【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「しまった──」
魔妖精を手放してしまったプルトが叫んだのが聞こえた。
だが、そのときには、魔妖精の雌は異界に姿を消してしまっていた。
もう、追えない──。
トーラスは舌打ちした。
「それにしても、なぜ、魔妖精がユイナに……?」
セプテも当惑した声を発している。
プルトとセプテは、ダルカンから事実上里長の地位を取り戻したトーラスが、新たに自警団の指揮を任せたふたりだ。
ダルカンの追放に功績があったということで、その任を任せたのだ。
自警団の任務は里の治安の維持になる。
それで開かれた市の警備のためにトーラスとともに、見回りについていたところだ。
ところが、驚くことに、魔妖精に出くわしてしまった。
「里長、あの魔妖精は、ロウが自分の主人だと口走りましたね」
プルトが困惑したように言った。
トーラスもそれは聞こえた。
ロウというのは、ふらりとやってきたあのエリカというエルフ族の娘の従者である人間族の男だったはずだ。
プルトたちによれば、従者というが、かなりの切れ者であり、ダルカン追放については、少なからず尽くしてくれたとは言っていた。
トーラスやイライジャがダルカンにさらわれたときも、ロウという人間族の知恵がなければ、助けることはできなかったかもしれないということだ。
だが、魔妖精の言葉からすれば、その従者のロウが魔妖精を召喚してユイナを苦しめたということになる……?
トーラスは、そのロウという人間族に対する怒りがふつふつと沸くのがわかった。
「……ロウを捕えよ。その女主人のエリカという娘もだ──」
トーラスは言った。
いずれにしても、異界に接触して魔妖精を呼び出すなど、許すことのできない大罪だ。
いかにダルカン追放に手を貸してくれたとしても、それをもって、罪を問わないということはできない。
罪は罪なのだ──。
それは誰であろうと例外ではない──。
プルトが緊張した様子で頷くのがわかった。
*
「エリカ、魔妖精とはなんだ?」
朝食が終わってひと息つき、やっとイライジャから離れることができると、一郎はエリカに訊ねた。
イライジャは、朝食のときに不在だったユイナを探しにいった。朝起きたときには部屋にはいなかったらしく、朝食は三人だけでとった。イライジャによれば、今日は朝早くから里の広場で市があるので、それに行ったのかもしれないということだった。
とにかく、出立の前にちゃんと一郎に礼をさせたいので、連れてくるまで待っていてくれと言われていた。
それで、一郎はエリカとともに、エリカにあてがわれている部屋に戻ったところだ。
一郎の質問に、エリカは不審な表情を向けた。
「魔妖精というのは、妖魔族に属する妖精です。でも、魔妖精というのは、人の淫情を操って取り憑くとされる色魔です。とても悪意のある種族といわれてますが、その魔妖精がどうかしたんですか、ロウ様?」
「いや……。よくわからないんだが、俺はその魔妖精の主人ということになったらしい。正しもべになるとか言っていたな……」
「せ、正しもべ──? 魔妖精を──? ど、どういうことです──。話してください──」
エリカが血相を変えた。
どうやら、魔妖精というのはありふれた存在ではなかったようだ。
この驚き方から判断すると、とんでもないことのような感じだ。
とにかく、一郎は魔妖精が突然にやってきたが、簡単に一郎に倒されてしまったことと、向こうから正しもべになって仕えると言い出したことを説明した。
ベルルスという真名については伏せた。
エリカは信じられないというように目を丸くしている。
だが、一郎が右手首に薄っすらとある魔法陣を見せると、びっくりしたようにそれを手で隠した。
「そ、それは誰にも見せないでください──。淫魔の魔妖精をしもべにしているなど、どこの場所でも大変な禁忌です。とにかく、人前でその魔妖精を出さないでください」
エリカが慌てたように荷から布を取り出して、それを包帯のようにして一郎の手首に巻いた。
そして、魔族と人族の分離についての神話を一郎に説明してくれた。
ロムルスという人間族の英雄談であり、ロムルスが冥王という魔王を倒して、魔族を世界から追放したという物語だ。とにかく、魔族という魔族は異界に封印されたという物語だった。
ただ、いまは伝承されていない古い魔道を遣えば、魔族の一部を召喚して仕事をさせることも可能であり、ベルルスもそうやって、やってきたのだろうと語った。
いずれにしても、魔族と接触することも、ましてや、それをしもべにすることも、どこであろうと大変な罪になるようだ。
「それにしても、そもそも、なぜ魔妖精はロウ様の前に現れたんですか? 妖魔召喚の術は大変な魔道です。わたしにだってできません」
エリカは言ったが、それについては一郎にもわからない。誰かにけしかけられたとは言っていたが、それを問いただす前に、ベルルスは消えてしまったのだ。
とりあえず、一郎はそう言った。
エリカは困惑している。
そのとき、なにか騒然とした雰囲気が伝わってきた。
大勢の人間の気配だ。
一郎の魔眼にも、プルトをはじめ十人以上のエルフ族の男の情報が入ってきた。
いずれも武装している。
一郎は訝しんだ。
「なんでしょう……?」
エリカが立ちあがった。
そして、部屋の外に出るために、戸を開こうとした。
「きゃあああ──」
しかし、戸が向こうから開いて、同時にエリカが吹っ飛ばされてきた。
一郎はとっさにエリカを庇って、その身体の下に入った。
「うわっ」
エリカの身体が一郎の身体に降ってきた。
衝撃で思わず呻く。
その一郎とエリカの身体の上に、なにかがかけられた。
「な、なんだ?」
「こ、これは魔力縛りの網。ちょ、ちょっと、どういうこと──?」
一郎に次いで、エリカも声をあげた。
かけられたのは網だ。
しかも、もがこうとすると、どんどん網が縮まってくる。
いまは、一郎とエリカはほとんど身動きできないくらいに密着させられてしまっていた。
その周りを十人くらいの屈強なエルフ族の男たちが囲んだ。あのプルトもいる。
胸に揃いの紋章のような印のある武具をつけていた。
「杖をもらうぞ」
網の隙間からプルトが手を差し入れて、エリカから無造作に杖を奪った。
同時に、エリカの右手首に輪っかが嵌められる。
魔道封じ?
確信はないが、勢いから判断して、そんな感じだ。
「こ、これはなんのまねです、プルト殿──?」
エリカが叫んだ。
そのエリカは完全に一郎に身体をくっつけているかたちだ。
エリカの大きな胸が顔に押しつけられて、気持ちがいいとともにちょっと息が苦しい……。
「こんなことになって残念だ、エリカ……。だが、罪は罪だからな。ユイナにやったことも許すわけにはいかん……。お前たちは捕縛されたのだ。魔妖精を召喚して、悪意のある者を里に連れ込んだ罪でな──。広場で即刻裁判が行われる」
プルトが言った。
*
「お、お願いです……。ひ、人が来る……うっ、いや……か、看守が……あ、ああっ……」
石壁に両手をついて、腰を後ろに突き出すような格好をしているエリカが、身体をよじりながら小さな悲鳴をあげた。
そのエリカを一郎は背後から犯している。上衣の下から入れた手で乳房を揉みしだき、怒張は尻たぶの下から挿入していた。
「だ、だったら……布でも……指でも……なんでも……噛んで……声を……我慢したら……いいだろう……。なにせ……人生……最後の……交合かも……しれないしね……。悔いの……ないように……しないとな……」
一郎はエリカに向かって腰を突きたてながら、息継ぎの合間を縫うように言った。
「は、はい……。だ、だったら、存分に…」
エリカが言われたとおりに、上衣を口までたくし上げて自分の口で噛んだ。
「んんっ、んっ、んんっ」
それでもどうしても声が漏れ出るようだ。
だが、一生懸命に我慢している様子が一郎の嗜虐心をそそる。
一郎はさらにエリカを追い詰めるべく、膣の中の赤いもやの集中する部分に亀頭を強く擦りたてた。
エリカが、その強い快感に耐えきれなくなり顔をのけ反らせる。
一郎とエリカがいるのは、この褐色エルフの里の広場に面する三階建ての塔の最上部の牢だ。
ここは、里で罪を犯した者がとりあえず収容される牢であり、トーラスの郊外の家で捕らわれた一郎とエリカは、魔力縛りの網に完全に包まれたまま、この塔の牢に入れられたのだ。
一郎とエリカの裁判は、すぐに行われるということだったから、そのうち呼びに来るのだろう。
ともかく、一郎がやったのは、同じ牢に放り込まれたのを幸いに、とりあえずエリカを犯すことだ。
おそらく、鍵をかけられた牢の鉄の扉の向こうには、看守代わりの見張りがいる。
一郎の魔眼にもそれを感じているから確かだ。
だが、一郎は構わなかった。
エリカもまた、薄々それを感じて嫌がる素振りはあるものの、一郎が強引にエリカを犯し始めると拒否はしなかった。
それが、マゾ体質のエリカの本来の反応なのか、それとも淫魔師の支配に陥っている性奴隷としての反応なのかは知らない。
エリカはこんなところで性交をすれば看守に気づかれるのを承知で、一郎の求めに応じて下着を脱ぎ、命じられるままに壁に両手をついて、腰を一郎に突き出した。
一郎は改めて、このエリカが一郎には絶対服従であることを知った。
そしていま、そのエリカを犯している。
感じやすいエリカは、早くも絶頂寸前の状況だ。
さすがに、ゆっくりとエリカを愉しむ状況ではない。
一郎はラストスパートをかけて、エリカを激しく責めたてた。
おそらく、こうやって一郎が一方的にエリカに命令をして犯しているというのは、看守を通じて面白おかしくこの里の者たちに伝わるに違いない。
一郎の狙いもそこにある。
一郎とエリカが捕らわれたのは、あのベルルスという魔妖精を召喚したと思われているせいだ。
それは、一郎とエリカをここまで連行したプルトたちの会話からわかった。
そして、どうやら、召喚をしたのは、エリカではなく一郎自身だとも思われているようだ。
連行しているあいだにわかったのは、あの魔妖精は、ユイナの身体に入り込んで、とんでもない悪戯をしたということだ。結局、ベルルスは里長のトーラスの魔道でユイナの身体から追い出されたものの、なんとか異界に逃亡することに成功したらしい。
ただ、そのとき、自分の主人は一郎だと口走って逃亡したようだ。
それで、捕縛の集団が一郎たちにやってきたのだ。
まったく、迷惑な魔妖精だ──。
いずれにしても、嫌疑をかけられているのは一郎であり、エリカが一緒に捕らわれたのは、エリカが一郎の女主人と思われているからだと思う。
だったら、それをきっぱりと否定してやればいいのだ。
一郎の方が主人だということがわかれば、連中がエリカを拘束する理由はまったくなくなる。
だから、この牢で一郎が堂々とエリカを犯し、一郎が主人であるという証拠としてやっているのだ。
まあ、それも理由の半分だが……。
実際のところ、一郎はこんなところで犯されて、羞恥に震えながらも喘いでいるエリカを愉しんでいる。
本当に虐められるのが似合うエルフ族の美少女だ。
「んんっ、んんっ、んふううう──」
エリカが感極まった声をあげた。
あっさりと絶頂したようだ。
エリカの快感値は“0”になっている。
一郎はエリカの子宮に向かって精を注ぎ込んだ。
「ほら、終わりだ──。奴隷──掃除をしろ」
一郎はエリカの股間から一物を抜くと、まだエリカの蜜が滴っているそれをエリカに突き出す。
エリカは荒い息をしながら、潤んだ瞳のままそれを咥え込んだ。
気持ちのいい舌の刺激が一郎の男根を包む。
最初の頃はぎこちなかったエリカの口による奉仕も、いまはすっかりとうまくなった気もする。
ちゃんと一郎の快感を誘うように刺激を加えてくる。
一郎はもう一回エリカに挿入したくなった気持ちを堪えながら、エリカの口から性器を抜いて、ズボンの中にそれをしまった。
「急いで、服を整えな──。迎えが来たぞ」
一郎はエリカにささやいた。
塔の下からまとまった集団があがってくるのを感じている。
裁判の準備が整ったのだと思う。
エリカがはっとしたように、急いで下着を身に着け、髪や服を直し始める。
「……エリカ、おそらく、魔妖精を召喚したのはユイナだ……。間違いない。あの魔妖精は、自分を召喚した者に仕返しをしに行くと言っていたんだ。魔妖精がユイナを操って悪さをしたなら、そのユイナが張本人だ……。もっとも、なぜ、ユイナが魔妖精なんかを俺にけしかけたかは知らんけどね。そんなに俺が気に喰わなかったのかねえ……」
一郎はエリカの耳元で言った。
エリカは目を見開いた。
「だ、だったら、ユイナが自白すれば、ロウ様の無実は証明できます」
「自白すればな……」
一郎は肩を竦めた。
だが、ユイナがそれを自白すれば、今度はそのユイナが魔妖精を召喚した罪で捕らわれることになる。
それがわかっていて、ユイナは自白するだろうか……。
ユイナからすれば、一郎など軽蔑の対象でしかない人間族であるし、エリカもそれほどの面識のない他人だ。
一郎とエリカは、ユイナの命を救ってやった恩人ではあるが、その恩人の一郎に、魔妖精をけしかけて悪意ある魔道をかけさせようとしたのだ。
そんな性根のユイナが、一郎とエリカを庇うために、なにひとつしないという予想は立つ。
そもそも、ユイナはもう一郎とユイナが魔妖精を召喚したという罪で捕えられたことを知っているはずだ。
それにも関わらず、まだ、ふたりが牢に入れられたままだというのは、ユイナが白を切っている可能性が高い。
もしも、ユイナが知らぬ存ぜぬを決め込めば、一郎が召喚したのではないことを示すにはベルルスを召喚して喋らせるしかない。
だが、それはここに放り込まれて、すぐにエリカに止められた。
理由のいかんを問わず、他人の前で魔妖精など召喚すれば、その瞬間に一郎は改めて捕縛され、今度は裁判などなしに処罰されるだろうということだった。
いずれにしても、試しに手首を擦ってみたが、ベルルスは出現することはなかった。
ベルルスの言ったことが嘘とも思えなかったので、この牢では一郎の手首に刻まれている魔法陣の力も封印されているのだろう。エリカについても、牢は魔力も遮断されていて魔道は遣えなかったので、そういう力を阻止するなんらかの力が働いているに違いない。
とにかく、一郎自身の無実の証明は、自分自身でしなければならないということだ。
一郎はすばやくエリカに耳打ちした。
エリカは神妙にそれを聞いて、数回うなずいた。
その瞬間、扉が開いた。
一郎とエリカをここまで連れてきたプルトをはじめ、五人のエルフ男が杖を向けて牢に入ってきた。
「釈放かい? それとも、裁判?」
一郎はプルトに言った。
もう従者のふりをするつもりはない。だから、口調も意図的に対等の言葉遣いにした。
釈放ならユイナが自分が魔妖精を召喚したことを白状したということだ。予定通りに裁判が行われるなら、ユイナが白を切ることに決めたということだと思う。
プルトは少し面喰ったような表情をしたがそれだけだ。
そして、小さく首を振った。
「ダルカン追放のために力を尽くしてくれたお前たちがこんなことになって残念だ。だが、俺は裁判でお前たちの功績をしっかりと主張する。少しでも罪が軽くなるようにな」
プルトは言った。
つまりは、ユイナは白状しなかったということのようだ。
やっぱり、一郎の勘は正しかった。
プルトの指示で、一郎とエリカの足首と手首に鎖のついた金属の手枷と足枷がそれぞれ嵌められた。