【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「これが戦闘用の防具だ、シャングリア。身に着けていいのはこれだけだ。これ以外のものについては、布片ひとつ身に着けるのも反則とする。ただし、得物だけは好きなものを選べ」
闘士の控室に現われた興行師がシャングリアに渡したのは、防具とは名ばかりの下着にしか思えない小さな布と、胸を隠して横で縛ることしかできない細長い布だった。
ここは王都にいくつかある闘士場の地下だ。
シャングリアは闘士であり、闘いの準備をするためにあてがわれている部屋でひとりでいるところだった。
ほかの闘士たちは大部屋だったが、シャングリアはこの闘士団の唯一の女闘士として、ひとり部屋を与えられていたのだ。
そこに興行師が現われた。
「な、なんだ、これは? こ、こんなもの、ただの武具の下につける下着ではないか。こんなものを身に着けただけでなんて戦えるか──」
シャングリアは激怒した。
馬鹿にするにもほどがある。
これでもシャングリアは、闘技場で戦う剣闘士だ。
娼婦でもなければ、卑猥な踊りが売り物の旅芸人の女ではない。
集まっている観客の前で鍛え抜いた戦技を命をかけて披露することにより、観客を熱狂させる闘士だ。
裸同然の恰好で戦うなどということができるわけがない。
「下着とは冗談ではない。そんな小さな布片だが魔道の防具だ。鋼鉄の鎧ほどの防御力を全身に与えてくれる魔道がかかっている。しかも、動きやすいことは保証付きの超一級品の武具なのだぞ。少し恥ずかしいくらい我慢しろ」
興行師が笑った。
しかし、興行師の魂胆は見え見えだ。
こんな破廉恥な武具で女のシャングリアを戦わせて、それで観客への見世物にしようと思っているのだ。
そんなの冗談ではない。
「それに、逆らうことはできんはずだぞ。それが闘士だ。断れば、お前の大切な人に支払った莫大な契約金を回収する。違約金とともにな。そうすれば、彼らは、あっという間に露頭に迷うだろう。お前は、私が指示したものを身に着けて戦うという約束で闘士として契約をしたのだ」
興行師がにやりと笑った。
「ひ、卑怯者め──」
シャングリアは激昂のあまり、この失礼な興行師を叩き切ってやろうと思った。
だが、たまたま剣がそばに無かったことでそれができなかったことと、この興行師に逆らっては、困ったことになるのだという思いが急速に意識にあがり、興行師に対する殺意だけは消えた。
「そのくらいは仕方がないだろう。こんなこともあるかもしれんというのも承知で、お前は契約したはずだ。それに、今日の戦いで勝利をすれば、もう自由の身になるんだ。その衣装くらいは受け入れてもらうぞ」
「くっ」
シャングリアは歯噛みした。
だが、興行師の言っていることが正しいのだということを突然に思い出した。
それに、さっき興行師が言ったように、シャングリアがここで逆らい続ければ、シャングリアの大切な者たちが大きな苦境に陥るのも確かなのだ。
もっとも、その大切な者というのが誰だったろうと首を捻りかけた。だが、ちっとも頭に思い浮かばない。
なんとなく、そのことは、とても不自然のように思ったが、なぜか、急に、別段の不思議も感じることができなくなった。
「わ、わかった、ロウ──。これを着ればいいのだな。その代わりに約束を忘れるな」
シャングリアは声をあげた。
ロウというのは、この興行師の名だ。
闘士のシャングリアを契約で縛って、こんな下着のような武具のみで観客の前で闘わせるというような破廉恥なことをさせようとしている憎い男だ。
そのロウが満足げに微笑んで、部屋を出る扉に向かう。
シャングリアは、その背中を憎しみを込めて睨み続けた。
そのとき、振り返ったロウが、思い出したようにシャングリアに向かって口を開いた。
「思い出したが、お前と戦う闘士の名はロウという男だ。まあ、頑張れ」
「誰であろうと関係ない。そのロウも倒してやる」
シャングリアは怒鳴った。
興行師がいなくなると、シャングリアは興行師が置いていった下着のような武具を手に取った。
とりあえず、着替えなければならんのだ。
「あっ」
そのとき、シャングリアはびっくりして声をあげた。
下着のような武具の内側でちょうど股間に当たる部分に、小さな丸い突起がたくさんついていることに気がついたのだ。
あの興行師のロウは、この小さな下着のような武具以外になにも身に着けてはならんと言った。
つまりは、シャングリアは、この突起に股間を苛まれながら闘わなければならないということだ。
くだらない嫌がらせを……。
シャングリアは、全身の血が凍りつくような怒りを感じた。
*
真昼の明るい陽射しが闘技場に射し込んでいる。
割れんばかりの喝采が起きた。
さすがのシャングリアも闘技場が揺れるほどの大歓声に、思わず足がすくんでしまう。
闘技場は国都にあるものの中では比較的小さなものだ。
それだけに、観客席と闘技場の距離が近い。
闘技場の両端にある闘士入場口の手前にシャングリアは立っていた。
しかし、シャングリアが身に着けているのは、見た目には小さな白い下着としか思えない腰の布片と、乳房を縛っている細長い布だけだ。
確かに腰の下着には魔道の武具であるらしく、全身には薄っすらと透明の膜のようなものが存在するのを感じる。
しかし、下着は下着だ。
サンダルを履いた足には脛当て代わりに膝下まで細紐を巻いていたが、太腿については股間の付け根だけを包む下着まで完全な剥き出しだ。
また、上半身につけているのは、乳房を横から巻いている細布だけであり、しかも、布の長さが意地悪くも細いものであるので、乳頭を中心とした真ん中は隠れているものの、乳房の上下は完全にはみ出している。
それだけではなく、胸を隠す布は横で縛っているだけなので、動くと、すぐに布から乳房がこぼれそうで頼りない。
シャングリアの姿が丸見えである向こう側からの観客たちは、破廉恥な姿で登場した剣闘士のシャングリアに、全員が立ち上がって卑猥な野次を飛ばしている。
こんな裸同然の姿で、これだけの観客の前に出るのは、あまりの羞恥であり、生きた心地がしなかった。
闘士入場の声と合図の銅鑼の音が闘技場に鳴り響く。
反対側の入場門からシャングリアと闘う闘士がゆっくりと歩いてくるのが見えた。
剣闘士というと屈強な身体をしている男が多いが、その男は中肉中背だった。
また、武術の腕というものは、歩き方ひとつでおおむねわかるものなのだが、その相手は、首を傾げたくなるくらいに強さを感じない。
あるいは、まったく武芸の心得えがないのではないかと思いたくなるほどだ。
しかも、武具のようなものはなにもつけておらず、まったくの平装だ。
もっとも、武具をつけているように見えないという点ではシャングリアも同じだから、あの服が魔道の武具ということもありうるが、その闘士は剣すらも持っているように見えない。
相手の闘士の名は、「ロウ」という名だったと思う……。
そのことでも、シャングリアは少し違和感を覚えていた。
あの闘士にはまったく記憶はない。
それなのに、シャングリアは、あのロウをよく知っているような錯覚に陥っている。
どう考えても初めて見る顔だ。
だが、やはり見知っているという感覚が付きまとう。
しかも、なんとなく親しみを感じる……?
シャングリアは慌てて、そのおかしな気持ちを振り払った。
いずれにしても、やっぱり、こんな姿で闘技場に出ていくのは、少し躊躇がある。
「さあ、行きな」
そのとき、入場門のところにいる統制係の男のひとりが、立ち竦んでいるかたちだったシャングリアの背をどんと押した。
「あっ、なにをする……。くうっ」
股間にある下着の内側の突起物がシャングリアの敏感な場所を強く抉ったのだ。
シャングリアは小さく呻くとともに、少し腰を引いたような体勢になって、顔をしかめた。
振り返って、その統制係を怒鳴りつけてやろうと思ったが、次の瞬間、大きな音を立てて、入場口と闘技場を隔てる鉄門が降りてきた。
入場門だった場所が観客席を隔てる高い壁と一体化する。
もうこれは、シャングリアとあのロウとの決着がつくまで開くことはない。
仕方がない……。
シャングリアは、今日の剣闘の相手であるロウが待っている闘技場の中心に向かって、ゆっくりと足を前に進めた。
「うっ」
そのとき、またもや下着の突起が思い切り肉芽を擦りあげた。
全身に衝撃が走る。
腰が砕けそうになるのを辛うじて気力で耐える。
「はあ、はあ、はあ……」
たった数歩歩いただけで、すぐに息があがった。
シャングリアは泣きそうな気分になった。
どういう仕掛けになっているのかわからないが、股間の内側にあるたくさんの小さな突起は、シャングリアが身動きするたびに淫らに動き回るのだ。
それでもなんとか平静を装わなければならない。
こんなおかしなものを股間に装着しているとばれれば、敵のロウはそれに付け込んだ闘いに持ってこようとするだろう。
とにかく、短期決戦だ。
あの意地の悪い興行師の思い通りなどになるものか……。
一瞬でロウにとどめを刺す。
そうすれば、こんな股間の異物など関係ない。
だが、なんという意地悪な股間の突起だろう。
シャングリアが必死で耐えているのをあざ笑うかのように、股間の突起は肉芽を疼かせ、肉襞に食い込み、そして、お尻の穴周辺を抉ってくる。
しかも、丸い突起は一瞬ごとに大きさを変化させているのか、大きな突起に抉られたかと思うと、次には同じ場所を小さな突起で連続で弾かれたり、その方向も前からだったり、後ろからだったり、そして、右に左にと刺激の方向まで変化させるのだ。
それが股間のあちこちで起こる。
シャングリアは、少しも予想できない股間の突起の動きに翻弄され続けた。
そして、やっとのこと、敵のロウがいる闘技場の中心に到着した。
「下着の突起が早速、効果を表したようだな、シャングリア」
ロウがにやにやと笑いながら言った。
「なっ」
シャングリアは絶句した。
それを相手のロウに知られているとは思わなかったのだ。
「なにを驚いている。ここに集まっている観客は全員がそれを知っているぞ。歓声に耳を澄ませてみろ」
ロウが言った。
シャングリアはびっくりして、言われたとおりにした。
すると、ただの騒音のようにしか感じていなかった観客たちの声が、意味のある言葉として、シャングリアの耳に入って来た。
「──シャングリア、そんな腰つきじゃあ、闘えねえんじゃねえか」
「──もう、いってしまったんじゃないか、淫乱」
「──さっさと犯されちまえ」
客たちの下品な野次に、シャングリアは思わずかっと腹がたった。
同時に、シャングリアは、観客たちにシャングリアの股間の突起のことが事前に知らされていたということに愕然とした。
そして、あの破廉恥な興行師の悪辣さを感じて、腹が煮える気持ちになった。
「それと、いいことを教えておいてやろう。その下着はいまは静かだが、濡れてくると、激しく振動するんだそうだ。まあ、気をつけるんだな」
ロウが意地の悪い口調でそう言った。
シャングリアは驚いた。
「な、なんだって──。そんなこと──。ひ、卑怯だぞ」
思わず叫んだ。
そんなことはシャングリアも知らされていなかったが、このおかしな仕掛けの下着は魔具だ。
それは事実だろうと思った。
だから、かっとなった。
そんなものを騙して装着させるなど──。
シャングリアは目の前にいるロウを睨みつけた。
しかし、ロウは大声で笑った。
「そんな目で見るなよ。知らんよ。興行師のやっていることだろう。それに、なんで股間が濡れるんだ? 少しくらい股間が突起で苛まれるくらい、我慢すればいいはずだろう。それとも、突起でどうしてもいやらしく感じてしまうのか? まあ、ちょっとくらい耐えるんだな。そうすれば、股間は振動しないし、どうということはないだろう」
ロウが笑い続ける。
「くっ」
シャングリアは、なぜかこの男に圧倒される自分を感じた。
悪態を返してやろうと思うのに、不思議にも言葉が出てこない。
どうして、そんな風に感じるのかわからないが……。
「どうした? 有名な女剣闘士のシャングリアだろう。その程度の下着の突起くらいなんてことないはずだ」
ロウが言った。
しかし、かっとなったのは一瞬だけだ。
その小馬鹿にしたような態度が許せないはずなのに、言い返そうとロウの顔を見ると、どうしても文句をいう気力が消えるのだ。
よくわからないが、この男は苦手だ……。
「く、くそうっ──。さっさとやるぞ。ところで、お前、剣は?」
シャングリアは、理解のできない自分自身の感情を振り払うために大声を出した。
こうして面と向かい合っても、やはりロウは剣を持っていないのだ。
どういう了見なのだろう……?
すると、ロウがにやりと微笑んだ。
「剣か? 俺の剣はこれだ」
ロウがぱちんと指を鳴らした。
その瞬間、ロウの着ている服が一瞬にして消滅した。
ロウが、闘志用のサンダルを履いている以外はなにも身に着けていない、完全な素裸になったのだ。
その腰には隆々と勃起した怒張がそびえ勃っている。
「わっ、わっ、わっ、そんなもの見せるな。な、なにをしてるんだ、お前?」
シャングリアは狼狽えた。
「そんなに悦んでくれるのは嬉しいな。とにかく、俺の剣はこの一物だ。これで犯されれば、あんたの負けだ……。ああ、そうだ……。せっかくだから、こうしようか。俺があんたに欲情して先に精を放ってしまえば俺の負け。だが、あんたが先に果てれば、あんたの負けだ。客も悦ぶ」
ロウが大笑いした。
「ふ、ふざけるな──。これは剣闘の勝負だぞ──。ふ、ふ、ふざけおって──」
あまりの物言いに自分の声が震えるのがわかった。
こんなに馬鹿にされたのは、おそらく生れて初めてだと思う。
殺す──。
シャングリアは決断した。
問答無用で殺してやる──。
さっきまでの苦手意識は、目の前のロウの行動で吹っ飛んだ。
殺してやる……。
そのとき、闘技場に大きな銅鑼の音が二つ連続で鳴り響いた。
戦闘開始の合図だ。
シャングリアは剣を振りあげた。
「ああっ、いやっ」
だが、剣を引いた瞬間に突起が肉芽に食い込み、しかも、ぶるぶると震えたようになった。
シャングリアは腰が完全に砕けてしまって、剣を振るおろすことはできなくなった。
「どうした、シャングリア? そのへっぴり腰は」
ロウがからかいの言葉をかけてきた。
くそっ……。
シャングリアは なんとか剣を握り直す。
ロウは相変わらず、勃起した性器を見せびらかすようにこっちに向けたまま止まったままだ。
しかも、構えるどころか、さらに腕組みまでした。
その余裕が気に入らないが、とにかく──。
「ぐううっ」
シャングリアは股間の疼きに耐えて、ロウに剣をやっと振りおろした。
斬った──。
シャングリアはそう思った。
だが、手応えがない──。
そう思ったときには、シャングリアは剣を持っていないことに気がついた。
なんで──?
そう思ったが、すでに体勢を崩してしまっている。
しかも、思い切り踏み込んだので、これまでで一番の刺激を股間から受けてしまった。
「んふうううっ」
シャングリアは思わず迸った甘い声とともに、ロウの裸身に飛びつくような感じになってしまった。
「おっ、逃げ回るかと思ったが、向かってきたのか? だが、剣を手放してしまうとは迂闊だったな。反撃してもいいか? 俺の武器はセックスだ。俺は戦技はできんが、性技には自信がある。あんたをねじ伏せるなんて造作はない」
ロウが抱きついてきた。
おかしい……。
シャングリアは首を傾げる気分だった。
振り下ろす途中の剣をシャングリアが手放すなどあり得ない……。
しかも、あれは突然に空中で消えたような感じだった。
そもそも、剣はどこにいったのだ?
視界に映る限り、剣などどこにも落ちていない。
まあいい……。
このまま絞め殺してやる……。
シャングリアは両手をロウの細首にかけようとした……。
「えっ?」
そのとき、背中でがちゃんと金属音がした。
驚愕することに、シャングリアの両手は背中側で手枷をかけられて動きを封じられている。
いつの間に──?
シャングリアはわけがわからなくなった。
「わっ、わああっ」
シャングリアはとにかく身体を揺すって、必死にロウの腕から逃げた。
混乱した。
なんで剣がなくなったかもわからないし、突然に両手を後手に拘束された理由も不明だ。
絶対にロウにはそんな素振りはなかった。
しかし、ある想像がシャングリアに浮かんだ。
「お、お前、魔道遣いか──?」
声をあげた。
それしか考えられない。
だが、ロウは声をあげて笑うだけだ。
「違う。断言するよ。忘れたのか? 俺は魔道遣いじゃない。淫魔師だ。俺はお前を犯す。すると、お前は俺の呪術にかかり、俺の奴隷になるということだ。それが嫌なら、逃げ回ることだな。捕まえれば、容赦なく犯すぞ」
ロウが言った。
「淫魔師?」
シャングリアはびっくりした。
しかし、突如として、本当にロウが淫魔師であることを思い出した。
淫魔師というのは伝承の存在だが、女に精を放つことでその獲物の女を虜にしてしまうという恐ろしい存在だ。
なぜ、わかったのかはわからないが、ロウが淫魔師であることは間違いない。
シャングリアの背に冷たい汗が流れる。
支配される……。
本当に犯されれば、間違いなく……。
どうすれば……?
やはり、闘うしか……。
でも、この後ろ手に拘束された状態でどうやって……?
「……なにを考え込んでいる、シャングリア」
そのとき、ロウが無造作に距離を詰めてきた。
「こん畜生──」
シャングリアは大きな声をあげて、力の限り片脚でロウの両足を蹴りあげた。
下着の突起が当然に威力を発揮して、大きな疼きで腰が砕けそうになる。
それでも蹴りの動作だけはやめなかった。
「うわっ」
ロウがひっくり返った。
しめた──。
シャングリアは全体重を足のかかとにかけ、ロウの喉めがけて降りおろした。
「おわっ、危ねえ──」
ロウが悲鳴をあげて、地面を転がって避けた。
シャングリアのかかとが、たったいままでロウの喉があった場所に叩き込まれる。
「あっ、ああっ」
股間の刺激でシャングリアは背中を大きくのけ反らせた。
「おお、怖え──。こんなにハンデがあるのに、殺されかかるのかよ」
少し離れた場所から声がした。
立ちあがったロウが大きく息を吐いている。
シャングリアは千載一遇の機会を逃したことに歯噛みした。
「ところで、シャングリア、空を見な」
そのとき、突然にそのロウが言った。
「あっ」
シャングリアは言われるまま、上空に目をやり、思わず声をあげた。
空には魔道によるものなのか、ふたつに分かれた上空に、シャングリアの股間と胸が大写しになっている。大写しになった股間には小さな丸い染みが浮かんでいて、胸は布がずれて、すでに乳首が見えている。
見下ろすと、まさに自分の股間と胸もそうなっている。
シャングリアは羞恥でかっと身体が熱くなるのがわかった。
「さて、その邪魔な布はもう取ってしまうか。あの大写しの空にお前の乳房を映して、大勢の観客に見せてやりな」
ロウがそう言った直後、横の結び目が取れて、胸を隠していた布が地面に落ちてしまった。
「な、なに?」
シャングリアが叫んだが、両手は後手に拘束されているので、どうしようもない。
シャングリアは股間にはいている下着一枚になってしまった。
「じゃあ、もう少しハンデをつけさせてもらうよ、シャングリア」
ロウが言った。
「ハンデ?」
シャングリアは怪訝に思って首を傾げた。
そのとき、シャングリアは不意に股間に違和感を覚えた。
これまでの突起の刺激とはまったく別のものだ。
「ひいっ、ひっ、ひいいっ」
次の瞬間、シャングリアは絶叫した。
突然にその股間の突起物の一部が大きくなり、むくむくと勃起し始めたのだ。
しかも、股間に入って来る。
「いやあっ、いやあっ──。ロ、ロウ、お前がやっているのか──。やめろ、やめてくれ──。た、助けて──」
わけもわからず、シャングリアはその場に膝をついて叫んだ。
いまや股間の中では突起物の一部が完全に張形のように股間を貫いている。
しかも、ゆっくりと淫らに動き始めてもきた。
「おやおや、股間の中は、表面とは違って、すでに濡れていたようだな。濡れれば振動するとという機能は同じだからな。それ以上、振動を激しくしたくなかったら、その突起を濡らすんじゃないぞ」
ロウが言った。
でも、シャングリアはその言葉の半分も耳に入らなかった。
それよりも、だんだんと振動が強くなる気がする。
シャングリアは下腹部に込みあがる激しい疼きに、膝立ちのまま、ぐいと全身を弓なりにした。
「んあっ、ひうううっ」
シャングリアは膝立ちの身体を大きくのけ反らせていた。
突然に股間に潜り込んだ張形は、だんだんと振動を強くさせ、いまや、シャングリアの股間の中でありえないほどの激しさで暴れ始めたのだ。
「ほらほら、股間を濡らすなと教えてやったろう。それなのに、さらに張形を湿らせてどうするんだ。それよりも立てよ。闘わないのか?」
ロウの揶揄する声が聞こえる。
しかし、女陰に食い込んでいる下着の内側の張形だけではなく、肉芽や菊座の入り口に触れている球体まで強い振動で暴れまわりだしているのだ。
身体が痺れて立つことができない。
「く、くそおっ」
こうなったら、恥ずかしいなどとはいっていられない。
シャングリアは下着を脱ぐことにした。
意を決して、手錠で後手に拘束された手で届く下着のお尻側を掴んで思い切りさげる。
「おっと、そうはさせんぞ」
ロウがそう口にするのが聞こえた。
「あっ、なぜ──?」
一瞬のことだった。
気がつくと、シャングリアの両手は横材によって、真横に拡げた状態で拘束されていた。
それだけでなく、両足も両腕と同じような横材により大きく拡げて拘束されてしまっている。両手と両脚を拘束している横材を繋ぐ大きな直柱が地面に突き刺さっていて、シャングリアの足の裏は完全に地面から浮いている状態だ。
しかも、乳房の前後と腰の括れに縄がかけられて、直柱にしっかりと固定までされている。
つまりは、シャングリアは両手両足を大きく拡げて、磔にされている恰好になってしまったのだ。
「えっ、えっ、えっ?」
シャングリアは驚愕した。
どうしてこんなことに──?
場内が大歓声に包まれる。
「ほらっ、大勢の観客の目の前で達してしまえ。みんな、それを望んでいるんだ」
ロウが目の前にいる。
そして、張形と球体の振動に苛まれている下着を手のひらでぐいと押した。
「やっ、やめろおおっ、いやあああっ」
シャングリアは悲鳴をあげて悶えた。
ロウが下着を思い切り押してぐりぐりと回し始めたのだ。
淫靡な痺れが全身を駆け抜けて頭が白くなる。
「ああっ、いやだあっ、やめろおっ、もう、やめてくれ」
シャングリアは悲鳴をあげ続ける。
だが、横材に固定された手足はびくともしない。
ロウの淫らな股間への責めに対して、腰を動かして逃げることもできないのだ。
観客の卑猥な歓声が耳に入って来る。
だが、シャングリアにはどうしようもなくて、唯一自由になる頭を振って、押し寄せるものを逃がそうとした。
「空を見ろ。お前がいやらしく股を濡らしているのが大写しだぞ」
ロウが刺激を続けながら言った。
しかし、そんなものを見る勇気などシャングリアにはない。
とにかく、歯を食い縛って、快感から耐えようとした。
「我慢しようとしているのか? 可愛いな。だったら、とことん、振動と闘ってみろ。その代わり、呆気なく達したら、今度は俺の一物で犯すからな。そして、精を放つ。その瞬間に、お前は呪術支配されて、俺の奴隷だ」
ロウが股間から手を離した。
嫌だ──。
奴隷なんかなりたくない……。
そう思うのだが、なぜか、奴隷になりたいという気持ちもどこかに芽生えてきた。
シャングリアは自分の感情が理解できずに、大きく狼狽した。
とにかく、ロウが手を離したところで、下着の中では張形と球体が暴れているのは変わらない。
シャングリアは追い詰められていた。
下腹部の大きな痺れが頭の先まで拡がっていく。
「うぐうっ、んんっ、んああっ、くううっ」
大きなうねりがやってくる。
シャングリアの理性が股間からやってくる官能に飲み込まれる。
「ああっ、ああああっ、あああっ」
もう駄目だ……。
シャングリアが思ったとき、ロウの指が再び近づくのを感じた。
「ほら、我慢してみろ」
ロウの一本の指がシャングリアの太腿のなんでもない一点をつっと擦った。
「んひいいいっ」
なにかが駆けあがった。
次の瞬間、シャングリアは磔にされた身体をぴんと伸ばして、大きな絶頂とともに、がくがくと身体を痙攣させていた。
身体の震えはしばらく続き、それがようやく収まったときには、シャングリアは完全に脱力していた。
「派手に達したな。観客は大喜びだ」
髪の毛がぐいと掴まれて、項垂れている顔をロウにあげさせられる。
総立ちの観客の姿がシャングリアの視界に入って来る。
だが、なぜか怒りの感情はない。
それよりも、激しく絶頂したせいか、頭がまだぼうっとしている。
「はあ、はあ、はあ……あ、ああっ、ああっ。も、もう、とめろ……。とめ……」
しかし、シャングリアが達しても、いまだに下着の振動は終わっていない。昇天したばかりの身体がさらに快感に押しあげられ始める。
だが、その下着の振動が突然に消滅した。
そして、股間に外気を感じた。
はっとした。
下着が消滅している。
シャングリアの股間は完全に剥き出しだ。
それだけではなく、ロウの怒張が開いたシャングリアの股間に近づいている。
シャングリアの身体は磔により、一段高く地面から浮いている状態だったのだが、いつの間にか台のようなものが存在していて、ロウはその上に乗っているのだ。
「お、お前、本当にこんなところで……」
シャングリアは声をあげた。
しかし、ロウの怒張がついに、シャングリアの女陰に深々と入り込んだ。
「んあああっ」
一度の昇天ですっかりと緩んでいたシャングリアの股間は、なんの抵抗もなくロウの肉棒を受け入れていた。
膣が押し広げられ、ロウの律動が開始する。
あっという間に快感が押し寄せる。
「ああっ、ああっ、あああっ」
シャングリアの意思とは裏腹に、艶めかしい声が口から漏れ続ける。
口惜しいけど、とても気持ちいいのだ。
それだけではなく、とてつもなく安心できる気持ち……。
それがシャングリアを包む。
とても理解のできる感情ではない。
しかし、大勢の観客のいる闘技場で全裸で磔にされて、公衆の面前で犯されながら、それでもシャングリアは犯しているロウに親しみのようなものを感じ始めている。
「ああっ、ひいっ、ああっ、ああっ」
もうシャングリアには抵抗心はない。
ただ、これが自分の声なのかと思うような甘い声をあげて、ロウの凌辱に身体を委ねるだけだ。
圧倒的な快感が全身を包む。
そして、込みあがる……。
もう、なにもわからない……。
犯される……。
ロウの精に支配されるのか……。
それも、またいいか……。
二度目の絶頂がやってきた。
しかし、それは一度目とは比べものにはならないくらいに巨大なものだ。
シャングリアにはそれがわかった。
「ああっ、あああっ、くる……くるよ……あああっ──」
シャングリアは再び磔の身体をぐいと伸ばした。
頭が痺れる。
ここがどこかなのかもわからなくなる……。
「シャングリア、今の気持ちを言ってみろ。闘技場で淫具でもてあそばれ、これだけの観客の目の前で、このロウに犯される気分は?」
ロウがシャングリアを激しく突きあげながら言った。
目の前で白い光がはじける。
そして、大きな衝撃が全身を走り抜けた。
「と、とても気持ちいいよ、ロウ……」
シャングリアはそう言っていた。
観客の大歓声が轟くとともにロウが愉しそうに笑った。
それと同時に、子宮にロウの精が注がれるのをはっきりと感じた。