【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「うっ」
横を歩いていたコゼの膝ががくりと折れた。
お尻の中に入れっぱなしの淫具が動き出したのだろう。
だが、人通りの多い王都の大通りである。
コゼは歯を食い縛るようにして、一郎の腕を掴んでいる手に力を入れて、身体を預けるようにしてきた。
「近いわよ、コゼ。離れなさい──」
一郎の反対側の腕に手を掛けて、コゼとは逆側にいるエリカが不満そうにコゼに声をかける。
「だ、だったら、い、悪戯、や、やめなさいよ、エリカ……」
コゼが一郎越しにエリカを睨んだ。
すっかりと上気して、額には玉の汗が浮かんでいる。
王都の小屋敷から冒険者ギルドに向かって歩くだけの短い経路だが、エリカが操作しているローターに翻弄されて、コゼはすっかりと官能を燃えあがらせてしまった気配だ。
無理もないだろう。
お尻は、一郎が調教したコゼの最大の性感帯である。
そこに淫具を入れられて街中を歩かされるだけでなく、エリカによって、遠隔操作で何度も何度も、刺激を送られているのだ。
さすがのコゼもたじたじだ。
「あ、あのう……」
後ろからついてくるかたちのランが困惑したように声をかけてきた。
一郎は苦笑した。
「心配ない。ギルドに到着する前にはちゃんとする。こんなの俺たちのいつもの遊びだ。それに、エリカも発散したいのさ」
振り返ると、ランは顔を真っ赤にしている。
わざわざ淫魔術で覗かなくても、ランが王都の大通りで始めたエリカとコゼによる痴態に、戸惑いつつも、あてられて少し淫情を燃えあがらせてしまったみたいだ。
一郎も意外だったが、予定されていたエリカによるコゼへの「仕返しタイム」が中止になったとわかったら、エリカはせめてギルドに到着するまでは、自分にコゼを責めさせてくれと、一郎に要求してきたのだ。
真面目なエリカからの野外羞恥責めの要求は珍しい。
一郎は許可した。
それで、いま、こうやって、一郎を挟んで腕をとって歩いているふたりが、淫靡な遊びをこっそりとやっているということだ。
ランは唖然としつつも、ちょっと自分も興奮してきたのがわかるように、無意識なのか太腿を擦るように歩いている。
一郎はにんまりとしてしまった。
冒険者ギルドからやって来たランの求めに応じて、アーサー大公と面談をすることになり、一郎はエリカとコゼを引き連れて、冒険者ギルド本部に向かっているところである。
ギルド本部は、王都でも大通りに面した貴族街に近い場所に存在する。
王都でも賑やかな場所なので、それだけ冒険者ギルドがハロンドール王国内で力を持っているということだ。
ちなみに、マアのいる商会は冒険者ギルドに近い場所にあって、その商会と流通において対立する立場の商業ギルドは、もっと王宮に近い完全な貴族街の中にある。
王国内の流通については、マアの率いる自由流通協会が、旧態依然の商業ギルドからとって代わりつつあるので、いま、もっとも賑やかな地域が、この周辺だろう。
そのため、行き交う人々の数もかなり多い。
「エリカお姉ちゃんよ……。そう呼ばないとお仕置きするわよ」
自分がやられるのではなく、余人がされるなら、羞恥責めの人目も、エリカには気にならないようだ。
繰り返される淫具の悪戯に、我慢が難しくなったコゼに、エリカは容赦なく、再び操作具で振動を送り込んだ。
「んはあっ」
コゼの脚ががくりとなり、歩くのがとまった。
一郎は、腕を組んでいるコゼを強引に引っ張って、前に進ませる。
「ご、ご主人様、ま、待って」
引きずられるかたちのコゼが哀願するように、赤く染まった顔を一郎に向ける。
元来、童顔で子供っぽい顔のコゼだが、いまは随分と色っぽい。
「待たないよ。それが調教だろう?」
一郎は耳元でささやく。
コゼの顔がさらに真っ赤になった。
そのとき、コゼの身体ががくりと脱力した。
おそらく、振動をとめたのだと思う。
エリカの操作だ。
コゼを休ませるためというよりは、動かしたりとめたりした方が効果的だからだと思う。
自分自身が何度も同じ目に遭わされているので、どうやればコゼを追い詰められるかも、エリカはわかっているみたいだ。
「ほら、エリカお姉ちゃんて、呼びなさい。さもないと、次は振動を強くするわよ」
エリカが得意気に操作盤をひらひらとコゼに見せた。
コゼがエリカを睨む。
「あ、あんた、いつもそう言うけど、あたしの方が歳上なんだから……」
「それがどうしたの?」
「きゃん──」
コゼが悲鳴をあげると、一郎から手を離してその場でうずくまってしまった。
さすがに周囲の人々の注目が一気に集まる。
もともと、一郎たちはすれ違う者たちの注意を集めていた。
エリカはエルフ族の中でも絶世の美女といっていい美形だし、コゼも本当に可愛らしい顔になった。
そのふたりがどちらかというとぱっとした外見でもない、そして、若くもない一郎の腕に両方からぶら下がっているのだ。
淫具で淫靡な遊びをしていることまではわからないと思うが、醸し出す雰囲気というものがある。
一郎もかなりの人数の男たちがちらちらとこっちを見てくることには気がついていた。
「あ、あんた……」
座り込んだコゼが立ちあがりながらエリカを真っ赤な顔で睨んだ。
とりあえず、振動はとめたのだろう。
ちょっと脚が震えているが、コゼはなんとか立ちあがった。
「さて、じゃあ、そろそろ終わりだ。エリカ、コゼ、もうすぐギルドだ。ちゃんとするぞ」
一郎はエリカから操作盤をとりあげるとともに、亜空間収容の術でコゼのお尻の中の淫具を消滅させた。
股間を締めつけるような貞操帯は、屋敷を出るときに外させていたので、一応はこれでコゼも普通に動けると思う。
解放されたことで、コゼもほっとした表情になった。
「そ、それにしても、あんたって、本当にしつこいわねえ」
「あんたに言われたくないわね」
コゼの言葉に、エリカはつんとした物言いで言い返した。
一郎はふたりのあいだで笑ってしまった。
そして、ギルド本部に到着した。
中では、ランの先輩事務員になるマリーが心配そうな表情で待っていた。
まだ、夜にはならないので、冒険者の数は閑散としているが、十人ほどがギルド内にいる。
マリーは受付の外に出て来て、一郎たちの前にやって来た。
「あっ、ロウさんたち……。申し訳ありません。本来は、指名依頼の受付の決定以前に、依頼人と冒険者側の面談などしないのですが、どうしても会いたいと強く言われて……。ミランダもいないし、どうしていいか……。あっ、ミランダについては、いま伝令を王宮に向かわせていますので……」
マリーが一郎たちに深々と頭をさげた。
ギルド事務員としては、ベテラン格になるマリーだが、大公ほどの立場の者に強く要求されては、拒否も難しかったのだろう。
話によれば、アーサー大公は護衛とともに、いきなりここに乗り込んできたというから、マリーも驚愕したに違いない。
ハロンドール王国の冒険者ギルドのギルド長は、いまは王太女になったイザベラだが、名目だけのことであり、イザベラ自身は、一度もギルドに顔を出したことなどないと思う。だから、マリー自身は王族に近い身分の者など初めてだったに違いない。
他国とはいえ、一国の君主に乗り込まれたのだから、さすがのマリーもどうしていいかわからなかったみたいだ。
「構わないよ。ところで、どこで待てばいい?」
一郎は訊ねた
すると、マリーが一郎をつれてきたランに顔を向けた。
「一番の個室に、ロウさんたちを案内して、ラン……」
マリーがランに言った。そして、顔を一郎に向け直す。
「……実は、すでに大公殿下は中でお待ちです。護衛は男が五人。全員帯刀……。それと、大公殿下と護衛長の方は魔道遣いのようです」
マリーは小さな声で言った。
ランの話によれば、一度出直して、夕方にでも再びやって来るということだったが、すでにいるらしい。
まだ、夕方とはいえない時間なので、随分と自由な大公様みたいだ。
また、マリーが小さい声で教えてくれた内容は、できる限りの情報を一郎に先に伝えようとしてくれたのだろう。
受付のようなことをしているが、マリー自身も魔道遣いだ。
だから、護衛も魔道が遣えることを見抜いたのだと思う。
「……とにかく、指名依頼を受けるかどうかは、ミランダでなければ判断できません。それは伝えております。しかし、大公殿下は、ただロウ様たちの実力を事前に見極めたいと一点張りで……」
マリーが心配そうに言った。
「実力ねえ」
一郎は肩をすくめた。
とりあえず、一郎はランに案内されて、一番という個室に向かった。
ここの冒険者ギルド内には、
一番個室というのは、その中でももっとも上質の部屋のようだ。
「入れ」
扉の外からランが声をかけると、室内から男の声がした。
部屋の中には、三人掛けのソファーが向かい合うように置かれており、アーサーと思われる美貌の男は、扉に身体を向けるようにひとりで座っていた。
五人の護衛という男たちは、向かって右側に三人、左側にふたりいて、ふたつの長椅子を完全に囲むように立っている。
確かに全員が剣を持っており、タリオ軍の軍装だと思われる赤白の派手な具足をつけている。
一郎は、その中のひとりの「男」に注目した。
へえ……。
「座れ。儀礼はいい。冒険者というものは、貴族の礼式など身につけてはおらんだろう。期待もしていない」
それが大公の第一声だった。
一郎は少し大袈裟な仕草で、その場で最上級の儀礼をしてみせた。
もともとの世界では庶民だったが、この世界の庶民に比べれば、それだけでもかなりの礼式の素地はある。それに、子爵になったときに、アネルザに頼んで貴族の儀礼についても仕込んでもらっていた。
それなりに格好がついているはずだ。
腰を折って頭をさげた一郎に、エリカが慌てたように頭だけをさげた。
だが、コゼは突っ立ったまま、部屋の中の護衛たちを睨んでいる。
「ほう、冒険者上がりだったが、そういえば子爵の地位を持っているのだったな。なかなかに様になっている。頭をあげよ」
アーサーの笑ったような声がした。
顔をあげると、その通り微笑んでいる。
一郎は促されるまま、アーサーと向かい合う席に腰掛けた。
エリカとコゼは迷ったようだが、一郎が声をかけて、両側に座らせる。
アーサーに対して、一郎たち三人が向かい合うかたちになる。
“アーサー=ブルテン
人間、男
タリオ公国大公
年齢:32
ジョブ
治政力(レベル40)
軍師(レベル30)
戦士(レベル20)
魔道遣い(レベル8)
生命力:100
攻撃力:300(剣)
魔道力:500
経験人数
男0、女30 ”
なるほど……。
すばやく、魔眼でステータスを覗いた一郎は、ただの大公ではなく、噂の通り、戦士としても一流だということがわかった。
五人の護衛も、それなりの猛者だ。
一郎は、最初に気になった護衛とともに、さらにもうひとりに注目した。
“ランスロット=デラク
人間、男
近衛将軍
伯爵家三男
年齢:27
ジョブ
軍師(レベル20)
戦士(レベル30)
魔道遣い(レベル10)
生命力:100
攻撃力:500(剣)
魔道力:250
経験人数
男0、女0 ”
アーサーを含めた六人の中で、彼が最も強い。
だが、童貞か……。
どうでもいいことに、一郎は注目してしまった。
「単刀直入に命じる。明日、第三神殿のスクルズ殿と面談する。その護衛をお前たちがしろ。拒否は許さん」
アーサーがあっさりとした物言いで言った。