彼は幼い頃に父を惨殺したアスモデウスへの強い執着を覚えていた。
恐ろしく、強く、気高く、美しき怪物。
その怪物を手に入れたいと常に思って生きていた。
願いは叶った。
万能の力が欲しかったわけではないが、アスモデウスを手に入れるために必要な力は万能の力でなければいけなかった。
だから、万能の力を求めた。
ただ、それだけであった。
その男は、豚のような男だった。
それも仔豚のような可愛らしさや、猪のような野性味のある危険さを持つ豚ではない。
放牧も滅多にされず、ただぎゅうぎゅうに家畜小屋に詰め込まれた、元来清潔であるはずの種族なのにプンと異臭を放つ、肉質も最悪の駄豚。
肥え太った肉体と不潔な身なりはまさしくそんな豚であった。
豚の名前はピッグ、キング・ピッグ(豚王)と呼ばれる男だった。
そんなピッグの、一般成人男性の二倍の太さを持つ、ブクブクと膨れ上がった短い指には不潔で貧相な男には全く似合わない古めかしくも雅な指輪が嵌められていた。
見るものが見ればわかる、それこそが『ソロモンの指輪』。
神話に伝わる悪魔、その招待である異世界の隣人、『メギドラル』の住民である『メギド』を召喚する力を持つとされる伝説の秘宝。
「レロレロォ!んんっちゅっ……!んごぉっ……!」
しかし、見るものが見ればわかったであろう。
その指輪は『ソロモンの指輪』ではない。
幾つかの例外を除き、この世界ヴァイガルドにおいてメギドはその力を発揮するどころか、その姿を現すことすらも出来ない。
それを無視してメギドをこのヴァイガルドに『召喚』することが『ソロモンの指輪』だ。
この『指輪』もまたその力を持つ。
だが、これはソロモンの指輪ではなく、その成立後に作られたものである。
メギドラルが『フォトン』という万物の命の源に溢れたヴァイガルドを侵略するための策の一つ。
その効果はソロモンの指輪と同じである。
ただし、ヴァイガルドの住民であるヴィータの、さらに限られたものにしか扱えないソロモンの指輪とは異なり、その指輪をつけた『メギド』が、自由にヴァイガルドを動けるようになるというものだ。
しかし、効果が得られなかったために破棄された。
それをメギドラル原産の怪物である『幻獣』が誤って捕食し、それが流れに流れてヴァイガルドまでやってきたものなのだ。
その名を『支配者の指輪』、自身たちメギドこそがヴァイガルドという豊かな大地の支配者に相応しいという考えで名付けられたものだ。
「んんっ……じゅぶるっ!ずるるるっ!じゅぽぉっ!」
その支配者の指輪はメギドに効果を与えるもの。
ヴァイガルドという世界において自由に動けるようにするもの。
それがなんの因果か。
『ヴァイガルドに訪れることが出来ないメギド』では気づけなかった。
その支配者の指輪は『ヴァイガルドに存在する全メギドを支配する』指輪となっていたのだ。
もちろん、操れるものはフォトンを操れなければいけないという条件がつく。
その指輪をつけてもメギドがヴァイガルドに存在することは出来ない。
しかし、ヴァイガルドに来ることが出来たメギドは、その指輪にすべてを支配されてしまうのだ。
「ふひひひっ!ああ、いいよぉ!すっごく上手だよ、アスモデウス!」
そう、全てを飲み込む混沌の中で燃えさかる炎のような苛烈な美女、アスモデウスもまた例外ではない。
メギドラルの中央に逆らい、敗北し、ヴァイガルドにか弱きヴィータとして転生させられるという、誇り高いメギドにとっては死よりも屈辱である『追放刑』に処せられた、かつての偉大なるメギド、その王の一人。
その苛烈ながらも美しき魂のあり方は転生させられても変わらず、むしろさらに激しさを増し、その強靭で美しき魂を写したかのように、ヴィータとして目にも目映い美女として成長していた。
「決闘の最中に余裕を見せるとは、この豚め……!
その隙をつき、私とお前の決闘、その数百を越える敗北を乗り越え、今日こそ倒してやるぞっ!」
その鋭き眼差しは魂を焼くとされる煉獄の炎そのもの。
気の弱いものならばその視線の鋭さだけで心臓を止めてしまい命を落とすだろう。
「ぶひひっ!わかってるよぉ、アスモデウス!99戦99連勝の僕もさすがに今回はヤバそうだしねぇ!」
だが、ピッグは嘲笑を持って受け入れる。
当然だ。
今のアスモデウスは支配者の指輪に支配されているのだから。
180cmを越えるピッグよりも遥かに高い上背だが、その身をまるで犬のように四つん這いにして、豪奢な椅子に座るピッグの膝元でその美貌を股間に埋めている。
まさしく奉仕者の姿。
「じゅぼぉっ!ずずずっ……じゅるっ!
ふん、当たり前だ、豚め。この私が昨日の敗北からなにもせずに再戦を挑むとでも思っていたか?
裏社会に潜む豚どもを脅して貴様のオチンポ様そっくりの張り型でフェラチオの修練に励んでいた!
この私に『強くなるため』に動かせるとは……生意気な豚めっ!」
言葉を聞くだけでは、完全に頭のイカれた女の言葉だ。
暴力そのものとも言える恐ろしい女が突然現れ、いきなり『私のオナニー用のバイブを作れ』と言われた裏社会のものたちの恐怖はいかほどだっただろうか。
しかし、これこそが支配者の指輪の効果。
支配者の指輪の支配は肉体の支配ではなく、魂の支配。
アスモデウスは、ピッグに献身的に奉仕を行うことが、古の時代から続く『メギドとヴィータの決闘』であると思い込まされているのだ。
その際、一度として他者にへりくだったことのないアスモデウスだが、男性器のことを『オチンポ様』と敬意を込めて呼ぶことが決闘の流儀と植え付けられている。
本来ならば混沌と称されるほどに思考が読めないアスモデウスであるが、今となってはビッグの掌の上で遊ばれる玩具に過ぎない。
「ふひっ、アスモデウスは僕のチンポを気持ちよくするために、初めて修行したんだ。うわぁ、すごい、めっちゃチンポにクる」
「っ……オチンポ様が脈動を始めたぞ、我が混沌に呑まれて果てろ!
ジュルルルルルルルルルッ!!!!!!!!」
ビクビクと脈打つチンポを認識した瞬間、アスモデウスは喉の奥までチンポを飲み込む。
鼻の下が伸びきった無様な『ひょっとこフェイス』になってその美貌が歪むのもおかまないしだ。
その場末の娼婦にも劣るみっともない姿は、メギドとしての力の一部を維持しているために不老となり、ヴィータ社会では不死者と呼ばれて恐れられている女傑の姿ではない。
「あぁ~……豚女の必死フェラ気持ちいい……」
そう、服装もことなる。
普段ならば首もとまでの簡素なシャツと黒のコルセット、そしてズボンにブーツという服装だ。
しかし、今のアスモデウスはケバケバしいピンク色の肩出しハイレグスーツを身に付けている。
手にはやはり目に痛い同色のピンク色をしたグローブに袖だけのいわゆるカフス、長く肉付きのよい脚は網タイツにヒールの高い靴で、その美しい脚をまるで商品のように飾り付けられている。
そして首には鈴がついた付け襟をしており、激しいフェラチオで顔を前後左右に揺らす度にチリンチリンと音をたてる。
そして、耳には動物の耳を模したピンク色のつけ耳を被っており、それは色と短さからして間違いなく豚を模したものだろう。
バニーガールならぬピッグガール(豚女)。
幼い頃から肥満体であり鈍重だったためにヴィータの間でも「豚」と蔑まれてきたピッグが、どのような強者であろうとも『豚』と蔑む最強の存在を豚にして遊んでいる。
肉体的な快楽だけでなく、精神的な快楽も凄まじい。
「ううっ、出る、出るぞ、アスモデウス!」
「じゅぼぉっ!いいぞ、出せ!
『先に絶頂をした方が敗北者となる』決闘っ!
ソロモン王を排出した、古の決闘!
貴様のような豚が、あの誇り高き戦士だったとされるヴィータの、その王であるはずがない!」
アスモデウスが激しかったフェラチオをさらに激しくさせる。
股間から走る強烈な快感。
ピッグはすぐに射精してしまうだろう。
すなわち、過った思考であるアスモデウスに敗北してしまうということだ。
しかし、ピッグはこれまで同じようにアスモデウスとこの淫らな決闘を行って全勝している。
「あ~、イキそうだわ」
「んずるっ!イキぇ!きゅるいイキぇぇ!ジュルルルルルルルルルッ!」
「ほい、アスモデウス、『イケ』」
「んほおおおおおおおおっ♥♥♥♥イクぅぅぅぅぅぅぅぅ♥♥♥♥♥」
答えは簡単だ。
ピッグが射精する前に、支配者の指輪を用いてアスモデウスを絶頂させる。
支配者の指輪は魂だけでなく肉体も操れるのだ。
「おお、痙攣しまくってる喉マンコ最高……!
普通なら窒息死とかするんだろうけど平気なんだから、メギドってのは便利だよなぁ」
「んんんっっっっっ♥じゅるるるるっ♥ちゅぅっ……♥♥♥」
アスモデウスは絶頂アクメを決めながら食道にザーメンを流し込まれる。
喉をならしながらそのザーメンを受け入れ、さらに引き抜かれていくチンポを引き留めるように唇で包み込みながら、チンポの尿道に残ったザーメンをすいとる。
「よし、あーんしてごらん」
「ぁーん……♥」
ピッグはアスモデウスの口のなかに大量の精液が残っていることを確認すると満足げに頷く。
そして、その頷きを見たアスモデウスは。
「んっ……♥じゅぐじゅぐじゅぐ……♥ガララララッ……♥」
「よし、飲み込め!」
「ごくんっ♥」
ザーメンでうがいをして見せた。
どんな女でも絶対にやらない屈辱的な行為を、誇り高さという意味では全生命体の頂点に立つであろうアスモデウスが行った。
「ぅ……ゲェェプゥゥ♥」
おまけのゲップ付きだ。
醜悪な臭いが部屋に広がるが、そんなことは気にならないほどに興奮する。
絶対にしない。
アスモデウスはザーメンうがいをした後にザーメンゲップなど絶対にしない。
かつて、『裏社会の首領であり多くの追放メギドを頑強な奴隷として扱っていたピッグの父』を惨殺し、『ピッグを見てさすがに剣が穢れるとゴミを見る目で見逃したアスモデウス』がピッグの掌の上で間抜けな踊っている。
あの日から、夢を見続けてきていた光景だ。
これは父のための復讐などではない、あくまでピッグ自身の欲望に突き動かされた結果だ。
ああ、しかし、父が集めた遺物には感謝してもしきれない。
支配者の指輪は父が持っている時にはなんの反応もしなかった。
アルスノヴァ血統であり、フォトンが見えるものであった父でも反応しなかった単なる骨董品。
それがアスモデウスという絶対死を前にして恐れよりも欲情を先に覚えたピッグに反応した。
「ぐぅぅ……!」
間抜けなピッグ・スーツを身に纏ったアスモデウスは、地獄の底に棲む怪物の呻き声としか思えない恐ろしい声をあげる。
しかし、チンポは萎えない。
むしろ、そんな恐ろしい怪物を自由に動かせることが出来る快感によって、射精したばかりのチンポはビキビキに再勃起し始めた。
「決闘はこれで終わり、次は授与だね」
「……わかった、形式は絶対だ」
そう言うと、アスモデウスは四つん這いの体制をさらに低くする。
膝を床につき、その美しい肉体を畳み込むようにして地に伏せる。
長い指は体の少し前に置かれ、その上に、あろうことか頭を置いてしまう。
土下座。
かつてペルペトゥムというソロモン王が治めた王都に伝わるとされる謝罪の姿である。
首筋を相手にさらけ出し、自分は脚を折って膝をつくことで動きに制限をつけて相手に生命を差し出す姿だ。
アスモデウスがするはずのない姿勢であった。
「……」
「ほら、早く」
「っ……こ、この度……メギドラルは大罪同盟の盟主、アスモデウスは、ピッグ様との決闘において無様にも完膚なきに叩きのめされ、手も足も出ずに敗北をいたしました……
そ、その際に、敗者であるにも関わらず、ピッグ様の貴重な精液を恵んでいただけたことには、感謝をしてもしきれません……!
とても美味しい、女殺しの精液を賜ったこと、生涯の喜びとして生きてゆきます……!」
アスモデウス本来の言葉遣いからはほど遠い丁寧な言葉遣い。
そうさせている。
儀式は神聖なもの、私情を挟んではいけないとさせている。
アスモデウスは屈辱に身を震わせながら、身を起こす。
今までは屈んでいたが、二つの脚で立ってみるとわかる。
まさしく美しさの化身。
長い足を折り曲げて体を下ろしていく、その際に膝は内側に閉じられるのではなく外側に開いていく。
実りに実った大きなお尻が、Vの字型に開かれた踵に乗せられる。
地面につけば楽になるが、それは許されないために足に大きな負担を強いる。
そして、両手は降伏を表すように後頭部に組まれ、自然にその脇と巨大な乳房を見せつけるような体勢になる。
これが蹲踞。
やはり、ペルペトゥムに伝わる姿勢である。
正確に言えば、その姿勢をよりエロティックに改造したものであるが。
「あ、あはぁ~ん♥
ピッグ様には敵わない……♥
この豚女にピッグ様のオチンポ様を恵んでくださぁ~い♥
あ、あはぁ~ん♥」
そして、腰を上下に揺らせてピッグの目を楽しませる。
その際にアナルに仕込まれた豚の尻尾を模した張り型が踵のヒールに当たって、こつこつと動いているのだろう。
ぷしゅ、ぷしゅ、と支配者の指輪によって感度が増したマンコが潮を吹いてハイレグスーツの股間に大きな染みを作っている。
「ふひひひっ!そこまで頼まれたら仕方ないなぁ」
「あ、ありがとうございますぅ♥ピッグ様、お優しすぎてアスモデウスもうメロメロですぅ♥
くぅ……くぅぅぅ……くぅぅぅぅぅぅっ!」
そこまで言うとアスモデウスがうなり声をあげる。
当然だ。
アスモデウスは『それをしないといけない』と強制的に理解させられ、それを破ることは自分の矜持を傷つけることだと『自分が考えている』と思わされているが、怒りは覚えるのだ。
だが、決してその力をピッグには向けることが出来ない。
混沌が秩序的に支配されている瞬間だった。
「それじゃ、エッチするよぉ」
ニヤニヤとした笑みのまま、ピッグはアスモデウスを押し倒していきり立った自身のチンポを彼女のマンコに挿入する。
ピッグスーツは股間にジッパーが取り付けられており、服を着たままの挿入を可能とするのだ。
アスモデウスはその光景を苦々しく見つめ、鋭い視線をピッグへと向ける。
「くそっ……調子に乗るなよ、豚めっ……!
明日になればまた決闘を行う、その時には必ず勝利し、勝者の権利で貴様を殺――――」
「はい、『僕のチンポを入れられたらアスモデウスは即イキする』っと」
「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ♥いきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥いきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥いっちゃうぅぅぅぅぅぅぅぅ♥」
チンポを入れられた瞬間、鋭い美貌は完膚なきに破壊され、とろけきった間抜けな表情で『私はオチンポにイカされました』と宣言するために『イク』と連呼する。
これもまた支配者の指輪による命令で植え付けたものだ。
「くそっ!くそっ!豚めっ!いい気になって……!
必ず次は勝つっ!んほっ♥」
「うーん、でも次はないと思うなぁ」
「なにぃ……おほぉんっ♥」
突く度に軽イキをするアスモデウスににやにやと語りかけるピッグ。
十分遊んだ、次は別の遊びをしよう。
「だって、『百連勝したヴィータを百連敗したメギドは主として認める』って決まりじゃないか」
「ぁあ……?な、にを……?」
呆けた表情で快楽に溺れるアスモデウス。
笑みを消さずにピッグは伝える。
「『ヴィータに百連敗した後にそのヴィータの射精を受けて絶頂したメギドは魂からの従属を誓う』、『それが崇高な生き物であるメギドの生態』……そのはずだよね」
「……ああ、ああ、そうだ。しかし、それは伝説だ。
貴様のような豚に、この私が従属させられると思っているのか?」
ピッグスーツを着て大股を開き、覆い被さっているピッグの腰へと足を回す姿はすでに従属していると言っても過言ではないが、アスモデウスはそれを認識していない。
それがおかしくてたまらない。
射精の欲望が訪れ、それを止めることはしない。
「アスモデウス、射精すぞっ!」
「来いっ!貴様の渾身の性、この私が呑み込んでやろ、いきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥♥♥♥♥♥」
そして、その射精を受けた瞬間、アスモデウスは大きくのぞけりながらアクメに達した。
長い髪で顔が隠れている。
ハァハァ、と超越者であるアスモデウスが深く呼吸をし、
「……」
「ふひひ……アスモデウス」
ピッグが声をかける。
そこでアスモデウスはゆっくりと体を起こし。
「……ぶひんっ♥」
豚の鳴き真似をしてみせた。
成功だ。
アスモデウスは魂からの忠誠を誓った。
「ぶひんっ、ぶひんっ♥
ピッグ様、私、アスモデウスはピッグ様の忠実な雌豚ですぶひぃん♥
今までの不敬極まりない言動の数々、ここに謝罪しますぶぅ♥」
「ぷっ……ぷはははっ!最高っ!最高だよ、アスモデウスっ!」
「ぷぅっ、喜んでると豚も嬉しいですぶひぃ♥」
ひとしきり笑うピッグと、その嘲笑を天上の至福のように受けとるアスモデウス。
そこには確かな上下が存在していた。
ピッグが上で、アスモデウスが下という上下だ。
「そうだ、アスモデウス」
「ぶひぃん♥」
「お前、メギドとしての体もあるんだろ?
この指輪ならその姿もさらけ出せるはずだ。
その姿で――――」
奉仕してみせろ。
ピッグの邪悪な思想。
アスモデウスにとって強さと誇りの象徴であるメギドとしての体でピッグに奉仕をさせる。
それは完全なる敗北の証。
天と地が逆さになっても受け入れられないはずの要求。
その要求にたいして、アスモデウスは。
「かしこまりましたぶひぃ♥」
一瞬の躊躇いもなくうなずいた。
そして、アスモデウスは指輪の力をもって完全なる姿へと変身する。
異形の怪物、ヴィータであれば抗いようのない存在。
それは混沌。
この世の全てをかき混ぜにした恐るべき炎。
「お、おおぉぉぉぉぉ!」
ピッグは叫んだ。
そこにはわずかばかりの恐怖があった。
体長にして十メートルは優に越えているであろう怪物。
アスモデウスに用意させていた決闘用の宮殿を破壊する。
瓦礫が上から落ちてくるが、その瓦礫はアスモデウスの触手が塵へと砕く。
そう、触手だ。
それは人型などではない、怪物のそれだ。
丸い肉球に無数の目玉か浮かび、無数の触手が生えている。
肉球の中心には縦に開いた目があり、まぶたに思えるものにはいくつもの牙が生えているではないか。
恐ろしい。
恐怖のあまりチンポが縮み上がりそうになったピッグだが。
「く、くふふ……くふふふふっ!」
しかし、その怪物があの美しきアスモデウスであり、それを従属させているという興奮が恐怖を上回る。
チンポを激しく勃起させたピッグは指輪を用いてアスモデウスに命令を送る。
「さあ、その触手で僕を気持ちよくするんだ!
早くしろ、豚っ!」
『かしこまりました♥』
触手がピッグの体にまとわりつく。
服を丁寧に脱がしていき、乳首とチンポに小さな触手が触れる。
また、アナルにも一本のひだひだのついた触手が侵入する。
それら触手が同時に蠢く。
ヴィータ同士のセックスでは絶対に味わえない快楽がピッグを襲う。
「おほほほっ、最高、気持ち悪いけどすごい気持ちいい!」
『雌豚の奉仕ごときでここまで喜んでいただけて、感無量です♥』
化け物に捕食されているとしか見えないだろうが、これは立派な奉仕。
化け物を支配した。
怪物を凌駕した。
男としての達成感もまた快楽へと変換される。
これからの明るい未来を幻視しながら、アスモデウスという怪物の熱烈な奉仕を受けながらピッグは射精した。
◆
そこはある宮殿の一室。
そこには無数の美女・美少女が集められていた。
それは肌や髪の色、着ている服装に一切の共通点は見受けられない。
しかし、確かな共通点が一つだけある。
それは『メギド』と呼ばれる存在であった、あるいは現在もメギドであるということだけ。
多くの人数を集められて、しかし、周囲はガヤガヤと興奮に湧いていた。
多くの女の顔が紅潮している。
そんななか、豪奢な扉が開かれ一人の女が現れる。
アスモデウス。
ピンク色の卑猥なスーツ、ピッグスーツを身に纏った美女だ。
「控えろ、豚ども!王のご入場だ!」
その瞬間、多くの者の顔が変わった。
手元にあった豚のつけ耳を被り、二つ足で立っていたというのに四つん這いとなる。
そして、いかな力か。
フォトンに包み込まれた彼女たちは、その服装をアスモデウスと同じ、卑猥なピッグガールのものへと変えた。
そして、扉を挟んで並び始め、道を作る。
ぷぎぃ、ぷぎぃ♥
ぶひっ、ぶひっ♥
んごっ、んごっ♥
そして、一斉の大合唱が始まる。
ウェパルも、シャックスも、マルコシアスも。
ベレトも、ベリアルも。
ウヴァルも、オセも、フルカスも、ウォレフォルも、グレモリーも。
ヴィネも、ウァサゴも。
アスタロトも、シトリーも。
他多くの女ヴィータに転生した追放メギドたちによる豚の鳴き真似が始まる。
そこに羞恥などは一切なく、むしろ誇りというようなものが見え隠れしている。
まるで自分達の真の姿とは豚なのだと言わんばかりの姿であった。
「ふひひっ、やぁ、僕の可愛い雌豚ちゃんたち!」
アスモデウスが扉を開いて現れたのは豪奢な服を身に纏ったピッグ。
キング・ピッグ。
王様のつもりの豚と馬鹿にされていた以前とは違う。
豚たちの王様という意味の、豚王である。
ぶひぃぃぃぃんっ♥
ふごぉぉぉぉぉっ♥
王の登場に雌豚たちは歓喜の豚鳴きを始める。
ヘコヘコと腰を振り、鼻を懸命に鳴らしてピッグの関心を買おうとしている。
その姿に満足したピッグは、支配者の指輪を用いてフォトンを操作する。
ぷぎぃぃぃぃぃぃんっっっ♥♥♥♥
すると、全員のアナルに嵌められていた豚尻尾が振動する。
ピッグから与えられる快感は感度が増加し、逆にピッグ以外から与えられる快感は0にされる。
卑屈に育ったピッグの支配欲によって改造された女メギド、いや、雌豚たちはそのアナルから与えられる快感にヨガリ狂う。
「王よ、これが貴方の軍団です♥」
「うんうん、よく見つけたよね」
「あっ……♥」
アスモデウスが四つん這いになりながら語りかけると、ピッグはその頭を撫でる。
それだけで軽イキをしたアスモデウスは体を震わせる。
その充実した快楽を噛み締めながら、用意された玉座についたピッグの隣で声を張る。
「いいか、豚ども!これより我ら追放メギドはピッグ様の前に従属する!
目的はただ一つだ!
ヴィータ社会の支配でもなければ、ましてやハルマゲドンの抑止などでもない!」
ぶひぶひぶひぃんっ♥
ふごっ、ふごっ♥
「我ら雌豚の偉大なる飼い主であらせられるピッグ様への渾身のご奉仕だっ♥
追放メギドはヴィータの価値観では総じて美しい体を持つことに感謝しろっ♥
いや、我らは追放されたのではない、選ばれたのだっ♥
あちらに残されたメギドこそが追放メギド、雌豚になれなかった愚かな者たちだっ♥」
ぷきぃ、ぶひぃっん♥
ぷぴっ、ぷぴっ♥
ふんごおっ♥
「しかし、ピッグ様のためにもハルマゲドンは起こされては困るのは事実……我々は総力を当たりピッグ様に奉仕を行いつつ、その片手間にハルマゲドンを阻止するっ♥
なにか質問はあるか、豚どもっ♥」
ぶひぃぃぃぃんっ♥
ぷきぃいぃぃっ♥
同意を表す豚鳴きの大合唱。
その光景にピッグはにんまりと顔を歪ませる。
アスモデウスはその笑みを見て恍惚に表情を染めた。
「ピッグ様っ♥
我ら雌豚に格の違いをお見せくださいませっ♥
泣き叫び、無様にイキ狂って見せましょうっ♥」