とある石造りの、地下室のようなひんやりとした部屋。その中央に、緑谷は立っていた。
服装は林間合宿の時のままで、完全に裸となった上半身には立派な筋肉がついている。しかしその肉体は所々ボロボロで、痛々しい傷が何ヵ所にも渡ってついているのが見てとれた。
「くっ……!」
中央に聳え立つ石柱へと後ろ手に縛り付けられながらも、しっかりと立って緑谷は目の前に立つ人物を睨み付けている。
「んー……こっちのがいいかな……それともこっち?」
ふっくらとした丸顔な少女は、ウキウキとした様子で近くのテーブルに乗った
その顔は少女がショッピングを楽しんでいるが如く、とても楽しそうに見えた。
「ねぇ、デクくんはどれがいいと思う?」
「…………」
緑谷は答えない。そんな緑谷の対応に、丸顔な少女はスッと目を細めた。
ツカツカと緑谷の元へと向かっていくと、脅すように顔の横に勢いよく手を当てる。所謂壁ドンの体勢になって、少女は緑谷を問い詰めた。
「どれがいいかって聞いてんの。早く答えて」
「っ……!」
ドスの効いた声。普段の少女からは考えられないような、酷くイラついた声が緑谷の耳にこびりつく。
しかし、そんな脅しを受けても緑谷は怯まない。まっすぐに少女の目を見つめて、口を開く。
「麗日さん、もうやめてよ……こんなの、君らしくない」
「はぁ? 私らしくない?」
鼻を鳴らし、心底呆れたように少女は言う。
「デクくんに私の何が分かるの? 皆を助ける、誰も傷つけさせないって
「っ、それ……は……」
緑谷は顔を歪ませる。
「私は生まれ変わったんだよ。今とってもいい気分なの。デクくんも早く楽になろ? ぜんぶ忘れて、ヴィラン連合に忠誠を誓お?」
「え、な、何を……麗日さん、やめ──!?」
唐突に、少女と緑谷の唇が重なる。キスをしている──その事実を目の当たりにした緑谷は、顔を真っ赤にして唇を離そうとするのだった。
「んむっ……ちう、ちう……じゅるうぅ、れろぉっ」
「あぐっ……んっ、んむぅぅぅ!?」
唇同士が触れるだけのライトなものではなく、遠慮なく舌を口内にまで入れてくるディープなキス。
自身の唾液が根こそぎ吸い付くされるような、そんな今まで味わった事の無いような快感に襲われる。
緑谷は必死に理性を保とうとするも、歯の一本一本まで舐め回されるような徹底的なディープキスによって、もう理性はヤバい所まで崩壊してきていた。
「ぷはっ……うふふ、ぐちゃぐちゃになったデクくんの顔、カァイイ」
「はぁーっ……はぁーっ……!!」
少女の突然すぎるその行為に、緑谷の頭は既に真っ白になっていた。
(いい匂い……柔らか、くて……気持ち、いい……)
思考回路が、さっきしたキスの感触で埋め尽くされる。異性とのキスとは、こんなに甘く刺激的なものだったのかと、緑谷は砂粒ほどに残った理性で考えていた。
「美味しかった?」
「はぁっ……はぁっ……!」
下から覗き込むようにこちらを見つめてくる少女。しかし、緑谷にはその質問に答えることは出来なかった。
そんな状態の緑谷を見て、少女は薄く笑みを浮かべる。主に、緑谷の膨らんだ股間部分を見て。
「体は正直だね」
唐突に、少女は緑谷のズボンに手を突っ込む。その行動に、緑谷は当然のごとく驚いた表情を晒していた。
やがて、少女の手が固いものに触れる。言うまでもなく緑谷の肉棒だ。
「ちょっ、麗日さ──」
ガチガチに固くなってズボンを窮屈そうに押し上げる肉棒。それを少女は優しく握りこむ。
すべすべで、柔らかな肉の感触が、緑谷の肉棒を優しく圧迫していた。
「あはっ、キスだけでもうこんなにガッチガチ。もしかしてデクくんって……童貞?」
「…………」
「そっか、やっぱり童貞なんだ。それにしてはおっきぃよね、宝の持ち腐れじゃない?」
ズバズバと歯に衣着せぬ物言いをする少女に、緑谷の心は既にズタボロだった。
純朴な少年である緑谷にとって、これ以上ない程のダメージだろう。
「もうやめてよ……麗日さん……」
「だぁめ。ヤめない」
そう言って、少女はズボンから手を引き抜く。手に少しだけ付着したカウパーを舐めとり、至極意地悪そうな表情を浮かべた。
嫌な予感がする──そんな風に感じた緑谷はその直後、そのままズボンを勢いよく下げられた。
「うひゃぁー、でっかいねぇー」
「なっ……!」
するとたちまち、ガチガチに勃起した肉棒が少女の眼前に姿を表したのだった。
少女の細腕と比べても大きいと呼べるような、巨大な肉棒。凶悪なサイズのそれに、少女はいとおしそうに頬擦りをした。
「すぅー……はぁー……すっごい濃いオスの匂い。顔に似合わず凶悪だねぇ」
「ぐぅっ……!」
情欲にとろけた瞳のまま、少女は緑谷の肉棒を舐める。ピンク色の柔らかそうな舌が、固くなった肉棒の上を這うように滑っていく。
「れろれろ、ちゅっ、ちゅうっ」
「あうっ、んぐっ……!?」
肉棒全体にチロチロと舌を這わせ、その合間に亀頭に軽いキスをする。
その光景を上から見てしまった緑谷は、より一層肉棒を固くしてしまうのだった。
「わ、まだ固くなるんだぁ。じゃあ……これはどう?」
少女は口を目一杯大きく開けると、おもむろに緑谷の肉棒を頭から咥え始めた。
まるでおまんこに挿入でもするかのように、巨大な肉棒が少女の喉奥へと入っていく。
「んろぉー……ずりゅっ、ずりゅっ、ずりゅりゅりゅりゅっ!!」
「っぁ! くぅっ!?」
そして、少女はそのままストロークを開始する。口──既に食道──全てを使って緑谷の肉棒をしごき上げるその姿は、あまりにも卑猥で、そして健気だった。
無様なひょっとこ顔を晒し、イきそうな目で緑谷を上目遣いに見つめる。それは、今まで緑谷が見たことのない、少女の新しい一面であった。
(うわ……麗日さん、僕のをあんな奥まで……顔も凄いことになってる……すごく、下品だ)
心の中で、新しく見えた少女の一面にドン引きする緑谷。しかし、その姿に少なくない興奮を覚えていたのも確かなのだ。
心臓の鼓動が速くなっていくのを感じる。それと同時、肉棒も更に固くなってきているのが分かる。
「うっ、ぐっ、うぁっ……!!」
「ちゅぼっ、ちゅぼっ、じゅるるるるぉっ!!」
「うああああぁぁっ!?」
今まで経験したことのないような、暴力的すぎる性の刺激。
まるで頭を金づちで殴られたかのような重い快感が、断続的に緑谷の肉棒から伝わってくる。
「やめっ、うららかさっ、もう──!!」
そしてその数秒後、緑谷は弾けるように射精したのだった。少女の口の中に、大量の精液が流れ込んでくる。
「んぶぉっ!? ごぼっ、んむぅぅぅ!?」
じゅるじゅる、ごきゅごきゅ。まるでゼリーを飲んでいるかのような感覚。
口内に収まり切らなかった精液が、逆流して鼻から噴き出してきた。
「んんっ、じゅるっ、じゅぼぼぼぼぉっ!!」
「うわっ!?」
しかし、そんな溢れた精液たちも、少女は決して逃さない。熟練したバキュームにより、溢れた精液たちを一滴残らず飲み込んでいく。
「はぁー……はぁー……!」
「ぷはぁ……ごちそうさま、デクくん──けぷっ」
すべての精液を飲み干し、緑谷の肉棒から口を離して少女は微笑む。
普段であれば人好きのするであろうその可愛らしい顔は、今ではすっかりオスを誘惑するメスの顔に変化していた。
「ぐっ……はぁ、はぁ……ご、ごめん麗日さん」
「なんで謝るの? とっても美味しかったよ、デクくんの精液」
息を荒くしながらも項垂れ、謝る緑谷に対して少女はにぱっとした笑顔を返す。
そうやって少女が口を開ければ、そこから濃厚な精液の匂いが漂ってくる。噎せ返るような濃すぎるオスの匂い。それが少女の甘いメスの匂いと混ざり、なんとも言えない香りを放っていた。
そして今のこの状況では、それすらも興奮材料となってしまうわけで。
「わぁ、デクくんのまた固くなったー」
「み、見ないで……麗日さん……」
先ほど射精したのが、全部嘘だったかのように感じるほどの完全勃起。
緑谷の肉棒は、まだまだ出せるぞ、と激しく自己主張していた。
「まだまだイけるみたいだね。じゃあ、そんな立派なオチンポにはぁ──ご褒美あげなきゃ」
「なっ……!?」
おもむろに、少女は着ていた衣服を脱ぎ始める。タンクトップを下から捲り上げるように脱ぐと、ぷるんと瑞々しい柔らかそうなおっぱいが緑谷の前に姿を表した。
先ほどのフェラの影響か、少女の肌にはうっすらと汗が浮かんでいる。しかし少女から香ってくるのは、汗臭さ等とは無縁な、とびきりに甘い匂い。
そんな匂いを嗅いで少々放心状態になっていた緑谷だったが、目の前に少女の裸体があることを思い出すと、すぐさまそちらから目を逸らす。
「目ぇ逸らしちゃダメだよ。ほら、私のおっぱいちゃんと見てほしいな」
「ちょっ……! だ、ダメだよ麗日さん! お、女の子が、いきなりそんな……!!」
目を閉じて、頑なに顔を逸らす緑谷の胸板に、少女は意地悪そうな笑顔を浮かべて自身のおっぱいを押しつける。
おもむろに押しつけられたその双丘は、むぎゅうっ、と柔らかそうにその形を歪ませていた。
(あわわわわ……やわっ、柔らかい感触が……!!)
生まれて初めて──物心ついたときからだが──感じる柔らかな感触。
今までの記憶のから類似した感触のものを探してみるも、一向に見つかる気がしない。それほどまでに、緑谷にとっておっぱいの感触とは未知なるものだったのだ。
「ふふ、喜んでもらえたみたいだね」
「いやっ、これはっ、ちがっ、別にっ、喜んでなんか──」
「次はぁ……えいっ」
面白いほどに動揺する緑谷を見つめながら、少女はおっぱいを徐々に下へと動かしてゆく。
柔らかい二つの塊が体を這い回るその感触に、緑谷は自身の肉棒が更に固くなっていくのを感じていた。さっきまでの勃起が最高だと思っていたのに、興奮は留まるところを知らないらしい。
「パイズリだよ」
「──っ!?」
突然、ふにゅんという感触と共に、緑谷の肉棒が何か柔らかくて温かいものに包み込まれる。
あまりに突然の快感に、ビキビキと反り立つ肉棒の先からピュッと先走り液が漏れでた。
そこに追い討ちをかけるように、少女は口に貯めていた唾液をゆっくりと垂らしていく。
「気持ちいい? デクくん」
「あっ……くっ……麗日さん……やめっ……!」
程よく粘性を含んだ唾液が亀頭にかかった瞬間、緑谷の肉棒はビクンビクンと歓喜にうち震えていた。
ローションがわりの唾液をかけられただけでイきそうになっている緑谷へ、少女は歓喜の視線を向ける。
「良いんだよ、気持ちよくなっても──私のこのいやらしい体を使って……いっぱいいっぱい、気持ちよくしてあげるからね……デクくん」
「うあぁ、あああ……!!」
そんな甘い言葉と共に、少女はおっぱいを上下に動かし始めた。
谷間に収まりきらないサイズの肉棒を挟んだまま、ずりゅずりゅと卑猥な音を立ててパイズリをしていく。
「気持ちいい? 気持ちいいよね、デクくん!」
「っ……! ぐっ、うぅっ!?」
乱暴に、粗雑に、少女は自身のおっぱいを使って肉棒をヌいていく。
テクニックも何もない。その豊満な胸を使った、ただただ暴力的なパイズリ。
しかし、緑谷は欠片も痛みなど感じていなかった。それどころか、とても気持ちいいと感じている始末。
パイズリよる快楽の嵐は、童貞である緑谷の理性をズタズタに引き裂いていった。
「うららかさっ……もうっ、でる──!!」
少女は渾身の力を込めておっぱいを擦りあげ、そのまま勢いよく真下にストロークさせた。
ぼちゅん! という下品な音を立ててこき下ろされた緑谷の肉棒は、我慢の限界と言わんばかりに堰を切って決壊した。
ぶぽっ、どぶっ──ビュッ、ビュルルゥッ!! ビュウウウウッ!!!
まるで水鉄砲かなにかのような勢いで、精液が肉棒から発射されていく。
真っ白でねばついたそれは、出された側から次々と少女の顔面に降り注いでいった。勢い余って、髪の毛にまで飛び散っているものもあったが。
「ふわぁ……デクくんの、凄い……二回目なのに、こんなに濃い……」
少女は顔についた──まるでゼリーのような──精液をつまみ上げ、眼前でそれをにちゃにちゃといやらしく弄り回す。
うっとりとしたその視線は熱を孕んでおり、真っ白にデコレーションされた顔の中でもとびきり情欲に爛れていた。
「いただきまーす……あむっ、んんっ……もにゅもにゅ」
「そ、そんな麗日さん……僕の、そんな……美味しそうに……! はぁっ……はぁっ……!!」
おもむろに指についた精液を口に入れ、まるでガムでも噛むかのように咀嚼する。
そのいやらし過ぎる光景に、緑谷は──射精したばかりだというのに──またも肉棒を勃起させてしまっていた。
いつものオナニーだったら一回出せば十分だった筈なのに、今は一向に勃起が収まる気配がない。まるで無限に射精出来そうだと、緑谷は感じていた。
「ごくんっ……はぁぁぁっ。やっぱり、デクくんの精液美味しいぃ……!」
恍惚とした表情で、少女は精液を飲み下す。
(なんて、顔……してるんだ)
精液まみれのその顔はあまりに下品であり、それと同時にとても魅力的に映った。
いつも可愛いくて朗らかな少女が見せる、熱に浮かされた淫靡な表情。それは、見ただけで射精できるような最高級の
「あはっ……もう、我慢できない……」
唐突にその場から立ち上がった少女は、緑谷の目の前でおもむろにハーフパンツを下着ごとずり下ろした。
下着の股布と少女のおまんことの間に、ねっとりとした愛液が糸を引いて垂れ下がっている。
「う、麗日さん……!」
「ほら見て、デクくん……あなたの精液でこんな風になっちゃった……」
脱いだハーフパンツと、愛液でぐちょぐちょになった下着をそこら辺に放り投げる。そうして半分脱ぎかけていたタンクトップを完全に脱ぎ捨て、少女は緑谷の眼前にその瑞々しい裸体をさらけ出した。
先程のおっぱいだけとは破壊力が違う。なんて綺麗な体なのだろうと、緑谷は思った。
「ここまで来たら……何したいのか分かるよね?」
「っ──!!」
ゴクリと、緑谷は生唾を飲み込む。
「セ・ッ・ク・ス」
「セッ──!?」
耳元で囁かれたその単語に対して、緑谷は目を見開く。その顔には羞恥心と好奇心、喜色と不安といった様々な感情がないまぜになったような、とても複雑な表情が浮かんでいた。
「したいでしょ? したいよねぇ? セックス」
「う……うあぅ……!」
思春期の男子には悪影響どころか、猛毒といってもいい提案。
顔を今までに無いくらい真っ赤に染めた緑谷は、努めて少女の裸体を見ないようにと視線を左右に泳がせる。
「ぼ、僕は……!」
目をギュッと閉じ、何かに耐えるような表情を見せる緑谷。数秒後、緑谷は決心したように目を開けた。
「──しないっ!」
「きゃっ!?」
その瞬間に上半身を勢いよく反らし、密着していた少女をはね除ける。
たたらを踏み、よろける少女。体勢を立て直して正面を見てみれば、そこには覚悟を決めた表情の緑谷がいた。
「僕は……僕は、君にそんなことはしたくない!」
「デク──くん?」
呆然とした表情で、少女は緑谷を見る。
「確かに、僕だって男だ。そういう……ことに、興味がない訳じゃない。でも、こんな風に……無理矢理するのは……違うと思う」
「え……?」
「それに、こういうのは……好きな人同士でやるものだと思う」
「なに……言ってるの、デクくん……?」
さっきまで紅潮していた少女の顔が、蒼白に変わっていく。
緑谷のその言葉にショックを受けたのか、よろりとバランスを崩してその場でたたらを踏む。
「好きな人……デクくんは私のこと、好きじゃないの……?」
「っ……!」
緑谷の瞳が揺らぐ。そこに宿った覚悟の光が、消えそうになる。
しかし、緑谷は消えかけの理性で再び瞳に覚悟を宿す。そのまま、ゆっくりと力なく口を開いた。
「今の麗日さんは……キライだ」
「!!!」
その言葉に、少女はこの世の終わりのような顔を晒す。
「うっ……!? うぁっ……!!」
そしてそのまま、頭を抱えてその場に蹲ってしまった。
「ぐぅっ……頭が……いた……い……!!」
「麗日さん!?」
突如苦しみだした少女を目にして、緑谷は咄嗟に飛び出そうとしてしまう。しかし、後ろ手でガチャガチャという音がなるだけであった。
少女が苦しみだして数秒。唐突に顔を上げた少女は、涙に濡れた顔で緑谷を見上げていた。
「あ……デク、くん……?」
その顔には、先程までの情欲等は欠片も感じられない。かつて学校で見た姿と変わらない、いつもの少女の表情をしていた。
「も、戻った……? 洗脳に打ち勝ったんだね、麗日さん!!」
「デクくん……うん! 私、勝ったよ!」
そのまま少女は立ち上がり、ふらふらと危ない足取りながらも緑谷の元へと向かっていく。
そうして、緑谷の目の前まで来た所で。
「なんちゃって」
「え──」
少女はいきなり蝋のように溶け始めた。
「うふふ、デクくんってばカァイイ。私のこと、本物のお茶子ちゃんだと思ってたんですね」
「な、なんっ──」
溶けていく少女の奥から、
猫を思わせる金色の瞳。鋭く研ぎ澄まされた八重歯。そして、底無しなまでの喜色を湛えた笑顔。
「これが本当の私──トガです。よろしくね、出久くん」
ヴィラン連合の一員トガヒミコが、そこに立っていたのだった。
────────────────
「相変わらず凄いねトゥワイス。性格も行動も僕たちそっくりだ」
「だろ!? そうでもねぇけどな!」
とあるビルの一室。バーにも見えるその部屋で、僕たちヴィラン連合の面々は手に持ったタブレットを見据えていた。
トムラくんと黒霧さんを入れて全員で九人。
そのうち何人かは食い入るように画面を見つめていたり、顔を真っ赤にさせて目を背けていたりもしている。
「こんなので本当に効果あんのかねぇ……」
「あると思うけど? 少なくともお茶子ちゃんの方は堕ちそうだし」
隣で興味なさげに呟く荼毘くんに対して、僕は言葉をかける。
今現在、タブレットの向こうでは僕とお茶子ちゃん。彼女と緑谷くんがそれぞれ個室で
まぁ、正確に言うならあれはトゥワイスの個性で生み出した分身なんだけどね。
「うひゃー……若いっていいねぇ。オジサンもうお腹いっぱいだよ」
「う、うぉぉぉ……!」
「いやぁん! 迸ってるわね、パトスが!!」
それぞれに割り当てられたタブレットを眺めながら、コンプレス、スピナー、マグネがそれぞれの感想を口から洩らしている。
スピナーのは、感想と言えるかどうか怪しいけど。
「んー、やっぱりお腹出てます……仁くん、お腹目立たないように作りました?」
「腹出てるか? すげぇデブだ──ぶべっ!?」
カウンターの近くでそんな会話をしている彼女とトゥワイス。そんなトゥワイスの頭をスッパーンとぶっ叩き、カウンターにめり込ませた僕は意気揚々と荼毘くんの方へと戻っていく。
イカれてるとかは許すけどデブは許さん。彼女は太ってないもん。ただ妊娠してるだけだもん。
「…………」
「ん?」
なんか凄い微妙な顔してるけど、どうしたの荼毘くん。
「なぁ、黒霧」
「……何も聞かないでください、死柄木弔」
「これ、先生から習ったやつ──」
「……後で聞きますから。今はダメです」
タブレットを見つめたまま、主従コンビが何やら話している。少なくとも健全な会話ではない事は確かだ。
ちなみに、このタブレットはトムラくんが先生と呼ぶ人からの贈り物らしい。黒霧さんがそう言って持ってきたのだ。
全員に一台づつくれるとか、経済力が凄い。
「よっと……で、荼毘くんはどっちが先に堕ちるのに賭ける?」
「ハッ、くだらねぇ……」
下らないとかいいつつ横目でタブレット見てるじゃん。まったくもー、どうでもいいって顔して興味津々なんだからー。むっつりだなー、荼毘くんはー。
「僕はお茶子ちゃんかなー。自分自身のテクに期待したい」
「…………」
「荼毘くんは緑谷くんでいい?」
そう聞くと、小さく『……好きにしろ』という声が聞こえてきた。
じゃあ好きにさせてもらおう。荼毘くんは緑谷くんに十万円っと。
「さってと、早く堕ちないかなぁ……」
どっちから先でも構わない。二人が完全に堕ちたら、次の作戦に進行するのだから。
僕はその時の光景を想像しながら、深い笑みを浮かべるのだった。