【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「んんっ、んっ」
「んんんっ」
よろけるように広間を出ていく、ガドニエルとラザニエルの女王姉妹の姿をロクサーヌは呆然と見入ってしまった。
ふたりは、「拘束衣」と呼ぶらしい革の上衣に上半身を締めつけられ、腕が長い袖の中にすっぽりと入って、余った袖を利用して身体にベルトで巻きつけるという奇妙な服を着せられている。
そして、下半身は衣服はなにもなく、股間にロクサーヌがかつて装着させられて調教を受けていたような革帯をされているのみである。
また、革帯自体がうねっているので、おそらく内側には魔道で振動するディルドがあって、それが女王たちの股間やアナルを刺激し続けているのだろう。
さらに、その革帯のアナル部分の外には、床に届くほどの「尻尾」のようなものが繋がって、お尻の外から床まで垂れ下がっている。
その尻尾は、どうやら革帯を挟んで、アナルの中のディルドにも繋がっている気配だ。
ふたりとも、頭から水を被ったように濡れているが、あれは汗らしい。雰囲気から察すると、ロウ殿と一緒に消えているあいだに、散々に犯されたみたいである。
そのせいだけではないだろうが、部屋の外に向かって歩かされているふたりの足腰はふらふらとおぼつかない。
そして、その後ろを、リリスという名の童女メイドが鞭を持って追い立てているのだ。
「ほら、しっかりと歩きな、エルフ女王ども──。妖魔のわしが、エルフ族の女王を調教できるなんて、生涯ないようないい仕事さ。夕方までの短い時間だけど、しっかりと躾けてやるから覚悟しな──」
リリスが手にしている長い鞭がふたりの尻を直撃する。
「んぐうっ」
「んふうっ」
ガドニエル女王たちが拘束されている身体をのけぞらせて呻いた。
しかし、ふたりの口には、穴の開いた丸い開口具が押し込まれて頭の後ろで結ばれている。だから、言葉を喋れないのである。
そんな状態で、ふたりはリリスに背後から鞭打たれたり、突かれたりして、よろけるように広間を出ていった。
それはともかく、あの童女メイドは、本当に妖魔だったようだ。
そうであれば、童女姿とはいえ、見た目の年齢と実年齢がかけ離れているのは納得である。
しかし、異界に封じられたとはいえ、実際には“はぐれ妖魔”と称される個体が人族の世界に混ざって生きているのは知っていたが、ロウ殿の愛人には、その妖魔族まで混ざっているのは驚きでしかない。
妖魔族の残酷性の噂は承知しているので、その妖魔にエルフ女王たちの「しつけ」をさせるのは唖然とするしかないし、ほかの女性たちがそれに対して、まったく動揺せずに許容しているのもちょっと信じられない気持ちだ。
「あ、あのう、よいのですか? 女王陛下たちをあんな風に扱って……」
ロウ殿が周りの女たちを嗜虐的に扱いながらも、それでいて、女たちがロウ殿を完全に慕っているという状況は理解してきた。
一見して惨い目に遭っているようであるが、実際にはロウ殿と女性たちとのあいだは確かな信頼感で結ばれているような気がする。それは、ロクサーヌとルカリナ、あるいは、死んでしまったエルヴェラとの関係に似ている。
だからこそ、ロクサーヌは支配され苛められつつも、それを快感として覚えてしまう被虐癖を持つ女は大勢いるし、そういう関係が決して一方的なものではなく、両者の同意のもとに成立している実態もあることをよく承知している。
そもそも、ロクサーヌがマゾの性癖だ。
恥ずかしいことをされて悦ぶ変態なのだ。
しかしながら、とんでもない格好で連れていかれたのは、エルフ女王と女王の姉であり副王だという女王姉妹である。
ロクサーヌがいま接していた限りにおいて、ふたりはとても不満そうだったし、無理矢理に拘束され、また、淫具も意思に反して装着された気配だ。さらに、ロウ殿自身ではなく、そもそもリリスという童女姿の妖魔に虐げられることは、女王たちにはとても受け入れられないという反応を感じた。
だからこそ、それを強要しようとするロウ殿には驚いたのだ。
エルフ族というのは、人族の中ではもっとの選民意識の強い種族だと言われている。
その女王と副女王なのだ──。
だから心配になってしまったのだが、ロウ殿はあっけらかんとしている。
「いや、問題ありませんよ。リリスは、童女化して能力低下していますけど、ガドにしても、ラザにしても、あの拘束衣を身につけている限り、魔道も使えないし、筋力も普段の十分の一ほどに低下します。だから、まず抵抗することは不可能なんです。いまのリリスでも十分に扱えます」
ロウ殿が笑い声をあげた。
そういう質問ではないのだが、とは思ったが、ロクサーヌもそれ以上深く訊ねるのはやめた。
ただ、ロクサーヌの想像以上に、ロウ殿がエルフ王家と深い関係なのだということはよくわかった。
一ノスほど前での中庭での騒動が嘘のようだが、すっかりと平静を取り戻した感じのあるロウ殿の屋敷の中だ。まあ、いまの女王姉妹が鞭打たれながら引っ立てられていったのを「平静」の範疇に入れていいのであればの話だが……。
とにかく、その屋敷内の広間に戻ってきていた。
ほかの女性たちも一緒であり、エリカ、コゼ、シャングリア、ミランダ、スクルド、そして、ケイラ=ハイエルが広間にあるソファーに集まっていた。屋敷妖精のシルキーと、童女メイドにして妖魔族のリリスもだ。
ただし、ミウ、イット、マーズはいない。ユイナというエルフ族の少女が連れだしてほかの部屋に行った。その四人もかなり仲がよさそうだった。
そして、そこに、ロウ殿が女王姉妹を連れて戻ってきて、たったいま、そのロウ殿の指示で、女王姉妹をリリスが連れだしたという状況である。
あれから、不思議な術で女王姉妹とともにロウ殿が消滅した後、ロクサーヌはルカリナやほかの女性とともに、屋敷内の広間に戻ったのだが、どの女性も平然としてて、中庭で起こったことをなにも気にしていない感じだった。
それどころか、何事もなかったかのように全員が談笑に興じていて、ロクサーヌはまごついてしまった。
また、この広間に戻ってすぐに、昨日は会えなかったアン王女や、ユイナという愉快なエルフ族の少女などが現れて、少しだけ話をすることができた。ただ、まだまだ会ってはいない大物たちも大勢、ロウ殿の愛人であるそうであり、この屋敷に出入りもするので、そのうちに紹介するとも言われた。
そして、このとき初めて知ったのだが、この屋敷にいたアン王女は、妊娠をしていて、イザベラ女王とともに、ロウ殿の子供を孕んでいるということだった。とても穏やかそうな女性であり、ロクサーヌたちが家族に加わることを歓迎すると悦んでくれもした。
横にいたノヴァという侍女ととても親しそうだったのが印象深かった。
いまは、また自室に戻ったが、夕方には全員で歓迎会があるので、そのときにまた話をしましょうと嬉しい言葉をもらった。
そして、そうこうしているうちに、ガドニエル女王姉妹とともに消えていたロウ殿が戻ったのである。
そのときには、女王姉妹はすでにさっきの格好であり、ロウ殿に首輪をつけられて、引きずられるようにして、ロウ殿とともに現れたのである。
その際、ロウ殿は騒動の罰として、夕方までの時間をリリスから調教を受けることとふたりに申し渡したのだ。
ガドニエル女王はともかく、ラザニエル副王は、それに対して烈火のごとく怒った感じだったが、口に開口具を装着されて、それ以上の言葉を口にすることを封じられてしまった。
しかも、ロウ殿が仕掛けらしいラザニエル副王のお尻から出ている「尻尾」をぎゅっと握られ、絶叫してもんどりを打ってひっくり返ってしまったのである。
びっくりすることに、その尻尾を握ると、お尻の中に電撃が走ることになっているそうだ。
それを聞いたリリスが、面白がってふたりの「尻尾」を握ったりして、また怒らせていた。
そうやって、たったいまふたりがリリスによって、引き立てられていったところというわけだ。
「まあ、お兄ちゃんが調教したら、それは罰じゃなくて、ご褒美になっちゃうものね。あの妖魔から折檻を受けるというのは、あいつらには、丁度いいお仕置きなんじゃないの」
笑ったのは、ケイラ=ハイエルでだ。
エルフ族の女長老で、エルフ族の王侯貴族を牛耳るとともに、エルフ族王家の長い歴史を裏から支え続けたというエルフ族王家の重鎮中の重鎮だ。
今回のハロンドール王国とエルフ族王家が、このロウ殿という人物を通じて親族関係になるにあたり、このケイラ=ハイエルが駐留公使となって王都に来ていて、しかも、ロウ殿の愛人のひとりになったというのは耳にしていたが、“お兄ちゃん”とロウ殿を呼ぶほどの親密な関係とは改めて驚いた。
もっとも、なぜ、年齢が遥かに上のケイラ=ハイエルがロウ殿を“お兄ちゃん”と呼ぶのかはわからないが……。
また、そのエルフ王家の守り役と称される彼女が、女王たちのあの扱いを許容するなら問題はないのだろうけど……。
ただ、なんとなくだが、このケイラ=ハイエルは、ロウ殿ことならどんなことでも無条件で引き受けるような雰囲気がある。だから、他人事ながら心配になった。
「ところで、ロウ、ここで待っている間に、ロクサーヌ公から話があったんだけどねえ……。面白いことがわかったよ」
すると、ミランダが横から口を挟んだ。
「面白いこと?」
ロウ殿がそのミランダに視線を向ける。
「カロリックからロクサーヌ公を脱出させるにあたって、骨を折ったのは、どうやら、ゼノビアたちだけじゃないみたいなんだ。ターナと名乗る謎の女が随分を助けたみたいだね。しかも、どうも話を聞く限り、もしかしたら、そのターナという女は、どうも王宮でルードルフ王を操って無法をしていた偽テレーズ女伯かもしれないんだ」
「偽テレーズ伯だと? 本当?」
ロウ殿は驚いている。
ロクサーヌもまた知らなかったが、ハロンドール王国で起こっていた前王ルードルフ王の凶荒の背景には、タリオから送られた闇魔道遣いの存在があったらしい。
もちろん、それをタリオは認めないし、ハロンドール王国側としても、一国の国王が操られていたなどとは公にはできない。
表向きには、ルードルフ王が自分の意思で蛮行をしたということで終わりにしている。すでに国王の処刑も終わっているのだ。
しかし、その裏側では、そんなこともあったようだ。
また、その闇魔道遣いもまた、タリオから意思に反して奴隷にされて、それをしていたらしく、ハロンドール側が彼女の隷属を解いたことで、彼女が寝返り、タリオの間者たちは駆逐されたそうである。
そんなことまでロクサーヌに教えてもいいのかというような裏の話まで、教えてもらってしまった。
それはともかく、ロクサーヌは、ゼノビアたちとともに、ロクサーヌがカロリックから逃亡をするのを助けてくれたターナ=ショーの存在も伝えないとならないという思いで語ったのだが、それを話しているうちに、あのターナ=ショーがタリオを寝返って裏切った後に逃走をしていた闇魔道遣いと同一人物である可能性に、ミランダやリリスが気がついたということだ。
「もしかしたらということだけどね。ロクサーヌ公から聞いたその謎の女の風貌は、偽テレーズ伯と合致するところがある。リリスも認めていた」
「ふーん、じゃあ、後でリリスにも確認するか……。だけど、ゼノビアはなにも言ってなかったな。これは再詰問案件だな。また、呼び出してくれよ。そういう大事なことを言い忘れた罰は与えないとな」
ロウ殿が笑い声をあげた。
ロクサーヌは慌てて口を挟む。
「いえ、むしろ、お世話になったのはわたしたちなのです。わたしたちこそ、ちゃんと語るべきでした」
あのターナ=ショーがこっちでそんなことをやらかしていたとは驚きだが、合点がいったところもある。
彼女は、自分がカロリックの娼館に追いやったことになるテレーズ母娘を助けるために、あの闇娼館に潜入したのではないだろうか。
そういう前提に立つと、あのときのターナ=ショーの行った言動に辻褄が合うことに思い当たる。
「ふふふ、ロウ、それだけじゃないぞ。どうやら、ルカリナたちは、そのターナという女から路銀まで借りていたらしいぞ。しかも、その駄賃は、ターナをロウに紹介することらしい。先日はすっかりとすっぽ抜けていたようだけどな」
茶化すように言ったのはシャングリアだ。
その話もさっきした。
ロクサーヌとしては、そういう条件でターナ=ショーの援助を受けたのだから、ゼノビアたちは、すでにロウ殿にそれを語っていたと思っていたのだ。
だから、まだ伝わってないことを知って、先にロウ殿に言ってしまい、ルカリナとシズには本当に申し訳ないと思った。
「やっぱり、再確認だ。ミランダ、すぐにあいつらを呼び出してくれ。クエスト失敗の罰のやり直しだ」
ロウ殿が白い歯を見せた。
しかし、ミランダが首を横に振る。
「当分無理だね。あいつらは王都にはいない。もちろん、マイムにもね。しばらく、戻ってこないそうだ。結構、怒っていたしね」
「怒っていた? どうしてだ。ちょっとばかり、悪戯しただけだろう」
ロウ殿だ。
「ちょっとばかり? 片棒を担がされたあたしが言うのもなんだけど、お前たち、ゼノビアたちを脅して、裸同然の格好で城郭内を連れ回した挙句に、縛り付けて全員で輪姦まがいのことをしたらしいじゃないかい。ちょっと酷いんじゃないかい。あいつらは、お前らを継ぐ、うちのギルドの看板パーティなんだよ。よそに逃げられたらどうしてくれるんだい」
「逃げないわよ。なんだかんだで、ゼノビアたちも、ご主人様からは逃げられないわ。どんなに嫌がっても、ご主人様に定期的には精を注いでもらわないと、禁断症状も起きるし、能力も低下していく。逃げないわよ。ちょっと不貞腐れているだけよ」
コゼが笑った。
禁断症状?
なんだろう、それ?
「まあそうだな。絶対に戻ってくるな」
シャングリアも横で頷いている。
「そういえば、そのターナ=ショーは、ロウ様に、前世の恋人、似ていると、言っていた」
そのとき、ずっと黙っていたルカリナがぼそりと口を挟んだ。
「えっ、そうなの、ルカリナ?」
ロクサーヌは覚えがない。
だが、もしかしたら、そんなことも語っていたのかもしれない。
でも、前世?
「前世ってなによ?」
エリカだ。
「さあ?」
だが、ルカリナもそれ以上は説明できないみたいだ。
ロクサーヌにも訊ねられたが、やはり説明できない。とりあえず謝罪した。
「前世って……。だけど、ルカリナさん、あんた、いま、ターナー=ショーって言った? ねえ、お兄ちゃん、もしかしたら──」
すると、突然にケイラ=ハイエルが興奮したように喜色を言葉に込めて叫んだ。
なんだか、心当たりがある気配だ。
「いや、あり得ない……。あり得ないよ、亨ちゃん。だけど、やはり、話は詳しく聞きたいな。だけど、ゼノビアたちは、どこに逃げたかわからないのか……」
しかし、ロウ殿は即座にケイラ=ハイエルの言葉を否定した。だが、興味は抱いた感じだ。
「わかりますわ」
そのとき、スクルドという不思議な印象の魔道遣いが口を挟む。
「えっ、わかるの?」
エリカがスクルドを見る。
「ええ、あの山の温泉ですわ。アッピア峠の……。おふたりには、わたしがあの山の温泉のことを教えたのです。移動術のゲートも手配しました。興味を抱かれた感じだし、おそらく、そこにお二人で向かったのではないかと思いますわ」
「でかした、スクルド──。だったら、ミランダ、すぐに伝言を送ってくれ。王都に直ちに戻って来いってな。さもないと、先日、木馬に縛り付けて犯された痴態が王都広場で映録球で公開されるぞと伝えるんだ。遅くとも、婚姻式当日までは戻れってね……。ああ、そうだ。出頭のときには、ふたりとも下着なしのスカートで来いとも言ってくれ。持っている服の中で一番短いやつだぞって」
ロウ殿が笑いながら言った。
「また、お前は、そんなことを……」
ミランダは呆れた感じだ。
「いやか? いやなら……」
「やるよ──。やればいいんだろう──。まったく、いつもいつも……」
ミランダが怒ったように言った。
ロクサーヌは、みんなの一連の会話に、すっかりと気を呑まれた感じになってしまった。
「さて、それよりもだ──」
すると、ロウ殿がぱんと手を叩いた。
ロクサーヌを含めて、全員が注目する。
「……それよりも、さっきはあいつらのせいで、始める前に終わってしまったが、仕切り直しだ。ルカリナ、趣向を変える。風呂に行くぞ。みんなも一緒に来い──。いつもの風呂だ。そこでルカリナの家族入りの儀式をする」
ロウが声をあげた。
この広間にいる全員にも呼び掛けた。
「ふふ、ご主人様、いつもの風呂ですね」
「そうだ。いつものだ。今日は全員が手錠だ。例外はなしだぞ」
コゼが嬉しそうな表情で声をかける。
「いつもの」とか、「手錠」とかいう意味はわからないが、女たちの顔が一斉に赤くなる。
なんとなく性的な雰囲気を感じる。
「ルカリナには、そこで俺の女になってもらう。みんなの前でだ。いいな──。寝台と約束したがやめだ。もう、俺の女になると決まったルカリナだ。まだ、人前で俺に抱かれるのは抵抗あるかもしれないけど、ほか女たちもそうさせるから、観念してくれ」
ロウ殿がルカリナを見る。
「あっ、はい。お、お願い、します。どこでも……。問題、ありません」
ルカリナが頭をさげる。
そのとき、慌ててロクサーヌは立ちあがった。
あれから時間が経ったことで、すでにロクサーヌの腹は決まっていた。あのときはあまりもの戸惑いで即答できなかったが、改めて考えれば、ロクサーヌがどう反応すべきかということは自明のことだった。
そもそも、ルカリナがロウの女になることを決心したのに、ロクサーヌが置いていかれるということはありえない。
「お待ちください、ロウ様──。どうか、わたしもお願いします。ルカリナと一緒に、ロウ様の女にしてください」
ロクサーヌははっきりと言った。
すると、ロウ殿がロクサーヌに視線を向けてにっこりと微笑んだ。
「いいでしょう……。じゃあ、ルカリナと一緒に来い、ロクサーヌ」
ロウが口調をがらりと変えて、ロクサーヌに強い命令口調で言った。
ロクサーヌは、どきりとしてしまった。