※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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222 公然猥褻式

 荘厳な音楽が鳴り響く広間をスクルズは、静かに進んでいた。

 道を作るのは、全土から集まってきた神官や巫女たち、あるいは、王宮で任を果たす文官、武官である。

 または、役職は持たないがやはり全国から集まってきた下級貴族たちだ。

 しかし、スクルズは、その中に目当ての人物を探すことはできなかった。

 

 とにかく、見える範囲にはいない……。

 

 探しているのは、今日の就任式において、スクルズを奪ってくれることを頼んだロウだ。

 どこにいるかは教えてもらっていない。

 

 もっとも、この辺りに並んでくれているのは、それぞれの世界で階級が低い者たちだ。

 これから列が正殿に近くなるにつれて、居並ぶ者の身分も高くなる。

 ロウ一行については、子爵だが、スクルズの縁故の者として上級貴族同様に扱って欲しいと頼んでいる。

 だから、就任式の式典の外ではなく、中にすでに並んでくれているのだろうか?

 

 いずれにしても、ロウは必ずやってきて、スクルズを天空神たるクロノスから奪ってくれると約束してくれた。

 

 わくわくしていた。

 

 王都三大神殿への巫女の神殿長就任は、神々の父であり、夫である天空神クロノスとの婚姻の誓いを意味する。

 神官にとって、儀式における誓いは重い。

 神殿長になったならば、もはや、いかなる相手であろうとも、男女の関係になることは許されない。

 もしも、誓いを破ったならば、それは単に神官の規約を破ったということでは終わらない。平和と豊かさを誇るハロンドール王国への神々の庇護は失われ、広く神の神罰が下るとされている。

 

 だが、糞くらえだ。

 スクルズの心は、いまやただひとりの男性にある。

 筆頭巫女の地位を奪われ、残酷な拷問の末に火あぶりにされて処刑されるところを救ってくれた恩人……。

 

 ロウ・ボルグ……。あるいは、ロウ……。

 唯一の男性だと誓った人──。

 スクルズの心の人……。

 

 王都が消し飛ぼうと、この国がなくなろうと構わない。

 スクルズは、ロウのそばにいたいだけだ。

 それにより、死して永遠の地獄に落ちてもいい。

 ただ、ロウがスクルズのそばにいてくれて、時折抱き締めてくれさえすればいい……。

 

 音楽が一層大きくなり、スクルズを先頭にする行進は、就任式の会場である正殿に降りる階段に差し掛かった。

 通路を作る左右の列を作る人物の格式がさらに高くなる。

 さすがに、スクルズも知らない者はいない。

 しかし、やはり、ロウの姿はないようだった。ほかのロウの女たちもいない。

 また、ウルズとミウの姿もない。

 幼児返りしているウルズは、式典への出席は不可能だし、ミウはそのウルズの世話を頼んでいる。

 まだ童女のミウを「ミウ姉ちゃん」と呼ぶウルズを思い出して、ふと笑ってしまった。

 

 やがて、無言のまま就任式の会場である正殿に着いた。

 式典の会場には二百人ほどの王族貴族、宮殿の高位高官、そして神殿界の重鎮が肩を触れ合うように集まっている。それが三段ほどの台にびっしりと並んで、中心に立つスクルズを見下ろすようになっている。

 スクルズは懸命にロウの姿を探しながら、中央に向かった。

 アネルザやイザベラ、ベルズの顔もある。

 

 イザベラは赤い顔をしている。

 また、ロウの淫らな悪戯を受けているのだろうか……?

 そう思うとおかしかった。

 

 そして、いた。

 ロウだ。

 上級貴族の集団の後列にひっそりと……。そばに、コゼとシャングリアもいる。エリカは見えない。

 スクルズは嬉しくって、ロウにしかわからない合図をした。

 すると、ロウは複雑そうな表情になり、その代わり、コゼが苦笑のような笑みを浮かべて、かすかに手を振ってきた。

 

 そして、気がついた。

 ロウにまとわりついている、微かな魔道的な気配……。

 スクルズだからこそわかったのだ。

 あれは、ロウじゃない……。

 もしや、変身のできる魔道具?

 

 ならば、あのロウは、エリカ?

 だったら、ロウはどこに?

 もしかしたら、どこかに隠れている?

 スクルズは興奮してきた。

 どこかなあ? どこにかくれているのだろう?

 

 でも、さすがにきょろきょろするわけにもいかず、祭壇に向かう。

 祭壇の真ん中には巨大な女神の像と天空神の玉座があって、祭壇そのものには赤い布が被せられている。スクルズは儀礼に従い、台に両手を置くように跪いた。

 

「天空神を讃える歌を……」

 

 式典を司るのは第二神殿の神殿長である。

 ハロンドール王国の王都にある三個の大神殿は、それぞれ数字を持って呼称されるが、その三個に上下はない。

 いまは、第一神殿と第二神殿のそれぞれの長のうち、第二神殿長がわずかに就任が早い。

 従って、ハロンドール王国内の神殿界の序列一位が第二神殿長となり、彼がスクルズの就任式を執り行うことになったのだ。

 

 合奏と合唱が鳴り響くあいだ、スクルズは祭壇に向かってじっと頭を垂れたまま、無言でいた。

 それも儀礼だ。

 

「臣民を代表する第一立会人は余が務めよう」

 

 歌が終わると、決められている台詞を述べて、中央付近に座っていたルードルフ王がすっくと立ちあがった。

 そして、跪いているスクルズの真後ろに立つ。

 

「男子たる神官を代表する第二の立会人は私が……」

 

 第一神殿長が次に立って、王の左側に立った。

 

「すべての巫女を代表する第三の立会人はわたし……」

 

 遠いタリオ公国内にある教皇庁からやって来た巫女神官だ。

 いまは、事実上、三個の公国に分裂しているが、大陸中の信仰の中心である教皇庁は、もともとローム帝国の帝都にあったのだ。

 ローム帝国は、すでに瓦解しているが、神殿界の中心である教皇庁は、現在でも強い権勢を保っている。

 名目的には、教皇庁はタリオ公国には属さず、ここの王都三神殿も、バロンドール王国には属さない。

 もっとも、名目でない部分では、当然ながら、それぞれが存在する王国等の権威の内側にあるのは事実だが……。

 

 その教皇庁からやって来た高位巫女が右後ろに立つ。

 ざわめきが消滅し、しわぶきひとつなくなる。

 本物のロウはどこだろうか?

 どきどきしている。

 

「巫女スクルズ、汝は神を信じるか。天地創造を行った天空神を信じるか?」

 

 静まり返った正殿に、第二神殿の神殿長の声が響き渡った。

 

「信じます」

 

 スクルズは頭をさげたまま静かに言った。

 

「天空神、そして、そのしもべたちの言葉を信じるか?」

 

「信じます」

 

「神殿が語る教典を信じるか?」

 

「信じます」

 

「冥王と魔族を退け、それを敵とすることを誓うか?」

 

 ちょっと迷った。

 ロウの女の中には魔族の女もいるからだ。

 だが、迷ったのは数瞬だ。

 この儀式そのものがスクルズにとっては嘘なのだ。

 小さな嘘を躊躇う必要はない。

 

「誓います」

 

 すぐに言葉を続けた。

 

「天空神を伴侶とし、生涯を尽すことを誓うか?」

 

 スクルズは顔をあげた。

 この誓いだけはしたくなかった。

 スクルズの心にあるのはひとりだけだ。

 だが、はっとした。

 眼を開いたとき、周りには誰もいなくなっていた。

 ただひたすらに真っ白い空間があるだけだ。

 

 亜空間……?

 

 スクルズは幾度も、ロウの作る不思議な空間につれていかれたことがある。

 このなにもない世界は、まさにロウの不思議な力によって作られた世界に違いなかった。

 

「汝は、このロウを伴侶とし、生涯をロウの慰み者として尽くすことを誓うか?」

 

 ロウのお道化た声がした。

 

「ロウ様」

 

 スクルズは思わず立ちあがって振り返った。

 口から笑みがこぼれるのがわかった。

 

「もちろん、誓います。わたしはロウ様の性奴隷です。それはもう、喜んで」

 

 スクルズは明るく言った。

 ロウが声をあげて笑った。

 

「難事な注文をするものだ。うまくいかなくても知らんぞ」

 

 もうひとりの声がした。

 頭に目立つ二本の角があるサキだ。

 気がつくと立っていたのだ。

 

「まあ、サキさんも?」

 

 スクルズは微笑かけた。

 

「ここは、サキに頼んだ仮想空間だ。いくらすごしても、現実世界では時間は経たない。依頼をこなしに来たのさ。腕を後ろに回して」

 

 ロウが言った。

 スクルズは両手を背中に持っていく。

 すると、手首に縄があった。

 

「跪いて。さっきと同じように」

 

 スクルズはロウに背中を向けて、見えない祭壇の前に屈むように膝立ちになる。ただし、今度は両手は背中だ。

 ロウがスカートを後ろから掴んだ。

 びりびりと音がして、真っ白い礼装のスカート部分が左右に裂ける。

 スカートの下はなにもはいていない。

 裂かれた布のあいだからお尻が剥き出しになったのがわかった。

 

「これから、サキの仮想空間を現実世界にぎりぎりまで近づける。ただし、現実空間に戻るのはスクルズだけだ。つまりは、現実世界のスクルズと、仮想空間のスクルズがシンクロ……同調した状態になるはずだ。これで、スクルズは俺に犯されながら、式典に参加することになる……はずだ」

 

「まあ、素敵です」

 

 声をあげた。

 まさに望んだとおりだ。

 大勢の者が見守る式典の祭壇において、ロウに犯されて辱められる。

 なんという興奮する「ぷれい」だろう。

 

「ただし、このわしもそんなことをするのは初めてだ。ちょっとでもずれれば、そなたを犯している主殿(しゅどの)が現実世界でも出現してしまうかもしれない。あるいは、装束を破られて尻を剥き出しにしているそなたの姿が現実に出てしまうかもしれん。いずれにしても、わしの妖魔の魔力が発散するのは防げん。怪しむ者がいれば、不自然なことが起こっていることがわかるだろう」

 

「わたしがなんとかします。現実世界側で魔力の流れを乱して、魔力の流れを感知できなくします。万が一のことがあれば、すべてはわたしのしたことと罪を受けます。ロウ様にはご迷惑をかけないようにします」

 

 スクルズは言った。

 サキはため息をついた。

 

「わからんな。なぜ、そこまでこだわる?」

 

「わたしには大切なことなのです。お願いします」

 

 スクルズはきっぱりと言って、頭をさげた。

 

「仕方ないのう」

 

 サキが諦めたような口調で言った。

 それとともに、真っ白い空間が次第にはっきりとした現実世界に代わっていくのがわかった。

 そして、サキの気配が消滅した。

 しかし、腰を後ろから抱くロウの手の感触だけは、いつまでも残った。

 

「天空神を伴侶とし、生涯を尽すことを誓うか?」

 

 スクルズは閉じていた目を思わず開いた。

 こちら側では、ずっと祈りの格好でいたようだ。

 現実世界に戻ったらしい。

 

「うっ」

 

 次の瞬間、スクルズは声を出していた。

 指がスクルズの股間とアナルに触れたのだ。

 触っただけで激しい電撃が走るような愛撫は、ロウの手にほかならなかった。

 ただし、ざわめく者はない。

 スクルズの後ろには誰もいない。

 それでいて、スクルズははっきりとロウの指を感じていた。

 仮想空間と現実世界がぎりぎりのところで同調したに違いない。

 

 スクルズは脚を開いた。

 だが、それは仮想空間側のことだ。

 現実世界のスクルズは、まだ祭壇に向かってじっとしている姿勢を崩していない。

 

「ち、誓います」

 

 スクルズは慌てて言った。

 誓いの儀式が続く。

 そのあいだ、スクルズはずっと仮想空間側のロウの愛撫を感じていた。

 愛撫は長い時間ではなかった。

 おそらく、現実世界のスクルズが意識を飛ばさない程度に加減をしてくれているに違いない。

 

「……神を信じる者に生まれる悪心を退け、神の求める所業を促すことに生涯を尽すと誓うか?」

 

 誓いの儀式がさらに続く。

 スクルズはたちこめてきたサキの妖魔の魔道波を誤魔化すために、周囲一帯の魔力の波をかき乱した。

 いまのところ高位神官にも、列席の宮廷魔道師にも、おかしな表情をしている者はいない。

 大丈夫そうだ。

 すると、秘烈にゆっくりと怒張が挿入されるのを感じた。

 

「ち、誓います、ああ……」

 

 声がうわずってしまった。

 仕方がない。

 緊張のためだと思ってくれるだろう。

 

「信仰に対する悪を追放することを誓うか?」

 

「ち、誓います……。う、ううっ」

 

 スクルズは必死に悶え声を隠した。

 いつもの稲妻のような激しすぎる快感とは違う。

 はっきりとした手加減を感じる。

 それでも、ロウの手、ロウの肌、ロウの匂い、ロウの怒張を身体が感じるのだ。

 スクルズの身体には快感が迸り、震えがとまらなくなった。

 

「スクルズよ。第三神殿の神殿長への就任を望むか?」

 

「望みます」

 

 はっきり言った。

 神殿長になれば、権限は遥かに増える。

 ロウに尽くせることも多くなる。

 いざというときは守ることもできるだろう。

 そのために、スクルズは神殿長になりたかった。

 

「代表の立会人たちよ、スクルズを新たなる神殿長として認めるか?」

 

 第二神殿長の声がした。

 スクルズは歯を食い縛った。

 仮想空間側のロウの抽送が激しくなったのだ。

 何気無い動作を装って、手の平で口を塞いだ。

 

「認めよう」

「認める」

「認めます」

 

 国王に続いて、残りふたりの立会人の合意の言葉があった。

 

「スクルズ──。自ら神殿長たる名を名乗るがよい」

 

 王都三神殿の神殿長は、神殿界の最高位だ。

 これまでの名を捨てて、新たに神殿長としての新しい名を名乗ることになる。

 それは自ら名乗りを上げることが習わしだった。

 

「ス、スクルズと……。あ、ああ……。わ、わたしの……し、信仰は神殿長の前と……後と……な、なにも変わりません。引き続き……ス、スクルズと名乗ります……」

 

 スクルズは必死に舌を動かした。

 ぺてんの言葉だが躊躇はない。

 ロウのためにつく嘘だ。

 それよりも、口を開くと淫らな喘ぎ声が出てしまいそうだ。

 なにしろ、股間ではロウの怒張が激しく抽送している感覚がある。

 気持ちよすぎて、我を失わないようにするのが大変だ。

 

 そして、スクルズはこの凄まじい快感が、ただ仮想空間側で身体を犯されているためだけじゃないことをわかっている。

 これまで、スクルズはずっと神に仕えることと、ロウに支配される女であることの両方を保っていた。

 だが、この就任式をもって、スクルズはついに信仰を捨てることを決めた。

 いや、信仰は続いている。

 ただ、その対象が天空神クロノスではなく、ロウという現実の男に変わっただけだ。

 かつて、生涯を神に仕えることを誓った敬虔なスクルズはもういない。

 ここに存在するのは、ロウという男に支配され、彼に与えられる快感と幸福感に酔いしれる牝だ。

 そう思うと、スクルズはどうしようもなく快感に支配された。

 

 もう、すべてを失ってもいい……。

 ロウのためなら……。

 そして、死んでもいい。

 

「天空神の御名に代わり、スクルズを神殿長と認める」

 

 第二神殿長から宝冠が与えられ、それがスクルズの頭に載せられた。

 しかし、スクルズはまさにその瞬間に全身をかすかに震わせて絶頂に達していた。

 二度、三度と快感の矢が貫き、背中が弓なりになるのを必死の思いで隠した。

 やがて、その痙攣が収まると、股間の肉棒から放たれた生温かいロウの精が子宮に染み込んでいくのがわかった。

 驚いたことに、溢れた精がつっと太腿の内側を辿って膝に向かっていくのを感じた。

 ロウの精は、仮想空間と現実世界の壁を越えて、こちら側にやって来たようだ。

 

 大きな拍手が一斉に沸いた。

 スクルズは力の入らない下半身に魔道をかけて、なんとか立ちあがって、ゆっくりとお辞儀をした。

 

 だが、これで終わりてはない。

 さらに一連の式典は続く。

 次に、一度休憩してから外にいる一般民衆の前に出ていき、就任の挨拶と演説をするのだ。

 

 休憩室ではひとりにはなれなかったが、小尿をすると告げて厠に行ったとき、現実世界に戻ったロウに、口を塞がれて犯された。

 扉の外には付き添いの巫女が何人もいるのにである。

 これは興奮した。

 

 スクルズが野外で挨拶をするあいだも、仮想空間側に戻ったロウの見えないレイプはずっと続いた。

 全身を舌で舐め回され、筆のようなものや振動する淫具で刺激され、そして、犯された。

 何度も皆の前で達した。

 

「ああ、愛してます……。心の底から……」

 

 達するたび、声を出すことが我慢できなくなるたびに、そう口にした。

 ロウは見えなかったが、確かに式典を通じて、ずっとスクルズとくっついてくれていたし、ひとつになった。

 最後には、あまりもの恍惚感で意識を保つのも難しくなった。

 だが、やはりロウは、スクルズが耐えられるぎりきりのところで、手加減もしてくれた。

 それでなんとか、儀式を全うすることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、スクルズの就任式、いや、ロウに生涯を捧げることを誓う儀式は終わった。

 

 

 

 

(第39話『天空神の花嫁』終わり)

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