【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「とにかく、災難だったわね、エリカ……。でも、よかったじゃない。ご主人様にこんなご褒美もらえるなんて」
コゼが一郎の身体に密着しているエリカの乳房にすっと手を伸ばした。
「さ、触らないで──。すごく身体が敏感になってるの──」
エリカが怒鳴った。
しかし、コゼは容赦なくエリカの乳首についているピアスをいじくる。
抵抗したくても、エリカの両手首と両足首は、向かい合う一郎と体面座位の体勢で一郎の背中側で縛られている。
両手も使えないし、逃げることもできない。
「んふうっ──。だ、だめええええっ、だ、だめだって、言ってるでしょう、コゼ──」
エリカが一郎の膝の上で身体を弓なりにして反応した。
同時に一郎の一物が挿入されている秘肉がぎゅっと絞まる。
一郎がたしなめると、コゼが悪戯っ子のように舌を出して離れていく。
しかし、コゼの表情には、そこはかとなく、不平のようなものが見え隠れしている。
おそらく、羨ましいのだろう。
一郎は放っておいた。
「ロウにこんなに優しくされるなら、わたしも誰かに復讐されたいな」
シャングリアも不満そうに言った。
いつもの屋敷だ。
長椅子やテーブルがある大広間ではなく、もう少し小じんまりとした小部屋だ。床には絨毯が敷き詰められていて、一郎と三人娘、さらに、スクルズを加えた五人で、絨毯の上に直接腰をおろしている。
騒動は片付いた。
だが、スクルズも神殿長として忙しいと思うのに、なぜかこの王都一の魔道遣いは、事が終わってからも、のこのこと一郎たちとともに屋敷に付いてきた。
その中心にいるのが一郎とエリカだ。
一郎とエリカは、いわゆる「スローセックス」の真っ最中であり、ほかの三人の女がそれを見守っているという状況なのだ。
昼前、幼馴染みとその幼馴染みが雇った「恨み屋」から酷い目にあったエリカの慰めというわけだ。
エリカの命を狙った暗殺劇かと思った騒動も、結局は数年越しに行われた痴話の末の茶番だった。
その茶番を起こしたのは、エリカの幼馴染みであり、かつてのレズ姉妹であるシズと、シズのいまの恋人であって恨み屋という珍妙な生業をしている女流浪人のゼノビアだ。
ふたりは共謀してエリカを拐い、痴情の限りを尽くす「ハードSM」を仕掛けた。
だが、エリカが何者かに連れていかれた可能性がある、というコゼの報せに接すると、一郎はすぐに行動を起こして、シャングリアとコゼ、さらにスクルズの協力も得て、淫魔力と魔道力の限りを尽くしてエリカを探した。
その結果、案外簡単に、エリカのことを見つけることができた。そして、エリカを救出し、首謀者のふたりを捕らえることにも成功した。
シズとゼノビアをどうしてやろうかと思ったが、まあ、「プレイ」の域を越える危害を加えるつもりはなかったようだし、エリカの幼馴染みということもあったから、ちょっとしたお仕置きで解放してやった。
大したことじゃない。
せいぜい、ゼノビアには、丸太を肩に載せて歩き続けさせ、体力を根こそぎ奪って抵抗できなくなったところで、バイブでいたぶりながらの連続浣腸責めで繰り返し全員の前で排便させた。そして、最後の浣腸では、床に仰向けに拘束したシズの顔の上に排便させた程度だ。
また、シズは木桶一杯の水を無理矢理に飲ませてから、尿道口を粘性体で封鎖して排尿を許さず、一郎の小便を飲ませ、次いで、浣腸をしたゼノビアの尻の下に縛りつけて、汚物を顔に浴びさせた。
さらにふたりを強烈な媚薬水で洗浄して、ふらふらになったところを犯し、今後、一郎に逆らったり、仕返しを考えられない程度に、淫魔力で支配した。
犯す場所は、シズは前の穴だが、ゼノビアはアナルだ。
その後、解放した。
もちろん、普通に解放したわけじゃない。
そのときまで、シズについては、最初に飲ませた樽水を放尿で出せないように、一郎の淫魔力による粘性体で尿道を封鎖していたので、尿意に七転八倒していたのだが、そのシズと同じだけの樽水をゼノビアに強引に飲ませ、素裸のまま、スクルズに、人の賑わう王都の噴水広場に転送術で送ってやったのだ。
送ると同時に、ふたりの尿道封鎖も解除したから、到着と同時に排尿したんじゃないだろうか。
まあ、せいぜいそのくらいであり、大したことはない。
「あら、どなたか、復讐をされるようなお方がいるのですか、シャングリアさん?」
シャングリアの言葉を受けて、スクルズがにこにこしながら口を挟んだ。
「そんなのはいない。わたしは、いつも清廉潔白に生きている。恨みなど買ってない」
シャングリアがどんと自分の胸を叩く。
「どうだか……。案外に知らぬ間に、誰かを傷つけているかもよ……。誰かさんみたいにね」
コゼがつっと指で、また、エリカの背中を上から下までなぞる。
「きゃあああ」
エリカは悲鳴をあげて、縛られた手で一郎にしがみつくようにしたきた。
「やめてやれ、コゼ。いまのエリカには愛撫のひとつひとつが、ぶん殴られるような衝撃に感じるんだ」
「でも、あたしもして欲しいです」
コゼがぷっと頬を膨らませた。
「やたらに、ちょっかい出すのは、それが本音か?」
一郎は苦笑した。
いまやっているスローセックスとは、一郎の知識の中にある「ポリネシアンセックス」をアレンジしたものであり、エリカが一時的に監禁された王都郊外の廃屋から戻ってすぐに開始し、そろそろ五ノス、一郎の時間感覚では、四時間強は続けている。
その間、最初の二ノスはお互いに裸身で抱き合うだけですごし、次いで、こうやって向かい合って性器を結合しただけで、じっとすごし、いまに至っている。
愛撫もしない。
ただ、挿入したまま抱き合い、話をするだけの時間をすごすのだ。
体面座位にして、一郎の背中側のエリカの手首と足首を縛らせたのは、一郎のアレンジだが……。
「喉が乾いたろ、エリカ」
一郎は、そばに置いてある果実水を取り、口に含んだ。
そして、エリカの唇に口を近づける。
「あ、ありがとうございます……」
エリカが真っ赤な顔になりながらも、口移しに水を受け取る。
やっぱり喉が乾いていたのだろう。
エリカは喉を鳴らして水を飲んだ。
無理もない。
エリカの身体は長い結合によって、いつの間にかじっとりと汗をかき、いまはしずくが垂れるほどになっている。接している一郎もかっかと身体が熱くなるほど、エリカの身体は熱い。
また、この「スローセックス」で興味深かったのは、淫魔力によって確かめられる性感帯だ。一郎は今回は淫魔力を一切使わず、ただ抱き締めるだけに徹していたのだが、時間が経つに連れてエリカの全身は性感帯を示す赤みを濃くし、いまや全身が均等に赤い。
絶頂への快感の昂りを示す「快感値」は、じわじわと下がって、いまは一桁台だ。
つまり、エリカは本来であれば、あっという間に通りすぎるはずの絶頂寸前の状態をゆっくりと味わっているということだ。
そもそも、一郎はしっかりと膣の奥深くまで勃起させている肉棒を挿入している以外は、エリカを抱き締めているだけであり、まったく愛撫をやっていない。
それなのに、エリカはどんどん快感を昂らせている。
一郎は、ポリネシアンセックスをアレンジしたスローセックスにこんな効果があるとは、思いもよらなかった。
「ほら、肉だ」
一郎は今度は干し肉を口に入れると、少しだけ咀嚼してからエリカの口に入れる。
「あ、あん、んんっ……」
エリカはまるで愛撫でも受けている感じで悶えるような仕草をしながら、口移しで食べた。
「う、ううっ……。や、やっぱり狡い。ねえ、ご主人様、エリカを助けたあたしたちが見ているだけで、騒動の原因だったエリカが、こんなに長い時間もご主人様に可愛がってもらえるなんて、おかしいですよ」
コゼが不満そうに声をあげた。
一郎は苦笑した。
「だから、向こうに行ってろと言ったろう。とにかく、大変だったのはエリカだったんだから、エリカを慰労するんだ。嫉妬するくらいなら、コゼもシャングリアも、別の部屋にいればいいだろう」
「つ、冷たいです、ご主人様──」
コゼが、またほっぺたを丸くする。
「わ、わたしは、なにも言ってないぞ。ちょっと、いいなあと言っただけだ」
シャングリアだ。
「わたしは、ここにおりますよ。仲のよいおふたりを眺めていると、なんだか心がなごみます。幸せのお裾分けをしていただいている気分になるのです」
すると、スクルズがにこにこしながら口を挟んだ。
「さすがは聖職者だ、スクルズ。ほら、見習え、コゼ」
一郎は笑った。
だが、時々、心配になるのだが、神殿長というのは、もっと忙しいんじゃないだろか。
それとも、案外に暇なのだろうか?
「ど、どうせ、あたしは奴隷あがりだもん。聖職者様のような立派な人と比べたら酷いですよ」
コゼが泣きそうな顔になった。
これは、ちょっとはね除けすぎたかもしれない。
まるで駄々っ子だが、コゼは一郎の愛情だけを生きる糧のすべてとしているところがある。
コゼの甘えは、真摯で真剣なものだ。
「わかった、わかった、今度な……。だから、今は我慢しろ」
一郎は仕方なく言った。
すると、コゼの顔がぱっと明るくなった。
「約束ですよ、ご主人様」
さっきの不機嫌さが嘘のように上機嫌になった。
現金な奴だ。
「あだ、ああっ……。い、いきそう……。あ、ああ……。ロ、ロウ様……。い、いきそうです……」
そのとき、エリカが感極まったように声をあげた。
「ああ、わかってる……。お前の気持ちよさが俺にも伝わって、俺も気持ちいい……」
一郎はぐいとエリカの細身を抱き締めた。
エリカとの密着度が増して、まるでエリカとひとつになって溶けていく気分だ。
本当に気持ちいい……。
ごく自然に、じわじわと射精への欲求が込みあがってくる。
エリカも同じだろう。
いま、エリカの「快感値」は、本当にゆっくりとした速度で、「2」から「1」、そして、「1」から「0」になろうとしている。
淫魔術の支配で、わざと絶頂寸前で快感を固定して遊ぶことはあるが、普通の性交でこんなにゆったりと快感があがってくことがあるとは思わなかった。
一郎も、こんな風に迫りあがるような射精感は初めてだ。
「あ、ああ、いく……」
エリカが身体をがぐがくと震わせだす。
「う、うう……」
一郎も気がつくと声を出していた。
もう、なにも考えない。
ただ、エリカとひとつになる体感だけを愉しんだ。
「ふわあっ」
エリカが縛られた手と脚で、一郎の胴体にがっしりとしがみつく。
いつの間にか、エリカの「快感値」が「0」になっていた。
しかし、絶頂は一瞬には終わらないようだ。
その状態がしばらく続いている。
「おおお……」
驚いたことに、一郎もまた声をあげていた。
しかも、すでにエリカの中に精を放っていたようだ。
知らない間に射精するなど初めてだったので、一郎はびっくりしてしまった。
「あ、ああ……あああ……」
エリカのか細い嬌声が長く続く。
そして、かなりの時間、同じ姿勢でなにをするでもなく、そのまましばらくお互いの裸身にしがみついていた。
快感の余韻がなかなか止まらないのだ。
絶頂の瞬間と余韻との境目も判然としていない。
ただ、ひたすらに巨大な快楽のうねりに巻き込まれ、呑み込まれて、砕かれた感じだ。
一郎は、女たちがそんな状況になるのを、よく目の当たりにするが、一郎自身も、その心地になるとは意外だった。
「終わった……?」
しばらく続いた沈黙を破ったのは、シャングリアだった。
それを合図とするように、部屋の中の全員が一斉に息を吐いた。
「まあ、素晴らしかったですわ……。本当におふたりが愛し合っているのが伝わってきました」
スクルズが愉快そうに言った。
一郎は顔をあげる。
目の前のエリカは、まだ熱から覚めないかのように、一郎の胸板に額をつけて、はあはあと荒い息をしていた。
また、スクルズは相変わらずの微笑み顔だ。
シャングリアはぼうっとしている。
ただ、コゼだけが、ひとり苛立たしそうな表情になっている。
「や、やっぱり狡い──。あんなに気持ちよさそうなご主人様なんか、滅多にない。そのときにエリカがお相手してるなんて。あたしのときにあんなになって欲しかった──。あたしの方がエリカよりもご主人様が好きなのに──」
すると、そのコゼの言葉にむっとしたのか、エリカががばりと顔をあげて、コゼに振り返った。
「馬鹿なこと言わないでよ。あんた、いっつも同じこと言うけど、わたしは一番奴隷なのよ。わたしこそ、ロウ様のことを大切に思ってるわ」
すごい剣幕だ。
まったく、なにが気に障るのか知らないが、コゼのからかいに、そんなにむきにならなくてもと思う。
「ふん──。あんたは、ご主人様を異世界から召喚してしまった申し訳なさで、仕えているんでしょう? あたしはご主人様がすべてよ」
「誰がそんなこと言ったのよ。わたしだって、ロウ様を心から慕っているわ」
「前にそんなこと言った──」
「言ってない──」
エリカが喚き返した。
「やめないか……」
一郎はまたまた始まったコゼとエリカの口喧嘩に呆れて、エリカの腰を下から持ちあげた。そして、一度亀頭近くまで一物を出すと、手を離して、すとんとエリカの腰を落としてやる。
それだけでなく、淫魔力で亀頭が走る膣の道筋を一気に数十倍に感度を高めてやった。
「ふにゃあああっ──」
あっという間に絶頂したエリカが咽び泣くような声をあげて、がっくりと脱力する。
「コゼ、あんまりエリカをからかうなよ。エリカは真面目なんだからな……」
一郎はぐったりしているエリカを抱き締めながら言った。
「あたしだって、真面目です──。ねえ、ご主人様、あたし、もうご主人様がいない世界で生きていくつもりないですから。もしも、元の世界に帰るようなことがあるなら、絶対に連れていってくださいね」
なんだか、コゼが怒ったように言った。
「元の世界? 藪から棒になんだよ」
面食らった。
だが、コゼがそんなことを思っているなどと初めて知ったし、それが必要以上に一郎に甘えるコゼの背景にあるのだろうかと思った。
しかし、実際にそんなこと考えもしなかったが、その可能性はあるのだろうか……?
一郎を実際に召喚したエリカは、あのアスカの力を借りた、にわか召喚師だったので、帰還の技など無いのではないかと言っていたものの、あるいは、あのアスカならその方法を知っているのかもしれない。
いままでずっと、アスカから逃亡することしか考えていなかったから、アスカにそれを訊ねようという考えに至らなかったが、いまや、一郎の淫魔師としてのジョブレベルは“99”だ。
アスカを無条件に怖れる必要がないどころか、やりようによっては、アスカを淫魔力で支配できる可能性がある。
そして、もしも、支配できれば、アスカに一郎を逆召喚させることも可能かも……。
「あっ、いまの顔、本当に元の世界に帰ること考えましたね──。絶対ですよ。あたしはついていきますからね、ご主人様──」
「いてっ」
いきなり、両頬をコゼにつねられた。
見ると、また泣きそうな顔をしている。
「ほ、本当、コゼ? 許しませんよ、ロウ様──。こんなに尽くしているのに、足りないですか? 元の世界がいいですか」
すると、エリカが声を大きくあげた。
縛られた手で一郎の背中を揺するようにしてくる。
「もちろん、わたしも同行するぞ。どんな場所でもな。わたしは最初に言ったはずだ、ロウ。お前の行くところに付いていくとな」
シャングリアだ。
気がつくと、三人娘が一郎に詰め寄ってる。
一郎は苦笑した。
「とらぬ狸の皮算用で騒ぐな。そんな方法があるのかどうかもわからんのだ。それに、俺は正直に言えば、元の世界などに帰りたくない。俺だって、お前たちと別れるのは嫌だ」
正直に言った。
どう考えても、この世界の人生がいいに決まっている。
元の世界であれば、これだけの絶世の美女を独占できることなどあり得ない。
すると、三人娘が一様にほっとした表情になる。
もしかしたら、あまり口に出すことはないが、一郎が異世界人、すなわち、外界人であることは、ずっと彼女たちの内心の不安になっていたのかもしれない。
「ご心配ありません。ロウ様はどこにも行かせません。ロウ様がどこかに行ってしまうことなど、このわたしが全力で阻止します。さもなくば、わたしもついていきます。それこそ、魔道十二戒など気にしませんし、禁忌の術を遣うのも躊躇いません」
すると、スクルズが毅然とした口調で口を挟んだ。
禁忌の術とは、この世界でかつて封印されたという冥王の遣っていた魔道のことだ。
そう言えば、褐色エルフの里で一郎に関わったユイナという小娘が、その禁忌の魔道術に手を出していたのを思い出した。
とにかく、それはこの世界では、ご法度中のご法度らしい。
いずれにしても、王都の最高神殿のひとつの神殿長スクルズが、その地位を無視して禁忌の魔道に手を出すというのは、スクルズ独特の冗談であろう。
「王都の歴史で、もっとも若い神殿長のあなたが、それを棄てて、一介の俺を追いかけて異世界に来るのか? まあ、この場での戯れとしても、嬉しいよ、スクルズ」
一郎は軽口を言った。
すると、スクルズが傷ついたように、眉間に皺を寄せた。
「まあ、ロウ様は、本当になにもわかって、おられないのですね」
「わかってない?」
一郎は首を傾げた。
「ええ、わかっておられません。わたしが神殿長になったのは、一重に、もっとロウ様に尽したいからです。ただの筆頭巫女よりも、その方が、いざというときに、ロウ様の助けになれると考えたからです。だから、わたしは妬みや嫉みをはね除けてでも、神殿長になったんです。そうでなければ、わたしは神殿長など、どうでもいいのです」
「えっ」
一郎は驚いた。
すると、スクルズがにっこりと笑った。
そして、次に、さっと姿勢を整えた。
改まった感じであり、居住まいを正している。
「つきましては、ロウ殿にお願いがあります。是非ともロウ殿にして頂きたいことがあるのです」
「お願い?」
一郎は首を傾げてみせたが、すでにスクルズの願いなら、無理にでも果たさなければならないと決めた。
一郎は、この人のよい巫女を便利に使いすぎているところがある。
今日だって、昼間にエリカを助けるのに力を貸してもらい、それ以降、一郎たちにこうやってついてきている。
まあ、エリカを助けたときはともかく、昼間の時間は勝手に居座ったのだが……。
いずれにせよ、この女神殿長殿には、かなりの借りがあるという自覚はある。
「わたしとも、さっきの“すろーせっくす”というのをやってください。お願いですよ。絶対にです」
スクルズが言った。
「あ、あたしが先よ、この淫乱巫女──」
コゼが横から憤慨したように絶叫した。
「まあまあ、どっちが先だなんて、そんなことはどうでもいいじゃないですか、コゼさん。些細なことです」
スクルズがぱっと破顔した。
「あたしが最初って、言ってんのよ──。どうでもいいってなによ──」
コゼが怒って怒鳴った。
しかし、スクルズはコゼを笑って宥めるような物言いをするくせに、順番のことは口にしない。
笑って誤魔化す雰囲気だ。
まったく、かなわないな、この神殿長様には──。
一郎は苦笑してしまった。