作者のガバガバ設定が暴かれてまう。まっ、綺麗な学園都市ってことで全てを許してください(開き直り)
久し振りにアイテムメンバーが揃います。そして麦野の口調が相変わらず自信ないです。
あれ?これ麦野?と思うのが麦野です。よろしくお願いします。
庶民。
それは人類の大半を占める一般的な人々のことを指す。
例えば、超高級肉を一切れ食べるよりも、ある程度美味しくて量が多いものを好んで食べる傾向があったりする。
そんな一般庶民が貴族のような生活に触れると、自分との差を感じすぎて萎縮してしまうだろう。ましてや苦学生がそんな生活に触れると膝から崩れ落ちてしまっても仕方のないことである。
✴︎
車に轢かれてから次の日には退院。1週間くらいは覚悟していただけあって驚いた。
まぁ、そんなものは『学園都市だから』で済む話だ。発達した道具とカエル顔の医者さえいれば死人以外なら助けられる気がするし、骨のヒビ程度なら楽勝なのだろう。実際腕も胸も全然痛くない。
現に今は腕にギプスを巻き、胸にはコルセット(?)の様なものを付けているだけだ。これも念のためというのが強く、骨のヒビに関してはほぼほぼ完治しているようだ。
念のための検査をしてからの退院となり、時刻は16時30分。
病院の入り口には最愛と滝壺さんが待ってくれていた。
誰かが迎えに来てくれているとは思わず、素直に驚いた。
けれど、ここにいない2人の事が気になり、今は何をしているのだろうかと尋ねてみる。
「麦野とフレンダなら何か準備をしてて私たちは超追い出されました」
「大丈夫だよ、きぬはた。私はそんなきぬはたを応援してる」
「滝壺さんも超追い出されてるの気付いてます?」
その準備の内容がわかってしまったため、そっかそっか。と適当な相槌をしておく。
今日は最愛の誕生日。つまりはそういうことだ。
「じゃあ、■■の荷物などは既に持って行っていますので、早速私達の家に行きましょうか」
「おー」
気の抜ける掛け声を出し、背伸びをするように拳を空に掲げる滝壺さん。久し振りに会った気がするが、相変わらず滝壺さんは滝壺さんだった。
そして相変わらずのピンクのジャージ。一体その服は何着あるのか。それが不思議で仕方がない。
ちなみに病院や僕の家があるのは第七学区で、最愛達の家があるのは第三学区とのこと。あまり遠くはないものの、近いとは言えない微妙な距離。
そんな距離だからか、移動は基本的に徒歩かバスでの移動となる。
バス停の時間表を見れば、あと30分程で目的にバスが来ることがわかった。
学園都市のくせに遅いなぁと思いながら、歩道に生えていた雑草を左手で千切り、ひとかじり。
「……!?」
「きぬはた?どうしたの?」
それにしても今日は暖かい。
空は雲1つなく、陽射しも風も気持ちがいい。今日は良い退院日和だ。
「………そうですね。超暖かいですねぇ」
突然、僕の左手を封印するように力強く恋人握りしてくる最愛。
ニコニコと笑っている最愛は超可愛いなぁと思いながら右手で雑草を千切り……
「……っ!」
右手も恋人繋ぎをしてくる。こちらは怪我をしているのを考えているのか優しい。
突然どうしたのだろうか。
「そこのベンチに超座りましょう?」
笑顔が深まる最愛。笑顔は威嚇であると古事記にも書いてあるが、恐らくこういった笑顔のことを言うのだ。
他人からすれば公共の場で両手を繋ぎ合っている頭の悪いカップルの誕生だし、少し恥ずかしいので大人しく手を繋いだままベンチに座る。
滝壺さんは既に座って夢の世界に突入していた。
……あぁ、今日は本当に暖かい。
いつ両手を離すのだろうと疑問に思いながら、穏やかな30分を過ごした。
✴︎
バスに乗ってからも滝壺さんは安らかに寝ていた。窓にもたれかかっていたが、バスの振動で窓に頭をガンガンと打ち付けている。
あれで起きないのだから滝壺さんは不思議だ、と思いながら最愛と他愛もない話をする。
「そういえば、■■は私達の家にはまだ来たことないですよね」
確かに。最愛と出会ってからかれこれ1年と半年くらいが経つが、未だに最愛達の家には行ったことがない。
行きたく無い訳でも、来るなと拒絶されていたわけでも無い。たまたま行く機会がなかっただけだ。……そう信じている。
「遊ぶなら私達の家でなくても超十分でしたし、わざわざ来てもらう必要もなかったですから」
そうかなぁ。
最愛達の家の方が大きなテレビとかありそうだし、映画好きの最愛ならそっちの方が良い気もする。
出会ってかなりの期間が経っているので今更な話だ。
「いやいや、■■の家でないと出来ないことがありますよ」
僕の家でないと出来ないこと?
例えば?
「…………言わせないでくださいよ。超変態ですね」
??????理不尽な変態発言に深く喜んだ。
本当になんだろうか。見当もつかない。くそっ。こんなところで鈍感系主人公に成り果てるとは。僕も落ちたものだ。
「……まぁ、超どうでもいいです。ほら、超見えましたよ。あれが私たちの家です」
そう言って最愛が指を指す先には、視線を真上に上げてやっと頂上が見えるほどの超高層マンションがあった。
……………?????
バゴンッ!と滝壺さんが頭を窓にぶち当てた音でハッと息を吹き返す。
あれが、家?会社の本社とかじゃなくて?
凄いなんてもんじゃない。お金持ちだとは思っていたけど想像以上だった。
対して自分は………いいや考えまい。錆びた手すりなんて無いし所々張られた蜘蛛の巣なんて知らない。泣いてしまう。
バスから降りればそのマンションの真ん前で、地面に降り立てば改めてマンションの大きさを感じた。
あまりの貧富の差に膝から力が抜けそうになるが気力で耐える。
悔しいッ!でも感じちゃうビクンビクン。
「マンションの前で超気持ち悪い動きしないでくださいよ。ほら、行きますよ」
あいも変わらず夢の世界にトリップしたままの滝壺さんと、ビクビクと痙攣している僕の手を引きマンションの入り口に入っていく。
う、受付嬢!?エレベーター!?80階!?カーペットの廊下!?オートロック!?
もうやめて!■■のHPはマイナス値に入っているわ……。
「超帰りましたー」
「「誕生日と退院おめでーーーえ?」」
最愛が玄関を開けた途端、パンパンとクラッカーの音が二度鳴る。
そこにいたのは沈利とフレンダ。フレンダは満面の笑顔、沈利は少し素っ気ない感じだった。
しかしそんな顔も一瞬で、こちらを目視した途端に理解不能なものを見たような目つきになる。
気持ちはよく分かる。
クラッカーを鳴らしたは良いが、ドアの先には白目剥いて涎垂らしかけてる変態と、スピスピと眠っている滝壺さんと、少し疲れた顔の主役の姿があったのだから。
数秒、空白の時間が経過する。
その沈黙から始めに口を開いたのは、
「ま、まぁ、入るって訳よ」
意外とフレンダだった。
主役は最愛なのに僕が気遣われ、腰が沈み込むような柔らかなソファーに優しく置かれる。
窓から見える景色は絶景で、学園都市が一望出来るようなものだった。
それすらも貧富の差を感じさせ、ガクガクと体が震え、泡を吹きそうになる。
「ねぇ絹旗、あれ、大丈夫なの?」
「超大丈夫じゃないですか?それに、暫くここに住んで貰うんですから慣れて貰わなきゃ超困りますよ」
「余りにも慈悲がないって訳よ」
「……そんな■■も私は応援している」
……あぁ、そういえば僕は暫くここに住むことになるのか。そうか、そうか。
いっそのこと窓を突き破って病院送りになった方が住みやすいかもしれない。
「あー、これ弾丸も通さない強化ガラスだし、仮にここから飛び降りれば病院どころかあの世行きよ?馬鹿なこと考えてないでご飯食べましょ」
沈利の言葉によって僕の儚い幻想は粉々に砕かれてしまった。
✴︎
食事も終わり、デザートの最愛誕生日おめでとうケーキと■■退院おめでとうケーキ。
どちらも1ホールずつあったが、それをペロリと平らげる彼女たちの胃を心配しながら、僕は葉っぱ(サラダ)をひたすらに貪っていた。
いつもの葉っぱと瑞々しさなどが違うが、葉っぱを食べるという行為が僕の正気度を下げていた。
お陰様で膝の震えも収まり頭もなんだかスッキリした。
「■■も超落ち着いたようですし、どうしましょうか。お風呂には少し早い気もしますし……」
時刻を見れば19時25分。普段ならお風呂にも入っている時間だが彼女たちはそうでもないようだ。
当たり前だが、女性の生活なんて知らないので静かにしておく。
「とりあえず私はお皿洗っとくわね。……んー、量が量だし申し訳ないけど絹旗も手伝ってくれる?」
その瞬間、恐ろしい速度でアイコンタクトが行われる。
沈利が絹旗に視線を送り、最愛は頷き、最愛はフレンダに視線を送る。それを受けたフレンダはワタワタと慌て、やがて落ち着き力なく頷いた。滝壺さんは蚊帳の外である。少し可哀想である。
「超了解です。まぁ、滝壺さんは寝てて大丈夫なんで、フレンダが■■を家の中を案内しといてくださいよ」
「……わかった」
いや、食べさせてもらってばかりじゃ申し訳ないし、皿洗いは手伝うけど……。
「まぁまぁ良いから。初日くらいゆっくりしてればいいのよ。ほらフレンダ、案内してあげて」
「……わかった」
わかったのみを言う機械になりつつあるフレンダを心配しながらも、夜は更けていく。
主人公の家でしか出来ない事っていうのはエッチな事です。
実家で隣の部屋に親がいるのにギシギシ出来ないよねってことです。
もしも僕は出来るよーって人がいたら一回性癖を見直してください。