【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「いやっ」
エリカは、スカートが消失したために剥き出しになってしまった下着を隠そうと、上衣の裾を思い切り引っ張った。
ロウのこの新しい能力のことは、すでに十分に承知している。よくはわからないが、イザベラ王女の侍女たち十人を一度に性奴隷にしたときに覚醒したらしく、収納術のように亜空間に物を収納するときに、他人が装着したり、身に着けている状態のまま、品物や衣類だけを収納できるのだ。
コゼやシャングリアとともに、屋敷で何度も実験台になった。
確かにすごい能力であり、エリカも驚いた。どんな高位魔道遣いでも、身につけている服だけを魔道で奪ってしまうなど、あり得ないはずだからだ。
また、同時に、危険だということも、そのときに自覚した。
この力があれば、いつでもどこでも、ロウはエリカたちを瞬時に全裸にできるのだ。
しかし、こんな人の多いところで、それをやるだなんて──。
「ロ、ロウ様、こ、こんなの歩けません。返してください」
エリカは必死で、ロウに小声で哀願した。
すると、少し離れた場所にいる見知らぬ男たちが、ひそひそ声でこっちに視線を向けるのがわかった。
エリカは羞恥に卒倒しそうになった。
すると、ロウが爆笑した。
「馬鹿、そんな風に服を引っ張るな。周りには服は普通に身に着けているように見えると言っただろう。お前、スカートの中に上から手を突っ込んで、もぞもぞ動かしてるように見えるぞ」
ロウが笑いながらエリカの手を上衣から離させた。そして、ロウと腕を組ませる。
言われたことがよくわからなかったが、そういえば、目の前で羞恥で真っ赤な顔をしている素っ裸のスクルズは、エリカが握手をするまでは、ちゃんと平服を着ているように見えていた。
だから、いまのエリカもそうなのだろう。
だが、本来はスカートの中に入っている上衣のシャツの裾を手で引っ張ったため、スカートの中に手を入れているように見えたに違いない。
想像したら、むしろ目立つことをしてしまったのだと思い知った。
「ほら、こっち来い」
ロウが腕を組んだまま進みだす。
さっきスクルズが言った菓子店に向かうようだ。
エリカに奇異の眼を向けていた男たちは、あっという間に人混みに紛れてしまった。
「あっ、お待ちください。わ、わたしも腕を組んでよろしいでしょうか」
「どうぞ。美女ふたりに囲まれるなど男冥利に尽きるし、破廉恥美女たちよりも、むしろ目立つかもしれないけど、周囲の注目を浴びて、羞恥実験をするにはちょうどいい」
ロウがエリカが腕を組んでいる反対側の左手をすっとスクルズに差し出した。
全裸のスクルズがロウに駆け寄って、ぎゅっと腕を掴む。
「で、でも、や、やっぱり、は、恥ずかしいですね」
スクルズが微笑みながら言ったが、ふと見ると脚ががくがくと震えている。やはり、とても平静ではいられないようだ。
「だ、だったら、こ、こんなの作んないでよ──」
エリカはかっとして小さな声で怒鳴った。
まったく……。スクルズが余計な魔道具を持って来なければ、こんな辱めなどされなかったのだ。
エリカは恨みたくなる。
「ははは、喧嘩するなよ。ほら、お互いに手を握れ」
ロウが両腕のエリカとスクルズを引いて歩かせながら、ロウの前で手を握らせた。
すでに、スクルズの「遮蔽リング」はエリカには効果がなくなっているが、これでスクルズについても、エリカの遮蔽リングの効果も、スクルズに遮断されたに違いない。また、腕を組んでしばらく経つので、ロウに対しても同様と思う。
「あら、お可愛い下着ですのね」
スクルズが手を離しながら、悪戯っぽく笑った。
「み、見ないでよ──。わ、わたしたちは……、ロ、ロウ様に、これをはくように命じられていて……」
最近のことだが、エリカたち三人は、ロウの元の世界の女の下着だというものを渡され、決まってこれを身に着けるようにと、十枚ずつくらい渡されていた。
それは、下着というよりは小さな布片であって、前側とお尻に当たる布の部分がほんのちょっとしかなく、腰回りの部分が紐になっていて、その紐を腰の横で結んで留めるというものだ。
ロウはこの下着もどきを「ひもぱん」と呼んでいた。
だが、まさか、それを外で晒されるとは思わなかった。
いや、実際には見えてはいないのだろうが……。
「俺の愛奴用の下着だ。スクルズにも渡そう。その代わり、これ以外を身に着けるのは許さないぞ」
「ああ、悦んで、ご命令に従います」
スクルズがぎゅっとロウの腕に力を入れるようにして、うっとりとした甘い鼻息とともに言った。見ると、スクルズの大きめの乳房がかたちを変形させて、ロウの二の腕に密着している。まるで、誘っているようだ。
本当に、このスクルズは……。
エリカは溜息をついた。
「ところで、エリカ……。そんなにへっぴり腰になるなよ。本当は下着は見えてないんだぞ。そんなに下着を晒すのが恥ずかしいのか?」
ロウがエリカに視線を向けて笑いかけた。
エリカはロウをきっと睨んだ。
「あ、当たり前です。恥ずかしいです」
エリカは言った。
すると、ロウがにやりと好色に微笑んだ。
嫌な予感がした。
「そうか……。それは悪かったな。恥ずかしがり屋のエリカには、そんなに、下着を見られるのが恥ずかしいのだな」
気がついたときにはもう遅かった。
ロウが一度スクルズの腕を解いて、エリカが組んでいる側の下着の横の紐をすっと解いたのだ。
防ごうにも、ロウ側は腕を組んでいるので動かせない。
あっという間に、反対側にも手を伸ばされて、ロウに下着を取りあげられてしまった。
「あっ、やっ」
思わず、ロウに身体を寄せるようにして、身体をとっさに隠した。
しかし、次の瞬間、股間に違和感を覚えるとともに、衝撃で膝を割りそうになってしまった。
「んんっ、なっ」
なにが起こったのかわからなかったが、慌てて視線を股間に向けると、剥き出しになったクリピアスの輪にうずらの卵のような淫具がぶらさげられている。
「ろーたー」だ。
ロウが魔妖精のクグルスとともに作った淫具であり、これも、もともとはロウの故郷の淫具だそうだ。
いまは振動はしていないが、ロウはこれを自由自在で淫魔力で振動をさせて、エリカたちを辱めたりする。また、振動はしていなくても、こんなものをぶらさげられたら、歩くたびにクリピアスが強く揺れて、エリカはまともには動けなくなってしまう。
そのとおりであり、エリカはたちまちに沸き起こった強い衝撃に、その場で立ち止まってしまった。
「あっ、やです、ロウ様……」
エリカは反対の手で淫具を押さえようとしたが、ロウに軽く手をはたかれた。
「これに触るな。命令だ」
「ああ、そんな……」
股間に触れそうだった手を宙でぐっと握る。
ロウの命令だ……。
それには絶対に逆らわないという躾を心に刻みこまれている。
仕方なく、エリカは手を横に戻した。
「ちょっと、一度、遮蔽リングの効果を戻すか……。おう、成功だ。なにも見えない。股間に淫具をぶらさげているなんて、まったく見えないぞ。よかったな、エリカ。大丈夫だぞ」
ロウが笑った。
知らないが、腕を掴むことで効果を遮断した遮蔽リングの効果を元に戻したのだろう。大丈夫というのは、それが周りにはわからないということだと思う。
だが、そんな問題ではない。
「で、でも……」
エリカは内腿をすり寄せるようにして、ロウに哀願の目を向けた。
こうやって、とまっているだけでも、ちょっとした仕草でろーたーが動いて、クリピアスが動くのだ。そのたびに、強い刺激が股間に信じられないくらいに響いて、じんじんと股間が疼く。
ところで、エリカたちは、再び通りの隅側にいる。
ちらちらと、こちらに視線を向ける通行人は多いが、立ち止まったり、奇異の視線までを向ける者はない。
やはり、遮蔽リングが効果を及ぼしているのだろう。
少なからず注目を帯びている気がするのは、スクルズやエリカのような女が、ロウを挟んでいちゃいちゃしているのに、ちょっと視線を向けているのだと思う。
「剣を寄越せ。これも実験をしてみよう」
エリカは腰に革帯で細剣を吊っていたが、それが一度消えて、剣だけが、再び鞘付きでロウの手に戻った。
革帯ごと亜空間に収納して、瞬時に剣だけを取りだしたのだと思う。
改めて思うが、ロウの能力は、そこらの高位魔道遣いも形無しなくらいにすごい。
「す、素晴らしい収納術の手際ですね」
スクルズも感嘆したように言った。
それはともかく、スクルズの息はもうあがったみたいになっていて、小さいが息も荒い。
剥き出しの大きな乳房も上下に揺れている。
スクルズも異常なほどに興奮しているようだ。
「ありがとう、スクルズ……。だけど、残念ながら、性奴隷にした女限定なんだ。さもなくば、侍女たちのように、性奴隷にしようとして、性行為をするときにしか発揮できない。赤の他人にも通用するなら、向かい合った相手から武器を奪ったり、裸にしたりして、無敵になるのかと思ったんだけどね……。さて、エリカ、じゃあ、持ってみろ」
ロウが細剣を手渡した。
反対側の手で持つと、ロウが満足そうに頷く。
「やはり成功だ。剣を持っているように見えない。これなら、武器を持っていないように見せかけて、敵を油断させるということもできそうだ。立派な武器になるぞ。この遮蔽リングは……」
ロウが言った。
よくはわからないが、そうなのだろう。
だが、エリカは、ロウが少し前に、何気なく口にしたことが気になって訊ねることにした。
「あ、あのう、いまのお話は……。他人に対しては、亜空間に収納する術は遣えないのですか?」
「普通の使い方はできるな。だけど、お前たちにやるような、身に着けているものを取り去ったり、武器を亜空間に収納したりはできない。そういう意味では生きた人間そのものでも一緒だ。女以外は連れ込めない。つくづく、俺の能力というのは、性交関連専用にできているのだな」
ロウが自嘲気味に笑った。
すると、横にいたスクルズが前に出て、ロウと相対する位置に移動する。
「そ、そんなことはありません。ロウ様の能力は素晴らしいですわ。支配した女限定でも……」
「そうかな……。いずれにせよ、この遮蔽リングは優れものだよ、スクルズ……。じゃあ、スクルズにはご褒美だ。変な声を出さないようにな」
ロウが好色そうに微笑むのがわかった。
スクルズの股間に、ロウに手が伸びる。
「えっ?」
スクルズはなにをされたのかわからなかったみたいだが、エリカの目には、ロウがスクルズのクリトリスの部分に、エリカがぶらさげられたろーたーをロウが粘性体で貼りつけたのが、はっきりと見えた。
しかも、ロウが再びスクルズと腕を組み直したとき、それが無音のまま振動を始めたのだ。
「んああっ、あっ」
さすがにスクルズががくりと脚を折る。
「おっと、そんなに衝撃を受けるほどの振動はないはずだ。微振動だ。達することもないようにしている。さて、じゃあ、さっき言った菓子店に入りましょう」
ロウがエリカとスクルズと腕組みをしたまま、すたすたと歩きだした。
「あっ、そ、そんな、ロ、ロウ様、これは……。これはちょっと……」
「んくううっ、あっ、ピ、ピアスが動いて……。あっ、あっ」
ろーたーが股間で動いているスクルズはもちろんだが、エリカもまた、クリピアスが揺れて、膝が折れるほどの衝撃を受けた。
「破廉恥な声を出すなよ。裸が見えなくても、人目を引くぞ。誰かに腕を掴まれたりしたら、お前らの裸が露出するんだぞ。平静を装っていろ」
「だ、だったら、外して……。外してください。と、とにかく、こんなの……が、我慢できないし……」
「それを我慢させるのが調教だ」
エリカの言葉にロウは応じる気配もない。まあ、エリカも別に拘束をされているわけでもないので、淫具を強引に外そうと思えばできると思うが、それをする気にはなれない。
これも、ロウに躾けられたということだろうか。
ロウによって、スクルズとともに店の中に入らされた。
「はっ」
その瞬間、スクルズが不意に甘い声を出した。
ちょっと驚いたが、どうやら、振動がとまったようだ。それで逆に息を大きく吐いてしまったらしい。
だが、騒がしい店内のせいで、注目を浴びるということもなかった。
男を挟んで女ふたりが男と腕を組んで入ってきたことでは、ちらちらと見られはするが、侮蔑的な表情や冷笑のようなものを向ける者はない。
まあ、この王都は小さな町とは異なり、冒険者も多いし、人前で腕を組むくらいの風俗の乱れは珍しくないのだ。
まあ、それでも、全裸姿や股間を露出して歩くということはしないだろうが。
いずれにせよ、スクルズの淫具を止めたのは、それ以上すると、スクルズが耐えられなくなり、あられもない姿を晒して大騒ぎになる懸念があるからだと思う。
その辺りの責めの機微は、ロウは実にぎりぎりのところを探って責めてくる。
本当に、希代の調教師だと思ったりする。
「どれがいい、お前?」
肩で小さく息をしているスクルズに、ロウが語りかけた。
“お前”と呼んだのは、スクルズと名を呼ぶと、正体がばれる恐れがあるからだろう。
だが、スクルズがさっと顔をあげた。
「お、お前? う、嬉しいです」
スクルズが満面の笑みを浮かべて、ロウに微笑みかけた。
本当に嬉しいのだろう。
ぱっと顔が輝くようになっている。
「エリカも選べ。今日は俺が出してやる……。お前の分もな」
ロウがエリカとスクルズのそれぞれの耳元で言った。
「は、はい……」
スクルズが小さく返事をした。
だが、エリカはただ首を縦に振っただけだ。
クリピアスの振動で口を開けると甘い声が出そうで、必死に口をつぐんでいて、返事ができなかったのだ。
それから、店の中を歩いて、三人で並べられている菓子を見て回る。
さすがに、人気店だけあり、色とりどりの菓子が可愛くて素晴らしい。その中で、エリカたちは、通常のケーキの四分の一くらいのケーキの詰め合わせをしてもらった。
それにしても、いくらわからないといっても、股間を露出して人前で歩くというのは、死んでしまうと思うくらいに恥ずかしかった。
しかし、それでいて、身体が以上なほどに昂ぶり、胸が苦しくて、痺れるような感覚も襲っている。
これはぶらさげられている淫具がひっきりなしにクリピアスを揺らして、クリトリスに刺激を送り続けるせいだけではないと思う。
認めたくはないが、エリカはこの辱めに感じているのだ。
ふと見ると、自分の内腿にべっとりと愛液が滴っていた。
慌てて、脚をしっかりと密着させる。
とにかく、もうエリカは限界だと思った。
外気に加えて、たとえ、服を着ているように見えるとはいっても、人の視線を感じてしまい、それは全身を愛撫しているような気分になるのだ。
「お待たせしました」
若い女の店員が丁寧な仕草で菓子の詰め合わせの箱を寄越した。
ロウは、スクルズとエリカから腕を外して、それを受け取った。
「よし、行こう」
店の外に歩いていく。
エリカはスクルズとともについていく。
そして、店を出る瞬間だった。
「あっ、あんっ」
「んふううっ」
エリカとスクルズは同時に悲鳴をあげて、その場にうずくまってしまった。
突如として、股間の淫具が激しく動き出したのだ。
スクルズも同じのようだ。
両手で股間を押さえるようにしている。
「お客様?」
店員が驚いて声をかけてきた。
しかし、ロウがエリカたちの手を取り、強引に立たせた。
それで気がついたが、すでにケーキの箱はない。
亜空間に収納したのだろう。
「心配ない。お邪魔したね」
ロウが手を引っ張って、店の外に連れ出し、扉を閉めた。
そのときには、もう振動はなくなっている。
「ひどいです、ロウ様──」
「び、びっくりしました」
エリカはかっとなって声をあげた。
一方でスクルズは、ちょっとうっとりとした雰囲気でロウを虚ろな視線で見ている。いまのでかなり感極まったみたいだ。
「これが調教だ。さて、まだまだ散歩をするぞ。陽が落ちるまではもう少しある」
ロウが笑って、両腕を差し出した。
エリカは嘆息をし、とにかく、スクルズとともにその腕に飛びついた。
*
ロウたちがやって来たのは、そろそろ夜になりかけている時分だった。
すでに部屋の中には、燭台を灯らせている。
また、今度も三人の来訪を告げたのはスタンだった。すでに、仕事を終えている時間だったが、ロウたちのことは顔見知りなので、わざわざ案内をしてきたようだ。
マアは、スタンにねぎらいの言葉を告げると、扉の前から立ち去らせた。
ここに集まっている者を知られたくないし、そもそも、マアはいまは若い女の姿だ。
スタンは信用できる少年だが、仰天して驚かせてしまうに違いなかった。すぐに、ロウとエリカとスクルズの三人が入ってきて、ロウが背中で扉を閉める。
「ご主人様、待ってましたよ……。へえ、エリカもスクルズも、すっかりとお疲れみたいね」
「お前たち、スカートの下に垂れてるぞ」
コゼとシャングリアが笑って寄っていく。
エリカもスクルズも、マアがスクルズに施してもらっているような金属の細い首輪を装着していた。
コゼによれば、姿を偽装する魔道具だといって、具体的な効果はお茶を濁したが、確かに、金属の表面に紋様のようなものが刻まれていて、魔道具っぽい。
それはともかく、ふたりともまるで性交でもしてきたかのように、息を乱して淫靡な表情をしている。
シャングリアの言葉のとおり、よく見れば、短めのスカートからかなりの愛液が滴っているのがわかり、くるぶしの付近まで繋がっていた。
これは相当に、外でこってりと悪戯されたに違いない。
マアは、思わずごくりと唾を呑み込んでしまった。
「ただ散歩しただけなんだが、ちょっとできあがってしまってな。おかげで、スクルズの移動術も遣えなかった……。ほら、しっかりしろよ。ふたりとも──。もう淫具は外してやっただろう」
ロウが白い歯をこっちに見せた後、ふたりに笑いかけた。
やはり、淫具でいたぶっていたのだと思った。
もう外したということは、その前は装着をしていたということになるからだ。
「ふふふ、ご主人様、もしかして、エリカとスクルズは……、あれ……なんですか?」
コゼが部屋に入るなり、精根つきたように床に正座するようにしゃがみ込んでしまったふたりの横に立って、ロウに媚びを売るように言った。
しかし、“あれ”とはなんだ?
「おう、そうだ。それでふたりとも身体を晒して、悦に浸ってしまって、すっかりと感じてしまったというわけだ。さすがは、恥ずかしいと感じてしまうマゾ女だ」
「う、嘘です──。そんな」
エリカが必死に様子で首を横に振る。
マアは横で思わず微笑んでしまった。
エリカの可愛らしさにである。
端から見ていれば、エリカがすっかりと淫情に耽って、身体を熱くしているのは明白だ。それなのに、あんなに否定するものだから、可愛いとしかいえない。
そんなところも、ロウがエリカを気に入っているところだろう。
「だって、そんなにびしょびしょじゃないか、エリカ」
すかさず、ロウがからかいの言葉を発する。
すると、エリカがますます真っ赤になる。
「そ、それは……、ロウ様があんな淫具で悪戯なさるから……」
エリカがロウに反論するように言った。
よくはわからないが、かなりいやらしく外でさんざんにいたぶられたのだろう。
可哀想に……。
マアはくすりと笑った。
「わ、わたしはちょっと……いえ、かなり興奮したかもしれません……。や、やっぱり、ロウ様のご調教は素敵です……。もう酔いそうですわ……。でも、魔道を刻めなかったのは申し訳ありませんでした」
そのとき、スクルズが顔を染めたままロウに頭をさげた。
ロウが苦笑した。
それはマアも同じだ。
こっちはこっちで、随分と自分の好色をあからさまだ。敬虔で清楚な筆頭巫女だと思い込んでいる信者たちは、こんなスクルズを知ったら驚愕することだろう。
「ロウ、あんたが呼び出したくせに遅いわよ。シャーラは一度戻ったわ。呼べば戻って来るそうよ」
ミランダだ。
マアも声をかけることにした。
「ロウ殿たちに振る舞おうと思って準備したシャルベットという氷菓子を侍女たちに持って行ってもらったのだ。ロウ殿の愛人たちとは仲良くしたいしな。よければ、夕食の後でも食べていってくれ。それと、夕食も準備をしておる。ロウ殿の趣向に合うように、またロウ殿の故郷の味に似た新作料理を準備したぞ」
「それは愉しみだな。おマアの部屋で打ち合わせをするのは、それが愉しみだからだ。是非、食べさせてくれ。もっとも、真面目な話をしたあとにね。おマアの食事は雑念なしに口にしたい……」
ロウが笑って言った。
マアもそう言ってくれれば、手間と金をかけたかいがあった。ちょっと嬉しくなる。
「あっ、それと、こっちも手土産がある。そのときに、一緒に食べよう。ふたりの決死の買い物だ」
ロウがさらに言った。
「決死の買い物?」
マアは首を傾げた。
「ははは、まあ、いいだろう。それよりも打ち合わせの前に、こっちを片付けさせてくれ。スクルズとエリカはできあがってしまってな。このままじゃあ、頭に血がのぼって冷静にもなれないだろう。ほら、お前たち手と頭を床に着けて尻をこっちに向けろ。もうどうにか、なりそうなんだろう? けりをつけてやるよ」
ロウが笑って、ふたりの首に装着している首輪の魔道具に手を伸ばした。
首輪が宙に溶けるように消滅する。
多分、亜空間術で収納したのだろう。
ロウの得意の能力だ。
しかし、その結果によるエリカとスクルズの姿の変化に、マアも目を見張った。
ふたりの格好が裸に変わったのだ。
「わっ」
「へえ、わかっていても、かなりのものね。そんな恰好で外を歩くだなんて、いい度胸しているわ、あんたたち」
ロウたちの傍にいたシャングリアが驚きの声を発するとともに、コゼが皮肉っぽく言った。
また、マアとミランダは少し距離があったのだが、横のミランダも息を飲んだのがわかった。
なにしろ、ロウが首の魔道具をふたりから外すと、服を着ていると思っていたスクルズが全裸に変わり、エリカも下半身が剥き出しの半裸に変わったのだ。
マアも驚いたが、それではっとした。
さっきのコゼの物言いを考えると、さっきのリングは、ふたりがきちんと服を身に着けていると欺騙する魔道具だったのだろう。
しかし、本当はふたりは、いま目に見える格好で王都内を歩いてきたということに違いない。
それで、その羞恥責めにふたりともすっかりと被虐酔いしたということなのだ。
やっと、マアも理解した。
「ああ、ありがとうございます、ロウ様」
「は、はい……」
ロウの言葉で、すぐにスクルズとエリカが反応して、ロウにお尻を向ける。
ロウがふたりの剥き出しのお尻を前にしてズボンを下着ごと足首までおろした。
まずはエリカのようだ。
ロウがエリカの腰を両脇から支え、勃起している怒張をお尻側から、エリカの股間に潜りこませた。
「あっ、はああっ」
エリカが大きな甘い声を出して、全身を悶えさせる。
途端に、抽送が激しく始まった。
すぐに耐えきれなくなったように、エリカはがくがくと身体を震わせだす。
「ああ、あっ、ああっああっ」
そして、エリカの反応が大きくなった。
まだ始まったばかりだが、もうすぐ絶頂しそうだ。
しかし、マアもふと我に返った。
こうして何気なく、目の前で行われている他人の性交を眺めているが、これをまったく不自然な光景とも感じなくなった。
ミランダも同じだろう。
いきなり始まった破廉恥なロウたちの性交に呆気に取られてはいるが、違和感を覚えている気配はない。
これも、ロウの好色にすっかりと染められてしまったということかもしれない。
「コゼ、シャングリア──。スクルズが手隙だ。身体をいたぶってやれ。スクルズは抵抗は禁止だ……。そして、もしも、スクルズの番になる前にスクルズが達したら、スクルズの代わりに、コゼとシャングリアを犯してやろう。スクルズはお預けな」
ロウがエリカを犯しながら笑って言った。
「そ、そんな、ロウ様、あんまりです──」
スクルズが泣くような声をあげた。そんなに動転しなくてもいいのにと思うくらいの悲観に暮れた口調だ。
反対に歓声をあげたのはコゼである。
「わおっ、やるわよ、シャングリア──。ふたりがかりなら、あっという間よ。あんたはそのでかい乳を揉んであげて。あたしは下を責めるから──。さて、淫乱巫女様、ご主人様のご命令よ。一切抵抗しないのよ」
コゼがすぐにスクルズの股間に取りつく。
お尻を掲げているスクルズの股間側から手で愛撫を開始し、さらに、一方で舌でお尻の穴を舐めだしたのだ。
これにはマアもびっくりだ。
「あ、ああっ、ああああっ、ご、後生です──。コ、コゼさん──。手を……手を抜いてください、あああああっ──」
スクルズは歯を食い縛るようにしたものの、コゼに責められて、すぐに大きく裸身を波打たせて露わな声を放った。
「やれやれ、ロウの命令だからな。悪く思うなよ、スクルズ」
さらにシャングリアがスクルズの胸を下側から搾るように揉みだす。
ますます、甲高い嬌声をスクルズが発する。
マアは、淫らな美女三人の痴態の光景に、半ば唖然とする思いになった。
ミランダも同じだ。ますます目を丸くして、同じように五人の卑猥な姿を見守っている。
片側は、ロウが後背位でエリカを犯す光景――。その隣では女ふたりが寄ってたかってスクルズを責め抜く姿――。
ふたつの卑猥な絡みが堂々と繰り広げられている。
なんなんだ、これ……。
やがて、エリカが全身をがくがくと震わせて絶頂した。
ロウはそれに合わせて精を放ったようだ。
「ああ、はううううっ」
しかし、かすかに遅れて、スクルズもついに、コゼたちの責めに屈して絶頂してしまった。
どうやら、我慢できなかったようだ。
「やったね──。さあ、淫乱巫女様、交代よ。次はあたしの番なんだから──。そして、シャングリアよ」
コゼが嬉々としてスクルズの裸身から離れて、半ズボンを脱ぎだす。
エリカの横に移動して、ロウに犯してもらうつもりなのだろう。
「ええ──。わ、わたし、駄目だったんですか──? そ、そんなのないです。後生です──。ねえ、ロウ様──。わたし、あんな恰好で歩いて、最後にロウ様に犯していただくのを本当に愉しみにしていたんです──。こ、こんなのあんまりです──。あんまりです──」
すると、スクルズがロウの脚に取りすがるように哀願をした。
恥も外聞もないようなスクルズの必死の姿には、マアも呆れた。
「邪魔よ、淫乱巫女様──。ねえ、ご主人様、コゼはもう準備、できましたよ」
絶頂で身体を脱力させたエリカがさっきまでしていた格好で、下半身だけ剥き出しにしてお尻を掲げたコゼが、小柄な身体を誘うようにくねらせる。
本当に嬉しそうだ。
「そういうなよ、コゼ……。じゃあ、スクルズ、罰ゲームだ。コゼとシャングリアが達するまでに、三回自慰で達するんだ。それができれば、最後に犯してやろう」
一郎はコゼに取りつきながら言った。
「三回──。三回ですね──。やります──。やりますから──」
スクルズがロウに身体を向けるように跪き、指を股間に移動させて愛撫を開始する。
一方で、ロウは早速コゼを犯しだした。
「ああ、き、気持ちいい──。あっという間にいっちゃおう──」
早くもコゼが腰を震わせだす。
しかし、半分はスクルズに対する意地悪だろう。スクルズが三回自慰で絶頂する前に、コゼとシャングリアが終わってしまえば、スクルズの番はないということなのだ。
「あ、ああん、コゼさん、ゆっくりですよ。あんまり、意地悪なさらないでください」
「やれやれ、大切な打ち合わせなのに、いつ話し合いが始まるのかねえ……。そもそも、あんなに激しくやったら、この後で打ち合わせになるのかねえ」
ミランダが横で嘆息した。
だが、視線を向けると、そのミランダも顔を赤くして、内腿をじわじわと擦り合わせるようにしている。
どうやら、ロウたちの破廉恥な性交に、だんだんと欲情してきたようだ。
そういうマアも、ただ見物しているだけなのに、息があがってきた気がする。
確かに、いつ話し合いが始まるのか……。
始まるとしても、ちょっと時間を置かないとならないのは明白だ。
ロウは本当に、スクルズに自慰による三度の絶頂を強要するだろうし、そんなことしたら、その後でロウに犯され終わったときに、スクルズも動けないだろう。
エリカはたった一回で突っ伏してまだ動かない。
マアは知らず、自分でも甘い吐息をしてしまっていた。
「でも、愉しそうね……」
マアはなんとなく言った。
心の底から無邪気で屈託のないやりとり……。
目の前で行われているのはそんな感じだ。
「スクルズも……あんなに無邪気な女の子だったのね」
ミランダもぽつりと言った。
すでにスクルズは、女の子という年齢ではないが、確かに目の前の女たちは、本当に天真爛漫のまま、やりとりをしていて、まさに“女の子”という感じだった。
「ね、ねえ、ミランダ、こ、こうやって、見物だけというのも空しくはないかい? あたしたちも若い娘たちに負けず、ちょっと積極的に……」
マアは言った。
「そ、そうねえ……。どうせ、全員がまともに会話ができるようになるまで、しばらくかかるだろうし」
ミランダが半分ぼうっとしたまま、無意識なのか、口の周りを舌で舐めた。
マアはあそこで、女たちと遊んでいるロウを見た。
頼めば、スクルズのように鬼畜な条件を突きつけられるかもしれないが、絶対にロウは自分の女から迫られれば、邪険にはしない。
本質的に優しいのだ。
優しい鬼畜だ。
マアは、ミランダと目で合図を交わすと、ロウに「お願い」するために、ロウに向かって近づいていった。
沸き起こっている身体の熱い疼きとともに……。