【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
238 もうひとりの幼馴染
「はいよ、美人のおふたりさん。お待たせ」
酒場の若い主人が威勢のいい声をかけて、ゼノビアとシズの座っているテーブルに、二杯の黒ビールをどんと置いた。
「繁盛しているようね」
ゼノビアはビールをとりながら、その若い主人に声をかけた。
マイムというハロンドール王国の王都に近い城郭だ。
ゼノビアとシズは、その城郭内の安宿に泊まることにして、夕食代わりの酒を交わしていたところだ。
宿は二階であり、一階は食堂を兼ねた酒場になっている。泊り客だけではなく、外からやってくる客もここで酒を飲めるようになっている。
ところが、時間が経つにつれて、外からの客がどんどんと増えてきた。
いまは、空いていたテーブルも全部埋まり、立っている客までいる。
店は若い夫婦とその母親の三人で切り盛りしているようだが、文字通り「てんてこ舞い」の状況だ。
「まあね。ただ、この時分だけのことさ。ニーナの唄が終われば、客もある程度は消える。やってきた客の大半は、ニーナの歌が目当てだからな」
若主人はすぐに立ち去って、ほかのテーブルに酒を配り始めた。
給仕をしているのはこの若主人ひとりなので、なかなか注文に追いつけないようだ。
立っている客などは、大きな酒樽が壁際に置いてあり、横に置いたざるに代金を入れて、勝手に自分で杯にビールを注ぐやり方になっている。
「ニーナの歌?」
ゼノビアの隣のシズが可愛らしく首を傾げた。
今回のゼノビアの仕事の依頼人であり、いまの恋人だ。
本来はゼノビアへの依頼料はもっと高額なのだが、シズがゼノビアの愛人になるのと引き換えに、格安の依頼料で今回の仕事を引き受けることにした。
シズは可愛い。
エルフ族特有の尖った耳を持っていて、見た目は完全なエルフ族だが、エルフ族と人間族のハーフ、すなわちハーフエルフだ。
彼女の透き通るような白い肌もシズがエルフ族の血を引いていることを物語っている。
ただ、エルフ族にしては、少し背が低い。
まあ、それがシズの可愛らしさを惹きたてているのだと思う。
また、シズはエルフ族なら誰でも遣える魔道を操ることができない。
残念ながら、彼女の半分を流れている人間族の血が、彼女の母親であるエルフ族の魔道能力を伝えなかったのだ。
エルフ族の外見でありながら、魔道を遣えないというのは、シズの大きな劣等感になっているようだ。
だから、シズは剣一本で生きることを決心して、自分の剣技を磨いて、この世を渡ってきた。
ゼノビアとシズが出逢ったのも、
ゼノビアは、ひと目で彼女を気に入ってしまった。
だから、彼女と偶然に知り合ったとき、恨みを抱く相手がいるというシズに、ゼノビアの方から売り込んだ。
シズは承知し、それで、こうやってシズが恨みを晴らしたい人物のところに向かう旅が始まったというわけだ。
「この店の名物だそうよ。これだけの客が集まるのは、彼女の歌があるからね。そして、今回の手掛かりでもあるわ。だから、ここに来たのよ……。まあ、とにかく、聴こうよ。こんな宿屋を兼ねた安酒場の若奥さんだけど、一年ちょっと前は、王都でも有名な歌姫だったらしいわよ」
店の主人がいなくなると、ゼノビアはシズの耳に口を近づけて耳打ちした。
シズがちょっと驚いた表情になる。
確かに、元とはいえ、王都の歌姫がこんなところで歌を唄うというのは意外だろう。ゼノビアも最初にその情報に接したときには、そう思った。
そのとき、大喝采が周囲から起こった。
ゼノビアは視線をあげた。
厨房からひとりの若い女が現われたのだ。
お腹が大きい。
妊娠しているようだ。
おそらく、臨月だろう。
そして、歌が始まった。
ゼノビアは驚いてしまった。
事前の調査で、ニーナのことは知っていたが、それでも、実際に聴いてみると、さすがに王都でも有名な歌姫だと思った。
透き通るような美しい歌声──。
あの小さな女の身体から出ているとは思えない声量──。
なによりも、彼女の奏でるしらべが素晴らしい。
ゼノビアはしばらく、歌に聴き惚れてしまった。
二曲が終わったところで、ニーナがぺこりと頭をさげた。
静まり返っていた酒場がわっと沸いた。
拍手喝采だ。
ゼノビアもほかの客たちと一緒に懸命に拍手した。
横を見ると、シズも感嘆の表情を浮かべて、手を叩いている。
すると、さっきの若主人が出てきた。
歓声でよく聞き取れないが、どうやら、もう終わりだと叫んでいるようだ。
しかし、客たちはそれを許さずに、いつまでも拍手が続いた。
ニーナは笑って、若主人を制して再び唄い始めた。
今度は明るく愉し気な曲だ。
酒場から喧噪が一瞬にして消滅する。
この歌もよかった。
歌が終わると、またもや大喝采だ。
今度は、ニーナは頭をさげて、笑顔のまま、すぐに厨房に戻っていった。
客たちが帰り始める。
今夜は、これ以上はニーナは唄わないのだろう。
気がつくと、立ち見の客はいなくなり、テーブルも半分ほどになっている。
「いやあ、待たせたね。どうしても、ニーナの歌が終わるまでは、手が回らなくて……。済まない」
若い主人がやって来た。
大皿に乗った料理がテーブルに置かれる。
酒と一緒に頼んでいたものだったが、やっと注文を運んで来たのだ。
「ニーナ……、いえ、奥さん、もうすぐ赤ちゃんができるみたいね。幸せそうでよかった。実は、あたしも一年前まで王都に住んでいたのよ。あんなことがあったから、心配していたんだけど、元気そうでよかった。また、彼女の歌が聴けるなんて幸せよ」
ゼノビアは声をかけた。
もちろん、嘘だ。
王都には一度も訪れたことはない。
そもそも、ニーナは有名な歌姫であり、王都で歌っていたころの彼女の歌は、ゼノビアのような一介の旅の女が簡単に耳にできるようなものではなかったはずだ。
だが、ニーナに起こった騒動のことは知っている。
ドルニカ伯爵夫人の事件も調査済みだ。
「王都の頃のニーナを知っているのか?」
若主人が驚いた顔になる。
ゼノビアは頷いた。
そして、わざと意味ありげに声をひそめる。
「……ドルニカ伯爵夫人の事件のことも知っているわよ……。本当にお気の毒なことだったね……。だけど、本当によかった……。あんなに幸せそうで……」
「待ってくれ──」
若主人が慌てたように遮る。
ゼノビアはわざと驚いた表情を見せた。
「……ニーナは、あの事件のことは忘れているんだ……。そっとしておいてくれ」
若主人がちょっと怒ったような口調で言った。
ゼノビアは、軽く肩を竦めた。
「……気に障ったなら、ごめんなさい。悪気はなかったのよ。もうすぐ赤ちゃんできるんだものね。いやなことを思い出させるようなことはしないわ……。ところで、あのとき、あなたが雇った冒険者の行方を捜しているんだけど知らない? パーティリーダーが殺されて、解散したと耳にしたんだけど、仲間だった女たちがどうなったのか知りたいのよ。あたしたちも、彼らに助けられてね……。もしも、リーダーが殺されて苦労しているなら、せめて仲間だった女たちに恩を返したいと思って……」
ゼノビアがそう言うと、若主人は驚いた顔になった。
「ロウ殿のことか? ロウ殿が死んだって? そんなことは知らんぞ」
「でも、冒険者ギルドの記録に、死んだと発表されていたわよ。パーティも解散になっている。あたしは、確かにギルドの記録でそれに触れたわ」
これは本当だった。
一応は冒険者に登録しているゼノビアは、冒険者記録に触れることもできる。
三公国で冒険者記録を確認したゼノビアは、シズが恨みを抱いている相手が冒険者登録されていて、しかも、所属していたパーティがリーダー死亡により解散と記録されていることを見つけたのだ。
ただ、遠国のことであり、それ以上のことはわからない。
だから、シズを伴って、ハロンドール王国にやって来た。
ドルニカ事件のことは、この王国に入ってから、そのパーティに関する情報を集める段階で知った。
ここにやって来たのは、解散後のパーティの行方を知るためだ。
ただの依頼人であったこの若主人がなにかを知っているとは限らないが、記録されているクエストの関係者を訊ね歩けば、手掛かりは掴めるだろうとは思っている。
「俺は冒険者ギルドのことは知らないけど、ロウ殿のことはよく知っている。大恩人だしな。死んだどころか、いまや王都で一番有名な冒険者だ。王都ではただひとつのシーラ・ランクの冒険者だし、確か爵位も貰ったはずだ」
若主人はそう言うと、ほかの客の料理を配るために離れていった。
ゼノビアは、シズに顔を向けた。
「吉報ね。どうやら、やっぱりシズの恨みの相手は生きているわよ。これなら、探し当てるのに苦労はなさそうよ」
ゼノビアは笑った。
「じゃあ、よろしくね、お姉さま……。エルフの女として、きっと殺してね……、あの裏切り者を……」
シズが酷薄に笑った。
ゼノビアは苦笑した。
「だけど、本当にいいの? あたしは、一度手掛けた依頼は途中ではやめないよ。そんなことをしたら、こっちの身の破滅にもなるしね。だけど、仮にも、そのエルフ女は、あんたの幼馴染なんでしょう。本当にいいの? これが最後の確認よ」
ゼノビアは言った。
シズから依頼されている恨みの対象は、そのロウという冒険者の仲間のエルフ女だ。
名はエリカ──。
シズの幼馴染だそうだ。
「問題ないわ。お願い、お姉さま……。裏切り者に死の制裁を……」
シズが飲みかけの黒ビールのジョッキを顔の前にかざした。
「じゃあ、引き受けたわ……。ただし、支払いは、あんたの身体でね」
ゼノビアはそのジョッキに、自分の持っているジョッキをこつんとぶつけた。
シズが真っ赤な顔になった。
*
「んんっ……あん……んん……」
シズは、寝台の上で一糸まとわぬ身体を悶えさせながら、切ない声をあげてしまった。
「ふふふ、あんまり声を出さない方がいいわよ。ここは安宿だしね。きっと、シズの可愛い声が壁越しに聞こえるわね。隣って、確かでっぷりと太った行商人のおじさんだったわね」
腰を包む下着一枚で、乳房も露わにしたゼノビアが、シズの全身を覆っている水膜越しに、横たわるシズの身体を優しく揉みほぐしながら意地悪に言った。
だが、薄い水の膜越しに施されるゼノビアの愛撫は、耐えられない疼きをシズに与える。
シズは必死で歯を食い縛った。
水を操る魔道は、ゼノビアの得意中の得意の技だ。
いまも、シズの裸身に薄布のように首から下の全身をゼノビアの操る水が覆っている。
それにしても、なんだか身体が異常だ。
肌は異常なほどに熱くて、特に敏感な局部や乳首などは、痛いほどの疼きに襲われている。
この水がただの「水」でないことは明らかだ。
「い、意地悪……い、言っちゃいやよ、お、お姉さま……。だ、だけど、こ、これ……み、水に……な、なにか……は、入っている……?」
シズは息も耐えだえに言った。
少しでも油断をすれば、大きな嬌声が口からこぼれ出そうなのだ。
シズは必死でいやらしい声が口から出るのを我慢しながら、ゼノビアに訊ねた。
すると、ゼノビアがくすくすと笑い声をあげる。
「もちろん入っているわ。シズの身体の感度が異常に上昇する媚薬をたっぷりと混ぜているわ。こんなものに浸かっていたら、すぐに身体が敏感になって、誰かに触られるたびに欲情する玩具になってしまうわよ。シズにもっと可愛くなって欲しくて、特別に調合したのよ」
ゼノビアが言った。
シズはぞっとした。
ゼノビアが水の操りとともに得意なのが、薬草の処方なのだ。
ほんの少量で人が即死するような猛毒を遣って、人知れず誰かを暗殺するような仕事も得意にしていて、誰も知らないような特殊な薬草もよく知っている。
そんなゼノビアにとっては、人の感覚を狂わせるような薬剤もお手のもののはずだ。
ゼノビアが、特別に調合した媚薬ともなれば、それは恐ろしいほどの効き目と思う。
「い、いやよ──。い、意地悪よ、お姉さま」
シズはとっさに全身を包んでいる「水」を取り去ろうとしてしまった。
だが、指先が濡れる感覚はあるが、膜のように全身を覆っている水が離れることがあるわけもなく、むなしく肌の上を手が動いただけで終わった。
そんなシズの慌てぶりが面白かったのか、ゼノビアが楽しそうに笑った。
「慌てちゃって、可愛いわね」
ゼノビアがシズの乳頭を軽く突いた。
その途端、ゼノビアの身体を覆っている水に波が発生して、乳首の周りの水が振動した。その刺激でシズは鼻息のかかった艶めかしい声をあげてしまった。
「ふふ、本当に敏感になったわね、シズ……。まあ、元々、感じやすい身体をしていたものね。幼いころから、姉役のエルフっ子たちに苛められて、淫らな身体にされた挙句に捨てられてしまって、悶々と苦しむ日々を送り続けたんだったわね……。でも、もう大丈夫よ……。これからは、あたしが毎晩のように可愛がってあげる……」
ゼノビアが本格的にシズの胸を揉み始めた。
手によって刺激される直接の愛撫もあるが、同時に水に起きる波の振動の二重の刺激がある。
途端に電撃のような快感に襲われて、シズはなにもできなくなってしまった。
ただ、自分の口から迸る淫らな声とともに、肢体をくねくねと悶えさせるだけだ。
一度触られれば、火がついたように熱くなる淫らで敏感な身体……。
それがシズの身体なのは本当だ。
それは、幼い頃にずっと過ごしたエルフの里での体験が原因だ。
シズは、ハーフエルフであるが、若くして死んだ母親がエルフ族だったこともあり、ほかの孤児のエルフ族の子供とともに、孤児のエルフ族が共同で育てられる施設で育った。
父親は知らない。
人間族であったということしか知らされていないし、里の者もそれ以上のことはわからないようだ。
そして、母親のエルフ女は、不慮の事故で突然に死んだ。
それが、シズが両親について知っていることのすべてだ。
だから、シズには家族はいない。
しかし、あのエルフ族の里で、三人姉妹のように育った幼馴染み……。
それはシズにとっての家族だ。
少なくとも、シズはそう思っていた。
だが……。
そのとき、思念を吹き飛ばすような、ゼノビアのいやらしい愛撫が襲いかかった。
さっきから胸ばかりを責められている。
ゼノビアが意図的にやっているのは明白だ。
多分、胸揉みだけでよがり狂うシズの痴態を眺めるのが愉しいに違いない。
「あっ、あああっ、はあん」
シズは大きな声をあげてしまった。
もう、声を耐えようとする意識も希薄になっている。
乳首を触られればそれだけで脱力して悶え、肉芽を摘ままれれば抑えきれない嬌声が迸る。
股間を刺激されようものなら、立っていられないほどの疼きが全身を駆けまわり、なにかを局部に挿入されたりすれば、あっという間に絶頂を極めてしまう……。
それがシズなのだ。
自分の身体だが、もう自分の意思ではどうしようもない……。
こんな身体になったのは、あの幼いころからのエルフの里の日々が原因だと思う。
毎日、毎夜、淫らな悪戯で悶え合ったあの日々……。
幼馴染の三人の中で唯一魔道を遣えないシズは、ほかのふたりの魔道の玩具のようなものだった。
覚えたての淫らな魔道を代わる代わる身体にかけられて、狂ったように悶えさせられた生活……。
みじめさはない……。
あれは、恍惚の楽園にも喩えられるような満ち満ちた年月だった。
あのふたりとの「密かな愉しみ」は、なによりも素晴らしい思い出だ。
童女から少女、そして、大人の女といえるような年齢になっても、三人の関係は永遠に続くとシズは信じていた……。
だが、それは突然に終わった。
一番の姉役だったイライジャは、突然に男とできてしまい、彼と結婚をするために、その男と一緒に里を出ていってしまった。
そして、エリカも、イライジャが去るのに合わせて、冒険者になるのだと言って里を出ていき、それっきりだ。
ふたりとも、シズに事前になんの相談もなかった。
シズはただ、すでに出ていくことを決めていたふたりから、突然に別れを告げられただけだ。
泣いてすがったが、ふたりは出ていった。
シズはひとり里に残された。
「本当に敏感なおっぱい……。胸揉みだけでいってしまいそうね」
横に座っていたゼノビアが、シズの身体を抱えあげて身体の前で背中から抱くようにした。
もうすっかりと力が抜けているシズには、なんの抵抗もできない。
ただ、ゼノビアのなすがままだ。
ゼノビアが、両手でシズの乳房を揉みながら、覆っている水全体で乳房の微振動を開始した。
「ああ、だめえ、お姉さま──」
シズはあっという間に達してしまい、全身をがくがくと痙攣させて、絶頂に呑み込まれてしまった。
「可愛いあたしの絶頂人形……」
ゼノビアがシズを後ろから抱き締めながら、シズの耳元でささやいた。
絶頂人形……。
まさにその通りだと、シズは思った。
「……次はクリトリス……。その次はおまんこ……。それが終わればおしっこの穴……。そして、お尻よ……。今夜は寝かさないからね、シズ」
ゼノビアが笑いながら言った。
途端に、肉芽を包む水がぶるぶると震えだした。
シズは悲鳴をあげた。