【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「おや、お帰り、ロウ」
“ほっとらいん”で、冒険者ギルドに到着すると、酔いつぶれているアネルザと、その横で酒を飲んでいるミランダがいた。
どうやら、ここで酒盛りをしていたみたいだ。
このふたりが宴会をしているところにやってきて、とんでもない目に遭ったことがあるから、思わず身構えてしまったが、ミランダはそれなりには酔っているみたいだったが、今日はそれほどでもないようだ。
「酒盛りか?」
一郎はミランダの座っている隣に座り込む。
寝息をかいているアネルザは向かい側の長椅子だ。
「まあね」
ミランダは、すぐそばにやってきた一郎に、とろんとした視線を向けた。
いや、これはそれなりに酔っているな。
一郎は、思い直した。
ふと見れば、空になった酒瓶が十本ほど床に転がっている。
食べ物も大皿に載せた料理が二皿あり、ほとんどなくなっている。
これだけのものを食べ終わったのだから、かなりの時間を過ごしたんじゃないだろうか。
そして、よく見れば、取り皿も杯も三人分あることに気がついた。
つまりは、ミランダとアネルザのほかに、もうひとりいたということだ。
「誰かいたのか?」
一郎はミランダの小さな身体を抱き寄せる。
ミランダは、ちょっとびくりと身体を震わせたが、まずはアネルザを見て、しっかりと寝入っているのを確かめ、次いで廊下に通じる扉に目をやり、ちょっと考える仕草になる。
性愛に関しては慎み深く常識人を装うミランダが、実のところ、ふたりきりのときには結構甘えたがる。
いまも、誰かがやって来る可能性があるかどうかを考えているのだろう。
そして、ふたりっきりということになると、途端に甘えた感じになるのがミランダだ。
「あなたとエリカを訪ねてきた女がね……」
ミランダが一郎に抱かれていることで、落ち着かない感じで言った。
「俺とエリカを女が? いまどこに?」
「多分、個室のどこかで、エリカたちと……。うわっ」
ミランダが動顛した声を出す。
一郎がミランダをソファに押しつけるようにして、粘性体を飛ばして、両手を背もたれの後ろに貼りつけたのだ。
両脚はソファに持ちあげて、M字に身体の横に開いて、やはり椅子に貼りつける。
これで怪力ミランダも、椅子を壊さない限り無防備だ。
一郎は、淫魔術と亜空間術の併用により、ミランダの衣服を一気に亜空間に収容してしまう。
ミランダの全裸拘束のできあがりだ。
「わっ、ちょ、ちょっと、ロウ──」
いきなり、あられもない姿にされてしまったミランダが我に返ったように狼狽の声を出す。
しかし、すでに全裸で無防備なM字開脚の格好で拘束されたミランダに、抵抗の手段はない。
一郎は、亜空間から乾いた絵筆を出すと、ミランダの肩から脇の下にかけてすっとそれで撫でた。
「んはあっ、ロ、ロウ──」
ミランダが勢いよく身体を跳ねさせた。
しかし、座っている一郎ごと、ソファを揺らしただけだ。
「可愛く達してごらん、ミランダ。そうしたら、服を返してあげるよ……。それと、声は我慢した方がいい。アネルザを起こして、恥ずかしい格好を見られたいなら別だけどね。それとも、ランかマリーが駆けつけてくるかも……」
一郎はしばらく、そうやって筆を動かす。
ミランダが筆の動きに合わせるように全身を捻っては、喉の奥から嗚咽のような息を迸らせる。
「あ、あんた、ま、また、き、鬼畜なことを……。んふううっ、はああっ」
一郎はミランダの身体の割りには、大きめの乳房を筆先で刺激していく。ミランダの乳房がまるで見えない糸で吊られたように震えて盛りあがり、ぴんと乳首が勃起した。
ミランダの悲鳴も大きくなる。
一郎は、亜空間から目隠しを取りだして、ミランダにしてしまう。
「あっ、や、やだあっ」
ミランダが狼狽の声をあげる。
視界を遮ったことで、ミランダをさらに翻弄することが可能になった。
一郎はもう一本の筆を出すと、左右の手に持ち、両側からミランダが予測していなさそうな場所を探して、次々に刺激の場所を変えていく。
「ああっ、ああっ、やああっ、あああっ」
ミランダの身悶えが激しいものになる。
必死で口をつぐもうとしているのがわかっているので、それを邪魔するように、筆で翻弄する。
「く、口にな、なにか、入れて……。お、お願い、んふううっ」
そして、ミランダが吠えるように声をあげた。
自分でも、声が大きいのに気がついているのだろう。
一郎は、亜空間に格納している淫具の中から、魔妖精のクグルスと一緒に考えた淫具を出した。
一郎の勃起した男根と同じ形状と触感のディルドを口の中に収納させるようにする口枷であり、口の中に挿入して頭の後ろで金具で固定してしまうものだ。
素早くミランダの口にそれを嵌める。
目隠しをされているミランダが訳のわからない口の中の感触に、激しく動揺しているのがわかる。
一郎は、淫魔力をその淫具に注ぐ。
すると、ミランダの口の中で模擬の男根がうねうねと動き出した。
フェラ強制装置というわけだ──。
「んっ、んんっ、んんんっ──」
果たして、ミランダがいよいよ追い詰められたのがわかった。
しかし、被虐酔いに深く陥ってきたのか、明らかに抵抗が小さくなる。
一郎はすっと筆を下腹部に近づけた。
筆先を太腿の内側を這わせて、ついにいまは陰りのない亀裂だけになっているミランダの股間に筆を動かす。
「んんんっ」
ミランダが腰をつきあげて、四肢を強張らせた。
しばらく、一郎はミランダの筆責めを続けた。
そして、いよいよ、ミランダが追い詰められたと感じたところで、筆を亜空間にしまい、はいているズボンを下着ごと脱ぐ。
さらに、椅子に片脚を乗せて、勃起している怒張をすっかりと濡れているミランダの亀裂にぐいと突っ込む。
「んふうううっ、んんんん」
口の中に含んでいるものと同じものがミランダの股間に突き挿さる。
律動を始める。
ときに激しく突き、ときに浅い抜き差しを繰り返し、焦らすようにゆっくりと動かしたかと思うと、不意に根元まで突っ込んで奥を捏ね回したりする。
「んんんんっ、んんんんっ、んんんんっ」
抽送の速度や深さ、角度を変化させるたびに、ミランダは激しく身体を暴れさせ、すすり泣くような声を出し、あるいは、口枷の下から甲高い悲鳴をあげた。
やがて、首筋を大きく浮き立たせて、激しく腰を振り、がくがくと腰を震わせた。
絶頂したのだ。
もちろん、体力のあるミランダなので、一度くらいじゃ許さない。
なおも、腰の動きを速くする。
「んごおおおっ、んぐううう」
ミランダがなにかを訴えるように、必死の表情で顔を横に振った。
なにが言いたいのかわからないし、目隠しと口枷のせいで、もともと表情はわからない。
構わずに律動していると、ミランダが二度目の絶頂をした。
一郎は再び絵筆を出して、一郎の一物が挿さっている股間のクリトリスに筆を這わせる。
激しく律動を続けながら……。
「んぐうううっ、んぶううう」
ミランダがいよいよ首を激しく振り、三度目の絶頂の兆しを示した。
一郎は、ミランダについては巧みにその絶頂をぎりぎりに留めるように調整をして、一方で一郎の興奮が頂点になって射精したくなるまで待たせた。
そして、ミランダの痙攣のような震えが完全にとまらなくなった頃、おもむろにミランダに精を放つ。
それに合わせて、待たせていた絶頂をミランダに与えてやった。
「んぐううう」
上体を搾り尽すように絶息したミランダが大きく全身を弓なりにして突っ張らせたかと思うと、がくりと脱力してしまった。
どうやら、本当に悶絶してしまったみたいだ。
一郎は粘性体を消失させるとともに、口枷を亜空間に収納して、ミランダを自由にした。
だが、目隠しを外したミランダは、完全に白目を剥いていた。
酔いのせいもあったかもしれない。
一郎はミランダをソファに横たわらせて、自分の服装を整えると、勝手知ったる部屋の奥から毛布を出して、ミランダの裸身にかけた。
ついでに、酔いつぶれて寝息をかいているアネルザにもかけてやる。
そして、そういえば、結局、誰が一郎とエリカを訪ねてきたのか、ミランダに確認するのを忘れていたのを思い出した。
「まあいいか……」
一郎は呟くと、ふたりを置いて部屋を出た。
ギルドの事務所側の奥から、冒険者たちの集まるロビーのある方向に向かう。
しばらく廊下を進むと、十個ほど並ぶ扉があった。
上級冒険者のための個室が並ぶ部屋の前であり、ロビー側からも、こちら側からも入れるようになっているのだ。
一郎は、魔眼を使って、エリカたちが入っている部屋を見つけた。
「えっ?」
しかし、部屋に入る前に、一郎を訪ねてきた人物の正体を知って、驚いて声をあげた。
扉を開く。
個室でエリカたち三人とともに一郎を待っていたのは、懐かしい顔だった。
「イライジャさん──」
一郎は声をあげた。
久しぶりだ。
この世界にやって来たばかりの頃、旅の路銀を得るために立ち寄った「褐色エルフの里」に住んでいたエリカの姉さん的な肌黒のエルフ女性だ。
「あっ、ロウ様」
「ロウ」
「ご主人様」
すると、エリカたち三人が一斉に声をかけてきた。
また、イライジャが一郎を見つけて、すっと立ちあがった。
「まあ、ロウ、あんたの話は色々と聞いたわよ──。あんた、しばらく見ないあいだに、とんでもない色事師になったみたいじゃないの。呆れたわああ」
イライジャがにこにこしながら、一郎の胸を指でとんと軽く突く。
どうやら、酔っているみたいだ。
さっきの部屋でアネルザとミランダが飲んでいた人は、イライジャだったのだろう。
「イライジャさん……。懐かしいねえ。なぜ、ここに?」
一郎はイライジャに話しかけた。
だが、そのイライジャに腕をとられて、くすくすと笑いかけられる。
さらに、いままでイライジャが座っていた長椅子に引っ張り座らされた。
エリカたち三人は、その反対側の長椅子に三人揃って座っている。
「ロウ、このイライジャとやらは、お前に大切な用事があるみたいだぞ」
シャングリアが言った。
「大切な用事?」
一郎はイライジャとエリカを交互に見る。
だが、イライジャはくすくすと笑うだけで、なかなか口を開かない。
これは、見た目よりもかなり酔っている。
そういえば、息も酒臭い。
仕方なく、エリカを見ると、エリカは首を横に振る。
「わたしたちも、まだ教えてもらってなくて……。ロウ様が来たら説明すると言われたんです」
一郎はまだ両手で一郎の腕を掴んで、胸を押しつけるようにしているイライジャに視線を向け直す。
「俺に用事があるんですか?」
「いいわよ、そんなの……。本当にロウ──。あんたって、女の敵ねえ」
なぜか、イライジャが嬉しそうに笑う。
「女の敵?」
思いもよらぬ言葉に、一郎も戸惑ってしまう。
「ロ、ロウ様、イライジャと、ここでロウ様を待つあいだ、色々と話を……。もともと、王妃殿下やミランダと、ロウ様の話をしていたみたいで……」
エリカがおずおずと声をかけてくる。
だが、イライジャが一郎の胸にしだれかかってきた。
一郎の胸に、頬を擦りつけるようにしてくる。
「あなたって、本当に……何人女を作ったら気がすむのよ。あんたにはがっかりしたわあ……。もっと、女に誠実な男だと思っていたのよ……。エリカはわたしの大切な妹のようなものだし、きっと大切にしてるって信じていたのよ……」
語りだしたイライジャの口から出たのは、お説教のような内容だ。
しかし、その態度は完全に一郎に甘える酔っ払い女である。
とりあえず、言いたいことを喋らせることにした。
下手に妨げたりすると、むしろ面倒くさくなる。
一郎はそれを経験で知っている。
向かい側の三人にも、黙っているように仕草で示す。
すると、イライジャが一郎に媚びを売るような仕草を続けながら、一方で言葉の内容だけは、一郎を非難する。
結局のところ、イライジャの主張は、概ね以下の通りだった。
エリカは一郎を愛している。
少なくとも、エリカは褐色エルフの村で一郎に全力で尽くしていた。
昔からエリカを知っている自分は、エリカがどんなに一郎に対して一途であるかわかった。
それにも関わらず、ひとりやふたりではなく、十人、二十人と愛人を作るなど言語道断だ。
別に男がひとりの女としか付き合ってはならないとか、複数の妻を持ってはならないとかいうつもりではないが、いくらなんでも限度がある。
男は女に幸せを与える責任がある──。
……といった内容のことが次々に強い口調でイライジャからぶつけられる。
これについては、一言もないので、一郎は黙って苦笑した。
もっとも、イライジャも本気でないのだろう。
酒飲みの戯れ話のようなものだと思う。
その証拠に、本当にイライジャは上機嫌だ。
話の内容とは裏腹に、イライジャからは再会を喜ぶ感情しか伝わってこない。
「ふふふ……。本当に男らしくなったわねえ……。それに、とても鬼畜に……。アネルザとミランダに聞いたわよ……。ちょっと聞いただけでも、女を破廉恥な姿で外に連れまわしたり、おかしな淫具でいたぶったりと、本当にやりたい放題……。随分と王都生活を愉しんでいるのね」
イライジャがけらけら笑った。
これは随分と、アネルザとミランダと赤裸々な話をしたものだと思った。
それに、アネルザを呼び捨てにするとは、随分と打ち解けたものだと思った。
「……い、いい加減にしないか、イライジャとやら……。お前にロウのなにがわかる。そもそも、ロウがわたしたちに、幸せを与える責任があるなど無礼な話だ。自分の幸せくらい自分で掴んでみせる。ロウと一緒にいるのが、わたしの幸せなのだ。酔っ払いの戯言とはいえ、聞き捨てならないぞ」
シャングリアが我慢できなくなったように口を挟んだ。
「そうよ──。もう、辛抱ならないわ」
コゼも憤慨したように声をあげる。
「ま、待って、ふたりとも……」
しかし、エリカが狼狽えたように、コゼとシャングリアを宥めるような仕草をした。
そのとき、イライジャがすっと一郎から身体を起こして、三人に向かって頭をさげた。
一郎だけでなく、エリカたち三人も呆気に取られている。
「ごめんなさい。ちょっと酔って調子に乗ったみたいね。もちろん、ロウを蔑むつもりはこれっぽっちもないわ。ただ嬉しいだけ……。でも、死んだという記録がエランド・シティに伝わってきたときには絶望もした……。だけど、ミランダに聞いたら、死んだことにして追っ手を避けるための処置なんだってね。話はわかったけど、ちょっとだけ嫌味も言いたくなったわ……。本当に、あのときは衝撃を受けたのよ」
イライジャが恨みっぽく言った。
そして、再び抱きついてきて、感極まったように一郎に口づけをしてきた。
これには、一郎も驚いた。
「わっ、イライジャさん──」
イライジャが一郎の唇から顔を離したとき、一郎は思わず狼狽の言葉を発してしまった。
「な、なによ、どうなってんの?」
「今度はなんだ?」
上機嫌で一郎に口づけをしてきたイライジャに、コゼとシャングリアも困惑している。
もちろん、一郎も同じだ。
シャングリアの言い草じゃないけど、どうなってんだろう?
「イライジャって、呼び捨てにしてよ、ロウ──。今度、わたしに丁寧な言葉を使ったら、あたり構わず、口づけをするからね──。とにかく、懐かしい。あなたにも、エリカにも会いたかった。それをまずは、告げたかったの……」
イライジャが言った。
一郎もくすりと笑った。
「なに、この女──」
コゼは不機嫌そうだ。
すると、今度はイライジャは一郎から腕を外して、がばりとその場にひれ伏した。
土下座だ。
いろいろと脅かしてくれる人だ。
一郎は唖然とした。
「……頼み事があるようだね……。もしかして、ユイナのこと?」
一郎は、今度はイライジャが口を開く前に言った。
丁寧な言葉を使って欲しくないということだったので、ぞんざいな口調に変化させた。
「えっ、どうしてわかったの?」
イライジャが驚いたように顔をあげる。
「勘だよ」
事前に、イライジャが一郎に用事があってわざわざやって来たと教えられていたので、かなり深刻な話があるのだと予想していた。
もちろん、それがなにかということはわかりようもないのだが、頼み事があるとすれば、もしかしたら、ユイナのことではないかと考えたのだ。
イライジャが土下座するほど、深刻なもののようだし、だったら、自分のことじゃなくて、他人のことだと思った。
ならば、ユイナじゃないかと考えた。
本当にただの勘だ。
「とにかく、いいよ……。承知したよ」
すぐに言った。
イライジャの眼が丸くなる。
「ま、まだ、なにも頼んでないわよ」
イライジャが床に正座したまま言った。
顔をあげたイライジャは、きょとんとした表情だ。
「確かに、まだなにも聞いてないね……。だけど、余程のことなんだろう? さっきの様子を見ると、俺のことを死んだかもしれないと思ってくれて心配してくれたようだし、まあ、罪滅ぼしかな……。それに、こんな遠くまで来てくれたなんて感激だ。そもそも、イライジャは、エリカのお姉さんのようなものだ。さらに、褐色エルフの里ではイライジャにはお世話にもなった。俺がイライジャの頼みを断れない理由は、こんなに揃ってるよ」
一郎は微笑んだ。
「だ、だけど、わたしたちは、あなたに酷いことをしたわ。里を救ってくれたあなたを無実の罪で殺そうとまでしたのよ。あなたにはわたしたちに恨みこそあれ、わたしの頼みなど受ける理由なんてないはずよ」
イライジャはあまりにも呆気なく一郎が話を受けいれたので当惑しているようだ。
一郎は立ちあがって、イライジャの腕を取ると横のソファに腰かけさせた。
「だったら、あのときのお礼かな。生まれて初めての人殺しをした俺を慰めようと、エリカも交えて、夜這いに来てくれた。あのときは嬉しかったよ」
一郎はうそぶいた。
イライジャが顔を赤くするともに溜息をつく。
「はあ……。やっぱり、あなたは優しいわねえ……。確かにもてるわ、これは」
イライジャが口許を綻ばせた。
「それで、イライジャ? ユイナのことってなあに? あの性悪娘、なにかしたの?」
エリカが口を挟んだ
すると、イライジャがソファの横にあった袋を手に取った。
人の頭ほどの麻袋を出して拡げる。
中身は金子だ。
銀貨、銀粒、銅銭……。
金貨のような大きな金は多くはない。
一生懸命に貯めたのだろうということはわかる。
「お願いというのは、これで……もしかしたら、まだ全然不足かもしれないけど……、ユイナをあなたに買って欲しいの。奴隷として……。ユイナが売りに出されるわ。競売にかけられるの。どうか、あなたに競り落として欲しいの。一生のお願いよ」
イライジャは言った。
一郎は驚いた。
そのときだった。
扉が勢いよく、開かれた。
アネルザだ。
「王妃殿下、ご機嫌いかがですか?」
一郎はお道化て言った。
「休んだおかげで、多少は酔いは醒めたかな。だが、ミランダを抱き潰して通り過ぎたのだな。声くらいかけてくれればいいのに、水臭いぞ」
アネルザが笑っている。
一郎が場所を開けると、その横に座ってきた。
「やっぱり、とても親しいのね。この分じゃあ、王太女殿下とも親しいというのは本当なのね」
イライジャが笑った。
アネルザがイライジャに顔を向ける。
「おお、イライジャ、やっと、ロウに会えたのだな。話とやらは終わったか?」
「まだです。まあ、だけど、やっぱり、ロウは優しいということを確認できました。本当にいい男ですね」
イライジャが笑った。
「おう、確かにな。王妃のわたしを意地悪く調教するような男だがな」
アネルザがにっこりと笑って、一郎に顔を向けた。
一郎は苦笑いした。
「そうだ──。よければ、明日、例のほっとらいんで屋敷に来ないか、アネルザ。イライジャの歓迎会をするんだ。ささやかな宴だけどね」
一郎は言った。
「えっ、わたしの?」
イライジャは目を白黒させている。
「万難を排して来よう」
アネルザが嬉しそうに微笑んだ。
「えっ、明日は宴なんですか?」
エリカが口を挟んだ。
「来れる者には集まってもらう。スクルズは来るだろう。ベルズとウルズも久しぶりに屋敷に呼びたいね」
すると、今度はまた、扉が外から叩かれた。
一番近くだったコゼが扉まで行き、扉を開いた。
「あっ、王妃殿下まで……」
入ってきたのは、王太女のイザベラだ。
シャーラも一緒だ。
イザベラは真っ赤な顔をして、かなり怒っているみたいだ。
一方で、シャーラは後ろで笑いを我慢するような顔をしている。
イザベラが「王妃殿下まで」と呟いたのは、イザベラは“ほっとらいん”でここにやって来たはずなので、抱き潰されているミランダの姿を見たのだろう。
それを踏まえての、「王妃殿下も」という言葉なのだと思う。
「姫様?」
「イザベラ様」
一方で、シャングリアとエリカが驚いて声をあげた。
なにしろ、一応は冒険者ギルド長のイザベラだが、イザベラ自身がここを訪問するのは、極めて珍しいのだ。
「イザベラ……姫様……? あっ、王太女の?」
イライジャもびっくりしている。
「やあ、さっき別れたばかりですけど、どうかしましたか、姫様。御身体は問題ないですか」
一郎はすっと呆けた。
もちろん、珍しくもここに現れた理由は想像がついている。
「よくも、よくも……。そんなことを……。あれ? 客か?」
イザベラが怒りに震える声で言った。
しかし、すぐにイライジャの存在に気がついて、口調を変化させてイライジャに視線を向ける。
「気にしなくていいと思うぞ、イザベラ。彼女はロウと前に関わりを持った女で、エリカの幼馴染だそうだ。それよりも顔が赤いぞ。どうかしたのか?」
アネルザが愉しそうに言った。
不思議だが、本当に一郎と話しているときのアネルザは機嫌がいい。
これでも、王都で一番気が短くて扱いにくい女と称されている王妃なのだが……。
「い、いえ……」
イザベラが引きつったような顔になった。
どうして顔が赤いのかはわかっている。
イザベラには、さっき全員を抱いた後で、ひとりだけ身体の疲労を抜かないまま亜空間からこちら側に戻し、まだ意識のない状態のときに、肉芽や局部を抉る股縄を施してやったのだ。
そのうえで、スクルズ同様に、朝までそのままにしておくように置手紙を残し、勝手に外せば、一郎の言いつけに背いたものと見なすという言葉をそれに置いてきた。
特に、淫魔術はかけていないので、外そうと思えば外せる。
スクルズのときと同じだ。
どうもつらそうな感じであるのは、まだ股縄をしたままなのだろう。
「どうしたんです、姫様? 朝には早いですよ」
一郎は入口のところで立ったままのイザベラに近づいていった。
イザベラのそばまで寄ると、そのイザベラが一郎の耳に口を寄せてくる。
「……わ、わかっておる。だが小用が……」
イザベラがもじもじと太腿を擦り合わせるようにしてささやく。
なるほどと思った。
どうやら、おしっこがしたいようだ。
それで、ここにちょっとだけ外してもらいに来たのだろう。
勝手に外せばいいのに、健気といえば健気だ。
まあ、スクルズにしても、イザベラにしても、一郎に命じられれば、どうしても言いつけに背く気にはなれないようだ。
可愛いらしいものだ。
「どうぞ、姫様? お座りください」
事情を知らないエリカが立ちあがって席を譲るように声をかけた。
だが、しかし、イザベラは慌てたように、首を横に振る。
それはそうだろう。
座れば、縄が余計に食い込むはずだ。
立っていた方が楽だと思う。
「そう言わないで、座って話をしましようか、姫様。ほらっ」
一郎はわざとイザベラの腕を取って思い切り引っ張った。
「あっ、い、いやあっ」
イザベラは二、三歩歩いて、すぐに我慢できなくなったように、がくりと膝を折った。
「姫様──」
シャーラが慌てたようにイザベラの腰を掴む。
一郎は手を離した。
「どうしたんです、姫様?」
一郎はからかった。
「わ、わたしがどうしたのか、知っているであろう……。い、意地悪だぞ……」
イザベラが色っぽい吐息をしながら、恨めしそうに一郎を見た。
「あれ? まさか……」
アネルザが不審そうな声をあげた。
ふと見ると、女たちが一斉に顔を真っ赤にした。
イザベラが一郎によって、性的悪戯をされていることがわかったのだろう。
ただひとり、イライジャだけがきょとんとしている。
「ほ、本当に王太女殿下とも、王妃殿下とも仲良しなのね。本当にびっくりしちゃった……。ところで申し遅れました、王太女殿下……。イライジャと申します。エリカとは幼馴染で、ロウにはかつて命を助けられたことがある女です」
そのイライジャが立ちあがって、丁寧にイザベラにお辞儀をした。
イザベラが慌てたように姿勢をただす。
すると、またもや扉が外から叩かれた。
「ロウ、あ、あんたねえ──。さっきはよくも……。あれっ、姫様──?」
ミランダだ。
慌てて服を着てきた感じであり、服はかなり乱れた感じだ。
「なんだか、あなたって、とても忙しいのね」
イライジャが呆れ半分の口調で一郎に声をかけた。
「おかげで、愉しくやっているよ」
一郎はこっそりと、イザベラの尿意を倍増してやった。
「ひっ」
すると、イザベラが両手で股間を押さえて、内腿を擦り合わせるように、ぐっと身体を強張らせた。