【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ううっ、んんっ」
「んっ」
ふたりきりで自室でシャーラと向かい合わせに座っていたイザベラは、とっさに手を口に当てて、声が出るのを防いだ。
股間に挿入されている淫具が動き出したのだ。
シャーラも同じようにしている。
口を押さえていない片手をシャーラに伸ばした。
その手をシャーラが握り返してくる。
ふたりでぎゅっと手を握って、束の間の淫具の翻弄に耐えた。
だが、今度は呆気ないくらいに短い時間で淫具は静止した。振動もそんなに強いものではなかった気がする。
しかし、この一箇月ですっかりと感じやすくなっているイザベラの身体は、それだけでもう十分すぎる刺激だった。
ロウから、昨日から受けている快感調教だ。
イザベラとシャーラは、いまそれぞれの装束の下に、同じ貞操帯を装着していた。
一箇月ほど前に、初めてロウの調教を受けたときにはかされたものと同じような貞操帯だが、あのときには、貞操帯の内側に媚薬が塗ってあり、小さな突起が無数にあるというものだった。
しかし、いま装着されているのは、突起だけでなく、ふたつの大小の張形もあり、それがイザベラの股間と尻穴を貫いている。
それを嵌めていた。
もちろん、張形だけでなく、敏感な肉芽にも別の小さな突起が当たっていて、容赦のない刺激をイザベラに与え続けてくる。
しかも、それは特殊な魔道により、日に何度も前触れなく振動をするのだ。
ロウに命じられているのは、これを装着して三日頑張れということだった。
まだ、二日目だ。
ロウに指示された期限には、まだ丸一日以上残っている。
鍵はここにはない。
それはロウが持っている。
尿道口の部分には小さな穴が開いているので、そこから用を足すことはできるが、大きい方は不可能だ。
それは次にロウに会ったときにさせてもらえることになっている。
シャーラの股間に施されている「貞操帯」もイザベラと同じものだ。刺激の感覚も強弱もイザベラの者と完全に連動をしており、イザベラが股間に責められるときには、シャーラもまた。まったく同じ刺激をシャーラも味わうことになっている。
つまり、イザベラとシャーラは、主従ふたりで同じ調教をロウから受けている最中ということだ。
「ひ、姫様……。や、やっぱり……これは無理では……。あ、明日には、陛下との面談があるのに……」
シャーラが潤んだ眼をイザベラに向けた。
「だ、だが、ロウに命じられたのは明日の夜までだ。それまでは外すことはできん。命令だからな……。それよりも、父上との面談の日をずらせるか?」
「そ、それは……」
しかしシャーラは困惑顔だ。
理由のない面談日程の変更は、娘と父親の関係といえども難しいのかもしれない……。
明日に予定されていた国王との面談というのは、一箇月前から持ちあがっていたイザベラの私設軍、つまり、王女騎士制度の導入のことだ。
ロウの発案であり、後ろ盾や独自の力のないイザベラが政敵であるキシダインと張り合うために、確固たる力を確保してしまうための方策だ。
それが、冒険者を主体にした私設警護団、つまり、私設軍であり、これによりイザベラは、一騎当千の強者を自分の自兵として、自由に王宮内に入れて警護任務に従事させることができるようになる。
冒険者といえば、金で動く卑しい者という風評はあるが、一方で誰の力にも頼らない豪傑、女傑揃いで知られていて、それをイザベラが子飼いの警護員として保有するというのは、宮殿内のイザベラへの抵抗勢力に大きな影響を与えるのは間違いない。
しかし、一介の王女のイザベラには、私軍を組織する金がない。
だから、冒険者に与える報酬を削る代わりに、王女騎士という身分を創設して、彼らにそれを与えようというのだ。
ロウは、それを実現しようとしてくれている。
しかも、たった一箇月で、それが実現可能な状況になっていた。
とにかく、ロウはよくやってくれている。
最初に、ロウを取り込もうとしたとき、ここまで親身になってくれるとは思わなかったし、宮廷工作まで手伝ってくれるなど思いもよらなかった。
しかし、実際には手伝うどころか、表に出ないだけで、ロウが主体だ。しかも、イザベラもそうだが、シャーラはもちろん、スクルズ、ベルズという宮殿にも影響力を持つ筆頭巫女たちや冒険者ギルドのミランダがロウの手足となって動く。
彼女たちは、全員がロウの女たちなのだ。
また、ロウは、こっそりと垣間見るだけでも、工作すべき相手の
実に勘がいいのだ。
そのおかげで、この一箇月で思いがけずも主要貴族への工作が進み、王女騎士などという驚くべき施策が一気に現実味を帯びてきた。
これが実現できれば、イザベラ自身が自由に自分の騎士を指名できることになり、イザベラにとっては、初めての権力らしい権力だ。
しかも、ロウは詳細は説明しようとしないが、イザベラの経済基盤の充実も別に考えてやると言っている。
シャーラを除けば、イザベラとしては、こんなに頼もしい味方はなかった。
急な事態の好転には、ロウには大いに感謝しているし、期待もしている。
そんな機運になってきているのだが、肝心のルードルフ王がこれに応諾してない。
イザベラ自身も何度か国王に嘆願していたが、それでも、明確な認可はおりていない。
そうかといって、国王も頭ごなしに反対するわけでもなく、また、断固として拒絶もされているわけでもない。つまりは、とにかく煮えきらないのだ。
それで、明日には、それをまた願い出ることを予定していた。
ロウについては、国王について少し調べた末に、あんな男になにを工作しても無駄だと一蹴しただけで、国王工作についての指示はない。
イザベラが、せめて自分が国王工作をやろうと申し出るも、やらなくてもいいけど、やりたいならやればという態度だった。
だけど、イザベラはやろうと思う。
自分のことなのに、ロウになにもかも頼りきりになるわけにはいかないのだ。
とにかく、これまでの感触としては、国王自身はイザベラが後ろ盾となる力を得ることに、明確に反対ではないようだ。
だが、それに反論している勢力がいて躊躇している感じだ。
その筆頭が王妃のアネルザだ。
王妃工作については、逆にロウは乗り気であり、王妃こそが、貴族界の多数派を握っていることをロウは指摘しており、キシダイン派の強みは、実子のアンを妻にしていることで、王妃を抱え込んでいることであり、王妃さえ引き込めば、貴族界の多数派だけではなく、国王さえも、イザベラ派に塗り替えられると、そっちの王妃工作については自ら乗り出すくらいに意気込んでいる。
もっとも、なにをしようとしているかは知らされてはいない。
いずれにしても、イザベラはイザベラで、国王のルードルフに、もう一度嘆願をしようと思っている。
なんだかんだで、イザベラは、ルードルフ王の実の娘だ。
国王に、イザベラほどに近い人間は、ほかにないのだ。
しかし、昨日のことだが、ロウに呼び出されて、ロウの屋敷に赴いて抱いてもらったあとで、シャーラともども、この張形付きの貞操帯を嵌められてしまった。
ロウとしては、一連の宮廷工作については、順調に進んでいるという認識があるようであり、その余裕がこういう悪戯を思いつかせるらしい。
とにかく、もはや、ロウのすることには逆らえず、イザベラもシャーラも、この貞操帯を受け入れてしまった。
約束は、明日の夜までだ。
だが、国王との面談は明日である。
いつ振動するかわからないような淫具付きの貞操帯を装着した状態では、まかり間違えば、国王の面談の最中によがってしまうかもしれない。
だから、面談を翌々日以降に伸ばせとシャーラに言ったのだ。
「陛下の予定を理由なく、変えるのはちょっと……。じ、実は、一度はロウ様には、陛下との面談の予定があることは伝えたのです……。でも、ロウ様は優柔不断の王では、何度嘆願しても無駄だし、意味はないと言われただけで……。とても貞操帯のことを申し出る感じじゃなく……。だけど、姫様が直接に頼まれれば、あるいは……」
すると、シャーラが言った。
そのときだった、
「ああっ、はっ」
「うくうっ……」
次の瞬間、イザベラとシャーラは同時に悲鳴をあげていた。
始まったのだ。
張形が動き出すのがどういう間隔なのか、まったく予想はつかない。
これまでも一ノスに一回のときもあれば、二ノス以上の間隔が開くこともある。あるいは、一ノスのあいだに三回も振動することだってあった。
振動の長さだってまちまちであり、永遠と動くのかと思うほどに長いこともあれば、あっという間に終わることもある。
声を耐えるのも不可能なくらいに強い振動のときもあるのに対して、かすかな振動だけのときもある。振動の強さも途中で変化することも珍しくない。
朝かもしれないし、夜かもしれない。寝ているときだってある。
いつどういう間隔と強さで動くのかは、装着したロウにも予想がつかないようになっているらしく、なにをしているかに関係なく、イザベラは敏感な股間を淫具で翻弄されるということを続けさせられている。
備えることさえ不可能だ。
こうなると、もう股間に襲うかもしれない振動のことしか考えられない。
ロウの淫具で追い詰められている。
それがわかる。
しかし、それは心地よい気持ちだ。
それはシャーラも同じだろう。
「んんんんっ」
シャーラが机を掴んで小刻みにぶるぶると震えた。
どうやら達したようだ。
イザベラも昇天しそうになったが、その直前に振動は停止してしまった。
いき遅れたという口惜しさのような感覚が襲う。
最後までいけなかったイザベラには、中途半端な火照りだけが残り、焦らし責めを受け続けているような感じだ。
実際のところ、股間の振動は長い時間であることは少ないので、絶頂までいきつくことはほとんどない。
イザベラは、シャーラをうらやましく思った。
「ず、狡いぞ、シャーラ──。お前だけ」
イザベラは苦笑して、そう言ったが、半分は本気の感情だ。
シャーラは赤い顔をした。
「い、いずれにしましても、こんなのは無理です……。明日の陛下との面談をやめないとなれば、ロウ様のところに行きましょう。姫様だけでも外してもらわないと……。さすがに、姫様が頼めば、ロウ様でも調教を続行なさろうとはしないと思います」
「な、ならんわ──。ならば、お前だけがロウに褒められ、わたしはロウの命令に従えなかったことになる。わたしが外すのであれば、お前も外せ」
イザベラは言った。
シャーラは少し考えるような表情になったが小さく首を横に振った。
「わ、わたしはできるだけ、ロウ様の命令に従いたいのです……」
小さな声で言った。
やはり、シャーラもすべてのことに対して、ロウの命令を優先する心境になっているようだ。
イザベラはシャーラにこれまで以上の親しみのようなものを感じた。
「あっ、いやっ」
「はううっ、さ、三度も続けてなんて……」
すると、いきなり前後の張形の振動が再開した。
イザベラとシャーラは、思わず、お互いに抱きつくようにして、そろって、上体をぐんと伸ばして、全身を小刻みに震わせてしまった。
*
「空を飛ぶ機械? 世界の裏側と瞬時に会話のできる通信具? 驚いたな。ロウの故郷はエルニア王国に匹敵する魔道王国なのか?」
シャングリアが感心したような声をあげた。
幽霊屋敷と呼ばれるエリカたちが暮らしている屋敷だ。
エリカは、シャングリアとコゼとともに屋敷の広間に集まり、他愛のない会話を愉しんでいたところだ。
ロウは、ミランダとともに、しばらく地下にこもっていたが、やがて、疲れた様子のミランダと外に出掛けていった。
よくはわからないが、ロウがいまやろうとしている宮廷工作に必要とかで、冒険者ギルドの宝物を借り受けようということのようだ。
ロウは、新しくロウの女に加わったイザベラ王女のために私設軍を創設するという仕事にかかりきりであり、それでこの一箇月動き回っている。
エリカたちも、ロウの指示のまま、さまざまな活動をしている。
もっぱら、変装して宮廷や上級貴族の屋敷に入り込み、さまざまな噂話や高官同士の会話を盗んできたり、宮廷の会議記録や金の動きなどを探ってくる仕事であり、それをロウに伝え、ロウがそれを意味のある情報に直すということをしている。
そして、次にどんな情報資料を集めればいいのかの指示を受けるのだ。
この繰り返しだ。
この一箇月で、ロウはイザベラ王女自身やスクルズたちも使って、貴族たちへの宮廷工作ということをしているが、次の狙いが王妃工作だということはエリカも認識している。
ロウに言わせれば、簡単に落とすことが可能で、落とすことでもっとも大きな成果を得ることができるそうだ。
王妃アネルザをイザベラの味方に引き入れることに成功すれば、一気にイザベラ派は、キシダイン派に逆転するとまで言っている。
ロウが、ミランダから、ギルドの至宝と呼ばれる宝物を借りるのも、その一環のようだ。
正直、この宮廷工作については、エリカにはついていけない。
エリカは、ただ言われたことをすることしかできない。
そんなこんなで、この一箇月はまったく冒険者としてのクエストは受けていないのだが、むしろ忙しい日々を送っている。
それでも男女の営みに関することでは、ロウは手を抜かないし、どんなに女が増えてもロウはちゃんとエリカたちを満足させてくれる。
その辺りに不満はない。
それはともかく、いま雑談をしていたのは、ロウの故郷がどんな世界かということだ。
ロウが、外界人であり、そのときの影響で魔眼と淫魔師の能力を開眼させたというのは、コゼもシャングリアももう知っているが、ただ、ロウの故郷である異世界というのが、どんな世界だったのかということを具体的には語ったことはなかった。
それで話してきかせていたのだ。
別段、エリカがロウから、それについて根掘り葉掘り聞いたことがあるわけじゃないが、もともと、アスカ城にいたエリカは、アスカが召喚したたくさんの外界人のことを知っているし、ロウ自身からも故郷の話は聞いている。
その知識を披露しただけだ。
だが、それはシャングリアやコゼにとって、想像以上の驚きだったようだ。
ふたりとも、感嘆した表情だ。
「違うわよ。魔道じゃないのよ。だって、ロウ様は魔道遣いじゃないでしょう。ロウ様の世界は、魔道のようなことを魔道なしでするのよ。さっき言った空を飛ぶ機械というのは、“ひこうき”と呼ぶのだそうよ。通信をする機械は“でんわ”ね。ロウ様の世界では、誰もがその“でんわ”を持ち歩いていて、必要なときに遠い国の人と普通に話をするのだそうよ。それだけじゃなく、その“でんわ”でその場所の光景も覗くことができるんだって」
エリカは説明した。
「ご主人様もそれができるの?」
コゼが不思議そうな表情をした。
「違うって、コゼ。ロウ様ができるとか、できないとかじゃなくて、それをする機械があるんだそうよ。ロウ様もその機械は持って来ていたと思うわ……。あれっ、でも、その機械は“でんわ”じゃなくて、“すまほ”とか“けえたい”と呼んでいたかも。いずれにしても、ロウ様がアスカ城に召喚されたときに、その機械は使えなくなっていて、壊れていたみたい。アスカ様が処分しちゃったと思うし」
「まあ、とにかく、ロウはそんなすごい世界にいたのだな。わたしには想像はできん。ただ、だったら、ロウからすれば、この世界はすごく未開の世界に感じるのじゃないか」
「さあ、わからないわね。外界人の中には、この世界は現実ではないとか、なにか想像の中の世界であるとか主張する者もいたわね……。いままでの世界から離されたことで、毀れてしまう者も少なくなかった。ロウ様は、そんなことはなくて、すぐにこの世界に溶け込んだ感じだったけど」
エリカはロウとの最初の出会いと思い出しながら言った。
もっとも、あれは溶け込むとか、溶け込まないとかいう感じでもなかったかもしれない。ただただ、必死になって、ふたりであのアスカから逃げようとしただけだ。
まあ、公平に見て、ロウは優しかったし、落ち着いていたと思う。
コゼたちに言ったとおり、召喚された外界人の多くは、自分の世界から突然に引き離されたことで、自暴自棄になったり、絶望して心を閉ざす者も少なくない。
これは現実のものではないのだと主張して自殺さえする。
そういうことを防ぐのも、召喚師の大切な役割だった。
ただ、エリカが召喚師として仕事をしたのは、ロウただひとりであり、召喚師としての仕事をする機会も、あのときのみだ。
いずれにしても、ロウは、あの強力な力を持ったアスカに屈服せず、アスカに逆らって逃亡しようとした。
実際のところ、アスカに三日も拷問されて、屈しない外界人などほとんどいない。
そういう意味では、ロウは最初から強い心を持っていたといえる。
「まあしかし、ロウがわたしたちの世界とはまったく違うようなところからやって来たというのはわかった。だったら寂しいだろうな。せめて、わたしたちの存在が、その寂しさを紛らわしてくれているといいのだがな」
シャングリアが言った。
「寂しい? でも、そんな気配まったくないわよ、ご主人様には」
コゼが含み笑いをするような顔で言った。
考えてみれば、そうかもしれない。
エリカも思った。
ロウには、なにかをしないという時間はほとんどない気もする。
暇さえあれば、エリカたちを愛してくれるし、次から次へと趣向に凝った“ぷれい”とやらをする。
まあ、少なくとも退屈はしてないようだ。
ロウが女好きでいてくれてよかったのかもしれない。
「……まあ、わたしたちの存在が、ロウ様の心をお慰めしているのは確かでしょうね」
エリカは言った。
「おう、だったら、これからも張り切ってロウに調教されるぞ。ロウはわたしたちを調教するのが好きだからな」
「あんたは、自分が調教されるのが好きなんでしょう」
コゼがシャングリアにからかうような言葉をかけた。
「もちろん、好きだ。だが、誰も彼もというわけじゃないぞ。ロウだからだ。とにかく、ロウの女になってから毎日が愉しい。そりゃあ、恥ずかしいこともあるし、つらいこともあるが、総じて言えば、愉しい。この言葉に尽きる。ロウの調教は愉しい」
「まあ、あんたらしいわね。マゾっ子女騎士殿だものね」
コゼが笑った。
そのとき、三人の前に屋敷妖精のシルキーが出現した。
「旦那様がお戻りになられたようです。ミランダ様もご一緒です」
シルキーが言った。
ロウとミランダが出ていってから、すでに半日以上はすぎている。
外はすっかりと夜だ。
エリカたちはロウを出迎えるためにこの広間の隅にある屋敷の玄関に向かった。
「おかえりなさい、ロウ様」
「おかえり、ロウ」
「おかえりなさい、ご主人様……。あれっ、ミランダ、どうしたんです、それ?」
コゼがロウと一緒に戻ってきたミランダに声をかけた。
エリカも視線をミランダに向けた。
ミランダの首には、小さな紫色の石のついた銀鎖の首飾りがあって、それが乳房の谷間の上にある。
「こ、これは……」
すると、ミランダが恥ずかしそうに石を手で隠した。
だが、出ていくときとうって変わって、ものすごく上機嫌だ。
我慢している笑みがどうしても顔に出てしまうという感じだ。
エリカは、なんとなくミランダがにこにことしている理由がわかった。
「ロウ様に買ってもらったのですか、ミランダ?」
エリカは言った。
「な、なに?」
「そうなの?」
シャングリアとコゼも声をあげた。
「いいから、向こう行け、お前たち。ミランダは、俺の申し出に従って、機嫌よくギルドの至宝を俺に委ねてくれたからな。そのお礼だ。お前たちにも贈り物があるから心配するな」
ロウが笑って、エリカたちを長椅子のある場所に促す。
「委ねてないわ。勝手なことを言わないのよ。最終的には賭けということになったでしょう」
ミランダが声をあげる。
エリカは首を傾げた。
「委ねたも同じだ。賭けは勝つ」
ロウがにっこりと微笑んだ。
「旦那様、お食事は?」
そのとき、シルキーが声をかけた。
すでにいつもの食事の時間はすぎている。
エリカたちは、先に食べているようにということだったので、すでに済ませている。
「外でミランダと済ませてきた。ありがとう、シルキー」
「では、御用があれば声をおかけください」
シルキーがさっと姿を消す。
それを聞いてエリカは、ミランダはロウと夕食をふたりきりでとったのだと思った。
ふと見ると、ミランダの顔がほんのりと赤い。おそらく、お酒も飲んだのだろう。
ロウはかなりの手酷い「説得」をミランダにした気配なので、その罪滅ぼしというわけだろうが、エリカはちょっとだけミランダが羨ましくなった。
考えてみれば、ロウと一対一で出かけることなど、最近では滅多になくなった。
「ロウ、わたしたちにも、なにかをくれると言ったか?」
席に着くとシャングリアがまずは口を開いた。
シャングリアは向かいの長椅子にミランダと座っている。
エリカはロウの右隣だ。
コゼは反対側にいる。
このコゼは、なにかとすばしっこくて、いつもいつも、気がつくとしっかりとロウの隣の席を確保してしまっている。
だから、エリカも必死だ。
今回はなんとか反対側の位置を守ることができた。
エリカは、ぴったりとロウにくっつくコゼに負けじとばかりにロウに密着した。
「ああ、待ってくれ」
ロウが空中から荷を出す仕草をした。
サキと出逢うことで、ロウが開眼した「亜空間術」だ。ロウは亜空間を自分とともに移動することが可能になって、最近ではそこに大抵のものを収納して、自在に取り出すということをするようになった。
つまりは、亜空間を「鞄」代わりに使うのだが、今回も、その方法で贖ったものを運んで来たようだ。
また、ここまではスクルズなども収納術の魔道で同じことを駆使するが、ロウの亜空間術がそれと異なるのは、ロウの亜空間術は、人までもその中に収容することができることだ。
しかも、ロウ自身までも、ロウは亜空間に入れることができる。
エリカも、実験ということで、ロウと一緒に亜空間に入った。なにもない真っ白な空間だが、まあ、やることはできる。
そして、散々に遊んだ挙句、現実空間に戻ると、ほとんど時間が経っていなかったりしたのだ。これについては、サキの駆使する仮想空間術と同じであり、エリカもびっくりしたものだった。
「これだ」
ロウが目の前の卓に木箱を出現させる。
箱が開く。
木箱の中にはさらに小箱があり、それが十個あった。
「エリカ、まずはお前だ。俺の前に立て」
ロウが言った。
エリカが言われたとおりにすると、ロウが小箱をひとつ取り出して蓋を開けた。
「うわあ……」
目の前に示された中身を覗いて、エリカは思わず声をあげてしまった。
中には短い数本の細い帯が入っていた。
五本の帯はすべて色が違う。
赤、青、黄、緑、そして、銀地だ。
しかも、金糸で美しい模様が編み込んであり、さらに、細い紐の表面にたくさんの小さな宝石が埋め込まれてもいる。
一見して高価なものとわかる。
「ひと揃いのアンクレット、ブレスレット、そして、チョーカーだ。つまり、足首と手首と首を飾る装飾具だな。いつも世話になっているみんなへの贈り物だ」
「へえ……」
「えっ……」
ロウの言葉にシャングリアとコゼも驚きの声をあげた。
エリカも意外に思った。
ロウが装飾具を贈ってくれるなんて珍しいこともあるものだ。
いや、もしかしたら初めてかもしれない……。
記憶する限り、ロウは露出の多い破廉恥な服を贈ることはあっても、装飾具を買ってくれたことはないと思う。
しかも、これはとても綺麗だし、趣味もいい。
エリカは感嘆した。
ロウがエリカの前に跪き、足首に色違いのアンクレットを巻いていく。
次に手首。
そして、首だ。
「き、綺麗です、ロウ様。あ、ありがとうございます」
手首と足首に巻かれた布の紐を眺めて、エリカはうっとりとしてしまった。
こんなにきれいな装飾具を身に着けるのは生まれて初めてだと思う。
「その顔は気にいってくれたようだな。似合うぞ、エリカ」
ロウがにっこりと笑った。
「は、はい。あ、ありがとうございます」
エリカは元気よく声をあげて、二度目のお礼を言った。
「次はコゼだ」
「は、はい」
ロウはエリカに装着を終えると、コゼに声をかけた。
コゼもエリカと同じようにロウに五個の宝石と金糸を編み込んだ布の帯をつけられる。
コゼも当惑した表情だが、やはり嬉しそうだ。
そして、シャングリア──。
三人の四肢の先と首に装飾具を着け終わると、ロウはシルキーも呼び出した。
「わたくしめにもですか、旦那様。ありがとうございます……。おやっ……?」
シルキーもにこにことしていたが、ちょっとだけ眉をあげた。
エリカはそれに気がついた。
どうかしたのだろうか?
「みんなにはあるのに、ミランダの分はないのか、ロウ?」
そのとき、シャングリアがロウに声をかけた。
シルキーに装飾具をつけ終わったロウが、ミランダにそれを渡す様子もなく椅子に座り直したからだ。
「あたしは断ったわ。どうせ、そんな魔道の拘束具を始終装着して歩くなんてできないし、また、この鬼畜男の玩具にされるだけだしね。だから、このごく普通の首飾りを強請ったのよ。とにかく、あんたたち、その五本の飾り紐は大した値打ち物には違いないわよ。ロウはこのあいだの闇魔道士ザーラを捕らえた褒賞金を全部つぎ込んだようだから」
ミランダが含み笑いをしながら言った。
「拘束具?」
コゼも不審そうな声をあげる。
「まあ、綺麗な装飾具の贈り物をしたいと思ったのは真摯な気持ちだ。俺の淫魔力を刻んだのは洒落だがな。いずれにせよ、俺が淫魔力を注がない限り、ただの飾りだ。気にするな」
「えっ? これって、やっぱりなにか仕掛けがあるんですか?」
エリカはロウに訊ねた。
「まあな。説明するよりも見せてやる……」
「わっ」
エリカは声をあげた。
ロウの言葉が終わると同時に、突然に右手首と左手首、左手首と右足首が引き合ったのだ。
手首と足首に巻いてあるアンクレットとブレスレットによるもののようだが、まるで抵抗できない。
エリカの手足は身体の前で交差するように、左右の足首にそれぞれ反対側の手首が密着してしまった。
当然に、エリカは身体の前で脚を開いてひっくり返ることになる。
エリカはスカートをまくりあげた格好で、その場に倒れた。
「まあ、こういうことだ。五個の布帯は、いつでも好きなときに好きな組み合わせで拘束ができる。言っておくが、もう俺でなければ外せないぞ。だけど、装着しっ放しでも、布も肌も清潔に保てるように魔道も刻んでもらっている。心配するな」
「し、心配するなって……。ロ、ロウ様」
エリカは股を開いて上を向いた恥ずかしい恰好をなんとかしようともがいた。
だが、ただの柔らかそうな布なのに、まるで金属の枷を嵌められたかのようにしっかりとしているし、手足も離れない。
ロウはエリカの前に身体をしゃがませると、エリカの捲れているスカートの中に手を伸ばした。
このところ、エリカたち三人はロウが考えた──というよりは、ロウの前の世界の女が普通にはいている下着だと聞かされたが──横を紐で結んで身に着ける布片のような下着を身に着けている。
ロウはあっさりと紐を解くと、エリカの股間をむき出しにしてしまった。
そして、指をエリカの股間に這わせ始める。
「あっ、ああっ、ロ、ロウ様……ああっ」
エリカはたちまちに声をあげさせられた。
ロウはエリカの尻穴に指を挿し込んでエリカを身動きできないようにして、さらに反対の手で股間を弄び始めたのだ。
あっという間に、怖ろしいほどの量の快感の波がエリカを襲う。
「こうやって、お前たちが、俺に好きなときに遊ばれる仕掛けということだ」
ロウが笑いながら、エリカの股間を愛撫していた手で自分のズボンを緩めた。
しかし、もう一方の指はしっかりとエリカの尻穴に埋もれたままだ。
おそらく、指先に潤滑油のようなものも浮きあがらせているのだと思う。
媚薬も混じっているのかもしれない。
ただ挿し入れられているだけのお尻の穴からじんじんという疼きが拡がる。
ロウの肉棒が股間に突き入れられた。
「あはあっ」
大きな快感の衝撃で、エリカは声をあげてしまった。
やっぱりロウは凄い。
こんなにも簡単に快感に喘いでしまう自分の身体が信じられないが、それは事実だ。
コゼとシャングリアとミランダの視線を感じる。
彼女たちに見守られながら、自分だけがあられもない姿で犯されるというのはやはり恥ずかしい。
しかし、容赦のないロウの律動が開始されると、もうそれさえも忘れた。
ただただ気持ちよく、そして、気がつくと、もっと快感が欲しくてたまらなくなり、ロウの動きに合わせて腰を振っていた。
ロウに貫かれてよがり声をあげる時間が続く。
なにも考えられない。
「あはあ、うああっ、ああっ」
やがて、エリカは大きな快感の波に包まれて、拘束されている身体をのけぞらせた。
エリカは、あっという間に達してしまった。
「相変わらず、可愛いよがり方だ。精を放つぞ」
ロウが嬉しそうに笑って、エリカの股間に精を注いだのがわかった。
すると、再び唐突にエリカの四肢が自由になる。
「ああっ、ロウ様──」
すかさずエリカはロウの身体にしがみついた。
拘束されて一方的に犯されるのもいいが、達しながらロウに抱きつくのはもっと好きだ。
エリカは全身を震わせながらさらに声をあげた。
やがて、ゆっくりと衝撃が落ち着いてくる。
エリカはやっとロウから手を離した。
「淫乱なエルフ女ね」
コゼがからかいの言葉をかけてきた。
「ほ、放っておいてよ」
ロウがエリカから離れたので、エリカは慌ててスカートを戻して、犯された股間を隠した。
「……ところで、ロウ、あんた、エリカたちに頼みごとがあるんじゃなかったの? 本当に、あんたにそんなことができるとは思わないけど、あんたが、さっきの言葉を実現できたのなら、約束通りにギルドの至宝を渡すわ。その代わり、あたしが賭けに勝ったら、もう二度と至宝のことは持ち出さないで──。いいわね」
ミランダが声をかけてきた。
賭け?
どうやら、さっきも口にしていたが、ロウとミランダは、結局、ギルドの宝物について、賭けをした気配だ。
「ああ、さすがに俺も二言はない。約束は守る。しかし、ミランダも守れよ。俺が女たちの責めを我慢したら、ギルドの宝物は渡すんだ。まあ、問題ない。アネルザに手渡すのは、一時的なものだ。必ず、あとで取り返してやるから」
「賭けに勝ってから言うのね。まあ、いまの様子なら、絶対に無理だと思うけどね」
ミランダが長椅子に腰かけたまま、呆れた顔で言った。
やはり、賭けをしたのだ。
ロウがミランダをこの屋敷の地下の調教室に連れ込んで、王妃工作に必要な宝物のことを「説得」したのは承知していたが、結論としては、それはふたりの賭けの結果ということになった気配である。
「一緒に、調教室に来てもいいんだぞ、ミランダ」
「結構よ。ここで待っているわ。だけど、おかしな技でエリカたちと口裏を合わせるのだけは駄目よ。インチキはしない。それは約束しなさい、ロウ」
「いいとも──。ミランダこそ、本当に賭けを忘れるなよ。絶対に約束したからな」
ロウが微笑みながらミランダを睨んだ。
その顔には不敵な笑みが浮かんでいる。
なんだろう……?
「ロウ、賭けとはなんなのだ? 王妃殿下工作のことだろう?」
シャングリアがエリカと同じ疑問をロウにぶつけた。
「その通りだ、シャングリア。ミランダと賭けをしてな。ミランダは俺には務まらないというんだが、ちゃんとそういうこともできるなら、王妃工作に必要な宝物を貸すということになっている。とにかく、王妃と会うきっかけを作らないとならない。ギルドから宝物を借りるのは、その工作の一環なんだ」
「はあ……」
シャングリアも生返事だ。
王妃工作はいいが、エリカだって、賭けだのなんだのというのが釈然としない。
まあ、イザベラ王女のための宮廷工作の鍵なのが、王妃のアネルザだというのは、すでにエリカたちも説明を受けた。
王妃には、かなりの人脈もあり、国王にだって影響力を持つ。
アネルザ王妃が味方になれば、王妃の人脈ごと、キシダイン派がイザベラ派に転向してくる。
ロウの狙いはそれであり、ロウはおそらく、淫魔術で王妃を落とすつもりなのだと思う。
そのためには、まずは会うきっかけを作らないとならないが、ロウはミランダに頼んで、冒険者ギルドの珍しい宝物を一時的に借りて、外国の商人にでも化けて、献上する場を作るのだと言っていた。
だが、ミランダが嫌がったので、説得と称して、ミランダを地下に連れていっていた。
どうやら、「賭け」の結果ということになったようだが……。
「とにかく、今夜は特別だ。三人で俺を調教するんだ。容赦なくいたぶれ。俺がお前たちの奴隷役ができるなら、このミランダは王妃工作に一枚も二枚も手を貸そうということになってな」
ロウはそう言うと、いきなり次々に服を脱いで全裸になって、その場に正座をすると、床に手を着いてエリカたちに深々と土下座をした。
エリカは呆気にとられた。
「どうか調教をお願いします、女王様方」
ロウがちょっとお道化た口調で、頭を床に着けて言った。
エリカは驚愕した。
「この鬼畜男が、自分の女の奴隷役ができるとは思わないけど、もしも、それができるなら、ギルドの宝物を貸すということになったのよ。まあ、こいつにはさっき酷い目にあったけど、たまには自分も同じ目に合うのであれば、あたしの溜飲も下がるというものよ……。というわけだがら、容赦なくやっつけてやって、みんな」
ミランダがけらけらと笑った。