原作の麦野も結構お姉さん体質ですが、この小説ではそれ以上にお姉さんです。
暗部とか無いからね。是非もないよネっ!
視点がコロコロ変わります。読みにくいかもしれません。申し訳ないです。
母性。
それは女性特有の母らしい性質のこと。
例えば、子供を優しい笑顔で見守る女性を見れば『良い母親になりそうだな』と思うし、あの人のおっぱいを吸いたいと思ってしまえばそれは母性を感じているということだろう。
つまり、母性というものは実際に子供を育てている女性だけに感じるものではなく、広い視点で見れば全ての女性に感じるものなのかもしれない。
✴︎ オリ主 ✴︎
最近、嫌な夢を見る、
僕の恋人の絹旗最愛がどこか遠くに行ってしまう夢。精神的な距離だったか、物理的な距離だったか。それは目が覚めれば忘れてしまっている。
しかし、最愛が遠くに行ってしまう、それだけは漠然と覚えている。
精神的な距離ならば、彼女が自分以外の男と付き合うとかだろうか。
彼女が幸せならばどんなことでも祝福してみせるが、きっと酷い虚無感に駆られることだろう。祝福した後に自身の首を吊る自信すらある。
物理的な距離ならば、彼女が手の届かない場所に行ってしまうことか。
学園都市がいくら治安が良いとは言えど、テロや事件が起きないということはない。それに巻き込まれて亡くなる人も0ではない。彼女が亡くなったとしたら、きっと後を追ってしまう。
どちらにしろ、絹旗最愛という存在が僕の手から溢れ落ちてしまえば僕は僕でいられなくなる。
……いつだったか、彼女が僕の存在がいかに大事かを語ってくれた時があった。
それなのに、結局こうやって後ろ向きなことを考えてしまう。
結局、いつまで経っても僕の中の不安感を拭えないことが、最愛に対しての酷い裏切りに思えてしまった。
✴︎ 麦野 ✴︎
「………最近、彼に元気が超ないんですよね……」
とある日のこと、拠点で絹旗がソファーにぐったりとした格好でもたれかかっていた。
その体勢はだらけているというより、姿勢を正す力もないといった感じか。
「んー、この前まで元気に変態だったんでしょ?何か原因は思い当たらないって訳よ?」
相変わらずフレンダは他人の色恋に口を出す。
フレンダ自身、未だに恋をしたこともないくせに。
「そうなんですよねぇ。この前までは彼の右頬を叩いたらハァハァいって左の頬を出してきたのに。最近では右頬叩いたら『痛っ』とか言うんですよ?彼にしては超有り得ないです」
………??
「えっ、あ……うん…。結局、絹旗も彼氏色に染まってきてるって訳よ……」
……染まっているというか、毒に侵されているというか。
まぁ、そんなカップルがいても良いのだろう。誰とも付き合ったことがない身で『それはおかしい』と断言は出来るとしても、それを口に出すのは何か違う気もするし。
「ま、まぁ、それは置いといて。年長者の麦野としては絹旗の彼氏についてどう思うって訳よ?」
ニヤニヤとしながらフレンダが私に問いかけてくる。
こいつ……私が今ままで男と付き合った事がないこと知っているのに。
それにしても、男か…。
……時々、シャケ弁を譲ってくれた男の顔がよく頭を過る。
少しタイプと言えるような顔ではあったが、印象に残るほどイケメンではない。
値引き弁当を狙っていたのは金欠だからか、それとも純粋に私のようにシャケ弁が好きだからか。
しかし、あのずっと鳴り響いていたお腹の音はしばらく何も食べていない証だろう。そうするとよくいる金欠な学生か。そんな状況でお弁当を他人に譲るなんて人が良過ぎる。
「むーーぎーーのーー」
異性のことをこんなに深く考えるなんて初めてだ。
あと彼を始めて見た時から、妙に意識してしまう。この感情がなんなのか、初めてでどう対処すればいいか分からない。
「むーぎのー」
やはり、もう一回会ってみるべきだろうか。
私が持っているコネを使えば強引に彼を探すことはできるだろうが、あまりそういったことはしたくない。
やはりこういうことは自分自身の手でするべきーーー
「麦野っ!」
「っ!?」
ハッとなって前を見ればすぐ近くにフレンダの顔。
あ、あぁ、そういえばフレンダに絹旗の彼氏について聞かれてたんだった。
「っと、悪い。別のこと考えてたわ」
「……麦野、気付いてないかもしれないけど、さっきまで完全に恋する乙女の顔だったって訳よ」
……はぁ?恋する乙女の顔ってどんな顔だよ。
確かにシャケ弁を譲ってくれた男のことは考えていたけど、色恋沙汰については考えていなかったし。
絹旗の方を見てみれば不思議なものを見たような顔をしている。
ずっと存在を消している滝壺も見てみるが、初めからこちらの話を聞いていないのか相変わらずボーッとしている。
「………シャケ弁買ってくるわ」
自分がそんな顔をしていたとは思わないが、少し恥ずかしくなってしまった私に残された道は、逃げる事だけだった。
✴︎
拠点から愛用しているスーパーに向けて数分歩いた時のことだった。
……目の前に見覚えのある後ろ姿を見つけたのは。
ずっと自分が探していた人物。広いようで狭い学園都市。これから探そうかと考えていた存在。
しかし、その姿は前に会った時とは余りにも違ったものだった。
フラフラと覚束ない足取り。時折電柱や他の通行人にぶつかりそうにもなっている。
あまりにも力のない足取りに、見ているこちらの方がヒヤリとしてしまう。
「ちょ、ちょっと?大丈夫?」
いつか事故を起こしてしまいそうな、その姿に思わず声を掛けてしまう。
不思議そうな顔をしてこちらを振り向いた顔は、少し、いや、かなりやつれていた。
それは食事の不摂生からくるようなやつれ方ではなく、どちらかといえば精神からくるものだと不思議と断言できた。
一度出会って少し話しただけの間柄。それでもこの状態は異常なのだと断言できる。
だからだろうか。
何かを考えるより先に、口から言葉が出てきたのは。
「家、どこ?」
✴︎ オリ主 ✴︎
ふと、目が覚めた。
視界に入ったのは見慣れた我が家の天井。
おかしい。自分は確かお腹が空いて冷蔵庫を開けて、何も入っていない冷蔵庫を罵倒してから家を出てスーパーに向かったはずだ。
外に出れば体調が良くなるかも、といった考えもあったが、残念なことに体調は良くなるどころか悪化するばかり。フラフラと歩いていたところで誰かに声を掛けられたような、掛けられていないような。
そもそも、何故外に出たのに家に戻っているのか。
記憶が断続的すぎていまいち思い出せない。
頑張って思い出そうとしている時、良い匂いを鼻が捉えた。
忘れていた空腹も目覚め、ぐぎゅるるるるる、と大きな音を立てる。
しかし、台所から良い匂いがするということは最愛が来ているのだろうか。
というか、最愛以外が部屋に来るというのは考えられない。
「あ、目が覚めた?」
声がした。
自分が想定していた聞き覚えのある声ではなく、初めて(?)聞くような声。
ベッドに寝転んだまま、声のした方向を向いて更に謎が深まった。
そこにいたのは長めの茶髪にモデル体型のスラッとした体。可愛いというより、美しいという感想が似合う女性。
どこかで会ったことが……あっ。
「……たしか、シャケ弁の?」
「そうそう、シャケ弁の。あんときはありがとね」
彼女が誰なのかを思い出すのに数秒かかったが、どうやらこのポンコツな頭でも綺麗な女性は記憶に残っているらしい。
お弁当が買えなかったら雑草を食べるという決意のもと向かったスーパーで、唯一残っていたシャケ弁を彼女に譲った。女性には紳士になるべきだよね、という意志のもと行ったものだったが、その後食べた雑草の味は生涯忘れることはないだろう。
「あぁ、そういえば名前は?私は麦野沈利っていうんだけど」
「■■です。ほんとすみません。家まで運んでもらって」
「いいんのよ別に。あのまま放置して事故られたら後味悪いし、それにシャケ弁譲ってくれたし。あ、あと適当に色々買ったので適当にお粥作ってるから。待ってな」
「えっ、ほんとにすみません。何から何まで」
「いいって。私がしたくてやってるんだから」
いや、この人格好良すぎる。シャケ弁譲っただけなのに……。
最愛も時々格好良くなるし、周りが格好いいんじゃなくて、僕が女々しいだけだろうか。
……いや、最愛のことで何度も後ろ向きなことを考える時点で女々しいか。
夢のことを思い出して少し明るくなっていた心がまた暗くなっていく。
いや、人が来ているのに、後ろ向きなことを考えるのはあまり良くないだろう。
麦野さんが帰った後にでも考えよう。
……自分に向けられている視線にも気付かず、呑気にそんなことを考えていた。
✴︎ 麦野 ✴︎
作ったお粥を出せば美味しそうに食べていく。
ただのお粥なのに「美味い美味い」と涙を流しながら食べている姿を見て、良かったと一安心。それと同時に母親が子供を見守るような不思議な感情が湧いてきて微笑ましく思う。
食べ終えた後の食器を片付ける。
さて、お腹も膨れただろうし、早速本題に入ろうか。
「で、何か悩みでもあるの?」
「……えっ」
驚いたようにこちらを見てくる■■。
2度しか会っていないとは言え、ずっと見ていれば気が付く。時々楽しそうな顔をするが、すぐにその顔が曇る。そんな顔をしていて悩みがないわけがない。
私が相談されて悩みを解決できるか、と聞かれても可能だとは言い切れない。
しかし、彼をこのまま放置できない。
放っておけば取り返しのつかないことになりそうな気がするから。
「えっと、じゃあ、少しだけ…」
それから彼は真剣な顔をして、悩みを話してくれた。
最近、恋人がどこか遠くに行ってしまう嫌な夢を見ること。
夢だと分かっているのに後ろ向きに考えてしまう女々しい自分が嫌になるということ。
そんな自分が恋人と釣り合うかのかどうか、そればかり気にしてしまうこと。
数分間、彼の話を聞いて、私は、
「だから何?」
そう言ってやった。
本当は聞き役に徹しようかと思っていたがやめだ。■■は酷い思い違いをしている。
「大体、釣り合うかどうかってことを考える時点でおかしいんのよ。自分が相手が好きで、相手も自分のことが好き。それでいいんじゃない?それ以上を求めることこそ、傲慢じゃないかと私は思うけど」
ほんと、柄でもないことを言っている。
なんで異性と付き合った経験のない私が色恋沙汰に首を突っ込んでいるのか。不思議だ。
「あと、あくまでそれは夢でしょ。それが現実に起きるのが嫌なら、釣り合うためじゃなくて守れるように強くなれ。そうすりゃ、いつかは自分自身を女々しいなんて思わなくなるだろうし」
「………」
「まぁ、ここまで関わったんだ。何かあれば私が手を貸すし……って、なんで泣いてるのよ……」
彼の方を見ればポロポロと涙を流していた。
その姿を見て、なんというか、守ってあげたい、そう思ってしまった。
「いや、そう言ってもらえて安心したというか……ほんと女々しいですよね。すみません……」
「あぁもう、謝らなくてもいい。誰だって泣くときは泣くし。それが今だっただけだ」
気付けば彼の頭に手が伸びて……彼の頭を撫でていた。
男子特有の少し硬めのゴワゴワした髪。
しばらく撫でていれば眠たそうな顔をして、頭がコクリコクリと船をこいでいた。
まぁ、ずっと嫌な夢を見ていてあまり寝付けなかったのだろう。本当に手間がかかる。
彼の体をベットに倒して、布団を体に掛けてやる。
さて、彼女持ちの男の家に長居するのもあまり良くないだろう。嫉妬に狂った女なんて見たくない。
そう思い、彼の部屋から出ようとした時に、ふと、気付いた。
テーブルに置かれたパンフレット。
そこに書かれていたのは『超C級映画!駄作が君を呼んでいる!』という手書きの文字。
『超』と『C級』という単語。その文字から一人の友人の顔が連想される。
「まさか……な」
頭を振ってそれ以上を考えないようにし、■■の部屋から出るのだった。
✴︎ 最愛 ✴︎
「■■〜、超元気にしてますか〜?」
呼び鈴を押しても返事がなかったので無断で入ったが、ベッドに寝ている彼の顔を見て安心する。
いつも寝ると嫌な夢ばかり見る、と言っていた彼の顔に、ほんの少しだけ笑みが浮かんでいた。
「……おやすみなさい、■■。良い夢を」
彼の頬に軽いキスを落とし、頭をひと撫で。
そうすれば更に良い夢を見るようになったのか嬉しそうな顔をしている。
しかし、違和感が一つだけ。
「この匂い……どこかで……」
■■と私以外の匂いが少しだけした。
しかもこの匂いからして男性ではなく、おそらく女性。
「起きたら、少し聞いてみましょうか」
黒い感情が胸の中を燻るのを感じた。
フレンダのエロが遠いッッッッッッッッ!
自棄になってToLOVEるみたいに事故ってエッチなことをする感じのを書いてしまいそうです。
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