この素晴らしい世界に居座るTSド変態野郎にも祝福を 作:らいじゅう
マジか(・∀・)
めぐみんの実家にて賑やかな朝食を終えてから暫く。
よく晴れたその日、俺達はめぐみんの案内でのどかな田畑風景広がる紅魔の里を進んでいた。
そう、前日の予定通り観光中だ。
近くに魔王軍在中の戦場があるのは心配ではある。あるのだけど、渦中の紅魔族達がのほほんとしてるし、めぐみんの両親も普通に仕事へ出掛けるし、水色が観光したいと目をキラキラさせるし、ダクネスも鍛冶屋に行きたいって言うし、こめっこもお姉ちゃんと遊びたいと言うしで━━━━なんやかんやアクセルへ帰るのは翌日に持ち越しとなり、本日はこめっこも連れて紅魔の里観光と洒落込んだ訳である。
まぁ、元々そういう予定でもあったしね。
用心するのは大切だが、心配し過ぎは良くない。精神的にも。
何かと面倒事に巻き込まれる我がパーティーとはいえ、そうそう何度も、行く先々で、問題が起きる訳じゃないし巻き込まれる訳がない。ないよな?
最近だって魔王軍の幹部とかち合うっていう最大級の不運に見舞われた訳で、残りの魔王軍幹部だって、破壊と殺戮を撒き散らす移動要塞だって、勝ち目のほぼない畜生裁判だって、そう何度もやってこないだろう。こないよな?こないだろ。幾ら何でも。ねぇ。ないよな?本当にないよね?ないんだよな?
そういう訳で絶賛観光中なんだが・・・。
「商店街という程栄えてる訳でもありませんが、この里で買い物するなら大体そこで揃います。鍛冶屋もその近くですね。外食する場所なんかは喫茶店ぐらいしかないですが・・・まぁ、今日は天気も良いのでお昼はお弁当にしましょう。観光客用に売ってる物があるのです。少しお高いですが━━━━良いですよね、カズマ」
満面の笑みでそう言うめぐみんに、カズマは力なく「ああ」と答える。
「あ、それとですね、帰りの時で良いので服屋によって欲しいのです。元々持っていたものが大分ボロボロになってまして。いい機会ですので予備も含めて何着かローブを買おうと思ってるのです━━━━良いですよね、カズマ」
非常に楽しそうにニコニコしてるめぐみんに、カズマは再び力なく疲れ切った瞳で「ああ」と答える。
なんぞ、これ。
朝の件で戻ってきてからこれだ。
なんかカズマが尻に敷かれている。
普段からある意味で俺を含めた女性陣尻に敷かれてはいるけど、それにしたって随分と良いように扱われているのである。
気になって聞いてみても、めぐみんからは笑顔で何でもないと言われるし、カズマもこっちの話だから気にしなくていいと言うし、ダクネスは苦笑いして答えてくれないし。
まったくもって分からない。
余りに気になってダクネスを見る。
するとダクネスはまた苦笑いを浮かべた。
「言いたい事は分かるが、暫くは放っておいてやれ。別に二人の事に対して、私もめぐみんもどうこういうつもりはないのだが・・・それはそれとして、色々と思うことがあるのだろう。あまり行き過ぎるようなら止めても良いと思うが、その辺りめぐみんも馬鹿ではないだろうからな。ははは」
そう言ってダクネスは快活に笑う。
何か釈然としないものがある。むーん、という感じだ。
だが、カズマとめぐみんの様子を見ると険悪という訳でない事も確かなので、ダクネスの言う通り一先ずは様子を見ることにしる。納得はしてないが。
そんな風にダクネスと話してると、こめっこを連れた水色がやってきた。何か嗅ぎつけたのか、二人共目がキラキラしている。
「ねぇねぇ、カナデ。カナデ達はなんのお話してるの?内緒話?二人でずるいわ、私も交ぜなさいよ」
「カナちゃん交ぜてー!」
無邪気な笑みを浮かべる二人に少し考える。
なんやかんやめぐみん達二人にもバレた訳だし、いい加減水色に話す頃合いだろう・・・けど、ことはパーティーの存続にも関わる問題だしな。二人は受け入れてくれたが、男女関係の問題は根が深いのである。
故に俺だけの判断で話すことは避けたい。
チラッとカズマを見たが、先程と変わらずめぐみんの相手をしていて気づく様子はない。となれば、今はテキトーに誤魔化しておいた方がいいか。
「うーん?夕飯の時に出すお酒は何にしようかな?って話してたんだよ。ゆいゆいさんに聞いたら、それなりに有名な地酒があるらしいぞ」
「そうなの!?い、良いわね地酒も!!ねぇねぇ、カナデ!いえカナデさん!!私ね、いいお酒にはいいオツマミも必要だと思うの!」
「はいはい、オツマミな。用意する、用意する」
やったーと無邪気に喜ぶ水色にこっちもニッコリである。
被害さえなければ可愛いだけだ。
いつもこうなら良いのに。
そんな風に水色は軽くあしらえたが、こめっこの瞳にはどこか理知的な雰囲気と好奇心の籠もった輝きが消えない。無邪気な顔して侮れないな。この子は。
流石にめぐみんの妹と言いたいが・・・。
「さて、今日のオヤツは何にしようか。ねぇーこめっこ?」
一言そういえば、こめっこの瞳から賢さが消えた。
「お、やつ・・・!で、でもっ、こめっこお金ないよ」
「お金のことは気にしなくて大丈夫。今日案内してくれるお礼にオレが奢ってやるからさ。だから、今から何買うか考えておきな?ね?」
「えへへ、うん!」
めぐみんとベクトルが違うだけで、欲望に忠実なのは一緒だ。要点を押さえれば扱うのは難しくはない。
初対面の時こそドキッとさせられたが、一度理解してしまえばなんて事はない。可愛いだけだ。
いつまでもこれだけの可愛げが残ってれば良いいだけどな。なんか大きくなったら人を手玉に取る悪女になりそうな気がする。考え過ぎだろうか?うーん。
「うん?どうしたの、カナちゃん?」
「ん?いや、何でもないぞ。それよりお弁当何にしよっか?こめっこはどういうのが売ってるのか知ってる?」
「知ってる!うんとね、えーっとね、今頃のお弁当はねぇ━━━━」
のどかな田畑が広がる風景を眺めつつ、皆と他愛もない話をしながら進むこと少し。最初の目的地である商店街に辿り着いた。
まぁ、めぐみんの言葉に違わず、通りに建ち並ぶ店は数える程度しかない。見える範囲で鍛冶屋、お土産屋、喫茶店、服屋なんかがあったが、それくらいだ。
初日の時点で、めぐみん家に行く途中で見たから知っていたが、確かにこれは少し寂しいかも知れない。
まぁ、里の規模を考えれば妥当ではあるのだが。
特に目ぼしい物もなく、途中で商店により野外で食べられそうな軽食を購入。鍛冶屋に向かうダクネスとは一旦別れ、俺達は他愛もない話をしながら長閑な里を散策を続けた。
そうして暫くして田畑を抜け人家から少し離れた小さな森の中、和の雰囲気漂う木造の神社へと辿り着いた・・・辿り着いたのだが。
「なにこれ」
神社へと微妙そうな顔で呟くカズマ。
その隣で口を真一文字に閉じ感情の読めない目をしてる水色。
めぐみんは「里の御神体です」と言いながらムフーと胸を張ってる。
そしてそんな皆んなを見てる俺自身はどうかと言えば・・・特に思うことは無い。紅魔族のすることだし、元よりそんなに期待してなかった。それでも敢えて言葉にするなら、懐かしいなぁとかだろうか?親友が部屋に飾ってた奴を思い出す。もっとバイバインのエロいやつだけど。
「どう見ても、猫耳スク水少女のフィギュアなんですけど」
水色の言う通り、社の最奥に納められた里の御神体とやらは、かつてオレ達のいた国で美少女フィギュアとか呼ばれる代物だ。
神社に置かれるには、あまりに場違い過ぎる存在である。
まぁ、ここが『猫耳神社』という名前らしいので、有る意味でこれ以上ないほどぴったりな御神体でもあるけども。
めぐみん曰く、霊験あらたかとは口が避けてもいえないこのトンチキ神社は、紅魔族のご先祖様がモンスターに襲われそうになってる旅人を助けた結果、そのお礼として旅人が持っていた『命よりも大切なご神体』とやらを譲り受けた事から始まったそうだ。
神社の作り方もその旅人から教わったらしい。
「━━━まぁ、これが何の神様で、どんなご利益があるとか、その辺りはさっぱり分からないのですが」
呆気らかんに言い切っためぐみんに、水色は不機嫌そうに眉を潜めた。そりゃそうだ。普段自称なんちゃら様とか、駄女神とか馬鹿にされてても、こいつはモノホンの女神なのだから。
自分と同じ様に、美少女フィギュアが崇め奉られてたら文句の一つ二つは出てくるだろう。
「ねぇ、カズマ。美少女フィギュアが、この私と同じ神様扱いされてるの見るのは腹立たしいんですけど」
俺の予想通り飛び出した言葉に、今度はカズマが眉を潜めた。まぁ、そうだろうな。その自称なんちゃら様の世話をしてるのは、基本こいつだからな。文句の一つ二つ出てくるだろう。
あれ、デジャヴ?
「うるさいわ。こんな物持ち込む奴をここに送ったお前は、むしろ紅魔族に謝っとけ。デストロイヤーの奴といい・・・ホントお前は余計な事しかしないな。息をするように面倒事おこしやがって。なんなの、疫病神なの?」
「はぁぁぁッ!?このヒキニート!!誰が疫病神よ!!私は女神よ!水の女神!!」
またワチャワチャと喧嘩し始めたカズマ達から、俺は手を繋いでるこめっこへと視線を落とした。
そして頭に浮かんだそれを聞いてみた。
「なぁ、こめっこ。こめっこがオススメする観光地って何処かあるか?」
こめっこはさっき商店で買ってあげた飴を口に放り込みながら、ニッコリと笑って返してきた。
「さっきのお店!!美味しいの一杯だよ!!」
これは期待出来ないかも知れない。
原作は無事完結したし、コメントに元気貰ったし。
完結まではガンバるゾイ。
ガンバレタライイナ(希望)