【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ああ、ゆ、許して、許してください、こ、このようなこと、いやあっ」
ハロルド公キシダインの妻であり、現国王ルードルフの第一王女であるアンは、寝台に拘束された四肢に繋がれた鎖をじゃらじゃらと鳴らしながら、必死の口調で哀願した。
素裸で寝台に拘束されているアンを抱いているのは、キシダインが連れてきた今夜の客人のデュセル侯爵だ。
裸身のアンの四肢を寝台の四隅に拘束しているといっても、手首と足首の枷に繋がっている鎖には、かなりの余裕がある。
だから、手足を完全に縮めることはできないものの、ある程度の自由は利く。
従って、裸体をまさぐられるアンは、右に左にと身体をよじって、デュセルの破廉恥な手管を避けようとすることはできる。
その必死に嫌がる姿が、なかなかに風情がある。
この二年で、すっかりと調教されすぎて、物足りなさを感じていたところだけに、久しぶりに本気で拒絶の態度を示すアンの姿は新鮮でよかった。
キシダインは、「寝取らせ」の愉しさに、少し愉快な気持ちになっていた。
キシダインの屋敷であり、屋敷の最奥にある「奥の院」と呼んでいる夫婦だけの私的空間だった。
奥の院については、キシダインの家人の中でも、特に信頼のおける者しか入ることはできない。
妻のアンには、結婚以来、ほとんどの時間をここですごさせている。
仲のいい夫婦──。
世間的には、キシダインとアンは、そのように評価されていると思う。
だが、実態としては、一匹の性奴隷とその飼い主という関係だ。
アンとキシダインの本当の関係を隠すために、キシダインはこの贅を尽した「奥の院」を作り、そこにアンを閉じ込めているのだ。
キシダイン邸の「奥の院」の荘厳さと豪華さは有名なので、キシダインの妻になった第一王女のアンがほとんどそこから出てこないのは、余程にこの空間が好きなのだと思われていると思う。
しかし、本当は、魔道を遣うことができないアンをキシダインが魔道の力で監禁しているのだ。
アンは、キシダインに刻まれた魔道により、キシダインと一緒でなければ、絶対に奥の院から外には出られない。そして、この奥の院には、この中で行われていることを絶対に他言しない者しか入室もできない。
入室するためには、秘密を暴露できないように、魔道の操心術を施すのが条件だ。
家人のすべてには、その操心術を刻んでいるし、いま目の前でアンを抱いているデュセル卿にも、操心術を受け入れさせた。
美貌で貞節と有名な、アン王女の身体をむさぼれるとあっては、好色で有名なデュセルは、喜んでキシダインの魔道を受け入れた。
だから、この屋敷の秘密が洩れることはない。
また、キシダインは、この「奥の院」をその名では呼ばない。
「座敷奴隷の間」──。
それが、この場所の本当の名称だ。
「ああ、あなた、ゆ、許してください。ほ、ほかの殿方にわたしを抱かせるなど……。あっ、ああっ……。ひ、ひどい、ひどいです……」
アンが泣き叫んでいる。
二年をかけて、徹底的な色責めにして、すっかりと淫欲の虜にしてしまったアンだが、キシダイン以外の男に抱かせるのは初めてだ。
デュセル卿は、南域の地方領主のうち、もっとも権勢のある貴族であり、「キシダイン派」とも称されている、キシダインが次期国王になるのを後押ししてくれている勢力のひとりだ。
この男を完全に取り込むことができれば、少なくとも南域地方の各領主については、次期王太子の座を争う競争において、第三王女のイザベラではなく、キシダインを推薦することでまとまるだろう。
キシダインは、南域工作をすることを条件に提供した妻のアンを裸のデュセルが抱くのを、葡萄酒を愉しみながら、冷ややかに見守っていた。
デュセルの手が、ねっとりとキシダインの妻の乳房を弄り、下腹部をまさぐっている。
アンには、事前にたっぷりと強力な媚薬を飲ませていた。
どこをどう触られても、ただれるような淫情を感じてしまうアンは、夫の前でほかの男に抱かれるという屈辱に、せめて、あられもない痴態だけを示すのは防ごうと、必死になって込みあがる快感に耐えようをしているようだ。
だが、あの調子では、アンが自制を失うのは時間の問題だろう。
この二年間、ずっとアンを調教してきたキシダインには、それがよくわかっていた。
もともと、アンは、現王を父とその正妻のアネルザのあいだに生まれた第一王女という、この国でもっとも高貴な姫でありながらも、気立てがよくて優しく、さらに、おしとやかな性格だった。
王族とはいえ、所詮は世間知らずの姫だ。
そのアンを徹底的な調教によって完全に支配下に置くのは、難しい仕事ではなかった。
徹底的な鞭──。
それをひたすらに繰り返し、キシダインに屈服させて、心の底から依存させる。
これで、アンは堕ちた。
もういまでは、実は夫であるキシダインに、酷い目に遭わされているという事実を、父である国王はもちろん、母親のアネルザにさえも訴える気もないだろう。
もっとも、その意思があったところで、それは不可能だ。
キシダインは、自分の魔道で、アンにある特殊な暗示をかけていた。
自身の窮状を他人に訴えようとすると、息ができなくなるという魔道だ。
言葉にするだけでなく、文字で訴えることも、間接的に誰かに認識させようとすることもだめだ。
アンがこの奴隷状態を脱しようとする意思を抱いてしまうと、アン自身の身体と心がそれを感知して、呼吸を停止させるのだ。
最初の一箇月で、すっかりとそれを身体に刷り込まれたアンは、いまでは、逃亡や脱出の意思さえ持つことができないキシダインの「奴隷人形」だ。
しかし、そんなアンだが、夫の前で他人に抱かれてよがり狂うのだけは、どうしても嫌なようだ。
久しぶりに激しい抵抗を示すアンの姿に、キシダインは興も冷めたと思っていた妻に、新たな責めの愉しさのようなものを感じ始めていた。
「寝取らせ」──。
本来は、その生まれながらの高貴さで、夫であるキシダインさえも、頭を下げなければならないはずのアンを、こうやって恥辱の涙を流させることができることで、キシダインの屈折した征服欲は大いに満足している。
「ほっ、ほっ、ほっ、なかなかに暴れる王女殿ですなあ。アン王女様、ご承知でしたか? このわしは、アン様が少女時代から、その可憐な姿に恋い焦がれておったのですよ。しかし、あの清楚な外見の内側に、このような淫乱な雌の姿が隠れていたとは知りませんでした」
デュセルがアンの乳房を揉み込みながら、もう一方の手を開き切った内腿に這わせている。
媚薬の影響により、アンの下腹部は真っ赤に熟れ、おびただしいほどの愛液をたらし続けている。
「あ、ああっ、わ、わたしは……、い、淫乱などでは……、あふううっ」
そんな股間を妖しくデュセルに撫ぜあげられて、アンはついに大きな嬌声を部屋に響かせた。
「はしたない声をあげるな、我が妻よ。これは、ひとつの試験だ。お前が破廉恥で淫乱な雌でないというのであれば、そのデュセル卿の愛撫に耐え抜いてみせよ。他人に抱かれて達するなどはしたない姿を見せるなよ」
キシダインは酒のつまみである果実を口にしながら笑った。
もちろん、そんなことが不可能であることは、キシダインは知っている。
デュセルに抱かせる前に、アンに服用させた媚薬は、閉経した老婆でさえも、悶え狂うような強力なものだ。
それをまだまだ若い女であるアンが耐えられるわけがない。
いままで十分に頑張ったくらいであり、もはや時間の問題だ。
「そ、そんな、あ、ああっ、そ、そんな……」
「そんなではないわ。最後まで気をやらずにいられたら、お前が、妻として扱われるのが相応しいのだとみなして、これからは、お前の望み通りに、そのように扱ってやる。だが、慎みもなく、私の前で他人の手により達しようものなら、やはり、お前はその程度の女だ。これからは、私が客人をもてなすための接待奴隷として奉仕させる。だから、最後まで自分を保ってみせよ」
「ああ、だ、だって……」
アンはぶるぶると腰を震わせて、激しく首を振った。
「これは、とんだ難事を言い渡されてしまいましたなあ。それでは、アン王女様があくまでも、わしの愛撫に耐えてしまっては、アン王女様の子宮にわしの精をぶちまけることができないということになったのですかな? ならば、わしの技巧のすべてを使って、アン王女様を征服してみせましょう。でも、慎み深いアン王女様ですからな。わしの愛撫程度に屈することはないかもしれませんなあ」
デュセルがお道化た口調で言った。
キシダインは苦笑した。
アンが媚薬漬けで、いますぐにでも絶頂するくらいに追い詰められているは、デュセルもわかっている。
わかったうえで、アンの恥辱を増幅させるために、あんな物言いをしているのだ。
「ああっ、ひ、卑怯です……。こ、このような淫らな薬を飲まされては……」
アンが必死に歯を食い縛りながら呻いた。
「わかった、わかった。だが、感じているのは、お前の身体であろう。じゃあ、我慢してみせよ」
キシダインはわざと突き放すような感じで言った。
「それにしても、すっかりと調教されておられるのですな。この剥き出しの肉芽など、こんなに膨らんで……」
デュセルがアンの股間で屹立している陰核に指を挟んで、くりくりと動かした。
アンの肉芽は二年の調教ですっかりと大きくなり、勃起すれば子供の親指の先ほどの大きさになる。
それをデュセルはいじりまわし始めた。
「ひうううっ、そ、そこは……。ああ、はあああっ」
アンが絶叫しながら、身体を弓なりに反らせた。
達したようだ。
呆気ないものだ。
キシダインは大笑いした。
「少しは意地を見せるのかと思えば、数瞬ももたんのか。やはり、お前はただの淫乱女だ。ただの雌だ。デュセル卿、このような淫乱妻だが、我が妻には変わりない。この雌を味わってくれ」
キシダインはわざとらしく舌打ちして、そっぽを向くふりをした。
「それでは喜んで……。キシダイン卿、このような馳走を受けては、このデュセルは生涯の忠誠をキシダイン卿に誓うしかありません。王家譜代の侯爵家の名にかけて、南域一帯の領主のとりまとめてみせましょう。南域領主のことごとくをキシダイン卿派に染めてみせます」
「期待しているぞ、デュセル卿」
キシダインは酒を口にした。
「あ、ああっ、いやあっ」
アンが泣き叫んだ。
デュセルがアンの両腿を抱えて、怒張の先端をアンの股間にあてがったのだ。
「淫乱なくせに貞節なふりなど、やめましょうよ、王女様。わしの珍宝を愉しんでくだされ。腰が抜けるほど、愛してさしあげますぞ」
「い、いやです。ほかの人となど……。ああ、助けて、助けてください、あなた」
アンは悲鳴をあげた。
だが、デュセルは容赦なく、アンを一物で貫いた。
アンが号泣しはじめる。
激しいアンの拒絶に、キシダインも笑ってしまった。
それにしても、あんなに拒絶するとは……。
キシダインは、ついにデュセルに犯されたアンを眺めながら思った。
これほどまでに泣き叫ぶのであれば、アンをいたぶる新しい愉しみが増えたというのものだ。
これからも時折、ほかの男に抱かせるのも面白いかもしれない。
そんなことを考えた。
アンは好きで妻にした女ではない。
ただの材料だ。
道具であれば、まだ愛着を抱くということもあるかもしれないが、単なる「材料」に愛情を覚えることなどない。
キシダインにとって、アンというのは、そういう存在だ。
本来であれば、子に男子のいない現王のルードルフの最初の子として、第一王位継承権のあるアンだったが、アンには国王の家系としては珍しく、まったく魔道が遣えなかった。
王が高い魔道を保有する必要はないが、魔道が零ということになると、代々の国王が受け継いでいる継承魔道具が使用できないということになる。
それは、非常に都合の悪いことだった。
それでアンは、父親である国王に自ら申し出て、王位継承権を放棄した。
王位継承権を失ったアンには、当時はタリオ公太子だった現在のタリオ大公アーサーとのあいだに婚姻話が持ちあがったが、それに大反対したのが王妃アネルザだった。
ハロンドール王ルードルフには、三人の王女がいたが、そのうち、長子のアンだけが、アネルザの実子だったのだ。
アネルザは、実子のアンこそ、絶対に国王にしたいと思っていたようだが、それがかなわなかったので、アンを有力な貴族に嫁がせ、その婿を国王とすることで、アンを将来の王妃にして実質的な国王としての権力を継がせようと考えたのだ。
それで、アネルザに選ばれたのが、キシダインだ。
キシダインは、家柄、権勢力、魔道力ともに申し分なく、家柄も王族であるハロンドール家の親族関係にある名門だ。
こうしてキシダインは、アン王女を妻として迎え入れることになった。
もちろん、婚姻前は、キシダインは優しくて誠実なアンの婚約者である芝居をした。
豹変して、アンを奴隷同然の立場に落としてやったのは、アンが正式にキシダインの妻になり、この屋敷に監禁できる態勢が整った二年前からだ
ともかく、タリオ大公家には、第二王女であり、庶子の子であるエルザが嫁ぎ、キシダイン自身は、事実上の王太子として宮廷に迎え入れられた。
ハロンドール王国内の多くの貴族もキシダインを認めており、キシダインの王位継承は約束されたものだったはずだった。
たが、アンを妻にしたときにすぐに与えられると思っていた正式の王太子の地位は、なかなかキシダインには与えられなかった。
その代わりに、キシダインに準備されたのは、都市としての王都ハロルドの施政長官としてのハロルド公の地位だ。
しかし、その理由は、キシダインがハロルド公として宮廷に出入りすることになりすぐにわかった。
キシダインが正式に王宮内に出入りすることになったのは、アンとの婚約が決定した三年前、すなわち、アンとの婚姻の一年前だが、あの国王がキシダインを王太子にしないのは、当時はまだ成人ではなかった第三王女のイザベラの存在が理由だとすぐにわかった。
アンを妻にしたときには、イザベラはまだ十四にすぎなかったから、キシダイン自身は歯牙にもかけていなかったが、つまりは、王であるルードルフは、次期国王として、王妃のアネルザや多くの大貴族の思惑とは異なり、ひそかにイザベラを考えているようなのだ。
そして、そのことは、イザベラの冒険者ギルド長の襲名でさらに確信した。
冒険者ギルドは、王家や貴族に属する権威ではなく、移民を主体にした実力派集団であり、金で動くならず者団と侮蔑する者は多いが、庶民のあいだではなかなかに人気もあり、実際には宮廷や神殿などの既存権威に属さない第三勢力とも評するべき存在だ。
これに対し、冒険者ギルドとしては、自分たちの力が無駄に恐れられることがないようにする手段として、代々のギルド長を王族から迎え入れるということをしていた。
つまり、それにより冒険者ギルドは、宮廷府や王軍には属さないが、一貴族としてのハロンドール家の庇護下に入ることになり、組織上は独立しながらも、実態としては、王家の一部として宮廷などから敵視されない立場を保持するということだ。
実際に、そうやってハロンドール王国内の冒険者ギルドは、長年に渡り、独自の勢力を維持してきた。
だが、あくまでも、歴代のギルド長は王家の中でも末端になる者が務めるだけで、王位継承権を持つほどの王女の地位にある者がギルド長になったのは初めての話だった。
もっとも、イザベラの前のギルド長は、第二王女のエルザだった。
エルザは王国一の才女の声もあったが、庶子腹であり、もともと王位継承権はなく、二年半前に政略結婚でタリオ公国に嫁いでいる。
そのエルザが先代のギルド長だったのだ。
しかし、国を出るにあたりギルド長をやめる必要があり、あの国王は、次いで、第三王女のイザベラをギルド長に指名したのである。
キシダインは、このことで、ルードルフ王が冒険者ギルドの実力をかなり評価していることと、王太子として、ひそかに第三の王女のイザベラ王女をつけたいと思っているということに気がついたのだ……。
イザベラの母は、そもそも実家に力のない下級貴族だったし、その母親自身ももう死んでいる。
だから、イザベラには後ろ楯がない。
有力貴族のほとんどもキシダインを推しているし、なによりも、王妃のアネルザが絶対のキシダイン派だ。
それで、あからさまに自儘を突きとおすことができずに、長く王太子を空位のままにしているが、おそらく様子を見て、イザベラの支持が多くなれば、イザベラを王太子にしたいと考えていると思う。
そのため、国王ルードルフは、大部分の貴族勢力を味方につけているキシダインに対抗させるために、貴族権威と無関係の冒険者ギルドという実力集団をその後ろ楯とするべく、イザベラに与えようと考えたのだと思う。
怠け者の好色男だが、やはり自分の娘は可愛いようだ。
さらに、そのイザベラ王女も、昨年、ついに成人となった。
アンとは異なり、魔道力も備えており、性格も男勝りで、女王として申し分のない能力や貫禄もあると聞く。
国王がイザベラに王太子の地位を与えることを考えているのではないかということは、ほかの貴族も感づいてきており、少しずつイザベラに取り入ろうとする貴族も少なくない。
もっとも、大貴族と呼べる勢力は、キシダイン派でまとまっているので、イザベラを推すのは、中小貴族たちにすぎないのだが、それでもまとまればかなりの力になる。
しかも、情報によれば、今日は小離宮にサロンを開き、経済や民政の勉強会をするのだという。集まりそうなのは、中級貴族の子女だけのようなので、どうということもないが、教師はキシダインが自由流通で面倒を見ている自由流通連合の女豪商のマアだという。
マアが表に出ることは珍しく、これには大臣級の貴族や高位官吏も興味を抱いている者もいるようだ。
まったく、あの雌狸の
まったく、忌々しい女だ。
いずれにしても、キシダインも、だんだんと焦りのようなものを感じていた。
そして、それにさらに追い討ちをかけたのが、今回の王女騎士制度創設の話だ。
宮廷軍としてではないが、王家の私設警護団として冒険者を主体とした者を騎士扱いにすることで、冒険者ギルドの実力を事実上、王女の勢力に吸収してしまおうという話だ。
驚いた。
冒険者といえば、「ならず者」という先入観が貴族の中にあり、また、冒険者にも既存勢力の王家に取り入れられるのを潔しとしない者が多くて、これまで、ありそうで、なかなか実現しなかった。
だが、それが俄かに沸き起こった。
しかも、そんなものが急に実現できるわけがないと思っていたが、なぜか今回の話については、王都の神殿勢力がこぞって賛意を示したため、一気に実現の方向に傾いたのだ。
それどころか、神殿側は予定される私設警備団には、神殿の抱える神殿兵の一部も組み入れるとまで言っている。
「ならず者」の新興勢力の冒険者ギルドと、古い勢力の象徴ともいえる神殿が、なぜいきなり手を結んだのかわからないが、しかし、それが現実だ。
そもそも、騎士というのは国王しか任命できない。
曖昧な王女騎士とはいえ、騎士の任命権は国王に準じる権力ともいえる。さらに、王女が女王になれば、その王女騎士がそのまま正規騎士に任命されることになるかもしれない。
そうなれば、貴族の子弟でも、王女騎士でいいから、任命されたいと考える者は大勢出てくるかもしれない。
この王女騎士制度により、王女は王都の中に確固たる自分の軍を持つことになるし、それなりの権力も持つことになる……。
これ以降、それなりの影響力をイザベラが王都内に保持することになるということだ。
キシダインはこの話に接したとき焦った。
だから、キシダインの擁護者であるはずのアネルザ王妃を通じて、大反対させていたのだが、つい最近、そのアネルザが急に、王女騎士制度の賛成に回った。
もはや、国王が躊躇する理由も消滅し、近日中に成立する運びになっている。
キシダインとしては、ただただ苛立つしかなかった。
そもそも、なぜ、アネルザがイザベラ側の賛成に回ったのか……?
キシダインは幾度となく、その真意を確かめるべく、アネルザを訪問するのだが、なぜかずっと会うことができない。
そのことも、キシダインの苛立ちに拍車をかけている。
なんだか面倒になる気がする。
先日は、手を回して服用させた毒で殺し損ねたが、本当にあの娘も処置するか?
王女といえども、キシダインにかかれば、簡単に手が出せることは、目の前のアンのことが証明している。二年間、奴隷のように扱い、誰にも咎められない。
イザベラのことも、同じだ。
キシダインがイザベラを暗殺させたところで、この意気地無しのルードルフが表だった行動などするわけない。
じっさい、この前のイザベラ暗殺未遂でも、なにも動いてない。
あの王は、その程度の王なのだ。
「あ、ああっ、あふうううっ」
アンが絶叫しながら、全身を激しく震わせた。
デュセルに犯されて、快感の絶頂を迎えたようだ。
完全に肉欲に溺れはじめたアンの姿に、キシダインは急に白けた気持ちを感じ始めてきた。
最初こそ、激しく拒絶していたから、もう少し粘るかと思ったが、所詮はこんなものか……。
そのとき、重要な要件があることを示す執事からの魔道信号が目の前で弾けた。
重要な面会者の来訪のようだ。
キシダインは立ちあがった。
「ちょっと、用事ができたようだ。デュセル卿、存分に我が妻を味わってくれ」
すると、相好を崩してアンを犯していたデュセル卿が、キシダインに媚びるような表情を向けた。
「……なあ、キシダイン卿、実は、わしは前を犯すよりも、尻を犯す方が趣味でな。それは許されるのだろうか?」
「存分に」
キシダインはそれだけを言った。
「いやああ、許して、あなた。許してください」
アンが悲鳴をあげた。
しかし、キシダインには、もうこの部屋で行われる行為に対してほとんど興味を失っていた。
キシダインは、「座敷奴隷の間」から、屋敷の表口となる応接室に移動するために、部屋を出る扉に歩いていった。