【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
188 ふたりとひとり
「ここから先が例の奥座敷です。この内側に入るには特殊な鍵が必要ですが、すでに手に入れています」
重厚そうな扉の前で、コゼが紋章入りの丸い硬貨に似たものをかざすと、扉がひとりでに左右に開き始めた。
その鍵自体も魔道の道具のようだが、本物のモルドを殺したときに入手したものであることは間違いない。
キシダイン邸の中だ。
一郎はキシダインの屋敷には堂々と入った。
客人としてである。
ただし、冒険者ギルドから借りている変身リングで、エリカがキシダインに、そして、コゼがモルドに化けている。変身リングで誰かに化けるには、その相手の体液か何かをリングに覚え込ませる必要があるが、キシダイン分についても、モルドに化けていたコゼが昨日のうちに準備していた。
予定外の時間に戻ってきたキシダインについては、出迎えた家人たちは不審な表情は見せなかったが、モルドが外から戻ってきたことについては、玄関で迎えた侍女たちが不思議そうな顔をしていた。
玄関で出迎えた家人たちは、執事のモルドは、家人たちが立入禁止になっている「奥座敷」にいると思っていたのだろう。
しかし、キシダインに化けているエリカが、尊大そうな口調で、一郎のことを奥の院に連れていく客人だと告げると、玄関で出迎えた家人たちは、すぐに立ち去っていった。
どうやら、そういう風に躾けられているようだ。
そして、いまは、奥座敷に入る扉の前だ。
奥座敷というのは、第一王女だったキシダインの妻であるアンが監禁されている魔道の結界のかかった屋敷の最奥の場所だ。
キシダイン家の家人たちでも、ほとんどの者が入室を禁じられていて、中にはキシダインの私兵の男たちが、交代で常駐して監視をしている。
先日潜入を果たしたコゼとシャングリアによれば、奥の院の中はほとんど無法地帯と化しており、アンもそうだが、とりわけその侍女のノヴァは酷い目に遭っているようだ。
さっきまでいたダドリー峡谷から、キシダイン邸に跳躍する寸前に、コゼとシャングリアからふたりの窮状について改めて知らされたが、話半分だとしてもノヴァに対する仕打ちは酷すぎる。
それは、嗜虐好きの一郎さえも鼻白むほどであり、改めてキシダインたちに対する怒りで腹が煮えたぎっている。
「開きます」
一度潜入を果たしている案内役のコゼが言った。
開くと薄暗い廊下があった。
とりあえず、誰の姿もなく、また、特に騒ぎらしいものもないようであり、一郎はほっとした。
「酒臭いわね……」
エリカがぽつりと言った。
一郎も同じ感想を抱いた。
「ふふふ……。モルドの姿をして、ここにいた連中に今日はいくらでも酒を飲んでいいからと告げてから、大量の料理と火酒を連中のたまり場に運んだのよ。生き残っている連中も、すっかり飲んだくれているでしょうね」
コゼが喉だけで笑った。
ここに潜入したとき、侍女のノヴァを凌辱していた監視人の男たちをコゼが次々に刺殺したというのは、ここに移動術で跳躍する直前に聞かされたばかりだ。
驚いたが、コゼの心の奥にある奴隷時代の記憶が、コゼにそんな暴発的な行為をさせてしまったのだろう。一郎は、コゼの行為を批判するつもりもないし、咎める気持ちもない。
それはいいとして、用心深いキシダインは、奥座敷の出入りを厳重に管理していて、魔道を遣って、執事のモルドか、キシダイン自身でなければ、そもそも、奥座敷の出入口になる扉が開かないようにしていたらしい。
それが、さっきコゼが持っていた魔道の鍵になる硬貨のような金属だ。
また、アンとノヴァについては、執事のモルドとしての指示で、アンの部屋から出てはならないと言ってきたようだ。
コゼは、アンの部屋を鍵で開閉できないようにもしてきたことであるし、扉をぶち破らない限り、誰も出入りはできないはずだと一郎に説明した。
さらに、キシダインは侍女のノヴァにはなにをしてもいいと言っている傍ら、監視の私兵たちがアンの部屋に入ることを厳しく禁止しているので、鍵も持っていない男たちが勝手に部屋に入る心配はまずないとも言っていた。
いずれにしても、コゼは殺した私兵の死体をこの奥座敷の中にある仮眠部屋に放り込んできたと言っていた。だから、アンとノヴァが無事であり、奥の院の中にいた男たちが逃亡して異変をどこにも知らせることができないとしても、一郎たちがやって来た時点で、自分たちの危険を認識して大騒ぎになるんじゃないかと予想していたが、それは杞憂だった。
やって来た奥の院は、酒臭い以外は鎮まっている。
おそらく、コゼの作った屍体は見つかっていないのだと思う。
「面倒なことから済ませるか」
奥の院内に入ると、一郎はコゼに唯一の出入口となる扉を閉鎖させた。
これで、コゼの持っている鍵がなければ、誰にも出入りできないはずだ。ほかに鍵を持っているのはキシダインのはずだが、キシダインがいまここに現れるのは、あり得ない。
一郎は魔眼を駆使して、まだ残っている連中がいる部屋を探した。
すぐに見つかり、一郎はその部屋を開いた。
「ああっ、なんだ?」
部屋にいたのは五人ほどの男たちだ。
かなりの酒を飲んでいる気配であり、すっかりと酔っ払っている。
一郎は、懐から短銃を出すと、最初に口を開いた男の眉間をいきなり撃ち抜いた。
残った四人が驚愕して、悲鳴をあげて、椅子から立ちあがる。
ステータスで確認する限り、ひとりひとりはそれなりの強兵だが、突然のことであり、しかも酔っているので、椅子から転げ落ちたり、ひっくり返ったりして、まともには対応できない。
「皆殺しにしろ」
一郎はそれだけを言った。
キシダインとモルドに扮しているエリカとコゼが、男たちに飛びかかった。
全員が屍体になるのに、数瞬しかかからなかった。
「行こう」
始末が終わったところで、一郎はアンたちがいる部屋に向かった。
案内がなくても、魔眼で居場所は簡単にわかる。
アンたちがいるのは、この一角の中でもっとも奥まった場所だ。
一郎は、コゼに扉を開かせて、室内に入った。
「おお……」
「あら、まあ……」
「うわっ」
室内に入ったとき、一郎だけでなく、エリカとコゼの口からも、驚きの声が出てしまった。
部屋の真ん中に大きな寝台があるのだが、そこにふたりの裸女が絡まって眠っていたのだ。
しかも、ふたりは汗まみれであり、それぞれの股間にはふたりの激しく愛し合った証拠の体液が満ち満ちている。
さらに、驚いたことに、魔眼でアン王女だとわかる女性は、寝台の四隅に四肢を拘束されていた。
ノヴァは、そのアンに覆いかぶさるようにくっついて眠っているのだ。
このふたりが、気を失うほどに激しい百合の性愛をやっていたのは明白だ。
「これは面白いことになったな」
一郎はほくそ笑んだ。
そして、服を脱ぎ始める。
エリカとコゼが、ほとんど条件反射のように、それを手伝い始めた。
「馬鹿、お前らは――。いまキシダインとモルドに変身しているんだぞ。それが客人が服を脱ぐのをかいがいしく手伝ったりしたらおかしいだろ。いいから、ふたりを起こせ。そして、手筈通りだ……。始まったら、部屋の隅で大人しくしていろ。いいな──」
一郎は言った。
エリカとコゼに指示していたのは、本物のキシダインのふりをして、客人としてやってきた一郎に「奉仕」をしろと、アンとノヴァに命じることだ。
おそらく、アンたちふたりは、抵抗しないはずだ。
キシダインは、こうやって連れてきた客の相手をすることを繰り返して、アンに強要してきたらしいからだ。
それと同じことしてアンとノヴァを犯すことについては、少し心が咎めるのだが、一度精液を体内に入れてしまえば、一郎の淫魔術がふたりに刻み込まれる。
そのためには、回りくどいことをするよりも、キシダインの姿でアンたちに、一郎の相手をせよと命じるのが、手っ取り早い。
キシダインがアンにかけた操心術を解くには、数度にかけて精を注ぎ込み、さらにアンと深い関係になることが必要だとは思うが、そうやって深く淫魔術を刻み込んでしまえば、魔道の解除は難しい作業ではない。
いずれにしても、最初に一滴でいいので、ふたりの体内に一郎の精を入れることだ。
あとは、淫魔術でいくらでも操れる。
とにかく、それまでは、一郎がアンを助けに来たと悟らせてはならないのだ。アンが一郎のことを救出者だと認識した瞬間に、アンが呪いで苦しみもがくことになる。
申し訳ないが、最初はアンを寝取る不埒な客人を演じるしかない。
「あっ、そうですね……」
「わかりました」
エリカとコゼが寝台に寄っていく。
そのあいだに、一郎はすっかりと生まれたままの姿になった。
すでに、最初から股間は勃起させた。
その状態のまま、一郎もまた寝台に寄っていった。
寝台の下には、ふたりが脱ぎ捨てたらしい衣類が散乱していた。
「おい、起きろ」
まずは、キシダイン役のエリカがふたりに大きな声をかけた。
アンとノヴァのふたりが身じろぎをしはじめる。
「あっ、旦那様──。も、もうしわけ……」
最初に目を開いたのはノヴァだ。
引きつったような顔をして、慌ててアンの拘束を解こうとする。
「あ、あなた──」
アンもまた目を開く。
慌てて起きあがろうとして、四肢を縛っている寝台に引き戻される。
その慌てぶりが気の毒でもあり、また、同時に可愛くもあった。
「そのままでいい」
一郎は声をかけた。
ふたりが金縛りにあったかのように静止する。
「アンとノヴァ、この人は俺の客人だ。奉仕をせよ」
エリカが口にした。
そして、背を向けて部屋の隅に向かっていく。
魔道具でキシダインに変身しているエリカだが、生真面目な性格のせいか、コゼと異なって他人のふりをするのが下手だ。
だから、余計なことを喋らずに、さっきの言葉だけを口にして離れろと指示していた。
「さあ、奥様、いつものように、閣下の客人のお相手をなさってください。この方はロウ殿というお方です。故あって、詳細は申しあげられませんが、とても大切なお客様とお心得ください。また、ロウ殿は、ノヴァも一緒に抱くことを所望されております」
モルド役のコゼが言った。
声も魔道具で変声しているのだが、それだけでなく、知っている一郎が見ても、とても女が変身しているとは思えない。
モルドという執事に、完全になり切っているコゼに一郎は感心した。
一方で、アンもノヴァも、突然のことに、まだ頭が働いていない気配だったが、すぐにふたりともすべてを諦めたような表情になった。
コゼがそれを確認して、エリカのいる部屋の隅に向かう。
一郎は勃起させた股間のまま、アンの開いている足側の寝台の隅に胡坐をかいて座った。
「……ど、奴隷妻のアンでございます。こ、こんな格好で申し訳ありません。わ、わたしの身体でよければ、ご、ご存分に……。で、でも、できれば、わたしだけにしていただくわけには……」
アンが寝台に縛られたまま、顔だけをこっちに向けて挨拶をした。
さすがに、その恰好で喋るのは恥ずかしそうだ。
それにしても、本来であれば王族であるアンに、こんな娼婦のような台詞を言うようにキシダインは強要しているのだと思った。
その物言いには、言い慣れた感じさえする。
一郎は、それだけで、このアンがキシダインにどんな目に遭わされていたのかを理解することができてしまった。
また、アンが一郎に向かって喋った言葉のうち、後半の部分は離れていったキシダインとモルドに聞こえないように配慮した小さな声だった。
とにかく、こんな状況でも、アンがノヴァを庇おうとしているのがわかった。
このふたりは、本当に仲がいいようだ。
まずは、それを利用して、ふたりの心をほぐすのが得策だろうと一郎は判断した。
心を解放させた方が淫魔術が深く刻まれて、魔道で刻まれているアンの操心術が解除しやすくなる。
「ア、アン様……。わたしなら、大丈夫です。一緒にご奉仕するのであれば、嬉しく思います」
ノヴァが早口で言った。
「じゃあ、まずは、このたぎった一物を舐めてもらおうか。ノヴァ、俺の股間から精を吸い取れ。ただし、口の中で溜めて、お前の女主人と半分ずつにして飲み込むんだ。すぐにやれ」
一郎はキシダインの男客を装った厳しい口調で言った。
ノヴァはそれほどに躊躇した仕草を見せずに、胡坐座りの一郎の股間に顔を埋めると、舌でぺろぺろと亀頭を舐めてから、口全体ですっぽりと一郎の怒張を咥えてきた。
一郎はいきなり、ノヴァの口の中で射精してやった。
「んふうっ、あっ」
まさか、なにもしないうちに口の中で精を出されるとは思わなかったのだろう。
ノヴァは、驚きで目を白黒している。
「どうした? 言われたとおりにしろ。口の中のものを半分に分けて、アン王女とふたりで飲むのだ。アン王女もよいな」
一郎は言った。
ノヴァが一郎の口から離れて、一郎の精を運んでいく。
そして、さっき一郎の一物を咥えていた口で、アンと口づけをして一郎の精を飲み合った。
ふたりが確かに一郎の精を飲んだのがわかった。
アンとノヴァが一郎の淫魔術によって支配に入る感覚が起こったのだ。
こうなれば、あとは簡単だ。
すでに支配に陥っているが、さらにそれを強いものにするには、ふたりの膣の中にそれぞれに精を直接に注げばいい。
ふたりの感情操作も可能なので、作業は容易くなる。
また、アンに施されている魔道の呪いの詳細も読めた。
これなら、混み入っているが本格的に一郎との淫魔の結びつきができあがれば、時間もかけずに解除できる。
だが、やっぱり、それまでは、一郎がアンを助ける可能性があることは、かすかでも考えさせるわけにはいかないとわかった。
確認していた通りに、アンが、一郎が救出者であることを見抜いて、この屋敷から逃げ出せるという望みを抱いた瞬間に、まだ解けてはいない魔道が、アンの呼吸を止める仕掛けになっているのだ。
一郎は、アンとの結びつきができることで、改めて、それがわかった。
「それにしても、お前たちは女同士で愛し合う百合の性愛の関係のようだな……。いや、いいのだ──。抗議しているわけでも、文句を言っているわけでもない──。ならば、お前たちを抱くまでに、まずは、ふたりで愛し合ってみせろ。女同士のまぐ合いというのも、一度見物したい」
一郎は言った。
ふたりははっとした表情になったが、性愛の途中で気を失ってしまって、重なって眠っている姿を見物されてしまったというのは、ふたりともわかっている。
そのことでも、ふたりは一郎に対する心の抵抗心まで失っているようだ。
だが、それでも、ノヴァはさすがに目の前で女同士まぐ合えと言われて、やや抵抗があるようだ。
しかし、面白いのは、拘束をされたまま一郎たちを出迎えるかたちになったアンが、まずはノヴァと愛し合えと命じられたときに、急に安堵のような感情を拡げたことだ。
どうやら、アンにとってノヴァの存在は、このキシダイン邸における監禁生活の心の拠り所になっている気配だ。
ならば、やはり、その関係を利用するのが最善の方法だ。
「なにをしておる、ノヴァ。命じられたことができんのか? そこにお前の女主人が可愛い蕾まで覗かせているだろう。まずは、そこを指で愛撫しろ」
一郎はわざと不機嫌そうな顔を装って、苛ついた口調で言った。
アンが慌てたように口を開く。
「……さ、さあ、ノヴァ……。お客様のご機嫌を損じてはなりません……。それに、さっきの交わした誓いを覚えていますね……。最後の最後まで……。誰に見られてもいいのです……。わたしは嬉しいのです。もう一度、わたしに淫らなことをしてください……。ふたりでさかりのついた雌のように愛し合いましょう」
アンがノヴァの耳元でささやいたのが聞こえた。
すると、ノヴァの心から、すっと躊躇いのような感情が消滅したのがわかった。
ノヴァは顔を真っ赤にして、うっとりとした表情をアンに向けた。
「……わ、わかりました。ノヴァの愛を受けてくださいね……」
ノヴァは体勢を変えると、四肢を拡げているアンの身体の上に裸身を重ねるような体勢になりながら。指先でアンの股間にそっと触れた。
「あ、ああっ、も、もっと……もっと、強く……」
ノヴァの指がアンの股間で動き始めると、アンはすぐにもどかしげに身体を揺さぶり、さらに強い刺激を要求してきた。
浅くではあるが、淫魔術でふたりの心に触れている一郎には、ふたりの心から、一郎の存在や、ましてや、部屋の隅にいるキシダインとモルドと思っているふたりのことなどが締め出されていくのがわかった。
いまのいままで、ふたりの心には、大きな恐怖心のようなものがしっかりとあったのだが、ふたりが愛し合いだすと、それがほとんど感じなくなるくらいに小さなものになっていった。
そして、「幸福感」としか思えない感情が、ふたりを支配し始める。
「ふふふ……。こうですか、姫様……。ここですね……。ここですよね。そして、こう……」
ノヴァが不意にくすくすと笑って、愛撫を強めた。
だが、実際には、肝心の部分にはノヴァは触れずに、アンが本当に感じる部分を避けて、責めの力を強くしたようだ。
アンの身悶えが激しくなる。
それとともに、どんどんと「快感値」の数値がさがっていく。
「……そら、ふたりで口づけだ」
一郎は言った。
ノヴァが一郎の言葉に操られるように、アンの口に顔を重ねて、舌を絡めだす。
「ああっ」
アンは首を大きくのけ反らせて激しく喘ぎだした。
ふたりがもう一度、唇を重ね直して、さらに濃厚な口づけを交わし始める。
一郎は、すっかりと陶酔した感じになっているアンとノヴァに近づくと、ふたりの顔が接している部分に、一郎の顔を接しさせ、三人の舌と舌が絡み合うようにした。
ただし、刻んでいる範囲での淫魔術の力を利用して、一郎自身の存在をふたりに感じさせないようにする。
アンとノヴァは、お互いの唾液を吸い合いながら、一郎の唾液も一緒にすすり合っている。
それにより、だんだんとふたりに対する淫魔の刻みが強くなる。
「ああ、姫様──」
「ああっ……ノヴァ、す、素敵です……」
ふたりがお互いの名前を口にし合いながら、三人の唾液を飲み続ける。
いまや、酔いしれた雰囲気に変化したアンとノヴァが、完全にふたりだけの世界に入っていることは確かだ。
このふたりは、こうやって、すべてを忘れてふたりの世界に没頭することで、つらい現実を忘れるように努めてきたのだろう。
ひとたび、百合愛を強要したら、あっという間に錯乱する姿を示し始めた。
ふたりの心の幸福感がどんどんと巨大になる。
一郎は、ふたりに淫魔術を刻むのに、無理矢理に犯すのではなく、できるだけの幸福感の中でふたりを支配してやりたいと思っていた。
もちろん、強姦するように犯しても、淫魔術は刻み込める。
しかし、このふたりに限っては、一郎との最初の関係だけは、可能な限り幸せに包ませながら抱いてやりたいと思った。
それには、できるだけ一郎の存在を消滅させてしまう抱き方がいいようだ。
一郎は十分だと思ったところで、ふたりから口を離す。
それでも、アンとノヴァは、憑かれたように顔まですりつけるように濃厚なキスを繰り返す。
一方で、ノヴァの指先は、小刻みな震えがとまならくなっているアンの太腿に指を絡ませながら、粘っこい愛撫を継続している。
「ああ、も、もう駄目です。もう、いってしまいます──。ああ、ノヴァ──」
アンが悲鳴のような声をあげて、右に左にと顔を捩じりだす。
ノヴァは口づけをやめて、身体全体をアンに擦りつけるように動き始めた。
ふたりの乳房と乳房──。
股間と股間が強く擦れ合い始める。
ふたりの狂態が激しくなる。
一郎はふたりが重なり合っているところに割り込むように身体を差し入れた。
そして、ノヴァの指先が当たっているアンの股間に怒張をすっと飲み込ませる。
同時に、ノヴァの股間にも指先を伸ばした。
たったいままで、ふたりだけで擦り合っていた部分に、一郎の一物と指がとって代わった感じだ。
ただし、一郎は淫魔術を総動員して、一郎の存在を消している。
ふたりがいま結合と愛撫を受けているのは一郎なのだが、ふたりにとっては、一郎がやって来たことさえも知覚していないと思う。
「も、もっと躊躇わずに、ノヴァ──。も、もっとです」
「ああ、姫様も──。そ、そこ……、す、素敵です。す、すごく気持ちいいです。あ、ああ──。す、すごく感じる──。ああっ」
ふたりが一層激しく悶えだす。
アンは一郎に犯されながら……。
ノヴァは指の愛撫を股間に受けながら……。
「き、気持ちいいわ、ノヴァ――。もっとして。もっと激しくくださいっ」
「ひ、姫様も、きょ、今日はすごいっ。と、飛ぶ。い、意識が飛びそうです。あ、ああっ、姫様、気持ちいい――」
それぞれの名を呼んで、さらにおねだりの言葉をお互いに吐きかけた。
「い、いくううっ」
「わ、わたしもです──んぐうう──」
アンとノヴァのふたりが同時に身体をのけぞらせた。
一郎はまずはアンの股間にたっぷりの精をそのまま注ぎ込んだ。