【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
目の前に出された魔石を見て、イライジャが唸った。
「……本物ね……。正真正銘、エルフの里のどこかで作られた本物よ。しかも、純度も濃度も高いわ……」
そして、イライジャは感嘆の声を放つ。
以前、褐色エルフの里で初めてイライジャと接触したとき、イライジャの元夫に冤罪を被せて殺し、さらにイライジャたちも抹殺しようとしたダルカンという
そのとき、そのダルカンがやっていた不正な行為の中に、里で作った魔石を不当に横流しして利益を得ていたというものがあった。
目の前の魔石も、どこかのエルフの里で同じように作られたものだと思うが、そのときに見た魔石とほとんど同じものに見える。
魔石は貴重なものであり、このハロンドール王国でも非常に需要が高いものだ。
魔道の力を利用する各種の施設に不可欠のものであるので、特に純度の高いものは、大変価値のあるものというのは知っている。スクルズがこの魔石を得るための資金をあちこちから提供させて、一郎が「ゲート」と名付けた遠距離移動術施設を整備しようとしていたのも覚えている。
転売できる品物としては、最高価値のはずだ。
「魔道力の衰えたわしが街の人に尽くすために、使っているものなのですがな。その一部を報酬としてお渡しするということでどうでしょう」
「魔石を使えば、魔道遣いでなくても、さまざまな魔道を遣えるようになるのですか?」
一郎は代金のことよりも、そっちが気になって思わず訊ねた。
「まるっきり魔道に縁のない者にとっては無理ですが、これがあれば、魔道が枯渇しても力を行使することができます。わしは、いまではそうやって魔道を遣っております」
「へえ、魔石にそんな使い道が……」
感心した。
そして、考えたのは、同じようなやり方で、魔石を使えば、一郎にも魔道遣いとしての技が使えるのではないかということだ。
一郎は淫魔師だが、一郎もまた、術を行使するときの感覚というのは身についている。
「……この一部を報酬として進呈したい。金貨一枚では悪霊封印に見合う報酬でないことは承知している。だが、まったく未使用の魔石五個……。これなら、内容に見合う報酬になるはずだ」
ここにある魔石の半分ということだ。
もっとも、一郎には魔石の価値はわからない。
それで、イライジャに視線を送った。
「十分な報酬よ、ロウ。売れば一個につき、金貨二枚から五枚にはなるわね。魔石はこっちでは、国や教会レベルで買い占めてしまうので、あまり出回っていないし、もっと値打ちがあるかもしれないわ」
イライジャは大きく頷いた。
「だけど、魔石がなくなれば、これから先、街の人のために魔道を遣うことに支障があるのでは?」
一郎の問いかけに、マイセンは声をあげて笑った。
「なんの──。街の者に頼まれるような魔道程度であれば、一生使い続けても、一個の魔道石が空になることはありますまい。現に、いまだに十個のうち九個は未使用じゃ。問題はありません。それに、魔石があっても、自ら悪霊を退魔するような大きな魔道は遣えんのです。わしは見た目以上に老いておるし、弱っているのですよ」
マイセンは自嘲気味に笑った。
一郎は「わかりました」と応じた。
いずれにせよ、十分な報酬だ。
「では、依頼を正式にお受けします」
一郎ははっきりと言った。
「おお」
マイセンが頭をさげる。
一郎は全力を尽くしますとだけ応じた。
「……ところで、十一年前に悪霊と戦ったとき、その悪霊はどうやって、息子さん夫婦を殺したのですか? 戦いの参考にしたいのです」
一郎は訊ねた。
しかし、マイセンは首を横に振った。
「すまん……。覚えてないのじゃ。悪いな」
「マイセンさん、話したくない気持ちはわかりますが、大切なことですし……」
イライジャが横から言った。
「違う──。本当に覚えてないのだ。記憶があれば話している」
マイセンははっきりと言った。
その様子は、なにかを隠しているという雰囲気はない。
しかし、記憶がないとは奇妙なことだ……。
それだけ、衝撃的なことだったということなのだろうが……。
まあいい……。
とにかく、やってみることだ。
一郎は封印石を受け取って、一度、亜空間にしまった。
「では行きます……。ただ、その前に、一度、出発前に、メリジーヌさんだけと、お話をさせてください。それが終わったら、すぐに墓地に向かいます」
一郎は立ちあがった。
十一年前のことをメリジーヌに確認しておこうと思ったのだ。
なんとなくだが、それは大切なことだと勘が働く。
「よろしく頼む」
マイセンがもう一度言った。
*
一郎たちが降りていくと、一階に残っていた者たちが一斉に注目した。一郎は彼女たちを制するとともに、こっそりとミウを見た。
特に変わった様子は見られない。
みんなと一緒に、紅茶のようなものを口にして大人しくしているようだった。
一郎は、エリカをそばに呼ぶ。
「……どうだ……?」
もちろん、訊ねたのはミウのことだ。
ほかの者には聞こえないほんの小さな声である。
「特には……。でも、どういうこと……」
「すまん。あとで説明するから……」
一郎はエリカの言葉を遮って、メリジーヌに声をかけてから、彼女だけを別室に連れていった。
今度もイライジャだけを同行させる。
すぐに、十一年前のことを質問した。
「……十一年前のことですか? でも、あたしは、なにも知らないのです。悪霊が出現したときには、マイセン様のご命令で、外に出ているように言いつけをされておりまして……」
メリジーヌは当惑した表情でそう言った。
「外というのは?」
一郎は言った。
「街の外です。隣町まで行く用事を言いつけられました。それで、元の旦那様の許可をもらって、留守にしました。戻ってきたら、あんた怖ろしいことが起きた後で……」
「えっ? 元の旦那様って……? メリジーヌさんは、もともとマイセンさんの侍女じゃなかったのですか?」
イライジャだ。
「違います。あたしは、もともと、この屋敷におられたマイセン様の御子息にあたる方に、お仕えしていたのです。マイセン様にお会いしたのは、十一年前にご訪問されたときが最初です」
メリジーヌは言った。
どうやら、メリジーヌは、ずっと以前からマイセンに仕えていたわけではないみたいだ。
しかし、考えてみればもっともだろう。
マイセンは、それまではずっと旅の生活だと言っていた。
メリジーヌは、侍女以外の能力はなさそうなので、悪霊を追って各地を旅をすることなどできなかったと思う。
「なにか大切な用事だったのですか?」
イライジャがさらに訊ねた。
「いいえ……。なんの用事だったでしょう……。大した言いつけではなかったと思います……。まあ、用事というよりは、旦那様たちが親子で言い争いをなさるのをあたしに見られたくなかったのかもしれません」
メリジーヌが静かに言った。
「えっ? マイセンさんと、その息子さんは仲が悪かったの?」
イライジャは当惑したような感じで言った。一郎も意外に思った。
街の評判も、さっき接した様子でも、マイセンはとても人あたりがよい印象があったし、息子とはいえ、マイセンが誰かと言い争いをするという状況が想像できない。
もしかしたら、その息子というのが、あのマイセンを怒らせるようなふるまいがあったのだろうか。
だが、そういうと、メリジーヌは首を横に振った。
「亡くなった旦那様ご夫婦は、とてもお優しい方でした……。むしろ、屋敷に来られたばかりのときのマイセン様の方が、とても気難しい感じで、物言いも乱暴でした……。あたしにはよくわかりませんが、この屋敷にやって来られて、一方的に怒鳴っていたのは、マイセン様でした……」
「へえ、いまの穏やかな感じからは想像できないですね」
イライジャが言った。
「そうかもしれません。当時は、あたしにも、とてもひどく当たられて……。それもあったので、死んだ旦那様も、あたしがマイセン様のお使いで留守にするのを許したのだと思います。屋敷にいれば、マイセン様に口汚く叱られるばかりですので……」
びっくりした。
あのマイセンという人に、そんな一面があったとは思わなかった。
まあ、このメリジーヌの語ることが事実であったとしてだが……。
「それで戻ってきたら、息子さん夫婦が殺されていたと?」
「そういうことです……。それはもう、マイセン様もショックだったのだと思います。マイセン様は三日ほど部屋に閉じこもっておいででした……。そして、それからは、人が変わったように大人しくなり、お優しくもなられました……。なくなった元の旦那様たちの忘れ形見になったサターシャ様のこともあったので、この屋敷にそのまま残られたのです。街の方にも本当によくしてくれます……。いずれにしても、あの優しかった元の旦那様たちを殺したという悪霊は許せません。どうか、今回のことはよろしくお願いします」
メリジーヌが言った。
それ以上の情報は得られそうになかったので、一郎たちはマイセンの屋敷を後にした。
*
「ロウ様、どうなったのですか? これから、墓地に向かうのですか?」
屋敷を出てしばらく歩いて、周りに人気のない場所に差し掛かると、話を承知していない者を代表するように、エリカが訊ねた。
その一方で、エリカは、一郎の言いつけを守って、ずっとミウを監視してくれている。
いまも、一郎に話しかけながらも、ミウから目を離していない。
「とりあえず、宿に戻ろう。そこで説明するよ……。でも、その前に、ミウのことを片付けるか? ミウを昨夜抱くはずだったが、具合が悪そうだったので延期したよね……。だけど、元気にもなったから、さっそく、セックスをしよう──。今回のクエストはそれからだ」
一郎はできるだけ軽薄そうに聞こえるように言った。
ミウの中に、悪霊の一部が憑依していることについては、一郎はほぼ間違いないと確信をしている。そして、ミウから悪霊を引き離すには、一郎の精の力で強引に剥がすしかない気がする。
おそらく、それで問題ない。
そうでないとしても、一郎がミウを完全に支配すれば、ミウの能力はあがり、悪霊との戦いに優位になる。
いま、ミウを淫魔術で支配してしまうことは、封印を手掛けるよりも、先にやった方がいい。
「ええ──? そっちが先なんですか?」
事情を承知していないコゼが苦笑して呆れた顔をしている。
ただ、エリカとシャングリアは真顔のままだ。
イライジャもなにかを感づいているのか、不審な表情をしつつも、一郎を咎める様子はない。
マーズは困惑顔だ。
そのとき、ミウがぴたりと足をとめた。
一郎は振り返る。
ほかの者も、ミウに身体を向けるかたちになる。
「いえ……。もちろん、ロウ様に抱いていただくのは嬉しいのですが……。でも、やっぱり、マイセンさんのご依頼を先に済ませましょう……。あたしのことはそれからにして……」
「いや、お前が先だよ、ミウ──」
一郎はミウの言葉を遮った。
すると、途端にミウの表情が一変した。
一郎たちから距離を置くように、さらに後ろにさがり、さっと魔道を放つ体勢になる。
「ミウ?」
「どうしたの、ミウ?」
イライジャとコゼがびっくりしている。
一方で、エリカとシャングリアが同時に武器を抜いた。
「えっ、ええっ──?」
「わっ、な、なんで?」
すると、コゼがびっくりした声をあげる。
マーズも目を丸くした。
「……墓地に行くのを先にしましょう、ロウ様……。それと、封印石を持っていますよね。それを出してもらえますか……。さもないと……」
ミウが静かに言った。
一郎を見て不敵に微笑む姿はミウじゃない。
なまじステータスに頼るから、ミウがすでに憑りつかれていることに気がつかなかった。
一郎の失敗だ。
「さもなければ、なんだ?」
一郎は身構えながら言った。
その一郎の前に、さっとエリカが立つ。
「……さもなければ、全員皆殺しですね。最初に死ぬのはあなたです、ロウ……。ほかの女が死ぬのは、少し愉しんでからということになるかもしれませんけどね……」
ミウが喉で笑った。
その仕草ひとつで、ミウの口で喋っているのがミウでないのは明白だ。
ミウは、あんな笑い方はしない。
だが、その身体にはどんどんと魔力が集まっていっている。
一郎にはそれがわかった。
「なにを言っている、ミウ?」
マーズが目を丸くしている。
「あんた、ミウ?」
「どういうこと?」
コゼとイライジャは戸惑ったままだ。
「ミウ、大人しくしなさい」
「そうだ、ミウ。迂闊に動くなよ。傷つけたくないんだ」
一方で、先に一郎からミウが怪しいことを教えられていたエリカとシャングリアが武器を抜いて、油断なくミウに向けている。
しかし、そこにいたのは、ミウであって、ミウでない。
少なくとも、ミウではない誰かが、ミウの中に存在している。
「そうか? やってみますか、エリカさん、シャングリアさん? 八つ裂きにしてあげますよ。手足がなくなっても、女は愉しめますからね」
ミウが微笑む。
「……そうか、あんたミウじゃないのね」
コゼもやっと武器を抜く。
「あたしはミウよ……。マーズ、あなたはあたしを助けてくれるわよね……? ロウ様たちは、あたしを殺そうとしているようよ。ねえ、助けて」
「ミウ、大人しくした方がいい……」
マーズも一郎を庇うように、さっと一郎の前に移動してきた。
「あら、みんな敵ですか? どうしてです? あたしが、ロウ様を拒んだから? だって、まだ十一ですから……。男の人は怖いんです」
ミウはお道化た口調で言った。
だが、その視線は無駄なく、自分に向いている剣を追っている。
「もう、無駄だ、ミウ……。いや、悪霊──」
一郎は足の下から粘性体を一気に放出する。
あっという間に、ミウの全身が、首から上を残して粘性体に包まれた。
しかし、ミウは顔色ひとつ変えなかった。
「……いつから気がついていたか知らないけど、早く封印石を出すんだ、ロウ……。さもないと、女たちの首が吹っ飛ぶぞ」
ミウの声が終わると同時に、女たち全員の首に赤い線が走ったのがわかった。
「うわっ」
「んぐうっ」
「ぐっ」
「ああっ」
「ひいっ」
五人の女が首を押さえて、その場にうずくまる。
一郎は舌打ちした。
おそらく、あらかじめ魔道を仕込んでいたのだと思う。
ミウからは大きな魔力が発射された形跡はなかった。
「わしが念じた瞬間に首が爆発して死ぬ……。さあ、封印石を渡せ。こいつらを殺したくないだろう? それにしても、お前は何者だ? わしはずっとお前を術にかけようとしていたのだ。女の身体では、女を犯せないしのう。それなのに、ちっともかかりやしない……」
粘性体に包まれているミウが、余裕あり気に微笑んだ。
しかし、一郎もミウが思わぬ行動に出る可能性はある程度予想していた。
この粘性体が、単純に行動を封じるだけと思ったら、大間違いだ。
一郎が念じれば、強力な防護壁にもなるのだ。
それは物理攻撃だけでなく、魔道攻撃に対しても十分な盾になる。
一郎は瞬時に、ミウの残っている顔の部分についても、粘性体で包んでしまう。
そして、内側から外への魔道攻撃を遮断した。
「んんっ」
全身のすべてを粘性体で包まれてしまったミウが粘性体の中で悲鳴をあげた。
内側から魔道を放射したのもわかったが、すべて遮断されたようだ。
「ふうっ」
「かはっ」
「はあっ」
エリカたちが脱力するとともに、武器を握り直した。
ほかの者についても復活したようだ。
ミウから発していた魔道の流れを遮断したので、全員の首の赤い線が消失している。
「宿に戻ってからと思ったが予定変更だ。青姦といこう……。ミウの中に入り込んでいる悪霊を追い出すには、それしかなさそうだしな」
「ミウの中に悪霊?」
マーズは目を丸くしている。
ほかの者もびっくりしている。
エリカとシャングリアなども、なにかあるとは思っていたようだが、まさか悪霊そのものがミウの中にいるとまでは思っていなかったのかもしれない。
一郎は粘性体に力を込めると、そのまま道の奥まで引きずっていき、十分な距離まで草むらの中を進んでから、ミウを繁みの中に横たえた。
「エリカ、ミウからすべての魔力を放出させてくれ。ミウを弱らせている。いまなら、お前でもできるはずだ」
「わ、わかりました……」
エリカが戸惑いながらも、さっと魔道の杖を取り出して、魔道を放った。
一郎は内側からの魔道を遮断しつつも、外からの魔道を通過させるようにする。
「んんんっ」
ミウの苦しそうな声が聞こえた。
「準備できました」
エリカの声──。
「よし、解放する」
一郎は声をかけた。
粘性体を一気に外す。
「ぷはああっ」
呼吸をとめられていたミウが盛大に息をした。
それとともに、エリカの魔道によって、ミウの全身からすべての魔力がなくなったのを感じた。
「さて、レイプの時間だ、悪霊──。覚悟はいいな」
一郎はミウの上に馬乗りになった。
抵抗しようとするミウの四肢を再び粘性体で地面に貼りつけてしまう。
「や、やめろ──。男になど──。こ、この童女を殺す──。わしになにかをすれば、このミウの命はないぞ」
ミウの口から焦ったような言葉が放たれた。
これは悪霊そのものの言葉に違いない。
だが、やはり、声はミウのものだ。
とにかく、いまのミウは悪霊に自我を乗っ取られたかたちなのだろう。
ミウがこの状況を自覚しているのかどうかわからないが、こうなったら仕方ない。
可哀想だが、ここで犯す──。
「どうやって、ミウの命を奪うんだ? いま、ミウは魔力が放出されて、魔道が遣えない状態なんだぞ。それよりも、まだ、ミウの中なのか? だったら、男に犯される気分を味わってみろ」
一郎はミウのはだけたスカートの中に両手を入れる。
そして、まずは下着を乱暴に破り取った。