【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
131 淫魔師の真摯なお願い
「な、なんですって──? ギルドの至宝を?」
ミランダがロウからその申し出をされたのは、ロウの命令で服を脱ぎ、ロウの新しい能力とかいう粘性物によって後手に拘束をされてからだった。ロウは、手のひらから、粘性生命体のウーズを連想させる物質を発生させることが可能になったらしく、それを自由自在に使いこなして、拘束具にも、武器にも、淫具にもすることができ、ミランダは腰の後ろで水平に組んだ両腕をその粘性物ですっぽりと包まれてしまっていた。
もう、ロウについては大抵のことは驚かないことにしている。
わずか半年くらい前に、この王都に突然にやって来たロウだが、そのときには、確かに性的魅力には溢れていたものの、エリカとコゼという女傑に守られているだけという印象の男だった。
だがいまや、さまざまな経験と難クエストの成功を通じて自信に満ちた存在になり、ロウ自らが大きな存在感を示すようになっている。
不思議な力も駆使するようになっているし、なぜ短期間にこうも変化したのか、その理由には見当もつかない。
この粘性の拘束についても、おそらくミランダの怪力をもってしても、それを引き千切ることはできないだろう。
硬いというよりは、まるで力そのものを吸収してしまうような感じだ。
同じ粘性物を足首にも巻かれた。
これは、まだ拘束具としての役目は果たしてはいないが、おそらく、ロウがミランダの脚を拘束したいと思えば、それが効果を発揮するのだろう。
それにしても、ギルドの至宝を寄越せという言葉には驚いた。
あれは、ハロンドールギルド支部の象徴ともいえるものであり、ミランダの前任の副ギルド長の時代から伝わっている宝物なのだ。
そんなものを渡せるわけがない。
ミランダは首を激しく横に振った。
「いくら、あんたの申し出でも、こればかりは承知できないわ。あれは、前任の副ギルド長から伝わっている宝物であり、ギルドの宝なのよ」
「なにが宝だ。ただ美しいだけで、大した魔道もこもっていない装飾具じゃないか。ギルド発展のためだ。それを渡してくれれば、俺が王宮工作をして、ギルドを正規に王宮に認められた騎士団組織として特権をもぎとってやる。ギルドとしても悪い話じゃないはずだ。いいから、認めろよ」
ロウがミランダの後ろに回って、両手で乳房を掴んで首筋に唇を押し当ててきた。
「うっ……ひ、卑怯よ……そ、そんなことじゃあ……」
ミランダは身悶えた。
さすがは、女扱いに慣れたロウの手管だ。
ミランダはあっという間に快感を肉体から引き出されてしまった。
一見、無造作にも感じるさりげない指や唇の動きなのだが、ロウはほとんど的確にしかもミランダの最も感じる場所しか触らない。
ロウの一挙手一投足が、驚くほどの滑らかさで性感を呼び起こしていく。
「なあ、いいじゃないか。ギルドにとって、得になる話のはずだぞ。当面はイザベラ王女直属の私設軍の扱いだが、所属すれば王軍騎士と同様に、逮捕不可侵の貴族の特権は与えられる。ほかにも人頭税からは免れる。ギルドに所属する冒険者であれば、イザベラ姫の私設軍に加わりたいという冒険者は、後を絶たなくなるはずだ。だから、その至宝とやらを寄越せ。王妃工作に必要なんだ」
ロウはミランダの小さな身体を胡坐に座った自分の足の上に乗せた。
そして、唇を首筋から片側の乳房に移動し、その裾野から頂点にかけてゆっくりと舌を動かしてくる。片手はミランダの股間の恥毛をまさぐり、さらに大きな快感を呼び起こそうとしている。
ミランダは歯を食い縛った。
ここで快感に負ければ、ロウに屈服してしまうだろう。
そして、結局、逆らえなくなり、一方的にロウの言いなりになってしまう。
それはいつものことだ。
だが……。
「だ、だめだったら──。身体に触りながら至宝の話はしないで──。絶対に受け入れられません」
ミランダは必死に身体を左右に振って、ロウの腕の中から転がり出た。
ロウから距離をとって睨みつける。
ロウが呆気にとられた表情になった。
「だ、だいたい、なんで、王女の私設軍の創設のための工作資金をギルドがこれ以上出すのよ。そもそも、あんたの最初の発想じゃあ、ギルドの冒険者を姫様直属の騎士団に取り入れるという話だったけど、いつの間にか、神殿の神殿兵を主体とした者をイザベラ姫様の私設軍として騎士扱いするという話に変わっているじゃないのよ。ギルドの冒険者は蚊帳の外よ」
ミランダは叫んだ。
「だから、それは方便だと言っただろう。もう一度説明して欲しいのか?」
ロウが嘆息した。
ここは、ロウたちが住まいとしている王都郊外の幽霊屋敷と呼ばれる建物だ。
そこに呼び出されたミランダは、珍しくもたったひとりで地下でロウの相手をすることになり、ロウとふたりきりでこの地下室にやってきた。
いくつかある地下室の中でも、ロウが気に入っている部屋であり、なんの調度品も家具もなく、柔らかい絨毯が敷きつけてあるだけの部屋だ。
ロウはこの部屋で自分の女たちを集めて、床の上に直接に寝そべり、乱交のように愛を交わすのが好きなようだ。
そして、このところ、ロウはミランダを抱くときにほかの女も一緒に抱くのを常としていたので、一対一というのは久しぶりだった。
とにかく、ここにやってきたミランダは、ロウとともにお互いに全裸になり、大人しくロウの拘束を受けた。
だが、ロウはすぐには抱き始めず、最初にイザベラ王女の私設軍を創設し、それに冒険者ギルドに属する上位ランクの冒険者を取り込むという工作の進捗状況を説明し始めた。
最初にこの提案があったのは、ロウがイザベラを自分の女にした直後であり、一箇月前だ。
驚いたが、悪い話ではなかった。
別に冒険者を私設軍に引き抜くという話ではなく、あくまでも冒険者としての地位は保持したまま、イザベラの指揮する私設軍に所属するというかたちをとるのだそうだ。私設軍といっても、王族であるイザベラに属する実力組織だ。実際には近衛兵と立場は変わらない。
王族の護衛は、本来は近衛兵の役目だが、ロウに言わせれば、いまの近衛兵は、キシダインの息がかかりすぎて、まったくイザベラの護衛の役目を果たしてない。
むしろ、近衛兵に護衛されることで、常にキシダインから刃物を突きつけられながら生活をしているのと同じことだというのが、ロウの意見だった。
これについては、ミランダも同意見で、ミランダは、大して説明もしないのに、ロウがあっという間に、宮廷情勢を呑み込んでしまったことに呆れたほどだった。
やっぱり、この男は抜群に頭がいいのだと思った。
そして、その状況を打開するために、ロウが提案したのが、イザベラ王女の身辺を直接警護する私設軍を作ってしまえということだ。
別に乱暴な話ではなく、イザベラの政敵になるキシダインは、数個の傭兵団を抱え込み、自己警護組織を軍隊のようにしている。
同じことをイザベラ側でもやろうというのだ。
ただ、傭兵団を囲うための金がない。
キシダインは、王都ハロルドの管理を司るハロルド公であり、公爵家としての自領を持ち、経済基盤は磐石だ。その経済力によって、私設軍たる傭兵団を管理している。
それに比べれば、イザベラ王女には領地はなく、王家に養われている立場であり、私設軍を持つ経費など出てこない。
無論、王家の家長であるルードルフ王が、その経費を出せば別だが、王がイザベラのことに気を回すようなら、イザベラはここまで、度重なる暗殺の危機には陥っていない。
それで、ロウが目をつけたのが冒険者だ。
そもそも、イザベラは冒険者ギルド長であるし、武辺に優れる冒険者を抱え込んで、イザベラの直接警護をさせようという発想だ。
その代価は、報酬ではなく権威だ。
無論、ただ働きというわけではないが、経済基盤の薄いイザベラでは多くを与えられない代わりに、王女私設軍に所属する冒険者に、王軍騎士に匹敵する特権を与えようという話なのだ。
王女騎士として……。
騎士、はもっとも地位は低いが貴族だ。
それが正式の身分となれば、王軍の直接の逮捕権がなくなる。つまりは、王の命令──この場合は、王女イザベラの命令となるが──それがなければ、王軍は「騎士」を拘束することができない。
また、貴族以外のすべての市民に義務付けられている人頭税もなくなる。
ほかにも、貴族としてのさまざまな特権がある。
それが与えられることになる。
もちろん、本来は騎士とは、国王が指名するもので、王女が指名する騎士など立場が曖昧だが、特権が与えられるなら、嫌がる冒険者は皆無だろう。
相場よりも低い報酬で、いくらでも成り手がいる。いや、ただ働きでもやりそうな能力のある優秀な冒険者をミランダは、十数名はすぐに思いつく。
王女騎士が認められれば、イザベラ王女の私設軍は、すぐに現実となるだろう。
実際の武力集団でイザベラの周りを固めれば、キシダインは簡単には手は出せない。
もっとも、これの実現には、王女騎士というのを王宮に認めさせなければならず、ロウはこの一箇月、そのための宮廷工作をずっと、裏からやり続けているのだ。
ミランダは、このハロンドールの治安や国の公共の福祉のために寄与している冒険者ギルドの功績をさまざまなかたちで訴え、優れた冒険者に貴族同様の地位を与えて欲しいと主張していたが、それはまだ実現していなかった。
だが、それをロウは、「王女騎士」というものを新たに作ってやるという。
そして、実際にその工作を開始すると、わずかな期間で、スクルズを通して神殿を動かし、また、イザベラ自身やシャーラにも宮廷工作をさせて、あっという間にその気運を宮廷内に作ってしまった。
誰にどんな工作をすれば、事態が動くかという「勘の良さ」は、副ギルド長として、長く宮廷工作にかかわっていたミランダが舌を巻くほどだ。
ミランダは、ミランダの知っている知識と、イザベラが命を狙われる事態が起こったことで増加した冒険者を使った諜報員から得た内容をロウに伝えただけだ。
それだけで、ロウは瞬く間に、今回の話を作りあげた。
すでに、宰相や大臣の一部も承知していることで、宮廷の一部にも賛同者を得ている。
キシダイン派の一枚岩のように、ミランダには見えていた宮廷だったが、ロウが動くと、実際にはキシダインの横暴を快く思っていない貴族も多く、わずか一箇月でかなりの賛同者を作ってしまった。
もっとも、そのために、冒険者ギルドから少なくない工作資金を提供させられていて、ロウはそれを資金として、動かしたい宰相などに賂としてばらまいたのだ。
その資金は、ギルドからだけではなく、神殿からも出させており、多額の資金が神殿からも出たようだ。
無論、神殿を動かしたのは、ロウの息のかかったスクルズとベルズのふたりだが、神殿としても先日の三巫女騒動のときに、神殿の危機を救ってくれたロウには恩義を感じているところもあったらしく、積極的に王女の私設軍創設の工作に動いていた。
それだけでなく、ロウは工作に必要な女たちの何人かをあの性の手管でたらしこみもしたようだが、詳しいことは知らないし、知ることは危険だという気もする
いずれにしても、ロウが本気になって動けば、こんなにも事態が動くのかと驚くほどに短い時間で、イザベラの私設騎士団としての私設軍創設が、現実の話として持ちあがっていたのだ。
実際、王宮としても悪い話ではない。
通常であれば、騎士を増やすには小さくても領地やそれに見合う俸給を与えなければならず、それにかかわる経費も王家の持ち出しだ。
特に王族であるイザベラの完全な私設軍となると、国としての財源は使えず、ハロンドール王家としての出費となる。
ところが、ロウの案では、私設軍の主要要員に与えるのは、王女騎士という極めて曖昧な権威と、貴族としての特権だけでいいのだ。
冒険者ギルドにも属する冒険者には領地は与えない。
与えるのは特権だけだ。
王家としては、無償に近い出費で王家に仕える騎士団を増やせるのだ。
特権を与えるくらいどうということはない。
新騎士団に所属することになる冒険者としても、これまで移民者ということで蔑まれていた境遇から脱せる。
魅力的な話だ。
ミランダが声をかければ、王女私設軍の所属を希望する冒険者はあとを絶たないはずだ。
冒険者の地位が向上することは、もちろん、冒険者ギルドとしても嬉しいことだし、それは大きい。
だが、ロウの最初の説明では、ギルドの冒険者を主体にして、イザベラ姫の騎士団を作るという話が、神殿兵を主体にして作るという話にすり替わっていた。
ミランダはそれが不満だった。
「なにしろ、冒険者を主体とした私設軍じゃあ、宮廷内に抵抗勢力が大きくてな。それで表向きは神殿からの神殿兵が中心ということにさせてもらった。それはスクルズを通じて話はついている。だが、あくまでも表向きだ。できあがってしまえば、誰に王女騎士を任命するかは、イザベラ姫様の裁可になる。ごっそりと特権保持者の冒険者を増やせばいい」
ロウは言った。
「とにかく、あの至宝だけは手放せません。ギルドの宝物なのよ」
ミランダは言った。
ロウが要求しているのは、最後の抵抗勢力を説得する必要があるので、ギルドの宝物を渡せということだった。
それはかつて古代神殿から発見された七つの宝石が組み合わさった首飾りであり、ギルドとして大切に管理してきた宝物である。
ロウが言及するとおり、魔道具としての価値はないが、宝物としての価値は計り知れない。
それを工作用の贈答物として渡せという。
「じゃあ、貸すだけだ。そのうち取り返してやる。首飾りはきっかけにするだけだ。目的は、その女をたらしこむことなんだ。その女をたらしこんだら、次は姫様の経済基盤の確保のための工作の見せ剣にも使う。いいから貸せって」
よくわからないがロウは、私設軍創設について、王女騎士という発想のみではなく、王女の独自の経済基盤の確保の方策も別に考えている気配である。
それは、まだ方法を教えてもらっていないが、それにも場合によって、ロウの求める秘宝を使うかもしれないという。
しかし、なんと言われようと、絶対にギルドの秘宝を譲るなどとんでもない。
「とにかく、駄目──。駄目ったら、駄目──」
ミランダは断固として言った。
すると、ロウがにやりと笑った。
ミランダはその表情に思わず怯えてしまった。
ロウがあんた表情をするときには、必ず激しい仕置きが待っている。
ミランダはぞっとした。
「なあ、ミランダ、俺は真摯なお願いをしているつもりだぜ。ギルドとしても、まったく損のない話だ。冒険者に貴族待遇の特権を確保することはミランダの長年の望みだったんだろう?」
「そりゃあ、そうだけど……」
ミランダは言葉に窮した。
すると、ロウが立ちあがり、あの不思議な粘性の物体をその場に出して、巨大なかごの球体を作った。
なんだろう、これ……?
ミランダは訝しんだ。
「ちょっと、遊ぼうぜ、ミランダ。話は運動の後にしようか。かつては冒険者として、伝説とまで称されたミランダだ。さぞや素晴らしい運動能力を保持しているんだろうな。少し、それを見せてくれよ」
ロウが意味ありげに微笑んだ。
そして、粘性の物質による骨組みの球体をミランダに向かってぽんと押す。
「きゃあ」
逃げることはできなかった。
ミランダの背丈の倍ほどもある大きさの球体は、ミランダにぶつかると骨組みを開いて内部にミランダを取り込んでしまった。
しかも、瞬時に、足首の粘性体が球体の内側にミランダの両脚を固定した。
さらに両腕の粘性体もいったん拘束を解き、ミランダの両腕を上方に引きあげた体勢で拘束し直した。
あっという間に、ミランダは身体を包む大きな球体の内側に両手両足を開いて拘束されたかたちになった。
こうなるとミランダにはどうしようもない。
ロウの不思議な拘束具は、どれもこれも、ミランダ程度の魔道の力では歯が立たない。
そういう意味では、ロウは上級魔術遣い並みの力を持っているといえるだろう。
「な、なにをするつもりなのよ、ロウ──。そんなことをしても、あの宝物は渡せないわよ」
「そんなことはなにも言ってないだろう。ミランダの運動能力を見たいと言っているだけさ……。それよりも、ミランダ、
「さんはんきかん……? さ、さあ……?」
わからない。
ただ、ロウはにやにやと笑っている。
いやな感じだ。
「三半規管というのは、人間の耳の中に存在する器官であり、身体の平衡感覚を司る場所だ。その三半規管があるおかげで身体の軸を保持できる。だが、それを意図的に狂わせると……」
ロウが呟くように言った。
「うわっ」
次の瞬間、ミランダは叫んでしまった。
突然に目の前がぐるぐると回りだしたのだ。
同時に吐気も襲ってきた。
「……こんな感じになる。三半規管を一時的に狂わせられると、それだけで激しい拷問を受けているのと同じ状況になる。その状況で本当にぐるぐると身体を回転させられるとどうなるか……。さあ、どれくらいの時間耐えられるかな、ミランダ」
ロウが愉しそうに笑って、ミランダを拘束している球体をどんと押した。
ミランダはたちまちに襲った目まいと吐気に悲鳴をあげた。
「運動のあいだ退屈しないように、触手で遊んでもくれ。すごいだろう。ミランダ、こんなこともできるようになったんだぞ」
ロウがそう言った。
すると回転を続けるミランダの股間に長細いものが襲ってきた。
すでに回転は、ミランダに身体がばらばらになるような苦痛を与えている。
そのうえに、股間を責められるというのは苛酷すぎる責めだ。
「や、やめて、ロウ──。お願いだから──」
ミランダは絶叫した。
しかし、ロウは酷薄そうな笑い声をあげるだけだ。
まるで蹴鞠でもするように、ミランダを包んでいる球体の外面を壁に蹴って、さらに激しい回転を与えた。
そして、回り続ける。
「うああっ、ああっ、あっ」
ミランダは斜めから逆さまになっていく部屋を見ながら、すでに力など入らない身体に、無理矢理に力を注いで身体を包んでいる球体の回転に対処した。
力を入れざるを得ないのだ。
身体が球体の内側で四肢の先だけで固定されているので、力を入れて姿勢を保持しないと、背骨や首が折れるような激痛が走る。手首はもちろん、肩から腕がもげ落ちていくのではないかというような負担だ。
ミランダは、ただ球体に入れられて回されるというのがこんなにつらいものとは思わなかった。
さすがは、鬼畜趣味のロウだ。
考えることがなかなかにいやらしい。
しかも、ミランダの視界は、“さんはんきかん”とかいう器官をなんらかの手段で無力化することで、ぐるぐると回っている。
激しい嘔吐感もある。
それなのに、股間に挿入されている触手の先の淫具が容赦なくミランダの快感を増幅させている。
回転による身体の苦痛──。
平衡感覚を狂わせられたことによる目まいと嘔吐感──。
そして、股間に責められる異物による快楽──。
この三つに同時に対処しなければならない……。
しかし、実際には、その三つのどれにもうまく対処できない──。
ミランダは身体の激痛と目まいと嘔吐と、さらに全身を包み込む快楽の疼きに苛まれ泣き声をあげていた。
「あはあっ、も、もうやめてえっ──。あっ、ああっ、あはああっ」
なにか激しいものがミランダを一瞬にして貫いた。
どうやら股間の触手のおかげで達してしまったのだとわかったのは、頭を下にしていた身体が斜め横に転がりだしたときだ。
いや、それさえもわからない。
回転をする前からすでに平衡感覚がなくなり、どっちが下で、どっちが上だというのもわからないのだ。
「なかなか、頑張るなあ──。もう少し回るか、ミランダ。ミランダのそんな悲鳴を聞けるなら、ますます苛めたくなる」
ロウが愉しそうに球体を押すのが辛うじてわかった。
やめて──、とも口にする余裕はなかった。
身体が上下斜めのどこを向いているのかわからないが、全身に激痛が走るので、それが少しでも楽な状態にするのに必死だった。
回転はどの方角にもやってくる可能性があった。
それを予期して、力を入れる部位を変えて対処しなければならないのに、平衡感覚が狂っているためにそれができない。
だから、ミランダはまず激痛を受けて、それを小さくするために力を全力で注ぐ。
それを繰り返さなければならない。
だが、回転により一瞬後に力を入れなければならない場所は変化する。
従って、新しい激痛でミランダは全身の筋肉を総動員して対処する。
延々とそれをやるのだ。
しかも、股間を容赦なく責められながら……。
ミランダはわけもわからず、さらに二度目の昇天をしていた。
回転と目まいに対応しながら、股間への悪戯に備えるのは不可能だ。
だから、簡単に達してしまうのだ。
「絶頂したり、悲鳴をあげたり、忙しいな、ミランダ。なにか言いたいことはないか? あっ、別にこれは、さっきの真摯なお願いには関係ないんだが、もしかしたら、考え直す気になったかもしれないと思ってるんだけど」
ロウが球体の外側から声をかけてきた。
どうやら、球体は止まっているようだ。
しかし、自分が床に対して、どっちを向いているのかわからない。
ロウの姿は二重三重になっていて、しかも大きく回転しながら揺れている。
激しい嘔吐感がまた襲った。
快感と嘔吐──。
こんなものを同時に味わうのは初めてだ。
「はあ、はあ、はあ……も、もうやめて……」
ミランダは声を絞り出しながら言った。
「残念だなあ。それは俺の欲しい答えじゃないようだ。もう少し回ってくれよ」
球体が再び回転を始めた。
ミランダは全身を強張らせた。
背骨が砕けるような感覚を味わいながら、球体に包まれたまま部屋を三周、四周と回らせられた。
どんなに余力が残っていなくても、刻々と変化する回転は必然的に、ミランダから力の余力を奪い取っていく。
四肢がばらばらになるような苦痛の中でまたもや快感の波が襲ってきた。
「ふあああっ」
ミランダは泣きながら達していた。
それでも休息などない。
力などもう入るはずもないのに、苛酷な現実は回転によりミランダから力を奪い取る。そうしなければ、怖ろしいような激痛が走るのだ。
もう駄目だ──。
ミランダは思った。
これは弱気でもなんでもない。
長く冒険者として、あらゆる修羅場を潜り抜けてきたミランダの経験に裏付けされた実感だ。
しかし、怖ろしいのは、球体の回転はミランダが限界だと悟った状況から、さらに力を奪い取っていくことだ。
回り続けることで、ミランダはだんだんと激痛さえも感じることができなくなっていた。
意識はかすみ、激しく回転していた視界もぼんやりとして霧に包まれた光景に変化していた。
おそらく、苛酷な回転拷問がミランダの思考を停止させたのだと思う。
それでも、球体の内側に吊るされて回ることで、意識とは無関係に身体は全身の各所に力を送り続ける。
そうしなければならない。
もう一度、回転を止められて、なにかをロウに訊ねられた。
一体全体、何十周回転させられたのだろう?
とにかく、なにを代償にしてもいいから、もう勘弁して欲しい。
思ったのはそれだけのはずだった。
至宝の宝石のことなど、もはや考慮するに値するとも感じられなかった。
だが、そのとき、自分がなにを答えたのかミランダはわからない。
確実なのは、三度目の回転が始まったことだった。
ミランダは泣き叫んだ。
その回転のあいだ、ミランダは二度気をやったと思う。
四度目はなかった。
ミランダは、なんでもいうことをきく、という趣旨のことを口にしたと思う。
気がつくと、ミランダは床に投げだされて、うつ伏せに寝ていた。
ミランダに容赦のない拷問を与えていた球体も股間に挿入されていた触手のようなものも一切が消滅している。
「頑張ったな、ミランダ。平衡感覚を戻してやるよ」
ロウが言った。
しかし、なにかが戻ったという感覚はない。
相変わらず目は回っている。
それでも嘔吐感だけは消えた気がする。
そして、ロウが背中に覆いかぶさった……。
「あああっ」
ミランダは大きな声を洩らした。
ロウがミランダの背中に舌をつけ、吸盤で背中を吸い取るような感じで、唇をずらしてきたのだ。
すでに何度も達しているミランダは、信じられないような速度で、ロウの舌の刺激で快感を四肢に染み渡らせてしまった。
「うわああっ」
ミランダはわけもわからず叫んだ。
今度は横腹から腰にかけて舌が動いた。
そして、身体が仰向けにひっくり返される。
腕が掴まれて、頭の方向にあげさせられた。
なにをどうされても、もはや力は入らない。
ただ、人形のようにロウに裸身を動かされるだけだ。
「いやああっ、あああっ、あぐううっ」
脇をしゃぶられるように舐められ、それだけでミランダは昇天していた。
それほどまでにミランダの身体の感覚は壊されていたのだ。
こんなに簡単に達してしまう身体で、これから本格的なロウの責めを受ける……。
もはや、それはミランダには恐怖しか与えなかった。
「さて、ミランダ、気を失うなよ。気を失えば、またさっきの回転だ。それがいやなら、どんなにいき狂っても、気絶だけはしないことだ」
ロウが鬼畜な言葉を笑いながら言って、ミランダの両腿も抱えた。
「いやあっ──はあっ、はあああっ」
次の瞬間には、もう深々とミランダの股間にはロウが入って来ていた。
巨大な快楽の戦慄に襲われながら、このロウという男に、心の底から屈服する感情をミランダは感じていた。
やはり、この男にはかなわないのだ。
もう絶対に逆らえない……。
その感情が全身を包み、そして、始まった律動でミランダはさっそく激しく絶頂していた。