【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
322 筆頭巫女の心配(1)
「……で、スクルズ、なんでわたしが、お前を呼び出したのかは、わかっておるのだろう?」
茶と茶菓子の並べられた卓を挟んだ肘掛け椅子に腰掛けているベルズが、スクルズを険しい顔で睨んで言った。
ここは、第二神殿でも、第三神殿でもなく、ブラニーという屋敷妖精が管理している王都の屋敷だ。
屋敷の主人は、建前としては貴族としてのロウの屋敷ということになっているが、実際にはスクルズだ。高位魔道遣いにしか仕えないというブラニーも、スクルズを「主人」として刻んでいる。
ベルズとスクルズが、幼児返りしてしまったウルズの面倒を看ている場所でもあり、今夜は、ベルズから強制的に、ここに呼び出されたのだ。
「さあ、さっぱりとわからないわね、ベルズ。こんな夜に言玉を飛ばしての、こっそりのお呼び出し。もしかして、神学校時代のことを思い出したのかしら? ロウ様が抱いてくださるようになってから、ちっとも、そういうのはなかったことだし……」
スクルズは惚けた。
神学校時代というのは、まだ童女といえる時期から十五歳になるまで、スクルズとベルズは、ウルズ、ノルズとともに、同じ神学校で同窓生として神学と魔道学を学んでいて、その頃のことだ。
もちろん、スクルズの言葉はそのままの意味ではなく、スクルズたち四人は魔道力が高く、上級魔道遣いとして寄宿舎の同じ部屋に寝泊まりし、修行の秘法と称する百合遊びに毎晩のように興じた。
神殿界の秘密中の秘密なのだが、その理由こそ知られていないものの、淫乱であればあるほど、不思議にも魔道力があがることが事実として昔から伝えられていて、上級魔道遣いを目指す子女については、積極的に同性愛を交わすように指導を受けるのだ。
そのことを示している。
「惚けるな。この数日間、毎日しているそなたの演説のことだ。どういうつもりなんだ、スクルズ──」
ベルズが激昂したように、自分が座っている肘掛けをばちんと叩いた。
スクルズは肩を竦めた。
思うところがあり、スクルズはこの毎日、ずっと政道批判の演説を信者相手に繰り返している。
突然の重税に生活がいっぺんに苦しくなった民衆が集まり、かなりの評判だ。
今日などは神殿に入りきらずに外にまで人が満ち溢れれていた。
そのため、神殿の外でも演説をやり、それがかなりの話題になったのは承知している。
「うわああんっ」
すると、床に座り込んで積み木で遊んでいたウルズが泣きべそをかき始めた。
「おおっ、ごめんごめん、ウルズ。そなたのことを叱ったのでないぞ。ごめんよ」
ベルズが慌てたように立ちあがって、床のウルズを抱きあげるような仕草をする。
もっとも、幼児返りをしていて、言葉や仕草こそ、まだ四、五歳を思わせる童女だが、外見はスクルズやベルズよりも背が高い立派な成人女性だ。
抱きかかえることなど不可能で、実際には身体を預かり支えることくらいしかできない。
「うわあん。だって、べーまま、怒っているの。すーままとけんかしちゃ、いやああ」
いまも見ていると、ウルズにしがみつかれて、そのままひっくり返りそうになっている。
スクルズも慌てて立ちあがって、ベルズとウルズを支えるようにした。
肘掛け椅子ではなく、柔らかいクッションのある長椅子の方に誘導し、ベルズとともにウルズを座らせる。
ウルズはベルズの首に両手を回したまま、両脚を長椅子に乗せて、ベルズの身体を膝で挟むようにして、ぎゅうぎゅうとベルズに抱きついている。
このウルズも、一年くらい前までは、スクルズやベルズと並ぶ、第一神殿の筆頭巫女の肩書きがあったが、いまは「元筆頭巫女」だ。
すでに、数箇月前に、正式にウルズの代わりの新しい筆頭巫女が第一神殿に派遣されて、任に就いている。
スクルズたちよりもずっと年配の女神官であり、会話は交わすが、年代が違うこともあり、あまり打ち解けた間柄ではない。
まあ、スクルズたちのように、二十歳そこそこで、王都三大神殿の筆頭巫女になるのが異常なのだ。
ましてや、スクルズなど、第三神殿の神殿長であり、ハロンドールの歴史でも、「ティタン教」として、大陸全土に拡がるクロノスを主神とした神殿界の歴史でも、二十六歳の若さでその地位に就くのは異例を通り越して史上初である。
一方で、ウルズは「病気」ということになっており、神官職は事実上辞したかたちになって、生活のすべてをふたりで面倒を看ている状況だ。
実際には、病気なのではなく、あの三巫女事件のとき、ウルズの魂に密着していた魔瘴石をロウが剥がしたとき、余りにも強引に剥がしたため、魂の表面が傷ついて無くなり、ウルズの魂が生まれたときに近い状態に戻ってしまったことが、この幼児返りの原因だ。
剥がれてしまった魂の表面は、どんな魔道でも、ロウの淫魔術でさえも、元には戻らないので、こうやって時間をかけて、成長し直すしかない。
ただ、魂が傷つく前のウルズは、友人ではあるが、あまり性格がいい女ではなかった。
だから、こうやって、子供からやり直すというのは、彼女にとってもいい機会をもらったと言えるのではないだろうか。
「うう、苦しい……」
ベルズが小さく呻いた。
スクルズはくすりと笑ってしまった。
ベルズが、満更でもなさそうに、優し気な微笑みを浮かべていたからだ。
スクルズもベルズも、赤ん坊を育てた経験はないが、ウルズと接するときには、すっかりとその気分になる。
だけど、ちょっと強い力でしがみつきすぎだろう。
ベルズは本当に苦しそうだ。
「ねえ、ウルズ、ちょっと……」
声をかけようとした。
そのときだった。
「うわ、冷たっ」
ベルズが声をあげた。
見ると、ウルズの腰が乗っている巫女服のスカートに、どんどんと水の染みが拡がっている。
ウルズがおもらしをしたようだ。
「ご、ごめんなさいいいっ、べーまま、ごめんなしゃいい」
ウルズが声をあげて泣き出す。
スクルズは近寄って、ぽんぽんとウルズの頭を撫ぜてから、背中をさすった。
「大丈夫よ。お着換えしましょうね、ウルズ。でも、今度はちっちしたいときは、ちゃんと言ってね」
「ごめんなさい、すーまま……」
すっかりとしょげ返っているウルズは、まだべそをかいている。
そのウルズを立ちあがらせて、スクルズはまずは、濡れているウルズのスカートと下着を脱がせた。
「もう、ごめんなさいはなしよ。べーままも、怒っていないわ。ねえ?」
「ああ、怒ってない……」
ベルズの諦めたような声が聞こえた
スクルズはウルズの下半分をすっかりと脱がしてから収納魔道で片付け、代わりに新しい下着と寝着を出す。
ついでに上も脱がせて、寝着に着替えさせようと思ったのだ。
もう、そんな時間である。
ウルズについては、スクルズとベルズが定期的に交代で面倒を看ている。日中はブラニーが世話をしてくれているが、彼女に任せっぱなしというわけにもいかずに、できるだけ、夜くらいはどちらかがここで寝泊りをしようというのが約束ごとにもなっている。
まあ、実際には、かなりの頻度でベルズがここにやってきてベルズの相手をし、スクルズはロウとの逢瀬を優先してしまう傾向があることは確かかもしれないが……。
そういう意味でも、スクルズはベルズに、申し訳なく思うこともある。
名目上の縁が切れているとはいえ、伯爵令嬢でもあるベルズは、貴族女性としての付き合いもしているようだし、もちろん、第二神殿の筆頭巫女としての日常もあれば、若い神官たちへの神学講義や魔道訓練も自主的に行っている。最近では魔道技術の研究を発表し合うサロンも開いたりしている。
忙しいのだ。
それでいて、ウルズの世話は、スクルズよりも多くしているし、スクルズもついつい、本当は自分がしなければならない神殿長としての務めを、ベルズに代わってもらったりもする、
本当に申し訳ないと思う。
そういえば、ロウについていくために、地方巫女の集まりの主宰を押しつけたときには、烈火の如くベルズも怒ったっけ……。
あれは、ロウが出立する直前だったか……。
ロウ様……。
いまは、どこにいるのだろう……。
ロウのことを思うと、ベルズのことを考えていた思念は消滅した。
スクルズは溜息をついた。
「ほら、ウルズ、立っちしててね」
スクルズは、着替えのために、ウルズから服を脱がせようと思って、自分の正面にウルズを立たせた。
ロウが王都から出る直前くらいには、五歳児ほどにしっかり歩いていたのに、このところ、かなり年齢が幼くなった感じで、ちょっと足腰が頼りなくなっている。
いまも、スクルズの肩に掴まるようにしなければ、片足をあげられない。
「うん、すーまま」
スクルズは、ウルズの汚れた身体を魔道できれいにしてやった。
そのウルズは、まだベルズの膝の上で、おもらしをしてしまったことで、半べそをかいている。
また、幼児返りしているとはいえ、姿かたちは大人の女なのだから、はかせるのも大人の下着だ。
なんだか、おかしな感じもするが、いまではこの関係にすっかりと慣れてしまった。
「ウルズ、いい加減に泣くのはやめんか。わたしは怒っておらんというのに……」
横からベルズが声をかけてきた。
「ほ、ほんとう、べーまま? ウルズのこと叱らないの?」
「叱らん。ちょっとびっくりしただけだ」
ベルズが苦笑をウルズに向けた。
「じゃあ、全部お着換えしようね、ウルズ」
スクルズはウルズから服を脱がせていく。
ウルズの胸が露わになると、仕草には似つかわしくない豊満な乳房がスクルズの前に迫ったような感じになった。
こうやって、世話をするのだが、豊かで立派な胸もある。
そんなウルズに、「まま」と呼ばれて懐かれるのは、考えてみればおかしいかもしれない。
「うう、だが、やられてしまったぞ。このまま、わたしも寝着に着替えるか。もう務めはないし……。よければ、スクルズも一緒にここに泊まっていってはくれんか? このところ、ウルズも夜泣きをするのだ。三人で寝れば、少しは違うかもしれん」
「そうなの? じゃあ、そうするわ。神殿に連絡しとく。でも、夜泣きまで?」
「まあ、ロウ殿がいなくなって、だいぶ経ったし、色々と不安なのだろうのう」
ベルズが嘆息した。
「とにかく、災難だったわね、ベルズ」
スクルズは、素裸にしたウルズをさらに洗浄魔道で身体を清潔にした。
次いで、魔道通信で連絡用の言霊の球体を第三神殿も送る。
神殿の者は、スクルズとベルズの仲が昵懇なのも、お互いに「病気」のウルズの面倒を看ているのも知っている。
こうやって、小屋敷で休むのも珍しいことじゃない。
もっとも、スクルズの場合は、ここに泊まると告げておいて、かなりの頻度でロウの屋敷に泊まっていた。
どうせ、王都周辺であれば、転送術で瞬時に移動できるので、小屋敷にいようと、第三神殿だろうと、ロウの屋敷にいようと変わらない。
これについては、ウルズの存在は、むしろありがたいくらいだ。
「ああ……。それと、寝る前にはおしめをつけさせてくれ。多分、おねしょするぞ」
すでに、自ら魔道で身体の洗浄をして、寝着に着替え終わっているベルズが声をかけてきた。
「そうなの? もうおしめはしなくてよくなったんじゃないの、ウルズ?」
スクルズは、おしめをするために、全裸にしたウルズを床に横たわらせて言った。
「わ、わかんない……。ね、ねているときだけ、するの。あっ、でも、いまも、しちゃったし」
「いいのよ。少しずつ練習しましょうね。それに、今夜は、もう、ちっちしたから大丈夫かもよ。それとも、もう一度、ちっちする?」
スクルズの言葉に、床に寝そべっているウルズが首を横に振る。
収納魔道には、おしめはなかったので、ベルズに頼んでとってもらった。
仰向けに膝を立てさせ、布をお尻の下に当てる。
「あら……」
しかし、スクルズは思わず、小さく呟いてしまった。
ウルズの股間が真っ赤に充血して、股間からはどろどろと愛液が垂れ出る感じになっていたのだ。
欲情しているのだ。
スクルズは嘆息した。
さっきは、なにも見ずに洗浄魔道をしてしまったので気がつかなかった。
これは大したものだ。
しかも、たったいま洗浄魔道で股間をきれいにしたのだから、いま濡れているのは、あれから、ほんの短い時間のことということだ。
また、ここまで濡れていれば、身体が疼きまくってつらい状態のはずだ。
もしかして、おもらしをしたり、おねしょが復活したりと、成長が退行したようになったのは、これが原因かもしれない。
いや、もしかしなくても、そうなのだろう。
スクルズの身体も同じ状態だ。
身体が疼いて疼いて、実際には狂いそうになっている。
ロウ様……。
会いたい……。
とても、会いたい……。
ぎゅっとして欲しい。
可愛がって欲しい。
すっごく淫らなことをして欲しい。
腰が抜けるまで抱いて欲しい……。
毎日とは言わないが……、いや、もしかして毎日だったかもしれないが、あれだけ頻繁に抱かれて、日に何度も精を注いでもらっていたのに、もう二箇月近くもロウの身体に触れていない。
それが、こんなにもつらいとは思ってもいなかったが、実際には想像以上だ。
もう、おかしくなりそうだ。
ウルズも同じなのだろう。
「ベルズ、久しぶりに、三人で遊ばない? ウルズもこんなんだし、ロウ様のようにはいかないけど、ウルズも慰めてあげないと……。これじゃあ、おかしくなって当たり前よ。それに、あなただって、そうなんでしょう?」
スクルズはベルズを見た。
ベルズが顔を真っ赤にする。
「お、お前、そんな赤裸々に……。ま、まあ、そうかもしれんけど、それはそれで、神官として、心を平静にするのも修行の一環だし……」
「そんな修業はいらないわ。欲望には正直によ。ロウ様の教えよ」
スクルズは笑った。
そして、しかけていたおしめを収納魔道で片付けると、ウルズの手を伴って、隣接する寝室側に誘導する。
ベルズも軽く肩を竦めて、さっと魔道を放った。
すると、屋敷妖精のブラニーがさっと姿を現わす。
家人と屋敷の面倒を看るのが本能の不思議な妖精だ。
屋敷妖精も魔族の一種なのだが、人族と敵対しない例外的な存在である。
そのブラニーが出現した。外見はロウの郊外の屋敷にいるシルキーとよく似ている。
「なにか御用があれば、お伺いいたします。お召し物をお渡しください。明日の朝には洗濯をしたものをお渡ししますから。それとお着換えも寝室の方に準備しました。飲み物も……」
「ありがとう。特にないわ」
スクルズは微笑みながら言った。
「そうですか……。では、なにかあれば、宙に声をおかけください。すぐに対応いたします」
すると、ブラニーが軽くお辞儀をして姿を消す。
卓の上にあった飲みかけのお茶がなくなり、綺麗に片付いていた。
何気無くやっているが、これは生活魔道の中でも、かなりの高位魔道のはずだ。さすがは屋敷妖精という存在だろう。
「ウルズ、今夜は、すーままとべーままと遊ぼうね。いい気持ちにしてあげるから」
スクルズはウルズの手を引きながら声をかけた。
「うう、ウルズは、ぱぱがいい……」
ウルズが歩きながら寂しそうに言った。
「すーままもよ。べーままも……。でも、ぱぱは、お仕事でいないの。しばらくしたら、帰ってくると思うから」
「そのことだがな、スクルズ……。ちょっと相談がある」
後ろからついてくるベルズがスクルズに囁いた。
「相談?」
「いいから、こっちに来い」
三人で寝室に入る。
寝台はかなりの大きいものだ。
ロウが置いていったものであり、おかげで、ウルズを添い寝にさせるのにちょうどよくて重宝している。
もちろん、ロウが広い寝台をスクルズたちに準備させたのは、いろいろな「ぷれい」をスクルズたちにさせるためだ。
ロウの目の前で、この寝台で三人で愛し合わされたこともある。
ベルズは嫌がったが、スクルズは、あれはあれで、かなり興奮したいい思い出だ。
ロウはいい……。
スクルズには想像もできなかった刺激的な性行為で、いつもスクルズをどきどきさせる。
もちろん、刺激的でない性交でも……。
いや一緒にそばにいるだけで、ロウはスクルズをどきどきさせる。
つまりは、ロウは存在するだけで、スクルズをどきどきさせてくれるのだ。
「王陛下がロウ殿について、捕縛指示を出していることだ……。幸いにも、ロウ殿たちはナタル森林に、女奴隷の買い付けのクエストとやらで、王国を不在だ。しかし、もう戻ってくるだろう? だから、陛下の怒りが解けるまで、どこかに隠れてはどうかと思うのだ……」
スクルズとベルズは服を脱ぎながら、ひそひそ話ができる距離にいる。素裸のベルズは、枕元にある動物の人形で遊び出した。
「隠れる?」
スクルズは小首を傾げた。
監禁塔の屋上で、ルードルフを退位させて、ロウを権力者にする企てを誓ったことは、ベルズにはまだ内緒だ。
打ち明ければ、反対するに決まっている。
スクルズの言葉に、ベルズが小さく頷く。
「……王妃殿下の実家のマルエダ辺境侯のところが一番よかったと思っていたのだが、あんなことになってしまっているし……。だから、わたしの実家のブロア家でもいい。もしかしたら、すでにシャングリアの実家のモーリア男爵家とかを考えているのかもしれないが、シャングリアとロウ殿の関係から、それはわかりやすすぎる気もする……。まあ、相談したい。できれば王妃殿下とも……」
神官になった時点で、それ以前との係累はなかったことになり、出身による身分差は一切が神官には持ち込まれない。
スクルズのような庶子の出が、神殿長になったりするのがその証拠だ。
しかし、実際にはベルズとウルズは、貴族家の出身であり、特にベルズは代々兄弟姉妹から一名以上の神官を出すのが習わしのブロア伯爵家という名門だ。
ウルズのところも、ブロア家ほどではないが、れっきとした男爵家だった。
まあ、ウルズの実家は、すでに没落していて、だから、ウルズが巫女になったという事情もあるのだが……。
それに比べれば、スクルズなど地方商家の養女であり、本当の親はすでに死んでいる孤児である。
本来であれば、ベルズやウルズなどと、口もきけない身分差がある。
それが、こうやって打ち解けて話せるのも、あの神学校時代の秘密の修行のなせる業だろう。
それはともかく、ウルズは実家と完全に縁が切れていて、こんな風になっても実家には頼れない状況だが、ベルズは違う。
ブロア家はいまでもベルズの後ろ盾であり、地方に領地を持つ有力貴族のひとつだ。
どうやら、ベルズは手配を受けてしまったロウを実家に匿ってもいいと言っているようだ。
そんなことを口にするくらいなので、もしかしたら、密かに実家とはやり取りもしたのかもしれない。
「王妃殿下は監獄塔よ。知っているでしょう? 相談は難しいわね……」
スクルズは言った。
もっとも、その王妃は、今夜か、明日にでも塔を抜けて、イザベラたちのいるノール海岸の離宮に身を移す手筈になっている。なにか手違いがあって、出立が遅れているようだが、叛乱を起こすため、アネルザは危険を回避するために、こっそりと王都から脱走をさせるのだ。
「あんなのは夫婦喧嘩だ。陛下もそのうち頭も冷える。ロウ殿についてもだ」
ベルズが言った。
「まんまんは、ぱぱがいいけど、すーままでもいいよ……。べーままはへただから、すーままがいい」
人形遊びをしていたウルズが顔をあげて、こっちに話しかけてきた。
スクルズは、ウルズの物言いに、くすりと笑ってしまった。
「ううう……。そういうところは、神学校時代と変わらんのだな。舌技が下手だと、いつも折檻ばかりされていたっけ……。それに比べれば、スクルズは上手だったか……」
ベルズが顔をしかめた。
「上手でも下手でも、わたしもあなたも、苛められてばかりだったわね……。ところで、ベルズは受ける方がいいでしょう? まずは、わたしが責めをしてあげるわね……。ウルズと一緒に……。ところで、さっきの話は後で……」
スクルズは下着姿になっていたが、それも脱ぎながら言った。
そして、四肢を拡げて仰向けになるようにベルズに告げる。
この寝台の四隅には、鎖が収縮する仕掛けがあり、その先端には革ベルトの拘束具が備え付けられているのだ。
もちろん、そんなことをしたのはロウだ。
ベルズが顔を真っ赤にする。
「な、なにを……。な、なんで、わたしが……。そもそも、これは、ウルズを慰めるために……」
「四の五の言わないの、ほらっ──」
スクルズはベルズを寝台に思い切り突き飛ばした。
「うわっ」
ベルズは悲鳴をあげたが、身体を寝台の上で起こしたときには、すでに被虐の顔になっていた。
平素は言葉が冷たい感じまでするベルズだが、なんだかんだで、こういう行為のときには完全なまぞっ子になる。
顔を真っ赤にして、なにかを言おうとしたが、結局寝着に手をかけて脱ぎ始めた。
ウルズと同じように、三人とも素っ裸になる。
「ウルズ、まずは、べーままをふたりで苛めましょう。ウルズがぱぱにしてもらって、嬉しかったことをべーままにもしてあげて」
スクルズは、ウルズとベルズのいる寝台にあがりながら言った。
「うん、わかった。ウルズ、べーままをいい気持ちにする」
ウルズが元気よく言った。
「じゃあ、横になって手足を拡げましょう、ベルズ……」
スクルズはベルズにそう言って、寝台の四隅の鎖付きの革ベルトを操作すると、ベルズの手首と足首の届く位置まで持ってきた。