俺は捨て子だった。
当時まだ赤ん坊だった俺を彼らは拾って育ててくれた、
一人息子のクレドと一緒に。
彼らは間違いなく善人で、幸せに成るべき人たちだった、俺以外にも何人もの孤児を育て、貧しい人には惜しみ無く施しを与えていた。
俺なんかと違って、生きなければいけない人達だった。
だが、悪魔はそんな彼らを殺した。
その日から俺は、自分の力のなさと神なんか居ないって事を痛感した。
俺が魔剣教団の騎士になったのは、力を得て悪魔をブチ殺す為だ、その為ならなんでもした。
教団が卑しい物と言ってる銃も気にせず使った、その方が悪魔を効率よく殺せる。
誰もやりたがらない悪魔に取り付かれた人を殺すこともやった、そうしなけりゃ多くの人が傷つく。
だが、神ってヤツはちゃんと生きてたらしい。
ある日、悪魔から子供を庇ったとき、右腕に傷を負った。
傷その物は対した事はなかったが、二、三日したあと、
右腕は悪魔の腕になった。
とんだ嫌がらせだと思った。
悪魔になった人間を狩り続けた男が悪魔になるなんてな。
悪魔に取り付かれたヤツがどうなるか、俺が一番よく知ってる。
だが、素直に死のうとは考えなかった、完全に悪魔になる前に一匹でも多くの悪魔を道連れにして死のうと考えていた。
が、俺が死ぬ前にあの『大事件』が起こった。
『大事件』から半年後
悪魔の右腕を持つ青年『ネロ』は、大事件の最中にとある男によって2つに分断された魔界と人間界を繋ぐ門、『地獄門』の切り落とされた方の上に立っていた。
ネロ「やっぱり、もう動いてねぇみてぇだな。」
そう言ってネロは靴の爪先で門をつつく、彼の背に愛剣のレッドクイーンの入ったケースと旅に出るための荷物を背負いながら。
あの『大事件』の後、フォルトゥナに出現する悪魔の数は激減した。
それこそ、ネロ一人でもカバー出来るほどだ。
しかし、生き残った人達の中には、ネロを危険視する者もいた。
ネロの右腕を見て怯えるもの憎むもの、ネロの汚れ仕事の事を聞き非難するもの、ネロも悪魔だと言うもの。
だが、ネロが居ることで魔剣教団が無くなった後でも悪魔に怯えずにすんでいるという事実もあり、ネロを排する動きはなかった。
しかし、今回の大事件の後、教団の上層部の思想に関わっていなかった騎士達が再編して生まれた、新しい魔剣教団が出来ると、フォルトゥナでネロに悪魔絡みの依頼を出すものは居なくなった。
ネロは自分に怯えるのは仕方のない事だと割りきっていた、自分自身、人なのか悪魔なのか分からないのだから。
自分が居なくてもこの街、フォルトゥナはやっていけると確信したネロは旅に出ることにした。
あの赤いコートの男から貰った看板は送り返した、ついでに旅に出ると手紙を出すと、意外にも荒々しい文字で楽しんできなと帰ってきた。
そして今日、旅立つ前に地獄門の確認をしに来たネロは踵を返し、港へ向かおうと足を踏み出した瞬間
ネロ「は?」
地面の感覚が無くなっていた。
その世界はいわゆる剣と魔法のファンタジーの世界だった。
様々な種類の魔物と、エルフやドワーフ、人間などの人類が存在し、互いに殺しあう世界であった。
すこし違うのは、それがこの世界を創った主神という神によって仕組まれたことだ。
この世界の大半の人が信仰する主神教、その信者達は、
この世界の人間や動物、植物は主神が創り出したもので、魔物や魔王は闇より産まれた悪しき存在であり、退治するべきものであると信じられている。が実際には
魔物や魔王も主神が創り出したものであり、人間が増えすぎないように調整する為に創り出された、人類の捕食者である。
魔王の統治の下、魔物は人間を襲い国を侵略する。
人間の人口が一定数まで下がれば、人々の中から勇者を選び、加護を与えて魔王を倒すように仕向ける。
そして、魔王が倒されれば魔物同士で覇権争いが起き、その間に人間は繁栄する。
人間が繁栄し、増えすぎた頃に魔王が表れまた侵略が始まる。
これが、この世界でのルールだった。
その筈であった。
このルールが破られたのは今から数千年前、一人の勇者と後に魔王となったサキュバスが、人と魔物がともに歩む世界を夢見て、このルールを破ったのだ。
人を喰らう魔物から人を愛する魔物娘へ
生きとし生けるものを傷つける魔物の魔力は、生きとし生けるものを育むものに
こうして、勇者と魔王は人と魔が共に繁栄する未来へ一歩前進したのである。
この事に焦ったのは、当時新たに主神となった二代目主神である。
まさか自分の主神になってからの初仕事が魔王と勇者の夫婦の討伐になるとは考えもしなかった彼女は、人間と魔物の人口が増加すれば世界に計り知れない影響が出るとして、彼女自身が討伐に向かった。
しかし、それは失敗に終わった。
勇者と魔王の力は想像以上に強くなっており、主神は手酷い反撃を受けることとなった。
そして、主神の力が完全に回復するまでに、何千人もの勇者を誕生させたものの、元々心優しい彼ら彼女らは、魔物娘達が人を殺さない事を知るや否や、あるものは魔物娘の伴侶となり、あるものは自らも彼女達と同じ魔物娘へと変化していった。
このままでは、主神の力が戻る前に魔王と勇者が世界を制してしまう、
それを防ぐ為に主神は戻りつつあった魔力を全て使い、異世界から最後の希望となる勇者を召喚する事を決意したのだった。
主神「んーー!んーー!!」
ネロ「………。」
結論からいえば召喚そのものは成功した。
彼女は歴史上(恐らく)初めてとなる異世界から人を召喚する魔法を作り上げ、何百回目の失敗の後、奇跡的に人を召喚した。
目の前の魔方陣が一際輝き、爆発にも似た反応を示した後、魔方陣から立ち上る煙のなかに人の気配を感じ取った彼女は、召喚の成功を確信し、飛び上がるほどの喜びを押さえつつ召喚した人物に向けて声を掛けようとした次の瞬間
主神「もが!」
彼女の口には銃身がねじ込まれていた。
ネロ(ここは、魔界じゃないのか?)
ネロは周囲を見渡しながら、自分のいる場所が魔界ではないことに訝しんだ。
彼は人間界と魔界を繋ぐ門の上に立っていた、そしてそこから落ちるように入ったのならば出てくる所は魔界だと思い込んでいた。
しかし、ここは魔界のイメージとはかけ離れた場所であった。
ネロの立っている場所は何処かギリシャにある神殿を思わせる白い大理石でできた床の上であり、その床の下は雲が広がっていた。
さらにもう一つ疑問に思ったのは、
ネロ「アンタ、悪魔じゃないのか?」
主神「ん!ん!」
この目の前の少女である、これ程近くにいてもネロの右腕が反応しない、その上、悪魔特有の掃き溜めの様な臭いもしないため十中八九悪魔ではないのだろう。
とりあえずネロは彼女の口から銃をどけると、唾液で濡れてしまった銃身をコートの裾で拭き取る。
主神「ケホッ、ケホッ、ちょっと!いきなり何するんですか貴方は!!」
当然ながら、彼女は少し咳き込んだ後彼に対し怒りだすが、彼はそれを無視して拭き取る作業を続ける。
主神「もう!人の話を聞いているんですかあなt「聞きたいことがある。」……なんですか。」
ネロ「アンタが俺をこんなところに呼び出したのか?」
主神「そうです、主神であるこのワタシが貴方を天界に呼び出しました。」
ネロ「そうか、ならカミサマは俺を元の場所に戻すのも出来るんだよな?」
そう言って、自称主神の少女を睨むネロ、だが、彼女はネロから視線を外すと申し訳なさそうな表情になり、
主神「えーっと、それに関してはちょっと難しいと言いますか、現段階では不可能と言いますか……」
ネロ「…つまり出来ないって事だな。」
主神「はい…」
ネロにそう指摘され項垂れる少女、しかし、対するネロは余り困った様子ではなかった。
元々、宛のない旅をする予定であったし、フォルトゥナには最早未練は無かった。
その上、彼女はここを『天界』と呼んでいた、ならば自分が立っている床、その下の雲を抜ければ地上にたどり着くだろう、そうネロは考えていた。
ネロ「なあ、カミサマ、一応聞いとくがここが天界って事はこの下には人間界が在るんだよな?」
主神「?はい、そうですよ。」
ネロは床の縁から下の雲を見下ろし、主神に質問する。
ネロ「ついでに聞くが、今、陸地の上に浮かんでるのか?」
主神「そうですけど、あの~、そんな所に立っていたら落っこちちゃいますよ?」
恐る恐るといった感じで少女がネロを気遣うが、ネロは少女の方を振り向くと
ネロ「それじゃあ、勝手に帰らせてもらうぜ、Missカミサマ」
主神「えっ?」
そう言ってネロは両手を広げ、後ろに飛ぶと
主神「えええぇぇぇ!?!?」
地上へとまっ逆さまに落ちていったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『ネロ』
デビルメイクライ4に出てくる主人公の一人、原作では恋人の『キリエ』が居たためフォルトゥナに居続けたが、このssではいないため旅に出ることになった。
旅に出る前の半年間の間にちょくちょくダンテの所に行き一緒に仕事にも行っていた。
キリエがいないため自分の右腕にコンプレックスを抱えたままであり、トリッシュ特製の手袋をいつもはめている。
『主神』
健康クロス先生が運営するサイト、クロビネガにて繰り広げられている魔物娘図鑑の世界、その世界の二代目の主神、健康クロス先生から直接の発言は無いが、多分金髪ロングなドジッ子少女なんじゃないかな(適当)
また、公式に彼女が魔王に勝つことはないと言われており、このssもそうなっている。
『魔物娘』
全員が聖母並みに優しいヤバイ奴ら(誉め言葉)
魔王がサキュバスであるため、可愛い娘か美しい娘か可愛くて美しい娘しかいない、ヤバイ(誉め言葉)
サキュバス並にエッチだが浮気はしないし、NTRも無い、夫となった男性に一途な娘(重要)
デビルメイクライと魔物娘のクロスを書きたくて投稿しました。
此方での執筆は今回が始めてなので、至らない点が多いと思いますが、どうか見守って頂けると幸いです。
よろしくお願いいたします。