【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
エリカが怒っていた。
なぜ、危険な潜入を自ら引き受けたのかというのだ。
だが、それには答えようもない。
それが必要であり、あの場にいた誰よりも一郎が適役であることを一郎自身が知っていたからとしか応じようもなかった。
あるいは、柄にもなく勇気を振り絞ってみたのは、一郎にとってこの世界はなんとなく現実離れしているからかもしれない。
ともかく一郎は、十分に離れた場所で待機している救出組と別れて、ひとりでダルカンの北の別宅と称される場所に向かった。
「必撃の剣」という魔道剣をしっかりと握っている。
ダルカンの北の別宅というのは、案内の必要もなかった。
向かった先に樹木に囲まれた大きな屋敷がそびえ建っていた。
さらに近くまでいくと、その屋敷は、火避けの効果がある高い土壁が巡らせてあった。正門は頑丈そうな鉄の門だ。
たかが里長の別宅としては厳重すぎる気がした。
ここには、なにか秘密があるように思う。
いずれにしても、屋敷の外壁の外からでは中の様子はわからない。
一郎の魔眼の能力は、安定したところでは二十メートルくらいの範囲だ。ただ、ユイナが犯されていたときには、それを遥かに超える距離で魔眼の能力が働いたということもあった。
魔眼の力と淫魔力については、なにか相関関係があるのかもしれない。
とにかく、なんとか、屋敷内に入らなければ……。
そう思って裏側に進むと、突然に大勢のエルフ族の男たちが近づく気配を魔眼で感じた。
二十人近くだ。
屋敷の内側からこっちに向かってくる。
一郎は慌てて物陰に身を潜めた。
すると、裏口のような小さな出入口がさっと開いて、慌てた様子の男たちが一斉に駆け出ていった。
もしかしたら、さっそく里の中央付近で起こしている騒乱の効果が出たのだろうか?
一郎は、男たちが出ていった戸に近づいてみた。
その反対側に誰もいないことは確認している。
開いている──。
しめた──。
どうやら余程に急いでいたようだ。
一郎は外壁の内側に入り込んだ。
土壁の向こうは低木が生い茂る庭だ。庭に外から水路が引き込んであり、それが複雑に経路を作っている。大きな屋敷がその向こうにあった。
誰もいないことを確認しながら、一気に屋敷の近くまで進んだ。
いた──。
一郎の魔眼に、トーラスという男のステータスが入り込んできた。屋敷の中であり、一郎が立っている屋敷の壁の少し向こう側くらいだ。特に拘束はされていないようだが、魔力封印と出ている。また、すぐ近くに、戦士ジョブ“5”のエルフの男がふたりいる。
状況から考えて、牢のような場所に閉じ込められて、ふたりの監視がついているというところだろう。
トーラスがいるのはわかった。
イライジャは……?
そう思ったとき、突然にそのイライジャのステータスが飛び込んできた。
“イライジャ
エルフ族(褐色)、女
年齢:20歳
ジョブ
戦士(レベル10)
魔道遣い(レベル4)
生命力:100
攻撃力:1(拘束状態)
魔道力:100(魔力凍結)
経験人数:男1、女2
淫乱レベル:B→S
媚薬塗布
快感値:10↓”
「なんだ……?」
感知できた方向と距離も概ねわかる。
おそらく、屋敷から少し離れた側面だ。なぜ、屋敷内にいるはずの大勢のダルカンの手の者の気配を通り越して、さらに距離のあるイライジャのステータスを魔眼で探知できたのかはわからない。
とにかく、そっちに向かってみることにした。
ただ、その前に懐からプルトに持たされた合図用の球体を取り出して、それを握りしめた。手のひらに収まるほどの白い玉だったが、力を入れると簡単に手の中で消滅した。
まずは、屋敷の壁沿いに移動する。
やはり、人が少ない。
屋敷内にいる男たちを探知できるが、いまのところ十人もいない気がする。
これなら、救出は成功するだろう。
横に出た。
そこもさっきと同じように低木と水路が入り組んだ場所になっていた。
一方で、さらに魔眼で感じるイライジャの存在が強くなる。
足の下──?
目の前の庭の地下だ──。
別の女がイライジャのそばにいる。
ヴォロノサとある。
人間族の女……。
戦士レベルは2……。
攻撃力も高くはない。
ただし、毒遣いとある……。また、拷問師というよくわからないジョブもあり、その両方ともレベルは10だ。
すると、喧噪が聞こえてきた。
プルトやエリカたちが屋敷に飛び込んできたのだろう。
まずは、さっきまで一郎がいた側の屋敷内から、人が駆けまわる音や喚き声が始まった。
騒然とした雰囲気を屋敷の中から感じる。
救出隊の三十人が屋敷に雪崩れ込むのも魔眼でわかった。
もともと屋敷内にいた男たちが、次々に「負傷状態」で生命力を減じて動かなくなるか、あるいは、いきなりステータスが消滅したりしだした。ステータスの消滅は死んだということだ。
トーラス──。
そのステータスが頭に再び飛び込んできた。
周りに屋敷内の男たちのステータスもあるが、あのエクトスのステータスもある。
そこにプルトが加わった。
そして、トーラスの周囲がエクトスとプルトだけになった。
救出に成功したのだ。
一郎はほっとした。
そのとき、突然にこっちに男がやってきた。
魔眼にガルシアとある。
“ガルシア
エルフ族(褐色)、男
年齢:120歳
ジョブ
魔道遣い(レベル25)
戦士(レベル4)
生命力:100
攻撃力:80(剣)
ひとりだけだが、眼が血走っている。
一郎は急いで隠れた。
ガルシアは一郎の存在にはまったく気がついていないようだ。
そのまま、庭の一角に走っていくと、子供ほどの大きさの白い石の銅像を軽く横に押した。すると、銅像が滑るように動き、地下に降りる階段のようなものが出現した。
ガルシアは、走り降りていった。
嫌な予感がした……。
なにをするつもりだ……?
一郎は一瞬だけ思案した。
「あっ」
しかし、すぐに一郎は声をあげていた。
なにをしようとしているかは明白だ。
大事が起きたとわかり、ガルシアはまだ残っている人質をどこかに連れ出そうとしているのに違いない。
同時に一郎の頭に閃いたのは、アスカ城からルルドの森に逃亡したときに、エリカが遣った「移動術」という跳躍魔道だ。
エリカによれば、あれは相当に能力が高い魔道遣いだけが遣える術であり、あのときのエリカは、アスカにもらった魔道の杖によって魔道遣いとして強化されていたので遣えた技だと言っていた。
あのときの特別な杖は折ってしまったので、いまのエリカはもう遣えない。
ただ、そのときの強化されたエリカの魔道レベルが25だったことを一郎は覚えていた。
通りすぎていったガルシアの魔道使いのレベルも25だ。
合理的に考えて。遣える魔道というものは、ジョブレベルの上昇に応じて増えるのが普通だろう。そうであれば、あのときのエリカと同等のレベルにあるガルシアは、移動術を遣えるに違いない……。
一郎は迷った。
大きな声をあげて、助けを呼ぶべきか……。
だが、喧噪はまだ屋敷の中だけだ。
こっちからは遠い……。
プルトたちがやってくる前に、ガルシアはイライジャを連れて魔道で逃亡してしまうような気がする。
一郎は持っていた「必撃の剣」をぐっと握った。
一撃だけであれば、いまの一郎にも、あのガルシアに立ち向かえる。
一撃であれば……。
だけど……。
できるか……?
しかし……。
しかし、一郎の想像が正しければ、イライジャは救出隊がここまでやって来る前に、ガルシアに連れ出されてしまう……。
一郎は駆け出した。
必撃の剣の柄に右手をかけ、ガルシアの後を追って階段を駆けおりた。
*
「お、お願いです。痒みを何とかして──。なんでも言う──。ほ、本当に気が狂う──」
イライジャはもう見栄も体裁もなく、拘束された身体を激しく揺さぶって泣きじゃくっていた。
ヴォロノサはその姿にほくそ笑んだ。
なにか揉め事があったらしく、この屋敷内はばたばたとしていた。
ガルシアもイライジャに関わっていられなくなり、この地下の隠し部屋から屋敷側に戻って、なにか慌ただしく指示をしている様子だ。イライジャの痴態を見物するために集まっていた大勢の男たちも、すっかりといなくなり、ここは、イライジャとヴォロノサのふたりだけになっている。
まあいい……。
ヴォロノサの役割は、このエルフ族の里で里長をやっているダルカンという強欲エルフを助け、クリスタル石をこれからも本国に横流しさせる態勢を維持させることだ。
それが、アスカ城から請け負った仕事だ。
そのためには、こんなところで、あのエルフ男に失脚してもらっては困る。
ヴォロノサは、美貌の顔を激しく左右に振って、歯を噛み鳴らして痒みを訴えているイライジャに、例の羊毛紙をかざして詰め寄った。
「じゃあ、これに誓うんだよ。『認めます』とこれに向かって言いな。それで終わりだ。あとは、ここにいる男たちに股をほぐしてもらいな。一度精を放ってもらいさえすれば、嘘のように痒みは収まるよ」
「み、認めます──。認めます──。ああ、認めますから──」
イライジャが大きな声で言った。
ヴォロノサはにやりと笑った。
白紙の羊毛紙の下側に紋章のようなものが浮き出て、なにかの魔力が刻まれたのがわかった。
これでイライジャの白紙の自白書が完成したということだ。
「よくやったよ。とりあえず、足の縄を解いてやるよ」
ヴォロノサは言った。
そして、小刀で棒の両端に結んでいたイライジャの足首の縄を切った。
「ひ、ひいいっ──。か、痒い──痒い──。は、早く──早く、痒みを消して──、あああ──」
イライジャは足を解いた途端に、太腿を強く擦り合わせ始める。だが、この痒みは腿を擦り合わせようと、指で掻こうと消えない。
消えるのは、ただ男の精を受けたときだけだ。
そういう魔道の込められた薬剤なのだ。
「痒みを消してやりたいけどね……。さっきも言ったけど、男の精がないと痒みは消えないのさ……」
「だ、だったら犯して──。後生ですから──。ああ、我慢できない──。お願いよ──。なんでもする──。犯して──犯して──」
イライジャが激しく声をあげて絶叫した。
いまのイライジャは、ただこの痒みをほぐして欲しいという思いだけで、なにも考えることができないに違いない。
「悪いけど、いま、みんな取り込んでいるみたいなんだよ……。まあ、そのうちに来るだろうからさ……」
ヴォロノサはイライジャの狂態に苦笑した。
そのとき、この地下の隠し部屋に誰かが降りてくる気配がした。
ヴォロノサは視線を向けた。
ガルシアだ。
慌てているようだ。
なにかあったのだろうか……。
「ああ、ガルシアの旦那……。イライジャが自白書を刻んだよ。ほら……。じゃあ、精を注いで痒みを消してやっておくれ──。このままじゃあ、本当に発狂してしまうからね」
ヴォロノサは、とりあえずガルシアにイライジャの自白が刻まれた白紙の「自白書」を手渡した。
「よくやった、ヴォロノサ──。ただ、非常事態だ。ここが襲撃された。トーラスも奪い返されたかもしれん……。とりあえず、この女だけでも連れていく」
ガルシアは、剣を抜くと、天井から両手を束ねて吊るされていたイライジャの縄を手首の上付近で切断した。
イライジャの汗まみれの身体が力を失って床に崩れ落ちる。
「あ、あああ──、だ、だめえ──か、痒い──」
その瞬間、手首を縛られたままの手でイライジャが自分の股間を掻きむしりだした。
「ああ、だめえ──。痒みが取れない──ああ、なんとかして──。なんでもするよ──。どんなことでも従うから──。ひい──」
イライジャが自分の股間を自慰のように擦りながら叫ぶ。
「へっ、あの、気の強いイライジャが形無しだな……。まあ、逃げてから、ゆっくりと犯してやるぜ」
ガルシアが相好を崩してイライジャを見た。
次の瞬間、なにかの気配を感じた。
男───?
必死の形相をした若い男が走り込んでくる。
ヴォロノサの眼には人間族のように思えた。
なんでここに人間族が──?
……と思ったが、考える余裕などない。
もう目の前だ。
「な、なんだ、お前──?」
ガルシアも気がついた。
剣を抜きながら振り返る。
「うわああああ──」
だが、顔をひきつらせたその若い男は雄叫びをあげながら、ガルシアにそのまま突進してきた。その右手は剣の柄にかかったままだ。
「貴様──」
ガルシアが剣をその若い男に向かって斬り払った。
「ぐあっ──」
しかし、一瞬、その人間族の男の勢いが信じられないくらいに増し、直前で抜いた剣先がガルシアの腹に突き刺さった。ガルシアの剣は屈んだその若い男の頭上を空を切っていた。
「な、なんだ……? な、なんだ……?」
ガルシアが目を丸くしたまま崩れ落ちて、自分自身の血だまりの中に身体を倒した。
「お、お前……、だ、誰?」
ヴォロノサはびっくりして壁まで後退りした。
殺される──。
そう思った。
ガルシアがそれなりの遣い手だったのを知っている。
そのガルシアがひと太刀だ──。
ヴォロノサなど一瞬だろう……。
蒼白になっているその男が、血の付いた剣をヴォロノサに向けた。
がくがくと震えているようだが、その剣は真っ直ぐにヴォロノサへ向いていた。
「ひ、ひっ」
ヴォロノサは声をあげてしまった。
「い、行け……」
そいつが言った。
「はっ?」
ヴォロノサは思わず問い返した。
「行け──。どっかに行け──。さ、さもないと殺さなきゃならない……。た、頼む──。もう、行け──」
その男は身体をがくがくと震わせながら、なにか必死の様子で怒鳴った。そして、手元の落ち着かない感じで、二度ほど失敗しながら一度剣を柄に入れた。
すると、なぜか急に男が少し落ち着いた様子になり、殺気が襲ってきた。
それ以上は考えなかった。
行っていいというなら行くだけだ。
ヴォロノサは、もはや振り返ることなく、一目散に地上に戻る階段に走った。
*
一郎は腰が抜けたように、その場に崩れ落ちた。
ガルシアの死体がそばに転がっている。
さっきまで生きてはいたが、いまは死骸だ。
自分が……。
一郎が殺した……。
やらなければならないことだったとはいえ、自分自身で誰かを殺めたということに、一郎は愕然としていた。
身体の震えが止まらない……。
苦しい……。
息が苦しい……。
一郎は空気を求めて、必死で呼吸をした。
その一郎にいきなりなにかが体当たりしてきた。
「うわっ──」
イライジャだ。
初めて会うが、魔眼の力でそれがイライジャであることはすぐにわかった。
手首を拘束されていて、まったくの全裸だ。
全身は汗びっしょりで目つきが不自然だった。
「い、イライジャさん……。無事で……?」
なにかを語りかけようとしたが、イライジャがいきなりすごい力で一郎の腰に自分の股間を擦りつけてきた。
「お、お願い──入れて──。せ、精をちょうだい──。痒いの──痒くて死にそう──。せ、精を注いでもらわないと痒みが消えないの──。お、おねがい──。た、助けて──。精をちょうだい──。あんたの精液を注いで──」
イライジャが狂気のように顔を振りながら、一郎の股間にイライジャの巣股を擦りつけてきた。
「う、うわっ」
その勢いがすごくて、一郎はイライジャに押し倒されるかたちになった。
馬乗りになったイライジャが、必死の形相で手首を拘束された前手で一郎のズボンに手をかける。
「ま、待って……。縄を……。縄を解きますから……」
「そ、そんなのいいのよ──。せ、精をちょうだい──。か、痒いのよ──。あ、あああ──」
イライジャが暴れまわる。
一郎は、なんとかそれを制して、とりあえずイライジャの下から抜け出し、まずはイライジャの手首の縄を解こうとした。
だが、簡単ではなかった。
常軌を逸したようになっているイライジャが、すぐに一郎にしがみつこうとするのだ。一郎はそれを押さえながら、やっと縄を解いた。
しかし、縄が解けると、再びイライジャが一郎に馬乗りになってきた。
イライジャが必死の形相で、また一郎のズボンを脱がせようとする。
この時点で、一郎にも状況がみえてきた。
痒いと叫び続けるイライジャは、おそらく股間に相当の痒み剤を塗られたに違いない。
悲鳴に混じって口走っている言葉から考えて、痒みは擦っても消えないものであり、男の精を受けなければなくならないようになっているようだ。
そんな都合のいい媚薬があるものかと思ったが、魔道が日常生活に浸透している世界だ。
淫具や媚薬についても魔道的なのかもしれない。
しかし、精を注いでくれと懇願している目の前のイライジャをそのまま抱いていいのだろうか……?
一瞬だけ一郎の理性が動いたが、そのときにはすでにイライジャは一郎のズボンのベルトを解き終わっていて、震える手でズボンと下着を両手で引き下ろしてしまっていた。
一郎の躊躇に関わりなく、一郎の分身は美貌の褐色エルフで若い未亡人の妖艶な裸身に、すっかり態勢が整っている。
ええい──。
一郎は状況に流されることに決めた。
抱いてどうなるかは、あとで考えればいい。
「……は、早く……は、はやぐう──」
イライジャは奇声のようなものまで発しだした。
すると、その途端にイライジャの全身に例のもやが発生した。
どうやら、女の性感の見える桃色と赤色のもやは、一郎が欲情しているか、それに近い心理状態に見えるようになるようだ。
そして、イライジャの全身はすっかりと欲情して真っ赤だった。特に股間が赤い……。
あとは、口の中に濃い赤が集中している。
一郎は下だけ完全に脱ぐと、イライジャが自分で動きやすいように、座位になって自分の腰の上にイライジャの腰を乗せるようにしてやった。すっかり濡れきったイライジャの膣は、なんの抵抗もなく一郎の怒張を咥え込み、あっという間に最奥まで迎え入れた。
「あ、あああ、き、気持ちいい──。か、痒みが小さくなる……。も、もっと──、もっと擦ってええ──」
イライジャが一郎の腰の上で裸身を狂ったようにうねり舞いさせる。
「おじり──おじりにも指を入れて──。そこも痒いのおお」
イライジャが吠えた。
一郎はイライジャの腰の後ろに手をやって、言われたとおりに菊座に指を入れてやる。
薬剤を塗られている肛門は、それを潤滑油代わりにして一郎の指を受け入れた。
「はがあああ──き、きもじいい──。も、もっと──、お股も──股も犯して──。は、はやぐう──」
男の一郎に掻かれれば痒みが少しはなくなるらしく、イライジャはすっかりと陶酔の顔で全身を震わせる。
一郎はお尻の穴に指を入れたまま、イライジャの腰を上下に動かし始めた。
「あ、ああっ」
がくがくとイライジャが身体を痙攣させる。
もう達したようだ。
しかし、それでもイライジャの狂態は終わらない。
さらに、痒いといって一郎に抱きつき、一物を貫かれている腰をぐいぐいと動かし続ける。
「イ、イライジャさん……。も、もう少しです……。も、もうちょつと、頑張って……」
一郎は息を荒くしながら言った。
とにかく、早く精を出した方がいいだろう。
本格的な抽送運動を始めた。
片手はイライジャの腿の付け根を支え、もう片方の手の指はしっかりと指を肛門に埋めて、尻の下からイライジャの腰を持っている。
「うはあっ」
抽送を続けると、あっという間にイライジャは二度目の絶頂をした。
一郎は弓なりになったイライジャの身体を一度引き寄せ、大きく開いて涎を垂れ流している口の中に舌を入れた。
イライジャの強い性感帯が口の中であることがわかっている。
赤く見える口の中の性感帯を舌先で強く擦りまわした。
「あ、ああ……あはあっ、ああ、ああっ──」
イライジャが呆けたような顔で甘え泣きのような声をもらす。
そして、細い首をのたうたせて、膣いっぱいに咥え込んでいる怒張を締め動かすイライジャに対し、やっと一郎もまた射精の準備が整ってきた。
一郎はイライジャの口をむさぼるのをやめた。
「だ、出しますよ──」
「出して、出して──。ほ、ほおおお──あ、ああん──あああ──またいぐうう──」
イライジャが汗に光る首筋を限界まで突っ張らせた。
一郎は精を放った。
その精がイライジャの子宮に飲み込まれるのを感じる。
イライジャはがくがくと身体を震わせて、感極まったように絶叫した。
そして、一郎の背中にしがみついたまま、がくりと脱力した。
軽く気を失ったようだ。
だが、その顔は完全な満足感に染まっている。
とりあえず、狂うような痒みはなくなったのだろう……。
一郎はほっとした。
そのとき、一郎の頭になにかの声のようなものが聞こえてきた。
いや、正確にいえば、それは声ではなく、一郎自身が一郎に問いかける伝心のようなものなのだが、一郎の感覚としては質問を受けたような感じだった。
“孕ませますか……? 孕ませませんか……?”
そんな質問が急に頭に浮かんできた。
“孕ませない───”
一郎は慌てて、強く念じた。
“性奴隷にしますか……? しませんか……?”
また、質問が浮かんだ。
それについてはちょっと迷ったが、すぐに我に返り、“しない──”と念じた。
なにかの強いエネルギーのようなものが、ぱっと発散したような感覚が襲った。
なんなのだろう……。
いまのは……?
一郎は呆気にとられた。
しかし、そのとき、地上に繋がる階段に足音を感じた。
我に返って、はっとした。
プラム……。
そして、エリカだ。
「ロウ、ここなの──? 大丈夫なの──。ねえ、返事して──。お願いよ──。どこにいるの──? ここにいるの、ロウ──?」
エリカの必死の声が近づいてきた。
一生懸命に一郎を探し回ってくれているのだと思ったが、そのエリカと一緒にプラムも降りてくるのが魔眼でわかる。
しかし、エリカはともかく、プラムはまずい──。
一郎は慌てて、腰の上のイライジャをどかそうとしたが、気を失ってるイライジャは結構重くて、簡単にはいかなかった。
そして、まごまごしていると、ふたりが目の前にやってきてしまった。
「……ロウ……大丈夫……? うわあっ──ロ、ロウ様──?」
エリカがびっくり仰天した声をあげた。
「き、貴様──、なにをしておるか──?」
プラムの怒声も響き渡る。
次の瞬間、石の塊りのようなものが頬に喰い込んだ。
プラムの拳とわかったのは、その衝撃で身体が飛ばされて、全身を部屋の壁に叩きつけられたときだ。そのとき、イライジャの膣から一郎の一物もすぽんと抜けて、力を失っているイライジャの身体が横倒しになる。
「こ、殺してやる──この人間があ──」
プラムが右手に持っていた剣を振り被った。
すっかりと怒っている──。
本当に剣が向かってきた。
「うわああっ」
一郎は悲鳴をあげた。
「な、なにするんですか──」
一郎の目の前で鋭い金属音が響いた。
エリカがあいだに入ってきて、プラムの剣を剣で受けたのだ。
「ど、どかんか──。お前も斬るぞ──。その人間がなにをしたのか見ただろうが──」
「み、見ましたけど、それがどうかしたんですか──」
プラムとエリカが剣を挟んで怒鳴り合った。
次の瞬間、いきなりプラムの身体が後ろにのけ反った。
そして、体勢を崩したプラムの頬で鋭い音が鳴る。
「落ち着きな、プラム──。その人はわたしを助けてくれたんだよ──。拷問のための薬剤でおかしくされたわたしが、その人を無理矢理に犯してしまったんだ。それをなんで殺そうとするんだい──。この馬鹿垂れが──」
イライジャだ。
全身が汗まみれであり、まだ、身体に力が入らないような感じだが、気はしっかりとしているようだ。イライジャがプラムの身体を引っ張り、思い切り頬を張ったというのがわかった。
「だ、だって、お前……」
プラムが泣きそうな顔になった。
その頬がまた鳴った。
イライジャがまた平手を喰らわせたのだ。
「わたしの言葉が聞こえなかったの──。この人間族の男は、わたしを助けてくれたんだ──。それよりも、お義父さんは無事なの?」
「ト、トーラス殿は無事だ……。そ、それと、連中が持ち出したダルカンの密売の証拠も取り戻した……」
プラムがさっきの権幕から一転して、おどおどとした口調で言った。
「だったら、いつまで、わたしを裸にさせておくのよ──。さっさと、どこからか着るものを見つけてきな、プラム──」
ものすごい迫力だ。
一郎は呆気にとられてしまった。
プラムが駆け去っていく。
すると、イライジャが一郎に振り向いて、優しげな顔で微笑みかけてきた。
「すまなかったね、あんた……。あとでちゃんと謝らせるよ……。大丈夫かい……?」
「い、いえ……」
一郎はそれしか言えなかった。
プラムに殴られた頬は痛かったが、まあ平気だ。
ユグドラの癒しという能力を授かっているので、外に出て大地に足をつければ治るはずた。
「大丈夫ですか、ロウ様……」
エリカが一郎の頬に手を触れさせた。
ひんやりとして冷たく、殴られて痛んでいた頬が楽になる。エリカは治療術は遣えないが、冷却魔道を施してくれているようだ。
イライジャが、エリカに視線を向けた。
「エリカ、久しぶりね……。お前も助けてくれたのね……。どうして、ここにいるか知らないけど、この人間族の男は、お前の連れ?」
「ロ、ロウ様は……わ、わたしの大切なご主人様です……。で、でも、誰にも言わないで……」
エリカはあっさりと、一郎とエリカの本当の関係をイライジャに白状した。
これには、一郎も驚いてしまった。
とにかく、ズボンと下着をはこうと、一郎は手を伸ばしてそれを引き寄せた。
そして、それを身に着けていると、この部屋の奥の壁になにかの違和感を覚えた。
理由はないが、なにか不自然なものを感じたのだ。
一郎は奥の壁に寄ってみた。
すると、目立たないが、壁の隅に突起のようなものがあるのがわかった。
それを押すと、突然に壁が割れて、さらに奥にある部屋が出現した。
「な、なによ、これ?」
イライジャが声をあげて駆け寄ってくる。
一郎も奥の部屋を覗いた。
エリカもやってきた。
「うわあ……」
「へえ……」
イライジャとエリカが声をあげている。
そこにあったのは、夥しい数の手のひら大の白色の球体だ。表面には光沢があり、とても美しかった。それが十個ずつ丁寧に木箱に梱包されていて、その木箱が十数箱も積み重なっている。
「クリスタル石……。ロウ様、クリスタル石です……。それも、こんなにたくさん……」
エリカが驚嘆の声をあげた。
「これで、誤魔化しようのない里長の悪事の証拠が出たわね。やっぱり、あいつは、こうやってこっそりと里で作らせたクリスタル石の数を誤魔化して、密売してたんだわ」
イライジャも言った。
そのとき、また、階段から物音がした。
今度は複数のエルフ男がいる。
ただし、多くは階段の上で止まり、プラムだけが降りてきたのがわかった。
「イ、イライジャ、服だ──。とりあえず、これを着てくれ……」
プラムが持ってきたのは黒色のローブだ。
イライジャはそれを無造作に身体に身に着けた。
「それよりも、これを見なさい、プラム。この人間族の男が隠し部屋を見つけてくれたわ……。これで、ダルカンの悪事の証拠は完全に揃った──。さあ、あいつを糾弾するわよ──」
イライジャが怒鳴った。
*
燭台の薄明かりの中、寝台に座っている一郎は、この三日間のことをぼんやりと振り返っていた。
慌ただしい三日だった。
もっとも、一郎は別だ。
一郎は、この里外れのトーラスの家であてがわれた一室で、特にすることもなくぼんやりとしていただけだ。
忙しそうにしていたのは一郎以外の者たちであり、トーラスを含め、ここではなく、里の中心部にある元々の屋敷を拠点にして、あの救出によって始まったダルカン追放のために、忙しく動き続けていた。
エリカもイライジャに引きずられるように、強引に手伝いをさせられていた。
それにしても、イライジャがあんなに気の強い女性だということは、まったくわからなかった。
あの五人の決起の首謀者もイライジャには頭があがらないようだ。
完全に男たちを牛耳っていたのはイライジャだ。
そのイライジャとあの五人やユイナ、それにトーラスも加わった一連の働きによって、三日でこの褐色エルフの村の情勢は一変した。
もっとも、一郎がその事態の進展をずっと見守っていたわけではなく、この里外れにあるトーラスの家にいる一郎に、エリカが逐次に状況を教えにきてくれていたのだ。
ともかく、エリカの話によれば、三日前にイライジャとトーラスを救出したあと、イライジャたちは、取り返した証拠の書類と、なによりも北の屋敷で発見されたクリスタル石のひと箱を担いで、すぐに里の中心で煽動をしていた組と合流したようだ。
そして、里の住民たちにダルカンの悪事の確かな証拠を提示して、改めて決起を呼びかけた。
日頃からダルカンに不満を持っていた里の者たちは、示された証拠を前にして怒りの声をあげ、ついに大部分の住民たちが発起して里長だったダルカンの屋敷を取り囲んだのだそうだ。
さすがにダルカンも観念するしかなく、ダルカンは捕えられた。
主立つ者も一緒に捕らわれ、簡易裁判の末、首謀者は額に入れ墨の末に追放──。
それ以外の者は単に追放となった。
入れ墨を申し渡されたものは、多くの者が自裁をしたようだが、しかし、ダルカンについては、入れ墨を受け入れてしばらくしてから、監禁場所から脱走して、どこかに去ったとのことだ。
手引きした者がありそうだが、逃亡先は不明とのことだ。
いずれにしても、ダルカンは去り、暫定だかトーラスが里長代行となり、近く代行が外れるのは間違いない。
事故で死んだイライジャの夫のトードの名誉も回復された。
ただ、あれが本当に事故だったのか、それとも、ダルカンが手を回して殺させたのかということまではわからなかったらしい。
ただ、イライジャやトーラスの様子を見れば、ダルカンの額に入れ墨をした時点で、もうその話は終わったことになったような感じであり、逃亡したダルカンを追うつもりもなさそうだ。
そして、いまは三日目の夜だ。
トーラスと家人の多くは、里の中心にあった元のトーラスの屋敷に移ったが、イライジャだけがエリカとともに、こっちの家に戻ってきていた。トーラスも完全に元の屋敷に戻ることになり、ここを引き払うので、その片づけがあるからということだった。
あのユイナも一緒に来た。
ユイナと会うのは三日ぶりだった。彼女もまた、ずっとこっちではなく、里の中心側でみんなと動いてたのだ。
相変わらず人間族は嫌いらしく、一郎には冷たい素振りだ。ただ、時折、なにか言いたげに一郎を睨みつけるようにする。
しかし、夕食のときに、イライジャとエリカとユイナの囲む席に一郎も同席することを拒まなかった。
エリカがイライジャに、一郎はエリカの「ご主人様」とはっきり言ってしまったので、イライジャが一郎を同じ席に座らせるのは当然だが、一郎がエリカの従者だと思っているユイナが、一郎が一緒に食事をするのをユイナが受け入れるのはおかしなことのように思った。だが、少なくともユイナがそれについて、一郎の前で抗議をするような態度を見せることはなかった。
食事は質素だが美味だった。
そのとき、明日の夜にはほかの者とともに、改めてお礼の宴をするので、エリカと一郎に是非に受けて欲しいとイライジャが言った。
エリカは即答せず、考えると応じていた。
なんとなく気が進まないようだ。
そして、エリカは、一郎に対して小さな声であとで相談したいとささやいた。
やはり、なにかあるようだと思った。
食事が終わり、部屋に引きあげた。
そしていま、一郎は寝台の上に座ってる。
エリカの従者ということになっているので、エリカとは離れてひとりの部屋だが、与えられた部屋は従者としてではなく、エリカと同じ客人としての扱いだ。
これもイライジャの配慮だろう。
一郎は待っていた。
忙しそうにしていたエリカを昨夜も、その前の夜も抱いていない。
相談事があると言っていたし、それに、エリカは一郎に抱かれにくるだろうと思った。
果たして、扉が叩かれた。
「はい」
驚いたことに、やってきたのはエリカだけじゃなく、イライジャもいた。
ふたりが、一郎の腰掛けている寝台の下側の床に座った。
一郎も慌てて、寝台から降りて床に座る。
「落ち着いたら、お礼がしたいと思っていたのよ、ロウさん……。でも、エリカによれば、早々に出立するというし……。それで連れてきてもらったのよ……」
イライジャが意味ありげに言った。
「そ、それについては、理由を説明します、ロウ様……。そ、それよりも、イライジャは……」
エリカがなにか言いたげにした。
だが、イライジャがそれを制した。
「……わたしが自分の口で言うわ……。このロウさんだって、断る権利があるだろうし……。ふふふ……、やっぱりだめ……。断らせない……。あなたがエリカの色男だというのは、すっかりと白状させたわ……。このエリカは男嫌いだったのよ……。それがすっかりと夢中のようね……。それよりも、このイライジャのお礼を受けてくれない……」
イライジャが意味ありげに言った。
そして、立ちあがる。
イライジャは身体に羽織る寝間着を思わせる姿だったが、一重の帯を解いてそれをはらりと床に落とした。
なんと、その下は全裸だった。
「イ、イライジャさん……」
一郎は声をあげた。
そのイライジャが腰を屈めて、一郎の首に抱きついてきた。
「……エリカから聞いたわ……。わたしを助けるために、あなたに生まれて初めての人殺しをさせてしまったらしいわね……。そんなにしてくれたあなたに、なにをあげればいいんだろう……。こんなものでもよければ、わたしに礼をさせてくれない……?」
イライジャが一郎にささやいてきた。
しかし、一郎には淫婦のような真似をしているイライジャが、実際には大変に緊張しているということがわかった。
一郎には、イライジャの男性経験は死んだ夫しかないことを知っている。
そのイライジャが一郎に身体を与えるという……。
つまりは、イライジャはそれだけのことを一郎にしてくれようというのだ。
無論、断る理由はない。
一郎は、イライジャを抱き寄せて口づけをしようとした。
イライジャが口の中の刺激に弱いことはわかっている。
そのとき、イライジャがエリカに振り向いた。
「なにをしているのよ、エリカ……。お前も脱ぐのよ──」
イライジャが強い口調で言った。
「は、はい……、イ、イライジャお姉さん……」
エリカが顔を赤らめ、慌てたようにその場に立ちあがって、イライジャが身に着けていたのと同じ寝間着を落とした。
びっくりした。
エリカもまた、その下はなにも服は着ていない。
それはともかく、全身に縄がかけられていた。腕の拘束はないものの胴体に菱形模様の縄掛けがあり、乳房が縄から絞られるように引き出されている。
また、股間には、しっかりと股縄が食い込んでいる。
そのせいもあるのか、エリカはすっかりと欲情している。
一郎にはそれがわかった。
「……ロウさん……。エリカはずっと昔、わたしのねこだったのよ……。エリカはロウさんには、それを隠す必要はないというので一緒に来たの……。ねえ、わたしと一緒にエリカで遊びましょう……。ふふふ……。こんなに興奮するのは久しぶり……。あなたたちはどこかに行くというし、今夜は忘れられない夜にしたいわね……」
イライジャが笑った。
驚いたが、それは嬉しい驚きだ。
一郎はエリカを抱き寄せ、その乳房を揉みながら、イライジャに顔を向けて、思うままに口の中をむさぼり始めた。
(第3話『クリスタル石の陰謀』終わり)
*
【ロウ・サタルス】
…………。
……ロウ・サタルスの出生から青年期までの物語は、完璧に記録から削除されている。その記録の抹消は実に完璧でありすぎるため、その理由において、現在でもさまざなま憶測がなされているが、現在のところ万人を納得させる定説は存在していない。
…………。
最初にロウの記録が確認できるのは、当時「褐色エルフの里」と呼ばれていた小さなエルフ族の集落における事件であり、ロウとエリカであると推測される人物が、その里におけるあるクリスタル密輸事件に関与したという小さな記録が発見されている。
その事件は、その里の自治代表者であった里長が、当時ナタル森林を支配していたガドニエル長老女王の統制に反して、余分に生産したクリスタル石を密輸していた陰謀を里に偶然に立ち寄ったロウが暴いたというものであるが、その事件の関係者が後にナタル森林に与えた影響を考えると、ロウがその里に立ち寄ったのは、意図的なものであり、「偶然」に立ち寄ったわけではないのではないと考える歴史家も多い。
…………。
ボルティモア著『万世大辞典』より(ここに再録した引用文はすべてスクルズ記念国際図書館から許可を受けて初版本から抜粋して採録したものである。)