【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「余計なことを言うな──。は、早く、外に出す命令を出さんか──」
サキはかっと怒りが沸いて怒鳴りあげた。
実のところ、サキは、このテレーズから股間の中に小さな卵型の魔道具をずっと仕掛けられていた。
つまりは盗聴具であり、この魔道具を通じて、サキがアネルザたちと会話をずっと宮殿にいるテレーズが傍受できていたというわけだ。
それだけでなく、会話がテレーズにとって、都合が悪い方向に進みかけると、振動によって、サキにそれを伝えるという役目もしていたのだ。
これを通じて、時折振動による指示を受け、サキは話題を逸らせたり、遠隔で傍受しているテレーズが望むと思う方向に、話し合いを誘導したりしていたのだ。
状況によっては、外に声が洩れない「骨伝導魔道」で情報を伝達され、テレーズの指示に従って、四人の会話を進めたりもしていた。
いずれにしても、あまりの恥辱で脳が沸騰しそうだった。
長い時間を生きていたサキだったが、もちろん、こんな屈辱的な仕打ちに合ったのは初めてだ。
「ふふふ、頭に血が昇ってるのね? この盗聴の魔道具で一度いっとく? 特別に絶頂させてあげましょか?」
テレーズが笑った。
サキは怒りで頭が沸騰した。
「絞め殺すぞ、人間――」
「ははは、怖いわねえ」
くそう……。
なんという恥辱……。
人間族ごときに、こんな扱いを許すなど許されるものじゃない――。
無論、ロウから受けたことを除く……。
まあ、ロウの嗜虐は、恥辱ではあるが、快感でもある……。
テレーズに、盗聴具を股間に埋めるように指示されたときには、息が止まるかと思うほどの屈辱を覚えたが、テレーズは明確に「命令」だと言い伝えてきたので、拒否することもできなかった。
また、テレーズは、最初にサキの股間を悪戯したときに、股間に刻まれているロウの刻印の存在に気がついたらしい。
しかも、サキをからかうための目的のためだけだが、何度目かのときに、指をサキの股間に挿入しようとして、まったく指が入らなかったことにびっくりしていた。
それで、その刻印が他者からの股間への挿入行為を阻む機能であることを悟ったようだ。
……というよりは、テレーズに「命令」で喋らされてしまった。
それで、テレーズは、これを魔道具を隠す場所として使うことを思いついたのだ。
すなわち、いまサキが刻まれているロウの刻印は、ロウやロウの女以外からの直接的な男根や淫具の挿入を阻むだけでなく、魔道による転送行為も防いでいる。
つまりは、魔道で保護しているし、魔道も跳ね返すということだ。
正確には、ロウが駆使するのは、魔道でなく淫魔術なのだが、まあ同じことだ。
とにかく、だから、股間に盗聴の魔道具を隠せば、魔道力の高いスクルズにも、見破られることはないというわけだ。鑑定のような魔道も跳ね返すし、ロウの淫魔術による封印が魔道具の発する魔力の放出を防いでくれるのだ。
事前に挿入させられ、振動を送られたり、骨伝導を動かしても、サキの股間の外には魔力が発しないことを何度も念入りに確認されていた。
サキにとっては、呼吸もできないような屈辱であった。
実際に、スクルズは、サキが盗聴具の魔道具によって話し合いの声を宮廷のテレーズに送り込んでも、なにも気がつくことはなかった。
まあ、それは、スクルズ自身も口にしていたが、ロウの精を長く受けていないことで、ロウによる能力向上効果の減退がスクルズにも観察されたことも影響していると思う。
スクルズが自分自身の変化に気がついていたかどうかはわからないが、スクルズの魔道の波動はかなり乱れていた状態にあった。
それはいいのだが、このテレーズは調子に乗って、会話を盗聴しながら、テレーズの望まない方向に会話が進むと、盗聴具についている機能を活用して、股間を振動させて報せてきたり、骨伝導で情報を送ってきたりしたのだ。
股間の振動を受け、必死にそれを隠さねばならないサキは、まさに血が沸騰するような屈辱だった。
とにかく、今日はずっと、股間に盗聴具を挿入させられて、ミランダを冒険者ギルドから収容し、さらに、監禁塔の最上階で三人に陰謀の話し合いなどをさせられていたのだ。
また、卵型盗聴具の挿入は、サキ自身にやらされた。
ロウの刻印による保護があり、他人による挿入を受け入れないからだ。
だが、サキ自身による挿入なら、いとも簡単にできた。
しかも、テレーズの「命令」によって挿入しているので、それを解除してもらわなければ、サキの意思だけでは出すこともできない。
「いいわ。出しなさい」
テレーズが言った。
サキの膣の下に手をかざす。
股間に力を入れて、膣の筋肉だけで盗聴具を外に出した。
「ふふふ、湯気がたっているわよ。しかも、すごい大量のお汁も一緒に出てきたわ。これって、そんなに気持ちいいものなの? 別に、淫具として準備したものじゃないのよ」
手で盗聴具を受け取ったテレーズが、サキの顔の前に、ねとねとの魔道具をかざしながら言った。
「よ、余計なことなど喋るな。早くしまえ」
「ははは、あなたって、結構面白いわねえ。スカート戻していいわよ」
サキはスカートを離した。
異物がなくなったことで、刺激によって溢れていた汁がつっと、内腿から膝に向かって垂れていく。
サキは魔道で身体をきれいにした。
とにかく、腹が煮え返っているが、なにもできないことはわかっているので、仕方なく、そのまま椅子に座り直した。
「そ、そのうち、同じ目に遭わせてやるからな、テレーズ」
だが、やっぱりどうしても我慢できなかったので、それだけの悪態はついた。
「愉しみにしているわ。だけど、繰り返すようだけど、淫具でいたぶったわけじゃないのよ。本当に魔道の盗聴具を隠すのに、あまりにも都合がよかっただけなのよ」
テレーズが悪びれた様子もなく、けらけらと笑った。そして、布に包んで盗聴具を懐にしまった。
サキは怒りで身体がぶるぶると震えるのがわかった。
「それにしても、そういえば、あなたって、わたしの指示に逆らって、スクルズの魔道の誓いに応じてたわね。大丈夫なの? 先に暗示水を飲ませて、誤魔化せばよかったのに」
テレーズが思い出したように言った。
サキは、その内容よりも、あのとき股間の中の盗聴具を激しく振動させられて、動顛させられた屈辱を思い出してかっとなってしまった。
だが、懸命に怒りを呑み込む。
「問題ない……。わしが裏切ることはないからな」
サキは言い切った。
だが、テレーズは馬鹿にしたように、軽く首を竦めた。
「現に裏切っているんじゃないの? こうやって、敵であるわたしに、彼女たちとの話し合いの情報を洩らしてるじゃないの。股間に盗聴具を隠したりまでしてね」
テレーズがくすくすと笑った。
サキはむっとした。
「わしが裏切らないのは、
座っている椅子の手摺りを思い切り叩く。
すると、ばきりと音がして、椅子の手摺りが吹っ飛んで、破片が床に転がっていった。
テレーズがちょっとだけ、目を大きく開いたのがわかった。
「……新しい椅子を届けさせるわ。丈夫なのをね……。お金だけはたくさんあるのよ」
テレーズが冷笑を浮かべた。
サキはテレーズを睨んだ。
「お前の金じゃあるまい」
「そうね。前の人生も合わせて、いま、一番贅沢をしているわね。あのルードルフを使えば、なんでも手に入るんだもの。長い時間じゃないだろうし、せいぜい愉しませてもらうわ」
「前の人生?」
サキは、その言葉が引っ掛かって、思わず言葉を繰り返した。
「なんでもないわよ」
すると、テレーズが急に顔を赤らめて、視線を逸らせるような仕草をした。
サキは訝しんだ。
だが、テレーズはすぐに表情を戻して顔をあげ、何事もないように口を開いた。
「まあいいじゃないの……。あっそうだ、これ」
テレーズがサキからとりあげた白色の紐の下着を差し出す。サキはそれを引ったくるように取って、仮想空間にしまった。
「じゃあ、行くわね」
テレーズは立ちあがりかけた。
「待て――。話がある」
サキはそれを制した。
「なあに?」
テレーズが椅子に座り直して、サキを見る。
「それよりも、スクルズが言っておったのは本当なのだな? ルードルフが王家の隷属の魔道具とやらを持ち出して、侍女をする娘どもを喰っとるという話だ。そして、それを邪魔せんように、その魔道具で宮廷の者たちにも、操りをかけているということだ」
スクルズが口にしたことだ。
テレーズが宮廷を支配しているのはわかっていたが、それは闇魔道を遣っていると思っていた。
まあ、別段、魔道具でもいいのだが、この宮廷に起きていることをできるだけ正確に知っておきたかった。
「呆れた馬鹿よね。そんなことをすれば、どうなるか想像できそうなものなのにねえ。だけど、あいつは、自分の性欲を優先させたのよ。もちろん、そうなるように、感情を仕向けているのは、わたしだけど……」
「やはり、真実か」
サキは納得するとともに、やはり自分の能力がかなり乱れているということを改めて悟った。王家の隸属魔道がどんな魔道具によるものかはわからないが、言われるまで気がつかないなど、本来のサキの能力ならありえない。
わからなかったが、ロウから離れることは、身体が疼いて苦しいとか、そんな生易しい影響以上のものをサキにもたらすらしい。
「でも、自分から使いだしたのよ。最初に侍女たちを何人か犯した後、侍女たちは逃げ出し始めるし、さすがに護衛もルードルフの行動に気がついて、やめさせようとして……。そしたら……。わたしも驚いたわ」
「あいつらしいのう」
サキも噴き出した。
「これについても、あのドワフ女が、せいぜい、大袈裟に流言を王都に流してくれるわね。しかも、嘘じゃなくて、真実なんだから、まあ、大騒ぎになるでしょうねえ……。まあ、こっちは、せっかくの魔道具だから、最大限に活用するけどね。だけど、本当にあの馬鹿は国王なの?」
「残念なことにな」
サキは笑った。
テレーズも苦笑した。
そして、サキは、もうひとつ確かめておきたかったことを思い出した。
「ところで、わしに途中で、伝えてきたアーサーがイザベラに手を出そうとしているのは本当か?」
タリオ大公のアーサーが、イザベラの妊娠の情報を受けて、ルードルフに形式婚を打診してたという情報を流せと指示を受けたのは、あの監獄塔でのアネルザたちとの話し合いの最中だった。
股間に入れられた盗聴具の魔道具を使った骨伝導で伝えてきたのだ。
だが、どうでもいいけど、魔道の骨伝導は、外に音を洩らさずに、直接に骨を使って耳まで「声」を伝えてくる魔道なので、それを股間から発せられたときには、小刻みだが凄まじく高速な振動が子宮に伝わり、思わず悲鳴をあげそうになった。
質問をしながら、それを思い出して、またもや恥辱が蘇ってきた。
「本当よ。昨日のことね。隠していたわけじゃないし、あなたは大切な相棒なんだから、できるだけ情報は伝えるわ。犬のわたしが禁止されていること以外ならね……。なにせ、わたしの命を委ねているのよ」
「誰が相棒で、なにが犬じゃ──。それで?」
「まあ、あのときに伝えたとおりね。アーサーは、ルードルフに、イザベラとの形式婚をして、生まれてくる子を自分の子として認知すると伝えてきたわ。ルードルフはその気ね。断る理由を思いつかなかったんでしょう。魔石通信が終わった後の、ルードルフの言葉からすれば、冒険者あがりの移民の成りあがりの種とするよりは、タリオ大公の種とした方がいいということよ。まあ、丁度、アーサーも王都に少し前に来ていたし、そのときの子供ということで口裏を合わせると合意をしたみたいね」
テレーズは言った。
激しい怒りが込みあがる。
「なにを言うか──。わしの主殿が、アーサーという小僧ごときの種に劣るというのか──。冗談ではないわ」
「まあ、その辺の価値観は、王族の常識というものじゃないの。とにかく、ルードルフは、イザベラ王太女とロウ卿のことは、なかったことにするみたいよ。言っておくけど、これについては、誓って闇魔道で操作はしてないわ。純粋なあの男の意思と感情よ」
「どうでもよい。だが、耳にしたことでは、先回、アーサーという小僧がここに来たときには、アンの方に婚約を申し込んできたのではなかったか?」
サキは、前回の件には、あまり関与していなかったので、よくわからないが、確か、そんな話だったように記憶している。
すると、テレーズがちょっと馬鹿にしたように、小首を傾げる。
本当にこの女は、サキを苛つかせる。
「なにも知らないのね。もともと、アーサーの狙いは、王太女のイザベラだったのよ。アンへの打診は、きっかけにしたかっただけよ。だけど、それを見抜いたロウ卿が、アーサーの前でイザベラといちゃついて見せたの。それで怒って、アーサーは国に戻ったのよ」
テレーズは言った。
そんなことだったのかと思ったが、それよりも、テレーズの物言いには、アーサーに対する敬意など微塵も感じられなかった。
本当に冷めているのだと思った。
まあ、確かに、隷属の紋様や死の紋様を刻んで、人を支配するような飼い主を敬う理由などないだろうし……。
それに、この女の直接の「主人」は、アーサーではない。
だから、魔道的にも、テレーズにはアーサーへのしがらみもない。
「だったら、そのまま、大人しくしておればいいだろうが──。イザベラもアンも、主殿のものじゃ。なぜ手を出そうとする──」
サキは舌打ちした。
「イザベラが傷物になったことで、値打ちもさがったし、いい機会だと思ったんじゃないの。あの男は箔の付く値打ちのある妃を集めているのよ。大国ハロンドールの王太女、即ち、次期女王ということであれば、他人の子を孕んでいる女でも、十分に自分の妃の値打ちがあると思ったのでしょうね」
「なにがじゃ──。あいつにこそ、イザベラの子の父親になる値打ちがないわい──。図々しくも、主殿の子の父を名乗るつもりか──」
「でも、あのアーサー大公は、すごく女性にもてるのよ。色男だし、施政者としてもすぐれているし、革新的な改革と旧態依然の前時代的な遺物の排除で、タリオをあっという間に強国にのし上げた英雄なのよ。あなたが、ロウ卿を大切に考えるのはわかるけど、業績ということであれば、アーサーが断然上じゃないの?」
「やまかしい──。頭の皮を剥がれたいか──。わしの前で、主殿の悪口を言うな──」
「おお、怖い」
テレーズがわざとらしく、身体を竦める仕草をする。
サキはむっとした。
「そういえば、アンについても、なにかを打診してきたと申しおったな?」
サキはテレーズに訊ねた。
テレーズが頷く。
「自分の有力な家臣を夫して準備すると言っていたわね、なんとなくだけど、ランスロットのことじゃないかしら」
「ランスロット? 知らん──」
「アーサーの腹心よ。とっても、綺麗な顔をしている戦士よ。あの主従は、揃って、女性が放っておかないような美しい顔をしているわよね。まあ、ランスロットは、アーサーとは異なり、女性にはかなり誠実だと耳にするけど……」
「主殿にかなう男はおらん」
サキははっきりと言った。
テレーズがにこりと笑った。
「魔族って、思ったよりも、誠実で一途なのね。ちょっと意外よ」
「ふん──。二枚の舌を平気で使ったり、優しい顔をしながら陰で裏切ったり、恩や義理を捨てて笑っていられるような不誠実なのは人間族だけだ」
「確かにね。だから、あなたのような強い魔族が、わたしのような弱い人間に騙されて、奴隷にされたりするのよね」
テレーズが言った。
サキは歯噛みした。
「とにかく、イザベラもアンも、主殿の女だ。アーサーとかいう身の程知らずの男に与えるなど許さんぞ──」
サキは声をあげた。
「わたしは、飼い主の犬だと知っているでしょう。飼い主が命令を与えない限り、あなたの言うとおりにしてあげるわ。協力もしてもいい。だけど、命令を与えられたら、それを遂行するしかないわ。必要なら、あなたにも命令をして協力させる。拒否はさせないし、それ以外の行動をとることは不可能……」
テレーズが服の上から隷属の紋様にある自分の胸に触れる。
サキは鼻を鳴らした。
「まあいい……。しかし、アーサーとやらも、イザベラは主殿の女だと目の前で見せつけられたのなら、諦めればいいものを……。わざわざ、婚姻を打診するとは図々しい……」
サキは吐き捨てた。
「まあ、だからこそじゃないの。あれも、結構自尊心が高いらしいから……。今回の謀略だって、ロウ卿への私恨をわざわざ任務に混ぜるくらいだからねえ……。イザベラやアンを横取りしようとしてるのも、前回の腹癒せじゃないのかしら……。おっと、これは失言ね。別にわたしの任務がタリオ大公のアーサーと関係があるとは口にしてないわよ。いまのは、喩え話……」
テレーズが笑った。
「喩え話のう……。とにかく、これは、腹癒せの面もあるのか。女々しいことだ」
「まったくね」
テレーズも微笑んだ。
そして、ふと表情を改めた。
「それにしても、あのスクルズという神殿長やるわね。盗聴器越しに話を聞いていた限りにおいては、あなたの仮想空間に入っていながら、あたしの闇魔道にも気がついたようだし、ルードルフが隷属魔道を発動させていることにも気がついた。あまり王都にいなかったから、情報がないんだけど、なかなかの魔道遣いなのね」
テレーズが言った。
「まあな。人間族にしてはかなりのものだ」
サキはとりあえず、それだけを言った。
実際のところ、スクルズもサキ同様に、ロウの精を長く受けないことで、能力向上の恩恵が少し低くなっているように思う。
本来のスクルズは、もっと強い魔道の波を発するし、実際、スクルズには、かなりの魔道波の乱れが観察できた。
ロウの不在による影響は、アネルザにも、ミランダにもありそうな感じでもあった。
サキは、ロウと離れることで、そんなことになるとは全く思わなかった。
ロウも知らないだろう。
しかし、それでも、スクルズはサキが感知できなかった王宮内の隸属の魔道具の波を読み取った。仮想空間越しにだ。
もともと人間族の魔道具だから、スクルズの方が感知しやすいというのもあるのだろうが、まあ、大した人間族の魔女だ。
「危険な女ね……」
「んん?」
テレーズの呟きに、サキは視線をテレーズに向け直した。
「彼女を排除したいわ」
テレーズははっきりと言った。
サキは、テレーズの言葉に反応しかけたがやめた。
テレーズがそう考えてしまった以上、もうどうしようもない。
サキは無駄な足掻きはやめた。
そんな義理もない……。
「わかった。なんでもしよう。その代わり、うまくスクルズのことを処分できたら、わしに褒美をくれ」
サキは言った。
テレーズが意外そうな顔になった。
「へえ、もっと抵抗するかと思ったわ」
テレーズはきょとんとしている。
「せん――。だが、やり方はわしにも意見を言わせろ。いずれにせよ、わしが大切なのは主殿だけだ。後は些末だ。それよりも、事が進めば、わしに貴族を集めた園遊会を開かせろ。それまで、しばらくでいいから、ルードルフの令嬢喰いは抑えよ。考えていることがある」
「しばらく? まあ、いまや、性を発散させない方が、どんどん苛ついて狂暴になるから、扱いやすくなっていいけど……。でも、園遊会って?」
テレーズが首を傾げた。
(第13話『女たちの叛乱』終わり、第14話に続く)
*
(必要により、どこでサキが振動を受けていたかについて、遡って読み直しください)