【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
【カロリック公国・公都】
その屋敷の前で馬車からおろされると、イットは、主人である老人と、その家人とともに、建物の中に連れていかれた。
呼び鈴を鳴らして待っていると、執事らしき人間族の女が出迎えた。
「お待ちしておりました、トルドイ様。遠路はるばる、公都までようこそ。奥様はお部屋でお待ちです」
男が頭をさげる。
トルドイというのは、イットの主人だ。もうかなりの老人であり、いまも杖を突いて歩いている。だが、その杖は魔石を埋め込んだ魔道具でもあり、杖の先端から電撃を流すことができる。イットを折檻するときの道具でもある。
生まれつきの体質で、直接の魔道は受けつけないが、魔道具を通じて直接に肌に当てられるような魔道はイットにも効果がある。
だから、この杖の電撃は、専らイットの躾のための道具になっていた。
「では行くか……。さて、イット──」
トルドイがとんと杖で床を叩く。
「はい……」
すかさず、イットはその場で四つん這いになる。そうしろというトルドイの合図なのだ。
イットに与えられているスカートは短いので、屈めば下着が丸見えになる。
もっとも、下着といっても、股間に喰い込んでいる革製の貞操帯であり、尻尾の部分が外に出ているほかは、前後の穴は塞がれていて、イットが勝手に糞尿をしたり、自慰をしたりすることができないようになっている。
このトルドイに買われて一年になるが、そのあいだ、ずっとイットはこの貞操帯を嵌めることを強要されていた。
勝手に外すことは許されておらず、特殊な鍵がかけられている。
もっとも、鍵がかかっていなくても、『奴隷の首輪』を装着されており、勝手に外すなと命令されているので、イットには逆らう
この貞操帯を使って、さまざまな辱めを受けた。
いまは装着されてはいないが、内側にディルドを取りつけられて、丸一日中魔道で振動をされて苛まれたりすることは日常であり、逆に強力な媚薬を塗られて放置されることもある。
あるいは、浣腸をされて数日、排便を許されなかったり、貞操帯を嵌めたまま小尿を許さず、強制的にお漏らしをさせられたりだ。
いずれにしても、これを外さないと糞尿はできないので、トルドイは必ずイットを家人たちのいる庭で、大便も小便もさせる。
芸だという卑猥なことをさせながらだ。
一年ものあいだ、毎日のことなので、よくやるものだと思う。
トルドイはもう男性の機能はないらしいが、その代わりに、そうやって奴隷を辱めるのがトルドイという老人の性癖なのだ。
「これがトルドイ様のご自慢の獣人奴隷の童女ですか?」
執事がおもねるような物言いをしつつ、動物のように四つん這いになったイットを蔑むような視線を向けるのがわかった。
何度同じような目に遭っても、イットには慣れることはない。
口惜しさにぐっと歯を噛みしめる。
「丈夫で激しい責めに耐えられる。まだ身体は幼いが淫乱じゃ。おそらく、これはなかなかの獣人美女に化けるぞ。いい買い物だったと思っておる」
「美人と言っても、獣人ではねえ。獣でしょう」
「ならば、獣とまぐ合わせて、仔を産ませるか」
なにがおかしいのか、トルドイが大きな声で笑った。
執事だけでなく、後ろに控えているトルドイの家人たちも笑い声をあげた。
「行け、イット。これからお会いする伯爵夫人様は二階じゃ」
トルドイがとんとんと床を杖で叩いて、階段を杖の先で差す。
そっちに向かって進めの合図だ。
イットは四つん這いのまま手足を進め始めた。
そのときだった。
尻尾の付け根を締めている貞操帯の穴の部分が急に激しく振動を開始した。
「あっ、いやっ」
イットはその場に身体を崩しかけた。
局部同様に、尻尾は敏感だ。特に付け根は股間を刺激されるのと同じくらいに感じてしまう。
貞操帯から尻尾を外に出すために、小さな穴が開いているのだが、その縁に金属があり、そこがトルドイの操作で振動できるようになっているのだ。
「あっ、ああっ」
イットは喘ぎ声を出してしまった。
尻尾を刺激されて、イットの身体に激しい愉悦が駆け巡る。
「ははは、まだ子供のくせに、感じているようですなあ、トルドイ様」
「それが獣人というものだ。人間とは違う。四六時中慎みもなく年中発情するのよ。それがいいのじゃ」
イットの後ろからついてくる執事とトルドイ、そして、トルドイの家人たちが一斉に嘲笑する。
どんな快感に悶えても、とまったりすると罰が与えられるので、イットは必死に階段を這い進んだ。
やがて、二階に到着し、廊下を少し進んだところで、やっと尻尾の振動をとめてもらえた。
ひとつの扉の前に到着する。
「トルドイ様をお連れしました」
執事が扉の声を掛けると、室内から女性の声が返ってくる。
「どうぞ、お入りください」
執事が扉を開いて、トルドイを部屋に促す。
今度はトルドイと執事が先に入る。
イットはその後ろから、四つん這いでついていく。
広々とした部屋であり、奥に机と窓際には豪華な革張りのソファが置かれていた。
そこに二人の人間族の女性の姿があった。
真ん中には、四十歳前後の中年の女性、彼女が伯爵夫人なのだろう。
その右手には、まだ二十歳になっていないのではないかと思われる若い女がいた。顔つきが伯爵夫人に似ているので娘だろうかと思った。
ふたりとも、とても綺麗な服を着ていた。
「トルドイです。このたびはお招きありがとうございます。ネット伯爵夫人におかれましては、ご機嫌麗しく……」
トルドイが柔和に微笑みながら頭をさげた。
自分の屋敷では傍若無人のトルドイだが、分限者とはいえ一介の商人だ。爵位を持つ貴族に対してはへりくだるようだ。
「ほほほ、挨拶は結構よ、トルドイ殿。それよりも、娘のカーリーもご一緒して構いませんか?」
ネット夫人と呼ばれた女が愉快そうに笑いながら言った。
「もちろん。カーリーお嬢様も、しばらく見ないあいだに大きくなられましたのう。ますます、お綺麗になられた」
「まだまだ、子供ですのよ。カーリー、挨拶を」
ネット夫人がカーリーに声を掛けると、カーリーが立ちあがった。
「トルドイおじい様、ご無沙汰しています。わたしも、“犬”には興味ありますの。いずれは飼ってみたいとも思っていて」
カーリーが言った。
犬だって……?
獣人族にとっては、強さを肉食獣などになぞらえられるのは別に侮辱ではない。しかし、いまのカーリーの言葉には、獣人を人間にみなさない動物としての意味があることはわかる。
イットのはらわたが煮える。
「まあ、座ってくださいな、トルドイ殿。だけど、獣人にはいろいろだけど、これは、顔の雰囲気は猫っぽいけど、随分と人間に近い顔なのね」
「このような人間に近い種がおるから、同じ人間だとかいう戯言を唱える
トルドイが空いているソファに腰掛ける。
また、この屋敷の執事とトルドイの家人が壁際に待機する態勢をとった。すぐに、トルドイの前にこの屋敷の侍女が飲み物と菓子を運んでくる。
そのあいだ、ずっとイットは部屋の中心で四つん這いで待機させられるかたちだ。
「わたしは間違っているつもりはないわ。新しい大公陛下の出された人道宣言には驚き呆れてますのよ。残念ながら、当家程度の力では、大公陛下をお諌めすることもできないし……」
「よく言ってくださいました。こいつらは生まれながらの奴隷種族です。このような獣どもは、すべてを最初から奴隷階級とすればよい。人道主義者の考えは理解不能です。大公陛下の獣人懐柔政策についても……。おっと、これは口がすぎました。ご政道に不平を申しているわけではないのです」
トルドイが恐縮するように言葉を繕う。
すると、ネット夫人が優雅に微笑んだ。
ふたりが話している「獣人人道宣言」というのは、イットにはよくわからないが、この国の新しい施政者になったという若い大公女様が、獣人も人間も同じ人間だという意味のことをなにかで発表したのだそうだ。
それで、世間でもかなり話題になっている。イットにも耳に入ってくるくらいだ。
もっとも、ただの演説であり、それでなにかが変わるというわけじゃないが、トルドイには面白くない考えらしく、しばらくのあいだ、イットへの折檻が厳しくなったのを覚えている。
「いいのよ。わたしたちのような古い一門は、獣人を自由人として扱うという施策には大反対なのよ。獣は獣。区別はしないとね。まあ、だけど、ゼル大公代理様も、施政者としては経験が少ないし、これから悟ってもらうしかないと思ってるわ」
「例の賊徒どものことですな? 困ったものだが、獣人どもが争乱を起こすというなら、やらせればいい。そして、徹底的に痛めつける。それですべてが収まるのです」
「大公陛下代理の周りには、獣人たちの一部が騒がしくするのを大袈裟に耳打ちする者がいるのよ。それで懐柔施策の一貫として、あのような演説をされたというわけよ」
「いずれにせよ、カロリックの古き良き時代のように、獣人は徹底して管理すべきです。絶滅させろとは申しませんがな。奉仕させる労働力としては、人語を解するので便利だし、こいつのように、生きている玩具としての価値は認めてよい」
トルドイは笑った。
「それじゃあ、さっそく芸を見せてもらえるかしら。なにができるの?」
ネット夫人がトルドイに訊ねた。
「さて、なにをさせますかな。まずは歩かせますか。その前に……。イット──」
短い杖の音が三個──。
脱衣の指示だ。
イットは無言で四つん這いから立膝になり、服を脱ぐ。
反抗は無意味だ。
それはこの一年で徹底的に躾けられた。
やろうと思えば、「主人」として刻まれているトルドイは無理だが、ほかの全員を一瞬で爪で殺せる自信はある。
「命令」で他人を傷つけるのは禁止されるだろうが、トルドイが言葉を発する前に全員の首を爪で引き裂けばいい。
おそらく、イットにはできる。
だが、それで待っているのは、惨たらしい死だ。
イットは死にたいわけじゃないのだ。
なんとか生き残って大人になり、いつかこの生活から抜け出して見せる──。
希望を捨てるな──。
一年前、奴隷商の檻の中でリックという少年に言われた言葉を自分に思い聞かせた。
「ぬ、脱ぎました……」
イットは貞操帯だけの半裸になり、再び四つん這いになる。
貞操帯は自分では外せない。
「へえ、外からじゃあわからないけど、結構毛深いのね。やっぱり、けだものなのね」
カーリーがイットに視線をやって、蔑むような口調で言った。
自分が毛深い方だとは思わないが、獣人族だから人間族よりは体毛はある。イットの体毛は茶と濃い茶の混毛だ。首から背中にかけては、髪の毛と一体になったかのようになっている背毛が中心部にあるし、膝から下、肘から下にはやはり体毛があって地肌は見えない。
だが、ほかは人間族とは変わらないと思うのだが……。
「性器にも、もう毛があるのかしら?」
ネット夫人だ。
「お見せしましょう」
トルドイがリズムを付けた打ち方で三回杖で床を叩く。
イットは、半身を起きあがらせて、しゃがんだまま両膝を真横に開いた。両手は頭の後ろだ。
トルドイは、これを“ちんちん”の姿勢と呼んでいる。
なによりも、この恰好が一番屈辱的だ。
「おい」
トルドイが自分の家人に声を掛ける。
そのとき、イットの腰の後ろでがしゃりという金属音がした。貞操帯の錠が遠隔で外されたのだ。
一応この貞操帯も魔道具であるらしく、トルドイが持っている遠隔操作用の魔道具で操作ができるようになっている。
「大人しくしな」
トルドイの家人がにやにやしながらイットに近づく。
イットは、トルドイの家人の中でも、この男が大嫌いだ。童女趣味であるらしく、十歳で性奴隷になったイットに、最初から性的視線を向け続けていた。
男性機能を失っているトルドイの代わりに、もっともイットをたくさん犯しているのがこの男だろう。
イットは、トルドイの命令で家人に従うように命令されることが多いので、ねぐらである檻の中に入るときに、それを利用して家人に悪戯をされることもある。
特にこの男は、積極的にイットに構ってくる。
貞操帯を外されるあいだ、イットは手足を開いた恥ずかしい姿勢を保持していた。
その男が貞操帯を股間から外していく。
最後に穴が開いている部分から、尻尾を抜くようなかたちになるのだが、その家人がわざと抜く瞬間に、ぎゅっと尻尾の付け根を握った。
「あんっ、あっ」
全身を疼かせる刺激が走り、イットは姿勢を崩してしまった。
「こらっ、イット──」
トルドイの罵声が飛ぶ。
「だ、だって、いま──」
イットは慌てて姿勢を戻しながら、さすがに不満を口にした。
だが、トルドイがもうひとりの家人に指示しているものを見て、顔が蒼くなるのを感じた。
乗馬鞭だ──。
杖による電撃は、多少の魔力があるトルドイにしか使えないように調製されている。
従って、家人にイットを打たせるときは、大抵はあの乗馬鞭だ。
「まあ、犬に罰を与えるのですね? だったら、トルドイおじい様、わたしにやらせてもらえませんか?」
すると、カーリーがトルドイに声をかけたのが聞こえた。
トルドイは意外そうな表情になったが、イットも驚いた。
「まあ、お転婆だこと。困った娘ねえ」
ネット夫人は笑っている。
しかし、止め立てをする気はないみたいだ。
トルドイも苦笑して、乗馬鞭をカーリーに手渡すように、家人に指示した。
「ふふふ、じゃあ、犬、そのままでいなさい」
カーリーが乗馬鞭を持って立ちあがった。がに股姿で前側を晒して立たされているイットに近づく。
「あら、この犬、発情してるのね」
イットの股間はしっぽの付け根をさんざんに弄られたせいで、かなりの蜜が溢れていたのだ。
もともと、快感なんて感じる方じゃなかったと思うが、あの奴隷商会の調教とトルドイに買われてからの一年の日々は、まだ十一歳のイットをかなりの淫乱体質に変えてしまった。
「ふうん、股は人間と一緒なのね。それと、やっぱり子供だと毛がないのねえ」
カーリーがイットの股間をまじまじと凝視しながら言った。
イットは欲情している裸体を観察される屈辱に歯噛みした。
「大人の獣人族の性器はかなり毛深いですぞ、カーリーお嬢様。このイットは毛穴を殺しているので、もう生えませんけどのう」
トルドイが言った。
「へえ、でも、意外にきれいね。獣人って、あっちには見境がないって耳にしたから、もっと使い込んでると思った」
「これ、カーリー、はしたない言葉を……」
ネット夫人がたしなめるように笑った。
「まあまあ、獣人の子が珍しいのですかな。獣人というのは、自然治癒力がある程度、高いのですよ。かなり激しい扱いをしても、数日すれば元に戻るのです。性器も同様ですな。その代わり、このイットは回復術のような魔道を受けつけません」
トルドイだ。
「まあ、そうなの?」
ネット夫人がちょっと驚いたように口を挟んだ。
「特異体質のようでしてな。回復術に限らず、あらゆる魔道を受けつけません。まあ、魔道具は効果があるので、懲罰には問題はありませんが、回復については魔道薬も効果がないのですよ。従って、やり過ぎると死んでしまいます。調教はしにくい」
「そうなのですか? わたしが打ってもいいの?」
イットの前で、カーリーが少し不安そうにいうとトルドイが爆笑した。
「お嬢様の力ならどこをどう打っても構いません。ああ、そうだ。獣人は雄でも雌でも尾の付け根が敏感じゃ。そこを打てばのたうち回りますぞ。獣人というのは交尾のときに、そこを舐め合って欲情するのです」
「まあ、面白い。やっぱり獣ねえ」
イットは獣人をあげつらう彼らの嘲笑とともに、尾を打つという言葉に総毛立った。
確かに、そこは痛い。
手も足も胴体でも、多少の鞭打ちはどうということはないが、お尻を打擲されるときに、尾の付け根に鞭先がかするだけで、イットは激痛に絶叫してしまう。
本当に痛いのだ。
「だけど、魔道を受けない体質なんて生意気な獣ねえ。この獣たちの女神のモズを気取っているのかしら。珍しいわねえ」
ネット夫人が口を挟んだ。
魔道を受けつけないというイットの特異体質であるが、それが獣人の女神のモズを気取っていると評されるのは、これが最初ではない。
イットは知らなかったが、神話におけるクロノスの周りの女神のうち、獣人モズだけが魔道の無効体質だというのは、聖典などでよく知られているようだ。
ところで、クロノスは多数の女神の妻がいるが、獣人族のモズだけは、クロノスの女には数えられない。
魔族の守護女神であるインドラでさえも、クロノスの愛人なのだから、主要女神の中でただひとり、クロノスが手つかずだというのも、ほかの種族が獣人族を一段下に見る理由である。
「犬、後ろをお向き──。頭を床に着けて、尻を掲げなさい」
カーリーが突然に強い口調でイットに怒鳴った。
むっとして、動かないでいたが、トルドイが不快そうに、杖で強く床を叩く。
イットは三人にお尻を向けるように反転し、今度は立膝をして頭を床につけて、高尻の姿勢になる。
「まあ、お尻に毛が生えているわ」
なににそんなに驚くことがあるのか、カーリーが大きな声をあげた。
ほとんどの獣人族には尾があり、その尾の周りは当然に体毛がある。当たり前のことだ。
「大人になれば、その尻毛が前に繋がって、まるで毛の下着を身に着けているようになりますぞ。さっきも言いましたが、このイットは前側の毛穴を殺しているので、もうこれ以上の毛深さにはなりません」
「そうなのね」
鞭が風を切る音がした。
「ひいいいん」
乗馬鞭はしっかりと、イットの尻尾の付け根に当たった。
イットは我慢することができずに悲鳴を絶叫した。
「お嬢様、そのままお打ちください……。イット、いつもの芸を見せよ。小便歩きじゃ。ただ本当に小便はするな。真似だけじゃ」
トルドイが笑いながら、声をかけてきた。
イットはさっと血が頭からさがるのを感じた。
小便歩きというのは、裸で四つん這いで歩くだけじゃなく、牡犬がおしっこをするときの格好のように、片脚を大きくあげて歩くことだ。
しかも、左右の脚を交互にあげながら進むのだ。
これほど、惨めで恥ずかしい芸はない。
イットは、これを「奴隷の首輪」で強要されて、何十回も人前でやらされていた。だからといって、絶対に慣れるということはない恥辱の歩行だ。
「やれ──。膝は直角よりも上──。それよりも、低ければ尻穴に電撃じゃ」
トルドイが電撃杖を持って立ちあがる。
「ひいっ」
あの電撃を尻穴に流される恐ろしさは身に沁みている。
イットは慌てて、小便歩きのための四つん這いになる。
一階から階段を歩くときの四つん這いは、かすかに膝をあげていただけであり、場所によっては膝をつけていたが、小便歩きのときには、膝を曲げないで歩くことを強要されていた。
自然に極端な前傾姿勢になる。
「尻尾をお上げ──。アヌスが隠れているわ」
カーリーが不満そうに言って鞭を振るう。
「んひいいっ」
カーリーは全力で叩いていると思うが、いつもみたいに一人前の家人の男たちに叩かれるほどの力はないと思う。
だが、トルドイは、家人にも尾の付け根を直接に叩くことはあまり許可しない。
ここぞというときに、痛めつけるために慣れさせないためらしい。
だから、尾の付け根を鞭で叩かれる衝撃はものすごかった。
「雌の獣人は欲情すると、尾を立てます。浅ましい畜生の本能ですな」
膝を立て、まずは右脚を大きくあげたイットの股間に、すっとトルドイの杖の先が入ってくる。
股間を弄りだす。
「んんっ、あああっ」
歩きながら悶え声が出る。
感じたくないが、愛撫されるとすぐに快感を覚えるようにされてしまった身体だ。
心の底から口惜しいが、どうしても身体は反応してしまうのだ。
「まあ、本当ね。尻尾があがった」
後ろにいるカーリーが大笑いした。
口惜しい……。
口惜しい……。
口惜しい……。
イットは今度は反対の脚を大きくあげて一歩進む。
確かに、尾は上にあがっている。
「それっ」
カーリーが笑いながら鞭をお尻に打ち込む。
「んぎいいいっ」
イットは絶叫した。
「トルドイ殿、構いませんことよ。そのまま放尿をさせてもいいわ。所詮、畜生のすることですもの」
ネット夫人が笑った。
「許可が出たぞ、イット。では、小便を少しずつ左右に撒き散らしながら、小便歩きをせよ。ちょっとずつじゃ」
トルドイが言った。
冗談じゃない──。
さすがに、そんなことは、いままでにやったことはない。
小便歩きといっても、真似事だけだ。
片足あげ小便は何度もさせられたが、まさか、犬のように歩きながらなんて……。
「伯爵夫人、実はこの芸は初めてです。うまくできるかどうかわかりません。まあ、やらせますがな」
「結構よ。うまくできるまで繰り返させましょう。利尿剤と大量の水を準備させます」
ネット夫人が合図した。
すると、執事が部屋の外に出ていく。
夫人が口にしたものを持ってくるのだろう。
イットは鼻白んだ。
「命令じゃ。いま、理解したことをやれ──」
トルドイが口にした。
これで逆らえない。
イットの身体が勝手に動き出す。
少しずつ小尿を出しながら、左右の脚をあげて、まき散らしながら歩く──。
そんなことを……。
「うううっ」
最初のおしっこが出る。
しかし、一度出れば、とめることなどできなかった。
イットの股間ではじょろじょろとおしっこが流れ続ける。
自分の身体を含めた辺り一面におしっこを垂れ流しながら、イットはとりあえず、反対の脚をあげた。
「馬鹿犬ねえ──。少しずつ出すんでしょう──」
カーリーが小馬鹿にしたように乗馬鞭を振るう。
「んぎいいい」
激痛にイットは泣き叫んだ。
「ほほほ、やっぱり一回ではうまくできないわね。うまくできるまで、やらせましょう。完成したら、庭でほかの家人たちにも披露するわ。でも、部屋が獣の小便臭くなるわね」
ネット夫人がくすくすと優雅そうに笑い声をあげた。
「イットに舐めさせます。イット、終わったら自分の小便を舐めて掃除せよ。全力じゃ。そして、水を腹一杯飲んで、もう一度じゃ。命令だ」
放尿の終わったイットにトルドイが声をかけた。
イットの身体は、勝手に床にしたおしっこを舐め始めた。