【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
移動術──?
跳躍のときの独特の感覚が身体を襲う。
しかし、どこかに辿り着いたと思った途端にくスクルドの視界は消滅した。
まったく眼が見えなくなったのだ。
また、四肢が完全に弛緩して、その場に跪いていた。
「あっ、どうして──?」
動顛して、必死に辺りを探ろうとする。
だが、両手を背中に回させられて、手錠のようなものを両手首に嵌められてしまった。
ただ、スクルドが蹲っている場所は土や草ではなく、木の床の感触があった。また風の動きも感じない。
もしかしたら、どこかの建物の中に連れてこられたのかもしれない。
でも、どこなのか?
しかし、それ以上考えることができなかった。
襲い掛かっている掻痒感がいよいよスクルドを切実に蝕み始める。
「ああっ、な、なんで……」
スクルドは背中で拘束された拳を握りしめ、太腿を必死に擦り合わせた。
「ははは、あんたには、あの独裁官のことを色々と教えてもらうとするかな。死んだはずのあんたが生きているというのは、多分、あの独裁官様が深く関わっているんだろう? まあ、悪く思うな。これも商売でな」
さらに、首になにかを嵌められた。
首輪のような感触だ。
そして、股間と乳房に猛烈な痒みが襲い掛かってきた。
「ああっ、これはなに──。痒いわ──」
スクルドは歯をかちかちと鳴らしながら、腰や胸を狂おしく捩った。
「痒いだろう。だんだんと痒くなるぞ。まあ、ありきたりだが、女を訊問するには色責めが効果的だ。しかも、女ってえのは痛みに強いのが多いが、痒みには耐えられないみたいだしな。あっ、いや、これは女も男も一緒か」
ナンがすぐそばで高笑いしている。
そのあいだも、どんどんと痒みが激しくなる。
「痒い──。痒いわ──」
必死に身体を揺すった。
だが、全身の痺れのような脱力感は消えない。
まるで、自分の身体でないかのようだった。
「おいおい、ちっとは慎み深くしてくれよ。山の中の一軒家じゃないんだぞ。王都で借りてる住居街の一角だ」
ナンがまた笑う。
王都の住宅街……。
すでに、王宮ではないのか……。だが、まだ王都内か……。
とにかく、懸命に魔道を練る。
しかし、身体の中の魔力の元である魔素の流れが凍りつかされたかのように動かない。なにかによって、魔道が阻止されているのだ。
だが、まったく動かないわけではない。
身体の中の魔素の流れをせき止めているなにかをぶち破ろうと、一気に大量の魔素を動かす。
回復術──。
すると、失われていた視界が回復した。
ぼんやりとだが、見知らぬ建物内の風景が眼にうつる。
一組の木製の机と椅子、そして一枚の毛布が転がっているだけの何もない小屋のような建物だ。
「ほう、驚いたな。支配してやったと思ったけど、まだ、魔道を動かせるのかい。だけど、無駄なことだ。あんたの魔道は俺が乗っ取ってる。魔道遣いってのは、身体を魔素で充満させるんだろう? だから、こうやって気功で支配してやれば、肉体どころか、感覚までも思うままだ。痒みを引きあげてやるよ」
とんと首の後ろを指で圧迫された。
すると、股間にさらに猛烈な痒みが襲い掛かった。
「うああっ、そんなあ──」
スクルドは歯を喰いしばった。
限界を遥かに越える痒みだ。
気が変になりそうなくらいだ。
「そらよ。股ぐらを椅子に擦りつけな。逃げられない程度に脚の力を戻してやる」
ナンが部屋の隅から椅子を持ってきて横倒しにする。
また、まるで感覚がなかった両足に、ほんの少しだけ力が戻った気がした。
もう、なにも考えられない。
できることはひとつだ。
這うようにして椅子に辿りつき、最後の力を振り絞るようにして、横倒しの椅子の背もたれ部分に跨る。
ローブとスカートの内側の下着の布地に、背もたれ部分が直接に当て、自ら腰を前後に動かした。
「ああっ──」
スクルドは天井を仰ぐようにして、甘い声をあげていた。
強烈な痒みが椅子の背もたれに擦れて癒されるのは、脳天が解けるほどの気持ちよさだ。
快感の塊が次々に稲妻のように突き抜けていく。
「哀れなもんだな。大美人が台無しだ。じゃあ、せんずりは終わりだ。そろそろ訊問だ」
首が引かれて、身体を床に引き倒された。
あまりもの掻痒感に意識が回らなかったが、やはり首に鎖付きの首輪を嵌められていたのだ。
それを思い切り引っ張られて、椅子から離された。
「あの独裁官の秘密を知っている限り喋るんだ。だが、その前に、あんたを見てると堪らなくなってきた。一発抜かしてくれよ」
身体からローブが剥ぎ取られ、次いで、内側の服を引き破られた。
あっという間のことだ。
ナンにお尻を向けさせられて、下着も剥ぎ取られた。
「ああっ、なんだこれは──?」
だが、スクルドが身に着けていた下着を放り捨てようとして、ナンが叫んだ。
下着を裏返して、股間の部分をじっと見ている。
「この薄いのはなんだ? ただの当て布じゃねえな。なんだ、この細工は──?」
腰を蹴られて仰向けにひっくり返された。
そのスクルドの腹をナンが踏みつけ、下着の裏地側をスクルドに見せつける。
「べ、べっとりと濡れてますね。い、淫乱な身体で、も、申し訳ありません」
スクルドは微笑む。
もっとも、確かに下着の内側はスクルドの愛液でびっしょと糸を引くほどに濡れていたが、ナンが見つけたのはそれではない。
スクルドが身に着けていた下着の股間の裏地には、緊急信号を発散する護符がついていたのだ。
ほんの薄いものであり、小さな布片ではあるものの、ちゃんと魔道陣が刻まれていて、王都内程度なら救援を求める魔道信号を放出できるようになっている。
作ったのはユイナであり、魔道紋を刻んでいる布部分に熱を込めたり、強い力を与えれば、魔道が効果を及ぶと説明されていた。
だから、必死で擦って摩擦による熱を与えたのだ。
馬鹿なものをとは思ったが、万が一を思って下着に忍ばせておいてよかった。まあ、ほかにも数箇所に隠しているが、ほかの場所は不自然な動きでばれると思ったので、うまく発動できてよかった。
スクルドの身体の魔素は支配されたが、護符から発散するのは、スクルドからではなく、あらかじめ護符に刻まれている魔素だ。
ナンの支配の外だったみたいだ。
「もしかして、魔道護符とかいうやつか──。この紋様の意味は? 言わねえか──」
首差の鎖を引っ張れて、頬を思い切り張られた。
スクルドの顔が横に跳ぶ。
しかし、首輪の鎖に阻まれて引き戻される。
「質問に答えろ──」
反対側を張られる。
「ひんっ」
スクルドは悲鳴をあげた。
口の中に鉄の味が拡がる。どこか切ったのかもしれない。
「そ、それは、わたしの自慰のときに使う淫具ですわ。ご主人様に構ってもらえないときには、それで慰めるのです」
顔を引きあげられて、再び詰め寄られたので、スクルドは微笑みながら言った。
すると、首に手がかかり、そのまま投げ飛ばされた。
「ふぐう──」
壁に叩きつけられる。
スクルドはそのまま股を拡げてひっくり返ってしまった。
「舐めると承知しないぜ。女には優しいが、それは嘘をつかれない場合だ。俺は嘘を言われれば切れる」
「あぐうっ」
近づいてきたナンに横腹を蹴られた。
しばらく息ができず、スクルドは嘔吐を堪えて、激しく咳き込む。
「はあ、はあ、はあ……。わ、わかりました……、ほ、本当のことを言います……」
「本当のこと?」
ナンが訝しむようにスクルドを睨む。
「さ、さっきのは嘘でした……。ご主人様にお会いしてから……じ、自慰なんかしません……。ご主人様の愛がき、気持ちよくて……そんなんじゃ、ま、満足できなくて……」
「こいつ──」
ナンの顔が怒りで真っ赤になる。
だが、すぐに冷静さを取り戻したような表情に戻った。
「こりゃあ、俺としたことが熱くなったか……。自分で口にしながら忘れてたぜ。女には蹴ったり叩いたりするよりも、色責めだ」
すると、ナンが両手を身体の前で上下に重ねながら、ぶつぶつとなにかを呟きだす。
「ひああっ──。あああっ」
スクルドは大きく上体をのけぞらせた。
股間をなにかに貫かれたかのような感覚が襲い掛かったのだ。貫かれたのは男の性器だ。
もちろん、その感覚だけで、実際にはなにも挿さってはいない。
だが、感覚だけは紛れもなく、見知らぬ男の性器だ。
それが繰り返し律動を繰り返す。
掻痒感に襲われている股間に、凄まじいほどの快感が迸る。
「あああっ」
スクルドは絶叫した。
再びナンの笑い声が部屋に響き渡る。
「ははは、しばらく擬似セックスで悶えてな」
ナンの嘲笑が聞こえる。
だが、五体に響き渡っていく愉悦がそれを認識の外に追い出していく。
眼が眩むほどの快感だ。
おそらく、また肉体の感覚を操作されたのかもしれない。
鮮烈な快美観が身体の芯に次々に繰り返して襲い掛かる。
「ああ、いやああっ」
どこまでもせりあがる快感に耐えられずに、スクルドはあられもない悲鳴をあげていた。
「じゃあ、これはどうだ。敬虔な元神官様は、アナルセックスなんて、経験がないだろう? こんな感覚だ」
腰の横をとんと指先で押される。
すると、なにも入っていないはずのお尻の中がまるでディルドのようなものでかき回されるかのような感覚が襲い掛かる
「あおおっ」
脳天を突き抜けるような感覚だ。
スクルドは全身を突っ張らせた。
それまでの刺激とも次元が違っていた。
身体の芯にあるものが完全に砕かれたような感じになる。
ナンの高笑いが響く。
「魔女様の感覚は、もうなんでも操れるぜ。試しに、絶頂中の感覚をそこで停止してやろうか? 何度か試したがどんな気丈な女傑でも、絶頂状態での感覚維持には、のたうち回って、憐れみを乞いたぞ。あんたはどんな醜態を晒すかな? こんな気持ちのいいことの経験はねえだろう? あんたを朝から晩まで性のことしか考えられない色情狂にしてやろうか」
すると、全身の熱さがさらに拡大する。
スクルドは歯噛みした。
またもや、感覚をいじられたに違いない。
「うあああっ」
前後からの律動の感覚は襲い続けている。
そして、ついに快感が限界を突破してし、峻烈な絶頂感が襲い掛かった。
「ほら、ここで停止だ」
とんと頭を軽く指で突かれた。
その瞬間、明らかに全身に異変が起きた。
ナンの言葉通りに、絶頂感覚が静止したのだ──。
本当に、絶頂が爆発した、まさにその瞬間のまま……。
「あああっ、あがああっ、いやああっ──」
スクルドは悲鳴をあげて、動かない身体で全身をのたうちまわした。
膨れあがった絶頂感がそのままずっと保持されている。
狂う──。
こんなの狂ってしまう。
「暴れるなって……。言っておくが、俺が術を解除しねえと、いつまでたっても、その状態のままだ。俺は道士は道士でも、色術が一番得意でな。淫魔師様のナンだ。そうだなあ。なんでもいいから、独裁官について知っていることを喋ろ。それで解放してやる……。ただし、次の訊問もあるぞ。今度は絶頂寸前で感覚を静止して訊ねてやる」
ナンがスクルドの腹を踏みつけた。
スクルドはまるで捕えられた虫のように身体を暴れさせる。
しかし、次の瞬間、不意に圧迫感がなくなった。
「うがあっ」
ナンの悲鳴が響く。さらに床に叩きつけられたような音も……。
身体が抱き起される。
「スクルド──」
抱き起したのはベルズだ。
神官服を身に着けていて、そのベルズからスクルドの身体の中に魔道が注がれるのがわかった。
途端におかしな感覚が消滅して、身体が楽になる。
苦しかった掻痒感も一気に小さくなった。
「エルニアの犬って、耳にしたけど本当かい? 大人しく閉じこもってりゃいいのに、なんの目的で間者を送ってきたんだい?」
顔を向ける。
スクルドたちと、床に倒れたナンのあいだに、ノルズが立っている。
雰囲気からすれば、どうやら、このふたりは移動術でここまで転移するとともに、ノルズがナンを蹴り飛ばしたみたいだ。
ナンがゆっくりと立ちあがった。
「エルニア? なんで、そう思う?」
ナンがちょっとだけ顔をしかめている。
「なんでだっていいだろう。だけど、好き勝手やってたようだね。大人しくな」
ノルズが腰から短剣を抜いた。
「まあいいや。とにかく、やっぱり来たな。次はふたりか。逃げてもよかったが、もしかしたら、また魔女でも狩れるかと思って時間を潰して待ってたぜ」
「はあ?」
ノルズがじりっとナンに寄る。
ナンが宙から剣を取り出すようにして構える。
収納術だろう。
「今度も美人だな……。そして、そっちは第二神殿の筆頭巫女のベルズだな。足技の得意な日に灼けた姐ちゃんは知らねえなあ。二人とも魔道遣いか?」
「さあね」
ふたりが剣を構えて向き合う。
「き、気をつけて──。その男は不思議な術を使います。わたしたちの魔道を操るのです」
スクルドは叫んだ。
「そういうことだ」
ナンが笑った。
「はうっ」
次の瞬間、スクルドを抱きかかえていたベルズが突然に脱力した。
「ひいっ──。なに、なにこれ──」
ベルズがスクルドを抱きしめたまま身体を突っ伏す。
はっとした。
おそらく、スクルドと一緒だ。
いきなり、身体の感覚の支配を奪われて、弛緩させられただけでなく、性感を操られたのだ。
顔を真っ赤にして震える姿は、まさに全身の性感という性感を沸騰させらているように感じる。
「ああ、ベルズ──」
スクルドは叫んだ。
だが、いまの一瞬、魔道を操られて支配を乗っ取られる切っ掛けがわかった気がする。
スクルドもそうだったが、ベルズがナンの前で魔道を遣ったときだ。さっきスクルドに回復術を掛けてくれたが、もしかしたら、そのときにナンに魔道の支配を奪われたのかもしれない。
「ちっ、おかしな術を……」
ノルズがナンに跳びかかる。
ナンがノルズの短剣をいなして、身体を横に跳ばせる。
ノルズも横に跳ぶ。
「ノルズ、気をつけて──。魔道を遣うと、身体の支配を奪われるわ──」
スクルドは声をあげた。
しかし、次の瞬間、突然にスクルドの手がノルズに伸びて、手から電撃がノルズに向かって発射された。
「うがああっ」
背中に電撃を浴びたノルズがその場に崩れ落ちる。
スクルドの魔道を操って、ノルズに襲わせたのだ。
ナンが蹲ったノルズの眉間に指を置いた。
「ぐあっ」
ノルズが眼を剥く。
そして、身体が硬直したようになり、その全身から汗が噴き出して、身体が震え出した。
ナンは指をノルズの眉間に押し続けていて、さらにノルズの身体の痙攣が大きくなる。
「ああっ……や、やめ……やめて……あっ、あああ……あああっ」
ノルズが尻もちをついて崩れ落ちた姿勢のまま、身体を伸びあがらせた。
その身体ががくがくと揺れる。
そして、それがしばらく続き、やがて、ノルズの腰の下から放尿が床に拡がりだす。
「威勢はよかったけど、気持ちよすぎると失禁するタイプか? まあ、そういうのも嫌いじゃねえけどね」
ナンがノルズの首に鎖付きの首輪を嵌め、さらに両腕を背中に回させて手錠をかかける。それだけでなく足首にもかけた。手錠や首輪はやはり、収納術で出していた。
そのあいだ、ノルズは抵抗しなかった。
できないようだ。
まだ、絶頂感が連続で続いているようであり、いまだにびくびくと身体を震わせている。
「お痛は終わりだな。これで三匹。いやあ、いい狩りだった。三匹も独裁官様の女を集めれば、情報収集には十分かな」
ナンが新しい手錠を出して、こっちに向かってくる。
「ああ、ベルズ──」
スクルドは必死にベルズを揺する。
だが、ベルズは太腿を擦り合わせて震えるだけで、スクルドの上から動かない。
「おおっ?」
しかし、近寄ってきていたナンが急に跳び退がった。
目の前の宙が揺れる。
すると、白い下着に包まれたお尻が目の前にでんと出現した。