ラジオネーム「恋する☆Sayoriちゃんっ!!」から
気になるあの人が私の誘惑にに気付いてくれません
あたしはいくじなしでしょうか?ぐぬぬ、あしたこそ……
Sayoriちゃん!『あしたって今さッ!』
それではご機嫌なSS、続けてSTAY TUNED!!
サヨリと一緒に帰るいつもの帰り道
いつもなら他愛ない話をしながら帰る道も
サヨリが静かなせいでいつもよりも長く感じられる……
その原因は俺にあるのだが……
「あの……サヨリ?」
「何?タチバナ」
「なんで、そんなに静かなんだ……?」
「自分の胸に手を当てて聞いてみるといいんじゃないかなぁ?」
サヨリがマフラーの端を持って引っ張る
一緒につながっている俺の首がぎゅっと締まる
これは……相当怒ってる……
部室ではできるだけ、怒ってないように見せるため明るく振舞っていたが
校門から出て一緒にマフラーを付けたあたりからずっとむすっとしてしまっている
「だからユリの件は俺が悪かったって……」
「ねぇ、本当にユリちゃんとは何もなかったの?」
「ユリちゃんに何したか……中で詳しく教えてほしいな……」
いつの間にかサヨリの家の前についていた
いつもなら嬉々として入るサヨリの家も
今は、俺を尋問するための取調室のように見えてくる……
これで、夕飯にカツ丼でも作ろうものなら本当に取り調べだ……
「わかったよ……お前に何も嘘はつかない、約束する」
「本当に?タチバナの事信じてるからね?」
「彼女に嘘つくわけないだろう?」
「んふふ……その言葉が聞けて嬉しいな」
がちゃりと扉を開ける
玄関の電気をつけて靴を脱ぎ揃える
整理整頓された玄関からは
ホワイトムスクの甘い香りが漂っていた
「ただいま~」
「ただいま」
今では『お邪魔します』じゃなくて『ただいま』って言って入るになった
それだけ、この家にも何度も入り浸っている
恐らく小さい頃から数えて4桁は軽く超えているだろう
「タチバナ、今日の晩御飯は何がいい?」
「お前が作るものなら何でもおいしいよ」
「えへへ~、ってそうじゃなくて!タチバナが食べたいもの!!」
「本当に何でもいいんだけどな……」
サヨリは青いエプロンをつけてこちらにくるりと振り返る
スカートの裾とエプロンの裾が一緒になってふわりと宙に舞う
サヨリの笑顔がとてもまぶしい
太陽みたいなその笑顔に思わず目を細めてしまう
「もう!なら本当に適当に作るからね!?」
「お前が俺に作る料理で手を抜いたことないだろう?」
「えへへ~、だってタチバナが食べてくれるんだもん!私だって頑張っちゃうよ!」
「そんなに気張らなくてもいいだろ……お前の作るものならなんだって食うよ」
柄にもなく臭いセリフを吐いてしまう
こんなことも気軽にしゃべれるのがサヨリといて楽しいところでもあったりする
サヨリも、冗談だって分かっていて話をしてくれる
昔から一緒にいるからこそ、こんな冗談を言い合える。
「えへへ~じゃぁ、今日は唐揚げにしようかなぁ~」
「おっ、いいな、何か手伝うよ」
「いいよ、タチバナは……座って待っててよ」
「そういう訳にもいかないだろ」
俺は自分の鞄から空になったお弁当を取り出す
ついでにサヨリの鞄の中からもお弁当を取り出して流しに入れる
サヨリが料理の準備をしている横で洗い物を進める
二人分のお弁当箱を綺麗に洗い終えるころには
すでにサヨリは唐揚げの下ごしらえを終えようとしていた
袋に入って下味の付いた鶏肉に遠慮なくサヨリは卵を投入する
そこに小麦粉を投入して混ぜ合わせていく
その間に俺は大きめのフライパンに油を入れて火にかける
サヨリとこうやって一緒に料理をするのはもう慣れたものだった
「じゃぁ、タチバナ跳ねると危ないから離れててね~」
「お前こそ気をつけろよ……」
「大丈夫だよ~、何度も作ってるんだし~」
「まぁ、大丈夫だとは思ってるけどな……」
油のパチパチと跳ねる音が部屋中に響き渡る
その隣で大きめの皿を出して冷蔵庫からレタスを取り出してくる
サヨリが鼻歌を歌いながら唐揚げを揚げているのをよそ目に
レタスを皿に盛りつける
サヨリの鼻歌がここまで届いてくる
最初は俺がずっと鼻歌で歌っていた、とっておきの唄だ
今じゃ、歌う必要もなくなってしまったかもしれない
その代わりに、サヨリが楽しそうに歌ってくれている
冷蔵庫から次々と野菜を取り出しては盛り付けていく
一人ならキャベツでも適当に切って盛り付けて終わりだろう
でも、サヨリと一緒に作るから
サヨリと一緒に作っていたいからこうやって丁寧に盛り付ける
盛り付けられた大きな皿にはレタス、プチトマト、ポテトサラダが並ぶ
あとはメインディッシュの唐揚げを待つだけの状態にセッティングしておく
ご飯もあと少しで炊けるのだろう
炊飯器の蒸気口から勢いよく水蒸気が上がっている
「あっ!!」
急にサヨリが揚げ物のフライパンから後ろに飛びのく
急いでサヨリの元に駆け寄って声をかける
「大丈夫か!?サヨリ?」
「うん……ちょっとびっくりしただけ……」
そう言うサヨリの右手の甲の一部が赤く変色していた
恐らくそこに油が飛び散ってしまったのだろう
「大丈夫じゃないだろ!ほらこっち来い!」
揚げ物の火を止めてサヨリの手を引っ張る
そしてそのまま流し台まで連れていき
サヨリの手を流水で冷やしてやる
「ごめん、タチバナ……」
「いいから、痛くないか?」
「うん、大丈夫、ありがとうね……」
「いいって、お前が怪我してるところ見たくないからな……」
冷凍庫から氷をいくつか取り出してきてポリ袋に詰める
そして、その中に水を入れてタオルでサヨリの手を包む
簡易的な氷嚢でサヨリの火傷ができるだけひどくならないようにしてやる
できることなら、もう二度とこいつが苦しんでる姿なんて見たくなかった
「やっぱり、タチバナはやさしいんだね」
「そんなことねぇよ、お前だって俺が怪我したらこうしてくれるだろうしな」
「うん!もちろんだよ!タチバナの為なら、私なんだってできるから!」
「あんまり気張りすぎるなよ、俺はお前が隣にいてくれるだけで十分なんだから」
サヨリの手を冷ましながらしっかりと顔を見る
少し前までは泣いていることが多かった顔も
今では俺の隣にいて笑顔でいてくれる
それだけで、少し救われた気持ちになれる。
「もう大丈夫なんじゃないか?さすがに腫れも引いただろう」
俺が氷嚢から手を離そうとするとサヨリがその上から手を押さえてくる
「ううん!まだ!えっと……もう少しだけこうしていたいって言ったら迷惑かな?」
サヨリは押さえた手をぎゅっと握り締めながら上目遣いで訴えてくる
……結局しばらくの間サヨリの手をずっと握り締め続けていた
氷嚢の氷はとっくに溶けてしまって、ただの水を入れた袋になってしまっていた
それでも、サヨリは俺の手を離してくれそうになかった
さすがに痺れを切らして、サヨリに問いかける
「なぁ、サヨリ……そろそろいいか……?おなかすいたんだけど……」
「あっ!ごめんタチバナ!」
パッとサヨリが手をどかしてくれる
氷嚢を押さえていた手が冷えてうまく丸められない
作っていたから揚げはサヨリから俺に引き継いだ
さすがにさっきのことがあったのに、もう一度油の前には立たせたくなかった
さっきより少し高い温度で油をもう一度熱して二度揚げの要領で、から揚げを揚げてみる
何とか、食べられそうなものはできただろう
サヨリが用意してくれていたキッチンペーパーを敷いた皿にから揚げを乗せて油を切る
一通り油を切った後に、野菜を盛り付けたさらにから揚げを乗せていく
メインディッシュがきたことでダイニングテーブルが一気に華やぐ
サヨリも二人の茶碗にご飯を盛ってそれぞれの席の前に置く
ふと、茶碗を持つ火傷していた方の手に目がいく
まだ、手の甲はうっすらと赤く染まっているが
先ほどよりも腫れも、色も落ち着いているようで安心した
「タチバナ!食べないの?」
サヨリは俺の目の前でお箸を手に持ちながら両手を合わせて聞いてくる
あわてて俺も箸を取って胸の前で両手を合わせる
「「いただきまーす」」
二人して大皿に箸を伸ばす
から揚げをひとつ自分の口元まで引き寄せて
大きく口を開けて噛み締める
中から肉汁が出てきて茶碗に垂れる
さくっとした衣に、もっちりとした鶏肉が絶妙にマッチしている
味付けも生姜がしっかりと利いておりおいしい
一時はどうなることかと思ったが何とかおいしく作れたようだ。
サヨリも笑顔を浮かべながら次々とから揚げに手を伸ばしている
……ほほえましい光景ではあるが、このまま黙って見ていたら
サヨリはさらに乗っている分をすべて食べきってしまいそうな勢いだ
サヨリは見た目の割には結構よく食べるほうだと思う
それも、おいしそうに食べるからこちらも見てておなかがすいてくる
「サヨリ……あんまり食いすぎるなよ?」
「うん!でもおいしいからね~」
「手が止まらないってか……」
「えへへ~、そんな感じ~」
しゃべりながらもサヨリの手は止まらない
いつもの事だからすでに見慣れてしまったが
端から見れば異様な光景だろう
俺も負けじと作った料理に手を伸ばす
数十分もするとあれだけあったから揚げはひとつ残らず二人の腹の中に納まっていた
茶碗を重ねて流し台に持っていく
どうせ洗ってしまうなら先ほどの弁当箱も一緒に洗えばよかったと思いながら
流し台を後にして食器棚からマグカップを取り出してくる
サヨリが流し台で食べ終わった食器と格闘している間に
二人分のインスタントコーヒーを淹れる
ポットからインスタントコーヒーに湯を入れる
コーヒーの香りがわずかな洗剤の香りと混じる
ミルクと砂糖を多めに入れたコーヒーとブラックコーヒーを両手に持って
ローテーブルの方に向かう
ローテーブルの上に並べるようにしてマグカップを置く
赤と青のマグカップが仲睦まじく隣り合っている
青いマグカップを手に取ると近くにあった二人掛けのソファーに座る
サヨリと食事をした後はこうやってコーヒーを淹れるのがいつもの流れになっていた
こうやって食器がカチャカチャ音を立てているのを聞くのが楽しい
そこにサヨリの鼻歌が混じるとなおさらだ。
キュッと蛇口の閉まる音がする
流れ出ていた水の音も止まって部屋が一気に静かになる
後ろからスリッパのパタパタという音が聞こえてくる
その音は俺の耳の隣で止まる
「タチバナ、コーヒーありがと!」
ぴょんと飛び乗るようにソファーにサヨリが座る
持っているコーヒーが零れないように自分の体に引き寄せる
ソファーが二つのくぼみを作って柔らかく二人を包む
サヨリが体を少し前に伸ばしてミルクコーヒーを手に取る
その時、少しだけこちらに体を寄せながらもう一度座りなおす
二つだったソファーのくぼみが一つになる
ソファーが沈み込み二人の距離が少し縮まる
「タチバナが私の事見捨てなかったから、今日のコーヒーもおいしいんだよね」
「コーヒーは何時でもうまいだろ」
「ううん、タチバナが淹れてくれるからおいしいんだよ~」
「そんなことねーよ」
コーヒーをテーブルに置いて
サヨリの頭に手を置いて撫でてやる
サヨリの頬が緩み、目が細くなる
その表情を見て俺も笑顔になる
何をするわけでもなくただ二人隣にいて
ただ二人で他愛もない話をして
ただ時間が過ぎるのを惜しく感じて
ただ帰るのを惜しく感じる
それだけの時間。
突然部屋にオルゴールのような音楽が流れ始める
「オフロガワキマシタ」
お風呂が沸いたことを知らせるアラーム音だった
その音を聞いてサヨリがこちらに顔を向ける
「タチバナ……先にシャワー、浴びていいよ?」
「風呂沸かしたのにシャワーで済ませるのかよ……」
「えへへ~、言ってみたかっただけ~」
「まぁ、帰る前に入っていくか……」
冷たくなったコーヒーを飲み干して席を立つ
促されるままに脱衣所に向かい服を脱ぐ
浴室を開けて中に入る
シャワーで体を濡らしてから
シャンプーを頭につけて頭を洗う
目に沁みないように目を閉じながらシャワーで洗い流す
シャワーの音が心地いい
カチャリとそこに別の音が混じりこんでいる……
「タチバナ……体洗うよ?」
まだ流している途中の頭を90度回転させ扉の方を見る
そこには一糸まとわぬサヨリの姿があった
目が染みて目をつぶるとともに首を素早く元の位置に戻す
これが、モニカの言っていた発情スイッチのせいなのか
それとも、からかいに来ているのか俺にはよくわからなかった
とにかく、この風呂場から早く脱出しなければならないと
急いで頭の泡を落として、風呂から出ようとする
「そんなに急がなくてもいいんだよ?」
後ろからサヨリが抱き着いてくる
サヨリのすべすべとした肌を自分の背中で感じる
そして最近大きくなってきたという双丘も
「サヨリ、おい!離れろって」
「えへへ~、そう言っても強く引きはがしたりはしないんだね」
「狭いし、怪我したら大変だからな!だから怪我する前に離れてくれ」
「や~だ、タチバナの事は私が何でもしてあげたいの」
抱き着いた手を離しそのまま体重を前にかけてくる
サヨリに押されて一緒に体が前に倒れていく
体にさらに強くサヨリを感じる
サヨリの体にシャワーが当たってその雫が落ちてくる
体を前に倒しながらサヨリは器用にボディソープをプッシュして手に取る
シャワーを止めながら、サヨリは体を元の位置に戻す
背中にサヨリの手が当たりひんやりとしたものを感じる
ボディソープが俺の背中で広げられていた
「それじゃぁ、タチバナ。体洗うね?」
「ストップ!ストップ!今ならまだ……」
「待たないよ~、えいっ!」
サヨリは後ろから俺の両腕をつかむと
押し付けた胸で背中を上下に洗い始める
押し付けられた双丘の中に固いものを二つ感じながら
できるだけ無心でいようと、じっと目を瞑る
「サヨリ……なんでいきなりこんな事し始めたんだ?」
「いきなりなんかじゃないよ、ずっとしたかったけどしなかっただけ……」
「でも、今日のを見て少し……焦ってると言うか……えへへ、やっぱり何でもないや」
「サヨリ……」
恐らく、今日のユリとあった一件を見てここまで大胆になっているのだろうか?
それともモニカのせいなのか?
ユリの一件を言い訳に使いたいだけなのか、本心なのか未だに掴めない
ただ、サヨリを安心させてやらないといけない、心の底からそう思った
「サヨリ……安心してくれ、俺はここにいるし、どこにもいかないよ」
「……信じてもいいの?」
「ああ、だから突き放したりもしなかったろ?」
「うん……タチバナの事……信じてるからね」
サヨリが腕を離して俺の体の正面に回り込む
そのまま椅子に座っている俺の腿の上に座る
サヨリの体は泡にまみれており
その下から眩い肌が見え隠れしている
「私は、タチバナの為なら本当になんだってしてあげたい……」
「ご飯を作るのも、体を洗うのも、朝起きるのだって、なんだって……」
「大丈夫だよ、サヨリ、そんなにしなくったって俺はお前のそばにいる」
「これからも一緒にいるって約束してくれる?」
返事の代わりにサヨリを強く抱き締める
サヨリも俺のことを強く抱きしめる
そしてそのまま二人して体をこすり合わせ体を洗う
シャワーで体を流すと、サヨリの珠のような肌が水をはじいているのがよくわかる
浴槽の蓋を開け、湯船につかる
俺と同じ方向を向いて背中を預けるようにサヨリも湯船につかる
ゆっくり、静かにサヨリの体の前に手を伸ばす
両側から包み込むようにサヨリの手が俺の腕をつかむ
「温かいね、タチバナ」
「ああ、顔から火が出そうなレベルでな」
「ふふっ、やっぱり恥ずかしいんだ」
「こんなに積極的に来ると思わなかったからな」
「でも、もう見慣れちゃったんじゃないの?」
サヨリが俺の方を振り返りながらにやりと笑う
小さい頃はこうやって一緒によく風呂に入っていたらしい
小さい時の話だからよく覚えてはいないが……
まさかこんな年になってまで一緒に入るとは思ってもみなかった
「見慣れるかよ、バカ。」
両手でサヨリの頭を掴み
正面を向かせるようにして首を回す
必死にサヨリは抵抗するが
根負けしてくるりと正面を向く
「ちぇ~、そろそろ見慣れたと思ってたのにな~」
「何度見ても恥ずかしいし、慣れねぇよ……」
「私だって恥ずかしいんだよ?」
「そんなこと言う奴は人が風呂入ってるときに勝手に入ってきたりしねぇよ」
両手を組むように合わせて手のひらと手のひらの間に隙間を作る
その隙間を両側からキュッと抑え込みサヨリに向けて水鉄砲を発射する
「ひゃん!」
と素っ頓狂な声を上げて俺の足の間でサヨリが大きく跳ねる
サヨリが狭い浴槽の中で体を回転させて俺の方を向く
同じように両手を胸の前で組んで水鉄砲を放ってくる
急な動作に反応できず、もろに顔面にお湯を食らう
お返しとばかりに水鉄砲をさらにサヨリに食らわせる
こうやって小さい頃も遊んでいたんだろうか?
小さい頃の記憶はあんまり覚えていない
それでも小さい頃からサヨリのそばにいた
それだけは確かに覚えている
「んもー!降参!!」
サヨリが両手でバシャバシャと水面を叩く
お湯が辺りにまき散らされ二人ともその湯を浴びる
サヨリが静かになると風呂の中にも一緒に静寂が戻ってくる
「小さい頃から変わらないな、お前は……」
「えー?いろいろ変わったところもあるんだよ!」
「それでも、サヨリはサヨリだよ。」
「えへへ~でも、本当に成長してるんだよ?」
サヨリが俺をぎゅっと抱きしめてくる
サヨリの柔らかい体を全身で受け止める
確かにいろいろと成長していると意識してしまう
一度意識してしまうと、その劣情が体に変化を及ぼしてくる
これ以上変なことになる前にサヨリを引きはがす
「俺はもう出るからな!」
「ちぇ~、私は頭だけ洗ってから出るから先に部屋温めておいてよ~」
「エアコンだけ付けたら俺は帰るからな?」
「え~、ケチ!もっといっぱい話したいのに~」
駄々をこねるサヨリを浴室の扉でシャットアウトして
体をふいて、さっきまでの服をもう一度着る
湯冷めしてしまうのも怖いので、サヨリの言う通り部屋まで向かう
階段を上った先の部屋の扉に手をかける
冷えたドアノブが、部屋の寒さを克明に表していた
意を決して扉を開け放つ
足元に冷えた空気が流れ込んで鳥肌が立つ
サヨリの部屋はいつも通り綺麗だ
なぜかって?俺が毎週のように片づけてしまうからだ
でないと脱ぎっぱなしの靴下や、空き箱
果ては宿題までがそのへんに散らかっているという事態になる
綺麗な部屋だとエアコンのリモコンがある位置もわかりやすい
前はベッドの下だったり枕の横にあったリモコンは机の上に置かれている
リモコンを手に取りエアコンに向ける
ピッという電子音と共に生暖かい温風が流れ出す
部屋に不釣り合いなほど小さいエアコンが頑張って部屋中を暖めようとしている
それでもまだ少し寒い
椅子にかかっているブランケットを掴んで肩にかける
ふんわりのサヨリの匂いがする
少しブランケットを顔の方に寄せるとサヨリの匂いが強くなる
太陽のような暖かな匂いがする
こんなところ見られたら何を言われるかわかったもんじゃない
ブランケットを肩にかけなおすとベッドに腰かける
下からトコトコと階段をリズムよく上がる音が聞こえてくる
「タチバナ~、扉開けて~」
ドアの前でトントンとドアを叩く音が聞こえてくる
ベッドから立ち上がりドアノブに手をかける
扉を開くとそこには両手にお盆を持って立っているサヨリがいた
「喉乾いたでしょ~?ジュース入れてきたんだ~」
「おお、ありがとうな……それだけ飲んだら俺も帰るよ」
「え~、もうちょっと一緒にいたいな~」
「明日、昼から用事あるんだよ、ごめんな」
サヨリから受け取ったジョッキにはなみなみと紫色の液体が入っていた
見たところぶどうジュースのような色味で
風呂上がりで喉が渇いていた俺はそれを一気に飲み干そうと
ジョッキを一気に傾ける
サヨリも自分と同じようにジョッキを傾ける
ぶどうジュースのような甘みが口の中に絡みつく
ただのぶどうジュースでないということに気が付いたのはほぼ飲み切った時だった
何か喉に熱いものを感じる
苦みにも似たような、渋みのような感覚
小さい頃に親に隠れて飲んだことがある……
「サヨリお前これっ!!」
「ん~、どうしたの~?」
サヨリのジョッキはすでに空になっていた
「お前!これ酒じゃねーか!甘いワインだろこれ!!」
「えへへ~、しらないよ~?」
サヨリの目が左右に泳ぐ
下手な口笛を吹きながらゆっくりと顔をそらす
サヨリめ、わかっててやりやがったな……
サヨリと俺のジョッキはすでに空になってしまっている
酒に強いか弱いかはわからないが
こんな短時間で一気に飲むことがやばいって事だけはわかる
「本当にお前……あんまりふざけてるとな!」
ジョッキを床に置いて立ち上がる
同時に足元がぐらついて片膝を着く
頭の方に一気に血が上っていく感覚……
「ちょっと!タチバナ!大丈夫!?」
サヨリがジョッキを置いて座りながらこちらに近づいてくる
「大丈夫というか……お前のせいだからな……」
「え~、だってジュースだと思ったんだもん」
……絶対に嘘だ
ジュースとワインを間違えるわけがないだろう……
たぶん、酔った俺を見てみたかったとかそんな理由だろう
こいつのお茶目はたまにとんでもない方向に飛んでいくことがある……
「タチバナ~ね~大丈夫~?」
サヨリの顔が目の前に広がる
熱を測るようにして額に手が添えられる
サヨリの手がほんのりと温かい
「大丈夫だから……離れてくれないか?」
「え~やだ~、もっと~」
「くっつくなって!おい!!」
いつの間にか、ベッドに背をつけるくらいまでサヨリに迫られて後退していた
それでもサヨリは迫ってくるのをやめてくれない
サヨリの両手が首の後ろに回る
そのままぎゅっと抱きしめられる
サヨリの体はとても熱く
心臓がバクバクと音を立てている
……サヨリも完全に酔っぱらっているようだ
トロンとした目でこちらを見つめてくる
「ん~!なんだかこの部屋暑いよ~」
「エアコンをつけろって言ったのはお前だろ……」
「そうだけど~、も~暑くて我慢できないや!」
「なら離れてくれれば……っておい!」
サヨリは俺の体から手を離して服に手をかける
Tシャツのような服を俺の足元に脱ぎ捨てる
寝るときにブラをつけないのか、サヨリの半裸が嫌でも目に入る
お酒のせいか、その体は所々真っ赤になってしまっている
「タチバナ~暑い~」
「なら離れろ!エアコンも消すから!とっとと服を着ろ!」
「も~、ここまでお膳立てしたのに~」
「やっぱり最初から仕込んでたんじゃねーか!」
「あ……えへへ~」
サヨリの目がまた泳ぐ
ただ、体は俺の方に密着させてくる
今の俺のしびれた頭では正常な判断は難しくなっていた
サヨリがとても魅力的に見えてくる……
実際、魅力的なのだが……
「タチバナ、ん」
両目を閉じて少し唇を尖らせてくる
サヨリがキスをねだるときにするいつもの格好だ
好きなくせに自分からは絶対にしてこないのが本当にいじらしい
ゆっくりとサヨリの頬に手を添えてキスをする
ほんのりとぶどうの香りが混ざったサヨリの匂いが漂ってくる
すぐに唇を離してサヨリの顔を見つめる
ゆっくりと甘えるように目を開いてくる
その態度だけで、俺の理性の糸を緩めるには十分だった
サヨリの頬をより一層強く挟み
激しくキスをする、珍しくサヨリの方から舌を入れてくる
口の周りが二人の唾液でぐちゃぐちゃになる
サヨリの口内に残った酒が口の中に広がっていく
サヨリの鼻息が顔に当たる
頬から手を離しサヨリの体を抱き上げて後ろのベッドに押し倒す
煽情的な目でこちらをじっと見つめて受け入れるように両手を広げている
ベッドに押し付けるようにしてもう一度キスをする
サヨリを見つめながら手探りでゴムを探す
どこにあるかはすでに体が覚えてしまっていた
その間にサヨリは自分の下着をすべて脱ぎ切って
一糸纏わぬ姿になっていた
一つちぎって手元に引き寄せてくる
食玩のラムネの袋にも似たそれの封を切る
サヨリが手を添えてそれを手に取る
俺のベルトをそのまま緩めてズボンごと下着を脱がせてくる
窮屈だった下着から屹立したモノが飛び出してくる
サヨリが愛おしそうにそれをなでると嫌でもビクリと反応してしまう
サヨリが笑いながら態勢の上下を入れ替える
唇でゴムの先を食み、そのまま俺のモノに顔を近づけてくる
片手でモノの根元を握りながら先端にキスをする
そのまま器用に根元まで口をスライドさせて装着する
喉の奥に先端がぶつかりサヨリが軽く嗚咽を漏らす
「ぷはっ、タチバナ来て……」
体を抱きしめながらこちらに倒れこんでくる
ここまでされて止まれるわけがなかった
抱きしめながら体を回してサヨリを下にもってくる
サヨリの下腹部に自分のモノをあてがって探すように上下に動かす
グッと腰に力を入れてサヨリの体を貫く
背筋にゾクゾクとした感覚が走っていく
サヨリも腰を浮かすように反応し、声を漏らす
我慢できずに何度も腰を前後に動かして自分の劣情をサヨリにぶつける
時にはゆっくりと、コーヒーカップの底に残った砂糖を混ぜるように
時に激しく、打ち付けるようにしてサヨリの腰をしっかりとつかむ
ぐちゃぐちゃになるまでかき回す
連続的にサヨリの喘ぎ声が耳元まで届いてくる
その声が、俺をもっといけない気持ちにさせてくれる
もっとサヨリを愛したい、その一心で腰をさらに打ち込んでいく
歓喜の声がさらに大きく部屋に響く
腰の奥からグツグツとマグマが煮えたぎるように熱いものがこみあげてくる
そのまま奥まで貫くように打ち付ける
サヨリの腰が空中に浮いてガクガクと震えだす
挿入しているモノがきつく締め付けられて我慢ができなくなる
ドスンと浮いていた腰がベッドに落ちるとともに
我慢の限界が来た
煮えたぎったマグマは狭い道を抜けてサヨリに向けて放たれる
しかし、薄い壁によってそのマグマはサヨリの元まで届かない
ズルズルとゆっくりサヨリの中から抜き出してくる
ゆっくりと抜けたその穴はぽっかりと開き
ひくひくと煽情的に動いている
酒のせいで頭がガンガンしてくる
サヨリが俺とサヨリの間の薄い壁を取り除いて
それの口をキュッと結んで枕元に置く
そして俺の肩の下あたりに口づけしたかと思うと
そのまま歯を立ててキスマークを付けてくる
刺されたような痛みを感じながら顔をしかめてそれを我慢する
サヨリが口を離すと青紫に色に変色した皮膚が浮かんできた
お返しとばかりに、サヨリの同じところめがけてキスマークを付ける
サヨリにも同じようにキスマークがついて「お揃いだな」と笑い合う
サヨリは後ろを向いて蝶のデザインが入った袋の封を切る
ティッシュで俺のモノを拭きあげてすっかりと綺麗にしてくれる
その後に慣れた手つきでもう一度ゴムをつける
サヨリは俺の上にまたがっていじわるそうな笑顔を浮かべている
またすぐ屹立した俺のモノを手に取って
手際よく自分の中に導いていく
吸い込まれるように何の抵抗もなくサヨリの中に納まってしまう
ロデオマシンに乗るように激しく腰を上下に動かしている
サヨリの軽い体が俺の腰の上で暴れ馬のように跳ね回る
そのたびに屹立したモノにゾクゾクとした感覚が広がっていく
サヨリも気持ちがいいようで上体をそらしながら打ち付けるたびに何度も喘ぐ
少しだけ意地悪したくなってサヨリの腰を唐突につかみ動きを止めてやる
「えっ?」っと声を上げて腰を動かせる範囲で左右に小さく揺さぶっている
サヨリの腰を持ち上げて抜けるか抜けないかのギリギリの位置まで持ち上げる
そしてそのまま勢いをつけて腰の上まで思いっきり落とす
「ひぎゅっ」と情けない声を上げてサヨリの双丘が揺れる
そのまま何度も下から突き上げるようにして打ち付けてやる
サヨリも俺の腰の動きに合わせるようにして上下に腰を動かす
早くも2回目の射精感がこみあげてくる
薄い壁に阻まれながら自分の劣情をサヨリの中にまき散らす
ストンとベッドの上に腰を落とす
サヨリは俺の上で腰を前に曲げてガクガクと震えている
「うっ……あっ……」とサヨリが声を漏らし、俺の耳まで届く
酸素を求めてサヨリの胸が前後に大きく膨らんだり縮んだりする
サヨリは両手で俺を押さえつけるようにして腰を上げようとする
しかし、腰が抜けてしまっているのかうまく腰を上げられない
サヨリを抱き寄せてそのまま上下を逆転させて抜いてやる
ぽっかりと開いた穴からは透明な液体がとめどなく流れ出している
今度は俺の方からサヨリの首元にキスをしてマーキングする
荒い息遣いが痛みによって一瞬止まって、また酸素を求めて口をパクパクさせる
サヨリの首元に印をつけ、それを愛おしくなでる
サヨリが俺のモノであるという証明が優越感になって心地いい
サヨリも同じようにして首元に口を近づける
ユリからもらった絆創膏のすこし上あたりにキスマークがつく
サヨリも同じように愛おしく俺の首元を撫でる
そのまま指を下腹部まで滑らせてゴムを外して口を結ぶ
そこから先は何度体を重ね合わせたか正確な数は覚えていない
俺が疲れればサヨリが上になって
サヨリが疲れれば今度は俺が上になった
いつしか二人の体には十数個の青いあざが出来上がっていた
ベッドは二人の体液を吸って重くなっていた
汗なのか、よだれなのか、愛液なのか、精液なのか
そしてそれが二人のどっちのモノなのかかからないぐらい
ぐちゃぐちゃになって混ざり合ってしまっていた
数時間経ってゴムの箱に手を伸ばす
箱の中を探ってもプラスチックに触れる感触がない
不意に箱を手に取ってさかさまにする
上下に振っても何も落ちてこない
最初に取った時はいくつもあったように感じたのに
何時間も交わっている間に使い切ってしまったようだ
箱をゴミ箱へと投げ捨てる
吸い込まれるようにして箱はゴミ箱の中にきれいに入る
ベッドに横たわっているサヨリの方を見る
サヨリの枕元にはカラフルな風船がいくつも口を縛られて転がっている
その真ん中でサヨリは体を痙攣させながら
甘くとろけたような表情で必死に息を吸っていた
「使い切っちまったな……」
「はぁ……はぁ……もうしないの?」
「何時間やったと思ったんだ……また買いに行かないとな」
「今度はタチバナが買いに行ってよね、店員さんにじろじろ見られるんだから……」
サヨリは頬を膨らませながらこっちを見ている
あざだらけになった体をゆっくりと撫でてやる
すぐに笑顔に変わって首の後ろに手を回して布団に倒れこまされる
サヨリの顔が眼前に広がる
「タチバナのいくじなし……」
目を細めて耳元に口を近づけてぼそりとつぶやいてくる
その一言だけで、理性の糸を焼き切るのには十分だった
サヨリとの間にすでに壁はない
直にサヨリを感じながら必死に腰を動かす
先ほどとは違う生の感覚が新しい
サヨリの中が熱く燃え上がっているのを感じる
ほぼ空っけつになってはいるが万が一の事がある
劣情をぶちまける前に腰を大きく後ろに引き抜こうとする
突然サヨリの両足が腰の後ろに回り引き寄せられる
その快感でサヨリの最奥に劣情を放ってしまう
腰の奥からドクドクとサヨリの中に放たれているのを感じる
サヨリは妖艶な笑顔で俺のことを見ている
そのままサヨリは上体を上げてキスをしてくる
キスしながら体を押し倒されてサヨリが俺の上に乗る
腰を浮かして俺のイチモツがサヨリから抜ける
サヨリの股の間から俺の腹の上に白濁とした液がぽたぽたと垂れてくる
そのまま腹の上に乗って首元の絆創膏に手をかけて引きはがしてくる
そしてユリが付けた部分と同じところにキスマークを今までより強くつける
今まで以上の痛みに顔をしかめてしまう
今までより一番強く、一番長く歯を立ててキスマークをつけている
サヨリの口が離れたころにはキスマークをつけられた部分がジンジンと痛んでいた
そのまま見下ろすようにしてサヨリがにやりと笑う
「これだけいっぱいキスマークがあったら、どれがユリちゃんのか分からないよね?」
「サヨリおまえ……気付いてたのか……」
「うん、ナツキちゃんに怒られてるときにね……気が付いたの」
「タチバナが他の人のモノになるのが我慢できなくて……」
「大丈夫だよ、俺はお前のそばから離れないから……」
安心させるようにサヨリを抱きしめてやる
サヨリの体は震えている
寒さなのか、恐怖なのか俺にはわからなかった
分からなくてもいいと思った
ただ、抱きしめてやることが大切だって思った。
「タチバナ……なんだか怖いよ……」
「大丈夫だ、俺はここにいるから……」
当たり前だろう、モニカに感情を勝手にいじられているんだ
自分の本当の感情と噛み合わせが合わなくなるのは当たり前だ
サヨリの髪を撫でてやる、いつものサヨリの香りがする
そのまま二人してベッドに倒れこむ
手元のリモコンで電気を消して部屋を真っ暗にする
月明かりが窓から差し込んでベッドを照らす
暗闇に慣れていない目ではよくわからないが
サヨリは俺を見つめているのだろう
ずっと動いていた疲れからかすぐに瞼が重くなっていく
だんだんと目が慣れてくる、サヨリの方はすでに寝息を立てて眠ってしまったようだ
すでに夜中になっているのだ、無理もないだろう
俺もサヨリの後を追うようにして瞼を閉じてしまった。
読了ありがとうございました。
サヨリちゃんのシーンは他のSS書いているときに裏で構想だけありました
似たシーンが多々あるのはそのせいです。
サヨリちゃんのせいでR18で出してるところありますね……
次はナツキちゃんですがあんまり考えがまとまってないので
少し時間がかかりそうです。