【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
223 酔っ払いエルフと王妃の情報
「ご主人様、準備できましたよ」
日課として復活した王太女室訪問から戻ると、コゼが元気に声を変えてきた。
就寝前の精力発散のために、イザベラ、シャーラを始め侍女軍団たちを抱きにいって戻ったところである。
これをやらないと、性的欲望を全部、エリカたちにぶつけることになり、翌朝、エリカたちが大変なことになる。
淫魔師としてレベルがあがり、能力が増大したのはいいのだが、困った代償が、この精力の激しさだ。
一日にたくさんの女を抱かないと、不可思議な飢餓感覚が一郎を襲うのだ。
それで申し訳ないのだが、一郎はイザベラの侍女たちを毎晩抱くのを習慣にさせてもらっていた。
いずれにせよ、向こうに到着するなり、亜空間に皆を連れ込んで、全員を満足させるまで抱いた一郎にとっては、体感は三時間を超えているが、コゼたちにとっては、一郎が出発したのは、ほんのちょっと前だ。
だから、「お帰りなさい」もない。
また、一時期、自重していた侍女軍団参りを復活したのは、サキたちがついに王宮内を完全把握したことによる。
いまや、王宮にあった警備のための結界は、サキたちがほぼ把握したようだ。
眷属たちもやりたい放題だが、まあ、一郎にとって都合がいいのは確かなので、利用させてもらっている。
「はい、選んで」
コゼがエリカとシャングリアに向かって拳を差し出す。
そこには、三本のこよりの半分がある。
侍女詣での前に、三人に籤で「酒浣腸」の犠牲者を選べと指示していたのだ。別段の理由はないが、一度やってみたかったのだ。
とにかく、籤で当たったひとりが、酒を尻に注がれて、どうなるかを観察されるというわけだ。
三人は嫌がったが、一郎には甘い三人だし、最終的には一郎の我が儘を受け入れてくれた。
やられるのは、籤で選ばれたひとりだというのも、三人が納得してくれた理由もひとつではあるだろう。
とにかく、酒浣腸の実験台という犠牲者選びの籤がいま、始まるということである。
「変な仕掛けはしてないわよねえ、コゼ?」
エリカがコゼの表情を不審げに睨みながら、三本の籤を代わる代わる指で移動する。
どうにも、当たり籤を引きたくないのだろう。
だが、籤をすると、いつも、ほぼ百パーセントの確率でエリカが当たりを引く。
エリカが不審に思うのは無理はないのだ。
「インチキなんてないわよ。いくらでも好きなのを選ばせてあげてるでしょう」
コゼがにこにこしながら言う。
エリカはかなり迷った挙げ句、籤のひとつを選んだ。
「じゃあ、わたしはこれだ」
続いてシャングリアも選ぶ。
残ったのがコゼということだ。
「それじゃあ、開くね」
コゼが声をかけた。
「いや、待って――。やっぱり、交換。わたしはこれにする」
しかし、エリカが大声でコゼを留め、コゼの選ぶことになった籤に持ち変える。
「文句ないわよね?」
エリカがにやりとコゼに微笑みかけた。
やはり、エリカもいつもいつも、自分が当たり籤ばかり選ぶのは不自然だと考えているのだろう。
だから、直前に変更したに違いない。
「ないわ。みんな、引いて」
コゼの掛け声で、エリカとシャングリアが同時に籤を引っ張った。
「あっ、そんな」
果たして、先が黒くなっているこよりを引いたのはエリカだった。
エリカが目を丸くする。
しかし、じっと、観察していたから、一郎にはわかったが、ふたりが籤を引くときに、コゼの拳がほんの微かに、不自然に動いたと思った。
一郎はくすりと笑ってしまった。
「じゃあ、エリカね。さあ、準備をしましょう。さっさと下を脱ぎなさい。シャングリアはお酒浣腸の支度して。ねえ、シルキー、お酒とぬるま湯を準備してあげて。エリカは葡萄酒が好きだったわね。じゃあ、ちょっとそれを持って来てよ。人肌に温めてね」
コゼが喜んだ様子で、元気に指図をし始めた。
一方で一郎は、コゼが手に持っていた残りのこよりをさっと内ポケットに隠したことに気がついた。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、コゼ。いま、なにかやったわね? 絶対に籤に細工をしたに違いないわ。もう一度、籤を見せなさい」
すかさず、エリカが叫んだ。
どうやら、一郎が気がついたコゼの仕草に、エリカも気がついたようだ。
「なに、言いがかりつけてるのよ、エリカ。なんの細工もしてないわよ。ほら」
コゼが一度しまった籤をもう一度出して、エリカに示した。
確かに、残りの籤は、「はずれ」籤を示す先端が白いままのこよりだ。
だが、コゼのことだ。
一度、ポケットにしまった時点で、どんな細工でもできる。
「そんなはずないわよ。ポケットの中を見せなさい。絶対になにか仕掛けをしたわ」
エリカがコゼの腕を掴んだ。
だが、コゼはさっとそれを簡単に振りほどいた。
「変なことばかり言わないのよ。ちゃんとした籤で当たったんだから、ご主人様の思いつき……じゃなかった……。お言いつけの酒浣腸の実験を受けるのはエリカよ。観念して大人しくしなさい」
「その“ちゃんとした籤”というのが怪しいのよ。いいから、あんたこそ、大人しくするのよ」
エリカがもう一度コゼを掴もうとする。
だが、コゼはそれをひらりとかわして、シャングリアの後ろに回り込んだ。
「シャングリア、この聞き分けのないエルフ女を捕まえて。さっさと、縛りつけようよ」
コゼがお道化た口調でシャングリアを盾にして、エリカから逃げ回る。
あの態度から考えるに、おそらく、コゼは本当に籤に細工をして、エリカが当たり籤を引き当てるようにさせたに違いない。もしかしたら、最初は全部に黒い印をつけておいて、引っ張る直前に、エリカの選んだ籤以外の先端を拳の中で千切ってしまうとか……。まあ、コゼなら、それくらいの芸当は朝飯前だろう。ただ、それをすると、籤を引かせた後で、コゼの手の中に、千切った先端が残るが、すぐにポケットに隠せばわからない。
一郎は長椅子に座ったまま、ふたりの騒ぎを眺めて苦笑した。
「落ち着きなよ、エリカ。もういいじゃないか。どうせ、こんなの四人だけの遊びだろう。ロウのいう“あるこーる浣腸”とかいうやつの実験台になりなよ」
シャングリアがエリカをなだめるように言った。
しかし、エリカはそれによって、ますます激昂したように顔を赤くした。
「だ、だったら、あんたが実験台になりなさいよ、シャングリア──」
エリカが怒鳴る。
「な、なんでわたしなのだ。籤で当たったのはエリカだろう」
シャングリアも奮然とした表情で言い返す。
いつもの屋敷の夜だ。
一郎は立ちあがって、エリカを抱き寄せた。
「ほら、もう諦めろ。コゼが仕掛けたとしても、それを疑わずに籤を引いてしまった時点でエリカの負けだ。仕掛けがあっても見抜けなかったんだろう? こっち来い」
一郎はエリカを引っ張って長椅子に位置まで連れてくると、もう一度自分は座り、エリカは膝のあいだに立膝で立たせて、上衣の下から片手を潜り込ませて乳房をゆっくりと揉み始める。
そして、口をエリカの首筋に寄せて、エリカの身体に浮かびあがっているうなじの性感帯を舌で刺激してやる。
「あっ、んんっ、ロ、ロウ様……」
すぐにエリカが一郎に抱き寄せられたまま、よがりだした。
一郎はコゼとシャングリアに目くばせをした。
ふたりが寄ってきて、エリカの腰に手を伸ばして、スカートを脱がそうとし始める。
「あっ」
エリカがさっと身じろぎしようとした。
だが、一郎はすかさず、それを抱き寄せて制す。
「腕は頭の後ろだ。いいというまで動かすな」
「そ、そんな……」
エリカは不満そうな口調ながらも、一郎に言われたとおりに、捕虜になった女兵のように、両手を頭の後ろに置いた。
一郎の命令は、エリカにとってはどんな拘束具よりも効果のある拘束具だ。
なんだかんだといっても、エリカは一郎の許可なく、両手を動かすことはしない。
「ほら、エリカ、気持ちいだろう」
一郎は舌と手によるエリカへの愛撫を少し強めた。
エリカの両乳首には、一郎の施した宝石付きのピアスが嵌まっている。それを弄ぶように揺らしてやると、エリカが一気に力が抜けたように、一郎に身体を預けてきた。
「あっ、ああ……」
一郎の前に跪いているエリカが艶めかしく悶えた。
一方で、シャングリアとコゼは、エリカの腰からスカートと下着を脱がしてしまった。
エリカの白いお尻が露わになる。
「……準備できました」
タイミングよく、シルキーが車輪付きの台車に乗せた浣腸セットを運んで来た。
「ごめんな、エリカ……。じゃあ、頑張ってな」
シャングリアが台から小瓶を手に取って、指先にたっぷりと載せた潤滑油をエリカのお尻の穴に塗り始める。
そして、コゼは、ボールに入っている薬液入りのぬるま湯に葡萄酒を注ぎ込むと、ガラス管の浣腸器にそれを注入する。
ふたりとも、いつもの慣れた仕草だ。
いつもやったり、やられたりしているので、エリカも含めて、浣腸のやり方は十分に熟知している。
「ああ、ちょっと待って」
さすがにエリカが抵抗の仕草をした。
だが、それでも頭の後ろの両手だけは動かさないから、健気なものだ。
「もう、観念しろ、エリカ」
一郎はエリカをしっかりと抱き締めて、動きを封じた。
エリカが「うう」と呻いて、大人しくなる。
「じゃあ、入れるわね、エリカ」
コゼが愉しそうに、エリカのお尻に浣腸器の先端を突き挿した。
一気に葡萄酒入りの薬剤を抽入していく。
「ん、んんっ」
エリカが歯を食い縛るように表情を歪ませた。
一郎はエリカが頭の後ろで組んでいる両手を取り、一郎の身体を抱き締めるかたちに変えさせた。
エリカがぎゅっと一郎にしがみついてくる。
「もう少しよ、エリカ。頑張るのよ」
「んっ、んんっ、んんっ」
コゼがさらに力を入れて浣腸器のポンプを押していく。
一方でエリカは苦しそうだ。
葡萄酒入りのぬるま湯のしずくが多少漏れ出るが、大部分はエリカの身体の中に送り込まれた。
一郎は、エリカの胸を揉む手を続けながら、エリカの顎を摘まんで顔をあげさせ、口づけをする。
エリカがうっとりとした表情になり、一郎と舌を絡ませてきた。
「さあ、終わったわ、エリカ。出したくなったら言ってね。あたしとシャングリアでしっかりと受けとめてあげるから」
ついに浣腸器の中の液体を空にしたコゼが笑いながら言った。
ふと見ると、浣腸を注ぎ込まれたエリカの白いお尻が、まるで花でも咲くようにみるみると真っ赤になってきている。
アルコールがさっそく身体に吸収されているのだろう。
そして、その赤さがぱっと全身に拡がっていく。
その急激な変化は、見ていて驚くほどだ。
「はあ、はあ、はあ……、く、く、くる……ひい……」
一郎と唇を離したエリカが激しく息をし始めた。
いつの間にか、エリカの全身は脂汗でびっしょりだ。
しかも、気がつくと顔も、酔ったように真っ赤になっている。
一郎は、唇を半開きにして、激しく喘いでいるエリカの身体を淫魔術で探った。
女を淫魔術で支配している一郎には、意思さえあれば女たちの身体の状態を確認することができる。それだけでなく、ある程度なら、治療だってすることも可能だ。
だからこそ、アルコール浣腸というものをやってみようと思ったのだ。いわゆる、急性アルコール中毒になりかけたら、一郎の力で酒を抜いてしまうことも容易なのだ。
「いかん、出るぞ。桶を当てろ」
一郎は急いで言った。
エリカの身体が、浣腸液に含まれていた葡萄酒のために、完全に弛緩状態であることがわかったからだ。
いつもは、浣腸をされても、恥ずかしがっていつまでも我慢するエリカだったが、いまはもう出てしまいそうだ。
「か、かわ……や……、い、いかしぇ……て……」
エリカが一郎をぐっと抱きながら、泣くような声で言った。
舌は完全に呂律が回っていない。
真っ赤な顔に涙を溜めている。恐ろしいほどに色っぽい。
「そんな暇はない。ここでやれ……。それに、俺たちとエリカの仲だ。気にするな」
一郎は怒鳴った。
「ひゃ、ひゃ、ひゃい……」
エリカが小さく頷く。エリカの身体は脱力して、一郎に完全にもたれかかる感じだ。
「エリカ、出していいぞ」
シャングリアが慌てたように、木桶をエリカの股の間に差し当てた。
「旦那様、エリカ様の用便はすぐに消滅させてよろしいですか? それとも、そのままに?」
シルキーが一郎を見た。
屋敷妖精のシルキーは、この屋敷の敷地内に限り、高度の魔道が自在に遣える。エリカの出した便を瞬時に消して、匂いが部屋に残らないようにすることなど、お手の物だ。
だが、責めにおける戯れとして、時折、わざと出した便をそのままにして、羞恥をさらに拡大させるということもやる。
それで、どう対処していいか、シルキーは訊ねたのだ。
「すぐに消していい」
一郎が言うと、シルキーが静かにうなずいた。
「遠慮しなくていいのよ、エリカ。こうしてあげるね」
コゼが、跪いて一郎にしがみついている体勢のエリカの股間に手を伸ばして、クリピアスを弄りだした。
いつもの悪ふざけだ。
一郎は苦笑した。
「ひにゃあっ、やああっ」
エリカが目を見開いて悲鳴に似た甘い声をあげる。
そして、「許して」という叫びを舌足らずにあげると、激しく全身を痙攣させた。
「あっ、あっあ、ああっ」
エリカが悲痛な声をあげた。
三人娘の排便姿は何度も目の当たりにさせているが、おそらく、エリカについては、一番たくさん見物していると思う。
それでも、エリカはいつまでも羞恥の仕草を見せる。
まあ、それがいいのだが……。
シャングリアの抱える桶に、凄まじい勢いで水飛沫が流れ出ている。
だが、その排便は、桶に当たる暇もなく、シルキーによって消滅していっている。
おかげで、匂いもないし、シャングリアにもコゼにも、エリカの噴流のしずくさえも飛んでいないようだ。
そして、エリカの糞便が終わった。
「どらどら、後始末は俺がやるよ、エリカ、頑張ったな」
一郎はシルキーから湯桶と布を受け取ると、エリカを支えたまま、体勢を変えて、床に跪いているエリカのお尻を拭いてやる。
「ロ、ロウしゃま……やしゃしい……。き、きしゅ……して……」
すると、エリカが再び身体をぐっと預けてきて、一郎に顔を寄せてくる。
どうやら、葡萄酒入り浣腸が効いてしまって、すっかりと酔っ払ってしまったようだ。
一郎は、エリカのねだる口づけに応じながら、一方でエリカのお尻をきれいに拭き取った。
コゼとシャングリアも手伝い、すぐにきれいになる。
「ロ、ロウしゃま、やさしい……。で、でも、コゼ……や、やひゃしく……ない」
エリカが不意に一郎から離れた。
そして、コゼをすっと見る。
「わっ、なに?」
コゼが身構えた感じになる。
次の瞬間、エリカが急に一郎から離れて立ちあがった。そして、エリカの指から、短い光線のようなものが放たれる。
「んぎいいいっ、はがあああ」
コゼが股間を両手で押さえてひっくり返った。
どうやら、電撃をコゼの股間に浴びせたようだ。コゼがズボンを押さえてのたうちまわっている。
エリカがけらけらと笑いだした。
ぎょっとした。
完全に酔っているのだけはわかる。
エリカの足はふらふらとして、おぼつかない感じだ。
だが、とっても愉しそうでもある。
「あははは、コゼ、わ、わたしゅ……が、ま、まどうをつひゃえる……のを……わ、わしゅれてた? ほら、もう、一発……。ゆっくりにしてあげる……から……にげなしゃい……」
エリカが再び電撃を放つ。
今度は、まるで時間がとまったように、光線がゆっくりと宙を進んでいく。
しかし、それがコゼの股間に向かっているのは明白だ。
コゼが顔色を変えて起きあがった。
慌てたように逃げようとする。
「あるいて……にげりゅのは……き、きんし……。はってにげて……」
エリカが相変わらずのけらけら笑いを続けながら、今度は瞬時に光線を飛ばした。
その途端、コゼの両足首が張りついたようにくっつく。
「きゃあああ」
コゼがその場に倒れ込む。
その様子が面白かったのか、エリカが馬鹿みたいな声で笑いだした。
「エリカ、危ない」
足元のおぼつかないエリカがぐらりと倒れ掛かったので、横にいたシャングリアが慌てて手を伸ばした。
「シャ、シャングリア……あんたはすき……。コゼも……すき……。だけど……あ、あいつ……い、いじわる……りゃから……。でも、あんたは……ふつうに……すき……」
「そ、そりゃあ……どうも……。ねえ、ロウ、エリカ、酔っ払っているぞ」
シャングリアがエリカを支えたまま、一郎を見た。
「それはわかっているよ」
一郎は苦笑した。
「ひいっ、ひいっ、と、とめて、とめてよ、エリカ──。助けて──。あ、謝るから──」
そのとき、コゼの必死の声が部屋に響いた。
コゼは脚がくっついたまま、両脚跳びで懸命に部屋を逃げ回っている。その後ろをゆっくりとエリカの光線がついていっているのだ。
「……シャングリアは……優しいから……きしゅ……キ、キス……してあげる」
だが、エリカはもうコゼを見ていなかった。
シャングリアに振り返ると、がばりとシャングリアに抱きついて、口づけをし始める。
「うわあっ」
シャングリアがエリカに押し倒された。
エリカももつれるように倒れ、そして、シャングリアの身体に馬乗りになって、シャングリアにキスをし始める。
こうまで酔ったエリカには初めて接したが、笑い上戸とキス魔とは知らなかった。
「ひぎゃああ」
そのとき、ついに電撃に追いつかれたコゼが、部屋の隅でけたたましい悲鳴をあげた。
一郎は笑ってしまった。
「エリカ、来いよ。シャングリアにだけずるいぞ。俺にもキスしてくれよ」
一郎は呼びかけた。
エリカがさっと一郎を見る。
そして、満面の笑みを浮かべた。
「ロ、ロウしゃま……。しゅき……。ねえ……。エリカ……ロウしゃま、しゅき……。いじめて……。ねえ、エリカのこと……いじめて……。いじめられて……、だ、だかれ……たい……。その、あと……そのあと……よしよし……しゃ、しゃれるの……しゅき……」
エリカがふらふらと歩み寄って来た。
なにを言っているのか、いよいよ聞き取れなくなったが、どうやら、苛められて、よしよしとされるのがいいと言っているようだ。
しかも、エリカは、一郎の前までくると、命じられたわけでもないのに、自ら両手を背中に回してから、一郎に身体を寄せてくる。
一郎は粘性物を出すと、エリカの両手をそのまま離れないようにした。
口づけを交わす。
エリカの口の中にある赤いもやの性感帯を余すことなく舐めまわすと、エリカは完全に脱力して、一郎に身体を預けてきた。
「ロ、ロウしゃま……いじめて……。わ、わたし……が、がまんしゅる……。ロウさま……いじめて……わたし、がまんして……それで、よしよしして……」
口を離したエリカがとろんと目元と潤ませて言った。
「わかった」
一郎は頷くと、エリカの股間にあるクリピアスを無造作に引っ張った。
「ひぎいいいっ、あがあああっ」
エリカが絶叫した。
そして、汗びっしょりの顔を限界までのけぞらせて、苦しそうに歯を噛み鳴らした。
「ああっ、い、いちゃい──。いちゃううよおお」
エリカが泣き叫ぶ。
一郎は手を離した。
「よく我慢したぞ、ご褒美だ」
一郎がエリカの頭を撫ぜると、エリカは嬉しそうに一郎に笑顔を向けてきた。
その満足そうな笑みに、一郎も思わずもらい笑みを洩らしてしまう。
「酔っ払ったエリカは、甘え上戸だったのだな」
シャングリアが呆れたように声をかけてきた。
「あ、甘え上手って、なによ──。エ、エリカ、いい加減に足を自由にしてよ──」
這い進むようにやって来たコゼがエリカに文句を言ってきた。
「ああ、そこに……いりゃ……いたの、コゼ?」
エリカがさっと指を向けた。
再び、あのゆっくりとした電撃が部屋の中をコゼに向かって進みだす。
コゼが、悲鳴をあげる。そして、身体を反転させて、また逃げ出す。
「コゼのことはもういいだろう? それよりも、俺に犯されたくないのか?」
一郎はエリカを振り向かせて、ズボンから勃起した肉棒を出した。
エリカが目を見開くようにしたのがわかった。
「エ、エリカ……レイプしゃれたい……。エリカは……にげるの……。れ、りぇも……ロウ様につかまって……おかしゃれるの……。エリカ、しょ、それがいい……」
すると、エリカが恥ずかしそうに言った。
もしかしたら、それはエリカがいつも隠している願望なのかもしれない。
一郎は、シルキーに足枷を出させると、エリカの足首に嵌めた。
「じゃあ、逃げろ。追いつかれたら、犯すぞ。ろくに愛撫もせずに、思い切りぶち込んでやる」
一郎は立ちあがった。
エリカがきゃっきゃと笑いながら、足枷で阻まれた脚でよちよちを逃げ始める。
「あっ、いいな。次は、わたしもそれをして欲しい」
そのとき、シャングリアが声をあげた。
一郎はゆっくりとエリカを追いかけながら、わかったと応じた。
「あ、あたしも──です──」
すると、部屋の反対側で、まだ光線から逃げ続けているコゼが叫んで来た。
「じゃあ、三番目にな」
一郎は笑って答えた。
そのときだった。
部屋の角で待機している態勢だったシルキーが一郎の前にやって来た。
「アネルザ様がご来訪です。こっちに転送いたしますね」
「アネルザ? わかった。ここに頼む」
特に来訪の予定はなかったが、珍しいことではない。
スクルズが設置した移動術による転送設備で、お互いに自由に行き来している。
さっきのイザベラの侍女詣でもそれを使ったのだ。
この屋敷にある本来の転送設備ので入り口そのものは地下なのだが、転送による訪問者については、屋敷妖精のシルキーが気をきかせて一郎が都合のよい屋敷内に、さらに転送してくれる。
すぐに、アネルザが一郎の前に現れた。
「おっ、なんだ? 取り込み中か、ロウ殿? 相変わらず賑やかだな」
アネルザがやって来るや、開口一番に言った。
この大広間では、エリカに足をくっつけられたコゼが逃げ、さらに足枷をつけたエリカを一郎が追いかけっこをするという馬鹿騒ぎをやろうとしていたところだ。
「ああっ? なに、あんただれ? ロウさまをもしかして、なにかしようとしてる? わたひ、ロウしゃまの、ごえいよっ」
すると、突然にエリカの怒鳴り声がして顔をあげた。
そっちを見る。
顔にぞっとするような怒りの感情が浮き出ている。
一郎ははっとした。
エリカの身体はふらふらだ。その眼は完全に焦点が合ってない。
酒が回ったところで、いきなり走り出したから、一気に酔いが回ったのかもしれない。
だが、次の瞬間、いきなり目の前が真っ白になった。
「うわあっ、ご主人様――」
「ロウ――」
コゼとシャングリアの絶叫が響く。
「ひいいっ」
アネルザもひきつったような悲鳴をあげた。
一方で、一郎には、なにが起きたのかわからなかった。
我に返ったときには、アネルザと一郎の前に、シルキーが立っていた。
そして、四散しつつある白い煙……。
もしかして、魔道の爆炎をエリカに浴びせられた?
それを、シルキーが弾いたのか?
「うわあっ、大丈夫か、ロウ、王妃殿下――?」
「な、なんてことすんのよ、この馬鹿エルフ――」
シャングリアとコゼだ。
ふたりとも、すっかりと淫情から覚めて、いまは顔を蒼くしている。
また、アネルザは一郎の前で尻餅をついている。
「旦那様……、さしでがましいと思いますが、エリカ様には、もうお酒はお飲ませにならない方がよいかと……。いまのは、即死級の火焔砲でした」
シルキーが荒い息をしながら言った。シルキーには珍しく、かなりの能力を使った気配だ。いつも浮かべている微笑みは消滅している。
それだけで、まさに間一髪だったというのがわかる。
「や、やっぱり……、いまのは、エリカが?」
ぞっとした。
酔っ払ったエリカが加減せずに、魔道をこっちに叩き込んだというのは違いないようだ。それをシルキーが防いだのだ。
そして、エリカは少し離れた床の上で引っくり返って寝ている。
たったいままで、コゼを追い回していた魔道の玉も消滅している。
「一気に限界を超える理力を使ったので失神したようですね」
さらにシルキーが言った。
「つまりは、魔道切れか……」
一郎はとりあえず、淫魔力でエリカの身体から酒抜きをした。すべての拘束を解く。
寝てしまったのは変わりないが、これで酔いだけは醒めただろう。
「やれやれ、スクルズといい、エリカといい、凄まじい酒癖の悪さだな。死ぬところだった……」
アネルザがやっと口を開いた。
しかし、まるで魂でも抜かれたような表情だ。
「お前が言うなよ、アネルザ」
一郎は苦笑した。アネルザだって、前に酔っぱらって、ミランダとともに、一郎を逆レイプしたことがある。
とにかく、さすがに一郎も、そのまま乱交にふける気にはならず、服装を整えて、エリカには毛布をかけさせた。エリカの悪戯で両足がくっついていたコゼも元に戻っている。
「悪かったな、アネルザ。せっかく来てくれたのに……。だが、さすがの俺も命の危険の後だから、ちょっと時間が欲しい。すぐに“勃ち”直るから」
「よくわからんが失礼なことを考えてるのではないか? わたしだって、いつもいつも、抱かれるためだけに遊びに来るだけじゃない」
「えっ、そうなの?」
コゼが茶化すように声をかけてきた。
「当たり前だ。そもそも、今日は大切な話があってきたのだ」
「大切な話?」
シャングリアだ。
アネルザが頷いた。
「実はな……。ちょっと困った話が持ちあがっていてな」
「困った話?」
一郎は言った。
アネルザはいつになく真剣な表情になっている。
「……うむ……。アンのことだ……。話をする前にひとつだけよいか? このことはまだ他言無用であり、そもそも、アンも知らん。イザベラもな。だが、お前にだけには話をしておいた方がいいと思ってな。だが、心配いらん。わたしの目の黒いうちは、必ず話は潰してやる。そもそも、失礼な話なのだ。エルザもいるのに……。ルードルフは完全に舐められておる。まったく……」
急にアネルザが早口で語りだした。すごく不機嫌だ。
一郎は首を傾げた。
よくわからないが、また、あの馬鹿王がなにかをやらかしたのか?
しかし、アンのこと?
「勿体ぶってないで言えよ。なんの話なんだ?」
一郎は言った。
すると、アネルザが嘆息した。
「タリオ公国のアーサー大公を知っておるか、ロウ殿?」
アネルザが訊ねた。
「タリオ公国のアーサー大公?」
知らないわけでもない。
タリオ公国といえば、自由貿易で急に国力を増大している隣接する旧ローム帝国内の三公国のひとつだ。ハロンドールにも商業進出しており、経済力なら、いまやハロンドールにも並ぶほどのはずだ。
マアの母国でもあるので、多少は承知している。
そして、アーサー大公というのは、そのタリオ公国の若い大公だ。
このハロンドール王国からも、第二王女のエルザ姫が嫁いでいる。
そういえば、さっきアネルザが、そのエルザの名を出したか?
とりあえず、一郎は知っていると応じた。
「そのアーサー大公が近く来国する。表向きの用件は謝罪だ。キシダインが招待し、アンとノヴァを狼藉したグラム兄弟の件で、大公自ら詫びるためということになっている。だが、実際には見合いだ。そのアーサー大公がアンを妃としてもらい受けるという話が水面下で進んでおる」
「アン様をか? 馬鹿な――。タリオ公国には、エルザ様が嫁いでいるだろう。ハロンドールの王女をふたりも妃にするのか?」
大声をあげたのはシャングリアだ。一郎も唖然とした。
「馬鹿にした話だが、ルードルフは乗り気だ。なにしろ、アーサー大公は、その見返りに、我が国との貿易にかかっている関税の大幅な引き下げを提案してきているようだ。それで、断る理由がないというのが王宮の大勢の意見になっている……。すまん、ロウ殿、わたしも知らなかったことなのだ。ルードルフというよりは、南家公爵家で、王弟のランカスター公が動いているのだ。それで把握するのが遅れた。すまん」
アネルザが頭をさげた。
だが、さすがに、一郎はむっとした。
立場としては、王家の婚姻について、何ひとつ一郎が口出しできる立場でないことはわかっているが、アンもすでに一郎の女だ。
勝手なことをされれば、腹もたつ。
「すまんって……。そもそも、アン様は今更、婚姻など望まないだろう」
ロウは言った。
しかし、アネルザは怪訝そうな表情になる。
「上級貴族の婚姻に本人の意思など関係ないぞ。このわたしもそうだったしな。アンに限らず、王族の婚姻など、王家の政略の駒ひとつだ。宮廷も、キシダインと離縁して、第三神殿の預りになっているだけのアンが政策の役に立つなら、拒否する理由はないというのが意見の大勢だ。まあ、最終的には、ルードルフの考えひとつだな」
アネルザはあっさりと言った。
アンの再婚そのものには反対のようだが、アンの意思云々というのは首を傾げている。
婚姻に対する価値観は、大貴族ならではなのだろう。
そういえばアネルザ自身も、マルエダ辺境侯という大貴族の長女というのは、先日教えてもらったばかりだ。
「それで、そのタリオ公国にアン様が嫁ぐんですか?」
コゼが心配そうに言った。
アネルザは首を横に振る。
「さっきも言ったが、そんなことはわたしがさせん。しかし、面倒なのは、実はアンの立場だ。アンはキシダインに嫁ぐときに、一度王家から抜けておる。かたちとしては、キシダインの死ぬ直前に離縁しているが、王家に復帰しているわけじゃない。王家からいったん籍を抜けば、復帰は余程のことがなければできん。相続をややこしくせんための王家の法でな」
アネルザが苦虫を潰したような顔になる。
「どういうこと?」
一郎は訊ねた。
「つまり、わたしも勝手は言えんということだ。それこそ、かたちだけだが、実はアンは、さっき話が出たランカスター公の養女になっている。王家に復帰させるわけにはいかんから、籍だけ借りたのだ……。つまりは、アンの婚姻については、そのランカスター公が支配権を持っている。何度も言うが、かたちだけのことだぞ。無論、最終的にはルードルフの許可なしに、婚姻などできん」
アネルザは言った。