※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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141 悪戯な日常と突然の非日常

「よし、“よーい、どん”でスタートだ。負けた女はクリ皮切除が待っているぞ。もちろん、あとで淫魔術で治療はするけど、三日は我慢してもらうからな。そんな身体にして欲しくなかったら、ビリにはならないように頑張るんだ」

 

 ロウが笑いながら言った。

 スクルズは股間に食い込んでいる縄の疼きに耐えながら、ロウの理不尽な宣言を聞いていた。

 

 ロウたちの住んでいる幽霊屋敷だ。

 いつものように、昼の務めが終わってから、夕方になったところで転送術でロウの屋敷にやって来た。

 すると、ロウがいつもの三人の性奴隷を集めて、「なわでんしゃ競争」などということを思いついたからやると宣言していた最中だったのだ。

 それで、魔道で転送してやってきたスクルズも、当然のように参加させられることになり、いまやらされているところである。

 まあ、ロウの女であれば、珍しくはない破廉恥遊びであり、過激な罰もいつものことだ。

 

 いずれにしても、よくわからないが、ロウにいきなりいつもの地下の「調教室」に連れ込まれ、説明もないまま下半分だけをすっぽんぽんにされて、壁に張った縄を跨らされた。

 しかも、腰の括れの後ろで両腕を水平に重ねられ、革帯を巻かれて拘束もされてしまっている。

 嫌も応もない。

 スクルズだけでなく、エリカたち三人も、突然に思いつかれたみたいであり、スクルズ同様に、よくわかってないみたいだ。

 とにかく、説明はやりながらすると言われて、スクルズが先に縄に跨らされた。

 最初の対戦相手は、コゼのようであり、いまは、コゼが準備できるのを待たされているところだ。

 

「あ、あのう……。で、でも、こ、この縄……。なんか変ですわ。な、なんだか、か、痒いような……」

 

 スクルズはどうしても動いてしまう腰を、悶えるようにさせながら言った。

 縄はスクルズの腰ほどの高さがあるので、跨ればどうしても股間にきつく食い込んでしまう。 

 しかも、縄には油剤のようなものを塗っているらしく、てらてらと光っている。

 それはともかく、この粘性の油剤はおかしい。

 ロウに言わせれば、繊細な股間の粘膜を縄が傷つけないように、潤滑油を塗っているということだったが、こうやってじっとしているだけで、縄が触れている股間がかっと熱くなり、じんじんという疼きが大きくなってくる。

 絶対に得体の知れない媚薬かなにかを塗っているに決まっている。

 そうでなければ、なにもしていないのに、こんなに追い詰められた感じになるわけがない。

 

「もちろん、俺の特性の油剤だよ、スクルズ。股に縄を擦りつけたくて仕方がなくなるように細工をしてるさ。やる気が出てきたろう?」

 

「あ、ああ、やっばり……」

 

 スクルズは身体をくねらせるようにしながら息を吐いた。

 とにかく、股間から、どんどんと得体の知れないむず痒さが拡がってくる。それが、どうしてもスクルズの全身を身悶えさせてしまう。

 スクルズは、少しでも刺激を和らげようと、つま先立っている脚を懸命に上にあげた。

 

「あ、ああっ、ご、ご主人様──。あ、あたし、背が低いから、同じ高さなんて、ず、ずるいです」

 

 隣の縄に跨らされたコゼがすぐに不平を言った。

 

「それもそうだな。じゃあ、ハンデをつけよう」

 

 ロウが笑いながら、ぽんとスクルズの下腹部に触れた。

 

「あっ、ロ、ロウ様、な、なにを──?」

 

 次の瞬間、スクルズの股間に強い尿意が沸き起こった。

 

「よし、これでいいか。じゃあ、ふたりとも、準備はいいですか。先に反対の壁にある鈴を舌で鳴らした方が勝ちだ。ただし、途中で達してしまったら、その場で失格……。さらに、スクルズは、途中で漏らしても失格だからね」

 

「うう……」

 

 スクルズは呻いた。

 淫魔術とだとは思うが、ロウに下腹部を触れられて、急に猛烈な排尿感に襲われたのだ。

 ロウは魔道を遣えないと日頃言っているが、淫魔師だというロウは、事実上は超一流の魔道遣いだ。

 今回の罰だって、クリトリスの包皮切除とのことだが、切断するのはともかく、元に戻すのは、スクルズでさえかなりの魔力を消費する高等治療術だ。

 しかし、ロウは同じようなことを一瞬でする。いつも、感嘆する。

 

 それにしても、強い尿意だ。

 襲ってきたものを我慢するのに精一杯で、スクルズだけにおかしな尿意を付け足されたことに抗議する気にもなれない。

 

「コ、コゼ、あんた、狡いわよ」

 

「そうだ──。そもそも、ロウはコゼにいつも甘い。不公平だ」

 

 そのとき、壁際で次の競争の待機をしているエリカとシャングリアが不平を言い始めた。

 このふたりも、腰から下にはなにも身に着けていない。

 まともに服を着ているのは、ロウだけだ。

 

「う、うるさいわよ。いいじゃないの」

 

 コゼも言い返した。

 

 いつもながら、こんな淫らで破廉恥な遊びばかりやっているくせに、この四人は仲がいい。

 スクルズも羨ましくなる。

 もっとも、ロウと関係するようになってから、ベルズとはすっかりと昔のような親友の関係に戻れたし、いろいろと悶着が続いていたウルズは、妙なかたちにはなったが、少なくとも争い合う関係ではなくなった。

 幼児返りしたウルズに、“すーママ”と呼ばれて頼られるのは、なんともいえない幸福感を覚える。

 これもロウのおかげかもしれない。

 

 それにしても、このところ思うのだが、ロウの鬼畜度は、ますますひどくなるような気がする。

 少し前は、まだ、スクルズやベルス、あるいは、三人の性奴隷たちに気を遣う感じもあった。

 だが、最近は容赦のない鬼畜さが増していると思う。

 いや、鬼畜さだけでなく、好色度もだ。

 もちろん、不満はない。

 それどころか、ますますロウに傾倒していく自分を感じる。ロウに意地悪をされると思うとわくわくする。だから、昼間も朝も夜も、常にロウと一緒にいる三人がすごく羨ましい。

 

「じゃあ、よーい、どん」

 

 部屋に張られた二本の縄の真ん中にいるロウが両手を拡げて、二本の縄をびんと揺すった。

 

「ううっ」

「はあっ」

 

 スクルズは、食い込んでいる縄に大きな食い込みを受けて思わず声をあげた。コゼも悲鳴のような呻きをあげている。

 とにかく、前に……。

 しかし、スクルズはたったいままでなかったものが、張られている縄に存在しているのを見て、驚いてしまった。

 

「わっ、こ、これなんですか、ご主人様?」 

 

 コゼが声をあげている。

 スクルズも眼を見張った。

 縄のところどころに、ウズラの卵のような丸い物が上を向いて密着している。

 しかも、ぶるぶると振動をしている。

 あれは、ロウが作ったとかいう淫具で「ろーたー」とかいう責め具ではなかっただろうか……。

 とにかく、スクルズは呆気にとられた。

 縄で股間を擦られながら、しかも、尿意に耐えて進むだけでもつらいのに、あんな淫具で振動を受けながら進むなど、最後まで耐えられるだろうか。

 

「なんだと質問されてもなあ……。見たとおりの淫具だよ。亜空間にしまってきたものを粘性体で貼りつけただけだ。それよりも、どうした、ふたりとも? もう、始まっているぞ」

 

 ロウが意地悪く微笑んだ。

 仕方ない……。

 とにかく、前に……。

 

 このロウのことだから、負ければ、本当にクリトリスの包皮を切除するのだろう。

 そんなことをされれば、さすがに神殿の勤めに支障があるので、負けるわけにはいかない。

 とにかく、スクルズは縄が股を擦る痛みと妙な疼きに耐えて、前に進む。

 また、進みながら、横目でコゼを見た。

 苦しそうだが、コゼも少しずつ前に進んでいる。

 スクルズも、負けじとつま先立ちの脚を前に出していく。

 

「ううっ」

 

 縄が食い込む。

 突きあげるような痛みと疼きが全身に走る。

 それでも、なんとか少しずつ進む。

 だが、だんだんと最初の淫具に近づくにつれ、それが生む振動が縄から股間に伝わってくる。

 

「あんっ、んんんっ」

 

 声が出てしまう。

 しかも、ずんずんと突きあげるような刺激が尿意を誘う。

 やがて、振動をしている卵型の淫具の上に股間がやってきた。

 縄に密着した淫具の振動がスクルズの敏感な部分に直撃する。

 

「はあああっ」

 

 横からコゼの大きな悲鳴が聞こえてきた。

 コゼも最初の淫具に差し掛かったのだとわかった。

 スクルズは歯を食い縛って前に進む。

 

「くううっ」

 

 敏感な肉芽を淫具の振動が襲った。

 淫具の振動は、まずは肉芽を刺激し、スクルズが前に進むにつれて、秘肉、お尻にまで淫らな振動の刺激を順番に送り込む。

 

「んんああっ、こ、こんな……」

 

 そして、受けた振動はすぐに甘い痺れに変化する。

 だが、気を抜くことは許されない。

 股間から力を抜くと、いまにも股間から尿が迸りそうだ。

 それでも、なんとか一個目の淫具を突破した。

 

 だが、二個目がすぐ待っていた。ふと見ると、さらに前にもあり、どうやら、ロウがどんどんと増やしているみたいだ。

 そして、二個目……。

 

「ああ、いやあっ、だ、だめえっ」

 

 スクルズは恥ずかしい悲鳴をあげてしまった。

 だが、それでも進んでいく。

 だんだんと腰の力が抜けて、つま先立ちを支えられなくなる。

 しかし、力を緩めると股間の食い込みが大きくなり、さらに快感を呼び起こしてしまうだろう。

 なんとか、いまの高さを守る。

 

 それにしても、おしっこが洩れそうだ。

 スクルズは、懸命に進んだ。

 やっと、二個目が終わる……。

 すぐに三個目……。

 

「ほらほら、進めよ。どんどんと淫具は増えるぞ」

 

 少し先にいるロウがどんどんと亜空間から淫具を出して、縄に増やしている。

 しかも、縄に塗られている油剤が痒い。

 じっとしていると、脳天に突きつけるようや痒みが襲う。だから、とまるわけにもいかなくなってくる。

 しかし、淫具が股間に食い込むたびに、稲妻のような痺れが背骨を駆け抜ける。

 

 いずれにしても、とにかく、いかなかきゃ……。

 向こう側まで……。

 考えていたのはそれだけだ。

 スクルズは艶めかしい声をあげながら、憑りつかれたように、縄を擦りながら、前に、前にと進んでいった。

 

 やがて、壁が近づいてきた。

 もう、スクルズは息も絶え絶えだ。

 横を見る。

 コゼは、ほとんどスクルズと同じくらい進んでいる。

 

 先に壁に……。

 鈴を見る。

 もうすぐ……。

 スクルズは身悶えを続けながら脚を進めた。

 

 もう、ちょっと……。

 

 壁にぶら下がっている鈴を舌で鳴らせば勝ちだ。

 スクルズは、さらにぐいと前に出ながら、思い切り身体を前に倒した。

 

 そのときだった……。

 いつの間に、こんなに増やしたのか、ゴール付近では縄に密着している淫具がほとんど隙間なくびっしりと連続で密着していた。

 前に集中してたので、気がつかなかった。

 気がつくと、すでにそこに股を挟ませていて、振動をする淫具と淫具のあいだに、陰核そのものが挟まってしまった。

 

「ああっ、ひぐうっ、ひいいい」

 

 身体の中でもっとも敏感な陰核を前後の振動で挟まれてしまったスクルズは、ほとんど絶叫に近い悲鳴をあげた。

 なにが起こったかわからなかった。

 突然に頭が真っ白になり、身体が大きく反り返った。

 大きな快感の波がスクルズの全身を突き抜けていく。

 

「んふうううっ」

 

 スクルズは縄の上で身体を弓なりにして、全身を痙攣させた。

 達したのだ……。

 辛うじて残っていた理性がそれを自覚する。

 同時に生温かいものが脚のあいだを流れていくのがわかった。

 失禁もしてしまった。

 

「ああっ……」

 

 叫んだが、もう遅い。

 一度出してしまった尿を途中でやめることなどできない。

 縄を汚しながら、スクルズの脚の下に尿の水たまりが拡大していく。

 

「ああっ、も、申しわけ……」

 

 達したうえに、失禁までしてしまったのだ。

 スクルズはショックで泣きそうになった。

 その直後、股間に加わっていた圧迫感が消滅した。

 縄が床に落ちている。

 どうやら、ロウが解放したようだ。

 がくりと脱力したスクルズは、その場にしゃがみ込んだ。

 だが、尿の溜まった床に尻もちをつく前に、ロウにがっしりと身体を掴まれる。

 

「……コゼの勝ちだな。負け残りだから、決勝戦に出場だよ、スクルズ……。じゃあ、負けた罰だ。俺に犯されてもらう」

 

 抱き締められたまま腕の拘束を解かれ、尿で汚れた場所を避けるようにして、床に寝かされた。

 いつの間にか下半身を露出しているロウに、そのまま覆い被されてしまった。

 

「あっ、ま、待ってください。わたし、汚いですから」

 

 スクルズは狼狽した。

 なにしろ、たったいま、縄を股間に食い込ませたまま、おしっこをしてしまったばかりだ。

 股間はスクルド自身の尿で汚れている。

 

「スクルズのおしっこなんて、ちっとも汚くないさ。それよりも、次は頑張れよ」

 

 ロウの怒張が股間に入り込んできた。

 亀頭の先端が、スクルズの感じる場所を的確に擦り動く。

 

「あ、ああっ、あああっ」

 

 巨大な甘い痺れが下腹部から全身に拡がる。

 耐えることなど不可能な声が口から迸る。

 あまりの気持ちよさに、スクルズはロウの背中を思い切り抱き締めた。

 

「えっ、負けた方が、お情けなんですか?」

 

 すぐ横で、コゼの呆気にとられたような声が聞こえた。

 コゼもまた、拘束は解かれている。

 

「へえ、だったら、わたしも負けようかな……」

 

「なに言ってんのよ、シャングリア。負けたりしたら、ロウ様の罰よ……。まあ、負けてくれるのは嬉しいけど」

 

「だが、逆にいえば、ロウがずっと調教してくれるのだろう? それも悪くないなあ」

 

「あんた、根っからのまぞっ子なのね」

 

 これは、シャングリアとエリカの声だ。

 しかし、思念はそこまでだ。

 子宮の直前にロウの怒張が届いてずんという衝撃を感じると、スクルズはもうなにも考えられなくなった。

 そして、律動が始まる。

 

「ああ、んくうっ、ああ、き、気持ちいいです、ロウ様、ああっ」

 

 もう、なにがなんだかわからない。

 ロウとの性交はいつもそうだが、大きな快感が次から次へと津波のように襲って、一切の思考ができなくなるのだ。

 あとは、本能の赴くままに身体をうねらせ、腰を振る自分があるだけだ。

 

「えっちな巫女様だね。本当に気持ちよさそうだ」

 

「ああっ、は、はい。え、えっちなスクルズです。ああっ、気持ちいいです。ああっ、そこは──」

 

 えっちというのは、ロウの言葉で好色の意味らしい。だったら、スクルズはえっちな好色者に間違いない。

 ロウに意地悪されるのも、もちろん犯されるのも、スクルズは大好きだ。

 そして、ロウの怒張の先端がスクルズの膣のある一点を突いたとき、電撃を帯びたような痺れが股間から背中を伝い、さらに全身を包む。

 自分でも呆れるくらいの短さで、スクルズは快感の頂点に達しそうになった。

 

「んぐうううっ、あはああああっ、いくっ、いくっ、いく、いく、いきます、ロウ様ああ──。いきますうっ」

 

 頭が白くなる。

 全身が弾けるような感覚が襲う。

 腰が砕ける。

 そして、大きな衝撃が駆け抜けると、じわじわと身体が宙に浮いているような途方もない恍惚感がスクルズに拡がる。

 スクルズは力の限りロウを抱き締め、そして大きな絶頂感に身を委ねた。

 

「お、俺もいくよ……」

 

 ロウがさらに強く律動をする。

 

「き、来てください」

 

 スクルズは叫んだ。

 すぐに股間にロウの精の迸りを感じた。

 

 二射……。

 三射……。

 四射……。

 

 幸福感がスクルズを包む……。

 ロウは終わったようだ……。

 でも、スクルズの快感はまだまだ続いている。

 幸福な快感の余韻に浸りながら、ぎゅっとスクルズはロウを抱き締めた。

 

「ほら、スクルズ……」

 

 ロウがスクルズの顔に唇を寄せてきた。

 口の中に入ってきたロウの舌をスクルズはむさぼる。さらに快感が拡がる。

 そして、ロウがスクルズから身体を離した。

 

「はあ、はあ、はあ……。あ、ありがとうございます……」

 

 スクルズは思わず言った。

 

「犯されてお礼を言うとは、敬虔な巫女様ともらしからぬ、はしたなさだな」

 

 ロウが苦笑している。

 

「あん、やっぱりずるいです。負けた方がお情けだなんて」

 

 コゼだ。いつの間にか、すぐ横にいる。

 

「じゃあ、勝ち残りの試合もするか。一番に勝ったら、挿入しながら寝ることにしよう。コゼはそれが好きだものな」

 

「やったね。じゃあ、頑張ります」

 

 コゼが嬉しそうに破顔した。

 そして、スクルズも思わず、ロウに向かって身を乗り出した。

 

「ロ、ロウ様、そ、それ、わたしもして欲しいです。まだ、やってもらったことありません」

 

「あんたは負けたんでしょう――。とにかく、ご主人様、お掃除しますね」

 

 コゼがスクルズとの性交で汚れたロウの男根を口で掃除しはじめた。

 

「スクルズもそんなことしたいのか?」

 

 ロウがコゼの奉仕を受けながら笑った。

 

「だ、だって、気持ちよさそうなんですもの……。そ、それに、ロウ様の精は、わたしの魔道に大きな活力を与えます」

 

 事実だった。

 ロウと関係を持つようになり、スクルズは自分の魔力が桁違いに強くなったのを感じていた。

 やはり、この男は不思議な男だ。

 

「そういえば、姫様のサロンに、昼間は顔を出してくれたんですよね。どうでした?」

 

 ロウが訊ねた。

 一方で、ロウはコゼの頭を軽く押さえて、離れないようにしている。お掃除フェラとかいっていたが、どうやら、ロウはそのまま、コゼから精を出すまでさせることにしたみだいだ。

 コゼの舌奉仕も本格的なものになってきている。

 

 また、サロンというのは、今日から定期的に始めることになった、女豪商マアによる王女への勉強会だ。

 ロウが思いつき、王妃がこっそりと手配したものであり、自由流通を始め、時勢に精通しているマアが、王女とともに、王女が選んだ同世代の令嬢にその知識を教育するというものだ。

 マアを取り込んだあの日から、半月ほど経ったが、やっと態勢が整い、今日から始めることになった。

 イザベラ王女の勉強も目的だが、貴族界で孤立無援の王女が、貴族の中に少しでも人脈が増やせるようにというロウの配慮だ。

 

 そして、スクルズが、そこに今日行ったのは、ロウの淫魔術ですっかりと若返ったマアに施した「欺騙リング」の確認のためだった。

 さすがに、三十歳以上も若くなったことを明らかにするわけにいかないので、年相応の外見に見えるように魔道具で調整をしたというわけだ。

 それでも、四十台くらいにしか見えず、マアを以前から知っていたイザベラは驚いていたが、本当は三十歳にも見えないくらいに若い外観だと知れば、腰を抜かしたかもしれない。まあ、集まった令嬢たちはマアには会ったことなかったようであり、マアのことを見た目どおりの年齢と思ったようだが……。

 

「姫様は愉しそうでした。勉強会の後でお茶会をしたりして、いきいきとしてましたわ。もっとも、上級貴族の家からは参加してないので中級貴族の子女様たちばかりになりましたけど」

 

 スクルズは、今日集まった令嬢たちの名を言った。

 サンドベール伯爵家エミールとカミール姉妹、モンベール伯爵家アドリーヌ、ほかに……。

 でも、ロウは貴族関係には疎いようで、名を出してもよくわからないみたいだった。

 

「まあ、いいや……。姫様が愉しそうなら、それだけでもよかった。おマアには、またお礼をしないとな」

 

「喜びますわ」

 

 スクルズはにっこりと微笑んだ。

 そのときだった。

 部屋の中に赤い球体が突然に浮かびあがり、ぽんと弾けたのだ。

 スクルズはびっくりした。

 

 これは、神殿からのスクルズに当てた緊急信号だ。

 神殿に異常事態があったことを知らせる魔道であり、スクルズがどこにいても、追いかけてきて、目の前で弾けるようになっている。

 色によって緊急度が異なるが、赤い球体は最高度の危険があったことを知らせる合図だ。

 

「ロウ様、申しわけありませんが、なにか神殿にあったようです。途中ですが、戻らなければなりません」

 

 スクルズは気だるさに耐えて立ちあがった。

 

「わかった。待ってください」

 

 ロウのいままでの朗らかな表情が一変して、真顔になった。

 スクルズの様子から、異常事態だということを理解してくれたのだろう。

 ロウが、コゼに声をかけて自分の股間から離れさせ、ズボンをはきなおしながら、スクルズに近づく。

 スクルズは壁の端に畳んで置いてあった巫女服の下を身につけようとしていたが、やってきたロウに身体を触られたとき、すっと身体の力が戻ったのがわかった。

 やっぱり、ロウはすごい。

 

「ありがとうございます、ロウ様。では、神殿に戻ります。シルキー殿、結界を解放してください」

 

 スクルズはここには姿を見せていない屋敷妖精のシルキーに言った。

 姿はなくても、屋敷妖精は常に屋敷全体を魔道で監視している。

 おそらく、聞いているだろう。

 そもそも、神殿からの緊急信号も、シルキーが侵入を許したから、屋敷内に伝わったのだ。そうでなければ、神殿に残っている者くらいの力では、屋敷妖精の結界に対処できない。

 すぐに、屋敷を包んでいた大きな力が束の間消えるのを感じた。

 屋敷を守っている屋敷妖精が魔力を消してくれたのだ。

 これで、移動術で跳躍して神殿に戻れる。

 

「ええっ、負け逃げ? それはずるいよ」

 

 コゼが声をあげた。

 

「仕方ないだろう。お前は負け残りとして、決勝戦に居残りだ」

 

 ロウが笑った。

 

「そんなあ。じゃあ、勝ち残りのご褒美はどうなるんですか?」

 

 ロウの言葉に、コゼが不満そうな声をあげた。

 

「勝ったら、ご褒美をやるよ、コゼ」

 

 ロウが笑っている。

 スクルズももらい笑いをしてしまった。

 

「では、皆さん、これで失礼します」

 

 一礼をして、スクルズは移動術を行った。

 

 

 *

 

 

 一瞬にして、目の前の景色が消滅し、神殿の庭の景色がそれに変わる。

 すぐに、血の匂いがした。

 そして、夜の神殿の前庭のはずだが明るい。

 どうやら、庭のあちこちにかがり火が炊かれているようだ。

 

「えっ、なに? なんですか、これは?」

 

 そして、スクルズは声をあげた。

 庭全体のあちこちで、大勢の神殿の警護兵が血を流して倒れていたのだ。

 誰も彼もが身体のあちこちを無残に斬られていて虫の息だ。

 それを治癒能力を持つ巫女や神官が治療にあたっている。

 

「な、なにがあったのですか?」

 

 スクルズは怒鳴った。

 

「あっ、スクルズ様──」

 

 ひとりの巫女がスクルズに気がついて叫んだ。

 

「……突然に、小さな女の子を連れたひとりの賊が襲ってきて……」

 

 その巫女が言った。

 

「ひとりの賊?」

 

 スクルズは怪訝に思った。

 ここには、宮廷の衛兵の能力に匹敵する実力を持った神殿兵が護っている神殿だ。

 そこをたったひとりで襲う?

 信じられなかった。

 

「それよりも、奥で神殿長様が──」

 

 別の巫女が叫んだ。

 確かに神殿の入り口付近で大きな人の塊がある。

 嫌な予感がした。

 強い血の匂いがそこからも漂ってくる。

 スクルズはそっちに向かって駆けた。

 

「どいて──。スクルズです。どいてください」

 

 人の群れに着くと、スクルズは大きな声をあげた。

 

「あっ、スクルズ様、いままで、どこに?」

 

 誰かが言った。

 そして、スクルズを認めた神官たちが、さっと両側に避ける。

 

「きゃあああ──神殿長様──、副神殿様──」

 

 スクルズは絶叫した。

 そこには、手足と首を胴体から切断されているふたりがいた。

 神殿長と副神殿長が、すでに死骸に変わっているのは明らかだ。

 魔道の治癒の限度はすでに越えている。

 

「……見知らぬ男が突然にやってきて、イチという冒険者を出せと……。スクルズ様を助けた男だから、スクルズ様なら居場所がわかるはずだと叫んで……。イチという男は知らないし、スクルズ様もいない。冒険者なら冒険者ギルドじゃないかと応じると、突然に暴れだして……。神殿の兵では歯が立たず、応戦しようとした神殿長様と副神殿様も……」

 

 真っ蒼な顔をしている神官が言った。

 スクルズよりも年配だが、神殿の地位としては、スクルズに次ぐ男だ。

 だが、イチ?

 スクルズを助けた?

 それって、もしかして……。

 そして、スクルズがいなかったために、こんな惨状に?

 スクルズは激しく後悔した。

 

「そ、それで、その男はどこに?」

 

「そいつは、荷を抱えさせた女の子を連れて出ていきました……。その男はふざけた態度で、もはや抵抗できない副神殿長様と神殿長様をばらばらに斬り刻んでから……」

 

 その神官が口惜しそうに答えた。

 スクルズは呆然とした。

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