【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
目の前に白いお尻──。
そのお尻に、でんと顔を突き飛ばされた。
「あれ、ごめん」
ふり返った彼女に、首に輪っかのようなものを嵌められた。スクルドはナンから首輪を嵌められていたので、二重に首に嵌められた感じだ。
身体の上のベルズの首にも、輪っかが嵌る。
装着されたのは「魔道封じの首輪」だ。
そして、それをしたのはコゼだ。
驚いたことに、コゼは下着姿だった。胸から腰の括れまでを包む白い下着を身に着けていて、股間にはいつもの紐下着。さらに腰の上にガーターを嵌めて白いストッキングを吊っている。
移動術で現れたのは、そのコゼだけではなかった。
コゼのほかに、エリカ、シャングリア、マーズ、イット、ミランダの五人だ。しかし、なぜか、六人が六人とも下着姿である。
だがみんな剣に細剣に斧と得物を手にしている。
「ほう、また、罠に掛かりに来てくれたんだな。嬉しいぜ。しかも、全員の顔を知ってるぜ。今晩の花嫁さんたちじゃねえかい。随分と色っぽい格好で現れてくれて嬉しいけど、こんなところになにしに来たんだ? 忙しいんじゃないのか?」
ナンが軽口を言った。
だが、ナンは油断しているわけじゃないことはわかる。注意深く状況を確認している様子だ。
そのナンをエリカ、コゼ、シャングリア、マーズ、イット、ミランダの六人が武器を持って取り囲んでいる。
「みんな、わかっていると思うけど、魔道は駄目よ。こいつは他人の魔道を操るのよ」
エリカが言った。
「魔道を操れるのは、エリカだけだ。忘れたのか? ミランダも魔道リングは置いてきている」
シャングリアがくすりと笑った。
「置いてきたんじゃなくて、取りあげられたのよ。あの嗜虐好きのあたしたちの旦那さんに、例の令嬢たちをけしかけられる前にね」
「そうだったわね」
エリカだ。
そのエリカはノルズのいる場所の近くに出現していたが、ノルズに近づいたエリカがノズルの首に、やはり魔道封じの首輪をかける。
さっきのように、同士討ちをさせないために、あらかじめ準備をして、スクルドたち三人の魔道を封印したのだろ思うが、なぜ、ナンの特殊能力を事前に知っているのか……。
「あんたが股で擦って作動させた緊急信号の護符は、正確な位置をみんなに伝えるだけでなく、会話の声も送る仕掛けになっているようよ。あのくそ生意気な黒エルフだけど、まあ、魔道具作りの才能だけは認めざるを得ないわね」
そばのコゼだ。
まるで、スクルドの疑念を読んだかのようにくすくすと笑いながら言った。
だが、身体はしっかりと、ナンに向ている。
コゼだけでなく、全員がそうだ。
「おっかねえなあ。じゃあ、これで手打ちにしようぜ。最初に捕まえたスクルズの姐ちゃんだけでいいや。俺はそういう異教徒の清楚で敬虔な美人巫女を調教して淫女に仕立て上げるのが大好きでな。ほかの二匹は置いていくよ。それでお互いに分かれようぜ」
ナンがくすくすと笑った。
異教徒か……。
彼がエルニア人なのはほぼ確かだろう。そのエルニアの国教は、クロノス信仰ではなく、ヤエフ教という特有の一神教だ。
ヤエフ教徒から見れば、当たり前のクロノス信仰も異教徒扱いなのか……。
「冗談じゃないわよ。そもそも、あんたは逃げられると思ってんの?」
エリカだ。エリカが構えているのは細剣である。
「まったくだよ。ロウにいろいろとやられて、これ以上ないくらい苛立っているんだよ。しかも、時間がないからって、こんな姿で送り込まれてね。さっさと捕まえて帰りたいんだ。大人しくしな」
そして、ミランダ。
本来のミランダは小柄なミランダの背丈ほどの二本の大斧が武器だが、いま持っているのは右手に一本だけだ。
しかも、手斧のような小さなものだ。
おそらく、狭い建物内では、振り回すような大きなものは邪魔になるので、それにしたのだろうと思う。
「そういえば、お前の会話を聞いてたから、一言教えておくけど、この淫乱元巫女を淫女に調教したいって言うけど、こいつはとっくの昔に、すでに淫女よ。アナルセックスだって別に初めてじゃないわ。ねえ、スクルド? ご主人様にお尻を犯されるのは好きよね?」
コゼが笑った。
「まあ……そうですね。淫女であることは認めますわ」
スクルドは応じた。
「はあ、冗談だろう?」
「冗談なわけないでしょう。あたしたちの仲間の中でも、一、二を争う淫乱女よ。ご主人様に毎日犯される生活がしたくて、死んだふりして巫女をやめたのに、それを清楚で敬虔だと思うなんて、あんたって、女を見抜く力ないわねえ」
コゼが笑う。
そのコゼは両手に短剣を構えている。
ほかにも、マーズとシャングリアは剣──。
イットは、いつものように武器は持たずに、両手から刃物のように長くなった爪を出している。
全員が色っぽい下着姿なのは、本当に夕方の婚姻式の準備の最中に、ここに送り込まれたのだろう。
申し訳ないことをしたと思う。
そして、ふと気がついた。
目の前のコゼをよく見れば、下着に包まれている身体が真っ赤に火照ったようになっている。
また紐で結ぶ下着に包まれている股間はすでに濡れていて、ぷんと女の匂いがするだけでなく、隙間から愛汁が内腿に垂れてもいる。
よく見ると、ほかの五人の状態も同じような感じだ。
そういえば、ロウの悪戯で、この六人は壮絶な焦らし責めを朝まで受けていたのだ。
疲労と睡眠不足については改善回復をしてもらったはずだが、肝心の暴れ狂う性欲の疼きだけは放置されているはずだ。
しかし、そのまま、送り込まれたのだろう。
改めて観察すると、六人とも、なんとなく腰がふらついている感じもする。
大丈夫だろうか……。
「もしかして、ご主人様も、状況をご存じなのですか?」
スクルドはなんとなく訊ねた。
「知ってるわ。だから助けにきたんでしょう──」
エリカは応じた。
そして、スクルドは、やっとこの建物の隅の空間に、移動術の魔道紋が浮かんでいることに気がついた。
あの魔道紋を通じて、ほかの場所のどこかに繋げられたままみたいだ。多分、ロウたちがいた王宮の控室かどこかに違いない。
その移動術の出入り口を守るように、大型のマーズが武器を持って構えている。
「さあ、観念しなさい──。この破廉恥魔──」
エリカがナンに跳びかかる。
「おっと──。ところで、あんた魔道遣いだな?」
エリカの斬撃は稲妻のような俊敏な動きだが、ナンは焦った様子もなく、軽々と剣でエリカの細剣を受け流す。
そのナンの手がエリカの身体に伸びた。
「エリカさん、身体に触れさせてはだめえ──」
スクルドは絶叫した。
だが、そのエリカとナンのあいだに、跳躍したイットが割り込む。
「しゃああ──」
イットの爪が剣を握るナンの腕に伸びる。
「ちっ──」
舌打ちしながらナンが跳躍して退がる。
今度は、そこにミランダが飛び込む。
「おっと」
ナンが剣でミランダの斧を受けながら横に跳ぶ。
だが、今度は距離を詰めたシャングリアが待っていた。シャングリアの剣が一閃する。
だが、ナンの身体は宙を飛んで、それを避けた。
それにしても、エリカたちも凄まじいのだが、その剣戟を簡単に防げるナンも動きはすごい。
スクルドも、あんなに速く動ける男に接するのは初めてだ。
「いまよ、イット──」
エリカが叫ぶ。
そのときには、すでにイットは天井近くまで跳びあがったナンに飛び込んでいた。
「そらよ。俺の気功支配が、魔道士限定だと思ったか?」
だが、一瞬天井に張り付くようになったナンがその天井を蹴って逆にイットに飛び込む。
イットの爪がナンの胸に伸びた。
だが、ナンは両腕を身体の前に置いて、それを受けた。
「うわっ」
体当たりされたイットがそのまま、床に叩きつけられる。
体勢を崩したイットの眉間をナンが指で突く。
また、ナンの腕の袖がイットの爪で切断されて、両腕が露わになったが、その両腕には、金属の覆いが巻き付けられていた。それでイットの爪を受けたのだろう。
「獣人、桃源郷に行ってきな」
ナンが笑いながら、イットの尻尾に手を伸ばす。
そのナンをイットが蹴り飛ばした。
「うがあっ」
ナンが壁に叩きつけられて呻き声をあげた。
そのナンに向かって、起きあがったイットがさらに跳ぶ。
だが、ナンは横に跳んで、それを避けた。
「な、なんで、気功が効かねえんだよ──」
ナンは蹴られた腹を押えてしかめ面をしている。
「知らない──」
イットが執拗に追いかけて斬り込む。
今度はナンは剣でそれを受け、剣の柄でイットの顔をぶん殴った。
「イット──」
庇うようにミランダが前に出てきた。
ナンの足がとまり、距離をとる。
「ちょろちょろとしつこいわねえ──」
そこにエリカが飛び込む。
「こっちのセリフだ、下着女ども──」
また、ナンが天井に跳ぶ。
今度は天井を駆けて、エリカの後ろに跳び込み、移動術の魔道紋の前に立っているマーズに向かった。
懐に手を入れて、なにかを投げ込むとしているように見えた。
ナンも、その魔道紋に気がついていたのだ──。
「なに隠しているの──?」
驚いたことに、スクルドたちの前に立って、ずっと守るようにしていたコゼが一瞬にして、ナンに距離を詰めている。
ナンは宙で身体を捻って避けたが、そのコゼの短剣がナンの腕に当たり、手首から先が跳んだ。
その手首の手には、白い球体のものがあった。
「エリカ──」
「わかっている──」
コゼが離れながら叫び、エリカがその手首に向かって魔道を放ったのがわかった。
次の瞬間、手首が丸い球体ごと大爆発を起こして、部屋に轟音が起きる。だが、エリカが防護魔道のようなもので手首ごと包んでいて、爆発はその小さな一角だけで収束した。
「痛てええなあ──。なあ、エルフのお嬢ちゃんよ。もう一度、魔道を放ってくれよ。いまのは捕まえそこなった」
右の手首から先を失ったナンだったが、噴き出した血はすぐにとまった。なんらかの方法で血の流れを制御して止血したのだろうか。
ナンは左手に剣を持ち換えている。右手首から先を切断されたというのに、まだまだ軽口を言うほどに余裕がある。
だが、そのナンをエリカたち六人が完全に囲んだ。
ナンの顔から笑みが消えた。
「仕方ねえ……。出直すぜ」
その身体の前に魔道紋が薄っすらと出現したのがわかった。道術士と自称していたから、ナンは自分の術をそう呼ばないのかもしれないが、原理は魔道と共通するのだろう。
スクルドは魔道紋が現れたことを叫ぼうとしたが、そのときにはイットがナンに飛び込んでいた。
ナンが避け、イットの爪は宙を払う。
だが、それで紋様が切断され、宙の魔道紋が飛散して消滅する。
「くそっ、俺の式紋が──」
ナンが退がりながら、また紋様を宙に浮かべた。
だが、すでにコゼが詰めている。
宙に浮かびかけた紋ごと、ナンの胴体を短剣で払う。
血しぶきが飛ぶ。
「くっ」
ナンの片膝が折れた。
そこに再びシャングリアが斬り込む。
剣でシャングリアの斬撃を受けたナンがシャングリアの腹を蹴る。
シャングリアは数歩退がっただけで、大して体勢は崩れていない。
ナンが前に出る。
そこに、イットとコゼ──。
ふたりの爪と短剣が左右がナンに向かう。
だが、今度はナンが避けることなく、イットの爪に自ら右手の二の腕を差し出すように前に出した。
ナンの腕がすっ飛ぶ。
「えっ_」
一瞬だけ、イットが驚いたように硬直したのがわかった。
その隙を逃さずに、ナンがイットの背中にまわる。
イットが盾になったために、コゼの攻撃が途中で止まる。
脱兎のごとく、ナンが女たちの包囲の外に出ようとする。
「行かせないわ──」
ミランダが立ちはだかった。
そのミランダに向かってナンが切断された側の腕を振り、まとまった血をミラだの顔に飛ばす。
「うあっ」
血しぶきがミランダの顔にあたり、ミランダが怯んだ。
ナンはそのミランダを攻撃せず、そのまま横を走り抜けた。
「しまった──。追って──。ミウ──。こっちに──」
エリカが叫びながら走る。
すでに、片腕を付け根近くから失ったナンは、反対側の壁だ。
そこには誰もいない。
宙に紋様が出現して、ナンがそれに飛び込んで消える。
「来ました──」
ミウだ。
マーズが守っていた移動術の紋様から飛び出してきたのだ。
向こう側で待機していたに違いない。
「あの魔道紋に魔道を撃ち込んで──」
エリカの言葉が言い終わるよりも早く、ミウの身体から放出された魔道波がナンの魔道紋に吸い込まれる。
その瞬間、魔道紋ごとなにもなくなった。
「どうなった?」
シャングリアだ。
すると、エリカが残念そうに首を振る。
「逃げられたわ……。多分……」
全員が集まった。
スクルドも、ベルズをそっと床に置いて、ナンが消えた場所に行く。ベルズもそうだが、ノルズもナンの性感攻撃に遭って意識を失った状態になっているのだ。
すると、やって来たスクルドの首からエリカが魔道封じの首輪を外した。
スクルドの中の魔道が制御を取り戻したのがわかる。
「跳躍先を追える、スクルド?」
エリカがこっちを見た。
しかし、スクルドは首を横に振るしかなかった。
完全に魔道紋の残痕はなくなっている。これでは追いようもない。
「申し訳ありません。無理です……」
スクルドは頭をさげた。
「……まさか、逃げおおせるとはね」
後ろから声がした。
「ロウ様──」
「ご主人様」
「ロウ──」
一斉に振り返った感じになった。
そこにいたのは、ロウだ。
ミウとマーズが守るように横にいる。
さっきミウが飛び出してきた移動術の魔道紋から出てきたのだろう。
「申し訳ありませんでした」
ちょっと項垂れた感じにエリカが頭をさげる。
だが、その頭にロウが優し気な感じで手を置く。
「まあ、お前ら全員かかって逃げられたんなら仕方ないさ。怪我がなくてよかった。但し、約束は約束だ。守ってもらうぞ」
そのロウがエリカをはじめ、女たちに白い歯を見せた。
すると、エリカたちの顔が引きつったようになった。
スクルドは首を傾げた。
「あ、あのう、申し訳ありませでした……。不甲斐なくて……」
それはともかく、スクルドはとにかくロウに謝った。
あんなわけのわからない男に、唇を奪われ身体を自由にされてしまったのだ。犯されなかったとはいえ、スクルドは罪悪感で一杯だ。
すると、お尻を思い切り、ロウに叩かれた。
容赦のない打擲であり、ほとんど服をナンによって剥ぎ取られていたスクルドは、生尻を直接に平手で打たれて、思わず顔をしかめてしまう。
「そうだな。不甲斐ないな。だが、残念ながら、たまたま今夜は時間がない。お仕置きはお預けだ。そこで伸びているベルズとノルズ、それに、ウルズも含めて、明日にはお仕置きセックスの時間を作る。覚悟しておけ。ああ、もちろん、ウルズはお仕置きをする俺の手伝いな」
ロウが笑った。
スクルドは心の底からほっとした。
無理矢理で防げなかったとはいえ、スクルドはロウではない男に肌を見られ、間接的とはいえ、好きなように身体を弄ばれた。
ロウから見限りられはしないかと心配だったのだ。
まあ、見限られかけたとしても、離れるということはないのだが……。
「は、はい、わかりました……」
スクルドはもう一度頭をさげた。
すると、突然、激しい尿意が襲い掛かってきた。
いや、そんな生易しいものじゃない。
破裂寸前の限界を遥かに越えた尿意だ、
「ひあああっ」
スクルドは悲鳴をあげて、その場で両手で股間を押えて崩れ落ちしてしまった。
だが、なぜかおしっこが出ていない。
いや、我慢しようとは思ったが、そんなことが不可能だとわかる尿意だったのだ。それなのに、まるで尿道が封鎖されたように外に出てこない。
そして、さらに不思議なことに、だんだんと尿道が熱くなるような……。
いや、勘違いじゃない……。
得体の知れない疼きが下腹部、特に、尿道付近に襲い掛かってきている。しかも、むず痒い……。
「ああ、なんで……」
スクルドは泣き声をあげていた。
「それはそうだろう。明日にちょっと厳しく調教されるくらいじゃ、不甲斐なかったことのお仕置きにはならんだろう。ノルズとベルズはともかく、スクルドは罰の付け足しだ。尿道調教だ。おしっこ袋と尿道を徹底的に調教してやろう。それこそ、小便するたびによがるようなくらいにね。手始めに、明日まで強力媚薬を充満しておけ。頑張っても尿道は封鎖したから漏らすことはない。明日まで、媚薬の液体をたっぷり膀胱と尿道に充満させて愉しんでくれ」
蹲るスクルドの上からロウから声を浴びせられた。
この途轍もない尿意を明日まで……。
考えるだけで気が遠くなりそうだったが、一方でそれを悦んでいるスクルドがいる。
ロウはスクルドを見限ってない。
だから、調教してもらえる。
それを思うと心の底から嬉しい……。
でも、この媚薬と尿意は……。
「ロ、ロウ、頼むよ。せめて下着くらいないと、あの婚姻のドレスは……」
そのとき、横でミランダが泣きごとのような物言いでロウに話しかけた。
「そ、そうです。せめて、この下着くらいは……」
エリカだ。
よくわからないが、さっき、ロウと取引きのようなことをした物言いだったので、あのナンを取り逃がしたことで、なにかの条件をエリカたちが受け入れざるを得なくなったということだろうか……。
「いや、今回は俺としては、かなり条件を緩和したつもりだぞ。ちゃんとあのナンを捕まえられたら、下着を許可するつもりだった。でも、できなかったんだから、受け入れてもらう。準備した婚姻ドレスを全員が下着なしで直接肌に触れるように着てもらう。約束通りにな」
ロウがきっぱりと言った。
よくわからないが、そのロウの言葉に、今夜婚姻式をあげる予定の六人が一斉に嘆息するのが聞こえた。