【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「魔薬?」
エリカは首を傾げた。
だが、シャングリアは大きく頷いた。
宿屋の一階の食堂の席である。
エリカとシャングリアは、ほかの仲間よりも早く朝食を済ませるために、みんなを待たずに食事をしているところだ。
今日もナタル森林に向かう旅となる。
ロウは、食事が終われば、すぐに出立するということを口にしていたので、シャングリアと話し合って、先に食事を終わらせて、馬車の準備しようということにしたのだ。
そのロウは、マーズとともに朝の鍛錬中だ。
戻るのはもう少し経ってからだろう。
ミウはまだ起きて来てない。
まあ、昨夜はロウと最初の夜だったのだ。疲れているだろうし、ぎりぎりまで寝ていればいい。
また、イライジャとコゼもまだだ。
あのふたりは、イライジャが、やる気満々でコゼを薬で眠らせて寝室に連れて行ったし、イライジャの宣言によれば、コゼは今日一日は使い物にならないくらいに責め抜かれているはずだ。
あのふたりも、まだまだおりてこないに違いない。
それで、準備はシャングリアとふたりだけでやろうと決めて、先に食事をしていた。
すると、食事の途中で、エリカとテーブルを挟んでいるシャングリアが、奇妙なことを口にし始めたのだ。
「魔薬というのは言い方が悪いかもしれないが、ロウとのセックスは不思議な力があるということだ。ロウとセックスをすると、ロウなしでは生きていけなくなる。体質的にロウに定期的に精を注いでもらわないと、まるで喉が渇いているのに、水が飲めないような苦しさに襲われるということだ」
「つまりは、中毒になるということね。まあ、わかるかもしれないわ」
エリカは首を竦めた。
ロウと出逢って、もう一年半くらいになる。
そのあいだ、ほぼ毎日のように精を注がれ、それが当たり前のようになっているが、確かに、ある日突然にそれがなくなることを考えると、なんだか怖い。
「それに、支配されることで、女がなにかしらの能力があがるというのもある。ロウから離れれば、あがった能力だって、元に戻るかもしれない。だから、離れられない」
「それもわかるわね」
確かに、ロウに抱かれれば、確かになにかしらの能力の向上がある。
昨夜抱かれたミウについても、おそらく魔道遣いとしての能力はあがるのだと思う。
エリカも、ロウの精にそんな力があることは、もう十分に知っている。
ロウが関係を持った女はことごとくそうなっているのだ。
そのことをシャングリアと話していて、なんとなく、能力の向上の反面、ロウとのセックスは、一度抱かれるたあとで、しばらく抱かれないと、ロウに愛されることに対する飢餓状態に襲われることがあるという話になった。
シャングリアもそう言っているが、エリカもそれは感じている。
ロウがエリカの前からいなくなったらと思うと怖くなるし、それは想像したくない。
だが、考えてみれば、エリカは男に抱かれるなど、以前は身の毛もよだつほどの恐怖だった。
それがこんなにロウという男性のことを好きになるのだから、わからないものだ。
「でも、まさか、すでに、あなたはその飢餓状態とやらになっているというわけじゃないでしょうね」
エリカは、シャングリアに軽口を叩いた。
昨夜は、ロウの相手をミウに委ね、シャングリアと同室で休んだのだ。ロウなしで寝るのは、なんだか久しぶりのような気がする。
前回はマーズの最初の夜だったか……。
でも、あのときは、ふたりきりにさせてあげようと話し合ったのに、コゼが抜け駆けして、マーズとコゼが愛し合っている部屋にコゼが突入したらしいのだ。
まあ、昨夜は、そのコゼをイライジャが監禁していたはずだから、そんなことにはならなかったはずだが……。
「ひと晩くらいどうということはない。だが、そういう意味では、王都に残っている連中は大丈夫かな? ロウもほかの女も気がついてはいないと思うが、ロウの精には確実に禁断症状みたいなのがあるぞ」
「多分、戻ったら、大変な騒ぎになるんでしょうね」
エリカはくすくすと笑ってしまった。
おそらく、王都に戻れば、その日の晩には、留守番していた女たちが殺到する気がする。
ロウは王都にいるとき、時折女たちを集めて、馬鹿みたいな破廉恥な性宴をすることがあったが、またそんな夜になるのではないだろうか。
全員が素っ裸になり、淫靡でいやらしい遊びをみんなでやったりするのだが、正直、エリカはあれは愉しい。
なんにも考えずに、素のままロウに抱かれ、じゃれつき、あるいは仲間同士、女同士でもくっついたりする。
いずれにせよ、帰還した最初の夜は、女たちが押し掛けるのは目に見えている。
「だが、ロウにはいろいろな秘密はあるが、女の能力を向上させる効果があるということについては、これからも秘密にした方がいいな。さもないと大変なことになる」
「大変って?」
「貴族界だ」
すると、シャングリアは意味ありげに微笑んだ。
「貴族界?」
意外な言葉に、エリカは首を傾げた。
「ああ、前にも語ったが、いまや王都の貴族界は、新進気鋭のボルグ卿といえば、ちょっと有名だ。新興貴族ということはわかっているが、子爵でありながら、上級貴族待遇だし、王妃のみならず、王太女とも非常に親しいことは、すっかりと知られた。それに加えて、精に不思議な力があるとなれば、きっと今くらいでは収まらないだろうな」
シャングリアは言った。
「確かに前にも聞いたかもね……。でも、ロウ様はイザベラ姫様の愛人ということになっているんでしょう? それに、ロウ様は貴族というよりは冒険者よ。そんなロウ様をこの国の貴族が相手にする?」
エリカは言った。
確かに、キシダイン事件の功績により、子爵の地位を得たが、だからといって、ロウはなにも変わらない。
むしろ、貴族になったということがぴんと来ない。
「相手にするさ。貴族なんていうのは、爵位や領地を継げるのは、子供のうちのひとりだけなのだぞ。残りの子はある意味では、全員が政略結婚の道具のようなものだ。生まれたばかりの子を有力貴族家の子供と婚約をさせたりすることは日常茶飯事であり、ちょっとでも力のある貴族がいれば、婚姻関係を築いておきたいというのは、貴族の本能のようなものだ」
エリカは唖然とした。
「本当に、ロウ様って、貴族界でもおもてになるの?」
「もてるな。成り上がりだが、冒険者
シャングリアは笑った。
確かに、そうかもしれない。
そもそも、ロウは女を若返らせる能力だってある。
あのマアといい、ヴァージニアといい、一郎に精を注がれて、度肝を抜かれるほどに若返った。アネルザなど肌が若返りすぎて、懸命に化粧で誤魔化しているらしい。
ロウが女を若返らせることができるということが知られれば、能力向上どころの騒ぎじゃないだろう。
ロウは、その能力ひとつで、世界中の女を支配できるんじゃないだろうか……。
そのときだった。
テーブルに影が差した。
ミウだ。
部屋からおりてきたようだ。
「おはようございます、エリカさん、シャングリアさん」
「おはよう」
「おはよう。元気そうね、よかったわ」
シャングリアとエリカはミウに声をかけた。
ミウが食事をしていたテーブルに同席する。
部屋の隅にいた宿屋の女が声をかけてきて、すぐにエリカたちと同じものがミウの前に運ばれてきた。
「その感じだと、無事に終わったみたいだな」
宿屋の女が離れると、シャングリアがミウにささやいた。
「はい」
ミウが顔を赤くして頷く。
よかった。
エリカも、ミウの様子を見てほっとした。
実のところ、エリカもミウが一郎をちゃんと受け入れるのかどうかが不安だった。
ミウは幾度となく、身体に触ったロウを魔道の暴発で弾き飛ばしたことがある。
スクルズは、それについて、ミウがあのクライドから性的虐待を受けて、深層意識で性的行為を拒否しているからだろうと言っていた。
ロウは、もう問題はないとは口にしていたが、エリカは心配していた。
ミウの様子を観察する限り、支障はなかったらしい。
「ところで、おふたりに相談があるんですが……」
すると、ミウが深刻そうな表情で口を開いた。
エリカは訝しんだ。
「なに、相談って?」
エリカはちょっと食事の手を休めた。
「そ、そのう……」
ミウは下を向いてもじもじしている。
とても言いにくそうだ。
「もしかして、昨夜のセックスのことか? なにかあったのか?」
シャングリアが口を挟んだ。
そのとき、食堂の隅にいた宿屋の女がぴくりと動いたのがわかった。
離れてはいるが聞こえたようだ。
いつものことだが、シャングリアは声が大きいのだ。
もう少し慎みを持った方がいい。
すると、ミウがやっと顔をあげた。
「問題はありませんでした。ロウ様はとても優しくって……」
ミウが言った。
「優しいと問題があるの、ミウ?」
声はすぐそばからした。
「イライジャ──」
エリカは顔をあげた。
いつの間にか、イライジャがテーブルの横に来ていたのだ。
そのイライジャが空いていたミウの対面の席に腰掛ける。
「食事はまだいいわ。飲み物だけお願いします」
イライジャが宿屋の女に声をかけた。
女が返事をして立ちあがる。
「……食べないのか?」
シャングリアだ。
すると、イライジャが軽く肩をすくめた、
「ロウたちが戻って来てから一緒に食べるわ。コゼちゃんの相手をしないといけないしね」
イライジャが意味ありげに笑った。
そういえば、コゼがいない。
「コゼは?」
エリカはイライジャを見た。
「リボンをかけて、ベッドの上よ。上というのは、文字通り宙に浮いているって意味だけど……」
イライジャがくすくすと笑った。
「宙に?」
シャングリアが眉をひそめた。
エリカも首を傾げたが、リボンというのは、昨夜、イライジャがロウを交わした軽口のことだろう。
そういえば、コゼを緊縛して、リボンをかけて置いておくと言っていたっけ……。
「それよりも、悪いけど、ミウ。ロウが戻ったら、一緒に部屋にあがってね。あなたの生活魔道が必要なのよ。ほら、魔道で、布とかをきれいにするやつ」
イライジャがミウを見た。
昨夜も夕食後にかけてくれたが、魔道で一瞬にして、身に着けているものや身体を清潔にしてくれるやつのことだろう。
この旅も野宿も多いし、今回のように身体を洗う設備のない宿屋もある。
おかげで随分と助かっている。
「はい、それは勿論ですが……。でも、どういうこと……」
「いいの、いいの。あんたに意地悪なコゼちゃんに、仕返しさせてあげるわ。愉しみにしてなさい」
「別に、コゼさんは意地悪というわけでは……」
ミウは当惑している。
いずれにしても、イライジャはなにかをコゼに仕掛けたままにして残し、こっちにおりてきたみたいだ。
真面目で頼りになるイライジャなのだが、なぜか性愛のときには開放的になって、羽目を外す。
エリカも昔は大抵のことをされたものだ。
「ところで、さっきの話よ、ミウ。昨夜はロウとはどうだったの? 優しかったから不満なの?」
イライジャがミウに首を伸ばすようにしてささやいた。
そのとき、店の女が温かいお茶をイライジャの前に持ってきた。
ミウが口を開きかけたが、それを見て一度黙った。
イライジャが女にお礼を口にして、お茶の入った器を手に取る。
「不満というか……。だけど、ロウ様はお優しかったです。あたしは嬉しかったんですけど、だけど、やっぱり、ロウ様は満足されてはいないだろうと思って……。だって、あたしが縛ってもいいと言ったんですど、お縛りにはならなかったんです。それに、精だって、お股と口に一度ずつしか……。多分、我慢なさったんじゃないでしょうか。あたしが子供だから」
ミウが宿屋の女が離れるのを待って言った。
イライジャが溜息をついた。
「口にって……。あいつも、ミウが子供だから、やりにくそうな態度だったのに、やることはやってんじゃないのよ……。いい、ミウ。言っておくけど、二度も出せば、普通はそれだけで十分よ。だけど、あんた、ロウに口でもやらされたの。十一歳のあんたにやることじゃないわね。叱っておこうか?」
「やめてください、イライジャさん。あたしが望んでやったんです。だけど、すっごく興奮しました。ロウ様があたしの頭を掴んで、乱暴に前後に動かしたんですよ」
ミウの顔がぱっと輝き、ものすごく嬉しそうな表情になる。
だが、どうしてミウはこんな話を……。
「そうなのか、イライジャ? 二度というのは、確かに回数は少なくはないのか? わたしも相場というものがわからないが」
すると、シャングリアが口を挟んだ。
だが、それについては、エリカも同じことを思った。
シャングリア同様に、エリカも男と愛し合ったのはロウのみなので、普通がどのくらいの回数なのかはわからないが、二度しか出さないというのは、確かに性行為としては少ない気がする。
「あんたたちは、ロウの暴力的なセックスばかりを相手にしているから、常識が身についてないみたいね。わたしも経験が多いわけじゃないけど、あんたらみたいに、毎日、毎日、女が気を失うまでセックスをするのは異常なのよ。それを認識しなさいよ」
イライジャが笑いながら言った。
すると、シャングリアが目を見開いた。
「セックスというのは、気絶するまでするものではないのか? それでも無理矢理に起こされて、ロウに精を注がれるのだ。そういうものだろう──」
「声が大きい、シャングリア──」
さすがにエリカは声をあげた。
シャングリアの声がかなり大きかったのだ。
「あ、あたしも、そんなのされたいです──。それに、縛ってもらいたいです。だけど、ロウ様はそうなさらなくて……。あたしが子供だからですか──?」
すると、ミウがシャングリアに訴えるように声をあげた。
エリカの正面からは、こっちを見ている女の店員の顔が見える。
その女が驚いた顔になったのがわかった。
「と、とにかく、ふたりとも声を落として……」
エリカは注意した。
シャングリアもミウも少し我に返った顔になる。
イライジャは笑っている。
「それで、最初に耳に入ってきた相談って、なんなの、ミウ?」
イライジャが言った。
すると、ミウが深刻そうな表情になる。
「今回のことで改めて思ったんですけど、あ、あたしって、とんでもない変態じゃないでしょうか──? だって、ロウ様に乱暴に扱われたとき、あたし、すごく嬉しかったんです。それはもう……。だけど、ロウ様って、あたしのような子供には、それをしていただけないのでしょうか?」
エリカは絶句してしまった。
なにを訴えるのかと思えば……。
「ね、ねえ、あたしって変態ですよね? だって、あたしもロウ様に乱暴にレイプみたいにされたいんです。でも、そんなことを口にしたら、ロウ様に気持ち悪い子供だと嫌われないでしょうか? それをご相談したくて……」
さらに、ミウが泣くような声で言った。
三人で少しだけ絶句したかたちになったが、最初にイライジャが咳払いをしてから口を開く。
「まだ、子供のあなたに、レイプ願望があるなんてねえ……。しかも、それを切々と訴えるとは……。まあだけど、いいんじゃないの。正直に言えば、わたしたちも、ミウくらいのときから、同じようなことしてたわね」
イライジャは呆れ半分の感じで、あっけらかんと言った。
そういえば、エリカとイライジャとシズが倒錯の少女愛に目覚めたのは、ミウと同じような年齢のときの孤児院時代だったか……。
「ええっと……。ロウ様にあなたのしたいことを素直に口にするといいと思うわ……。ロウ様は喜んで、お相手をしてくれるはずよ」
とりあえず、エリカはミウに言った。
実際のところ、あのロウはかなりの鬼畜な好色だ。
普通に抱くよりも、レイプごっこで抱く方が好きだろう。
昨夜ミウを抱くときには、十中八九、ロウなりに遠慮したのだとは思うが、ミウがやって欲しいと主張するのであれば、間違いなく、ロウは容赦なくミウを扱う。
本当は、ミウのような可愛い童女は、エリカの嗜好のど真中なので、よければエリカが相手をしてもいいとも言おうとしたが、相手にしてくれなさそうなのはわかっているので自重した。
「本当ですか、エリカさん?」
ミウがエリカを見た。
「ああ、そうだ、ミウ──。それと、お前は変態だ。間違いない」
すると、話を横で聞いていたシャングリアがはっきりと断言した。
「そ、そうですか?」
ミウが姿勢を正した感じになる。
シャングリアは大きく頷いた。
「ああ、それは“まぞ”というのだそうだ。つまり、お前もロウに乱暴に犯されるのが好きなのだな? だけど、昨夜はそうされなかった。だから、ちょっと物足りなかった……」
シャングリアが続けて言った。
ミウが慌てたように首を横に振る。
「物足りないなんて、とんでもないことです。でも、もっと過激なこともされたいかなあって……。だけど、そんなこと口にして、ロウ様がお相手をしてくれなくなったら嫌だし……」
ミウが顔を赤くして照れたように言った。
本当に可愛らしいことを……。
「ちなみに、どんなことをされたいの?」
イライジャがにやにやしながら訊ねる。
ミウが口を開く。
「そ、そうですねえ……。も、もちろん、あ、あたし、抱いてもらえるのであれば、それだけでいいんですけど……。だけど、だけど、望みを言っていいなら……。縛られて……魔道も遣えなくて……身動きできなくて……抵抗したら、ロウ様に叩かれて……。そして、滅茶苦茶に犯されて……、それから、それから……、唾を吐かれたり……蹴られたり……踏んづけられたり……」
ミウがとつとつと語り始めた。
「立派なあんたたちの仲間ね。面倒看なさいよ、エリカ」
イライジャがからかうように言った
「もちろんよ──」
エリカが声をあげた。
ミウもそうなら、遠慮はいらないのかもしれない。
なによりも、エリカは可愛い子が好きだ。
正直に言えば、ミウのような童女を愛するのはエリカの大好物だ。今度、ロウに頼んでやらせてもらえないだろうか……。
「結構じゃないか……。わたしは股に油をかけられて、ロウに焼かれたことがあるぞ。あれはすごかった。いまでも夢に見ることがある。興奮してな」
「ほ、本当ですか? すごおおい……」
ミウが目を大きく見開いた。
だが、あれは恐怖に怯えた表情ではない。
自分がそれをされることを想像して期待している顔だ。
その証拠に、ミウの内腿が無意識のうちにもじもじと擦り始めている。
エリカも、それを目ざとく見つけてしまった。
「ロウはなんでもしてくれるぞ。過激なのが好きなら素直に頼むがいいだろう。まあ、想像を絶する責めも多いが、それがいいのだ」
「あなたも大概ねえ、シャングリア。凛とした顔をしている女騎士なのに、本当に残念なこと」
イライジャだ。
「なにが残念だ。わたしは、ロウの鬼畜が大好きな変態だ。それのどこが悪い?」
「悪くはないけど……」
イライジャが苦笑した。
「本当ですか……。あたしみたいな子供がお願いしても、ロウ様は嫌な気持ちにならないでしょうか? あたしを嫌いにならないでしょうか」
「あのう……。もうわかっていると思ったけど、ロウ様は普通にお抱きになるよりも、あなたのいう“変態”がお好きよ」
エリカは横から言った。
「じゃ、じゃあ、変態でも嫌われないですね」
ミウが目を輝かせた。
「そもそも、さっきから、変態というのがよくないことのように言っているのはなぜなんだ、ミウ? 気持ちいいことのどこが悪い? とにかく、ロウに頼むがいい。ロウはなんでも解決してくれる。ロウはすごいのだぞ」
シャングリアがはっきりと言った。
「ここまで堂々としてると、圧倒されるものを感じるわね」
イライジャも笑っている。
とにかく、ミウも、エリカやシャングリアの言葉ですっかりと吹っ切れたようだ。
ほっとしたように微笑んでいる。
「待ちなさい、ミウ……。ちょっと訊きたいことがあるのよ……。まあ、実はロウに頼まれていたんだけどね。あんたのことよ……。本当はあんたの様子を観察して欲しいと頼まれたんだけど、ここまで赤裸々に性のことを語れるんなら大丈夫ね。直接に訊ねるわ?」
すると、イライジャが急に真面目な顔になって口を挟んできた。
ミウが当惑した感じで「はい」を頷く。
「ロウは、あなたの心の傷に触れるのを本当に心配していたのよ。聞いたことによれば、あなたの両親やあなたは、クライドとかいう男に……」
イライジャはちょっと言い難そうに喋り出した。
あのことかとエリカも思った。
ミウを抱くことについて、ロウは本気で心配していた。
なにしろ、ミウにはあのクライドに目の前で両親を殺され、さらに性的虐待をされるために旅に同行させられていたという心の傷がある。
だから、ミウを抱くことが、ミウの心の傷を戻すことになっていないかということを気にしていたのだ。
それで、エリカとイライジャに、ミウのことをよく観察してくれと相談されてもいた。
だが、一方で、できれば一日でも早くミウにも精を注いだ方がいいとは言っていた。
先日のように、ミウが悪霊に乗っ取られたのは、ロウの女の中で、唯一ミウだけが、ロウに精を注がれていなかったからだそうだ。
シャングリアとさっき語り合った能力の向上のみならず、ロウの精にはそんな効果もあるようだ。
「そんなことまったく気にしてないだろう。自分からそうされたいと言うくらいだからな」
シャングリアが言った。
エリカもそう思うが、ロウに頼まれていたこともあるし、イライジャも念のために訊ねているのだろう。
「あ、あのう……。大丈夫です……。あの悪魔のことなんて、全く思い出さないです……。あれっ? なんだか不思議です。いまのいままで、まったく思い出さなかったし……。いまでも大して……。あれっ?」
ミウが何度も首を傾げている。
エリカははっとした。
ロウがやったのだと思った。
ときどき、ロウは信じられないような不思議なことをする。コゼのときがそうだった。
コゼも口にしないし、エリカ自らが誰にも教えたことはないが、あの明るいコゼには、奴隷時代に男たちから厠女のように扱われて、毎日残酷に犯されていたという過去を持つ。
奴隷の首輪で逆らえないようにされてだ。
最初の数日間は、コゼはとても暗くて、いまにも自殺でもするんじゃないかと思うくらいに厭世的で、絶望感に溢れていた。
ロウに犯されて快感に浸されれば浸るほどに、つらい記憶が蘇るのか、とても寂しそうにしていた。
だが、それを変えたのは、ロウだ。
あの岩場の温泉で三人で抱き合ったとき、ロウがコゼを犯してなにかをした。
すると、突然にコゼが明るくなり、コゼの暗い影がまったく消滅してしまったのだ。
まるで別人かと思うように、コゼが屈託のない笑いを浮かべるようになり、エリカにも打ち解けたし、ロウに遠慮のない甘えを示すようにもなった。
まるで、過去のことなど忘れたかのように……。
それと同じことをミウにもしたのだと思った。
ロウの「魔法」だ。
よかった。
「いずれにしても、ミウの悩みはこれで解決ということね、とにかくよかったわ」
イライジャが言った。
エリカも頷いた。
「はい。あたし、ロウ様が戻ったら、早速お願いしてみます。縛られてレイプされたいって──」
ミウが元気よく言った。
「ええ──?」
声をあげたのは、ずっと食堂の隅に座っていた宿屋の女性だ。
しまった。
つい、話に夢中になって、声をひそめるのをエリカ自身も忘れていた。
エリカは頭を抱えた。