※この作品はR-18です。

この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を   作:らいじゅう

73 / 83
待たせてごめんなぁぁぁ・゜・(つД`)・゜・

え、そうでもない?そう。( ´∀`)スン


旅立ち初日から幸先悪いと?いえ、いつもこんなです。

「・・・・・出発前にも聞こうと思ったのですが、カズマは向こうで何をしていたのですか?」

 

アクセルの街で用事を済ませた翌日。

アルカンレティアで待っていた水色・めぐみん・ダクネス・ゆんゆんと無事合流した俺達は、予定通り紅魔の里へ向けてアルカンレティアを出発して街道を進んでいた。

 

そんな最中、めぐみんは目の下に隈を作り死んだ魚の目をしたカズマへ、探るような視線を向けて尋ねた。

めぐみんの視線に、カズマはぼんやりと俺の事を見た後、掠れた声で「ちょ、ちょっとな」と誤魔化にもならない言葉を返す。流石に朝までエッチしてたとは言えないし、下手に嘘つくと気づかれそうだからこれでもベターな返しだと思う。

当然、めぐみんは納得した様子もなく、けれどカズマが口を割らないと判断したのか俺の事を見てきた。俺も話すつもりないから意味ないが。

 

「まぁ、色々とな」

「その色々の内容について聞いているのですが」

「ふふ、内緒」

「むぅ!何ですかそれはぁ!むむむ!」

 

むくれるめぐみんの頬っぺたをツンツンしながらご機嫌をとっていると、水色が何を思ったのか俺の顔を覗き込んできた。

そしてジロジロと眺めた後カズマの顔を見て、また俺の顔を見る。

 

「カナデの方は体調がなんか良さそうね。ツヤツヤしてるわ。何か良いことでもあったの?・・・・あっ、もしかしてカナデだけアクセルで美味しい物でも食べてきたんでしょ!ずるい!ずるだわ!!私達が安宿で泊まってる隙に!!何を食べたのか正直に吐きなさい!!そして、帰ったら私にも食べさせて!!」

「はいはい、食べさせる食べさせる。好きな物言えよ、何でも作ってやるから」

「えっ、ほ、本当に!?やったぁーー!!それじゃ帰ったら皆で宴会ね!!おつまみ何作って貰おうかしら?カエルの唐揚げは外せないわね。鴨ネギのお鍋も食べてみたいし、手に入るならまた霜降り赤蟹も━━━はっ!お酒!そうよ、おつまみも大切だけどお酒はもっと大切だわ!カナデ、私はお酒も要求するわ!!良いでしょ!!」

「酒は自分のお小遣いで買え。安いのだったら用意してやっても良いけどな」

「えぇ・・・そ、それじゃ、せめて選ぶ時一緒に行かせて頂戴。ちゃんと安いの選ぶから。ねっ、お願いよ」

 

肩を落として言われた言葉に頷いてやれば、水色は嬉しそうにスキップし始めた。勘だけは良い奴だから何を言うのか一瞬ヒヤッとしたが・・・・所詮水色は水色か。めぐみんと違ってポンコツで良かった。

 

「カナデ・・・・」

 

不意にダクネスから声を掛けられた。

振り返ってみれば、頬を赤く染めたダクネスが何か言いたげな顔をしてる。どうしたのかと思って首を傾げると、ダクネスは俺の首筋を指差された。

ナイフの刃の部分を鏡代わりに確認すれば、襟元から首についた赤い点が覗いてる。俺は襟の所を整えてからダクネスを見た。ついっ、と目が逸らされる。

 

「・・・・虫刺されだな」

「そ、そうか。虫刺されか。ならば、問題はないな。うん、ない。一向にない。しかし、む、虫にも、毒を持つ物もいるから、屋敷に帰ったら一度、ほっ、本格的に掃除をした方がいっ、良いかもな!」

「そうだな、業者でも呼んで害虫駆除やって貰った方が良いかもな。はははは。じゃぁ、先を急ごう」

 

 

 

 

・・・・・んんん!?

 

 

 

 

何事もなく全員歩き出したけど、これバレてないよな?バレてないって事で良いんだよな?ていうか、馬鹿カズマ。見える所は止めろって言ってんのに・・・!幾ら時間がなかったとはいえ、一度着替えておいて気づかなかった俺も馬鹿だけど!

咄嗟にポーカーフェイス決めたけど、一瞬真顔になってしまった気がする。何よりそれを聞いてきたダクネスのリアクションがあまりにも不自然過ぎる。あれは知ってるタイプの反応だ。流石に分かる。

いや、でも、知ってて黙っておくか?なんか一言くらい言わないか?パーティーの問題になるし・・・いや、逆に言えないか。その手の話は。でも、だとするといつ気づいた。いや寧ろ、本当に気づいてるのか?なんか変な勘違いしてたりしないか?あのダクネスだぞ。めぐみんならまだしも・・・・。

 

私と一緒に先頭を歩くダクネスへ視線を向ける。

ダクネスは不自然なまでにこっちを見ない。

なんか気まずさを漂わせてる。

 

「ダクネス」

「ひょえ!?な、何だろうか!」

「いや、何でもない。モンスター出たら教えて」

「も、勿論だ!ま、まぁ!かっ、カズマが警戒してるのだから、その必要もないだろうがな!!」

 

バレたやつじゃないか、これ。

まぁ、バレたなら仕方ない。

 

「ダクネス」

「ひゃい!」

「後で話すから、それまで内緒な」

 

口元に指を押し当ててそう伝えれば、ダクネスは顔を赤くして激しく頷いた。分かってくれれば良し。元より隠し通せるとも思ってないし、いい加減言わないとと思ってたんだ。この旅が終わったら、一度カズマとちゃんと話さないとな。これからの事。

 

 

 

 

 

 

 

暫く街道を歩いてると、カズマが警戒を口にした。

どうやら敵感知スキルに反応があったみたいだ。

カズマを先頭にし、反応があった場所に息を殺して近づいていくと林の入口付近で人影を発見した。

より近くにいけば岩の上に腰掛けた緑髪の女の子である事が分かる。よくよく見れば怪我してるのか右足首の所に血の滲んだ包帯が巻かれていた。

 

アンポンタンの三人がそれを見て早速近づこうとしたので、取り敢えず全員足払いしてその場に止めておく。感知スキル持ちが警戒を口にしてる時にホイホイ動くな。馬鹿共が。

 

「怪我人か・・・・こんな所で不自然だな。カズマ」

「ああ、あれだ。敵感知に引っ掛かってるのは」

「人型のモンスターか。知性があるなら厄介だな。取り敢えず投げナイフで様子見するか?それで倒せそうなら、ゆんゆんに撹乱して貰って、隙をついて俺が首を跳ねてくる」

「落ち着け、バーサーカー。何でそう好戦的なんだ。確か出発前にギルドで貰った資料に・・・・ああ、あった━━━」

 

そうして始まったカズマの説明によれば、あれは安楽少女という植物型のモンスターらしい。物理的な危害を加えてくる事はないが、庇護欲を刺激して人間などの知性をもつ獲物を精神的に捕らえて養分にするそうだ。食虫植物の人食いバージョンと言うことだろう。

そして冒険者ギルドからは、その危険性が故に見つけ次第駆除して欲しいとのこと。

 

「━━━よし、俺が殺してこよう」

 

ハルバードを肩に立ち上がると、全力でめぐみんと水色に涙目で止められた。何故に。

そうこうしてると安楽少女もこっちに気づき、いたたまれない笑顔を向けてくる。ちょっとだけ殺りづらい気がしてきた。殺るけど。

 

「か、カナデ正気ですか!?あんなか弱い女の子を、本気で切るつもりですか!?見てください、あの泣き出しそうな顔を!あの子はきっと違います!バイバイってお別れまでしてくれる優しい子なんです!!」

「カナデっ、止めたげて!お願いだから止めたげて!!あんな悲しそうな目をしてる子、きっと悪い子じゃないと思うの!!悪魔とアンデットと魔王軍なら滅ぼしても良いけど、あの子はお願いだから止めたげて!!」

 

二人の力は中々力強い。怪我をさせないで引き剥がすのは少し難しいだろう。困った。

チラッとダクネスに殺るように視線を向けたが、さっと目を逸らされた。曲がりなりにも騎士を目指すのなら、恨まれるのを覚悟してアレを斬り倒して欲しい。どう考えても碌なもんじゃないからな。アレ。

 

俺が二人に捕まってる間に、何時のにかカズマがちゅんちゅん丸片手に近づいていった。二人に気づかれないように見守ってると、カズマは剣を高く振りかざす。妙に肩に力が籠ってる。せめて一思いに斬り倒してやりたいんだろうか。

 

「コロ・・・・ス・・・ノ・・・・・・?」

 

そう安楽少女が口にした瞬間、カズマは膝から崩れ落ちた。

 

「で、出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!話すなんて反則だろうがぁぁぁぁぁ!!」

 

まぁ、カズマには無理だと思ってた。

鬼畜とか外道とか変態とか色々言われるけど、基本的にお人好しで情に弱い良い奴だからな。仕方ない。

一頻り世の理不尽さを呪ったカズマは、水色の駄目な教えや安楽少女の儚げな微笑みに負けて、このモンスターを見逃そうとか言ってきた。俺個人としては、嘘の臭いがプンプンするこいつを叩き斬って、さっさと経験値にしちゃえば良いのにと思うだが。

 

「でも、モンスターですよ?討伐しましょう」

 

不意にゆんゆんがそんな事を言った。

めぐみんが眉をつりあげて「なんて事を!」とか怒鳴り声をあげる。

 

「胸に栄養を奪われて、ついに人の心まで失ったのですか!ゆんゆん、見損ないましたよ!」

「ええっ!?で、でも、モンスターだし、それに街道に置いておいたら、他の人が通った時に犠牲になる人が出るかも知れないじゃない。冒険者として、見過ごすのは・・・・ちょっと」

「そ、それは、そうかも知れませんが・・・・いえ、そこは説得しましょう!人を襲わないように!この子も話せば分かってくれる筈です!」

「で、でも、仮に話して約束したとして、それって信用出来るの?ここまで大きくなった事を考えると、これまで誰も襲ったことのない個体じゃないと思うんだけど」

 

一番同情しそうだと思ってたゆんゆんが、どうやら一番リアリストだったらしい。

ゆんゆんに言い負かされためぐみんは今回ばかりは分が悪いと思ったのか、何も言わず静かに目を伏せた。その様子を見れば、めぐみん自身もその可能性には気づいてんだろう。感情的に認めたくないだけで。

 

「で、でもでも、ゆんゆん?ほら、あれよ。ね、可哀想じゃない?」

「え?いえ、そういうモンスターですし。そこは全然。寧ろよくここまで大きく育ったな、と。近くに紅魔の里もありますし、出来るなら直ぐ処分したいんですが」

「・・・・・」

 

頑張ってめぐみんを援護しようとした水色が撃ち落とされた。瞬殺であった。

ダクネスも何か言うかと思って視線を送れば、既に下を向いて沈黙していた。誰の流れ弾が当たったのか。

 

静かになったその場所で、ゆんゆんが俺を見た。

何か言いたげな様子に先を促す。

 

「あの、経験値結構貰えるんです。どう、しますか?」

「うーん、じゃぁ俺が貰っても良い?他の皆と比べるとレベル低いし」

「はい、それじゃ一応周囲の警戒をしておきます」

 

 

「いや、ちょっと待て、頼むから。待って下さいぃ」

 

 

二人で打ち合わせしてたらカズマが割り込んできた。

どうしたのかと二人で見ると、意気消沈したカズマの顔がそこにある。

 

「・・・・・お前が代わる?お前もレベル低いし」

「いや、そういう事じゃなくて。えっ、マジでやるの?流石に俺でも良心が痛むレベルなんだけど?平気なの?」

「そういうモンスターだろ?やるぞ」

 

誰がやっても良いけど、それだけは決定事項。

何せ放っておいたらカズマを含めたうちのパーティーメンバーがその内引っ掛かりそうだ。身内に手を出される可能性が残る以上、絶対に見逃す訳にはいかない。せめてここで俺達に出くわさなければ、そうする事もなかっただろう。知らない何処かで、知らない誰かを犠牲に生きれば気にも止めなかった。

でも会ってしまった。ここで。そしてこいつの擬態は、うちのポンコツ共に有効である事も分かってしまった━━━で、ある以上、そこに慈悲はない。

 

「カズマ、俺はな・・・・いつか仲間に手を出すかも知れない奴を放っておく気はない。やれるなら、やる。まして、こんな嘘臭い奴を見逃せるほど、平和ボケもしてないつもりだ」

「う、嘘臭い・・・・?」

「何処まで知性があるか分からないけど、これ相当頭が良いぞ。勘だけどな━━━ちょっと試してみるか」

 

ハルバードを振り回しながら安楽少女へと近づく。

最初は殊勝に懺悔するようなポーズを取って、か細い声でなんかボソボソ言ってたが、いよいよ攻撃圏内へ足を踏み込むと明らかに安楽少女の目の色が変わった。

 

俺の態度や目を見て悟ったのだろう。

こいつ、本気だと。

 

「さっ、さーーせん!!さーせんした!!もうここでは狩りはしないんで、本当、マジで勘弁して下さい!!ここまで大きくなるの、滅茶苦茶苦労したんですぅ!!お願いします!!見逃して下さい!!絶対にお仲間には手を出しませんので、何卒ぉぉぉッッ!!」

 

俺はハルバードを振り回すのを止めて、皆へと振り返った。何とも言えない顔がずらっと並んでる。

カズマに至っては真顔になって「経験値」とか言いながらちゅんちゅん丸を引き抜く。ゆんゆんは「ほらね?」とか言って、めぐみんに言い寄り始めた。

 

「━━━━で、誰がやる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃんけんで決めようぜ」

 

 

じゃぁ、カズマだな。

頑張れ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。