※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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 第18話  漆黒の艶本と妖魔将軍
109 おしっこ我慢競争


「ああ……」

「う、うう……」

「んっ、んんっ……」

 

 革帯で腰の括れの後ろ側で両腕を揃えて拘束されているエリカ、コゼ、シャングリアの三人がそれぞれのむき出しの股間を震わせながら、何十回目かの呻き声をあげた。

 

 幽霊屋敷と称されている王都ハロルドにおける一郎たちの住まいの一階のホールだ。

 ミランダから課せられた強制クエストと、その後のミラノ城郭における温泉休暇も終わり、やっと屋敷に戻って来た最初の夜になる。

 なんだかんだと、戻って来るのは半月ぶりくらいだ。

 

 昼過ぎに戻ったとき、ずっと一緒だったスクルズとは、この屋敷の前で別れて、クエスト完了のミランダへの伝言をそのスクルズに託した。よくわからないが、ミランダからは、強制クエストとともに、帰還してもギルドには立ち寄らずに、伝言だけを寄越せと指示を受けており、それでスクルズにお願いしたのだ。

 スクルズは快く引き受けてくれ、さっき移動術で戻って来て、ミランダからの感謝の言葉と報酬、そして、やはりしばらくギルドには立ち寄らないでくれというミランダからの返事を置いていった。

 たったいま、そのスクルズも神殿に帰ったところだ。

 あれから、半月経つが、一郎たちに、ギルドに近づいて欲しくない理由はまだ、なくなっていないようだ。

 そろそろ、訊きに行った方がいいのだろうか……。

 

 それはともかく、丁度スクルズが伝言を持って戻る直前くらいから、帰宅記念に気まぐれで開始していた遊びが、いま三人娘にやらせている「尿意我慢競争」だ。

 

 三人の首には天井から繋がる鎖につながる首輪が嵌めていて、三人とも立ったままの姿勢を崩せないようにしている。そして、それぞれの三人の足首には肩幅の倍ほどの長さの棒が挟んであり、その両端に足首を括っていた。

 一郎がやったことであり、つまりは、三人は一郎の前で、両腕を背中側で拘束されたうえに、素裸で首輪で立たされ、さらに大股開きを強要されているということだ。

 

「さすがは俺の女たちだな。よく頑張るじゃないか。やはり、それぞれ戦士として鍛えているだけあって、おしっこを我慢する股の力も強いようだ。並みの女ならこうはいかないだろう」

 

 一郎は女たちの正面に置いた椅子に腰かけて、苦悶の脂汗を流しながら、懸命に排尿を耐え続ける美女たちの姿を感心して眺めた。

 エリカたちにやらせているのは、限界を超えた尿意を与えておいて、排尿を我慢する競争だ。

 三人の膀胱には、一郎の淫魔師の力で、ぱんぱんになるくらいに水分を送り込んだ。普通なら、数瞬ももたないくらいの激しい尿意のはずだ。

 

 ところが、三人のうち一番早く脱落した者については、浣腸をしてみんなの前で排便の罰だと申し渡したところ、あの状態でありながら、三人は必死になって股の筋肉を引き締めて、お漏らしの我慢競争を始めたのだ。

 かれこれ、もう一ノスになる。一郎の昔の世界の時間感覚だと、小一時間というところだ。

 よくも、そんなに我慢できるものだと思う。

 それくらいの限界を越えた尿意のはずだ。

 

「く、くくっ……。そ、それにしても、ず、ずるいわよね……、あ、あの巫女……。こ、こんなときこそ、さ、参加すれば……い、いいのに……。お、おしっこ我慢競争と聞いたら……か、帰るなんて……」

 

 コゼが脂汗でびっしょりとなりながら、何回目かの同じような悪態をついた。

 さっきから、よく喋るが、その方が気が紛れるのかもしれない。

 ずっと一緒に過ごしていて、クエストで出る前も、毎日のように屋敷に訪問してきたスクルズだったが、さすがに半月以上も神殿を空けてあったということになれば、今夜は遊びには来れないらしく、さっき、ミランダからの返事をわざわざ伝えたら、すぐに戻ってしまった。

 そのことを言っているのだろう。

 

「仕方ないだろう。あれでも、忙しい身の上だ。それに、神殿のことじゃなく、俺の名義になる新しい家を探すことも引き受けてくれている。すぐにミランダの返事を運んで来てくれただけで、律義だとは思うけどな」

 

 一郎は言った。

 

「う、嘘です……。あ、あれは、例によってす、寸間を惜しんで、ご、ご主人様に抱いてもらいにき、来たんですよ──。で、でも、こ、こんなこと、してたから、慌てて帰ったんです……。あ、あいつは、そんな狡いとこ、あ、あるから……」

 

 コゼががちがちと歯を鳴らしながら言った。

 あまりもの尿意で口元も震えるみたいだ。

 

「そうなのか?」

 

 一郎はエリカとシャングリアに訊いてみた。

 ふたりも首を縦に振る。

 

「コ、コゼの言う通り……で、です……。い、いつもの微笑みを、う、浮かべてた、たけど……。か、顔色が、か、変わりましたから……」

 

「そ、そうだ……。そ、そうだよ……」

 

 エリカとシャングリアも言った。

 ふうん……。

 そうなのか……。

 

 まあ、それにしても、出逢って最初こそ、王都神殿の高位貴族にも匹敵する身分の王都大神殿の筆頭巫女ということで、遠慮のようなものがあった三人だが、さすがに、もはや、そんな態度は皆無だ。

 この旅ですっかりと打ち解けて、スクルズのことは呼び捨てだし、いまも、かなり辛辣に不満を言っている。

 一郎は思わず笑ってしまった。

 

「だったら、今度来たときに、スクルズにも同じことをしてもらうか……。いずれにしても、そろそろ出すだろう。シルキー、三人の前に皿を置いてやれ」

 

 一郎は、傍でにこにこしながら、エリカたち三人がおしっこを我慢している姿を眺めている屋敷妖精のシルキーに声をかけた。

 外見は十歳くらいのかわいらしい童女姿のシルキーは、実は人族でなく妖精族だ。屋敷内に限ることなのだが、魔道を自在に操り、さまざまな家事を一手に引き受けている。一郎が屋敷で行うエリカたちへの「調教」の手伝いも、主人に仕える屋敷妖精としての務めらしく、いつも喜々として手伝ってくれる。それだけでなく、なぜか一郎の精を与えることで、人族の女と同じように性行為による快楽を受け入れることができる体質に変化し、時には一郎もシルキーを抱いて絶頂による性的満足心を与えてやっている。

 

 そんなときには、シルキーは人間の女と同じで、あられもなく快楽の酔いしれる仕草を示す。もっとも、十歳くらいにしか見えない童女メイド姿のシルキーだが、男女の交わりをするときに味わえる童女らしからぬしっかりと発達している女性器には、やはり、人族ではないのだと思ったりする。

 

 また、今回、ブラニーというもうひとりの屋敷妖精と出逢ったことと、紆余曲折あり、この屋敷の隠れ蓑となる王都内の家をスクルズに買ってもらい、そこにブラニーが移ってくることについては、シルキーに教えた。

 シルキーは、自分以外の同胞と聞いて驚きもしていたが、その屋敷とはスクルズに頼んで、出入り自由となる移動ポッドで繋いで、事実上ひと繋がりの屋敷のようになるのだと説明すると、かなり喜んでいた。

 いまから、ブラニーに会えるのが本当に愉しみだと、無邪気そうに破顔した表情を一郎たちに見せてくれた。

 

「はい、旦那様……。では、皆さん、頑張ってくださいね」

 

 そのシルキーが三人の女たちの股下に一個ずつの金容器を置いていった。金容器には小さな脚があり、三人の脚のあいだにある棒を邪魔することなく、床に置くことができる。

 三人がそれぞれに、恥ずかしがる表情と仕草を示した。

 その恥辱に歪む様が、一郎の嗜虐心をさらに大きく燃やす。

 それで、さらにからかいたくなった。

 

「それとも、女戦士らしく、勢いよく前に飛ばせる者がいるか? いたら、浣腸の罰ゲームは免除してやるぞ」

 

 一郎はそう言って、椅子から立ち上がると、シルキーが置いた金容器を全部前にずらし置いた。

 

「わっ、ま、待ってくれ、ロウ。そ、そんなに飛ぶわけないだろう。真下だ。真下に置いてくれ」

 

 すると、シャングリアが真っ先に正直な反応をした。

 一郎は笑って、シャングリアの容器を元に戻してやった。

 

「ほかのふたりは、どうするんだ? このままでいいのか? それとも股の下がいいのか?」

 

 一郎は椅子に座りなおしながら言った。

 

「……も、もう……げ、限界……。ゆ、床を汚してしまいます……」

 

 今度は脂汗まみれのエリカがか細い声を出した。

 

「床なんか、どんなやり方でも汚れるだろう。気にするな、エリカ。汚れたものはシルキーがきれいにしてくれるさ。最初に粗相したものが受ける浣腸による排便もな」

 

 一郎はそう言って、椅子の横に置いている台から棒付きの羽根を手に取る。

 それで、まずは、ぶるぶると小刻みに震えているエリカの内腿をくすぐってやる。

 

「ひいっ、ひっ、ロ、ロウ様──。わ、わたしだけ、ひ、卑怯……。んふううっ」

 

 エリカが緊縛された全身をゆすぶって羽根を避けようとする。

 だが、縛られた身体では、逃げるといっても限界がある。それに、あまり動くと、限界まで耐えている尿意が堰を切ってしまうのかもしれない。

 そんなに抵抗は激しくない。

 それをいいことに、一郎はさらに羽根をエリカの股間そのものに這わしてやった。

 エリカは、一郎の命令により毎日、欠かさず自ら剃毛をしている。さすがに例のクリピアスを刺激するのは勘弁してやったが、無毛の恥丘に一郎の操る羽根が這うと、エリカは泣くような奇声をあげ始めた。

 

「次はシャングリアだな。エリカだけだと不公平だしな」

 

 しばらくエリカの狂乱を愉しんでから、一郎は今度はシャングリアの股を同じように羽根でくすぐった。

 

「ふうっ、ふっ、んんんんっ」

 

 シャングリアは白い喉をのけぞらせて、ぴんと身体を突っ張らせた。

 そして、呻き声のようなものを出しながら、かちかちと歯を鳴らす。

 そうやって、歯を噛み鳴らしながら、シャングリアは一郎の羽根くすぐりに耐えた。

 

「次はコゼだ」

 

 次に一郎はコゼに向かって、羽根を移動する。

 そのとき、コゼが口を開いた。

 

「……さ、さっきのは、ほ、本当ですか……?」

 

「さっきの?」

 

 一郎は首を傾げた。

 

「よ、汚しても……いいということと……、ま、前に出すことが……できたら、浣腸は……免除……ということです」

 

 コゼが荒い息をしながら言った。

 

「そんなことができるのか?」

 

「で、できます」

 

 すると、コゼは大きく腰を前に出すような恰好になった。

 次の瞬間、突然に激しい放水がコゼの股間から噴き出す。

 

「へえ」

 

 一郎は感嘆してしまった。

 コゼの出す放尿は、かなりの量を床そのものにまき散らしているが、一方で確かに尿の先端は、さっき一郎がふざけて離した金容器に届いている。

 これには、シャングリアとエリカも呆然とした顔をしている。

 

「お、終わりました……。はあ、はあ、はあ……」

 

 コゼのそんな「放尿芸」が終わった。

 一郎はシルキーにコゼの首輪を外して、拘束を解くように指示した。

 コゼがその場にくたくたと座り込みそうになったが、自分の尿でびっしょりとその場の床が濡れていることを思い出したのか、途中でやめて中腰で動きを止める。

 

「な、なんで、そんなことができるのだ? ロ、ロウがやり方を教えたのか?」

 

 まだ、目を丸くしているシャングリアが声をあげた。

 

「……だ、だったら、こんなにつらい気分にはならないんだろうけどね……。あたしに、こんなことをやらせたのは……」

 

 コゼが口元だけで笑うように顔を歪めて、シャングリアを見た。

 一郎ははっとした。

 

 一郎と出会う前のコゼは、国境の城郭の分限者の奴隷であり、その分限者の「奴隷の支配」により、アサシンとして使われる一方で、分限者の部下の男たちの慰み者にされていたのだ。

 その悲惨な生活の中でコゼは様々な性的虐待を受けていた。

 立小便で尿を前に飛ばすというような破廉恥なことも、そいつらに強要されて覚えたことなのだろう。

 一郎はすかさず、コゼに声をかけた。

 

「コゼ、来い。ご褒美だ。そのままでいい。犯してやる」

 

 一郎の大きな声に、コゼは一瞬きょとんとしてこっちを見たが、すぐに嬉しそうに相好を崩した。

 それでも、排尿をしたままの股間を犯されるというのは躊躇があるのか、ちょっとじっとしたままだったが、一郎がもう一度声をかけると、今度はいそいそとやって来る。

 

「尻をあげて、後ろを向け」

 

 途端に、コゼが床に四つん這いになり、尻を一郎に向ける。

 一郎はズボンをおろすと、両手でコゼの尻たぶを左右に開くようにしながら、怒張の先端でコゼの菊門を撫ぜるようにしてやる。

 

「あっ」

 

 それだけでコゼは、我に返ったような悲鳴もどきの嬌声をあげた。

 

「ちゃんと、きれいにしてあるな?」

 

「は、はい。お、お言いつけのとおり……」

 

 コゼが声を詰まらせながら言った。

 ほかのふたりには、あまりやらないが、コゼとは頻繁にアナルセックスを愉しんでいる。

 それでコゼには、毎日欠かさず尻の穴をきれいにしておけと、専用の洗い粉を渡している。

 一郎は怒張の先端をコゼの尻穴に潜り込ませた。

 

「あううっ、んふううっ」

 

 コゼのアナルに一物を挿入する直前に、一郎の性器はたっぷりの潤滑油でまとわれる。

 それも淫魔師としての特殊能力だ。

 しかも、今はただの潤滑油ではなく、コゼが泣き狂うような強烈な媚薬にしてやった。

 昔のことを思い出しかけたときは、それを忘れるような強烈な調教と快感を与えてやらなければならない。

 さもないと、コゼは惨めだった少女時代のことを思い出して、暗い心の闇に自分を埋没させてしまうのだ。

 

「ああ、お、お願いします、ご主人様。お、お願い……」

 

 コゼが絞り出すような声とともに、全身をおののかせた。

 やめて欲しいと願っているのか……。それとも、もっと快楽を与えてくれとお願いしているのか……。

 しきりに、「お願い」という言葉を使うコゼに、一郎は苦笑した。

 そのあいだに、一郎の怒張はしっかりとコゼの尻を深々と貫いた。

 

「いくぞ」

 

 声をかけて、今度はゆっくりと一物を抜いていく。

 そして、先端まで出かかるところで、また抽入する。

 それを繰り返す。

 すぐにコゼは狂乱を示し始める。

 やがて、コゼは身体を震わせて、オルガスムスの声を張りあげた。

 一郎はしっかりと精をコゼの尻に放ってから、おもむろに一物を抜いた。

 コゼがくたくたと一郎の前で脱力して、身体を横倒しにする。

 一郎はそんな姿に苦笑して、やっとエリカとシャングリアに視線を戻した。

 

「さて、ところで、負けるのはどっちかな? そろそろ、決着はつくか?」

 

 すでに、あまりの排尿の我慢に、ふたりは半分朦朧としている状態になっている。

 

「ああっ」

 

 そのとき、突然に大きな声がエリカの口から迸った。

 ついに我慢できなくて放尿をしたのだ。

 間髪入れずに、シャングリアの股からも尿が飛び出す。

 ふたりの女戦士の開いた股間から激しく尿が落ちていく。

 ふたりの尿はコゼとは異なり、真下の床に垂れ落ちている。金容器を遠くに置いたままだったエリカなど、一滴も容器には入っていない。

 そして、やっとふたりの羞恥の立小便が終わった。

 

「お掃除をいたします」

 

 シルキーが言った。

 すると、たちまちに三人のこぼした尿など、存在しなかったかのように乾いた床に戻る。

 本当に便利なものだ。

 

「シャングリアは勝ち抜けだな。さあ、エリカは約束だから、みんなの前で浣腸と排便だ」

 

 一郎はシャングリアの縛めを自ら解きながら言った。

 

「う、うう……」

 

 エリカはがくりと首を垂れた。

 

「……さて、じゃあ、今夜はエリカを中心に浣腸プレイで愉しむかな。そうだ。せっかくだから、この屋敷の前の主人が遺した淫具を使ってみるか。シルキー、持ってきてくれ」

 

 一郎は屋敷妖精に言った。

 「浣腸プレイ」はあまり数はやらないが、三人とも死ぬ気で嫌がるから、時折エリカたち三人を相手に、こうやって罰ゲームとしてやったりする。

 そんなときは、彼女たちの排便や排尿の感覚を一郎は淫魔術で好きなように操れるから、大抵は手軽に淫魔術で排便感覚を与える。だが今夜は、なんとなく実際に浣腸器を使ってみたくなったのだ。

 

 この屋敷の前の主人は嗜虐趣味であり、その手の淫具や艶本が、屋敷の庭にある霊廟の中に山のように蓄積してある。

 一郎と屋敷妖精のシルキーがそれを見つけたのは、一郎たちが、この屋敷に初めてやってきたときだが、いまはシルキーにすべてを管理させている。

 シルキーは屋敷妖精としての魔道により、屋敷のどこからでも、瞬時に霊廟にある淫具を取り出すことができる。

 だが、シルキーは小首を傾げた。

 

「どの浣腸器をお持ちしましょうか、旦那様?」

 

「迷うほど、あるのか?」

 

「あります。例えば、管に薬液を入れてシリンダーを押す形式のものだけでも、大きさや材質により十種類以上あったと思います。それから、お尻に管を刺して、上から吊った大きな容器から液剤を入れるものもありました。ほかにも、魔道の刻まれたものもありますし、固形浣腸もございました」

 

「そんなにあるのか? ところで、固形浣腸とはなんだ?」

 

「肛門栓のようなかたちであり、それをお尻に入れるのです。だんだんとそれが溶けて、浣腸剤として体内に注入されます。そういえば、前の旦那様は、時折、それを奥様に施してから城郭に連れてお出かけになったりされていました」

 

 シルキーが懐かしそうに言った。

 この屋敷の夫婦は愛し合っていたようだが、そんなSM遊びをずっとやっていたような仲だったのだ。シルキーもそんなふたりに付き合って様々な性経験をしている。

 それらは、シルキーにとって、大切な思い出のようだ。

 

「なにか、浣腸の希望はあるか、エリカ?」

 

 一郎はいまだにひとりだけ大股開きで拘束されたままのエリカに声をかけた。

 

「も、もう、好きなようにしてください……」

 

 エリカはそれだけを言った。

 

「じゃあ、みんなで見に行ってみよう」

 

 一郎は言った。

 そして、シルキーを含めて、五人で庭にある霊廟に向かうことになった。

 コゼとシャングリアには裸身に羽織るローブを許したが、エリカだけは後手縛りの素裸のままだ。

 これからみんなの前で浣腸をされて、排便姿を晒さなければならないエリカは、すっかりと意気消沈している感じだが、反面、もう諦めている様子でもある。

 それほど抵抗することなく、みんなとともに霊廟までやってきた。

 

 霊廟の扉をシルキーが開く。

 外観は霊廟だが、内側は前の主人の膨大な嗜虐の淫具の蒐集品だ。

 広い壁一面の棚にびっしりと淫具や艶本が並べられている。

 その壮大さは、眺めるだけでも圧巻だ。

 久しぶりにここにやって来た一郎は、改めて、その数と種類の膨大さに感嘆の息を吐いた。

 

「ここが浣腸器が集められている場所だと思います」

 

 シルキーが奥の棚の一画を一郎を示した。

 なるほど、そこにはかなりの種類の浣腸器が並んでいる。

 シリンダー式だけでもかなりあるし、一郎の元の世界では、「イルリガートル」と呼んでいたものや、「エネマシリンジ」もあった。

 その横は浣腸栓だ。これもたくさんある。

 一郎はなんとなく、その中で魔道の紋様のある一個を手に取った。

 すると一郎がぐっと力を入れると、それがいきなりぶるぶると振動をし始めた。

 

「なるほど、排便に耐えようと思って尻穴を締めると、振動をする仕掛けか。面白いな。これも試してみるか、エリカ?」

 

「あ、あんまりいじめないでください、ロウ様」

 

 ひとりだけ素裸のエリカが泣きそうな顔で言った。

 可愛いエリカの反応に、一郎は思わず微笑んでしまう。

 

「だったら、片っ端から試したらいいんじゃないですか、ご主人様」

 

 コゼが横から言った。

 

「よ、余計なことを言わないでよ、コゼ」

 

 すると、エリカが憤慨の声をあげた。

 

「そうだな。そうするか」

 

 一郎も笑う。

 エリカの顔が蒼くなり、その表情が強張るのがわかった。

 

 そのとき一郎は、浣腸器群の横にある棚に、ほかとは違って、ただ一冊だけの本が置かれたひとつの棚があることに気がついた。

 ほかの棚はぎっしりと物が置いてあるのに、そこはただ一冊の本のために、ひとつの棚を使っている。

 それだけで、その本が前の主人にとって、特別のものだとわかる。

 本の表面は漆黒だ。

 何気なく手に取る。

 表題のようなものはない。

 だが、本を開こうとすると、なぜかページを開けることができない。

 

「な、なんだ、これ? 開かないぞ」

 

 一郎は強引に本を開こうと、力を入れながら言った。

 特に鍵などしているわけでもないが、なぜか開かないのだ。

 

「ああ、それは、なんでしょうか? わたくしめも不思議に思っていたのです。なにかの不思議な力が加わった本のようですが……」

 

 シルキーが言った。

 

「魔道の刻まれた本か、ロウ?」

 

 シャングリアだ。

 そのとき、エリカがこちらを覗き込んできた。

 

「魔道……? いえ、これは魔道の魔力……ではないと思います。もっと、違う別の何かの力のように感じます。とても似てますが……」

 

 だが一郎は、そのエリカの言葉で、この本に加わっている不思議な力の源がなんであるかを悟ることができた。

 

「これは淫気だ。つまり、淫魔力で封印されているようだ」

 

 一郎は目の前の漆黒の本を眺めて言った。

 最初に見ただけでは気づかなかったが、改めて眺めると、一郎の身体に充満している淫魔師としての力と同じ波動をこの本に感じる。

 間違いないだろう。

 

 淫魔師としてこの世界に覚醒した一郎は、淫気、あるいは、淫魔力と呼ばれるエネルギーを源として、接した女体を性奴隷にしたり、その心や身体を自在に操れるという不思議な力を手に入れた。

 最初は不慣れだったこの能力も、最近ではだんだんと自在に操れるようになってきてもいる。

 だから、淫気をうまく駆使すれば、女を操るだけではなく、この世界の魔道遣いが魔道を遣うのと同じような、様々な技を駆使できることを知っていた。

 この本は、そういう力で封印されたものなのだろう。

 

「い、淫気ですか? だ、だったら、ロウ様の力で封印を解除できるのではないですか?」

 

 エリカが口を挟んだ。

 一郎は、そのエリカの必死そうな様子に、思わず吹き出しそうになった。

 淫気に封印された本など得体のしれない内容のものに決まっている。しかも、嗜虐好きだったこの屋敷の前主人が、夥しい数と種類の淫具の蒐集の中で、特に大切そうに置かれていた一品だ。

 中身なんて開かなくても、その内容が艶本だろうというのはわかりやすい想像だ。

 しかも、ただの艶本ではなく、おそらく嗜虐本だろう。

 嗜虐趣味の前の主人が、大切そうに保管をしていた書物というのがどんな内容のものなのか、一郎も大いに興味がある。

 

 だが、真面目であまり羽目を外すようなことはしないというのがエリカの性質だ。

 いつものエリカなら、そんな書物に自分から関心を示すような態度をとることはない。

 それにも関わらず、エリカが艶本に対して積極的な態度をとっているのは、思わぬ品物を見つけたことで、一郎の興味がそれに向きそうなことを悟り、懸命に一郎の関心をエリカへの浣腸責めからそっちに向けようとしているのだろう。

 エリカの魂胆はわかりすぎるくらいに見え見えだ。

 もっとも、逆にそんなエリカがかわいらしくて、とても愛おしいのだが……。

 一郎は、エリカの胸に片手を伸ばすと、ぎゅっと乳房を鷲掴みにした。

 

「わっ、あんっ、んんっ」

 

 エリカが真っ赤な顔になって身体をのけぞらせる。

 しかし、エリカは、この霊廟に集まっている者の中で、ただひとり服を身に着けることも許されずに後手を革帯で拘束されている。

 一郎の蹂躙に対しても、大した抵抗もすることもできずに、身をよじらせて身体を震わせるだけだ。

 

「そんなに浣腸がいやか、エリカ? だったら、俺の愛撫に抵抗をしてみろ。俺の愛撫に耐えきったら、浣腸を勘弁してやってもいいぞ」

 

「ほ、本当ですか?」

 

 すると、エリカが大きな声をあげた。

 

「ああ、本当だ」

 

「わ、わかりました」

 

 エリカが歯を食い縛った。

 どうやら、本気で一郎に対抗しようというようだ。

 一郎はほくそ笑む。

 とりあえず本を棚に戻して、まずは後手縛りのエリカを引き寄せた。

 そして、右手で乳房をすくいあげるように動かしながら、左手で股間の亀裂をゆっくりと撫ぜる。さらにエリカの顔をあげさせ、無理矢理に唇をこじ開けて、舌を絡みつかせる。

 

「んっ、んんっ、んふうっ」

 

 エリカが必死の様子で喘ぎ始めた。

 三箇所に一郎の愛撫を受けながら、それでもなんとか感じてしまうのを防ごうと懸命のようだ。

 エリカのささやかな抵抗が、肌を通じて一郎に伝わってくる。

 

 だが、それは不可能なことだ。

 エリカたちは、まだ一郎のこの秘密は知らないが、一郎にはエリカのどこをどうやれば感じるのかということや、どのくらい性感が追い詰められているかということが、赤いもややステータスの数字で知ることができる。

 そんな一郎にとって、敏感なエリカの身体から絶頂に通じる快感を絞り出させるのは簡単なことだ。

 一郎の責めを拘束されたエリカが防げるわけがない……。

 

 口腔と乳房と股……。

 一郎はそれぞれの場所で、特に赤いもやの濃い性感帯を集中的に刺激した。

 

「んんっ、んっ、んんっ」

 

 エリカが身体を小刻みに震わせながら泣くような悶え声をあげる。

 すでに身体は真っ赤で、全身からは汗がにじみ出ている。

 

 “60”……“40”……“35”……。

 

 一郎の三箇所責めに、感じやすいエリカの快感値もどんどんとさがっていく。

 

「んんっ、いやっ、ああっ」

 

 やがて、エリカが顔を左右に激しく振って一郎の口づけから逃げた。

 三箇所責めを二箇所に減らして、少しでも快感をガードしようというのだろう。

 一郎の愛撫を拒否するのは、ルール違反ともいえたので、強引に口づけを続けることもできたが、一郎はあえて口中への刺激はそれでやめてやった。

 その代わりに、エリカの首に舌を這わせてやる。

 なんでもないような場所だが、一郎には、エリカのどんな場所だって、そこから性感を燃え立たせること可能だ。

 一郎が肩口を吸うことで、エリカの首筋が新たな性感帯として、ぱっと真っ赤なもやに包まれた。

 

「ううっ、あっ」

 

 エリカが上体を弾ませる。

 股間で動いている一郎の指に、どんどんとエリカの股間から漏れる愛液が絡んでくる。

 そして、首筋を刺激されることと連動して、さらに股間から滲む蜜がさらに増えてもきた。

 

「あ……はああ……、はああっ、あっ、ああっ」

 

 エリカの声が甲高くなる。

 こうなってしまえば造作もない。

 感じまいと懸命に歯を食い縛ろうとするエリカを翻弄するように、指を股間に滑り込ませてやる。

 エリカが腰をよじって逃げようとしたのは一瞬だけだ。

 一郎はエリカの膣の入口に近い上襞の膨らみをぐいと押して強く擦ってやった。

 

 それで終わりだ。

 エリカはまるで機械仕掛けの人形のように身体をぴんと跳ねあげた。

 

「んふうううっ」

 

 エリカが大きな声をあげる。

 その身体が一郎の腕の中で弓なりになる。

 快感値の数字は“0”──。

 エリカが呆気なく達してしまったのは明白だ。

 

「残念だったな、エリカ。やっぱり、罰ゲームだな」

 

「うう……」

 

 一気に高められた性感に腰を抜かしたようになってしまったエリカが、その場にくたくたとしゃがみ込みながら呻き声をあげた。

 

「馬鹿だな、エリカ。ロウの手管に耐えられるわけがないだろう」

 

「それでも頑張ろうとするのがエリカなのよ。でも、浣腸は受けようね。これで、二重の罰だものね」

 

 一郎がエリカをいたぶるのを見守っていたシャングリアとコゼがそれぞれに言った。

 エリカは荒い息をして項垂れたままだ。

 

「さて、ところで、この黒い本だな……。とりあえず、どんな事が書いてあるのか覗いてみるか。もしかしたら、愉快な責めの方法が書かれているかもしれないしな」

 

 一郎は再び、漆黒の書物に向き直ると言った。

 そして、自分の手首にある紋様を擦る。

 異界に封印されている魔妖精のクグルスを呼び出すための特異点を解放する動作だ。

 

 淫魔力のことなら、やはり、魔妖精のクグルスだ。

 魔妖精のクグルスは、まさに淫気を力の源にする妖魔であり、この世界の魔道遣いが魔力というエネルギーを遣って起こす魔道とまったく同じことを、淫気を遣って行うことができる。

 まだまだ、一郎はそこまでの淫気を操ることはできないが、淫魔力で封印された書物を解放することくらいなら、クグルスにとっては朝飯前に違いない。

 

「じゃじゃじゃじゃーん。クグルスだよ。ご主人様、お久しぶり──。わおっ。相変わらず、たっぷりの淫気。これはエリカだね。じゃあ、いただきまーす」

 

 飛び出てきた小さな身体のクグルスが肌を震わせながら陽気な声をあげた。

 男女の性感の昂ぶりであふれ出る淫気は、まさに魔妖精のクグルスの食事だ。

 しばらく空気を飲み込むような仕草を繰り返していたクグルスが、やがて満足そうに息を吐いた。

 

「魔妖精さん、ごきげんよう。いつもお元気ですね」

 

 屋敷妖精のシルキーがクグルスに言った。

 

「屋敷妖精か。相変わらず、ご主人様に愛してもらっているか?」

 

「はい、時折」

 

 シルキーがにこにこと微笑みながら応じた。

 同じ妖精族でありながら、魔族に近い存在としてこの世界から追放された魔妖精に対して、屋敷妖精は、この世界での存在を認められた妖精族のひとつだ。一郎を通じて知り合ったこのふたりの妖精はなぜか仲がいい。

 

「ところで、クグルス。この書物を見てくれ」

 

 一郎はクグルスに棚にある書物を示した。

 クグルスが宙を舞って、すっと書物に身体を寄せた。

 

「淫気で封印している本のようだね。どうしたの、これ?」

 

 少しだけ書物に注目していた様子のクグルスが、振り返って言った。

 

「この屋敷の前の主人の持ち物なんだが、どんなことが書かれているのか興味があってな。封印を解除できるか?」

 

「もちろん、できるけど、ご主人様だってできるんじゃない。なにしろ、ご主人様は、いまや、ぼくなんて足元も及ばないような淫魔力の使い手だしね。それに、これは大した封印じゃない。ちょっと、ご主人様が淫魔力を注ぐだけで、簡単に開くと思うよ」

 

 クグルスがなんでもないことのように言った。

 一郎は苦笑してしまった。

 

「俺を買いかぶってくれるのはありがたいが、俺にはそんな能力はないよ。第一、どうしていいかわからない」

 

「だったら、ぼくを一度、ご主人様の身体に受け入れて」

 

 クグルスがそう言って、一郎の胸めがけて、勢いよく飛んでくる。

 一郎は慌てて、心を解放して、クグルスが一郎の心と身体を支配するに任せた。

 クグルスが一郎の身体の中に消える。

 すぐにクグルスが一郎の内部で活動を始めるのがわかった。

 

 そして、驚いた。

 これまでわからなかった淫魔力を駆使する方法が突然にわかるようになったのだ。

 たったいままで、まったく無秩序なものだった一郎の体内の淫気のエネルギーが、しっかりと自分の手足の一部であるかのように感じることができる。

 不思議な感覚だった。

 試しに棚にある本にその力を伸ばしてみる。

 果たして、その本がすっと浮きあがった。

 

「おおっ」

 

 一郎は声をあげていた。

 これは魔道だ。

 エリカが遣うような魔道の技が一郎にもできるようになった?

 一郎は自分のやっていることが信じられないでいた。

 

「……さっそく、力の制御の方法がわかったんだね。さすがはぼくのご主人様だよ」

 

 クグルスが一郎の身体から飛び出てから言った。

 クグルスが外に出ても、一郎が突然に身に着けた感覚は消えない。

 確かに、身体の淫魔力を自分の身体の一部のように操れる。

 その証拠に、目の前の漆黒の書物は、いまだに空中に浮き続けている。

 

「ど、どうしたのだ、ロウ? 魔道遣いになったのか?」

 

 シャングリアだ。

 

「魔道遣い……というわけじゃないが……。まあ、同じようなことが俺にもできるようになった気がする……。まだ、大したことはできないと思うが……」

 

「えっ? これご主人様がやっているの?」

 

 一郎の言葉に、コゼが大きな反応をした。

 いま漆黒の書物が宙に浮かんでいるのは一郎がやっていることだが、コゼはクグルスがやっていたと思っていたのだろう。

 しかし、これは一郎の技だ。

 クグルスがやったのは、一郎の体内でそのやり方を伝えただけだ。

 力そのものは、一郎が駆使している。

 

「……いえ、ロウ様よ。わたしには、ロウ様の身体から魔力のようなものが流れているのを感じるわ……。で、でも、こんなに簡単に……」

 

 エリカも呆然としている。

 

「訓練すれば、もっとすごいこともできるかもね。魔道の力のもとになる魔力も、淫魔力の力のもとになる淫気も、もともと同じようなものだし……。とはいっても、人族の魔道遣いができることとは違うかもしれないけど、まあ、それでも、それなりのことはできると思うよ……。だけど、こんなに感動してくれるなら、もっと早く教えてあげればよかったね」

 

 クグルスが笑った。

 だが、一郎はそれどころではない。

 この感情をどう表現していいのかわからない。

 突如として、これまでできなかったことができるようになったのだ。

 自分以外の存在に、自分がなろうとしている……。

 そんな興奮だ。

 

「試しに、その本に淫魔力を注いでみたらいいよ、ご主人様。さっきも言ったけど、その本の封印は、淫魔力を注げば簡単に外れるから」

 

 クグルスが陽気な声をあげた。

 

「そ、そうだな……」

 

 一郎は頷いた。

 やってみようと思った。

 できるはずだ。

 いや、できる……。

 その方法はわかっている。

 一郎はありったけの淫魔力を漆黒の書物に向かって注ぎ込んだ。

 

「うわあっ、ご主人様──。そんなに力を注がなくても──。それじゃあ、淫気が暴走しちゃうよう──」

 

 クグルスの悲鳴がした。

 だが、そのときには、一郎は魔道でいう「移動術」で感じるのと、まったく同じ衝撃が腹に加わるのを感じていた。

 

「な、なんだ?」

「うああっ」

「きゃああ」

「ひゃあ」

 

 一郎だけでなく、三人の女たちの悲鳴も鳴り響く。

 そして、周りの風景が突如として消滅し、その代わりに真っ白い光のようなものに視界が覆われるのを一郎は感じた。

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