだとか。一人で泊まってるみたいだから傷心旅行とかその類いかと思ったけど、この女性好きで一人で泊まってるのかも知れない。
暫く話してると、女性は何故か重い溜息をついた。
不思議に思って顔を覗くと、困ったように笑う。
「いやね、ちょっと残念だなぁって思ってね・・・こんなに良い温泉なのに・・・」
「宿に何かあるんですか?確かに女性客は少なめではありますけど、十分に繁盛してるように見えるんですが・・・?」
「ん?いいえ、違うのよ。宿というか・・・」
少し悩んだ素振りを見せた女性だったが、俺の顔を見ると近寄ってきて耳打ちしてくる。
「質問はなし、一度しか言わないわよ。━━━近日中、ここの温泉が多分駄目になると思うから、変な病に掛かる前に仲間と彼氏を連れて帰りなさい。悪いことは言わないから」
「ん??それは・・・?」
「質問はなし、それに一度しか言わないって言ったでしょ?後どうするかは貴女次第よ。また会えるのを楽しみにしてるわ」
それだけ言うと女性は立ち上がり、颯爽と湯船からあがっていった。浴場にはまた静寂が戻ったが、俺の頭の中には今しがた言われた言葉がずっと反芻してうるさいくらい。どういう意味で言ったのか分からない。そのまま受けとるなら、そういう事になるんだろうが・・・俺に話すのはあまりにリスクが高い筈。周囲を警戒したけど、そういった反応はない。そうなるとからかわれただけの可能性もある。
ただ、あの女性の真剣な顔つきに嘘が感じられなかったのも本当の所。
「・・・・まさか、本当に?」
水色の言が頭を過った俺は取り敢えず湯船から上がった。脱衣場に戻るとさっきの女性の姿はなく、使われた形跡のあるカゴが残ってるだけ。さっさといつもの服に袖を通してカウンターで女性の事を聞けば、つい先程チェックアウトした所との事。
何処に行ったのか聞いたが勿論聞いておらず、もう一度話を聞くのは無理だろう。仕方ないので部屋に置いてある武器を装備し、カズマ達を探す為に宿を出た。
もしかしたら俺が思ってるずっと、面倒な事がこの街で起きているのかも知れない。
そんな事を考えながら。