【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「そのまま、真っ直ぐに歩いて、一番人が集まっているところに行け」
突然に頭の中で声が聞こえた。
エリカははっとした。
ここはどこなのだという疑念が浮かんだのは、一瞬だけだ。
ここは王都の広場だ。
その記憶が瞬時に込みあがった。
真昼の明るい陽射しが射し込んでいる。
大勢の市民がそこに集まっていて、会話や集会、あるいは休息などを愉しんでいる場所だ。また、屋台なども立ち並び、大変な賑わいだ。
そこにエリカは、ひとりだけで立っていた。
どうしてここに?
さっきまで、ロウの悪戯で、山の中で大勢のロウに囲まれて……。
ここに、どうしているのだろう……?
そう思ったが、その戸惑いはすぐに消えた。
突如として、エリカは誰かの命令でここでひとりでやってきたのだということを思い出したのだ。
山の中にいたということはあり得ない。
たったいま、なぜそんな考えになったのか不思議だ。
ただ、身体が異様に気だるい。
まるで、たったいままで激しく交合をしていた直後のような感じだ。
そう思うと、心なしか股間が濡れている気もする。
いや、激しく濡れている……。まるでおしっこでも漏らしたみたいに……。
エリカはびっくりした。
だが、なんで……?
懸命に考えるのだが、やはり記憶は蘇らない。
そして、誰の指図で、なぜ、エリカがそれに従っているかということも思い出せない。
ここにどうやってやって来たのかということも不明だ。
だが、逃亡も許されなれば、逆らうこともできないのだという強い思いだけは心にある。
「わっ」
そして、あることに気がついて驚いた。
エリカは丈が太腿の半分くらいの黒い外被を羽織っていたのだが、その下は完全な全裸だ。
外被の下から入って来る外気がそれを教えてくれた。
しかも、外被は身体の前で合わせるものであったのだが、ボタンはひとつ残らず引き千切られている。
エリカは全裸に前開きの外被を羽織り、それを両手でしっかりと押さえながら歩いていたのだ。
なんでこんな格好で……?
エリカは混乱した。
──早く、行け。あの噴水のところがいいだろう。そこに集合だ。
また、声がした。
エリカは周囲を見回した。
しかし、声をかけた者らしき存在はない。
それに、声は頭の中に直接に響き渡っている気もする。
──早くした方がいいぞ。さもないと、股に塗り込んだ痒み剤はいつまでもそのままだ。
また、声がした。
そして、その声の持ち主がくすくすと笑った。
誰の声?
エリカは首を傾げた。
男の声であることには間違いないが、それが誰なのか思い出せない。
そもそも、頭の中に響く声なんて、どういうことなのだ?
いずれにしても、どこかでよく耳にしている声のような気もするだが……。
「な、なに? んふっ、ひいっ」
そして、突然にそれが襲ってきた。
股間の恐ろしいほどの痒みだ。
そういえば、さっき「声」が痒み剤を塗ったと言ったか?
しかも、激痛に感じるほどの痒みだ──。
それが襲い掛かっている。
エリカは思わず、外套の裾をまくって股間に手を入れそうになり、ここが大勢の市民で混雑している広場だということを思い出して躊躇した。
だが、この痒みは……。
エリカは歯を食い縛った。
──どうやら、ここで自慰でもしたいようだが、それは無駄だぞ。まあ、それも面白いがな。とにかく、自分の股間は自分では掻けない。試してみな。
またもや「声」──。
そして、くすくすと笑っている。
驚いて手を股間に伸ばすことを試してみようとも思ったが、いくらなんでもここではできない。
物陰に隠れてやろうと思っても、周囲には、その物陰もない。
ここは大勢の市民の集まる王都の広場なのだ。
いまでも、エリカの周囲には、たくさんの通行人が横を通り過ぎていく。
──早く行け。いつまでも、痒みで苦しみたいなら別だがな。
「声」が言った。
「くっ」
仕方がない。
エリカは意を決して、「声」の命じるまま、噴水の方角に進んだ。
「声」の持ち主が誰であり、どうやって声をエリカの頭に送っているのが不明だが、それがわからない限り、抵抗のしようもない。
それにしても痒い……。
だんだんと脳天に響くような苦しみに変わってきている。
痒い……。
痒い……。
とにかく、エリカはできるだけ、顔を俯かせて歩いた。
全裸に外被一枚を羽織っただけの破廉恥な格好で歩いているなど知られたくない。
だが、股間の痒みは常軌を逸したように大きくなる。
やっと噴水までたどり着いたときには、外被の裾の下から汗がぽたぽたと滴るほどに汗をかいてしまっていたほどだ。
そのとき、エリカはちょうど反対側に、自分と同じように外被を前でしっかりと押さえて、上気した顔をしている女を見つけた。
エリカは、その女を知っていた。
王軍騎士のシャングリアだ。
美しいが男勝りなことでも有名な女騎士で、あんな破廉恥な格好しているなど、どうしたのだろう?
しかし、次の瞬間、不意にエリカは自分がシャングリアをよく知っていることを思い出した。
確かに、この女をよく知っている……。
エリカにはそれがわかる。
だが、それなのに、なぜか、どういう関係なのかを思い出せない。
「シャングリア──」
とにかく、エリカは声をあげた。
シャングリアはきょとんとした顔をしたが、すぐに目を見開いた。
「エリカか?」
向こうも声をあげた。
急いでシャングリアの方に歩み寄る。
シャングリアもやってきた。
「エリカだな? なあ、教えてくれ。どうして、わたしたちはここにいるのだ? さっきから頭に響くこの声は誰だ? そして、お前は何者で、わたしは誰なのだ?」
シャングリアがまくしたてるように言った。
エリカは、シャングリアもまた、記憶が抜け落ちている状態であることを悟った。
仕方なく、エリカは自分もまた同じ境遇であることを説明した。
シャングリアが失望したような表情になる。
また、エリカはシャングリアもまた、エリカと同じように苦しそうに腿を強く擦り合わせるような仕草をしていることに気がついた。
もしかしたら、シャングリアも……?
そのとき、再び声が頭の中で響いた。
──じゃあ、遊びの始まりだ。最初の試練は、お互いで股をいじくり合うことだ。さっきも説明したが、ふたりに襲っている股間の痒みは自分では癒せない。ただし、お互いに相手の股であれば掻くことはできる。痒みを消したければ、相手に股間を掻いてもらうことを頼むんだ。一度昇天すれば、嘘のように痒みは消えるが、この大勢の人間のいる広場でなければ、その効果はない。じゃあ、幸運を祈るぞ。周りに見つかれば、大騒ぎになることは受け合うよ。
「声」が愉しそうに言って、大笑いした。
「ええ?」
「な、なに?」
エリカとシャングリアは同時に声をあげていた。
──早く始めないか。そろそろ、お前たちの様子に注目し始めている者が出始めたぞ。騒ぎにならないうちに、終わらせた方がいいんじゃないか。いずれにしても、お前たちの身体は、自分たちの意思じゃ動かせない。俺に完全に操られていることを忘れるな。
またもや、「声」が頭の中に響き渡る。
だが、その「声」が命じているのは、これだけの大勢の市民がいる王都の噴水広場の真ん中でお互いの股間をいじり合って、気をやるというものだ。
そんなことできるわけがない。
しかし、声によれば、それをしなければ、いつまでたっても股間の痒みは消えず、しかも、絶対にこの広場から逃げることはできないのだという。
その声の言うとおり、エリカが広場から逃げようと考えると、脚が凍りついたように動かなくなる。それでいて、「逃亡」ではなく小移動するだけであれば、自由に脚も動くのだ。
隣で真っ赤な顔を俯かせて、腿を必死にすぼめているシャングリアも同様のようだ。
本当に「声」に、身体も心も完全に操られている……。
エリカはそれを悟るしかなかった。
「と、とにかく、シャングリア、どこかでこの声の主は、わたしたちを見ているはずよ。さ、探して……」
「さ、探すといっても……」
とにかく、エリカは、シャングリアにも言って、懸命に周囲に視線をやって、声の主を探そうとした。
頭の中に声を響き渡らせるのが、なにかの魔道だとしても、この声の主がエリカとシャングリアのことをどこかで見ているということは間違いない。
相手を見つけることができれば、この状況を打破するなんらかの手段も見つけることができるかもしれない……。
だが、痒さがもう抜き差しならない状況になっている。
目立たないように気を配りながら、脚を擦り合わせたり、小さく足踏みをしたりするのだが、当然だがそんなものでは、かえって痒みが増すだけだ。苦しさはますます全身をむしばんでくる。
しかし、どんどんとエリカもシャングリアも追い詰められる 。
だが、結局、周囲をいくら観察しても、それらしい人間を見つけることができないでいた。
──きょろきょろするなよ、エリカ……。そうだ。忘れていたが、エリカには罰ゲームの話があったな。そもそも、それが目的だった。エリカには贈り物を追加だ。
声が言った。
罰ゲーム?
なんのことだろうと思ったが、突如として、激しい便意が襲いかかったのだ。
「……う、ううっ……。そ、そんな……」
エリカは前を押さえている手を下腹に動かして、ほんの少し腰を屈めるような恰好になった。
いまにも、洩れそうだ。
エリカは必死になって、お尻に力を入れた。
だけど、どうして……。
エリカは泣きそうになった。
──ほら、エリカ、お前から誘えよ。ここでふたりで気をやれば、広場から解放してやるよ。それとも、ここで糞をぶちまけるのか。ここで気をやるのと、糞をするのとどっちが恥ずかしいんだ?
すると、頭の中に声が響いた。
*
──ほら、エリカ、お前から誘えよ。ここでふたりで気をやれば、広場から解放してやるよ。それとも、ここで糞をぶちまけるのか。ここで気をやるのと、糞をするのとどっちが恥ずかしいんだ?
シャングリアの頭に伝わる声の主が鬼畜そうな笑い声をあげるのが聞こえた。
だが、「くそ」……?
まさか……。
シャングリアは慌てて、エリカをもう一度見た。
たったいままでエリカは、全身を汗びっしょりにして小鼻を大きくして息をしている様子だったのだが、いまでは、その顔は蒼ざめている。
それだけじゃなく、見えている首のところの肌がふつふつと粟立ってもいた。
まさか……。
シャングリアは目を見開いた。
「……お、お願い、シャングリア……。股間をいじって……。わ、わたし、このままじゃあ……」
すると、エリカが苦しそうに言った。
シャングリアには、もうそれで、エリカにはシャングリアにも与えられている股間の痒みのほかに、強い便意まで与えられたのだとわかった。
やはり、この「声」は本当にシャングリアやエリカの身体を操れるのだ。
しかも、ほんの気まぐれで……。
シャングリアの心に恐怖が走る。
「……わ、わかった。や、やる。で、でも、どうしたら……」
シャングリアもエリカにささやき返した。
こうなったら観念するしかない。
シャングリアは意を決した。
しかし、こんな大勢の市民の集まる場所で、お互いの股間を擦り合えと言われてもどうしていいのか……。
「ふ、噴水にす、座りましょう……。か、身体を水に向けるようにすれば、前からは見えにくいわ……」
エリカが小さな声で言った。
確かに、噴水の水越しであれば、少しは視界を遮れるかもしれない。幸いにも、いま、この瞬間は噴水の淵に座っている者はまばらだ。
シャングリアとエリカは、そこに移動して、身体を密着させるように噴水に腰かけた。
エリカは歩くのも、腰を屈めるのも、とにかく、身体を動かすのが苦痛そうだった。
それだけ、エリカに与えられた便意が強烈なものであるのだろう。
シャングリアはエリカに対する強い同情の気持ちに襲われた。
「……こ、声を出さないでね、シャングリア……」
エリカの手がすっと外被の前から股間に差し入れられる。
「……わ、わかった……。が、頑張る……」
シャングリアも頷いて、エリカの股間に手を伸ばした。
──痒い場所を直接にいじるんだぞ。さもないと効果はないぞ。
またもや、声。
だが、股間を襲っている痒みは肉芽だ。
つまりは、一番敏感な肉芽をこんなところで擦り合わなければならないということだ。
シャングリアは、「声」の鬼畜さに歯噛みした。
だが、やらないと……。
とにかく、神経を集中するしかない……。
「んんっ」
「んっ」
しかし、次の瞬間、シャングリアは身体を大きく弓なりに反らせそうになった。
猛烈な痒みが襲っている場所をエリカの指で擦られるのは、あまりにも甘美な感覚すぎた。
「ううっ、くうっ」
どんなに声を絞っても、口から漏れ出てしまう。
「……エ、エリカ……」
シャングリアは必死でささやいた。
少し、加減をしてくれと頼んだつもりだ。
そのとき、指先に硬いものが触れた。
んっ?
金属?
「あああっ──」
しかし、次の瞬間、エリカの口からけたたましい声が出た。
シャングリアは驚愕した。
「ば、馬鹿、エリカ──」
シャングリアは慌てて、エリカの股間から手を抜いて、エリカの口を押えた。
「ご、ごめん……。で、でも、だ、だって……」
エリカが泣きそうな顔をしている。
「だってじゃない。自分が声を出すなと念を押したくせに……。と、とにかく、場所を変えよう……」
シャングリアは片手で外被の前を押さえ、もう一方の手でエリカを支えるようにして立たせる。
エリカが大きな声を出してしまったので、周囲の視線が一斉に向いてしまったのだ。
すると、頭の中の「声」が大きな笑い声をあげる。
「声」の主に対する怒りで腹が煮えた。
次の場所として選んだのは、にぎわっている屋台の裏だ。
そこはかなりの者が集まっていたが、逆に喧噪で音も声も目立ちにくい。また、食べるのに意識を集めていて、ふたりにはあまり視線を向けてこない気もする。
ここなら……。
人混みに紛れるように身体を向け合う……。
そして、頷き合うと、再び相手の股間に手を伸ばした。
今度は立ったままだ。
「あっ」
「んんっ」
はじめた……。
痒みが癒される快感が全身を駆け巡る。
気持ちがいい……。
「ああ……」
「はあ……」
同時に声が洩れた。
シャングリアの指はエリカの股間を揉み動かし、エリカの指はシャングリアの肉芽をくりくりと擦り揺らす。
猛烈な痒みが消える峻烈な快感──。
シャングリアは、歯を噛みしめた。
股間を擦り合うことで得られた快感は途方もないものだった。
だが、はっとした。
周囲の男たちの何人かが、シャングリアとエリカの痴態に気がついたようなのだ。
はっきりとした驚きの視線を向けてくる。
シャングリアはやめようと躊躇したが、もう快楽のうねりはそこまできている。
もう少しなのだ……。
それに、もう、ここでやめれば、頭がおかしくなる。
そう思った。
それくらい気持ちがいい……。
どうなってもいい……。
シャングリアはエリカの股を擦るのをやめなかった。
むしろ、腹を括り、閉じ合わせている股間から力を抜いて、少し脚を開く。
すると、快感が一気に増幅した。
「ふんん」
大きな鼻息が出る。
猛烈な快感もやって来た。
「エ、エリカ……」
シャングリアは思わず名をささやいた。
痒みが癒されて、快美感に塗り替えられる途方もない感覚をどう表現していいかわからない。
見られている……。
エリカは必死に目をつぶっているのでわからないようだが、もはやはっきりとした複数の視線を感じる。
羞恥が身体を走り抜けるが、もう指をとめられないし、とめられたくない。
身体が小刻みに震えてくる。
もうすぐ……。
シャングリアは確信した。
一方で、エリカの身体はさっきから痙攣のような震えを続けている。
「んんふ、うううっ」
またもや、エリカが大きな声をあげた。
少しくらい我慢してくれと鼻白んだが、このエリカの反応が女の絶頂を迎えたときのものであるのは明白だ。
自分もいかなければ……。
その思いが強かった。
がくりと膝を曲げたエリカの指を追うように、シャングリアも腰を屈める。
「んんっ、んんっ」
シャングリアは必死に唇をつぐんで声を飲み込んだ。
ついに絶頂した。
そして、気がついた。
あれだけ襲い続けていた股間の痒みが消滅している。
絶頂をすれば痒みが消えるという「声」の言葉は嘘ではなかったようだ。
──じゃあ、次は運動の時間だ。とまらずに走れよ。捕まれば犯されるからな。
そのとき、また頭で声がした。
次の瞬間、周りの雰囲気が変化したと思った。
「おいっ、見ろよ」
そのとき、誰かが大きな声で叫んだ。
それを合図にするかのように、周りの人間が遠慮のない声でざわめきだす。
はっとした。
「エ、エリカ──」
シャングリアは叫んだ。
エリカは素裸だ。
たったいままで、被っていた外被が消滅している。
「わっ、わっ、わっ」
エリカが動揺の声を発した。
そして、シャングリアは自分自身も完全な素っ裸だということにも気がついた──。
シャングリアとエリカは、瞬時にして、素っ裸で抱き合っている状況に変化していた。
「よし、俺がもらう──」
「いや、俺だ」
「早い者勝ちにしようぜ」
「そりゃあ、いい」
男たちの声が大きくなる。
いつの間にか、男たちで周囲が溢れていた。
それだけじゃない。
彼らの目つきがおかしい。
常軌を逸している雰囲気だ。
もしかしたら、こいつらも操られている──?
シャングリアの頭をよぎったのはそれだ。
男たちの股間の誰も彼もが、ズボンの股間を大きくしているのもわかった。
逃げないと──。
シャングリアはエリカの手首を掴んで立ちあがる。
「逃げるよ、エリカ──」
本当に逃げないと、大勢の男たちに犯される。
女としてのシャングリアの本能的な恐怖心が走る。
駆けだす──。
だが、何人かが遮ろうと身体を前に移動させる。
前が塞がれた。
「どけええっ」
シャングリアは素っ裸のまま目の前の男を蹴り飛ばした。
その男が周りの何人かを巻き込んで地面に倒れる。
前が空く。
「エリカ──」
もう一度声をかけた。
しかし、エリカはその場にうずくまってしまった。
「だ、だめえっ」
エリカが悲鳴をあげる。
次の瞬間──。
しゃがみ込んだエリカのお尻から大便が噴き出した。
エリカを捕まえようとしていた男たちが奇声をあげて退く。
「エリカ──」
シャングリアは途方に暮れて立ち尽くすしかなかった。
エリカのお尻からは、止まることのない大便が噴き出している。
そして、再び囲まれた。
すると、突如として、目の前が真っ白になった。